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絆のあとさき 4

[1] スレッドオーナー: 小田 :2024/01/07 (日) 23:07 ID:LKPNupfo No.188184



先にも書きましたが、昨年後半から投稿ペースが失速しています。
理由は多岐に亘りますから、ここでは取り上げませんが、時間に余裕が出来れば、
引き続き投稿していきます。

終わりのない旅路のような日常ですから、確かな目標を決めて投稿を開始した
のですが、一つの出来事に捉われ過ぎ、展開が非常に遅くなっています。

今投稿している出来事の後に待っている出来事など、多くはありません。
年末に向けて、少し大きな出来事が明るみに出ます。
その前後をどのように書き表すか、悩みは尽きません。

数年来コメントを頂いている皆様、読んで頂いていると思われる読者の皆様、
時間が取れる時としか今は言えませんが、できる限り投稿を続けていきます。

では、今後も読んで頂けることを願って、進めていきたいと思います。


[77] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/24 (日) 17:14 ID:w0nkkFsM No.190613



目の前で繰り広げられる性行為は、いずみと言う名の見知らぬ女性が、性的興奮の真っただ中で、
嬌声とともに体を震わせている。その姿態に、妻のいずみを重ねたくない私がいるのです。
強制的に見せられていると言い聞かせても、事実を変えることは出来ません。
そうはいっても、非常に冷静に観れるのですから、違和感はあっても忌避したい程でもないのです。
相反する気持ちが交差しながら、体位を変え、続けられる性交を目で追いながら、止めどもなく
発せられる熱情に、胸が熱くなるのを隠すこともできません。

ネトラレではなくこのような設定なら、私自身を満足させられるのかなと、ある仮説を立てます。
それは、よくある設定で俗な言い方かもしれませんが、”自分の女を抱かせて満足する”、
非常に自分勝手な発想なのですが、それなら安心できると思えるのです。
相手の男性は、私に恭順している設定ですから、何ら心配な事態にはならない。そのような妄想は
現実的ではないかもしれませんが、いずみとなら実現への道のりは難しくないと思えるのです。

思いを巡らしながらも、一歩下がって観ることができるのですから、差し詰め、眺めている感覚
です。
少なくとも、凝視ではありません。そうなら、肉の交わりにのめり込み、何も思い浮かばない状態
でしょうから、やはり冷静さは失われていないと熱くなった胸を撫で下ろします。
感情の高ぶりは、性的な興奮ではありません。タクマさんを受け入れると決めた高揚感で、心が満
たされたからです。
ですから、”性的興奮”を求めるのではありませんから、ネトラレの定義とは乖離していると
思います。

今夜の事は、いずみの発案だったかもしれません。
問い質しても、すんなりとは認めないでしょうが、タクマさんを受け入れると表明すれば、
事の始まりを話すかもしれませんが、”それはあなたでしょ?”と返されることは請け合いです。

タクマさんとの体位は、私とのそれとさして変わらないと話していたいずみの言葉を思い出します。
確かに順序立っていると見られますが、その差は歴然です。
力強く腰を振る姿は、過去の経験からでは語られない程の衝撃だろうと推測できます。
”異次元の衝撃”と表現してもしきれないかもしれません。
それを証明するかのように、強弱をつけた喘ぎ声が、悲鳴とも取れる叫び声に変わった瞬間、
逝ってしまいます。
体を震わせて逝くその様は、いずみではないと表現したくなる程の衝撃です。
逝った後の様子が、今までとは全く違うのです。
小さく大きく打ち寄せる波のように小刻みに震えたかと思いきや、大きく反り返って、また体を
波のように震わせるのです。
その時も、強弱をつけた喘ぎ声を発しているのですが、大きく反り返った瞬間、断末魔と表現して
も決しておかしくない叫び声を上げるのです。
私に話していた様子とは、全く異質だと疑問を呈しても返答できないでしょう。
今夜の情景だけだと言えないことは、明白です。
後でどのように説明するのか、いずみの真意の揺らぎが聞けるかもしれません。

正常位から始まって騎乗位、後背位、最後に正常位に戻して、射精の流れだろうとその様子を
見詰めるのですが、その体位毎に逝き狂うのですから、いずみの体を支えるのは並大抵の力では、
抗することもできない筈です。タクマさんの体力には感服しかありません。

いずみは、その全てにおいて失神している様に見えます。
ダラッとした両腕、力の入らない両脚など、体も支えられないと重力に負けてしまう状態です。
それでも、体位を変えた後直ぐに、高速ピストンの洗礼を受けると、体を震わせて絶叫と共に
反り返って逝くのですから、いずみを支えるタクマさんが強靭な体力の持ち主であっても、
疲れが見えてくると思うのですが、一向に衰える事を知らないマシーンのようです。
感情のないマシーンなら、いずみをここまで逝き狂わせることは出来ないでしょう。
何を置いても、求め合う二人の気持ちが一つにならないと、こうはならないと思えるのです。
性行為の全てにおいて、私がタクマさんより勝るものは何一つないと言えそうです。


[78] Re: 絆のあとさき 4  にせ医者 :2024/03/26 (火) 09:08 ID:ykhe1Z3o No.190679
小田さんへ
こうなることは自明でしたね。
アラフォーからアラフィフ(もっと?)までは長いですね。
タクマさんの執着も一時のものかもしれませんが、子供にオモチャ(失礼)を持たせると、壊れるまで使い倒さないかと心配です。
いずみさんは、僕の想像以上の人だとは思いますが、、、

いつも思っていますが、最後は小田さんのハッピーエンドがのぞみです。


[79] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/30 (土) 11:10 ID:GJAcknbc No.190803


にせ医者さん、コメントをありがとうございます。

オモチャは思い付かなかったですね。

オモチャにオモチャにされるシーンを観ていたとは、考えも及ばなかったですね。
視点が変わると、見えてくるものに差異がある事を物語っていますね。

タクマさんの体力に至っては、私の想像し得る限界を遥かに超えています。
あれですね、超人?かもしれません。

シンさんへのお返事でも書きましたが、彼と二人だけで会うことになります。
その時に彼の去就が判明しますから、感想などありましたら、教えて頂ければと思います。

どのような結末がハッピーエンドなのかは、当事者の意識に大きく関わって
くる事象だと思います。
結末が来るのか、曖昧なまま流れていくのか、それが見えてくるまでには、
長い時間が必要かもしれません。


[80] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/30 (土) 18:58 ID:GJAcknbc No.190817


続きです。




私が観ていることは分かり切っているのですが、二人だけの世界に没頭していることは、
体位の取り方からでも分かります。
正常位から騎乗位に移る時には、いずみを抱き起して上に乗せなければなりません。
意識もままならないいずみは彼に支えられても、直ぐに倒れそうになります。
タクマさんは体を起こして座位の体勢から突き上げるのですが、いずみを支えるには限界が
来ます。
ふらふらしたいずみの体を、背中に廻した両腕で支えながら、仰向けに寝た彼の上に倒れ込ませ
ます。
私が手を伸ばしても届く距離ではないのですが、正常位では観れなかったいずみの顔がこちらを
見ているのです。
といっても、目を開けている訳ではないのですから、私を意識しているとは到底思えないのです。

いずみの背中に廻した両腕で、体の動きを止めようとしているのですが、反り返って絶叫ですから、
そう長くは続けられません。
いずみを抱き起して挿入したまま後ろに倒します。背中に廻していた両腕を腰に持ち替えて
抱き起こし、また座位に戻り、凄まじい速さで突き上げるのです。
直ぐに反り返って逝くのですが、体を震わせ喘いでいるのですから、意識がないとは思えない
のです。それでも、グタッとしたままなのですから、何とも不思議な情景です。
無意識の意識と話していたいずみの真意はここにあったのかと、不確かであっても、そう理解しな
いと、説明がつかないと思えるのです。

ここまではペニスを膣に挿入したまま体位を変えていたのですが、いずみを後ろにゆっくり倒し、
結合を一旦解きます。
伸ばしていた足から膝を付く体勢に移行したタクマさんは、抱き起しながらクルッと体を廻して
腹這いにします。
いずみは相変わらず全く動こうとはしません。
この部分を切り取れば、眠っていると言っても間違っているとは思えないのですが、失神状態が
続いているとも思えないのです。
体を動かされても全く反応しないのですが、一旦、ペニスを挿入されれば、直ぐに喘ぎ声を
発するのです。
どう説明すればいいのか、困惑の空間に疑問符が飛び交うだけで、そこに入れる言葉が見つかり
ません。

腹這いのいずみの腰に右腕を廻して、腰を浮かせ膝を付かせるのですが、自立できないのですから、
ともすると元に戻りそうになります。
タイミングを見計らって、左手に持ったペニスを一気に挿入するのですが、その情景は後ろに位置
する私からは、丸見えです。
筋肉質の臀部の動きにも、いずみは体を動かそうとしません。
今までのいずみなら、快感を求めて腰を動かしていた筈です。それに反応しないのは、できない
のではなく、エクスタシーが堰を切って溢れるまでは、快感を閉じ込めている様に思えるのです。
体を震わせ嬌声を発しながら、噴出させるその時へと昇華させていく、感極まった時に絶叫と
共に、体が反り返ると推測できるのです。

膝を付かせて後背位で逝き狂ういずみを支えるには、やはり限界があるのでしょう。
ペニスを抜き、腰に廻して倒れ込むのを支えていた両腕を放すと、いずみはベッドに崩れ落ちます。
今までと違って少し手荒な扱いですが、タクマさんの体力に限界が近付いているのかもしれません。
それでもいずみには、何の変化も現れません。
うつ伏せのいずみの右足を持ち上げて、体を横向きにします。
いずみの股の間に両脚を入れてペニスを挿入すると、直ぐに喘ぎ出すのですから、いずみに取って
は最高のペニスなのだと思わずにはいられません。
ゆっくりとそれも深く挿入し、体を前に倒して、右手でいずみの首を起こし引き付けます。
いずみの体がくの字に曲げられます。

くの字に曲げられたいずみの顔に近づき何かつぶやいたと思ったのですが、その状態からそう見え
たのかもしれません。
微かにいずみの声にならない声が聞こえたと思ったのも、それを後押しします。
いずみの頭の傍で役目を待っているピローを手に取り、本来の使い方ではなく、いずみの顔に
被せます。
ピローを右手で押えたまま、助走なく一気にピストンを開始します。
今までとは比べることもできない程の速さですから、いずみをくの字に固定した理由は理解でき
ます。体の震えも反り返りも許さない、快感を体に閉じ込めて解放させない、圧縮された快感を
一気に昇華させ、放出させる時、彼も我慢の限界を乗り越えて射精する、そういう図式だと
理解します。
愛し合うことの意味を、体で表現することに他ならないと言っているようです。


[81] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/31 (日) 12:40 ID:rhgaMG7s No.190839



凝視していたのではなく、性行為の流れに目をやっていると、色々と想いが湧き上がってきます。
それが先程の感想なのですが、ふと時間が気になります。
10時30分に声を掛けて欲しいといずみから頼まれているのです。
その5分前にと気を廻した私が申し出たのですから、依頼よりも比重が大きい筈です。
約束は可能な限り守るのが信条と言っている私ですから、夢遊病者のようないずみであっても、
それを信じて性行為に没入しているでしょうから、その重みを感じます。
所要時間内に性行為を終わらせる、そうでなくても約束の時間厳守は私のセオリーですから、
幾度となく腕時計にも目線を落します。

約束の時間に差し掛かった時、松葉崩しを崩したと表現しても二人には響かないかもしれない
体位で、エクタシーへの階段を上っている最中です。
ここで声賭けは信義則に反するかな?と変な拘りが頭をもたげるのですが、約束は約束です。

ピローを被せられたいずみの嬌声は、ほとんど聞こえません。
動くに動けませんから、”うぐぐっ”と、こもった低い響きが聞こえるだけです。
それだけ強く押さえられているようですが、息ができない程でもないようです。
背中が汗で光っているタクマさんに、タイムアップを知らせなければなりません。

「タクマさん?」

二度呼びかけても返事はありません。
立ち上がって、ラウンドテーブルの前に出た時、私の動きを察したのか、時間を気にしていた
のかは、定かではないのですが、兎に角、振り返ったのです。

「時間・・・」

言い掛けた私に、汗だくの笑顔を見せて頷きます。
そのような状況でも、爽やかさを失っていないのですから、疲れを知らないとはこのことだと、
感心の余り、次の言葉を繋げられずに、小さく頷いてソファーに戻ります。
その短い時間の間に、変則?松葉崩しから正常位に移り、ピローはそのままに猛スピードで
腰を振っているのです。
所定時間内へのクライマックスに向かって、ひた走るタクマさんを応援したくなります。
何度逝ったか分からないいずみは、タクマさんの発射を今かと待っていると推測もできない
のですが、無意識の意識なら、そう思っていても的外れではないと思えるのです。

”うお〜っ!”と小さくない雄たけびを上げて発射したのでしょう、”ハァハァ・・・”と
苦しそうな息遣いには、先程の爽やかさは見て取れません。
それでも、ピローをはぎ取っていずみに覆い被さり、途切れる様な息遣いでも、キスを交わす
のですから、彼の体力の凄まじさを見せつけられた思いです。
いずみも自由になった体一杯に喜びを表すように、彼の背中に両腕を廻して、強く抱き締めて
いるようです。
”頑張ったね”、”うん”と囁き合っているのでしょう、推測でもこのようであって欲しいと
思わせる様子がとても微笑ましく、こちらも頬が緩んできます。

ほんの少し言葉を交わして、タクマさんはバスルーム側からベッドを降ります。
何を話したのか聞き取ることはできないのですが、その雰囲気からは淫靡な空気は流れてきません。
”とても”と表現しても誰も異論はないだろうと思えるほど、爽やかな空気感に包まれている
のです。
いずみを抱き起すその一瞬、いずみがこちらを見たように感じます。
それもつかの間、ベッドインの時と同じように、お姫様抱っこでバスルームに消えていきます。
バスルームのドアは閉じられていますから、シャワー音は聞こえても、会話となると何も聞こえ
ません。
私の存在など全く意識しない自然な振る舞いは、二人の息がピッタリ合っていないと不可能で
しょう。
穏やかに広がってくる爽やかな空気の中で、私は空気のような存在だなと、可笑しくなって
きます。


[82] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/31 (日) 15:49 ID:rhgaMG7s No.190842



立ち上がり、振り返って窓の外の夜景を眺めます。
このホテルは何度も利用しているのですが、今夜の夜景には特別な意味があるように思える
のです。
まさか二人の性行為を観る羽目になるとは、青天の霹靂どころではないと思っても、正に事実
なのですから、以前から決められていたのかと不思議な気持になります。

腕時計に目をやると、40分を回ろうとしています。
50分に部屋を出るとしたら、直ぐにでも着替えないといけない時間です。
それも計算しての事だろうと思っていると、ドアの開く音と共に、急ぎ足で二人が戻って来ます。
振り返った私の目には、体にバスタオルを巻き付けたいずみ、同じように腰に巻いたタクマさんが、
満面の笑顔で手を繋いでいるのです。

タクマさんが、

「時間がないので・・・少し待って下さい」

いずみは、小さくウインクして、

「ごめんなさい・・・できれば窓の外を・・・」
「あっ?そうだね。気が付かなくて済まないね」

それには返答もありません。
時間厳守は崩すことはできないとタクマさんに言明しているいずみですし、私がいるのですから、
迂闊にその時間を変える事などできない筈です。

少しの時間がとても長く感じられます。
二人は話すこともなく、着替えに集中しているのでしょう。
特に緊迫感は感じないのですが、何となくそうだろうと意識が働きます。

「完了です・・・戸田さん、どうでしたか?」
「タクちゃん、感想を求めるなんて、失礼でしょ?・・・戸田さん、ごめんなさい」
「あっ?いやいや、お役に立てたかな?はははっ」
「えぇ、ほんとにありがとうございました・・・いずみちゃん、これでいいよね?」
「もう!ダメでしょ?まだまだこれからなの、私に免じて許して下さいね」
「はははっ、頼もしいね。金(かね)のわらじどころじゃないね?」
「歳の差?一つどころじゃないってことね?」
「気を悪くしたかな?」
「うふふっ、おかしな人だわ、戸田さんって」
「いずみちゃん、時間が・・・」
「ホントだ!・・・どうしますか?」
「部屋に戻ってもいいんだが、一度外の空気に触れたいかな?」
「分かりますわ、うふっ・・・じゃ、ロビー迄ご一緒します」


下りエレベーター内での様子は、部屋に向かう時とは違って、腰に手を廻すほどの密着感は
ありません。手を繋いで見つめ合いながら、時折、私にも柔らかな視線を送ってきます。
エレベーターの狭い空間に幸せの光が広がってくるようです。
いずみが妻でなければ、こちらまでその光のお裾分けに浸れるのですから、演技とも思えない
自然な振る舞いには、不思議な気持になってきます。
私の軽い気持ちがキッカケですが、自然体の様子を見せるのは、いずみは使命だと思っている
のかもしれませんし、今後の事も含めて私へのアピールなのかもしれません。

一言も話さず笑顔を絶やさない二人の時間も、エレベーターがロビー階に着いた時に、終わりを
告げます。


[83] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/31 (日) 17:02 ID:rhgaMG7s No.190846



二人に続いてエレベーターホールに出ます。

「じゃ、僕はここで・・・」
「今夜はお付き合い頂き、ありがとうございました」
「ご丁寧に・・・まぁ、こんなことはそう再々あるものじゃない、いい経験をさせてもらい
ましたよ」
「そう言って頂ければ・・・タクちゃん、お礼を言いなさいよ」
「えっ?・・・いずみちゃんが代弁してくれたので、いいかなって」
「ダメでしょ?・・・すみません。非常識極まるでしょ?それでも・・・これはいいかな?」
「見え見えですね?はははっ」
「うふふっ・・・時間がないので、私達はここで・・・」

繋いでいた手を放して、私の目を見詰めてそっと左手に触れます。
何かの合図かと思ったのですが、そうではなかったようです。


二人を背に、玄関ホールに歩き出した時、

「戸田さん・・・」

タクマさんが駆け寄って来ます。

「ん?・・・まだ何か?」
「話したいことが、時間を取れませんか?」
「いずみさんは?」
「僕だけです。彼女には内緒で・・・」

私の真意とは違った返答です。

「あっ?はははっ、いずみさんはどこに?」
「・・・えっ?あっ?そうですよね。チェックアウトでフロントへ、それを確認して直ぐに。
都合のいい日があれば、できるだけ早くが良いのですが」
「今夜の事で?」
「少しはあるかもしれませんが、関係ないと思って下さい」
「何か不都合なことがあるとか、僕に関係する事なら会うのもやぶさかではないが」
「問題とか、そういうことではないですから、安心して下さい」
「そう言われてもね。まぁ、先程の様子なら怖いお兄さんが出てくることもなさそうだから、
ここはタクマさんを信じることにしますか?」
「出るのならとっくに出てるでしょ?」
「はははっ、分かったよ・・・それじゃ、夜でいいね?再来週の月曜日の夜、ここのロビーで。
時間は午後6時30分に、どうかな?」
「了解です。東京にはよく来られるのですか?」
「まぁ、その時だね?食事しながら話そうか?」
「えぇ、ではその時に・・・捜してるかもしれないな?」
「大事な彼女だろ?」
「ずっとそうだといいんですが。じゃ、その時に」

少し曖昧な返答ですが、気にしないことにします。
いずみとどのような話をしているかは推測もできませんが、少なくとも私の妻ですし、そこは、
それなりの立ち位置を明確にしている筈ですから、”気にしない”と言い切れるのです。


[84] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/04/06 (土) 11:46 ID:9RWvaVJA No.191012



玄関を出て、イタリアンレストランの前を通って、なだらかな坂道を上がっていきます。
いずみが”立ちんぼ”をしていた洋品店の前に差し掛かった時、ふと気になって振り返ります。
目線の先は、午後11時前のこの時間でも、私の居る洋品店の前とは比べることもできない程、
明かりに包まれています。

手を繋いだ男女が歩道に姿を見せます。
身長差、服装などからタクマさんといずみなのは間違いないでしょう。
回りは見えないのか、見ないのか、傍を通る人には全く関心を払うこともなく、抱き合ってキス
を交わしている様に見えます。
繋いだ手をそっと放して、車道を渡るいずみの姿が徐々に影となり、見えなくなります。
その間、一度も振り返らないいずみなのですが、タクマさんは見えなくなるまででしょうか、
見送ってからJRの駅方面へと歩き出します。

私は、上の新館のホテルへの正面玄関ではなく、坂の途中に設けられている、地下一階に通じる
入口の前で折り返し、同じ歩道を下りて行きます。
残暑の季節ですが、夜はかなり凌ぎやすく汗ばむこともありません。

淫靡とは言えない性行為だったとしても、性行為に何ら変わりはありませんから、体に溜まった
その時の空気感を入れ替えるために、少し歩くことにしたのです。
歩き出した時に、いずみのパフォーマンスに気付きます。
別れ際に、私の目を見詰めて左手に触れたいずみの真意は、外の空気に触れたいと話した私への
返答だろうと推測したのです。
11時30分を回れば、タクマさんから着信があるかもしれないと聞いていたのですから、坂を下って
ホテルに着くまでには、いずみの意味するところが分かる筈です、
案の定、イタリアンレストランの前を通過して、ホテルの玄関まで帰って来た時に着信です。


『お散歩はどう?』
『余裕だね。思ったより凌ぎやすいかな?』
『うん・・・観るに堪えなかった?』
『だから言っただろ?凌ぎやすかったと、はははっ』
『良かった!あのね、アトでお部屋に行ってもいい?』
『石黒さんとの時間だからね。約束を守るのが、僕の信条なんだが』
『愛人さんとの時間を少し借りるの。サワちゃんには了解をもらっているから、あなたが良ければ
・・・』
『強制かい?』
『できれば・・・いい?』
『タクマさんから掛かってくるんじゃなかったのか?』
『だからそれまでにあなたの傍に・・・早く行きたいの』
『ん?戻らなかったのか?』
『車道を渡って見えなくなるところまで。そこからタクマさんの姿を確認したの。だから大丈夫よ』
『はははっ、直ぐ傍に居るんだろ?』
『バレた?うふっ』

振り返ると、ホテルの玄関に通じる歩道で、いずみが微笑んでいます。

駆け寄って来るのかと思いきや、レジ袋を持った左手を掲げて、私を呼びます。
5mも離れていませんから、容易いことなのですが、何か企んでいる様です。

近付くと抱き付いてきます。

「あっ?・・・ごめんね?」
「カーディガン?」
「うん・・・タクマさんと・・・でも、脱げないもの・・・あっ?あなたが脱げって言ったら、
”さにあらず”よ、うふっ」

”郷に入れば郷に従え”を地で行っているいずみです。


[85] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/04/06 (土) 18:00 ID:9RWvaVJA No.191020



「はははっ、変わり身の早さは・・・そうだな、さっき観た”逝く速さ”といい勝負じゃないか?」
「ハヤサ?・・・字が違うでしょ?比べられないと思わない?」
「はははっ、面目ない。この分野では勝てそうにないね」
「今は勝ってるでしょ?変わり身の早さって・・・when in Rome,do as the Romans do・・・
違った?」
「攻めるね。僕の心の内が読めるんだから、敵に回したくない・・・はははっ、それはないか?
僕の妻なんだからね」
「そうよ。ナニがあってもあなたの妻、だからあなたのルールに直ぐに馴染めるの。
たとえタクマさんと・・・そうだったけど、あなたの元に帰れば全て過去のことだもの」
「僕はローマ人じゃないが、”郷に入れば郷に従え”は教訓だね」
「諺でしょ?小田に戻れば、戸田じゃなくて・・・そうだもの、うふっ」
「その逆も?」
「なりすましかな?真のいずみではないの。分かるでしょ?」
「そう見えないところがいずみなんだね?はははっ」
「難しいのよ。どちらが私なのか・・・あれ?なりすましだから二面性?」

はぐらかすのも、見え透いた常套手段です。
何度遭遇しても、新鮮さを失っていないのですから、感心すること然りです。

「はははっ、呼び付けた理由を話さないのかい?」
「うん・・・ユーモラスはいいのね?いいんだ!・・・はい、これなの?」

先程のレジ袋を差し出します。

「ブラウスだろ?ワインのシミが付いた、だろ?」
「ワインって示唆したんだもの。それにカーディガンでしょ?あなたなら直ぐに分かると思った
のよ。それよりも、”あり得ない”って指摘されそうで、チョッピリ恥ずかしかったの」
「それを持ち出すのは・・・はは〜ん、これかい?」

照明を落としたウインドウの内側に飾られているノースリーブのブラウスに目をやります。
ホテルには多くの出店がありますが、ホテルの外側から見れるその店は、エントランスへと向かう
歩道に面しています。

「あのね、お洋服に気付いて立ち止まるかなって思っていたのに、寂しいでしょ?」
「なるほどね。欲しいのか?」
「この時期でも飾ってるって売れ残りでしょ?それにRLじゃないもの。クリーニングに出すって
決めていたの。でも、シミ取りの真似事はしないと、薄くなるだけでもいいもの」

私はスーツなのですが、ネクタイは外していました。
仕事では、年中同じ様な服装ですが、いずみと同じブランドではありません。
RLはカジュアル限定と決めています。

歩き出した私の左腕に、そっと右手を廻して、

「お洋服だから・・・直接じゃないから、いいでしょ?」
「先程、別れる時に手に触ったのは?」
「合図だもの。目で訴えたのよ、分かった?」
「不可抗力かい?」
「仕方なかったの。マイルールも時として破らないといけない時ってあるでしょ?
あれ?あなたみたいだわ、うふっ」
「分からなかったね、歩き出すまでは。可能な限り早く掛けてくると思ったが、変り身より
遅くないかい?」
「逝く速さとは?」
「比較もできないだろ?逝き続けるんだから、異次元だろ?宇宙人かと思ったよ、はははっ」
「そうでしょ?タクマさんの超人的な体力は異次元だもの・・・あれ?違うの?わたし?」

何かにつけて、このように話せるのは、いずみだからです。
天然の素質が、ユーモアのセンスを引き出しているのかもしれません。


[86] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/04/07 (日) 12:18 ID:LKPNupfo No.191031



エレベーターに乗っても、腕を組んでいるのですが、

「あなたとなら手を繋ぎたいのに・・・」
「はははっ、二番煎じだろ?」
「そうだけど・・・寂しいんだもの、ほんとだからね」
「無理しなくてもいいよ。先程の温もりが残ってるんだろ?」
「オンナって直ぐに醒めないでしょ?でも、あなたとなのよ、こんなのって不謹慎だわ」
「はははっ、誰だよ、お願いしたのは?」
「そうだけど、本を正せば・・・言えないかな?」
「僕かい?」
「タクマさんは何も知らないのよ。私が誘導したって思ってない?」
「あってもおかしくないだろ?真実は闇の中かい?」
「難しいな?アトでいいでしょ?時間がないもの」
「タクマさんか・・・不安だから、弁明に来たってことかい?」
「それもあるかな?」


部屋に入るなり、

「あなた、お洋服を脱いでもいい?」
「ほてりを冷ます?」
「体はそうだけど、心はあなたと共に、なのよ。信じる?」
「はははっ、これも二番煎じだが、信じたいね」
「タクマさんと接した下着も・・・体はシャワー・・・あっ?もう一度しないと。心は洗う必要も
ないの、何度逝ってもあなたのもの、信じてね?」
「あぁ、そうだね。好きにしたらいいが、時間だろ?」
「あっ?ホントだ!・・・窓側のベッドに坐ってお話しするけど、いいよね?」
「約束したのか?」
「何も・・・でも、戸田さんっていう中年のスキモノさんにセックスシーンを観てもらったでしょ?
きっと掛かってくると思うの・・・でも、いつもかな?うふっ」
「やはりそうじゃないか?暗黙の了解だろ?」
「そうかな?うふふっ・・・まだ掛かって来ないから、裸になるわね?」
「今日は二回目だね、いずみのストリップは。はははっ」

窓の傍の椅子に坐って、見るでもなくいずみに目線を向けるのですが、いずみと認識できない程、
ぼやけているのです。
いずみという名の知り得ない女性と認識したいのかもしれません。

いずみは、脱いだ服と下着、バッグなど、それとレジ袋と私の上着も併せて、クローゼットに
収納します。

弁明のためだけに、石黒さんとの時間を割いたのではないと思うのですが、もしそうなら、
11時30分過ぎに掛かってくるタクマさんとの会話を聴かせたいのだと思えるのです。
話し難いことなど何もないと宣言しても、完璧な説明など不可能に近いでしょう。
それを求めているのではないのですが、いずみ自身が納得できないと思っていたとしたら、
今回は絶好の機会です。
ところが、いずみの真意が何処にあっても、私にはどうでもいいことなのです。
今ここに居るのは、信じられるいずみなのですから、全くもって無駄な時間だと思えてきます。

「あなた、ホテルのパンフレットを取ってくれない?」
「宿泊約款だろ?」
「それ!それ!ごめんね?」



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・規約違反や違法な投稿を発見した場合に、レス投稿で攻撃することは厳禁です。(即時削除)
・規約違反や違法な投稿を発見した場合は、管理人宛に削除依頼等でご連絡ください。
・この掲示板は体験談や小説、エロエロ話等を楽しんでいただくための掲示板ですので、募集を目的とした投稿は厳禁です。(即時削除)
・投稿文冒頭から「メールをください」等の記載がある等、明らかに募集目的のみと思われる投稿も厳禁です。(即時削除)
・ただし、レスの流れの中でメールのやり取りをするのは全く問題ありません。
・ご夫婦、カップルの方に限り、交際BBSと組み合わせてご利用いただく場合は、全く問題ありませんのでドンドンご利用ください。
・なお、交際専用BBSにスレッドを作成できるのはご夫婦、カップルの方のみですのでご注意ください。
・お手数ですが、交際専用BBSと画像掲示板とを組み合わせてご利用いただく場合は、必ずその旨を明記してください。
 【例】「交際BBS(東・西)で募集している〇〇です」、または「募集板(東・西)の No.****** で募集している〇〇です」など。
・上記のような一文を入れていただきますと、管理人が間違ってスレッドを削除してしまうことが無くなります。
・万一、上記内容に違反するような投稿をされた場合は、妻と勃起した男達の各コーナーのご利用を制限させて頂きますでご注意ください。
・当サイトは安全で安心できる楽しい「大人のエロサイト」です。腹を立てるのではなく、楽しくチ●ポを勃ててくださいネ!