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絆のあとさき 4

[1] スレッドオーナー: 小田 :2024/01/07 (日) 23:07 ID:LKPNupfo No.188184



先にも書きましたが、昨年後半から投稿ペースが失速しています。
理由は多岐に亘りますから、ここでは取り上げませんが、時間に余裕が出来れば、
引き続き投稿していきます。

終わりのない旅路のような日常ですから、確かな目標を決めて投稿を開始した
のですが、一つの出来事に捉われ過ぎ、展開が非常に遅くなっています。

今投稿している出来事の後に待っている出来事など、多くはありません。
年末に向けて、少し大きな出来事が明るみに出ます。
その前後をどのように書き表すか、悩みは尽きません。

数年来コメントを頂いている皆様、読んで頂いていると思われる読者の皆様、
時間が取れる時としか今は言えませんが、できる限り投稿を続けていきます。

では、今後も読んで頂けることを願って、進めていきたいと思います。


[75] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/23 (土) 18:35 ID:kyJyjI0c No.190573



「・・・ねぇ、そうでしょ?」
「この距離?」
「そうよ・・・ここまでならOKかな?・・・」

胸元を見せるために近づいて来たことは明白です。
カーディガンのボタンを全て外して、レースであしらわれたブラを見せます。
ノースリーブのブラウスにそれとなく言及するのかと思いきや、その素振りも見せません。
ただ、小さく呟く様に、

「・・・ワイン・・・」

飲めないワイン?口を付けるだけ、その時に・・・そう考えれば、自ずと答えは分かってきます。

「ここまでとは?ブラの下は?はははっ」
「これからでしょ?・・・タクちゃん!脱がせてくれないの?」

ウインクして、直ぐに振り返りタクマさんに抱き付きます。
いつもと同じ光景なのかもしれませんが、いずみが主導しているとアピールしているのかも
しれません。

鍛えられた体を誇示するように抱き締めた彼の腕は、マッチョマンと呼べるほどの筋肉で覆われて
いると言えそうです。
いずみの背中に廻した腕が、ブラのホックを外しながら、彼の首に腕を巻き付けたいずみと激しく
キスを交わします。
既に始まっているのでしょう。
私には見慣れた情景ですが、二人にとっては、快楽への階段へと踏み出す合図のキスなのかも
しれません。

窓を背にソファーベンチに座っている私とは、ラウンドテーブルを挟んで2m程しか離れていません。
ダブルベッドとの広くはない空間で抱き合う二人には、何故か好感が持てます。
特に推測もしていなかったタクマさんですが、相性が良いと言ったいずみの言葉が思い出され、
いずみの真意が分かったように思います。


スカートを脱がされたいずみは、タクマさんの厚い胸から下腹部へと唇を這わしていきます。
私が好まない行為ですから、いずみは何を思っているのか聞きたくなります。
タクマさんは既にビキニパンツ姿ですから、いずみのTバックと合わさって、臨戦態勢の様相です。

下腹部に辿り着いたいずみは、彼の顔を見上げてから、パンツをそっと下ろしていきます。
既にマックス迄膨張しているペニスが、ピンと反り返ってお腹まで届きそうです。
脱がしたパンツはそのまま床に置き、キュッと締まった睾丸にそっと唇を添えて、ペニスを握り
ます。

以前に、いずみから聞いていたのですが、フェラは不要な行為と言えるほど、完璧な勃起です。
ところが、それはセックスへの扉を開く最初の行為の位置付けでしょうから、不要であろうと
なかろうと、通過儀礼なのかとそれとなく納得させられます。

抱き付いてキスした時は後ろ姿だったいずみですが、唇を這わし始めると体をゆっくり廻して、
横顔が観れるようにします。
当然、タクマさんもそれに合わすのですが、いずみの演出なのは間違いありません。
見せて興奮する前提ですから、そのような展開は想定済みです。

数分も咥えなかったペニスを大事そうに右手で持って、そっと立ち上がります。
タクマさんはペニスからいずみの手を放し、首に巻き付けさせてキスの後直ぐに、少し屈んで
右手でいずみの両脚を持って抱き起します。
”お姫様抱っこ”なのでしょうが、年齢差を考えるとかなり無理があると言わざる負えません。
それでも、笑顔を絶やさず、左手も彼の首に巻き付けて体を預けるいずみは、お姫様になり切って
いるのかもしれません。
その時、もし恥じらいを見せていたのなら、私がそれ以上に恥ずかしい思いをしただろうと、
今振り返っても笑いが込み上げてきます。


[76] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/24 (日) 12:06 ID:w0nkkFsM No.190602



タクマさんが、すぐ傍のベッドに移動しようとしたその時、彼の首に巻き付けていた左手を
放したいずみは、

「戸田さん、30分になったら声を掛けて下さいね」

先程よりも少し丁寧な言葉は、”必ず”との願いが込められている様に感じます。
それは、行為中では時間の観念が飛ぶことがあると示唆している様に思えるのです。
過去数回の性行為の時は、タイマーでも用意したのかと、ふと頭に浮かびます。

「その時に止められるのかい?」
「頑張りま〜す、うふふっ」

二つの意味を持たせる発言だなと、いずみの心情に寄り添えば、理解出来そうです。
セックスとそれの停止を頑張ると意思を示したようですが、相反する行為には難しさが見え隠れ
します。
敢えて私に依頼することで、性行為の事実を追認させる狙いがあるのかもしれません。
私を共犯者として認識させたいとの思いもあるようです。

射精もなく終了宣言も難しいだろうと、オトコの性に寄り添った思いが頭をもたげます。
それなら、事前に知らせるのが観客の優しさだと思えるのです。

少し大きな声で、

「あれだよ、終了5分前に声を掛けるからね。5分もあれば大丈夫だろ?」

一瞬、時間が止まったように、二人共理解出来ないような表情を見せるのですが、

「・・・そういうことね?タクちゃん、分かった?」
「それまでに・・・その時だよ。いずみちゃん次第かな?」
「戸田さん、そういうことだから・・・ねぇ、は・や・く・・・」


ベッドに寝かされたいずみは、タクマさんの首に両腕を巻き付けて、先程よりも激しくキスを
交わします。唾液がもたらす湿った音が激しさを物語っているのですが、私からはその様子を
観ることは出来ません。
目線の先には、大きく開いたいずみの脚の間に、膝を付いたタクマさんが乗っている構図です。
何度も観た前戯から性交に入って行く過程の図式のようです。
私も含めて、多くの男女の性交へのルートなのは間違いないと思います。
それが同じだとしても、浮世絵の交接図を彷彿させるタクマさんのペニスには、少なからず畏怖を
感じます。
太さも長さも、以前にいずみが体験したビッグサイズとさして変わらないと思うのですが、
勃起力は並のペニスとは比べることもできないと思います。
推測でしかないのですが、硬さも未経験の域に達していると思えるのです。

性行為の相性と相まって、性格の面でもその相性に触れていたことに気付かなかったのは、
小さくない悔悟を感じます。
いずみが好きになるのには、それ相応の理由があることを思い出します。
性行為で満たされても、好きになる理由にならないと、何度も聞かされていたのですから、
タクマさんへの気持ちも理解できます。
いずみの心も体も満たしてくれるのなら、私にとって必要悪だとしても、タクマさんをセフレ
として迎えることの意義は、小さくないと認めざる負えません。
いずみはそれを示唆してはいないのですが、感じるものがあったと言えば、そうかもしれません。
少なくとも、今年末までは楊社長の指示ですから、タクマさんとの契約?そういったものがあれば
ですが、その終了後、年明けの都合の良い日を見計って、いずみとの交際をスタートさせることも
視野に入れておく必要がありそうです。


[77] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/24 (日) 17:14 ID:w0nkkFsM No.190613



目の前で繰り広げられる性行為は、いずみと言う名の見知らぬ女性が、性的興奮の真っただ中で、
嬌声とともに体を震わせている。その姿態に、妻のいずみを重ねたくない私がいるのです。
強制的に見せられていると言い聞かせても、事実を変えることは出来ません。
そうはいっても、非常に冷静に観れるのですから、違和感はあっても忌避したい程でもないのです。
相反する気持ちが交差しながら、体位を変え、続けられる性交を目で追いながら、止めどもなく
発せられる熱情に、胸が熱くなるのを隠すこともできません。

ネトラレではなくこのような設定なら、私自身を満足させられるのかなと、ある仮説を立てます。
それは、よくある設定で俗な言い方かもしれませんが、”自分の女を抱かせて満足する”、
非常に自分勝手な発想なのですが、それなら安心できると思えるのです。
相手の男性は、私に恭順している設定ですから、何ら心配な事態にはならない。そのような妄想は
現実的ではないかもしれませんが、いずみとなら実現への道のりは難しくないと思えるのです。

思いを巡らしながらも、一歩下がって観ることができるのですから、差し詰め、眺めている感覚
です。
少なくとも、凝視ではありません。そうなら、肉の交わりにのめり込み、何も思い浮かばない状態
でしょうから、やはり冷静さは失われていないと熱くなった胸を撫で下ろします。
感情の高ぶりは、性的な興奮ではありません。タクマさんを受け入れると決めた高揚感で、心が満
たされたからです。
ですから、”性的興奮”を求めるのではありませんから、ネトラレの定義とは乖離していると
思います。

今夜の事は、いずみの発案だったかもしれません。
問い質しても、すんなりとは認めないでしょうが、タクマさんを受け入れると表明すれば、
事の始まりを話すかもしれませんが、”それはあなたでしょ?”と返されることは請け合いです。

タクマさんとの体位は、私とのそれとさして変わらないと話していたいずみの言葉を思い出します。
確かに順序立っていると見られますが、その差は歴然です。
力強く腰を振る姿は、過去の経験からでは語られない程の衝撃だろうと推測できます。
”異次元の衝撃”と表現してもしきれないかもしれません。
それを証明するかのように、強弱をつけた喘ぎ声が、悲鳴とも取れる叫び声に変わった瞬間、
逝ってしまいます。
体を震わせて逝くその様は、いずみではないと表現したくなる程の衝撃です。
逝った後の様子が、今までとは全く違うのです。
小さく大きく打ち寄せる波のように小刻みに震えたかと思いきや、大きく反り返って、また体を
波のように震わせるのです。
その時も、強弱をつけた喘ぎ声を発しているのですが、大きく反り返った瞬間、断末魔と表現して
も決しておかしくない叫び声を上げるのです。
私に話していた様子とは、全く異質だと疑問を呈しても返答できないでしょう。
今夜の情景だけだと言えないことは、明白です。
後でどのように説明するのか、いずみの真意の揺らぎが聞けるかもしれません。

正常位から始まって騎乗位、後背位、最後に正常位に戻して、射精の流れだろうとその様子を
見詰めるのですが、その体位毎に逝き狂うのですから、いずみの体を支えるのは並大抵の力では、
抗することもできない筈です。タクマさんの体力には感服しかありません。

いずみは、その全てにおいて失神している様に見えます。
ダラッとした両腕、力の入らない両脚など、体も支えられないと重力に負けてしまう状態です。
それでも、体位を変えた後直ぐに、高速ピストンの洗礼を受けると、体を震わせて絶叫と共に
反り返って逝くのですから、いずみを支えるタクマさんが強靭な体力の持ち主であっても、
疲れが見えてくると思うのですが、一向に衰える事を知らないマシーンのようです。
感情のないマシーンなら、いずみをここまで逝き狂わせることは出来ないでしょう。
何を置いても、求め合う二人の気持ちが一つにならないと、こうはならないと思えるのです。
性行為の全てにおいて、私がタクマさんより勝るものは何一つないと言えそうです。


[78] Re: 絆のあとさき 4  にせ医者 :2024/03/26 (火) 09:08 ID:ykhe1Z3o No.190679
小田さんへ
こうなることは自明でしたね。
アラフォーからアラフィフ(もっと?)までは長いですね。
タクマさんの執着も一時のものかもしれませんが、子供にオモチャ(失礼)を持たせると、壊れるまで使い倒さないかと心配です。
いずみさんは、僕の想像以上の人だとは思いますが、、、

いつも思っていますが、最後は小田さんのハッピーエンドがのぞみです。


[79] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/30 (土) 11:10 ID:GJAcknbc No.190803


にせ医者さん、コメントをありがとうございます。

オモチャは思い付かなかったですね。

オモチャにオモチャにされるシーンを観ていたとは、考えも及ばなかったですね。
視点が変わると、見えてくるものに差異がある事を物語っていますね。

タクマさんの体力に至っては、私の想像し得る限界を遥かに超えています。
あれですね、超人?かもしれません。

シンさんへのお返事でも書きましたが、彼と二人だけで会うことになります。
その時に彼の去就が判明しますから、感想などありましたら、教えて頂ければと思います。

どのような結末がハッピーエンドなのかは、当事者の意識に大きく関わって
くる事象だと思います。
結末が来るのか、曖昧なまま流れていくのか、それが見えてくるまでには、
長い時間が必要かもしれません。


[80] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/30 (土) 18:58 ID:GJAcknbc No.190817


続きです。




私が観ていることは分かり切っているのですが、二人だけの世界に没頭していることは、
体位の取り方からでも分かります。
正常位から騎乗位に移る時には、いずみを抱き起して上に乗せなければなりません。
意識もままならないいずみは彼に支えられても、直ぐに倒れそうになります。
タクマさんは体を起こして座位の体勢から突き上げるのですが、いずみを支えるには限界が
来ます。
ふらふらしたいずみの体を、背中に廻した両腕で支えながら、仰向けに寝た彼の上に倒れ込ませ
ます。
私が手を伸ばしても届く距離ではないのですが、正常位では観れなかったいずみの顔がこちらを
見ているのです。
といっても、目を開けている訳ではないのですから、私を意識しているとは到底思えないのです。

いずみの背中に廻した両腕で、体の動きを止めようとしているのですが、反り返って絶叫ですから、
そう長くは続けられません。
いずみを抱き起して挿入したまま後ろに倒します。背中に廻していた両腕を腰に持ち替えて
抱き起こし、また座位に戻り、凄まじい速さで突き上げるのです。
直ぐに反り返って逝くのですが、体を震わせ喘いでいるのですから、意識がないとは思えない
のです。それでも、グタッとしたままなのですから、何とも不思議な情景です。
無意識の意識と話していたいずみの真意はここにあったのかと、不確かであっても、そう理解しな
いと、説明がつかないと思えるのです。

ここまではペニスを膣に挿入したまま体位を変えていたのですが、いずみを後ろにゆっくり倒し、
結合を一旦解きます。
伸ばしていた足から膝を付く体勢に移行したタクマさんは、抱き起しながらクルッと体を廻して
腹這いにします。
いずみは相変わらず全く動こうとはしません。
この部分を切り取れば、眠っていると言っても間違っているとは思えないのですが、失神状態が
続いているとも思えないのです。
体を動かされても全く反応しないのですが、一旦、ペニスを挿入されれば、直ぐに喘ぎ声を
発するのです。
どう説明すればいいのか、困惑の空間に疑問符が飛び交うだけで、そこに入れる言葉が見つかり
ません。

腹這いのいずみの腰に右腕を廻して、腰を浮かせ膝を付かせるのですが、自立できないのですから、
ともすると元に戻りそうになります。
タイミングを見計らって、左手に持ったペニスを一気に挿入するのですが、その情景は後ろに位置
する私からは、丸見えです。
筋肉質の臀部の動きにも、いずみは体を動かそうとしません。
今までのいずみなら、快感を求めて腰を動かしていた筈です。それに反応しないのは、できない
のではなく、エクスタシーが堰を切って溢れるまでは、快感を閉じ込めている様に思えるのです。
体を震わせ嬌声を発しながら、噴出させるその時へと昇華させていく、感極まった時に絶叫と
共に、体が反り返ると推測できるのです。

膝を付かせて後背位で逝き狂ういずみを支えるには、やはり限界があるのでしょう。
ペニスを抜き、腰に廻して倒れ込むのを支えていた両腕を放すと、いずみはベッドに崩れ落ちます。
今までと違って少し手荒な扱いですが、タクマさんの体力に限界が近付いているのかもしれません。
それでもいずみには、何の変化も現れません。
うつ伏せのいずみの右足を持ち上げて、体を横向きにします。
いずみの股の間に両脚を入れてペニスを挿入すると、直ぐに喘ぎ出すのですから、いずみに取って
は最高のペニスなのだと思わずにはいられません。
ゆっくりとそれも深く挿入し、体を前に倒して、右手でいずみの首を起こし引き付けます。
いずみの体がくの字に曲げられます。

くの字に曲げられたいずみの顔に近づき何かつぶやいたと思ったのですが、その状態からそう見え
たのかもしれません。
微かにいずみの声にならない声が聞こえたと思ったのも、それを後押しします。
いずみの頭の傍で役目を待っているピローを手に取り、本来の使い方ではなく、いずみの顔に
被せます。
ピローを右手で押えたまま、助走なく一気にピストンを開始します。
今までとは比べることもできない程の速さですから、いずみをくの字に固定した理由は理解でき
ます。体の震えも反り返りも許さない、快感を体に閉じ込めて解放させない、圧縮された快感を
一気に昇華させ、放出させる時、彼も我慢の限界を乗り越えて射精する、そういう図式だと
理解します。
愛し合うことの意味を、体で表現することに他ならないと言っているようです。


[81] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/31 (日) 12:40 ID:rhgaMG7s No.190839



凝視していたのではなく、性行為の流れに目をやっていると、色々と想いが湧き上がってきます。
それが先程の感想なのですが、ふと時間が気になります。
10時30分に声を掛けて欲しいといずみから頼まれているのです。
その5分前にと気を廻した私が申し出たのですから、依頼よりも比重が大きい筈です。
約束は可能な限り守るのが信条と言っている私ですから、夢遊病者のようないずみであっても、
それを信じて性行為に没入しているでしょうから、その重みを感じます。
所要時間内に性行為を終わらせる、そうでなくても約束の時間厳守は私のセオリーですから、
幾度となく腕時計にも目線を落します。

約束の時間に差し掛かった時、松葉崩しを崩したと表現しても二人には響かないかもしれない
体位で、エクタシーへの階段を上っている最中です。
ここで声賭けは信義則に反するかな?と変な拘りが頭をもたげるのですが、約束は約束です。

ピローを被せられたいずみの嬌声は、ほとんど聞こえません。
動くに動けませんから、”うぐぐっ”と、こもった低い響きが聞こえるだけです。
それだけ強く押さえられているようですが、息ができない程でもないようです。
背中が汗で光っているタクマさんに、タイムアップを知らせなければなりません。

「タクマさん?」

二度呼びかけても返事はありません。
立ち上がって、ラウンドテーブルの前に出た時、私の動きを察したのか、時間を気にしていた
のかは、定かではないのですが、兎に角、振り返ったのです。

「時間・・・」

言い掛けた私に、汗だくの笑顔を見せて頷きます。
そのような状況でも、爽やかさを失っていないのですから、疲れを知らないとはこのことだと、
感心の余り、次の言葉を繋げられずに、小さく頷いてソファーに戻ります。
その短い時間の間に、変則?松葉崩しから正常位に移り、ピローはそのままに猛スピードで
腰を振っているのです。
所定時間内へのクライマックスに向かって、ひた走るタクマさんを応援したくなります。
何度逝ったか分からないいずみは、タクマさんの発射を今かと待っていると推測もできない
のですが、無意識の意識なら、そう思っていても的外れではないと思えるのです。

”うお〜っ!”と小さくない雄たけびを上げて発射したのでしょう、”ハァハァ・・・”と
苦しそうな息遣いには、先程の爽やかさは見て取れません。
それでも、ピローをはぎ取っていずみに覆い被さり、途切れる様な息遣いでも、キスを交わす
のですから、彼の体力の凄まじさを見せつけられた思いです。
いずみも自由になった体一杯に喜びを表すように、彼の背中に両腕を廻して、強く抱き締めて
いるようです。
”頑張ったね”、”うん”と囁き合っているのでしょう、推測でもこのようであって欲しいと
思わせる様子がとても微笑ましく、こちらも頬が緩んできます。

ほんの少し言葉を交わして、タクマさんはバスルーム側からベッドを降ります。
何を話したのか聞き取ることはできないのですが、その雰囲気からは淫靡な空気は流れてきません。
”とても”と表現しても誰も異論はないだろうと思えるほど、爽やかな空気感に包まれている
のです。
いずみを抱き起すその一瞬、いずみがこちらを見たように感じます。
それもつかの間、ベッドインの時と同じように、お姫様抱っこでバスルームに消えていきます。
バスルームのドアは閉じられていますから、シャワー音は聞こえても、会話となると何も聞こえ
ません。
私の存在など全く意識しない自然な振る舞いは、二人の息がピッタリ合っていないと不可能で
しょう。
穏やかに広がってくる爽やかな空気の中で、私は空気のような存在だなと、可笑しくなって
きます。


[82] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/31 (日) 15:49 ID:rhgaMG7s No.190842



立ち上がり、振り返って窓の外の夜景を眺めます。
このホテルは何度も利用しているのですが、今夜の夜景には特別な意味があるように思える
のです。
まさか二人の性行為を観る羽目になるとは、青天の霹靂どころではないと思っても、正に事実
なのですから、以前から決められていたのかと不思議な気持になります。

腕時計に目をやると、40分を回ろうとしています。
50分に部屋を出るとしたら、直ぐにでも着替えないといけない時間です。
それも計算しての事だろうと思っていると、ドアの開く音と共に、急ぎ足で二人が戻って来ます。
振り返った私の目には、体にバスタオルを巻き付けたいずみ、同じように腰に巻いたタクマさんが、
満面の笑顔で手を繋いでいるのです。

タクマさんが、

「時間がないので・・・少し待って下さい」

いずみは、小さくウインクして、

「ごめんなさい・・・できれば窓の外を・・・」
「あっ?そうだね。気が付かなくて済まないね」

それには返答もありません。
時間厳守は崩すことはできないとタクマさんに言明しているいずみですし、私がいるのですから、
迂闊にその時間を変える事などできない筈です。

少しの時間がとても長く感じられます。
二人は話すこともなく、着替えに集中しているのでしょう。
特に緊迫感は感じないのですが、何となくそうだろうと意識が働きます。

「完了です・・・戸田さん、どうでしたか?」
「タクちゃん、感想を求めるなんて、失礼でしょ?・・・戸田さん、ごめんなさい」
「あっ?いやいや、お役に立てたかな?はははっ」
「えぇ、ほんとにありがとうございました・・・いずみちゃん、これでいいよね?」
「もう!ダメでしょ?まだまだこれからなの、私に免じて許して下さいね」
「はははっ、頼もしいね。金(かね)のわらじどころじゃないね?」
「歳の差?一つどころじゃないってことね?」
「気を悪くしたかな?」
「うふふっ、おかしな人だわ、戸田さんって」
「いずみちゃん、時間が・・・」
「ホントだ!・・・どうしますか?」
「部屋に戻ってもいいんだが、一度外の空気に触れたいかな?」
「分かりますわ、うふっ・・・じゃ、ロビー迄ご一緒します」


下りエレベーター内での様子は、部屋に向かう時とは違って、腰に手を廻すほどの密着感は
ありません。手を繋いで見つめ合いながら、時折、私にも柔らかな視線を送ってきます。
エレベーターの狭い空間に幸せの光が広がってくるようです。
いずみが妻でなければ、こちらまでその光のお裾分けに浸れるのですから、演技とも思えない
自然な振る舞いには、不思議な気持になってきます。
私の軽い気持ちがキッカケですが、自然体の様子を見せるのは、いずみは使命だと思っている
のかもしれませんし、今後の事も含めて私へのアピールなのかもしれません。

一言も話さず笑顔を絶やさない二人の時間も、エレベーターがロビー階に着いた時に、終わりを
告げます。


[83] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/03/31 (日) 17:02 ID:rhgaMG7s No.190846



二人に続いてエレベーターホールに出ます。

「じゃ、僕はここで・・・」
「今夜はお付き合い頂き、ありがとうございました」
「ご丁寧に・・・まぁ、こんなことはそう再々あるものじゃない、いい経験をさせてもらい
ましたよ」
「そう言って頂ければ・・・タクちゃん、お礼を言いなさいよ」
「えっ?・・・いずみちゃんが代弁してくれたので、いいかなって」
「ダメでしょ?・・・すみません。非常識極まるでしょ?それでも・・・これはいいかな?」
「見え見えですね?はははっ」
「うふふっ・・・時間がないので、私達はここで・・・」

繋いでいた手を放して、私の目を見詰めてそっと左手に触れます。
何かの合図かと思ったのですが、そうではなかったようです。


二人を背に、玄関ホールに歩き出した時、

「戸田さん・・・」

タクマさんが駆け寄って来ます。

「ん?・・・まだ何か?」
「話したいことが、時間を取れませんか?」
「いずみさんは?」
「僕だけです。彼女には内緒で・・・」

私の真意とは違った返答です。

「あっ?はははっ、いずみさんはどこに?」
「・・・えっ?あっ?そうですよね。チェックアウトでフロントへ、それを確認して直ぐに。
都合のいい日があれば、できるだけ早くが良いのですが」
「今夜の事で?」
「少しはあるかもしれませんが、関係ないと思って下さい」
「何か不都合なことがあるとか、僕に関係する事なら会うのもやぶさかではないが」
「問題とか、そういうことではないですから、安心して下さい」
「そう言われてもね。まぁ、先程の様子なら怖いお兄さんが出てくることもなさそうだから、
ここはタクマさんを信じることにしますか?」
「出るのならとっくに出てるでしょ?」
「はははっ、分かったよ・・・それじゃ、夜でいいね?再来週の月曜日の夜、ここのロビーで。
時間は午後6時30分に、どうかな?」
「了解です。東京にはよく来られるのですか?」
「まぁ、その時だね?食事しながら話そうか?」
「えぇ、ではその時に・・・捜してるかもしれないな?」
「大事な彼女だろ?」
「ずっとそうだといいんですが。じゃ、その時に」

少し曖昧な返答ですが、気にしないことにします。
いずみとどのような話をしているかは推測もできませんが、少なくとも私の妻ですし、そこは、
それなりの立ち位置を明確にしている筈ですから、”気にしない”と言い切れるのです。


[84] Re: 絆のあとさき 4  小田 :2024/04/06 (土) 11:46 ID:9RWvaVJA No.191012



玄関を出て、イタリアンレストランの前を通って、なだらかな坂道を上がっていきます。
いずみが”立ちんぼ”をしていた洋品店の前に差し掛かった時、ふと気になって振り返ります。
目線の先は、午後11時前のこの時間でも、私の居る洋品店の前とは比べることもできない程、
明かりに包まれています。

手を繋いだ男女が歩道に姿を見せます。
身長差、服装などからタクマさんといずみなのは間違いないでしょう。
回りは見えないのか、見ないのか、傍を通る人には全く関心を払うこともなく、抱き合ってキス
を交わしている様に見えます。
繋いだ手をそっと放して、車道を渡るいずみの姿が徐々に影となり、見えなくなります。
その間、一度も振り返らないいずみなのですが、タクマさんは見えなくなるまででしょうか、
見送ってからJRの駅方面へと歩き出します。

私は、上の新館のホテルへの正面玄関ではなく、坂の途中に設けられている、地下一階に通じる
入口の前で折り返し、同じ歩道を下りて行きます。
残暑の季節ですが、夜はかなり凌ぎやすく汗ばむこともありません。

淫靡とは言えない性行為だったとしても、性行為に何ら変わりはありませんから、体に溜まった
その時の空気感を入れ替えるために、少し歩くことにしたのです。
歩き出した時に、いずみのパフォーマンスに気付きます。
別れ際に、私の目を見詰めて左手に触れたいずみの真意は、外の空気に触れたいと話した私への
返答だろうと推測したのです。
11時30分を回れば、タクマさんから着信があるかもしれないと聞いていたのですから、坂を下って
ホテルに着くまでには、いずみの意味するところが分かる筈です、
案の定、イタリアンレストランの前を通過して、ホテルの玄関まで帰って来た時に着信です。


『お散歩はどう?』
『余裕だね。思ったより凌ぎやすいかな?』
『うん・・・観るに堪えなかった?』
『だから言っただろ?凌ぎやすかったと、はははっ』
『良かった!あのね、アトでお部屋に行ってもいい?』
『石黒さんとの時間だからね。約束を守るのが、僕の信条なんだが』
『愛人さんとの時間を少し借りるの。サワちゃんには了解をもらっているから、あなたが良ければ
・・・』
『強制かい?』
『できれば・・・いい?』
『タクマさんから掛かってくるんじゃなかったのか?』
『だからそれまでにあなたの傍に・・・早く行きたいの』
『ん?戻らなかったのか?』
『車道を渡って見えなくなるところまで。そこからタクマさんの姿を確認したの。だから大丈夫よ』
『はははっ、直ぐ傍に居るんだろ?』
『バレた?うふっ』

振り返ると、ホテルの玄関に通じる歩道で、いずみが微笑んでいます。

駆け寄って来るのかと思いきや、レジ袋を持った左手を掲げて、私を呼びます。
5mも離れていませんから、容易いことなのですが、何か企んでいる様です。

近付くと抱き付いてきます。

「あっ?・・・ごめんね?」
「カーディガン?」
「うん・・・タクマさんと・・・でも、脱げないもの・・・あっ?あなたが脱げって言ったら、
”さにあらず”よ、うふっ」

”郷に入れば郷に従え”を地で行っているいずみです。



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・ご夫婦、カップルの方に限り、交際BBSと組み合わせてご利用いただく場合は、全く問題ありませんのでドンドンご利用ください。
・なお、交際専用BBSにスレッドを作成できるのはご夫婦、カップルの方のみですのでご注意ください。
・お手数ですが、交際専用BBSと画像掲示板とを組み合わせてご利用いただく場合は、必ずその旨を明記してください。
 【例】「交際BBS(東・西)で募集している〇〇です」、または「募集板(東・西)の No.****** で募集している〇〇です」など。
・上記のような一文を入れていただきますと、管理人が間違ってスレッドを削除してしまうことが無くなります。
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