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スレッドオーナー: アサミ◆XgxT4I 
:2012/01/03 (火) 15:55  ID:SO7NJkMc No.8074 
アサミ(仮名)と申します。どこにでもいる平凡な主婦です。
 少なくとも、大多数の人の目にはそう映っているはずです。
 小さな頃から目立つのが嫌いで、ずっと静かに生きていきたいと思っていました。そんなわたしが、このような場所に出入りして、みなさんに話を聞いてもらおうというのですから、人間って本当にわからないですね。
 自分のことを特別だとは思ったことはありません。容姿は十人並みだし、学校の成績もせいぜい中の上というところでした。
 しかし、昔から周囲から過大評価を受けるところがあり、いつもそれに苦しめられてきました。
 例えば中学にあがったとき、誰かがわたしのことを「アサミちゃんは頭がいい」と言い出し、無理やりクラス委員にさせられました。わたしより勉強ができる子はいっぱいいたのに。
 結局、最初のテストで、そのことがばれてしまい、「なんだ、たいしたことないじゃん」と心ない言葉を投げつけられ、泣いて帰ったこともありました。
 それは家庭でも同じで、二つ年下の妹がいるのですが、いつも彼女の比較の対象として扱われました。母は躾が厳しいほうで、わたしは絶えず、その顔色をうかがっていた記憶があります。
 「お姉ちゃんはいつも良い子なのにあんたときたら」
 繰り返すようですが、わたしはそんなに出来のいいほうではありませんでした。ただ、大人からすれば扱いやすかったのでしょうね。おとなしく、そんなふうにまわりの目をすごく気にする子供でしたから。
 叱られている妹のわたしをにらむ顔が忘れられません。その眼が「本当のおまえの正体をわたしは知っているんだぞ」と言っているようで、とても怖かったことをおぼえています。
 その後、妹とは和解し、良い相談相手になってくれています。根は素直でやさしい娘だったのですけれど、自立心が旺盛で、よく親や学校と衝突していましたが、今ではよほどわたしよりしっかりしています。皮肉なもので、親もあれだけ手がかかった妹が私より可愛いようで、頼りにもしているようです。そのことももわたしを深く傷つけました。
 そんなふうに望みもしない期待を勝手に押しつけられて、結果が伴わず、萎縮する。そんな状況に慣れっこになることはありませんでした。
 
 そんな窮屈な学生時代がようやく終わり、いよいよ社会人としての一歩を踏み出すときがきました。
 職場へは実家から通っていましたが、大人としての自立を認めてくれたのか、あれだけ、うるさく干渉していた母がなにも言わなくなりました。
 つかの間の開放感を味わっていたわたしでしたが、すぐに厳しい現実が立ちはだかります。
 学校時代、そこそこ勉強ができて、真面目だったわたしですが、そんなものは一切通用しない。そんな職場だったのです。
 問題にぶつかってはおろおろとし、落ち込んで、とぼとぼと家路につく日々がつづきました。
 でも、あのころが一番充実し、自らを偽らずに生きていたのではないでしょうか。
 それから少しずつ仕事にも慣れ、生活に余裕もできはじめたあの頃、学生時代のあのもやもやが頭をもたげてきました。
 それは周囲の期待や評判におしつぶされそうになったときに出現する自らの破壊衝動というか、自傷行為です。
 自傷行為といったって、直接からだを傷つけたりするわけではありません。自分は本当はたいしたことはない、こんなにくだらない人間なんだと認識して、自らを納得させる作業です。
 例えば、それは万引きだったり、喫煙だったり飲酒だったり。
 そうすることでかろうじて心の均衡を保ってきました。
 さて、どうしようか。
 昔は禁忌だったものが、今ではそうでなくなっている。まず酒と煙草が消えました。
 残るは万引きでしたが、欲しいものがない。もともと物欲は多いほうではなく、何を盗ろうかと迷っているうちに時間がすぎていました。
 閉店時間になり、外に追い出されたわたしが下を向いて歩いていると、前から一組の男女と出くわしました。中年男性と若い、どうみても高校生くらいの女の子。最初は親子かなと思ったのですが、ふたりのあいだに流れる空気がぎこちないというか、すぐにそうではないことに気づきました。
 じっとみているわたしを避けるように彼らは立ち去りました。そのときの態度の違いが印象的です。男性の方は気まずそうに、女の子はわたしを無視する形でした。
 やっぱり、あれって援交かな。確かめる手立てはありませんが、おそらく間違いないと思います。街の中で娘の肩を抱く父親なんていないと思いますから。
 そういえば、からだを売るということだけはしたことがなかったな。そう思いましたが、実行しようとは思っていませんでした。
 当時のわたしは失恋したばかりで、女性としての自信も失っていたのです。決して、道徳観とか倫理観からという理由ではありません。
 そんな鬱屈した日々の中で、わたしはある一冊の本と出会います。それは実際にあった事件を扱ったもので、一流企業に勤めるOLが殺害されたものでした。事件そのものも陰惨ですが、驚くべきはその背景で、被害者の女性は売春しており、しかも犯人はその客ということでした。
 そんな優秀な女性が何故?論調は概ねそんな感じですが、わたしには最初から感じるものがありました。
 このひと、わたしに似ている。よく考えれば境遇も経歴もちがうのですが、そのときのわたしはそう信じこんでいました。
 気がつくと、彼女と同じように夜の街に立っていました。
 
 
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 元○○の懺悔録2 
アサミ◆XgxT4I 
:2012/01/08 (日) 21:30  ID:9AiZGFwY No.8083 
おじゃまします。アサミです。感想どうもありがとうございます。聞いてくれる人がいると思うと勇気が出ます。
 
 
 
 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
 
 
 街に出てみたものの、最初はどうしていいか、わかりませんでした。
 なにがっていうと、どこにいけばいいのか。どうしたら、売春という行為が成立するのか、わからない。テレビドラマだとそういうグループがいて、暗い路地裏に立っているイメージがあるのですが、それがどの場所なのかが、さっぱりなのです。
 さすがに人に聞くこともできず、とりあえず、近場の繁華街に出向き、そこから一歩はずれた路地にたたずんでみました。でも、上手く行かない。
 人待ち顔でいると、寄って来るのはナンパ目的の男たち。彼らを警戒して、奥に引っ込みすぎるとナンパどころか、人っ子ひとり通らない。
 近くにそういうスポットがあるんじゃないかと、うろうろしていると、なんと古い友人に会う始末。昔話に花が咲き、なかば強引に飲みにつれていかれたなんて笑い話も。
 こうしてわたしの計画は頓挫します。十年前であれば、これから先の話はなかったはずです。
 しかし、幸か不幸か物語はつづくのでした。
 
 それはある夏の日。
 特にその日は日中からじめじめとした天気で、夕方になっても温度がさがらず、肌に貼りついた服が不快でした。
 はやく家に帰ってシャワーを浴びたいところでしたが、仕事がはかどらず、ひとり居残りで残業をしていたのですが、遅くなればなるほど効率が悪くなる一方で、途方に暮れていたことを思い出します。
 気分転換にお茶でも飲もうと、席を立ったときにふとあるものが目につきました。それは同僚の机の上に置いてあったノートパソコンで、暑さに不満をもらすように低いうなり声を上げていました。
 不審に思って、マウスに触れてみると、画面が明るくなります。なんと電源がオフにされていません。
 しょうがないなあ、と思い、パソコンを閉じようとして、わたしは手をとめていました。同僚が昼間ひたすらインターネットをみていたことを思い出しました。一体なにをみていたのだろうと気になってはいたのです。
 幸い、ロックはかかっておらず、パスワードも必要ないようでした。わたしは無人のはずの部屋を見渡してから、履歴を盗み見ていました。
 ディスプレイに現れたのは仰々しい文字の羅列で最初はなにかの宗教かと思ったのですが、説明を読み進んでいくと、それはどうやら出会い系のサイトのようでした。おびただしい掲示板が立てられていて、なかのひとつをのぞくと、出会いを望む人たちのプロf−ル等が書きこまれていました。
 勤務時間中にこんなものを見るなんて。わたしは同僚に腹を立てて、画面を消そうとして、ある書き込みに目を奪われました。
 それは女性からのメッセージでウリを持ちかける内容だったのです。
 これなら、客引きをしていて顔見知りに会うことはない。こういう方法があったのか。
 わたしはこれ以上、このパソコンで深入りするのは避けることにしました。携帯版のアドレスを素早く書き取ると、そそくさと後片付けをはじめました。もちろん、わたしが盗み見た痕跡は消去して。
 家に帰り、部屋に閉じこもると、さっそく先ほどのサイトへ。プロフィールを作り、さっそく登録します。
 翌日、仕事から帰ると食事もそこそこに部屋に直行。自分の掲示板を覗くと、出るわ出るわ。二十数件の書き込みがありました。
 わたしは少し誇らしい気分になりましたが、相手は自分のことをよく知らないひとたちばかり。よく、こんなことができるな、と少し怖くなりました。
 書き込みのうち、あきらかにからかい目的のものをのぞき、条件の合う相手を探します。しかし、判断材料は相手からのメッセージのみ。言葉使いやセンスからしか判定できない難しさがありました。
 結局、一番飾りのない文言を使った男性にしぼります。返事を送ると、すぐにそれに対して返信が。
 何度か連絡を取り合い、会うことになりました。
 当時は朝からそわそわして、おちつかず、仕事も失敗しました。この期におよんで怖気づいてしまったのです。
 お見合いするひとたちもこんな気分なのだろうか。なんて、場違いなことを考えながら、待ち合わせ場所に行くと逃げたくなりました。
 帰ろう。なかったことにしよう。何回もそう思いましたが、なぜか脚は動きません。
 「アサミさん?」
 後ろから、声をかけられたときもすぐに振り返ることはできませんでした。
 
 
[7] 
Re: 元○○の懺悔録 
救女隊員 
:2012/01/09 (月) 01:09  ID:UmeFCny2 No.8084 
娼婦という自傷行為は女性の一面にしか選択肢がありえないもの。どんな条件をつけて客を誘ったのですか。街娼は派手なメークと洋装に彩られているもの。化粧や下着など格好も変えて行きましたか。
 
 
[8] 
Re: 元○○の懺悔録 
CR 
:2012/01/09 (月) 10:47  ID:z3nep4ec No.8085 
そうですよね。そうそう簡単に客が拾えれば、「組織」なんていらないですから・・・
 
 今はネットの時代、その方法は安易ですが、落とし穴もあるでしょ?
 少なくとも、10年以内の出来事ですから、「どこにでもいる平凡な主婦」になられて
 数年ってとこでしょうか?
 
 余談ですが、
 「東電OL殺人事件」の被害者は、売春することが目的なので、売春代金には拘らなかった
 ようです。
 なんでも、買ってくれるのなら「5000円」でも良かったと・・・
 「売春」そのものが必要な行為ですから、タダではなかったようです。
 
 さて、続きが気になります。
 
 
[9] 
Re: 元○○の懺悔録 
 
:2012/01/09 (月) 16:39  ID:4b2lP8lA No.8086 
アサミさん
 
 お店ではなく,個人でということ大変興味を持って,楽しみに読ませていただいています。
 
 良い出会いはできたのでしょうか。
 
 
[10] 
元○○の懺悔録3 
アサミ◆XgxT4I 
:2012/01/12 (木) 22:41  ID:HMYfNWAU No.8098 
ケバい(死語)。それが自分を姿見で見た正直な感想です。娼婦になりきろうと濃い目のメークを施した結果がそうでした。中学になる女の子がはじめて化粧したような。いい年をしたオバサンが無理やり若づくりしたような、とにかく無様な格好。
 これまで性格上の問題とお堅い職場のせいで常に薄化粧、ほとんどすっぴんで通していました。それなのに、目の前のわたしはまるで別人。
 これでいいのだ、とわたしは自分に言い聞かせました。鏡に写る自分はわたしであって、わたしでないもの。
 最初の出会いが最悪のかたちで終わったたため、わたしは慎重になっていました。相手を選ぶ、そして、自分自身も変わらなくてはならない。そう思うようになりました。
 次はうまくやってみせる。その想いが、わたしに勇気を与えてくれました。今ではメイクを変え、下着も今まで手をつけなかったセクシーなものを身につけるようになっていました。
 まわりの過度な要求から逃げ出すために、わざと自分を卑下しようとはじめたはずでした。それが、いつのまにか娼婦を演じることに快感をおぼえるようになっています。それは自分でも驚くほどの変わりようです。
 思い出したくないことですが、最初の失敗について話さなければなりません。
 はじめての客?のことは実はあまりよくおぼえていません。容姿はほとんど記憶になく、ただよくしゃべる人でした。
 しかも、身ぶり手ぶりが大きく、その忙しない動きにずっと目を奪われていたような気がします。
 軽い挨拶を済ますと、すぐにホテルに行くのかと思いきや、近くの喫茶店へ。そんなものかと思いながら、ついていくことになりました。
 席に座ると男性は自己紹介をはじめます。すみません。内容はおぼえていません。
 男性は時折わたしに話を振りながら、世間話をつづけます。えらく、まどろっこしいなあ、と思いながら待つこと三十分ほど。
 さすがにイライラしたわたしは自分から話を切り出すことにしました。さすがに知らない土地(知り合いに会うリスクを避けるため、わざと)とはいえ、他人にこの男と会っているところをこれ以上見られたくありません。
 男性はきょとんとした顔でわたしを見返してきました。
 おかしい。会話が噛み合わない。わたしはしばらく経ってから、自分の失敗に気づきました。
 わたしが利用している出会い系は建前上、売春は禁止されています。そのため、NGワードを使えばすぐに削除されるため、それをかいくぐるため、隠語=合言葉のようなもので相手と意思の疎通を図るのです。
 わたしの使いかたがまちがっていたのか、彼が勘違いしたのか。要するにそのことが伝わっていないようでした。彼はわたしを買おうというのではなく、あきらかに口説いてきているのです。
 男性はおそらく、わたしとやりたいのでしょう。わたしも目的はいっしょです。ただ、こちらには体を売るという大義名分が必要なのです。
 わたしの説明に相手の男性は鼻白んだようすでした。
 「で、いくらなの?」
 わたしに支払う対価についての問いでしたが、迂闊にもそれについて答えることができませんでした。
 「あ、あの、わたしが決めちゃっていいのでしょうか?」
 「え、それって、どういう意味ですか?」
 「そちらで決めていただくにはいかないでしょうか?」
 「そんな、、、いきなり金払えとか、もう、わけわかんないよ」
 男性はすでに逃げ腰でした。
 もう、ただでいいよ。最初から、しくじりたくないわたしは思わず、そう口にしそうになりましたが、なんとか、その言葉を飲み込みました。
 結局、その男には逃げられ、なにごともなく家に帰りました。
 わたしはひどく落ち込みました。今回は誰にも期待されていないはずでした。だから、誰も裏切ってはいないはず。
 違いました。わたしはわたし自身にきっと期待していたのでしょう。
 「あんた、こういうの、むいてないよ。ちゃんと、まじめに働いたほうがいいよ」
 別れ際に投げつけられた言葉にも傷つけられました。何事も失格の烙印を押されるのはつらいものです。
 あの頃が懐かしい。あの当時のわたしはなんて可愛らしかったのでしょう。
 今では値段交渉などお手のもの。金額に決まりはありません。相手次第です。
 支払いは必ず前払いで。
 「○万円」
 相手の顔色が曇ると、すかさずフォローをいれます。
 「ほんとうはそれが相場なんだけど、あなたタイプだから半分でいいわ」
 はじめて本当に客をとったときには不覚にも泣いてしまいました。
 悲しくて、悲しくて。ヴァージンを失くしたときでさえ出なかった涙がとまりませんでした。
 「なんだ。そんなにおれのあれがよかったのかい」
 相手の無神経な勘違いにさらにこみ上げてきました。
 もちろんそれは感動の涙ではなく、わたしのなかでなにかが変わった瞬間でした。
 気がつくと、いつのまにか、わたしは声をあげていました。しかし、それは泣き声ではなく笑い声に変わっていたのです。
 
 
[11] 
Re: 元○○の懺悔録 
TX 
:2012/01/12 (木) 23:02  ID:16t4yEMg No.8100 
あれ?今も続けてるの?
 
 「どこにでもいる平凡な主婦」のアサミさんが、実は売春婦なんですね。
 
 風俗ではなく、自力でその地位?を切り開いてきた方法、そして、性病と避妊についても・・・
 非常に気になります。
 
 続きをお願いしますね。
 
 
[12] 
Re: 元○○の懺悔録 
CR 
:2012/01/15 (日) 02:35  ID:/4D5pLgI No.8102 
今も続けているのですね。
 結婚されているのですから、自己破壊・自傷行為は終わったものと思っていました。
 もしかして、結婚生活でもその期待(ご主人とかご両親とかの)の重圧から出現する行為として、
 売春を続けることで安堵感を得ているのでしょうか?
 
 形は違いますが、自分を納得させるために、「私はこれまで十分努力した」と言い聞かせる
 行為と似ているように思います。
 
 平凡な私なら、そうして誤魔化すことができるのですが、アサミさんの深層心理には、
 私のような軽薄な「納得の仕方」では許されない、過去からの事象が重く積み重なって
 いるのですね。
 
 「自己破壊・自傷行為を売春に置き換えないといけない」と言い聞かせながら続けている
 のですか?
 耐えられない重圧の一時の避難先が「売春」なら、何だか悲しくなってきます。
 
 ただ、「売春」を続けることで、本来の目的を逸脱して、性的快感を求めるようになっている
 のなら、私の気持も少しは緩和されるのですが・・・
 
 初めての「売春」の時のことは、きっと一生忘れられないと思います。
 念願が叶ったのに、悲しいのか、嬉しいのか、非常に複雑な心境だったのだろうと推測
 します。
 そして、「笑った」その声は、自傷行為をやり遂げた自嘲的な笑い声だったのでは・・・
 
 時系列に沿って、その過程を投稿されると思いますが、現在の心情とか人間関係も交えて
 聞かせて頂けたらと思います。
 
 質問させて下さい。
 ここに投稿するのも自傷行為なのですか?
 
 独白とも受け取れる文体には、何故か「悲しみ」が潜んでいるように思えてなりません。
 
 
[13] 
元○○の懺悔録4 
アサミ◆XgxT4I 
:2012/01/31 (火) 22:06  ID:VKbBfRAw No.8128 
「今」というのが、どの時間を指すのか。抜け殻のようになり、まるで生きている実感のない余生のような、この時間なのか。それとも、辛く慌しい時ながらも、濃密だったあのころの「今」なのか。
 わたしは自分でもわからなくなっているのかもしれません。
 穏やかでいて、やすらぎのあるありふれた主婦としての一日。今の生活を手放す勇気はわたしにはありません。
 しかしながら、胸の奥底からムクムクと湧き上がるただれなようなもの。本当に自分は過去と決別できたのだろうか。
 思えば、わたしは娼婦としても中途半端でした。
 お金のためでもなく、また男性を喜ばせるべく、自分を磨くようなこともしませんでした。客のいいなりにただ横になっていただけです。
 所詮、自己満足だけのパートタイマー。そのことを思い知らされるのにそう時間はかかりませんでした。
 
 その男性客は一見して、普通のサラリーマンではない雰囲気を漂わせていました。
 白髪交じりのオールバックに無精髭。かなり年上のようでしたが、くたびれたようすはなく、そのへんを歩いている同世代の若者よりもずっとギラギラしていました。
 ふだんのわたしなら、絶対に選ばないタイプ。でも、その日気分がムシャクシャしていたわたしは少し冒険するつもりで、よく吟味もせずにその男性と落ち合ったのでした。
 ホテルに入って男性が要求してきたのはふたつ。そのひとつは絶対に飲めないものでした。
 「ナマでさせてくれ」
 当時のわたしは性病に対する知識などなく、ほとんど無頓着でした。それでもゴムをつけることは義務づけていました。わたしもこんなことで妊娠して、人生を棒に振る気はなかったので。
 そんなわたしの考えを予想していたのか、彼はこうつけ加えました。
 「心配しなくていい。決して、出すことはないから」
 射精しないという言葉を鵜呑みにすることはできません。尚も不審がるわたしに対して、彼の説明はこうです。
 自分には明日大事な仕事がある。余計な体力を消耗することはできない。
 そして、ここではじめてチャーミングな笑みを閃かせてみせました。
 「ボクは自分が気持ちよくなるより、女性を気持ちよくしてあげるほうが好きなんだ」
 わたしは渋々受け入れていました。男の笑顔の裏にある迫力に負けてしまったのです。
 もうひとつの条件はわたしのほうからは一切なにもするなということ。わたしの性戯の乏しさを見抜いたような口ぶりでした。
 男性とベッドインして数分後、わたしは自分の軽率な決断をはやくも後悔していました。
 遊び慣れているのでしょう。女のからだを知り尽くしたような巧みな愛撫にわたしは何度か正気をうしないかけました。悶えるわたしの泣き所を探り当てると、今度はそこを集中的に責めてきます。
 これまでセックスを気持ちいいと思ったことはありません。恋人との行為でも、これほど深いエクスタシーを経験したことのなかったわたしは戸惑いつつ、しかし甘い快感に身を委ねつづけました。
 彼にとって、こんなわたしなど小娘同然のはずで、あまりにも無防備なからだを彼にさんざん弄ばれます。そして、情けないことにボディタッチのみで何度か達してしまいました。彼のほうは射精どころか、まだわたしの中に挿入さえしていない状態です。
 わたしは何度か浅い眠りにおちそうになっていることに気づきました。うっすらとですが、いびきのようなものもかいていたかもしれません。
 なにも考えられなくなっていました。
 
 翌日。
 わたしはもつれそうになる脚を引きずりながら、なんとか職場へたどり着きました。
 校門に立つ同僚の責めるような目が痛い。
 「遅いですよ。アサミ先生、生徒たちはもう来ています」
 わたしは平身低頭しましたが、視線を戻したときにはその同僚は他の場所へ移っていました。
 背後からは特有の甲高い声が迫ってきます。
 おはよう。おはようございます。何度か、そのやりとりを繰り返し、わたしは誰にも聞こえないようにため息をつきます。
 彼らを出迎えながら、何回も立ち位置を調整します。股間にはまだ男の感触が残っていました。洗い流したつもりですが、おなかのあたりを男の残したものが泳ぎまわっているような気さえしていました。
 こんな汚れたからだで、今日一日教壇に立たなければならない。そう思うと、こめかみのあたりがちりちりと痛みはじめました。
 
 
[14] 
Re: 元○○の懺悔録 
CR 
:2012/02/07 (火) 22:19  ID:2D6LzHS6 No.8133 
久し振りに覗きにきました。体調がイマイチですが、どうもアサミさのことが気になって・・・
 
 教師だったのですね。
 OLかと思っていました。
 
 自傷行為は、教師という立場からも十分な価値?がありますね。
 「懺悔」とは教師だったからでしょうか?
 教職という神聖な場所を、汚れた身体で、心で、無垢な生徒に向かい合ったことへの
 「懺悔」なんでしょうか?
 
 アサミさんの意図するところが読みきれません。
 
 「今」のアサミさんは、過去の「今」を望みながら「今」の時間に耐え切れなくなっているのか、その平凡な主婦から過去の「今」に飛び込めないのか、その理由は何なのか、次々に疑問が浮か
 び上がってきます。
 
 そして、「今」も過去の「今」を切望しながら、娼婦を続けているのでしょうか?
 
 アサミさんの深層心理に隠されている事実とは?
 大げさな言い回しですが、その見えない部分こそ、私の知りたいところです。
 
 時間の取れる時でいいですから、アサミさんの心の闇?を綴って下さいね。
 
 
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Re: 元○○の懺悔録 
 
:2012/02/09 (木) 02:52  ID:AC6DE0AE No.8135 
この世は美しい。人生は見方次第でどうにでも変えられる。
 自分の生き方次第でどのようにでも。
 多くの友人や、少ない友人でも良き人が身直に居ればそれは素敵な事です。
 そうでなくとも、そういう状況は全て自分で作れるもの。
 この日本なら、大抵の人なら簡単に。
 
 ある日、お米のおいしさに感動するでしょう。
 差し込む朝の日差しに、照らされた町の風景に涙するでしょう。
 
 いきている。それだけで素晴しい事です。
 
 闇の中を生きている感覚。泳ぐ様に、ただよう様に。その快楽もまた愛おしく、
 崇高な精神の魂のふれあいもまた素晴しくあります。
 
 それらは相反すれど、どちらも人間的なもの。闇の中に愛と光有り、また光の中に闇と憎悪有り。
 
 心の平安、安らぎ。貴女の力で貴女だけの心の安らぎの場を見つけて下さい。
 助けてくれる友人や誰かはきっと居ます。多分。きっと。
 
 アサミさん。貴女はとても素敵な人ですよ。
 
 貴女に良き夢と素敵な明日を。
 
 
 
 
 
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