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三家族の旅行から

[1] スレッドオーナー: RT :2026/09/01 (火) 00:25 ID:SuJR5qPw No.33154
10年以上の前のことですが、こちらのサイトに投稿していました。
そのときは、体験談として投稿していたのですが、上手く書くことができず、
中途半端で終わってしまいました。

今回、そのときの話をベースに、アレンジを加えてチャレンジしようと思います。


[25] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/19 (土) 23:17 ID:dDDH1EJk No.33267

結美の話は、彼女が高校1年のときからのことだった。
高校1年のとき、初めて付き合った3年の先輩に、心の準備も覚悟もできていないまま、
処女を奪われてしまった。
結局、その先輩とは、半年もしないうちに別れた。
そのときから、結美には、少しずつ男性に対する不信感が募っていった。

大学に入学して、結美は生理的に受け付けない人でない限り、
言い寄ってくる男達と付き合った。
でも、相手のことを本気で好きにはなれず、いつも長続きはしなかった。

その後、結美が海外留学したとき、日本人と違って性に開放的な外国人に衝撃を受けた。

「留学前は、いろいろな人と付き合ったけど、彼氏以外の人とセックスしたことはなかったし、
 それが当たり前だと思っていたの。だけど、留学先では全く違ったわ。
 彼氏がいる人は別だけど、そうでなければ、誘ってきた男性が自分の好みだったら、
 付き合う前でもセックスするし、その日限りと分かっていても、普通にセックスするのよ。
 日本でもそういう人はいると思うけど、向こうでは、それが当たり前なの。」

それから結美は、特定の彼氏は作らず、たくさんの外国人男性とセックスした。
数カ月続くこともあったが、その日限りのときもあった。

帰国してからも、いろいろな男性とセックスし、中には交際に発展することもあったが、
やはり長続きすることはなく、自分は本気で男性を好きになることはないと思った。
ただ、結婚して子どもを産みたかったので、自分が好きになれる男性ではなく、
その他の条件で結婚相手を探そうと思った。
そんなとき、今の夫である桐谷を紹介され、付き合い始めた。

「実は、主人と私、できちゃった結婚なのよ。
 それまでは、必ず避妊していたんだけど、 主人と付き合うようになったとき、
 この人と結婚して子どもを産もうって決心したの。
 すでに20代後半だったし、また別の男性を探すとなると、
 30歳前に結婚するのはとても無理だと思ったから…。
 だから、主人と付き合い始めてからは、避妊しなかった。
 それで、付き合い始めてから3カ月ぐらいで妊娠がわかって、そのまま結婚したわ。」

そう言って、結美は少し引き攣った表情で笑った。

「ごめんね、こんな話ししちゃって。
 こんなこと主人に言えるわけないし、奈緒さんや紗希ちゃんにも話せることでもないし…
 でも私の気持ちを誰かに聞いて貰いたいって、ずっと思っていたの。
 亮ちゃんなら、きっと黙って聞いてくれると思って…
 亮ちゃんに話して、少しすっきりしたわ。
 でも、亮ちゃんは、こんな話を聞いて、私のこと軽蔑した?」

「軽蔑なんて…。幸せそうに見える人も、人にはわからない辛い思いをしているんだなって、
 そう思ったけど。でも大丈夫だよ。これまで辛い思いをしてきたんだから、
 これからはきっと幸せなことがいっぱいあるに決まっている。」

「そうだといいんだけど。でも、亮ちゃん、そう言ってくれてありがとう。
 やっぱり話してみて良かった。」

「でも、ごめん。僕も男だから、旦那さんが少し気の毒に思えてしまった。」

「確かにそう思えちゃうよね。それは私も否定しないわ。でも、実際にはそうでもないのよ。
 詳しいことは言えないけど、主人も私を愛しているから結婚したというわけではないから、
 それはお互いさまなの。それに主人は、浮気していたし…」

「えっ、そうなの。」

「うん、私が知っているのは一度だけだから、それ以外にあるのか無いのか知らないけど。」

「ご主人を問い詰めたりしたの?」

「お互いそんな気持ちで結婚してわけだから、浮気について問い詰めるつもりはないわ。
 ただ、主人の子どもはもう産みたくないから、危険日には絶対させないし、
 危険日以外の日でも、コンドームを着けないと絶対させないことにしているの。」

「・・・・」

「主人との子どもは一人で十分だし、それでとりあえず役目は果たしたし…
 奈緒さんや紗希ちゃんには、主人が子どもの面倒をみないから、
 子どもを作らないようにそうしているって、そう言ってあるけど…」

結美はそう言って再び笑った。
結美の顔は、今度は引き攣った表情では無かった。
塚原は、そんな気持ちで婚姻関係を続ける意味があるのだろうかと思った。

それから、暫く二人の間に沈黙が流れた。
塚原は黙ってビールを飲んでいた。

「ねぇ、亮ちゃん。」

結美はそう言って塚原に近づき、彼にキスをした。
塚原は、一瞬びっくりしたが、すぐに片方の手で結美の頭の後ろを抱え、
もう片方の手を彼女の後ろに回して抱き寄せた。
塚原には、そうするのが一番自然に思えた。
そして、二人は、塚原が結美に覆いかぶさるように床に倒れ込んだ。


[26] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/20 (日) 23:15 ID:Fd/pmtew No.33272

紗希は、北川の強引さに抵抗できずにいた。
何故抵抗できないのか、紗希は自分でもわからなかった。
紗希は、結婚した後はもちろん結婚する前も、
夫からこんなふうに強引に迫られたことは一度もなかった。
もちろん、夫以外の男性からもだ。

しかし、北川から強引にキスされ強く胸を揉まれても、
さほど強い嫌悪感を覚えることはなかった。
それどころか、自分の股間に北川の股間が押しつけられると、少し興奮し、
北川にジーンズのボタンを外されたときも、抵抗できずにいた。

心の底では、夫にもそのように強引に迫ってほしいと思っていたのだろうか。
それとも相手が北川だからだろうか・・・

北川に迫られ、ジーンズのファスナーを降ろされたときに、
紗希の頭の中でそんなことを考えていた。
だが、北川が自分のパンティの中に手を入れた瞬間、
紗希は、さすがにこのままではいけないと思った。

ただ、紗希がそう思っても、北川の指はパンティの中を奥へ奥へと少しずつ進んでいく。

「だめ、これ以上はやめて!」

北川の指が自分の恥毛に触れると、紗希は、叫ぶようにそう言って、
いきなり彼を突き放そうとした。

北川は、紗希の突然の抵抗に一瞬怯んだが、彼女の抵抗を無視してこのまま続けようとも思った。
あと数センチ進めば、あそこに届くし、届いてしまえば、紗希も観念するかもしれない。
だが、この後のことを考えると、北川には、そうする勇気が出なかった。

やはり、少し急ぎすぎたか・・・

北川は、そう思い、再び紗希に説得を始めた。

「俺、紗希ちゃんのことが本当に好きなんだ…。一度だけでいいから頼むよ。」

「そんなことを言われても…、これ以上のことをしたら、夫に顔向けできない…
 それに、夫が奈緒さんや結美さんと何かあったと決まったわけじゃないし…」

紗希の決意は固そうだった。
考えてみれば、紗希は普通の人妻だ。
ドラマのように簡単にいくはずもない。

今から口説き落したとしても、それまでに時間がかかるし、
それでは戻る時刻に間に合いそうもなかった。
北川は、紗希の態度を見て、計画を変更せざるを得なかった。
何とか次の機会には、スムーズに口説けるように、手を打っておこうと思った。

「旦那さんのことが気になるんだったら、
 もし、紗希ちゃんが俺に抱かれることを旦那さんが了解すれば、
 俺の望みを受け入れてくれるかい?」

「えっ?」

紗希は、北川の突拍子もない提案にびっくりした。
そもそも妻が他の男性に抱かれるのを承諾する夫などいるのだろうか。
それに、夫は、自分が他の男性を知らないことを知っているし、
そんな自分を大切にしてくれている。
そのような夫が他人に抱かれることを承諾する筈がないと思った。

「そんなことあるわけないでしょ。」

「だから、もし了解してくれたらの話しだよ。
 それに、旦那さんが奈緒か結美さんとは何もないと決まったわけじゃないし…」

北川にそのように説得されて、紗希は結局、夫が奈緒か結美と関係を持ち、
更に自分が北川に抱かれることを夫が承諾したら、
そのときには、北川の言うことを考えてみると返事をした。

そのように返事をしないと、もう収まりがつかないように感じていたし、
実際に夫が奈緒か結美と何かあったのかどうか、とても気になっていたからだ。
自分が北川に抱かれることを夫が承諾するとは、到底思えないが、
紗希には、夫が奈緒と結美のどちらかと何かあったら、自分だって、という気持ちもあった。

その後、二人は、再び湖畔沿いの道をドライブした後、旅館へと向かった。
二人の間に会話はほとんど無かった。
紗希は、夫と結美のことをあれこれ考えていた。
一方、北川は、これからどうするか作戦を考えていた。


[27] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/22 (火) 00:13 ID:p0yE1hK. No.33289

塚原は、舌を絡め合うようにして結美とキスを続け、暫くすると、片方の手で彼女の胸を掴んだ。
結美はブラジャーをしていなかった。
いつも寝るときには外しているのか、今が特別なのか塚原には分らなかったが、
躊躇することなく、結美の胸を優しく揉んでいた。

細身にしては、意外に大きいんだな・・・。

塚原はそう思いながら、今度は結美のTシャツの中に手を入れ、
彼女の胸を直に触り、乳首を優しく愛撫した。
塚原は、暫く愛撫を続けた後、自分の結美の唇から離し、彼女のTシャツをゆっくり捲り上げた。
塚原の目の前に、結美の乳房が露わになった。

結美の乳房は、紗希のように大きくはないが、
乳首や乳輪は、子どもを産んだとは思えないほどとても綺麗だった。
塚原は、結美の乳首にキスし、それをしゃぶりながら舌で弄った。
結美から艶っぽい喘ぎ声が漏れ始めていた。
塚原は、自分の片手を結美の胸からウエストへ、さらにその下へ移動させていった。
そして、塚原が結美のスボンに手を伸ばすと、彼女は突然その手を掴んだ。

「亮ちゃん、ダメ。これ以上は…。ごめん、今日は…、許して…。」

塚原は、結美のその言葉で我に返り、彼女から離れた。
結美は上体を起こして、捲れたTシャツを直した。

「ごめん。」

「あやまらないで。お互いさまなんだから…」

結美はそう言って笑った後、再び二人の間に沈黙が流れた。

「そろそろ皆が帰ってくる時間だから、亮ちゃんは、もう自分の部屋に戻って。
 私は、これを片付けたら、子ども達の部屋で寝るから…
 それと、今夜のことは、絶対に紗希ちゃんに喋っちゃだめよ。
 紗希ちゃんに隠し事はしたくないって思うかもしれないけど、彼女はとても傷つきやすいし、
 それだけでなく、私と紗希ちゃんの関係もおかしくなっちゃうから…」

「わかった。墓場まで持っていくよ。」

「ふふ、大袈裟ね。」

結美は笑いながら、そう言った。
罰ゲームのクジを引いた女性が、その晩は子ども達と一緒に寝ることになっていた。
結美は、ビールの空き缶やつまみの袋をゆっくりと片づけ始めた。

「おやすみなさい。」

「おやすみなさい。」

塚原は、結美と挨拶を交わし、自分の部屋に戻って行った。

*************************************************************************************

桐谷は奈緒を乗せて車を走らせていた。
旅館に直接向かえば10分程で到着するが、アリバイ作りのために周辺をドライブしてから、
旅館に戻る予定だ。
奈緒は助手席に座り、黙ったまま車の外を眺めていた。

桐谷にとっては、久しぶりに充実したセックスだった。
胸が小さいことを除けば、奈緒は申し分のない女だ。
今でもあどけなさが残る可愛い顔立ち、細くて華奢な身体、
顔立ちからは想像ができないあのときの表情、
そして、少し生意気だが、男の要望を全て受け入れる従順な性格。

結美は、バックも騎乗位も拒否するし、あのときの反応も薄いが、
奈緒は、自分のしたいことを全て受け入れ、また、積極的に反応していた。
結美と結婚してから、セックスするときは、結美に必ずゴムを着けさせられたが、
奈緒は自分からピルを飲んでいることを告げ、生で受け入れた。

学生時代は、奈緒の従順さを少し重く感じたが、今は奈緒の従順さが心地よかった。
あのまま奈緒と付き合い続けていたら、どうなったんだろうと思う。
もちろん結美と離婚するつもりは全くないが、
奈緒のような従順な女を身近に置いておくのも悪くない。

それにしても、何故奈緒が北川のような男と結婚したのか不思議でならない。
今日のことで、できれば、北川と離婚させて自分の愛人にしたい気持ちも沸いたが、
流石にそこまでの覚悟は自分にはない。
それに、逆に奈緒から離婚を迫られるようなことがあっても困る。
奈緒とはあくまで遊びで、割り切った関係であれば、この先も続けたい。

桐谷は、そんな身勝手なことを考えながら、この先の奈緒との関係を思案していたが、
やはり今日だけで終わるのは、あまりに惜しい気がした。


[28] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/22 (火) 22:08 ID:p0yE1hK. No.33294

「旅行から帰ったら、また二人でデートしないか?」

桐谷が助手席の奈緒に尋ねた。

「そうね…。二度と私を捨てないって約束してくれたら…、考えてもいいわ。」

「二度とって…、自分には奈緒を捨てた覚えはないけど…」

「嘘ばっかり…」

「もしそう思わせてしまったのなら、済まない。でも、そんなつもりはなかったんだ。
 留学は親父の命令だったから、自分は断れなかったし、
 長期の留学だったから、奈緒に待っていて欲しいとも言えなかった。」

「あのときも、そんな尤もらしいことを言っていたわね。
 わかったわ。そういうことにしておいてあげる。
 そのことはいいとして、それでどうなの、捨てないって約束してくれる?
 約束してくれるなら…、わたし、貴方の女になってもいいわ。
 あっ、でも勘違いしないでね。貴方も私も結婚して子どももいるわけだから、
 お互いの家庭を壊すつもりはないわ。それで、どうなの?」

桐谷は、奈緒の言葉に圧倒されながらも、
『家庭を壊すつもりはない』という言葉を聞いて安心した。
もとより、結美と別れて奈緒と一緒になるつもりなど、桐谷には毛頭ない。

「わかった。約束するよ。奈緒を捨てるようなことはしない。」

「約束よ。じゃあ、今から私は貴方の女になるわ。
 二人で逢ったときは、貴方は私を自由にしていいから…」

「随分、大胆なことを言うんだね。」

「そうね…、悔しいけど…、私はまだ貴方のことが一番好きだから。
 多分、これからもずっと…。私の心を満たしてくれるのは、貴方しかいないわ。」

桐谷は、奈緒の言葉を黙って聞いていた。

車が旅館に到着しから、桐谷と奈緒はそれぞれの部屋の前で別れた。
桐谷が部屋に入ると、そこに結美の姿はなかった。
まだデートから帰っていないのかと思ったが、一応、子ども達が寝ている部屋を覗いた。

結美は罰ゲームだったのか・・・

自分の部屋に戻った桐谷は、朝まで結美と会わずに済むと思って少しほっとした。
結美は、聡明で勘のいい女だ。
数十分前まで奈緒と関係していた後では、どんなに冷静さを装っても、
結美に勘づかれてしまうかもしれない。
だが、明日の朝まで結美に会わなければ、そんな心配もないだろう。

今日は、思いがけず、奈緒を手に入れることができた。
明日は、紗希を手に入れられれば・・・

桐谷は、そう思いながら一人笑みを浮べた。


奈緒が部屋に戻ったとき、夫の北川はまだ帰っていなかった。
デートの相手は誰なのかとは思ったが、それ程関心はなかった。

自分が予感した通り、デートの相手の桐谷と関係を結んだ。
そればかりか、これからは桐谷の女になると約束までしてしまった。
だが、奈緒は何の後悔もなかった。
夫には申しわけない気持ちはあるが、自分の気持ちに嘘はつけない。

桐谷は、自分のことをただの遊びで、都合のよい女と思っているだろう。
自分も娘たちのために、北川と離婚する気はない。
この先、桐谷と二人だけの時間を過ごせるなら、それでいい。
桐谷と二人で過ごすときだけ、自分は女になれる。

結美には申しわけない気持ちはあるが、それほど後ろめたさは感じない。
知り合ってから3年半、これまでの結美の話を聞いていると、
彼女は桐谷のことを愛しているとは思えない。

もちろん、謙遜や照れ隠しで、夫のことを下げて話す女性もいるだろう。
しかし、結美の話は、そういう女性とは明らかに違うと感じる。
それは、自分も結美と同じだからだ。
もしそうなら、自分が桐谷の女になっても、結美は許してくれるだろう。
私は桐谷を愛しているのだから…

奈緒は、そんなことを考えながら、床に就いた。


[29] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/24 (木) 00:22 ID:QdMo9hHE No.33303

旅館に戻って来た紗希が、自分の部屋に入ると、夫の塚原はすでに布団の中で横になっていた。
息子は、他の子ども達と一緒に寝ているので、明日の朝まで夫と二人きりだ。

「ただいま。」

「おかえり。」

二人はそう言葉を交わしたが、その後の言葉が互いに続かなかった。
紗希は、夫の相手が誰だったのか、デートをしたのかどうか聞きたかったが、
それはルール違反だし、逆に自分のことを聞かれるかもしれないと思うと、言い出せなかった。

それは塚原も同じだった。
妻にデートはどうだったか聞きたかったが、先程まで自分と結美がしていたことを考えると、
聞くに聞けずにいた。

紗希は、北川とのキスを思い出していた。
激しくて力強いキス、キスだけで自分の全てを奪われてしまいそうな、そんなキスだった。
北川は、決して自分の好みのタイプの男性ではない。
いや、容姿だけみれば、嫌いなタイプと言っていいだろう。
それなのに、彼のキスを拒否するどころか、積極的に受け止めていた自分がいた。
それに彼の股間の感触が、まだ自分の股間に残っていた。

どうしてあんなことを拒否もせず許してしまったんだろう。
まるで、そうされることを望んでいたかのように・・・。

紗希は、そんな自分がすごく厭らしく思えてしまい、少し心が沈んだ。

「どうしたの?」

塚原が少し浮かない表情の紗希に尋ねた。

「ううん。少し疲れたみたい。」

紗希のその返事に、塚原は、疲れるようなことをしてきたのか、と思ったが、
もちろん口には出せなかった。

「早く寝たほうがいいかもね。明日もあるし…。」

「うん、そうする。」

紗希は、そう言って、洗面道具を持って部屋から出ていった。

いつもの紗希だったら、きっとデートのことを、いろいろと話してくると思うんだが、
やはり何かあったのか・・・

紗希は本来嘘や隠し事が苦手な性格だし、それが彼女の良いところの一つでもある。
塚原は、何とかデートのことを知る術はないかと考えた。

抱いたら何かわかるかも知れない。
それに抱いた後なら、聞ける雰囲気になるかもしれないし・・・

塚原はそう思い、紗希が戻ってくるのを待っていた。
紗希は、部屋に戻ってくると直ぐに床に就いた。

「おやすみなさい。」

「おやすみ。」

塚原が紗希の方を向くと、彼女が自分に背を向けて横になっているが見えたので、
後ろから彼女に抱きつき、胸を掴んだ。

「えっ、何?」

「いいだろ?」

「えっ、やだ、今日は疲れてるって言ったでしょ。それに、隣に声とか聞こえたらどうするの?」

「いつも声なんか出さないくせに…」

「と、とにかく、今日はだめ。お願いだから…」

結局、紗希にそう言われて、塚原はすごすごと自分の寝床に退散した。
紗希の気持ちを無視してすることはできなかった。

やはり何かあったのかな・・・

紗希の態度に、塚原はそう感じていた。


[30] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/24 (木) 22:08 ID:QdMo9hHE No.33308

紗希は、夫が急に迫ってきたので、すごくドキドキしていた。
これまで、夫の求めには、生理のとき以外に断ったことが無かった。
今日も、夫の求めに応じたい気持ちもあった。
だが、先程まで北川とあんなことをしていた自分の身体が、今は少し汚れているように感じた。
そんな汚れた身体で、夫に抱かれるわけにはいかなかった。

断ってしまって、怪しまれただろうか・・・

紗希は、そんな不安と共に、夫に対して軽い罪悪感を抱いた。
だがその一方で、もし夫が奈緒か結美と関係を持ったとしたら、
こんなに元気ではいられないだろうと思い、少し安堵した気分だった。


翌朝、塚原は、目を覚まして一階に降りて行くと、ロビーの椅子に、桐谷と北川が腰掛けていた。
そこに塚原も加わり、三人で今日のレクレーションの予定や準備の確認をした。
今日は、湖まで車で移動し、昼食にバーベキューを食べ、午後は釣り遊びなどで楽しむ予定だ。

レクレーションの打合せが終わると、三人は、午後に行う釣りの話しを始めた。
昨夜のデートについては、桐谷も北川も話題にする様子を見せなかった。
いったいどちらが紗希とデートしたのか、そして、紗希と何があったのか、
塚原はそれが気になり、昨夜の結美とのことで、桐谷に対して少し後ろめたさがあったが、
思い切ってデートのことを聞いてみようと思った。

「昨日の交換デートはどうでしたか?」

「まあ、こんなもんかなぁって感じでしたけど…」

桐谷はそう答えた。

「俺も、こんなもんかなぁって思った。時間もそんなになかったしね。」

北川も続けてそう答えた。

この答えでは、塚原にはどちらが紗希とデートしたのかわからない。

「塚原さんはどうでした?」

逆に、桐谷から質問を返された。
塚原は、昨晩のことを思い出し、一瞬ドキッとした。

「僕は、罰ゲームだったので、デートは15分だけでしたよ。」

塚原がこう答えたことによって、桐谷には、デートの組み合わせが全てわかった。
妻の結美は、子ども達と一緒に寝ていた、すなわち罰ゲームだったからだ。
自分は奈緒とデートだったので、紗希と北川がデートしたことになる。

紗希とデートしたのは北川だったのか・・・

桐谷にとって一番望まないケースだが、北川に紗希を口説けるはずもないかと思った。

「まぁ、相手が妻じゃなかったので、不幸中の幸いと言ったところですが…」

塚原が続けてそう言うと、桐谷と北川は少し驚いた表情を見せた。

「僕は、紗希ちゃんが相手だったら、罰ゲームでも良かったと思っていましたけどね。」

「えっ、そうなんですか?」

桐谷の言葉に塚原は思わず聞き返した。

「僕の知り合いに、子どもが拓也くんと同じ保育園に通っている人がいるんですけど、
 その人から聞いた話だと、紗希ちゃんは、他の子の父親から結構人気があるようですよ。
 知りませんでした?」

「全く知りませんでした。」

「特に、アラフォー世代の父親の間では、一番人気とか言っていましたよ。
 保育園の行事のときに、厭らしい目で紗希ちゃんを見ている父親もいるし、
 実際に口説きたいと思っている父親もいるそうです。」

塚原も息子の幼稚園の行事にはできるだけ参加していたが、
桐谷が言ったようなことには全く気づいていなかった。

「塚原さんはまだ若いから、アラフォーの父親達と話す機会があまりないのかもしれないけど、
 その人達の中には、紗希ちゃんのファンがたくさんいるそうです。」

「そうなんですか。妻がそんなにモテるなんて、夫としては喜ばしいことなんですかね。」

自分の妻が人気があると聞いて、塚原も満更悪い気分ではなかった。


[31] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/25 (金) 23:23 ID:fkgKp2cI No.33312

塚原と桐谷がそんな会話をしていたら、北川が突然話しを切り出してきた。

「塚原さん、物は相談なんだけど…、今日、紗希ちゃんを口説いてもいいかい?」

「えっ?いきなりなんですか、口説くって…?」

「言葉通りの意味だよ。もちろん紗希ちゃんがノーと言ったら、それでお終いだし、
 まあ、ゲームみたいなものかな。」

「ゲームですか…。それだったら別に構いませんけど…、
 でも、口説いた後、どうするんですか?」

「それは紗希ちゃん次第だよ。話をするだけかも知れないし、
 昨日みたいにデートをするかもしれないし…。もちろん紗希ちゃんが嫌がることはしないさ。
 それともやっぱり心配かい?」

「いや、別にそれはいいんですけど…」

「じゃあ、了解したってことでいいね。今日一日は、そういうことでよろしく。」

そう言って、北川は二階に上っていった。

桐谷は、今の北川の話から、昨日のデートで紗希を口説くことに失敗したなと確信した。

紗希を口説こうと思って考えた交換デートで、自分の女房が寝取られたことも知らずに、
まだ紗希を口説こうとするなんて、まさに滑稽だな・・・

桐谷はそんなことを思いながら、北川を見送った。

「塚原さん、あんな約束しちゃって、大丈夫ですか?」

「えっ、いや、そんな大したことでは…」

「そうですか?私には、北川さん、本気のように見えましたが…」

「そうですか?」

「気にならないなら別にいいんですが…。でも、北川さんがいいなら、僕もいいですよね。」

「えっ?」

「僕も紗希ちゃんを口説きたいと思っているので…」

「桐谷さんも?」

「そうです。だから、僕も今日一日よろしく。」

呑気で間抜けな男だ。これなら寝取られても何も気づかないだろう・・・

桐谷はそう思いながら、二階に上がっていった。

今日の午前中は、三夫婦のうち男女一人ずつがバーベキューの材料の買い出しに行き、
残りの4人は、旅館で子ども達とカラオケ大会を行う予定だった。
材料を買い出しに行く係は、やはりくじ引きで決めた。
買い出し係は、紗希と桐谷になった。

「紗希ちゃん、買い出しで桐谷さんと二人だけになったから、
 今頃口説かれているかもしれないよ。」

カラオケ大会の最中に、塚原は北川からそう言われて少し気になったが、
午前中から口説いても何もすることもできないだろうと思い、聞き流していた。

カラオケ大会では、先ず、子ども達と親達一人一人が順番に好きな曲を歌い、
その次に親子で歌った。
その後、北川と奈緒が夫婦でデュエットを披露した。

「桐谷さんと紗希ちゃんが買い出しでいないから、塚原さんと結美さんで何か歌ってみれば。」

夫とデュエットで歌い終えた奈緒が、塚原と結美にそう言ってマイクを渡した。
塚原と結美は、何を歌うかあれこれ相談し、曲が決まって二人で歌いだした。
北川は、塚原と結美がデュエットで歌う様子を見ながら、
先程、塚原が罰ゲームだったと言ったことを思い出した。

待てよ、俺の相手が紗希で、奈緒は自分達の部屋で寝たから罰ゲームじゃない。
すると、桐谷と奈緒がデートで、塚原と結美が罰ゲームということか。
なるほど、塚原と結美か・・・

仲良く歌う塚原と結美の二人の姿を見ながら、昨日、紗希が動揺していたことを思い出し、
北川は、これは使えるかもしれない、と思った。


[32] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/27 (日) 01:51 ID:Ah4namVQ No.33319

買い出しに行った紗希と桐谷は、車の中で、初めはいつもと同じような会話をしていたが、
昨夜の交換デートのことに話しが移った。

「結美の相手は、紗希ちゃんのご主人だったみたいだね。」

「えっ?そ、それは、結美さんに聞いたんですか?」

「いや、結美は子ども達と寝ていたから、結美が罰ゲームだったことは知っていたんだ。
 それで、今朝、ご主人と話したとき、昨日は罰ゲームだったと言っていたからわかったんだよ。」

紗希は、夫と結美が一緒だったことに動揺したが、罰ゲームだったことを聞くと、ホッとした。
子ども達と一緒ならば、何かある筈もないと、紗希は思った。

「でも、今朝結美と会ったら、少し様子がおかしかったんだよね。
 結美とご主人、何かあったんじゃないかな。」

「子ども達と一緒だったら、何も起こるわけないと思うんですけど…。」

「それが、翔に昨日の夜ことを聞いてみたんだけど、皆直ぐに寝ちゃったらしい。」

「えっ。」

「翔は最後まで起きていたみたいだけど、皆寝ちゃったから、
 その後自分も直ぐに寝たと言っていた。」

「そうですか。」

「もしそうなら、子ども達が寝た後、時間はたっぷりあるわけだし、
 場所も子ども達が寝ている部屋の隣とか、自分達の部屋とかもあるから、
 二人に何かあっても不思議じゃないと思う。」

紗希はその話しを聞いて真っ青になった。
夫と一番一緒にいて欲しくないと思っていた結美が、旅館の一室で、
夫と長い時間二人きりになった可能性がある。
そのことだけでも動揺してしまうのに、
桐谷は、今朝の結美の様子から夫と何かあったに違いないと確信している。

「桐谷さんは、夫と結美さんのこと、気にならないんですか。」

「気にならないことはないけど、二人とも大人の男女だし、
 お互いの家庭を壊すほどのめり込まなければ、別にいいんじゃないかな。」

紗希は一瞬耳を疑った。
妻の浮気を容認する夫がいるとは信じられなかった。

「それに、紗希ちゃんは気づいているかどうか知らないけど、
 結美は前からご主人に気があったみたいだから、
 いつかこうなるかも知れないと思っていたしね。」

やっぱりそうだったのか・・・

結美は夫のことが好きなのではということは、紗希も気にはなっていたが、
桐谷からその事を伝えられると、やはりショックだった。

「だから紗希ちゃんも、ご主人と結美のことはあまり気にせず、
 自分は自分で楽しんだ方がいいよ。僕は紗希ちゃんが好きだから、
 僕で良ければ、いつでもお相手する用意はあるし…。」

「結美さんと比べたら私なんか…」

「そんなことないよ。紗希ちゃんには、結美にはない可愛らしさがあるし、
 結美にはない女性らしさもある。プロポーションだって、
 結美とは比べものならないほど素敵だよ。だから、もし、結美とご主人が…」

「でも、今までの話は、全て桐谷さんの憶測なんでしょう?」

「憶測と言ってしまえばそうだけど、可能性はかなり高いと思うんだけどな。
 何なら二人に聞いてみたらどう?」

紗希は何も答えられなかった。

「それで、二人がそういう関係だったら、僕と紗希ちゃんは同じ立場だから、
 もしそうなら、紗希ちゃんは僕の相手になってくれるかい?」

紗希は、桐谷の言葉を黙って聞いていた。

もし、夫が結美さんと関係を持っていたら、私だって・・・

紗希には、そういう気持ちが芽生えていた。


[33] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/27 (日) 23:34 ID:Ah4namVQ No.33324

三家族でバーベキューを食べた後、午後は皆で湖のほとりで釣り遊びをして楽しんでいた。
紗希は、買い出しのときに桐谷の話を聞いてから、夫と結美のことが気になっていた。
バーベキューの間も、釣り遊びの間も、二人の様子をそっと窺っていた。
しかし、二人は話をするどころか、互いに近づくこともなかった。
だが、それが却って、紗希には怪しく感じられた。

北川は、この後どのようにして紗希を口説こうか考えていた。
昨夜、紗希は、夫が奈緒か結美と関係を持ち、抱かれることを承諾したら考えると言っていた。
すでに、塚原からは了解をもらった。
もちろん抱いてもよいという了解ではないが、北川にとっては同じことだった。
後は、塚原が結美と関係を持ったと、紗希に思わせればよいだけだ。

だが、北川は、塚原と結美について、紗希が信じるに足りる材料を何も持ち合わせていなかった。

どうしたものか。何かでっちあげて押すしかないか・・・

北川は、暫く思案していたが、何か良い策が閃いたのか、
少し笑みを浮かべながら、煙草をふかしていた。

桐谷もまた、紗希をどのようして口説こうか悩んでいた。
買い出しで紗希と二人きりになったとき、とりあえず彼女に布石は打っておいた。
後は、どのようにして紗希をその気にさせるかだ。

結美と塚原のことを持ち出すと紗希が激しく動揺することは、桐谷にもわかった。
昨日、結美と塚原が何かあったという話も、結美が塚原に気があるという話も、
半ば冗談のつもりで言ってみたが、すっかり真に受けてしまったようだ。

やはり、その点を突いて、紗希の心を揺さぶるのがよさそうだ。
紗希に疑心暗鬼を芽生えさせ、結美と塚原が関係を持ったかのように仄めかせば、
紗希はきっと結美に敵愾心を燃し、その反動で自分と関係を持ってもよいと思うに違いない。

だが、この後、紗希と二人きりになる時間がどれだけ取れるかが問題だ。
この旅行が終わってしまえば、紗希と二人きりになるチャンスはもうない。

桐谷がそんなことを考えていると、北川に声を掛けられた。
そして、二人は、何やらひそひそと相談を始めた。

釣り遊びも終わり、夕方になって、二泊三日の旅行も、あっという間に山場を越えた。
今日の夜は、翌日に車で帰ることを考慮して、皆でレクレーションを行う計画はなく、
家族や夫婦それぞれでゆっくり過ごす予定だった。
そう、後はもう一晩寝たら家に帰る、それだけの筈だった。


塚原は、夕食を終えて風呂に入った後、自分の部屋で寛いでいた。
紗希は、風呂を済ませた後、一旦部屋に戻ったが、直ぐに部屋から出て行った。
息子の拓也は、すでにパジャマに着替えて、布団の中で一人で遊んでいた。

それから暫くすると、塚原の部屋の外から自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
戸を開けてみると、桐谷と北川だった。

「今、紗希ちゃんが一階のロビーに一人で居るんですが、
 これから二人で口説きに行こうと思っているんですけど、
 その前に塚原さんに一応知らせておこうと思いまして…」

桐谷は塚原にそう告げた。

「口説くって…、二人一緒にですか?」

「そう。どうするかは、これから二人で決めることにします。
 それと、紗希ちゃんを屋外に連れ出すつもりですので、
 塚原さんは、今から外に出ないようにしてくださいね。
 塚原さんがいると、紗希ちゃんを口説けなくなってしまいますから。」

「奈緒さんや結美さんは?」

「二人には、北川さんと僕で夜釣りに行くと言ってありますから…
 もし何かあったら話しを合わせておいて下さい。」

そう言って、桐谷と北川は一階に降りて行った。
塚原は、二人で一緒に口説くって、どうするんだろうと思った。

紗希が二人一緒に相手をするわけがないし、どっちかを選ぶというのも考えにくい。
それとも順番に口説くつもりなのか・・・

もしそうなら、紗希が一人目を断って、二人目をOKするなんてことも考えにくい。
断るなら二人ともそうするだろうから、結局二人ともうまくいかないんじゃないか・・・

このとき、塚原は、桐谷と北川が二人で紗希を口説くという話を楽観的に考えていた。


[34] Re: 三家族の旅行から  RT :2026/09/29 (火) 00:13 ID:wMGMZc8U No.33332

紗希は、風呂から上がると、上がTシャツ、下がスウェットという恰好で、
一階のロビーの椅子に座っていた。
夫と結美のことがずっと頭から離れなれず、風呂から部屋に戻ったとき、
このまま夫と一緒にいて冷静でいられる自信がなく、直ぐに部屋を出た。

やはり夫に直接確かめようか、それとも結美さんに聞こうか・・・
でもどうやって聞いたらいいんだろう・・・

紗希は、午前中に桐谷の話を聞いたときから、そんなことばかりを考えていた。

「紗希ちゃん、こんなところで一人でどうしたの?」

その声に紗希が振り向くと、いつのまにか桐谷と北川が自分の横に立っていた。

「お風呂に入ったらとても気持ちがよかったので、ここで少しぼーっとしていたんです。」

「僕達、少し飲もうと思っているんだけど、紗希ちゃんも一緒にどう?」

「結美さんや奈緒さんは?」

「翔も、北川さんの娘さん達も、少し疲れが出たみたいで、
 結美も奈緒さんも、子ども達を寝かしつけてそのまま寝るってさ。」

それでも、紗希は、返事をせずに考えていた。

「塚原さんも誘ったんだけど、丁度拓也くんと寝ようとしているところだったので、
 それじゃ、紗希ちゃんを少し借りてもいいですかって尋ねたら、いいですよって…」

昨日のことで、紗希は少し北川を警戒していたが、桐谷が一緒なら大丈夫だろうと思った。

「そうですか…。わかりました。」

紗希はそう答えると、椅子から立ち上がり、三人で本館の玄関から外に出ていった。
桐谷の案内で、表の庭を通り抜けて駐車場に出て、更にその駐車場の先にある裏庭に向かった。
北川はスウェット姿で歩く紗希を見ながら、これなら脱がすのも簡単だなと笑みを浮べていた。

裏庭には離れ家のような建物があり、その中に三人で入った。
部屋に入ると、すでにエアコンがついており、中は涼しかった

「ここは?」

紗希は桐谷に尋ねた。

「毎年ここに泊まりに来たときに、自由に使わせてもらっている部屋なんだ。
 今年も旅館の主人に使う許可を貰ってあるから…
 いつもは、ここで親戚達と酒を飲んだり、麻雀をしたりして楽しんでいるんだ。」

今夜は、これまでとは全く違うことで、楽しむつもりだけど・・・

桐谷は、笑みを浮べながら心の中でそう呟いた。

「紗希ちゃんが好きなお酒も用意してあるんだ。」

桐谷はそう言って、部屋の冷蔵庫からビールの他にワインや缶酎ハイを取り出した。

「かんぱーい」

桐谷と北川はビールを、紗希は缶酎ハイを飲み始めた。

*************************************************************************************

塚原は、自分の部屋の窓から外をぼんやり眺めていた。
すると、紗希と桐谷と北川が庭を歩いて行くのが見えた。
それを目の当たりにした塚原は、少し不安が募ってきた。

『あんな約束しちゃって、大丈夫ですか…』

『北川さん、本気のように見えましたが…』

『僕も一緒ですから…』

塚原は、今朝、桐谷の言った言葉を思い出していた。
その言葉の意味をよく考えてみると、居ても立っても居られなくなってきた。
だが、拓也がまだ起きているので、この部屋を離れるわけにもいかない。

「拓也、そろそろ寝るぞ。」

桐谷からは、外に出ないようにと言われていたが、
塚原は、拓也を寝かしつけたら、外に様子を見に行くことに決めた。



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