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遍歴

[1] スレッドオーナー: 土屋 :2026/05/23 (土) 22:39 ID:vJIfgbDU No.32760
父が長期の海外出張に出た週末、我が家のリビングはいつものように母の親友たちの喧騒に包まれていた。
母・土屋千春、45歳。大手出版社でバリバリ働いている。若くしてオレを産んだから、中学の頃は友達から人気があった。要は「綺麗なオバサン」。目尻の上がった大きな目、通った鼻筋に厚めの唇。今も美貌と均整の取れたスタイルを維持している。本人も意識しているのか、見た目に手を抜くことがない。耳にかけたミディアムの髪、ゆったりとしたオフホワイトのサマーニット、Vネックにのぞく鎖骨とダイヤ。彼女には常に華やかな女の匂いが漂っていた。
そして、その母の周りには似たような女たちが集まる。IT企業で働く自由奔放で派手な美人の典子さんと、経営者の妻でおっとりとした良妻賢母タイプの薫さん。3人は学生時代からの親友で、事あるごとに我が家に集まってはワインを空けている。
オレ、裕一は20歳の冴えない大学生だ。いつものように自室に籠もっていたが、猛烈に喉が渇き、足音を忍ばせてキッチンへ向かった。
リビングとキッチンを隔てる曇りガラスのドア越しに、女たちの笑い声が響いてくる。冷蔵庫を開けようとしたオレの手は、典子さんの甲高い声にピタリと止まった。

「だからね、あれは冗談抜きで私の人生で一番のバケモノだったのよ!」
だいぶ酔っているのがわかる。オレは息を殺し、ドアの隙間からリビングを覗き込んだ。
「もう、先っぽパンパンで、血管がボコボコ浮いててさ、なんだろ、生き物っていうか凶器?それが奥までズドンって入った瞬間、脳みそがショートしたみたいになっちゃって。」
ワケのわからない話かと思ったが、言葉を咀嚼すると、まさかという気がした。その時、母と薫さんが「ちょっと典子!」「声が大きすぎるってば!」と笑いながら手を叩いている。
「でもさ、ぶっちゃけ大きさって正義じゃない?」と典子さんは身を乗り出した。
「愛だのテクニックだの言うけどさ、絶対的な質量で子宮の入り口をガンガン突かれる快感って、理屈じゃないのよ。メスとしての本能を直接殴られてるみたいでさ」
やはり、オレの勘は当たったと確信する。
と同時に、急に3人の会話に興味を引きつけられた。
「まあ……否定はしないけど」と言ったのは母だ。頬を紅潮させながらワインを煽る。
「確かに、すっごいのが入ってきた時の、あの息が詰まるような圧倒される感じは、忘れられないわよね」
「でしょ!? ねえ、薫はどうなのよ。あんた昔から清純派ぶってるけど、絶対すごいのに当たったことあるでしょ。吐きなさいよ!」
「ええっ、私!?」と矛先を向けられた薫さんは顔を真っ赤にして両手で頬を覆った。普段はおとなしく、二人の息子を育てる母親である薫さんが、身をよじって恥じらっている。
「も、もう……しょうがないなぁ。私は、夫のかな。それだって、そんなに巨大とか、そういうことじゃないんだけど」
「なによ、それ。いい子過ぎて面白くない」と典子さんが冷ややかに言う。
「そんなこと言ったって、経験がないんだから仕方ないでしょ?」
「そうそう、典子、酔い過ぎだよ」。
母が薫さんをフォローした。
「なによ、千春!それなら代わりにアンタが答えなさい。歴代ナンバーワンの男、誰?」
典子さんが容赦なく母に迫る。

母は「えー」と濁そうとしたが、両脇から二人がわかりきったような顔をしている。
母は観念したらしい。
「もぉ、何度も話したでしょ?……澤田!」
その苗字が出た瞬間、典子さんも薫さんも「だよねーー!!」と、声を揃えて爆笑した。
「ごめんごめん、千春のこの話は定番だから、やっぱり言わせちゃった」
助けられたはずの薫さんも笑っている。
「ホント、毎回言わせるの、やめて」。
どうやら3人の間で、母はこの話をさせられるのはいつものことらしい。
すると典子さんが突っ込んだ。
「でも千春、口でした時はどうだったの?それはあんまり聞いてないわよ!」
典子さんの追及に、母はワイングラスの縁を指でなぞりながら、困ったような笑みを浮かべた。
「もう20年以上前だからなぁ。えー、うーん。顎が外れるかと思うぐらい口を開けたのと、がんばって根元までくわえようとしたら喉の奥に当たって、えずいたのは覚えてる」。
「うわー、いやらしい! で、味は? どんな味したのよ?」
典子さんが悪ノリする。
「バカじゃないの!味なんて覚えてないって!」母が吹き出しながら答えた。
「で? で? 入れた時はどうだったのよ!」
典子さんは止まる気配がない。
「もう、前にも話したじゃない!」
母は照れ隠しのように笑いながらも、その顔は完全に昔の記憶をたどっていた。
母が、昔の男との行為を、その男たるモノを思い起こしている。
「……だいたい、典子の言ったのと同じ感じかな。熱くて硬い肉の塊に、中の狭いところを強引にこじ開けられて、内臓を全部押し上げられるみたいな圧迫感で。奥の奥の、一番敏感なところをゴリゴリされて、足の指が勝手に丸まって……。ガクガク、痙攣、しちゃったの……」
母の口から紡がれる、あまりにも生々しい牝としての記憶。
オレは暗闇の中で、自分の股間がちぎれるほど勃起しているのを感じていた。あの、綺麗で、優しくオレを育ててくれた完璧な母が、得体の知れない『澤田』という男の巨大な肉棒に犯され、快感のあまり身体を痙攣させていた。その事実が、オレの脳髄を麻痺させるほどの嫉妬と、狂おしいほどの興奮を呼び起こしていた。

やがてお開きになり、
「もう典子ったら、調子に乗り過ぎよ」と薫さんが嗜めながら帰っていく声が聞こえた。
オレはベッドに横たわっても、まったく眠れなかった。
母の過去。オレの知らない、女としての『千春』。
もっと知りたい。澤田とは何者なのか。母はどんな顔で男に抱かれていたのか。
ふと、典子さんの顔が浮かんだ。
物心ついた頃から『親戚の陽気なおばさん』のごとく接してくれた彼女なら、オレのこの歪んだ欲望を笑い飛ばして、真実を教えてくれるのではないか。母の全てを知るであろう典子さんに、縋ってみようと思った。


[25] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/07/24 (金) 09:42 ID:0GlQdqKs No.33001
藤野との関係は千春さんにとっては黒歴史だと思いますが、そこから脱却して現在の「幸せ」があるのかと想像しています。更新を楽しみにしています。

[26] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/24 (金) 19:35 ID:X/cgG.rs No.33002
一寸法師様 いつもありがとうございます。続けます。


藤野にとって、それは処刑だったんじゃないかしら。

千春ちゃんを押さえつけ紺のフレアスカートをめくり上げると、ベージュのストッキングに覆われた千春ちゃんの下半身が露わになった。藤野はストッキングを脱がせようとするけれど、長い両脚が抵抗する。藤野は苛立って、強引に引っ張る。
ビリっと音がしてストッキングが破けた。それが合図かのように、藤野は更に破いて、彼女の股間の周りを露出させた。
『いやぁ、やだっ。やめて、やめてぇ』。
ストッキングに開いた大きな穴に、レースに飾られたパープルのショーツと、血管の透き通る2本の大腿が現れた。
「水野さん、パンティーもブラとお揃いにして、マジでそのつもりだったんでしょ?もうすぐ叶えてあげるからね」
千春ちゃんは呻きながら、首を横に振った。
構わずに、藤野の手が千春ちゃんのショーツのクロッチを横にズラす。
現れた彼女の体内への入り口。
そこに藤野は自らの執行具をあてがった。
『ダメダメ、お願い、藤野くん、やめて、入れないでっ。こんなの、嫌っ。待って、ダメっ、入れちゃ、やっ、やぁっ』
先端が侵入を始める。
「まだ、締まってるかな。ちょっとがんばろうね」
藤野が強引に腰を押し付けた。
『あ、あ、痛いっ、いぃっぎっ、痛い、痛い。いだっ、いたぁいぃっ』
準備もないまま入れられることがどれほど苦痛か。男にはわからないでしょう。
千春ちゃんの身体の中に、藤野のアレが全て押し込まれた。
「水野さん、ひとつになれたよ。どう?まだ乾いてるけど、そのうち気持ちよくなってくるから」。
千春ちゃんは目をぎゅっと閉じて、藤野の腰の運動に耐えた。動かれる度に激痛が走る。
藤野の息が弾んでくる。
「あぁ、だぁいぶスムーズになってきた。水野さん、感じてきたんでしょ?」
千春ちゃんは答えない。
「いいんだよ、声を出して。今は気を張らなくていいから。俺が水野さんの心も身体も受け止めてあげるよ」
本当に救いようのない獣物。
でもね、この時だった。

千春ちゃん、自分の中に違和感が生まれたって言った。
ふと、凄惨な現状を上から見下ろすような自分が現れて、藤野の痩せた背中と前後する尻、その下で顎を上げて仰け反り、シーツを掴み、脚を広げて揺らされる自分自身を見た。想像を絶する屈辱と惨めさ。それなのに、その惨状に、恍惚とする感覚に気づいた。
次の瞬間。

「あ…はっ、んっ… 」
女の声が漏れてしまった。
当然、藤野が気付く。
「ああ、水野さん、やっと正直になったね。いやらしいなぁ」
『んっ、んっ、んんーっ』
「いいんだよ、もっと声出して。気持ちいいなら、そう言わないと」
『だ、だめ、だめぇっ、んぐっ』
「もう、水野さん、ほら、もっと声出して」
藤野の腰がペースを上げる。
『んあっ、んあぁー、あっ、あぁ、あぁ』
「水野、さんっ、どう?俺の、どう?」
『嫌っ、んがっ、あっ、ヤダ、ん、んんっ』
「ヤダじゃないだろぉ?どうなの?言えっ」。
『んっんっ、んんっ、あっ、あっ、いっいっ』
「言えって」
『いんぎぃっ、イイ、イイ、き、きもち、いいぃ』
千春ちゃんの全てが崩れ去った瞬間だった。
「水野さん、ほら、俺たち相性いいだろ?」
そう言うと、藤野はまた千春ちゃんの胸を掴んで揉みしだき、ピンクの乳首に吸い付いた。
『あぁ、あー、イイ、あぁん、あぁ、イイよぉ』
「水野さん、応えてくれるんだね。最高だ。あぁ、スゴイ。愛してあげるよ」

藤野がより深く、腰を使う。
「んん、締まりがいいね」
千春ちゃんの胸を舐めたり吸ったり弄ぶ。
『はっ、はぁ、あ、あふ。はぁん、あぁ』

藤野の息遣いが荒い。
「ふー、水野、さん、俺もう。このまま、いいよね?俺の、あげるから」。
快感に浸り始めていた千春ちゃんは慌てた。中で出される。
『ダメッ、中は、本当にダメッ、やめて、お願い、藤野くん、中は、ダメェッ』
「え?ダメ?あ、出る。間に合わない。このまま、水野さんっ、出すよ。あっ、くっ、ぎ、い、いぃ」
パンパンに膨れた藤野のモノが脈打つ。注ぎ込まれる最底辺の男の種。
『だぁ、あっ、あぁっ、だぁめぇ。おぁ、おあぁぁ、おぉー』
千春ちゃんはお腹の中で迎えるしかなかった。

行為が終わると、藤野は千春ちゃんに擦り寄った。
「ごめん、水野さん。俺、どうしても我慢できなくて。驚かせちゃったよね。ごめん。でも、うれしいよ。俺のこと受け入れてくれて。最高に気持ちよかった、水野さんの中。俺、いま幸せだよ」。
そう言って、千春ちゃんの首筋から鎖骨、乳房へと唇を這わせた。藤野の左手は千春ちゃんのお腹から下腹部を撫でていた。まるで、自分の種が育まれるのを念じるように。
その間、千春ちゃんはただ天井を見ていた。どこを見るでもなく、見ていた。
藤野が千春ちゃんの唇に唇を重ねた。彼女はもう逃れようとすらしなかった。


[27] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/25 (土) 11:03 ID:874d0Qq6 No.33006
「震えているわね」
秀島に指摘され、上下する膝と制御できないほど揺れる上体に気づく。呼吸がうまくできない。
オレを産む前、母はアソコに、父ではない最低の男の種を注がれていた。
股間が痛いほどになっている。
秀島が、オレのズボンの膨らみを一瞥する。
「まぁ、コーヒー飲んで、少し落ち着きましょ」
穏やかな目を向けられた。

「私ね、君が生まれたから、編集者になれたの」

オレは目線で疑問を示した。

「千春ちゃんが結婚して妊娠してお休みに入って、花形部署で要員の補充があってね。それで、かねてからの私の希望が叶えられた。千春ちゃんがいなくなったから、道が開けた。こんな屈辱ないわ。でも、せっかく掴んだチャンスだったから、精一杯仕事した。それでわかったの、千春ちゃんには敵わないって。君のお母さんはね、仕事にかけては天才なのよ。誰にも媚びず、腕力も振るわず、ただ存在するだけで人を動かせる。中身がないくせにね。水野はこうだった、こうしていたって言われて、随分心をすり減らしたわ。だから、彼女の復帰が決まった時、私は会社をやめた。出版社の最前線を経験できたし、新人の時からの広告とか宣伝のスキルはあったから、掛け合わせた方が強くなれるって思ってね。今、それは正解だったって思ってる。業界と切れたわけではなかったから、お母さんのウワサは伝わってきていたわ。どれも、天才だと思った私の直感を裏付ける話ばかり。独立すればいいのにね」
最後は独り言のようだった。

秀島が一口コーヒーを飲んだ。
「少しは落ち着いた?」
口をついて出たのは、疑問だった。
『その、母は無理やり犯されたってことですよね?警察に行かなかったんですか?』
「確かに、今の感覚ならそうするわね。でも、あの頃は違った。犯された女の訴えなんて、まだ不当に扱われる時代だった。だいたい、あのプライドの高い千春ちゃんが、家に上げた男に犯されましたなんて、訴えられるわけがない。それに、何よりね、千春ちゃんはこの話を被害としては語らなかった。経緯を明かしただけ。だって、藤野との関係は、それが始まりだったんだから」。
『なんで、暴力を振るわれて無理やりされて、気持ちも何もないのに、母はそんな男と関係を続けたんですか?』
「そうよね。当然そう思うでしょ。大丈夫よ、話はまだ続くから」

穏やかだった目がどこかを眺める。
笑みを押し殺したような表情で、秀島は再び話し始めた。


[28] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/07/25 (土) 17:57 ID:wk5ZMaiQ No.33007
秀島さんの千春さんへの複雑な想いは、人間ならば誰でもが持ち合わせる、
ある意味自然な感情だと思います。
私の過日の経験と重ね合わせて感慨深く拝読いたしました。
引き続きよろしくお願いいたします。


[29] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/28 (火) 21:30 ID:.AQ2L/qo No.33019
一寸法師様 共感を寄せて頂きうれしいです。ありがとうございます。


出来事の翌朝。千春ちゃんが目を覚ますと、穏やかな表情の藤野に見つめられていた。
「おはよう」と声をかけられ、つい、『おはよう』と返す。
布団の中で藤野が今も裸であることに気づき、悪夢が蘇る。
千春ちゃんは重い身体を起こすと、片付けを理由に藤野をダイニングに追いやった。
床に落ちたパープルのブラを拾う。揃いのショーツを探すと、少し離れたところにあった。投げられたのだろう。
内側を確認する。濡らした痕はない。少しの安心と強烈な苦味を覚えた。
洗濯物をまとめ、最後にシーツを、目を逸らしながら剥がした。あの時、藤野に出された体液が膣からこぼれ染み付いているとわかっていたから。
身支度を整えて、鏡をのぞく。幸い、藤野に叩かれた左頬に痕はなかった。

藤野を促し、二人で家を出る。
駅で別れる時、千春ちゃんは藤野に『昨夜のことは忘れて、なかったことにしよう』と伝えた。彼女にとっては、悪夢を水に流す最大限の譲歩だった。
藤野は寂しそうに笑った。
「水野さんが忘れたいなら、俺もなかったことにするよ」。
それで二人は別れた。
あとは、きのう藤野に会う前の気持ちに立ち戻ればいい。千春ちゃんは自分のためにそう割り切った。それで収めるはずだった。

ところが、その日の夜。
帰宅して洗濯をし、部屋を片付けていると、インターホンが鳴り響いた。
モニターに映っていたのは、なかったことにしたはずの、藤野だった。
『……何しに来たの』
受話器越しに、千春ちゃんは拒絶するつもりで言った。
藤野は紙袋を掲げて、消え入りそうな声で言った。
「お詫びを持ってきたんだ。なかったことにするってわかってるけど、これだけは渡したくて……」

そんなの、怒るか拒否して追い返すに決まっているでしょう。だけど、彼女はオートロックを開けた。どこまでも想像を裏切る女よ。なぜそんなことをしたのか、自分でもわからないって振り返った。
だから、きいたわ。「その時、何を思っていたの?」って。

『前の日に藤野くんに無理やりされた時に、私、自分を上から見下ろした気がしたって言ったでしょ?あの光景、思い出してた』

「レイプされる自分を思い浮かべて、それなのに、開けた?」
オレは捻れた思考をそのまま口にした。
秀島が鼻で笑う。
「千春ちゃんはね、あの悪夢に、何か引かれていたってことよ」

ショートパンツをデニムに履き替えて玄関のドアを開けると、藤野は申し訳なさそうな顔で立っていた。
「……これ」
手渡されたのは、都心の有名なケーキ店の紙袋。
結局、千春ちゃんは藤野を部屋に入れて、二人でケーキを食べた。白いクリームが滑らかで甘かった。藤野に気に入ったか聞かれて、『おいしい』とだけ答えた。
それで、『食べたら帰って』と言ったらしいけれど、その言葉の空虚さは本人が一番わかっていたんじゃないかしら。

ケーキを食べ終えると、案の定、藤野は千春ちゃんとの距離を詰めてきた。
「水野さん、きのうのことはなかったことにするってわかってる。だから、なかったことにして、もう一度始められないかな」
藤野は、ソファに座る千春ちゃんの足元に座り込み、スリムなデニムの脚に頬を擦り付けた。
『……やめて。帰ってって言ったでしょ』
口では拒絶しながら、突き放しはしなかった。
藤野の手が、デニムパンツの上から千春ちゃんの太腿を撫で上げる。厚い生地の向こうから届く感触に、かえって感覚が繊細になった。
藤野の骨ばった手の温かさを感じる。前夜の粗暴な振る舞いとは違う、女の身体を労るような執拗で優しい愛撫。
「昨日はいきなり過ぎたから……。今日は、水野さんを世界で一番幸せにしてあげたいんだ」
千春ちゃんは今から起こることを悟っていた。


[30] Re: 遍歴  スナフキン :2026/08/08 (土) 09:05 ID:FscY/Spw No.33054
進行を楽しみにお待ちしています。

[31] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/08 (土) 19:14 ID:uAlrjya6 No.33056
スナフキン様 ありがとうございます。お言葉を励みに話を進めてまいります。


床にいた藤野がソファを這い上がると、二人が横並びになった。
『やめて、本当に、藤野くん……』
拒絶は弱々しくて、もはや意味をなさない。
水色のストライプのゆったりしたブラウスのボタンに、藤野の指がかかる。一つずつ、穏やかに外されていく。千春ちゃんは、それを見ているだけだった。
前が開くと、藤野は流れるようにブラウスを脱がせ、そのままキャミソールをたくし上げる。千春ちゃんに万歳の格好をさせて、それを抜き取った。現れたのは、張りつめた膨らみを覆う淡いブルーのブラジャー。藤野がその上に手を置く。
愛撫が始まった。
「水野さんの下着、今夜も俺好みだよ」
『ねぇ、やめて、きのうのことはなかったことにするって言ったでしょ。もうやめて、ね』
「もう一度始めたいんだ。昨日より落ち着いて水野さんが感じられるようにするから」
藤野の手が、ブラの上から包むように、両方の胸を揉む。千春ちゃんの乳房は、踊らされるように形を変えた。
藤野の口が接近する。千春ちゃんは目を閉じた。唇が重なり、侵入した舌に舌を舐められる。コーヒーとタバコの味。不快感に、千春ちゃんは思わず表情を歪めた。
でも、藤野の手が背中に回ってブラのホックにかかると、それを外させるための姿勢を、千春ちゃんは自分からとった。ブルーのカップが剥がれ、肩紐が腕を離れる。
豊かな乳房が、再び藤野の前にさらされた。
「うはぁ、くく。水野さんのこのコたち、きょうも俺のにしていいんだよね」
藤野の舌が、重力に逆らう膨らみを這う。頂点に辿り着くと、蕾を転がすように舐め上げた。千春ちゃんは顔を背けた。奥歯を噛み締める。
『……あ、……んっ……』

藤野との二度目、
『最初から感じた』って千春ちゃんは言った。
もしかすると、前日の悪夢より、この時の方が千春ちゃんにもたらしたものが大きかったんじゃないかって、赤坂の店で聞きながら思ったわ。

「声、聞かせて。水野さん。ゆうべ求めてくれたでしょ。あの声、出してよ」
『ん、ん。いや、出さない。ん、出さないもん』
「なんで?いいんだよ、遠慮しなくて。俺、どんな水野さんでも受け止めるから」
藤野が千春ちゃんのデニムのボタンに指をかけた。もう一度キスをしながら、ボタンを外し、ファスナーを下ろす。ウエストに手がかかると、千春ちゃんは自分で腰を浮かせた。スリムなデニムが引き下ろされると、淡いブルーの光沢のあるショーツが現れた。
藤野の指が、千春ちゃんの閉じた腿と腿の間に差し込まれる。
骨ばった指が、ショーツの上で折れたり伸びたり、中央の谷をなぞったりする。
『ふあぁ……っ! ……んあぁぁっ!!』
千春ちゃんは顎を上げて、背中を反らせていた。
「水野さん、もう、もう濡れちゃってるじゃないか。こんなに欲しがっちゃってるよ。きょうも俺のが欲しいんでしょ?」
『……ち、ちがう……っ!ん、ん。 ……た、ただの、生理現象だもんっ!』

違和感しかなかったから、質問した。どうして、それほどよがったのかって。
『藤野くんの自由にされる、使われる感じが、ああいうの初めてだったから、私ヘンな感じになっちゃって』って言った。
使われるって、道具かよって思ったわ。
ただ、思えばこの言葉は象徴的だった。水野千春って女の本性がわかるのよ。
「どう使われたの?」ってきいたら、
『下着の隙間から指を入れられて…』って。
この時の千春ちゃん、うっすら笑っていたんだから。

『はあぁ、あ、ん……。ん……』
「水野さん、見て。俺の指、飲み込まれちゃった。やっぱり、この中は二人で愛し合いたいって言ってるよ。」
千春ちゃんは手で口を押さえながら、首を横に振った。
すると、藤野は次の要求を口にした。
「ねえ、水野さん、きのうから水野さんばかり感じているからさ、ちょっと不公平じゃないかな……愛情を行動で示すって、お互いにとって大事だと思うんだ。俺の、舐めてほしいな」
それはもう、処刑ではなかった。千春ちゃんが道具になるかならないか、いわば突きつけられた踏み絵だった。


[32] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/11 (火) 23:59 ID:b0dQL15Q No.33068
藤野はソファの前に立って、昨日と同じジーンズを下ろし、下着も下げて、前夜に使った執行具を再び千春ちゃんの前に突き出した。
「水野さん、いいよ。口で慣らしておいた方が後で一つになりやすいでしょ?」
千春ちゃんは顔を背けている。
「恥ずかしがらないで。俺のコレで、二人で愛し合うんだから」
千春ちゃんは動かない。
藤野は彼女の右手をとって、それを握らせ、そのまま扱くように動かした。
「水野さん、快楽のために愛があるわけではないけれど、愛のために相手に快感を与えることは大事だと思うよ」
藤野は呼吸を荒くしながら言った。
千春ちゃんは俯いたまま。
藤野は左手で彼女の右手を操りながら、右手で乳房を弄る。
『んんっ』
千春ちゃんが声を漏らす。
「ごめんごめん、お説教なんてよくなかったね。水野さん、楽しくなくなっちゃうよね。難しいことはなしにして、いいから味わってごらん」
藤野はそれを、千春ちゃんの口に当てがった。
「まず、ベロで、少し味見して」
千春ちゃんが動きを鈍くしていると、藤野のそれが唇に押し当てられた。
どうにもできず、千春ちゃんはわずかに舌を出して、舐めた。
「ふうっ、そう、いいね。恥ずかしがらないで。もっとベロ、出せる?」
わずかに舌を伸ばす。
「よし、根元から先っぽまで舐めてみて」
もう言われた通りにするしかなかった。
千春ちゃんは藤野の股を見上げる姿勢にさせられて、顎を上げて、藤野のそれを舌でなぞった。
「あぁ、そうそう、あはぁ、もう一回、して」
同じことを繰り返す。
「次は先っぽをさ、ペロペロって」
千春ちゃんは舐めた。目だけは逸らしていた。
「水野さん、どう?俺の、どんな味?」

男が好きなお決まりの問い。

『…お、…おいしい』
「ん?」
『おいしい、…おいしい』
「だろお?よかった。やっぱり相性がいいね、俺たち」

私はまず、彼女に寄り添った。

「そこまでいったら、舐めるぐらいみんなする。仕方ないわよ」
『うん』
「本当は不味かった?」
『そんな違わないよ』
「どんな味?」
『しょっぱくて、あ、でも先っぽはもう、ほら、…出てたから。汁。ちょっとすっぱかった、かな』
この時も、千春ちゃんは微かに笑っているように見えた。

『おいしい』って言わせたことで、藤野は口の中を要求した。
「水野さん、口開けて」
開けたつもりはなかったそうだけど、わずかな隙間から、藤野はそれを押し込んだ。
『んぐっ、ん、ん』
「ほら、水野さん、俺のを愛してみて」
そう言いながら、千春ちゃんの動作を待たずに、藤野はそれを喉の奥まで進めると、そのまま腰を振り始めた。
「大丈夫だよ、愛し方もちゃんと俺が教えてあげるからね」
千春ちゃんの口の中で、それが抜き差しされる。
『ごふっ、おごっ、ごっ、ごぉっ、ぐぉぉ、』
「あー、気持ちいい。水野さん、お口もいいんだね。気持ちいい。もう少し、した、舌も絡めてくれると、あぁ、水野さんの愛情が伝わるよ」
『んぐっ、んぐっ、んんっ、んんっ、ごぉぉ、ぐごっ』

「苦しかったよね、千春ちゃん」
『うん』
「ねぇ、藤野のそれ、サイズはどうだったの?」
『え?なんで、そんなこと』
「千春ちゃんの、…苦しさをわかりたいの」
『…普通、だと思う』
「そうか、でも、何だってそれは苦しいわ。くわえながらどう思ってたの?」
『…苦しかったけど、最後はぼーっとしてきちゃって、よくわからないかも』
「ぼーっと、って?」
『…麻痺していく感じ、かな。そうね、…私、使われているんだって、感じてた』

「完璧な君のお母さんの、願望がわかるでしょう?」
秀島が冷たく笑った。


[33] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/13 (木) 00:19 ID:PmUp4Pww No.33073
面白いよお 読み応えあり
つづきまってます


[34] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/08/13 (木) 20:39 ID:2A7nRFc6 No.33074
お待ちしておりました。興味深く読ませていただきました。
「使われる」という表現から千春さんのマゾヒスト性癖が
開花したように感じました。更新を楽しみにしています。



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