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遍歴

[1] スレッドオーナー: 土屋 :2026/05/23 (土) 22:39 ID:vJIfgbDU No.32760
父が長期の海外出張に出た週末、我が家のリビングはいつものように母の親友たちの喧騒に包まれていた。
母・土屋千春、45歳。大手出版社でバリバリ働いている。若くしてオレを産んだから、中学の頃は友達から人気があった。要は「綺麗なオバサン」。目尻の上がった大きな目、通った鼻筋に厚めの唇。今も美貌と均整の取れたスタイルを維持している。本人も意識しているのか、見た目に手を抜くことがない。耳にかけたミディアムの髪、ゆったりとしたオフホワイトのサマーニット、Vネックにのぞく鎖骨とダイヤ。彼女には常に華やかな女の匂いが漂っていた。
そして、その母の周りには似たような女たちが集まる。IT企業で働く自由奔放で派手な美人の典子さんと、経営者の妻でおっとりとした良妻賢母タイプの薫さん。3人は学生時代からの親友で、事あるごとに我が家に集まってはワインを空けている。
オレ、裕一は20歳の冴えない大学生だ。いつものように自室に籠もっていたが、猛烈に喉が渇き、足音を忍ばせてキッチンへ向かった。
リビングとキッチンを隔てる曇りガラスのドア越しに、女たちの笑い声が響いてくる。冷蔵庫を開けようとしたオレの手は、典子さんの甲高い声にピタリと止まった。

「だからね、あれは冗談抜きで私の人生で一番のバケモノだったのよ!」
だいぶ酔っているのがわかる。オレは息を殺し、ドアの隙間からリビングを覗き込んだ。
「もう、先っぽパンパンで、血管がボコボコ浮いててさ、なんだろ、生き物っていうか凶器?それが奥までズドンって入った瞬間、脳みそがショートしたみたいになっちゃって。」
ワケのわからない話かと思ったが、言葉を咀嚼すると、まさかという気がした。その時、母と薫さんが「ちょっと典子!」「声が大きすぎるってば!」と笑いながら手を叩いている。
「でもさ、ぶっちゃけ大きさって正義じゃない?」と典子さんは身を乗り出した。
「愛だのテクニックだの言うけどさ、絶対的な質量で子宮の入り口をガンガン突かれる快感って、理屈じゃないのよ。メスとしての本能を直接殴られてるみたいでさ」
やはり、オレの勘は当たったと確信する。
と同時に、急に3人の会話に興味を引きつけられた。
「まあ……否定はしないけど」と言ったのは母だ。頬を紅潮させながらワインを煽る。
「確かに、すっごいのが入ってきた時の、あの息が詰まるような圧倒される感じは、忘れられないわよね」
「でしょ!? ねえ、薫はどうなのよ。あんた昔から清純派ぶってるけど、絶対すごいのに当たったことあるでしょ。吐きなさいよ!」
「ええっ、私!?」と矛先を向けられた薫さんは顔を真っ赤にして両手で頬を覆った。普段はおとなしく、二人の息子を育てる母親である薫さんが、身をよじって恥じらっている。
「も、もう……しょうがないなぁ。私は、夫のかな。それだって、そんなに巨大とか、そういうことじゃないんだけど」
「なによ、それ。いい子過ぎて面白くない」と典子さんが冷ややかに言う。
「そんなこと言ったって、経験がないんだから仕方ないでしょ?」
「そうそう、典子、酔い過ぎだよ」。
母が薫さんをフォローした。
「なによ、千春!それなら代わりにアンタが答えなさい。歴代ナンバーワンの男、誰?」
典子さんが容赦なく母に迫る。

母は「えー」と濁そうとしたが、両脇から二人がわかりきったような顔をしている。
母は観念したらしい。
「もぉ、何度も話したでしょ?……澤田!」
その苗字が出た瞬間、典子さんも薫さんも「だよねーー!!」と、声を揃えて爆笑した。
「ごめんごめん、千春のこの話は定番だから、やっぱり言わせちゃった」
助けられたはずの薫さんも笑っている。
「ホント、毎回言わせるの、やめて」。
どうやら3人の間で、母はこの話をさせられるのはいつものことらしい。
すると典子さんが突っ込んだ。
「でも千春、口でした時はどうだったの?それはあんまり聞いてないわよ!」
典子さんの追及に、母はワイングラスの縁を指でなぞりながら、困ったような笑みを浮かべた。
「もう20年以上前だからなぁ。えー、うーん。顎が外れるかと思うぐらい口を開けたのと、がんばって根元までくわえようとしたら喉の奥に当たって、えずいたのは覚えてる」。
「うわー、いやらしい! で、味は? どんな味したのよ?」
典子さんが悪ノリする。
「バカじゃないの!味なんて覚えてないって!」母が吹き出しながら答えた。
「で? で? 入れた時はどうだったのよ!」
典子さんは止まる気配がない。
「もう、前にも話したじゃない!」
母は照れ隠しのように笑いながらも、その顔は完全に昔の記憶をたどっていた。
母が、昔の男との行為を、その男たるモノを思い起こしている。
「……だいたい、典子の言ったのと同じ感じかな。熱くて硬い肉の塊に、中の狭いところを強引にこじ開けられて、内臓を全部押し上げられるみたいな圧迫感で。奥の奥の、一番敏感なところをゴリゴリされて、足の指が勝手に丸まって……。ガクガク、痙攣、しちゃったの……」
母の口から紡がれる、あまりにも生々しい牝としての記憶。
オレは暗闇の中で、自分の股間がちぎれるほど勃起しているのを感じていた。あの、綺麗で、優しくオレを育ててくれた完璧な母が、得体の知れない『澤田』という男の巨大な肉棒に犯され、快感のあまり身体を痙攣させていた。その事実が、オレの脳髄を麻痺させるほどの嫉妬と、狂おしいほどの興奮を呼び起こしていた。

やがてお開きになり、
「もう典子ったら、調子に乗り過ぎよ」と薫さんが嗜めながら帰っていく声が聞こえた。
オレはベッドに横たわっても、まったく眠れなかった。
母の過去。オレの知らない、女としての『千春』。
もっと知りたい。澤田とは何者なのか。母はどんな顔で男に抱かれていたのか。
ふと、典子さんの顔が浮かんだ。
物心ついた頃から『親戚の陽気なおばさん』のごとく接してくれた彼女なら、オレのこの歪んだ欲望を笑い飛ばして、真実を教えてくれるのではないか。母の全てを知るであろう典子さんに、縋ってみようと思った。


[2] Re: 遍歴  土屋 :2026/05/24 (日) 02:37 ID:pwK4OFAg No.32761
翌日、オレは震える指で自分のスマホから、典子さんの番号にメッセージを送った。昔、オレが初めてスマホを与えられた時、「記念すべき連絡先第一号になってあげる!」と半ば強引に交換した番号だった。
数時間後、大学の休み時間に着信があった。
『ちょっと、あんたから連絡なんて驚いたわよ! もしも裕一じゃなかったら、新手の詐欺かと思って怒鳴りつけてやろうと思って電話したんだからね』
快活な声。オレを「あんた」「裕一」と呼び捨てにするその響きが、不思議と心地よかった。
オレは言葉を濁しながらも、「どうしても相談したいことがあるから、会えないか」と頼み込んだ。典子さんは『いいよ、ちょうど明日なら午後時間とれるから』と快諾してくれた。
次の日、都心の洗練されたカフェ。
待ち合わせに現れた典子さんは、仕事の合間らしく、ネイビーのブラウスに白いスリットの入ったタイトスカートという、大人の女性の装いだった。大きな目はいつも挑むようだが、なだらかなアーチの眉が気安い人柄を表している。
「で? 悩み事ってなによ。大学やめたいとか、彼女ができなくて死にそうとか?」
からかうように笑う典子さんに、オレは意を決して口を開いた。
「……母さんの、昔の話が聞きたいんです」
『は? 千春の?』
オレが真剣な顔で頷く。
『学生時代から人気者でモテたわよ、頭もよかったし、何の問題もなし。氷河期だったけど就職も勝ち組で、知ってるでしょ?』
姿勢を変えると、高級な香水の香りが漂った。
「あ、そうじゃなくて、その、オレ、色々気になっちゃって」
『なに?』
「その、モテたっていうのが、誰にとか、どんな付き合いだったとか」
典子さんは数秒ポカンとした後すべてを察したらしく、周囲の目も気にせず「あっはははは!!」と大声で笑い出した。目尻に浮かんだ涙を指で拭いながら、オレを見る。
『ごめんごめん! いや、あんたみたいな真面目な子がね。要は、母親の男関係知りたいってことでしょ?悩みが意外すぎるんだけど。斜め上どころじゃないわ』
「いや、その、気になり出したら止まらないって言うか」
『だけど、それ聞いてどうするの?』
「それは、まあ、想像してドキドキすると言うか」
『あんた、自分の母親がどんな男に抱かれてたか知りたいってことでしょ?ド変態じゃない!』
直球をぶつけられた気になるが、もはや引けない。
「典子さんしか……頼れる人がいないんです」
オレが縋るように言うと、典子さんはふっと真顔になり、コーヒーカップに手を伸ばした。
『なんだか切実ね。確かにね、千春の学生時代のことなら、私と薫が一番知ってる。でもねぇ……それを息子にペラペラ喋るのは、千春を裏切るってことじゃない。さすがの私も、それはできないなぁ』
そう言いながらも、典子さんの目は楽しげに光っていた。
『けど、ちょっと感動的ね。生まれた時から知ってるあんたが、しっかりエロくなったってことでしょ?母親に関心持つのはよくわかんないけど』
オレは言葉が返せない。
『千春には悪いけど、面白そうな方に乗っかりたいっていうのが、私の悪い癖なのよねぇ』
いたずらっぽく笑うと、彼女はオレに向かってウインクした。
『いいわ。あんたの頼み、聞いたげる』
「……澤田、という人について教えてください。母さんと、その人のことを」
オレが名前を出した瞬間、典子さんは一瞬目を見開き、そして呆れたようにため息をついた。
『あんた……一昨日の夜、立ち聞きしてたんでしょ?お行儀悪いなー』
「たまたま、そこだけ聞こえたんです」オレは必死に弁明した。そもそも、典子さんの声が大きかったのがいけない、とは言えなかった。
「澤田って人は、母さんの大学時代の彼氏だったんですか?」
オレが押し切ろうとすると、典子さんは少し意地悪な、妖艶な表情を浮かべた。
『あのね、裕一。澤田は千春の彼氏じゃないわよ』
話が生々しくなるから、と、典子さんがテーブル越しに顔を近づけてくる。香水の匂いが強くなった。
「彼氏じゃないって……どういうことですか?」
『そのままの意味よ。身体だけの関係。セフレってやつ』
あっさりと告げられた事実に、オレの頭が真っ白になった。あの真面目でしっかり者で、時にくちうるさい母に、ただ肉体の快楽を楽しむためだけの男がいたとは。心臓が早鐘を打ち、喉がカラカラに乾く。
『澤田はね、私たちと同級生で、語学のクラスが一緒だったの。絵に描いたようなチャラ男でね、女の扱いだけはプロ級。あいつ、入学したばかりの4月から千春に目をつけて、ずっと言い寄ってたのよ。でも千春は「あんな軽薄な男、イヤ」って全く相手にしてなかった。そもそも千春には、当時ちゃんと彼氏がいたしね』
「じゃあ、なんで……」
『時が進んで、3年の秋。就職活動が本格化して。今と違って氷河期だったからね、みんなピリピリしてたの。千春、当時の彼氏とすれ違って別れちゃって、珍しく彼氏がいない時期ができたの。精神的にキツかったんじゃないかな。そんな時、たまたま大学の近くで千春が澤田とばったり会って。その流れで、二人で夕食を食べに行ったのよ。……で、その夜に、千春は澤田を受け入れたの』
「え?その日に?なんでですか!」オレは思わず身を乗り出した。
「相手にもしてなかったチャラ男と、たまたま夕食に行っただけで、なんであっさりそんなことになるんですか!」
『ふふっ。そこが知りたいのね』典子さんは妖しく微笑んだ。
『この話ね、薫と3人で飲むたびに何十回もしたテッパンだから、私、その時の二人のやり取り、一言一句全部覚えてるわよ』
典子さんが語る、四半世紀前のその夜の情景が立ち上がっていく。


[3] Re: 遍歴  加奈子 :2026/06/05 (金) 18:33 ID:azAbKETw No.32805
やばいです。すごくドキドキします!
続きを楽しみにしております
よろしくお願いします。


[4] Re: 遍歴  土屋 :2026/06/06 (土) 23:08 ID:12BBU1Jc No.32807
加奈子様 コメントありがとうございます。心からうれしいです。



薄暗い、学生街にしてはお洒落なダイニングバー。
澤田は饒舌で気の利いた会話をし、千春の話にも真摯に耳を傾けた。後で、食事自体がとても楽しかったって、千春は言ってた。
でも、その場は澤田にとってまたとないチャンス。入学から2年半以上手の届かなかった千春と二人きりなんだから。
最初は、口説いてくるに決まってると警戒していた千春も、楽しさに慣れて、アルコールが回って、心の中で防御を緩めていた。
そんなタイミングで澤田は、千春の左手に自分の右手を重ねたの。
「ふーん、いつもこうやってるんだ?」。
『ばか、いつもやるわけないだろ!千春ちゃんにしかしないって』。
「なにそれ、人によって違いがあるの?」。
つんけんしながらも、千春は澤田の手を拒まなかった。
澤田が千春の手を握った。
『千春ちゃんだけが違うんだって。ずっと言ってるだろ?』。
「そうだったかな?そんなこと言う割に色んなコと遊んでたじゃない?」。
『それはタイミングが合わなかったからだって。だけど、きょうは違う。俺、きょうに全てを賭ける。千春ちゃん、頼む。頼むから、きょう抱かせて欲しい。きょう断られたら、もう2度と誘わない。だから、きょう、頼むから抱かせてください』。
澤田が頭を下げた。
何の飾り気もムードもない、ただのお願いの言葉。
千春は、思わず笑ってしまったらしいけど、意外過ぎて刺さったって言ってた。
それは、今まで大勢に聞かされてきた甘い言葉や調子のいい誘い文句と違って、新鮮で、気持ちの届くものだった。
「澤田くんにとってはいいかもしれないけど、私は、いいことある?」。
『あるさ。俺、千春ちゃんのこと絶対楽しませるって。俺のこと、好きにさせてみせるから』。
「それは別に、いいことではない、かな」。
『そういうなよ、感じられるようにするからさ』。
ストレートな宣言。
この男に感じさせられた自分はどうなるのか、千春は仮定に期待が混じったって言ってた。
「ちょっとでも違うって思ったら、帰るよ」。
『もちろん、構わない』。

典子さんはそこで言葉を区切り、オレの顔を覗き込んだ。
『……ってわけ。あれからずっと、千春は「就活のストレスのせいだった」「酔った勢いの間違い」「私の人生最大の過ち」って言い訳してるけどね。でも、あれは間違いなく、千春自身が欲情して、あの軽薄な男を受け入れたのよ』
典子さんはコーヒーを一口飲み、小さく笑った。
『でも、今となっては最高の思い出なんじゃない? だって、あの夜、ホテルで千春は、一生忘れられないくらい強烈な女の悦びを知っちゃったんだから』
「ホテルで……」
オレは呆然と呟いた。
『そう。聞きたいでしょ? 隙がなくてプライドの高いあんたの母親が、彼氏でもない男に抱かれて、どんな声で鳴いて、どんな風に理性を壊されていったか』
典子さんの赤い唇が、悪魔のように吊り上がった。
オレの股間はズキズキと痛いほどに張り詰め、脳内は母が知らない男の下で喘ぐ姿で埋め尽くされていた。もう、後戻りなどできるはずがなかった。オレはただ、渇き切った目で、深く、深く頷くことしかできなかった。


[5] Re: 遍歴  晴美 :2026/06/07 (日) 01:12 ID:Kjsq7vRM No.32808
ドキドキして読んでます。
続きを楽しみにしてます。


[6] Re: 遍歴  土屋 :2026/06/07 (日) 22:53 ID:hNcERNq2 No.32811
晴美様 ありがとうございます。コメントを励みに続けます。


典子さんは、どこか遠くを見るような、それでいて親友の秘部を暴く愉悦を隠さない表情で語り始めた。


澤田に連れられて行ったのは、池袋の喧騒の奥にある、少し古びた、けれど清掃の行き届いたラブホテルだった。
「最低な男」と罵っていたはずの男に手を引かれて、千春は自分でも不思議な気持ちで状況を見つめていたみたい。でもね、部屋に入った途端、澤田は意外なほど紳士的に振る舞ったの。
『まずはシャワー浴びてきなよ。ゆっくりでいいから』
エスコートするように振る舞う澤田はゆとりにあふれていた。
反対に千春は、まだ自分のことを整理しきれていなかった。自分の中の混乱を抑え込むようにシャワーを浴びた。ゆっくりするつもりはなかったものの、時間がかかったみたい。
バスタオルを体に巻き、湯気に包まれて戻ると、澤田はただ真っ直ぐに千春を見つめてこう言ったの。
『……綺麗だ。本当に、1年の時からずっとこうして隣にいたかったんだ』
千春は何も言い返せなかった。ただ、これから「チャラ男」と蔑んでいた男に、このバスタオルの下をすべて暴かれる。その屈辱的な想像が、彼女の下腹部をジリジリと熱くさせた。
「少し、待っていて欲しい」
そう言い残して、今度は澤田がシャワーに行った。
千春はバスタオル1枚でベッドに腰掛け、澤田の言葉を反芻した。そして、称えられ求められることに満たされている自分に気づいた。

シャワーから戻った澤田は、千春の隣に座ると、しつこいほどに喜びを口にしたの。
『夢みたいだ。千春が俺の隣にいるなんて。世界で一番幸せだよ、俺』
その言葉が、千春の最後の一線を崩した。
「……もう、いいから。……早くして」
観念した千春に、澤田の顔が近づき、深く、甘いキスが落とされた。
澤田のキスは、驚くほど上手かった。
舌が絡み合い、口内の粘膜を執拗に舐められるたび、千春の頭の中は真っ白になっていった。
「夢が叶ったよ、千春」
「……夢なんて……はむ、ん、何よ、それ……っ」
強がりを言う唇も、すぐに彼の熱い口づけに塞がれた。

澤田の手が、千春の胸元で閉じたバスタオルの折り目に伸びる。
千春は反射的に逃げようと体を強張らせたけれど、結局はその手を拒めなかった。タオルが床に落ち、澤田の目に、千春の完璧な裸体が晒された。

ふと、典子さんは大事なことを思い出したように言った。千春の胸、綺麗だったのよと。乳首が薄いピンク色で、Eカップ。温泉でふざけて私も揉んだことあるけど、柔らかくて弾力があって。私もそこそこだったけどね、あれは男ならみんな喜ぶと思った。
悪戯っぽく笑って、話を戻す。

『……すごい。なんて綺麗な体なんだ……。千春ちゃん、最高だよ』
心酔したような澤田の視線。千春は恥ずかしさに身をよじりながらも、男に賞賛される快感に抗えなかった。
澤田の愛撫が始まった。豊かな胸を掌で包み込み、指先で弄ぶ。
「……あ、ちょっと、くすぐったい……ん、あ……っ」
千春の口から、甘い声が漏れる。澤田はニヤリと笑って、軽薄に問いかけたわ。
『胸、気持ちいいんだろ? 正直に言えよ』
「……っ、そんなこと、言いたくない……っ。……い、いやらしく……しないで」
澤田が乳首に吸い付くと、千春は背中を大きく反らせた。
「ひあっ!? ……やだ、そこ……そんなに強く吸われたら、もお、変になっちゃう……!」
『俺と来てよかっただろ? ほら、ここ、こんなに固くなってんぜ』
「……う、うぬぼれないで……よっ」
拒絶の言葉とは裏腹に、千春の体は正直だった。
硬くなった乳首の感度が普通じゃないことを自覚していた。
澤田の手が、ついに彼女の秘所へと伸びたわ。指先でそっと割れ目なぞり、クリトリスをピンポイントで弾く。
「あぁっ! ……うそ、そこ……っ、やめて、……あ、あああぁっ!」
千春は腰を浮かせ、声を上げた。繰り返されるクリトリスへの刺激。
続いて澤田の指は、千春の割れ目の中に入ろうと探り始めた。もうとっくに濡れているそこは、簡単に入り口が開いた。
『千春ちゃん、すごい、濡れてる』
「あっ、あぁ、指、入っちゃう。指が、あっ」
『ココが指吸い込んじゃったよ』
侵入した指の動きは加速して、濡れているそこを執拗にかき回した。
「あ、あ……っ! すごい、指……っ。……もう、そんなにかき回しちゃ、ダメ、メぇ……!」
『千春ちゃん、もう一回聞くぜ。俺と来てよかったか?』
「……っ、ああぁっ! ……いいよ、いい! ……さわ、澤田くん、気持ちいいよぉ!」
典子さんの言葉が、脳内で映像となって再生される。
清楚で気高い母が、見知らぬ男の指先一つで、なりふり構わず喘いでいる。
嫉妬で胸が張り裂けそうなのに、股間の熱はもう限界だった。
「あ、やだ、や、だめ、ダメ、イキそう……っ、私、イッちゃう……!」
千春が絶頂を迎えようとしたその時だった。澤田はね、すべての動きをピタリと止めたの。
「……っ!? な、なんでやめるのよ……っ」
焦らされた千春の瞳は、潤んで、獲物をねだる獣のようになっていた。
澤田はタオルで覆われた自分の股間を指差し、意地悪く笑ったわ。
『次はどうするか、千春ちゃんが決めてよ』
千春は、もちろん次を理解した。それで、そうするものだと、受け入れた。
「……わかったから。……タオル、外して……」
澤田が腰のタオルを外した瞬間、千春は息を呑んだ。
そこに現れたのは、今まで見たこともないような、巨大な肉の棒だった。血管が浮き出し、猛々しく屹立している。
「……っ、うそ。……こんなの、こんな、大きいの……」
澤田は驚く千春の手を取って、その巨根を握らせた。
『どう? 俺の、すごいだろ』
「……あ、っ……熱い。……太すぎて、手が回らないぐらい……。……ちょっと、大き過ぎるかも……。これ……私、これ、どうしたら、いいの?」
千春はこれから訪れる「蹂躙」を想像して、震えたの。
澤田は巨根を彼女の唇にあてがい、まずは舐めるように命じた。
「……っ……」
千春に選択肢はない。口を開けた。
澤田が強引に腰を突き出すと、喉の奥まで肉塊が押し込まれた。
「げほっ、……んぐっ、……ぅぅっ……!!」
あまりの大きさにえずき、涙目になりながらも、千春は必死に食らいついた。
『俺の、どうだ?』
「……はぁ、はぁっ……。……ひどい……。大き過ぎる。……頭の中、まで……いっぱいになっちゃう……」
思考を奪われる快感。千春はもう、澤田の言いなりだった。


[7] Re: 遍歴  スナフキン :2026/06/11 (木) 09:58 ID:4foysDFM No.32819
がんばってください。この先もとても楽しみです。

[8] Re: 遍歴  ファン :2026/06/11 (木) 23:48 ID:EScFVIII No.32821
いいですね。

[9] Re: 遍歴  土屋 :2026/06/12 (金) 23:53 ID:ocTWAUIA No.32826
スナフキン様 ありがとうございます。励みにします。
ファン様 嬉しいです。ありがとうございます。


『千春ちゃん、1年の時からの夢、叶えていいか?』
「お、おおげさ。……もう、好きにして。……感じさせてくれるんでしょ……っ」
澤田に「生でいいか」と聞かれ、千春の声は震えた。
「……絶対外に出してね。……今日だけ、だから……」
澤田に仰向けに寝かされ、千春は脚を大きく広げられた。
『……千春ぅ』
巨根の先端が、千春の濡れそぼった秘所にあてがわれる。
ゆっくりと、けれど容赦なく、肉の塊が沈み込んでいく。
「あ、あああああああぁぁっ!! ……おっき、おっきい……っ! ……太い、太すぎるよ……っ! ……はあぁ、裂けちゃう……っ!!」
初めて経験する規格外の質量。千春は快感と痛みの狭間で絶叫したわ。
けれど、奥まで根元まで埋まった時、彼女の体は歓喜に震えた。
「……っ、すごい……。……私の中、さ、澤田くんで、パンパン……。……こんなの、初めて……っ」
『千春の中に、俺の、全部入ったぞ……!』
澤田が動き始めると、千春はいきなり絶頂の波に呑まれた。
「ああぁっ! ……あ、あ、あ、……っ! すごい、そこ……っ! ……太いのが、ゴリゴリ当たる……っ!!」
千春はすぐに「マズい」って思ったって。軽蔑する男にすべて引きずり出される気がしたって言うの。
澤田は腰を振りながら、千春のシンボルともいえる豊かな乳房を愛撫し、舐め、吸い続けた。
千春は空に浮きながら雷に打たれているみたいとか言ってたけど、要は澤田は一切手を抜かない男だったってこと。
その澤田がね、やがて質問責めを始めたの。
『千春、俺のは何番目に気持ちいい?』
喘ぎながら、千春は答えた。
「……あ、っ……1番よ……っ! ……こんなの、他にいるわけないじゃない……っ!」
『何本中の1番か言ってくれないと、わかんねーな』
「……っ、そんなの、知らない……」
澤田はさらに激しく腰を叩きつけ、千春を問い詰めたわ。
『教えろよ。全部で何本だ?』
今まで守ってきたプライドが、男のピストンに合わせて剥がれ落ちていく。経験人数を告白させられる屈辱。なのに、あの時の千春には媚薬だった。
「……ご、5本……っ! ……これ、これでロッ、ポン……! ……6本の中で、あなたが、一番、すごいのっ!!」
「意外と遊んでんなぁ、千春!」
言ってしまった、知られてしまった、その恥ずかしさが刺激となって脳を襲った。
「……ああぁっ! ……うるさい、……言わせないで……っ! ……あああぁっ、イク! ……私、もうイクわ!!」
「イケよ、千春! 俺ので、イッてくれ!」
澤田の動きが猛獣のように激しくなる。
千春は白目を剥き、体を弓なりに反らせて絶叫した。
「あああああああああああぁぁぁぁぁぁっっ!! ……イッ、あぁ! ……イッちゃう、……アアァッ!!」
激しい痙攣。千春はその後も、澤田の執拗な突き上げによって、何度も、何度も達したわ。
巨根に体を支配され、彼女はただの「肉の器」と化していた。
「……きもち、いいぃ……。……澤田くん、最高、最高よ……っ」
ようやく澤田が限界を告げると、千春は彼にしがみついた。
「……お、お願い、そ、そ、ん、外に出して。外っ、んんっ……ああ……っ!!」
「ぐっ、いいぜぇ、どこにかけて欲しいか言えよ」
「どこでも……いいよ! ……す、好きなトコに、かけ、て……んあっ!」
「何をかけて欲しいか、ちゃんと言えぇ」
「さ、澤田くんの、せーし、精子! ……私にかけて! ……かけてぇぇっ!!」
澤田は咆哮とともに、千春の身体へ熱い精液を放出した。
「あああああぁぁぁぁっ! ……熱い、……いっぱい飛んできてる……っ! ……ああぁっ、私も、また、イク……っ!!」
二人の絶叫が部屋に響き渡り、狂乱の夜は幕を閉じた。

事が終わり、二人はベッドに横たわっていた。
澤田は「最高だった」と千春を褒めちぎったけれど、千春は我に返り、必死に自分を取り繕ったわ。
「……今回だけ。……これは、間違いなんだから」
『千春、俺と付き合おうよ』
「ごめん……断る。……澤田くんは、彼氏にするタイプじゃないと思う」
残念がる澤田。けれど、彼は最後に見透かしたように笑って言ったの。
『また、ヤリたくなったら連絡しろよ』
「……するかっ」
そう答えた千春だったけれど、この時にはもう、澤田の感触を刻まれていた。
典子さんはニヤリと笑い、さらに声を落とした。
「千春はね、それからしばらく澤田の虜になったの。口では『過ち』だなんて言いながら、澤田に『千春、晩メシ行こう』って声がかかると断れない。もちろん、メインは食事の後。
結局、澤田を本気で好きな女が現れて、千春が詰め寄られるまで、二人の関係はズルズル続いたわ。
千春にとって、澤田は『恋人』じゃなかった。でも、自分の女としての本能を最も深く抉り出した、特別な『雄』だったのよ」

典子さんの話が終わると、オレは眩暈のような感覚に襲われた。
母さんが、そんな風に……。
別の男に、ただの性具として、あるいはメスとして、徹底的に愛でられていた。
どうしようもないほどに膨れ上がった、実の母に対する性的な渇望。
典子さんは、そんなオレの様子を見て、勝ち誇ったように笑った。


[10] Re: 遍歴  健 :2026/06/15 (月) 16:56 ID:ivDAtrZA No.32834
先の展開を楽しみにしています

[11] Re: 遍歴  土屋 :2026/06/16 (火) 22:20 ID:TMG5VKhY No.32844
健様 ありがとうございます。まだ展開します。


典子さんはコーヒーを啜り、「澤田との話はこんなところかしら」と締めくくった。
オレは、目の前がチカチカするような感覚に陥っていた。あの真面目でしっかり者の母が、ホテルでチャラ男の巨根に屈服していたなんて。
『……母さんって、淫乱だったの?』
思わず口から出た言葉に、典子さんは「あんた、ヒドイね」と苦笑し、「うーん」と少し首を傾げ、諭すように言った。
「それは違うなぁ。放っておいても男が寄ってくるタイプだったから、自分から誘ったことなんて一度もないし。ただ、若さゆえの好奇心があったのと……そうね、正直に言うと、当時の千春は致命的に『男を見る目』がなかったのよ」
『見る目がない?』
「そ。あの子、自分に向けられる愛情の深さには、あんまり関心がなかったの。モテた反動というか、自分が愛したいって感じだったんじゃないかな。実は澤田だって、千春のことが本当に好きだったのよ。チャラいからって切り捨てずに、千春がもっと相手の愛情を見ていたら、案外幸せになれたかもしれないのにね」
典子さんの分析を聞きながら、オレは妙な胸騒ぎを覚えた。愛するに足る男を探していたとすれば、母の傲慢さも透けてくる。
すると、典子が続けた。
「……だから、痛い目も見て。それで、一郎さんが現れた時に、悟ったようにすぐに結婚を決めたんだと思うわ」
『父さん……?』
オレは、父・土屋一郎の顔を思い浮かべた。おカタイ仕事で、真面目で、どこか浮世離れしていて、何故母のような華やかな女と結婚したのかずっと不思議に思っていた。
だが、待て。いま聞き捨てならない言葉を聞いた。
『その、痛い目って、なんなの?』
オレは食い下がった。
典子さんが「あ……」と困ったような顔をして、口元を押さえた。
「ごめん、裕一。さすがにちょっと喋りすぎたわ。これ以上は……ね」
『お願いだよ。母さんのこと、もっと知りたいんだ』
「えぇ、困ったな……。じゃあ、今度は薫に聞いてみれば?」
悪戯っぽく笑う。
薫さんは、母と典子さんのトリオの中で一番清楚で、良妻賢母の鑑のような人だ。
『薫さんに? でも、オレ、連絡先も知らないし……あんな真面目な人に、こんな話、ムリだって』
「何言ってるの。あの子、ああ見えてこういう話、大好物なんだから。私も一緒に行ってあげる」
典子さんは早速スマホを操作し始めた。

土曜日。都心のテラス付きカフェ。
そこには、典子さんと、清楚な白のブラウスを着た薫さんが並んで座っていた。
「裕一くん、こっちよ」
薫さんがおっとりと手を振る。彼女は典子さんと違い、オレを「裕一くん」と呼び、優しく微笑んだ。
席に着くと、薫さんは少し真面目な顔をして口を開いた。
「典子から聞いたわよ。裕一くん、千春の過去に興味津々なんですって? 困った子ねぇ」
『いや、その。どうしても気になっちゃって』
薫さんは微笑んで、母さんが言い寄られて断った数々の話を面白おかしく話し始めた。典子さんも乗って盛り上がる。エピソードはどれも、母がモテたことを示すものだったが、今、オレの関心はそこにない。とうとう耐えきれず、言った。
『母さんが若い頃に痛い目にあったって、何があったんですか?』
薫さんは一度典子さんを見て、またオレを向いた。
「それね、せっかく会ったのに申し訳ないのだけど、実は私も典子もよく知らないというのが本当のところなの」
意外な答えだった。この2人も知らない母がいるのか。
『そうなんですか。ただ、痛い目にあったことだけは、何かしら母さんが言っていたと?』
オレはやんわりと食い下がる
「そうね、うーん、知っていることだけ話すわ」
薫が続ける。
「大学を出て、私たちが社会人1-2年目のころね。あの頃の新人ていうのはとにかく仕事が忙しくて、ハードでね。私たち3人もなかなか集まれずにいたの。そんな中で、どうにか合間を縫って会おうって話していたんだけど、結局、千春だけはいつも欠席。仕事が忙しいって言っていたけど、そんなに毎回毎回続くなんておかしいって典子と話していたの」
『薫さんと典子さんは会っていたのに、母さんだけ来なかったということですか?』
「そう。千春だけ疎遠になっちゃって。それが解消されたのが、社会人3年目。いきなり結婚するっていうからびっくりしたわ。もちろん、お相手は一郎さん。裕一くんのお父さんね」
続いて典子さんがニヤリとして言う。
「集まりに来なかったのに彼氏を作る時間はあったのねって、お祝いしながら文句言ってあげたわ」
薫さんが続ける。
「それで、いろいろ聞くじゃない?いつ出会ったとか、どこで知り合ったとか。そう聞いていくとね、一郎さんとの出会いがごく最近で、千春と疎遠だった2年ぐらいの時間に、まったく重ならないの。私たちが断られていた理由は、一郎さんとの恋愛ではなかったってことだったのよ」
『つまり、その1-2年は空白のままってことですか?』
すると典子が答えた。
「そういうこと。もちろん千春に聞いたわ。本当に忙しかっただけなのかって。そうしたら、『男と揉めちゃって』って。彼氏かって聞いたら『違う』って。あぁ、また澤田みたいなことだろうと思って茶化したら、それも『違う』って。『ちょっと大変で』って言うわけ。あの子、深刻ぶらずに明るく話すんだけど、そこからは線引かれた感じがしてね、聞けなかったのよ」
典子は次が決まっているかのように、薫に促した。
「その後、千春と私で飲みに行ったことがあって、試しに聞いてみたの。何があったのって。そうしたら、『心配させてごめん、時期がきたら話すから、少し待って』って。それで私は謝って聞くのをやめた。何より、一郎さんとのことのお祝いの方が大事だったからね。そうしたら千春が『本当に最低だったの、私。自分が嫌になった』って呟くように言った。いつか話す気になったら聞こうって思って待つことにして、それを典子にも伝えたの」
「これが、私たちが知っているすべて。結局、千春がそれ以上語ることはなかった」
典子が締めくくった。
オレはもどかしさに拳を握った。結婚前、彼氏でもセフレでもなく、それでも母と揉めた男がいた。そして、母に何らかの影響を与えた。その核心を知りたい。
『誰か、その時のことを知っている人はいないのかな』
薫さんは困ったような顔でオレを見つめた。
「裕一くん……どうして、そんなに知りたいの? 母親の、それも辛かった過去なんて、知らない方がいいこともあるわよ」
当然の疑問だ。いや、糾弾と言った方がいい。が、目的を果たすには、この壁を絶対に越えなければならない。
オレは、下半身を突き上げるようなドス黒い好奇心を「誠実さ」の仮面で塗りつぶし、もっともらしい言葉を並べた。
『……母さんはいつも完璧で、強い人に見えます。でも、そんな母さんにも人間関係による困難や苦悩があった。そこを乗り越えて今があるんだから、その人生経験を知ることは、僕にとっても大きな学びになると思うんです。……息子として、母さんの本当の強さを知りたいんです』
オレの言葉に、薫さんは少しだけ毒気を抜かれたような表情を見せた。
「だけど、あんたさ」
そう言ったのは典子さんだ。
「結局興味があるのは千春の男遍歴なわけでしょ?男子に色んな欲があることぐらいわかるけど、千春の傷を探すようにしてまで満たしたいもの?あんたが思ってるよりずっと重くて、親子関係をおかしくする爆弾の可能性だってあると思うよ」
ここで引いたら終わりだ。
『そんなこと、ありません。何が出てきても、オレの母さんへの尊敬の気持ちは絶対に変わりません』
オレは勢いで返した。
2人が黙る。
薫がオレを見た。
「……そうね。そこまで言うなら、心当たりが一人だけいるわ」


[12] Re: 遍歴  健 :2026/06/17 (水) 15:34 ID:8PtfgvIs No.32847
土屋様、興味深く拝読いたしました。
母親の人生を知りたいと思うのは素朴な感情だと思います。
同時に思慕の想いに到達するように感じました。続きを楽しみにしております。


[13] Re: 遍歴  愛読者 :2026/06/18 (木) 12:20 ID:CM7vWTFg No.32851
土屋祐一くんは、これからどうなって行くんでしょうか?典子さん、薫さんの何方かに童貞を奪われ食べられてしまうのでしょうか?

[14] Re: 遍歴  土屋 :2026/06/18 (木) 23:43 ID:8E587L5I No.32853
健様 ありがとうございます。ご理解頂きうれしいです。続けてみます。
愛読者様 ありがとうございます。引き続き、お付き合い頂ければうれしいです。一応、裕一は経験済みです。


『だれ?』オレは思わず身を乗り出した。
「落ち着け」典子さんに咄嗟に制される。
ゆったりと微笑んで薫さんが話す。
「私の主人の会社の取引先というか、仕事で付き合いのある女性よ。いまは独立して仕事をしているんだけど、偶然ね、千春の会社の元同期だってことがわかったの。私は会ったことないんだけど、秀島芽衣さんといって、主人が世間話をしているうちに共通の知り合いとして千春が浮かんだらしいの。もちろん、主人は千春のことに詳しくはないから、今の千春の活躍とか、秀島さんと千春が揃っていたなんて優秀な同期だぐらいなことを言ったらしいんだけど、その中でね、秀島さんが『新人の時の千春は本当に苦労もあって、よく立ち直った』って言っていたらしいの。後で主人から、千春が苦労していたらしいねって聞かれて、私、何て答えたらいいのかわからなかった。秀島さんと千春はもう何年も付き合いがないらしいけれど、当時のことを知っている人がいるとすれば、彼女ではないかしら」
オレは震える声で頼み込んだ。
「その人を、紹介してくれませんか」
薫さんは少し考えて、手元のスマホで夫に連絡を取った。
数分後、スマホが震える。
「……主人が、いいって。今度、まずは主人のオフィスを訪ねてみて。秀島さんに繋いでくれるらしいから」

薫さんが日程を整えてくれた次の水曜日。オレは緊張で胃を焼かれるような思いで、薫の夫・間瀬隆介のオフィスを訪ねた。
都心の高層ビルにあるオフィスは、洗練された静寂に包まれていた。
CEOの知人という扱いで、こぎれいな女性に案内されて会社のフロアを歩く。数十人が整理されたように並び、PCに向かっている。この光景が間瀬さんの成功の大きさだと思う。
個室の前で立ち止まった女性が、意外なほど気軽な様子で、「社長、お連れしました」と中に声をかけ、ドアを開けた。
オレは女性に御礼を言って中に入った。
目の前の大きなデスクから立ち上がって、今どきのスーツを着こなし日焼けした中年男性が笑顔で距離を詰めてきた。
「裕一くん、デカくなったな。前会ったのは、たぶん小学生の時だから、当たり前か」
間瀬さんは、経営者らしい落ち着きと包容力を漂わせてオレを歓迎してくれた。
「千春さんと同期だった秀島さんには大体のことは話してある。彼女、少し癖のある人だけど、千春さんの当時のことはよく覚えていると言っていたよ。まぁ、どこまで話してくれるかはわからないけどな」
隆介さんはソファに深く腰掛け、優しさをまとわせた、けれど鋭い眼差しで、オレを見つめた。
「……それで、裕一くん。その、君が母親の過去を熱心に調べているという『趣味』についてなんだが」
オレは心臓が止まるかと思った。用件は薫さんが伝えているとして、オレの下心まで見透かされているのがわかったからだ。
「……一つだけ確認させてくれ。これから先、どんな話が出てきても……例えば、君が抱いている母親のイメージが木っ端微塵に砕け散るような、下劣で醜悪な話が出てきたとしても、君はそれを受け止める覚悟があるのかな?」
『……あります。どんなことでも、母の真実が知りたいんです』
「その場合、知ったでは終われない。知った上で、これまで通りの眼差しを千春さんに向けられるか、ということだよ」。
『それは、むしろ自分自身が変えたくないところです。今までどおりの親子でいたいと思います』
「つまり、母親を欺きながら、平静を装う息子として生きていくということだな?」
そうだ、これは悪魔の契約だ。何が出てくるかはわからないが、知ってしまったら、永遠に知らないフリをしなければならなくなるかもしれなかった。
だが、もう止まれない。
『はい』と、オレは悪魔の契約書に署名した。
「そうか」と言い、間瀬さんが電話をかける。
ビジネスライクな挨拶をし、相手のきょうの予定を確認している。
「千春さんの息子」といった言い回しも聞こえた。
その後、談笑が続き、「では、よろしくお願いします」といって、電話を切った。
間瀬さんがメモを1枚持ってきた。
「秀島さんの連絡先だ。アポを取って、会いに行くといい」。
「秀島芽衣」という氏名と、メールアドレスが書いてある。
受け取る手が震える。
止まれない。進みたい。戻れなくなっても。
社会人になりたてだった母の空白の1-2年を掘り起こすのだ。


[15] Re: 遍歴  スナフキン :2026/06/29 (月) 21:02 ID:KZEWKHP2 No.32890
素晴らしく惹きつけられる文章と、拝読しております。
続きが楽しみでなりません。


[16] Re: 遍歴  土屋 :2026/06/30 (火) 21:43 ID:riwbExkc No.32897
スナフキン様 メッセージをありがとうございます。続けます。


朝のリビング。すでに仕事へと出かける準備を整えた母・千春が、玄関へ向かう足を少しだけ止めて俺を振り返った。
「裕一、きょうパパ帰ってくるからね」
その声はいつもより心なしか弾んでいて、どこか嬉しそうだった。
10日ほどの海外出張から、父が戻ってくるらしい。
「男遍歴」を密かに探り、強烈に関心を引かれているせいか、母が妙に艶めかしく見える。
ブラウンを基調にした、45歳の年相応に落ち着いたオフィスカジュアル。シルエットは今っぽくゆったりしているが、床に置いた大きめのレザートートバッグを持とうと母が腰を屈めた瞬間、丸みを帯びた尻のラインが強調された。45歳という年齢がもたらす程よい肉付きが、かえって熟れた果実のような生々しい色気を放っている。
実の母親をそんな目で見るなんて、息子として、男として、完全にアウトだ。そう自覚しながらも、俺の視線は吸い寄せられるようにその肉体に釘付けになり、喉の奥がカラカラに渇いていくのを止められなかった。
「……いってらっしゃい」
引きつった声を絞り出すようにして声をかけると、母は『はい、いってきます!』と満面の笑みを残してドアの向こうに消えた。
一人残された俺が何気なく冷蔵庫を開けると、そこには驚くほどたくさんの料理が綺麗にタッパーに仕込まれていた。仕事で忙しいはずの母が、合間を縫って夕食のために仕込んだのだろう。手のかかる料理の数々を見つめながら、俺は確信していた。母は、父が帰ってくるのがたまらなく嬉しいのだ。

夕方、スマホが震えた。母からのメッセージだった。
『ごめんね、帰りが少し遅くなっちゃう!』
俺は腹を空かせながらリビングのソファで帰りを待つ。
夜7時半を過ぎた頃、ようやく玄関の鍵が開く音がして、母と父が揃って帰ってきた。
「おかえり」
「ただいま、裕一」
10日ぶりの我が家だというのに、55歳になる父・一郎は、笑顔こそ浮かべているものの、全く抑揚のないいつもの声で答えた。父は、家族から見てもどこかナゾめいた、おそろしくカタブツな男だ。
母は『すぐ準備するね!』と足早に自分の部屋へ戻ると、あっという間に着替えてキッチンに立った。
白いTシャツに髪をざっくりとアップにしたラフな姿。だが、背中を向けてコンロに向かう母のTシャツの下には、キャミソールのラインがはっきりと透けて見えていた。
薄い生地越しに見える、きゅっと引き締まった細いウエストと、そこから滑らかに広がる豊かなヒップの黄金比。腕を動かすたびに、ブラジャーのホックあたりが細かく揺れ、大人の女性特有のうっすら肉の付いた背中がやけに官能的に映る。キッチンに立つ母親の後ろ姿を見つめながら、俺は罪悪感と、この身体が捧げられてきた男たちとの時間に妄想を広げていた。
母は手際よく食事を支度し、30分もしないうちに食卓には豪華な手料理がずらりと並んだ。
久しぶりに家族3人で囲む夕食。
『ねえ、向こうのカンファレンスはどうだった? 』『美味しいもの食べた?』『体調は崩さなかった?』
母は、堰を切ったように父に出張のことをあれやこれやと問いかける。
対する父は、
「ああ、問題なかった」「いや、特には」「大丈夫だ」
と、全ての問いに対して極端に短い言葉で淡々と答えていく。
普通なら会話が途切れそうなものだが、母は嫌な顔一つせず、父の短い答えからさらに質問を紡ぎ出し、彼の言わんとしていることをしっかりと理解しようと耳を傾けていた。
これが、我が家でずっと繰り返されてきた両親のコミュニケーションだ。父はどうあっても、自分からサービス精神を出して面白おかしく話すような真似はしない。母より10歳年上の、優しくはあるが、とにかく堅い男。
若い頃からモテまくり、彼氏どころかセフレの影すらあった奔放な母が、なぜ、こんな面白みのない男を結婚相手に選んだのか。男遍歴を探る俺のルポルタージュも、もうすぐその核心的な答えにたどり着くのかもしれない。そんな予感がしていた。

夕食後、まず父が風呂に入った。
戻ってきたかと思うと、旅の疲れもあるのだろう、大した会話もないままさっさと寝室に引っ込んでいった。
入れ替わるようにして、次は母が風呂に向かった。
リビングに一人残された俺の頭の中に、ふと、ある疑問が湧き上がってきた。
そういえば、なんで帰りが遅くなったんだ?
買い物をしてきたのだろうか。だが、帰ってきた時に見た荷物に、そんな様子は一切なかった。それに、出張帰りの父を買い物に付き合わせるというのは、母の性格からしてないだろう。では、どこかに寄り道したのだろうか。
……もしかして。駅かどこかで合流して、そのままどこかで、父とお茶、いやデート、いや、セックスでもしていたんじゃないだろうか。
一度浮かんだ妄想は、恐ろしいスピードで膨れ上がっていく。45歳の母親と55歳の父親の情事なんて考えたくもないはずなのに、男たちの間を渡り歩いてきた母の過去を知っているせいで、妙なリアリティを持って脳内を支配していく。
母のあの身体が、さっきまで父の腕の中で貪られていたのかもしれない。そう考えると、嫌悪感と同時に、どうしようもないドス黒い好奇心が頭をもたげた。
悶々とした気持ちに耐えきれなくなった俺は、気がつくと、母がシャワーを使っている隙を狙って脱衣所へと忍び込んでいた。
ターゲットは、洗濯物カゴだ。
胸の高鳴りを抑えながら、今日着ていた服の山をあさる。その時、俺の指先が、形のしっかりした何かに当たった。
「……これ、は」
引っ張り出したのは、円筒形の形をした洗濯ネット。ファスナーを開ける。母の、ブラジャーが現れた。
そのデザインに目を奪われる。色はベージュだが、光沢のある艶やかなサテン。表面に蜘蛛の糸のような繊細なレースがあしらわれている。どう見ても普段使いではない、色っぽい代物だった。
膨らむ妄想のままに、対となるもう1枚を探す。紛れているはずのサテンのベージュのショーツ、きっとそれはクロッチに汚れが……。
だが、ない。もう一度、洗濯物を改める。が、ない。ショーツだけが見つからなかった。
なぜ、ショーツだけがないのか。
母が風呂に持ち込んでいる、洗うために。洗うのは、汚れているからに決まっている。
オレの脳が、ベージュのサテンのショーツを履いた母と、その股間ににじむシミを描き始めた時、シャワーの音が止まった。母が出てくる。オレは慌てて洗濯物をかごに戻し、ひっそりとリビングに戻った。
母は父とセックスを楽しんで帰ってきた、オレはそう結論付けた。なぜか苛立つ。どうしようもない届かなさや疎外感。それがドス黒い意志を膨らませるのはあっという間だった。
徹底的に暴いてやる。

深夜、母の空白の時間を証言してくれるであろう、秀島芽衣からメールが届いた。
オレが話を聞きに行く日程の調整を、確定させるものだった。


[17] Re: 遍歴  健 :2026/07/01 (水) 19:40 ID:vi8xPx5E No.32902
これから何があきらかになってくるのだろうと思うと興奮を禁じえません。

[18] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/03 (金) 21:40 ID:pn9TJq4U No.32906
健様 メッセージありがとうございます。励みにします。


その日が来た。
空白の2年間に母の最も近くにいたであろう、元同期の秀島芽衣に会いに行く。
語られるのは、母が親友にさえ明かすことのできなかった秘め事か、仕事に忙殺された当時のキャリアウーマン像か、あるいは、秀島も特別なことを知らない可能性もある。

いまは独立して事業を行っているという秀島の会社は、代官山にあった。
細長いビルの5階。扉を開けると、そこはオフィスというより、趣味のいいリビングのような空間だった。壁一面の本棚、使い込まれた革のソファ、そしてアロマの香りが漂う中に、雑味のようにほのかなタバコの残り香があった。
こんにちは、と声をかける。
「はい。土屋くんね?そこ、座って。今、一段落させるから」
デスクでキーボードを叩いていた女性が、こちらも見ずに言った。
お忙しいところすみません、と謝って、ソファに腰を下ろす。
画面に向かっている女性を眺める。秀島芽衣。黒髪のボブに金縁のスクエアなメガネが丸みのある顔に似合う。画面を見る目は細く、どこか世の中の裏表を見尽くしたようなスレた印象を与える。
すると、彼女は立ち上がり、コーヒーを淹れ始めた。ふくよかな体型だが、ベージュのパンツスーツを着たその身のこなしには無駄がない。
「アシスタントがやめちゃって、ごめんなさいね。ちょっとだけ待って」
お忙しいところすみません、ともう一度謝る。

秀島がカップを2つ持ってやってきて、オレの前にコーヒーを置いた。
彼女はオレの正面に座ると、メガネの奥からじっと見つめてきた。
「……ふーん。千春ちゃんに似てるわね。目なんてそっくり。で、君もモテるわけ?」
値踏みするような視線。オレは言葉を返せない。
一重まぶたに鋭い目つき。どこか人を寄せ付けない雰囲気を醸しているが、不思議と嫌な印象は受けない。母や典子・薫のような、たいていの男が認めるわかりやすい美人とは違う、なんとも言えない色気を醸す女性だ。
オレが言葉を繋ぐ前に、秀島は自分で話し始めた。
「話はだいたい間瀬さんから聞いてるわ。自分の母親の、過去の男関係を嗅ぎ回るなんて……。君、ずいぶん悪趣味よね」
秀島は、面白がるように、けれど確かな軽蔑を含んだ薄笑いを浮かべた。
オレは鼓動を抑えきれず、観念したように深く頭を下げた。
『……否定できません。自分でも最悪だと思っています。でも、どうしても知りたい、聞かせて欲しいんです。母が新人の頃、何を経験したのか』
「もちろん、構わないわよ。間瀬さんの奥様、君のお母さんと親友なんでしょ?私はね、そういうのではないの。千春ちゃんとは同期入社だったけど、仲よくしていたわけではなかったし、わかり合ったこともないわ。だから遠慮しない。知っていること、垂れ流してあげる……きっと、君のその最悪の趣味にピッタリの話になるはずよ」

本命だ。この人こそ、オレが求める話を掴んでいる本物の証人だ。

「……その代わり、一つだけ忠告させて。これは、君にとって、聞かなければよかったと思えるような、最低で、救いようのない話になるわ。それでいい?千春ちゃんが恥をかくのは構わないとしても、前途ある若者が母親不信になるのは忍びないでしょ」
大丈夫だと、言ったか言えなかったか、とにかくオレは、深く頷いた。
秀島が満足そうに笑う。
「……千春ちゃん。あの頃の彼女は、みんなが言うような完璧な女じゃなかった。……致命的に、男を見る目がなかったのよ。……いいえ、違うわね。男次第でどこまでも流されてしまう、芯のない空っぽの女だったの」
秀島は、吐き捨てるように言った。
今まで誰からも聞いたことのない、母への辛辣な評価。語られるのは母の秘め事だと確信する。オレは、鼓動が胸を打つのを感じていた。


[19] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/10 (金) 21:33 ID:/s2UYcao No.32932
あれは私たちが社会人1年目の、とにかく仕事に追われて、忙しくて自分を見失いそうだった頃の話。と、秀島は語り始めた。

千春ちゃんはね、最初から際立つ存在だった。美人でおしゃれで、気が利いて。すぐに花形部署に配属されて、みんなに可愛がられていた。私も、男たちから彼女を紹介するように何度言われたことか。紹介できるほど仲よくないって返していたけど。私は最初広告担当でね、彼女のことが羨ましかったんだわ。
秋を過ぎて、年末が近づいたころ、私と千春ちゃんはあるプロジェクトで一緒になった。彼女は原作、私は広告担当で。私たちは研修以来、久しぶりに近くで接することになった。実は少し意外だったわ。私の知っている千春ちゃんのキラキラした感じがなかったから。その時は、彼女も仕事に揉まれて大変なんだとしか思わなかったけれど、ある晩、声をかけられたの。『芽衣ちゃん、たまには飲みに行かない?』って。私はOKした。断る理由もなかったし、あの水野千春が自分から誘ってくるなんて、悪い気がしなかったから。

水野は母の旧姓だ。語られているのは、オレの存在しない時間の母の姿なのだと実感する。

千春ちゃんに連れて行かれたのはね、と秀島が続ける。

赤坂にある暗く静かな個室の居酒屋だった。花形部署との差を見せつけられた思いがしたわ。千春ちゃんは普段からこういうところで飲んでいるんだって。私が取引先と行く店はもっとずっと雑多で気安かったから。とりあえずビールで乾杯して、「久しぶりね。声かけてくれてありがとう、うれしい」って、最大限感じよく、親しい同期の女子を装った。だって、対等でいなくちゃ情けないじゃない。
『こっちこそ、ありがとう。パーっと飲みたくって』
その千春ちゃんの言葉に、私は違和感を覚えた。ただ楽しくしたいなら、こんな店を選ぶはずない。パーっとしたくなる、何かを抱えているんだと思った。
「千春ちゃんにもそんな時があるんだね。パーっと飲も飲も。溜まってること、吐き出しちゃお」
私は親友に立候補するような態度で、千春ちゃんの内側をのぞくことに決めたの。

最初は仕事の話をした。私はそれしか関心がなかったから。水野千春が実は仕事に悩んでいるなら、面白いじゃない。でも、どうも違う。出てくる話は順調そのものだった。
なんだ、悩みは男かと、残念に思ったのを覚えている。その類の話は私には関係がない。だから、ただ彼女の不幸を嗅ぎ取りたいためだけに、「彼氏とはどうなの?」と聞いた。
『彼氏なんていないよ。入社してからすれ違っちゃって、配属されてすぐ別れた』
「そっか、忙しいもんね。千春ちゃんなら、また素敵な人が現れるわ」
私は適当に返した。
少し間が空いた。
「ねぇ、千春ちゃん、パーっと飲みたくなるような何か、吐き出せてる?」
『え?楽しいよ』
「私、まだ何か、聞けていないんじゃないかと思って」
『やっぱり鋭いな、芽衣ちゃんは。さすが、同期一の才媛ね』
こういう一言が本当に嫌な女よ。私がうれしくなってしまったから。
彼女は続けた。
『吐き出したいのに話すのが怖くて迷っていたんだけど。私ね、家に帰りたくないの。…嫌な男がいて』
私は一瞬、混乱した。でも、すぐに、家に彼氏とは呼べない男がいて、好ましい関係ではないのだと理解した。それで思ったの。これは、水野千春の内側をのぞく入り口が開いたんだって。そこからは寄り添う親友のフリよ。優しく、丁寧に話を聞いて、千春ちゃんのみっともなくて惨めなエピソード1つでも取れれば成功と思ったわ。

「男って、彼氏ではないのね?」
『うん、そうなの。彼氏ではなくて。家に居ついちゃって』
「つまり、男女の関係ってことよね?」
『そう、…そうなっちゃったの。認めたくないけど』
「何が嫌なの?」
『すべて、すべて嫌なの』
「難しいのかもしれないけど、その人から離れられないのかしら?」
『離れたいよ、今すぐ離れたい。だけど、出て行ってほしいって言っても、いつもはぐらかされて終われなくって。もうどうしたらいいんだか』

初めて見る、千春ちゃんの追い詰められた顔。だけど、それがきれいだったのよ。女の私から見ても艶かしくて。そのまま視線を下ろして、彼女の身体を見たわ。白いブラウスに押し込まれて窮屈そうにしている胸、一点を目指すようにラインが収束するウエスト、タイトなスカートが明らかにしている丸く張ったお尻。組んだ脚の筋肉と足首はヒールと一体化した造形のようだった。この身体が、本人の望まない男に好きにされている。明らかにおかしな話よ。
それで思ったの。この話を解き明かすことは、水野千春を踏みつけるチャンスなんじゃないかって。

オレに語る秀島が歪に笑う。その淫靡な表情に、母を辱めて欲しいという期待が暴走しようとしていた。


[20] Re: 遍歴  スナフキン :2026/07/11 (土) 11:53 ID:4foysDFM No.32933
予想外の展開です。楽しみでなりません。

[21] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/07/11 (土) 11:56 ID:F7BxavFg No.32934
いい感じですね。千春さんがどのような人生を送ってきたのか。楽しみです。

[22] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/11 (土) 21:33 ID:XUA9kpmE No.32937
スナフキン様 楽しみにして頂けて幸いです。続きです。
一寸法師様 ありがとうございます。お言葉を励みに進めます。


男の名前は、藤野といった。千春ちゃんとは就職活動のイベントで知り合っただけの、ただの同学年。もちろん別の大学。当時は情報交換ていう名目で、就活で知り合った学生同士がよく連絡先を交換していたの。だけど、その後も連絡を取るなんていうことは希で、千春ちゃん自身、藤野のことは忘れていたって言ってたわ。

ところが、入社後の新人研修が終わって、配属されてしばらくしたころ、連絡があったって千春ちゃんは言った。

『蒸し暑くなってきた頃だったの、突然メールが来て。「就活イベントで一緒だった藤野です。友達から、水野さんが出版社で活躍しているって聞いて、色々教えて欲しくて連絡しました」って』

私は、そのメールで男のことを思い出したのか聞いた。

『思い出せなかった。そのイベントは覚えていたけど、藤野くんのことは忘れていたの』
「それで、何て返事したの?」
『私は電話で話すぐらいのつもりで返したんだけど、会うことになって。会えないかって言うから』

私は驚いた。忘れてしまう程度の相手と、わざわざ会わないでしょう。どうして会うことにしたのか、聞いたわ。
千春ちゃん、少し考えてから、『今思うと』って付け加えて言った。

『助ける側になりたかったんだと思う。彼氏と別れて1か月ぐらいで、仕事はいっぱいいっぱいで。話を聞かせてって求められるのは、悪い気がしなかった』
「肯定される気がした?」
『…うん、そう…』

私には、既に彼女が惨めに見えていたわ。自分の価値の承認を、そんなワケのわからない男に求めるなんて。だから、もっと貶めてやろうと思った。

「千春ちゃん、聞かせて。何があって、いま、どうしているのか。私、ただ聞くよ」

ありがとうって言って、彼女は話し始めた。醜悪極まりない転落を、物語であるかのように。

『藤野くんとは、表参道のイタリアンで待ち合わせたの。仕事の後で行ったら、もう座っていて。金髪で、根元が黒くなってて、ヨレたTシャツに破れたジーンズだった。顔は、見ても思い出せなかった。あっさり顔だからかな。色白で、まぶたの重そうな目をしているの。無精髭で、お店では浮いていたかな』

もう形容の全てが、冴えない男を描いていたわ。

『藤野くん、私のことをスゴイスゴイって言って、自分は就活うまくいかなくてバイトなんだって。だから私、言ったの。就活は縁もあるから、またチャレンジするんでしょって。そうしたら、一気にしゃべりだした。マスコミ志望で、就職留年も多い業界だからきっと大丈夫。今回は面接官が話の通じない人間で、くじ運が悪かったって言うの。私すぐに、あぁ、この人の感覚は私たちとは違うんだって思ったよ。だけど、そうも言えないから、今はどんなことをがんばっているの?ってきいた。そうしたら、こうやって成功した人に会ってアドバイスもらってるって。だけど、藤野くん、一度も私に質問しなかった。結局、自分は能力があるのに認められないだけ、わからない相手が悪い、世の中が腐っている、そんなことを並べ立てるだけだった』
「その男、本当に最悪ね」
『私もそう思って、ほどほどにして早めに帰ろうと決めた。明日も早いからそろそろって。だけど、もう少し聞いて欲しい、アドバイスが欲しいって、繰り返しで。気がつけば閉店時間。追われるように店を出て、地下鉄に乗った。藤野くん、同じ路線だって言うから。それで一緒に数駅乗って私が先に降りて、地上に出て歩き始めた時だった。水野さんて、呼び止められたの。藤野くんだった。私が驚くと、すぐに謝ってきて、どうしてももう少し話したくて降りてしまったって。明日早いから無理って断った。そうしたら、あと少し話せたら何か見つかる気がする、だから見捨てないで欲しいって。だけど、もう近くに開いているお店なくて』

千春ちゃんはそこで黙った。
私は待った。

『…藤野くんが、水野さんの家に寄っちゃダメかなって。少し話せたら、すぐ帰るからって。…それで私、30分だけならって言ったの』

それを聞いて卒倒しそうになったわ。そんな底辺の男を自分の家に招くなんて。
千春ちゃんにあったのは、見捨てたと思われたくないっていう見栄と、自分に邪気が向けられることなどあるはずがないっていう自惚れだけ。この時、多分本当に、そんな最低の男と自分が肉体関係を持つことになるなんて、思っていなかったのよ。


[23] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/07/12 (日) 19:11 ID:iBWAuTBA No.32939
そのころの千春さんは男を一人暮らしの女性の部屋へ受け入れる女性だったのですね。
まだ世間知らずだったのでしょうか?
千春さんの人生の中で一番イレギュラーな時期だったのですね。
更新を楽しみにしています。


[24] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/18 (土) 18:33 ID:F9VE2n/. No.32969
※このコンテンツに登場する人物は全員が仮名で、実在の人物・団体とは一切関係ありません。一部に過激な表現が含まれますのでご注意ください。

一寸法師様 ありがとうございます。更新します。


千春ちゃんのマンションは都心に程近い住宅街にあった。藤野はその立地に感嘆した。
オートロックを抜けて、2人でエレベーターに乗り、部屋に入る。一人暮らしには十分な1LDK。千春ちゃんがコーヒーを淹れている間、藤野は物珍しそうに部屋を見回していた。

マグカップを渡すと、藤野がしゃべり出した。今度は質問だった。
「水野さんは俺の強みは何だと思った?」「俺が人より優れているのはどこだろう?」「俺を求めてる企業はどこだと思う?」
すべてが自分への承認を求めるものだった。
だけど、そもそも藤野に認められる点なんてなかったから、千春ちゃんは適当に合わせた。
「これからのことを考え続けているのは、思考力があるからだ」とか、「積極的に人に関わろうとする姿勢は、どんな仕事でも強みになる」とか。
ちやほやされるばかりのお姫様は知らなかったの、その程度のお世辞や建前すらラブコールとして受け取る種類の人間がいることを。

藤野は千春ちゃんの隣に擦り寄って、お礼を言った。
「ありがとう。俺の力を認めてくれるのは水野さんだけだ」って。
ここでやっと、千春ちゃんは距離の詰め方を怖いと感じた。でも、もう遅かった。
藤野が肩に腕を回して、千春ちゃんの頭を包もうとしていたの。
『いやっ』
さすがのお姫様も慌てた。力の限り突き放して、脱出した。当たり前よね、誰だってそうするわ。
だけど、おそらく藤野はショックを受けた。自分を認めたはずの女が裏切ったと捉えたんじゃないかしら。

「なんで?水野さん、俺のこと、認めてくれてるんだよね?励ましてくれるんだよね?」

千春ちゃんはやっと自分のミスに気付いた。

『ごめんね、藤野くん、そういうつもりはないから。きょうは帰って。ごめん。本当に。相談ならいつでも乗るから。だから、きょうはもう帰って』

千春ちゃんは懇願した。
藤野の顔から表情が消える。
立ち上がって、1歩2歩と近づく。
次の瞬間だった。
パチンという音がして、千春ちゃんの目の前で火花が散った。床に手をつく。
それで千春ちゃんは、頬を叩かれたことを理解した。
痛い、という声は出なかった。
生まれて初めて、力を行使されたショック。
そして、藤野が怒鳴り声を上げた。
「馬鹿にするなよ!俺を見下すなっ!いい気になって他人を馬鹿にして、満足かよ!!俺だって、俺だって、俺だってさぁっ!!」

藤野は、千春ちゃんの両肩を掴んだ。体重をかけ、そのまま床に押し倒した。
『い、やぁっ』
千春ちゃんも抵抗するけど、男の力には敵わない。藤野の指が千春ちゃんの白いブラウスのボタンにかかる。
『やめてっ、やぁっ、やめっ、てっ』
逃げようと身体をよじる。でも、藤野の体重で自由が効かない。ボタンはあっという間に全て外された。
線の美しい鎖骨が現れる。
藤野はそのままブラウスを剥ぐと、躊躇いもなくキャミソールをまくった。奪われないようにする千春ちゃんの腕をとって、片方ずつ抜く。
千春ちゃんの上半身に残ったのは、他人に見せるはずのなかったパープルのブラだけだった。
「なんだ、水野さん、下着、ちゃんと準備してくれてたんじゃないか」
『やめて…お願い、藤野くん…』
震える声で拒絶しても、男は止まらない。
藤野の骨ばった手が、ブラごと千春ちゃんの豊かな胸を掴む。指が食い込む。
『痛い、痛い、ってぇ』
「うあ、大きいっ、大きいね」
藤野の右手が薄い紫の肩紐にかかる。
「水野さんの勝負下着、キツそうだから外してあげるよ」
『やめてっ』
千春ちゃんの抵抗でうまくいかない。藤野は肩紐を諦めて、両手を背中に回すとホックを探し始めた。
「大丈夫だよ、もうすぐ、水野さんの期待通りだから」
『や、だめ、だめ』
プツッと音がして、千春ちゃんの胸が軽くなった。
「ほらぁ」
藤野がカップをまくる。裏返ったブラが千春ちゃんのアゴの下で涎掛けみたいになる。
「水野さん、きれいだ。こんなにきれいだなんて。ココ、ピンクだよ」
千春ちゃんはブラを元に戻そうとする。
藤野が抜け目なく制し、そのまま千春ちゃんのこぼれるような胸を直につかんだ。
「おほおっ、すげっ、やわらけえっ。なんだこりゃ、なんだこりゃっ」
『やめて、お願い、やめてっ』
「大丈夫だよ。もう大丈夫だから。気持ちいいでしょ?気持ちいいよね?」
藤野は千春ちゃんの胸を揉んだり潰したり、ピンク色の乳首を転がしたりした。
千春ちゃんは抵抗していたけれど、体力だって消耗していく。
「よし、水野さんが楽しみにしていたことしようか」
藤野は膝立ちになり、破れたジーンズを下ろし、下着も脱いだ。千春ちゃんの目の前に、藤野の忌まわしい執行具が姿を現した。


[25] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/07/24 (金) 09:42 ID:0GlQdqKs No.33001
藤野との関係は千春さんにとっては黒歴史だと思いますが、そこから脱却して現在の「幸せ」があるのかと想像しています。更新を楽しみにしています。

[26] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/24 (金) 19:35 ID:X/cgG.rs No.33002
一寸法師様 いつもありがとうございます。続けます。


藤野にとって、それは処刑だったんじゃないかしら。

千春ちゃんを押さえつけ紺のフレアスカートをめくり上げると、ベージュのストッキングに覆われた千春ちゃんの下半身が露わになった。藤野はストッキングを脱がせようとするけれど、長い両脚が抵抗する。藤野は苛立って、強引に引っ張る。
ビリっと音がしてストッキングが破けた。それが合図かのように、藤野は更に破いて、彼女の股間の周りを露出させた。
『いやぁ、やだっ。やめて、やめてぇ』。
ストッキングに開いた大きな穴に、レースに飾られたパープルのショーツと、血管の透き通る2本の大腿が現れた。
「水野さん、パンティーもブラとお揃いにして、マジでそのつもりだったんでしょ?もうすぐ叶えてあげるからね」
千春ちゃんは呻きながら、首を横に振った。
構わずに、藤野の手が千春ちゃんのショーツのクロッチを横にズラす。
現れた彼女の体内への入り口。
そこに藤野は自らの執行具をあてがった。
『ダメダメ、お願い、藤野くん、やめて、入れないでっ。こんなの、嫌っ。待って、ダメっ、入れちゃ、やっ、やぁっ』
先端が侵入を始める。
「まだ、締まってるかな。ちょっとがんばろうね」
藤野が強引に腰を押し付けた。
『あ、あ、痛いっ、いぃっぎっ、痛い、痛い。いだっ、いたぁいぃっ』
準備もないまま入れられることがどれほど苦痛か。男にはわからないでしょう。
千春ちゃんの身体の中に、藤野のアレが全て押し込まれた。
「水野さん、ひとつになれたよ。どう?まだ乾いてるけど、そのうち気持ちよくなってくるから」。
千春ちゃんは目をぎゅっと閉じて、藤野の腰の運動に耐えた。動かれる度に激痛が走る。
藤野の息が弾んでくる。
「あぁ、だぁいぶスムーズになってきた。水野さん、感じてきたんでしょ?」
千春ちゃんは答えない。
「いいんだよ、声を出して。今は気を張らなくていいから。俺が水野さんの心も身体も受け止めてあげるよ」
本当に救いようのない獣物。
でもね、この時だった。

千春ちゃん、自分の中に違和感が生まれたって言った。
ふと、凄惨な現状を上から見下ろすような自分が現れて、藤野の痩せた背中と前後する尻、その下で顎を上げて仰け反り、シーツを掴み、脚を広げて揺らされる自分自身を見た。想像を絶する屈辱と惨めさ。それなのに、その惨状に、恍惚とする感覚に気づいた。
次の瞬間。

「あ…はっ、んっ… 」
女の声が漏れてしまった。
当然、藤野が気付く。
「ああ、水野さん、やっと正直になったね。いやらしいなぁ」
『んっ、んっ、んんーっ』
「いいんだよ、もっと声出して。気持ちいいなら、そう言わないと」
『だ、だめ、だめぇっ、んぐっ』
「もう、水野さん、ほら、もっと声出して」
藤野の腰がペースを上げる。
『んあっ、んあぁー、あっ、あぁ、あぁ』
「水野、さんっ、どう?俺の、どう?」
『嫌っ、んがっ、あっ、ヤダ、ん、んんっ』
「ヤダじゃないだろぉ?どうなの?言えっ」。
『んっんっ、んんっ、あっ、あっ、いっいっ』
「言えって」
『いんぎぃっ、イイ、イイ、き、きもち、いいぃ』
千春ちゃんの全てが崩れ去った瞬間だった。
「水野さん、ほら、俺たち相性いいだろ?」
そう言うと、藤野はまた千春ちゃんの胸を掴んで揉みしだき、ピンクの乳首に吸い付いた。
『あぁ、あー、イイ、あぁん、あぁ、イイよぉ』
「水野さん、応えてくれるんだね。最高だ。あぁ、スゴイ。愛してあげるよ」

藤野がより深く、腰を使う。
「んん、締まりがいいね」
千春ちゃんの胸を舐めたり吸ったり弄ぶ。
『はっ、はぁ、あ、あふ。はぁん、あぁ』

藤野の息遣いが荒い。
「ふー、水野、さん、俺もう。このまま、いいよね?俺の、あげるから」。
快感に浸り始めていた千春ちゃんは慌てた。中で出される。
『ダメッ、中は、本当にダメッ、やめて、お願い、藤野くん、中は、ダメェッ』
「え?ダメ?あ、出る。間に合わない。このまま、水野さんっ、出すよ。あっ、くっ、ぎ、い、いぃ」
パンパンに膨れた藤野のモノが脈打つ。注ぎ込まれる最底辺の男の種。
『だぁ、あっ、あぁっ、だぁめぇ。おぁ、おあぁぁ、おぉー』
千春ちゃんはお腹の中で迎えるしかなかった。

行為が終わると、藤野は千春ちゃんに擦り寄った。
「ごめん、水野さん。俺、どうしても我慢できなくて。驚かせちゃったよね。ごめん。でも、うれしいよ。俺のこと受け入れてくれて。最高に気持ちよかった、水野さんの中。俺、いま幸せだよ」。
そう言って、千春ちゃんの首筋から鎖骨、乳房へと唇を這わせた。藤野の左手は千春ちゃんのお腹から下腹部を撫でていた。まるで、自分の種が育まれるのを念じるように。
その間、千春ちゃんはただ天井を見ていた。どこを見るでもなく、見ていた。
藤野が千春ちゃんの唇に唇を重ねた。彼女はもう逃れようとすらしなかった。


[27] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/25 (土) 11:03 ID:874d0Qq6 No.33006
「震えているわね」
秀島に指摘され、上下する膝と制御できないほど揺れる上体に気づく。呼吸がうまくできない。
オレを産む前、母はアソコに、父ではない最低の男の種を注がれていた。
股間が痛いほどになっている。
秀島が、オレのズボンの膨らみを一瞥する。
「まぁ、コーヒー飲んで、少し落ち着きましょ」
穏やかな目を向けられた。

「私ね、君が生まれたから、編集者になれたの」

オレは目線で疑問を示した。

「千春ちゃんが結婚して妊娠してお休みに入って、花形部署で要員の補充があってね。それで、かねてからの私の希望が叶えられた。千春ちゃんがいなくなったから、道が開けた。こんな屈辱ないわ。でも、せっかく掴んだチャンスだったから、精一杯仕事した。それでわかったの、千春ちゃんには敵わないって。君のお母さんはね、仕事にかけては天才なのよ。誰にも媚びず、腕力も振るわず、ただ存在するだけで人を動かせる。中身がないくせにね。水野はこうだった、こうしていたって言われて、随分心をすり減らしたわ。だから、彼女の復帰が決まった時、私は会社をやめた。出版社の最前線を経験できたし、新人の時からの広告とか宣伝のスキルはあったから、掛け合わせた方が強くなれるって思ってね。今、それは正解だったって思ってる。業界と切れたわけではなかったから、お母さんのウワサは伝わってきていたわ。どれも、天才だと思った私の直感を裏付ける話ばかり。独立すればいいのにね」
最後は独り言のようだった。

秀島が一口コーヒーを飲んだ。
「少しは落ち着いた?」
口をついて出たのは、疑問だった。
『その、母は無理やり犯されたってことですよね?警察に行かなかったんですか?』
「確かに、今の感覚ならそうするわね。でも、あの頃は違った。犯された女の訴えなんて、まだ不当に扱われる時代だった。だいたい、あのプライドの高い千春ちゃんが、家に上げた男に犯されましたなんて、訴えられるわけがない。それに、何よりね、千春ちゃんはこの話を被害としては語らなかった。経緯を明かしただけ。だって、藤野との関係は、それが始まりだったんだから」。
『なんで、暴力を振るわれて無理やりされて、気持ちも何もないのに、母はそんな男と関係を続けたんですか?』
「そうよね。当然そう思うでしょ。大丈夫よ、話はまだ続くから」

穏やかだった目がどこかを眺める。
笑みを押し殺したような表情で、秀島は再び話し始めた。


[28] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/07/25 (土) 17:57 ID:wk5ZMaiQ No.33007
秀島さんの千春さんへの複雑な想いは、人間ならば誰でもが持ち合わせる、
ある意味自然な感情だと思います。
私の過日の経験と重ね合わせて感慨深く拝読いたしました。
引き続きよろしくお願いいたします。


[29] Re: 遍歴  土屋 :2026/07/28 (火) 21:30 ID:.AQ2L/qo No.33019
一寸法師様 共感を寄せて頂きうれしいです。ありがとうございます。


出来事の翌朝。千春ちゃんが目を覚ますと、穏やかな表情の藤野に見つめられていた。
「おはよう」と声をかけられ、つい、『おはよう』と返す。
布団の中で藤野が今も裸であることに気づき、悪夢が蘇る。
千春ちゃんは重い身体を起こすと、片付けを理由に藤野をダイニングに追いやった。
床に落ちたパープルのブラを拾う。揃いのショーツを探すと、少し離れたところにあった。投げられたのだろう。
内側を確認する。濡らした痕はない。少しの安心と強烈な苦味を覚えた。
洗濯物をまとめ、最後にシーツを、目を逸らしながら剥がした。あの時、藤野に出された体液が膣からこぼれ染み付いているとわかっていたから。
身支度を整えて、鏡をのぞく。幸い、藤野に叩かれた左頬に痕はなかった。

藤野を促し、二人で家を出る。
駅で別れる時、千春ちゃんは藤野に『昨夜のことは忘れて、なかったことにしよう』と伝えた。彼女にとっては、悪夢を水に流す最大限の譲歩だった。
藤野は寂しそうに笑った。
「水野さんが忘れたいなら、俺もなかったことにするよ」。
それで二人は別れた。
あとは、きのう藤野に会う前の気持ちに立ち戻ればいい。千春ちゃんは自分のためにそう割り切った。それで収めるはずだった。

ところが、その日の夜。
帰宅して洗濯をし、部屋を片付けていると、インターホンが鳴り響いた。
モニターに映っていたのは、なかったことにしたはずの、藤野だった。
『……何しに来たの』
受話器越しに、千春ちゃんは拒絶するつもりで言った。
藤野は紙袋を掲げて、消え入りそうな声で言った。
「お詫びを持ってきたんだ。なかったことにするってわかってるけど、これだけは渡したくて……」

そんなの、怒るか拒否して追い返すに決まっているでしょう。だけど、彼女はオートロックを開けた。どこまでも想像を裏切る女よ。なぜそんなことをしたのか、自分でもわからないって振り返った。
だから、きいたわ。「その時、何を思っていたの?」って。

『前の日に藤野くんに無理やりされた時に、私、自分を上から見下ろした気がしたって言ったでしょ?あの光景、思い出してた』

「レイプされる自分を思い浮かべて、それなのに、開けた?」
オレは捻れた思考をそのまま口にした。
秀島が鼻で笑う。
「千春ちゃんはね、あの悪夢に、何か引かれていたってことよ」

ショートパンツをデニムに履き替えて玄関のドアを開けると、藤野は申し訳なさそうな顔で立っていた。
「……これ」
手渡されたのは、都心の有名なケーキ店の紙袋。
結局、千春ちゃんは藤野を部屋に入れて、二人でケーキを食べた。白いクリームが滑らかで甘かった。藤野に気に入ったか聞かれて、『おいしい』とだけ答えた。
それで、『食べたら帰って』と言ったらしいけれど、その言葉の空虚さは本人が一番わかっていたんじゃないかしら。

ケーキを食べ終えると、案の定、藤野は千春ちゃんとの距離を詰めてきた。
「水野さん、きのうのことはなかったことにするってわかってる。だから、なかったことにして、もう一度始められないかな」
藤野は、ソファに座る千春ちゃんの足元に座り込み、スリムなデニムの脚に頬を擦り付けた。
『……やめて。帰ってって言ったでしょ』
口では拒絶しながら、突き放しはしなかった。
藤野の手が、デニムパンツの上から千春ちゃんの太腿を撫で上げる。厚い生地の向こうから届く感触に、かえって感覚が繊細になった。
藤野の骨ばった手の温かさを感じる。前夜の粗暴な振る舞いとは違う、女の身体を労るような執拗で優しい愛撫。
「昨日はいきなり過ぎたから……。今日は、水野さんを世界で一番幸せにしてあげたいんだ」
千春ちゃんは今から起こることを悟っていた。


[30] Re: 遍歴  スナフキン :2026/08/08 (土) 09:05 ID:FscY/Spw No.33054
進行を楽しみにお待ちしています。

[31] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/08 (土) 19:14 ID:uAlrjya6 No.33056
スナフキン様 ありがとうございます。お言葉を励みに話を進めてまいります。


床にいた藤野がソファを這い上がると、二人が横並びになった。
『やめて、本当に、藤野くん……』
拒絶は弱々しくて、もはや意味をなさない。
水色のストライプのゆったりしたブラウスのボタンに、藤野の指がかかる。一つずつ、穏やかに外されていく。千春ちゃんは、それを見ているだけだった。
前が開くと、藤野は流れるようにブラウスを脱がせ、そのままキャミソールをたくし上げる。千春ちゃんに万歳の格好をさせて、それを抜き取った。現れたのは、張りつめた膨らみを覆う淡いブルーのブラジャー。藤野がその上に手を置く。
愛撫が始まった。
「水野さんの下着、今夜も俺好みだよ」
『ねぇ、やめて、きのうのことはなかったことにするって言ったでしょ。もうやめて、ね』
「もう一度始めたいんだ。昨日より落ち着いて水野さんが感じられるようにするから」
藤野の手が、ブラの上から包むように、両方の胸を揉む。千春ちゃんの乳房は、踊らされるように形を変えた。
藤野の口が接近する。千春ちゃんは目を閉じた。唇が重なり、侵入した舌に舌を舐められる。コーヒーとタバコの味。不快感に、千春ちゃんは思わず表情を歪めた。
でも、藤野の手が背中に回ってブラのホックにかかると、それを外させるための姿勢を、千春ちゃんは自分からとった。ブルーのカップが剥がれ、肩紐が腕を離れる。
豊かな乳房が、再び藤野の前にさらされた。
「うはぁ、くく。水野さんのこのコたち、きょうも俺のにしていいんだよね」
藤野の舌が、重力に逆らう膨らみを這う。頂点に辿り着くと、蕾を転がすように舐め上げた。千春ちゃんは顔を背けた。奥歯を噛み締める。
『……あ、……んっ……』

藤野との二度目、
『最初から感じた』って千春ちゃんは言った。
もしかすると、前日の悪夢より、この時の方が千春ちゃんにもたらしたものが大きかったんじゃないかって、赤坂の店で聞きながら思ったわ。

「声、聞かせて。水野さん。ゆうべ求めてくれたでしょ。あの声、出してよ」
『ん、ん。いや、出さない。ん、出さないもん』
「なんで?いいんだよ、遠慮しなくて。俺、どんな水野さんでも受け止めるから」
藤野が千春ちゃんのデニムのボタンに指をかけた。もう一度キスをしながら、ボタンを外し、ファスナーを下ろす。ウエストに手がかかると、千春ちゃんは自分で腰を浮かせた。スリムなデニムが引き下ろされると、淡いブルーの光沢のあるショーツが現れた。
藤野の指が、千春ちゃんの閉じた腿と腿の間に差し込まれる。
骨ばった指が、ショーツの上で折れたり伸びたり、中央の谷をなぞったりする。
『ふあぁ……っ! ……んあぁぁっ!!』
千春ちゃんは顎を上げて、背中を反らせていた。
「水野さん、もう、もう濡れちゃってるじゃないか。こんなに欲しがっちゃってるよ。きょうも俺のが欲しいんでしょ?」
『……ち、ちがう……っ!ん、ん。 ……た、ただの、生理現象だもんっ!』

違和感しかなかったから、質問した。どうして、それほどよがったのかって。
『藤野くんの自由にされる、使われる感じが、ああいうの初めてだったから、私ヘンな感じになっちゃって』って言った。
使われるって、道具かよって思ったわ。
ただ、思えばこの言葉は象徴的だった。水野千春って女の本性がわかるのよ。
「どう使われたの?」ってきいたら、
『下着の隙間から指を入れられて…』って。
この時の千春ちゃん、うっすら笑っていたんだから。

『はあぁ、あ、ん……。ん……』
「水野さん、見て。俺の指、飲み込まれちゃった。やっぱり、この中は二人で愛し合いたいって言ってるよ。」
千春ちゃんは手で口を押さえながら、首を横に振った。
すると、藤野は次の要求を口にした。
「ねえ、水野さん、きのうから水野さんばかり感じているからさ、ちょっと不公平じゃないかな……愛情を行動で示すって、お互いにとって大事だと思うんだ。俺の、舐めてほしいな」
それはもう、処刑ではなかった。千春ちゃんが道具になるかならないか、いわば突きつけられた踏み絵だった。


[32] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/11 (火) 23:59 ID:b0dQL15Q No.33068
藤野はソファの前に立って、昨日と同じジーンズを下ろし、下着も下げて、前夜に使った執行具を再び千春ちゃんの前に突き出した。
「水野さん、いいよ。口で慣らしておいた方が後で一つになりやすいでしょ?」
千春ちゃんは顔を背けている。
「恥ずかしがらないで。俺のコレで、二人で愛し合うんだから」
千春ちゃんは動かない。
藤野は彼女の右手をとって、それを握らせ、そのまま扱くように動かした。
「水野さん、快楽のために愛があるわけではないけれど、愛のために相手に快感を与えることは大事だと思うよ」
藤野は呼吸を荒くしながら言った。
千春ちゃんは俯いたまま。
藤野は左手で彼女の右手を操りながら、右手で乳房を弄る。
『んんっ』
千春ちゃんが声を漏らす。
「ごめんごめん、お説教なんてよくなかったね。水野さん、楽しくなくなっちゃうよね。難しいことはなしにして、いいから味わってごらん」
藤野はそれを、千春ちゃんの口に当てがった。
「まず、ベロで、少し味見して」
千春ちゃんが動きを鈍くしていると、藤野のそれが唇に押し当てられた。
どうにもできず、千春ちゃんはわずかに舌を出して、舐めた。
「ふうっ、そう、いいね。恥ずかしがらないで。もっとベロ、出せる?」
わずかに舌を伸ばす。
「よし、根元から先っぽまで舐めてみて」
もう言われた通りにするしかなかった。
千春ちゃんは藤野の股を見上げる姿勢にさせられて、顎を上げて、藤野のそれを舌でなぞった。
「あぁ、そうそう、あはぁ、もう一回、して」
同じことを繰り返す。
「次は先っぽをさ、ペロペロって」
千春ちゃんは舐めた。目だけは逸らしていた。
「水野さん、どう?俺の、どんな味?」

男が好きなお決まりの問い。

『…お、…おいしい』
「ん?」
『おいしい、…おいしい』
「だろお?よかった。やっぱり相性がいいね、俺たち」

私はまず、彼女に寄り添った。

「そこまでいったら、舐めるぐらいみんなする。仕方ないわよ」
『うん』
「本当は不味かった?」
『そんな違わないよ』
「どんな味?」
『しょっぱくて、あ、でも先っぽはもう、ほら、…出てたから。汁。ちょっとすっぱかった、かな』
この時も、千春ちゃんは微かに笑っているように見えた。

『おいしい』って言わせたことで、藤野は口の中を要求した。
「水野さん、口開けて」
開けたつもりはなかったそうだけど、わずかな隙間から、藤野はそれを押し込んだ。
『んぐっ、ん、ん』
「ほら、水野さん、俺のを愛してみて」
そう言いながら、千春ちゃんの動作を待たずに、藤野はそれを喉の奥まで進めると、そのまま腰を振り始めた。
「大丈夫だよ、愛し方もちゃんと俺が教えてあげるからね」
千春ちゃんの口の中で、それが抜き差しされる。
『ごふっ、おごっ、ごっ、ごぉっ、ぐぉぉ、』
「あー、気持ちいい。水野さん、お口もいいんだね。気持ちいい。もう少し、した、舌も絡めてくれると、あぁ、水野さんの愛情が伝わるよ」
『んぐっ、んぐっ、んんっ、んんっ、ごぉぉ、ぐごっ』

「苦しかったよね、千春ちゃん」
『うん』
「ねぇ、藤野のそれ、サイズはどうだったの?」
『え?なんで、そんなこと』
「千春ちゃんの、…苦しさをわかりたいの」
『…普通、だと思う』
「そうか、でも、何だってそれは苦しいわ。くわえながらどう思ってたの?」
『…苦しかったけど、最後はぼーっとしてきちゃって、よくわからないかも』
「ぼーっと、って?」
『…麻痺していく感じ、かな。そうね、…私、使われているんだって、感じてた』

「完璧な君のお母さんの、願望がわかるでしょう?」
秀島が冷たく笑った。


[33] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/13 (木) 00:19 ID:PmUp4Pww No.33073
面白いよお 読み応えあり
つづきまってます


[34] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/08/13 (木) 20:39 ID:2A7nRFc6 No.33074
お待ちしておりました。興味深く読ませていただきました。
「使われる」という表現から千春さんのマゾヒスト性癖が
開花したように感じました。更新を楽しみにしています。


[35] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/14 (金) 18:09 ID:/p0WfhhU No.33081
カッツ様 お言葉、大変うれしいです。ありがとうございます。
一寸法師様 いつもありがとうございます。励みになります。


「ああ、いいよ、水野さん。フェラまでセンスがいいんだね」
勝手に腰を振りながら、藤野は昂っていた。
『ごふっ、ごおぉっ、ぐご、ぐご』
「うぅわ、最高だ。あぁ、水野さん……もう、我慢できない。……入れるよ」
藤野が千春ちゃんの口を解放した。
『ごほっ、ごほっ、ごーっほっ、げえぇっ。はぁ、ふじ、のくん。ごめん、少し休ませて』
「えぇ、なんで?しょーがないな、水野さんは横になっていいから、入れるだけ入れさせてよ」
千春ちゃんが横たわると、その腰骨あたりに藤野は両手を伸ばし、あっさりと淡いブルーのショーツを脱がせた。
千春ちゃんは息が上がったまま、腕で顔を覆って、されるままにした。

「水野さん、俺にどうして欲しいか、ちゃんと言葉で言ってみようか」
まだ息は整わない。
「まったく、フェラに夢中になり過ぎだよ。じゃあ、脚を開いて」
藤野が千春ちゃんの両膝を持って、脚を広げさせた。横たわったまま、下半身だけM字を描く無様な格好。
藤野が、顔を覆う千春ちゃんの腕を下ろさせた。
「恥ずかしがらないで、おねだりしてごらん」
千春ちゃんが藤野の顔を見る。
「ほら、俺をその気にさせてごらん」

この時オレは、まさかという思いだった。
あの完璧な母が男におねだりなど、レイプ以上にあるわけがないと思ったからだ。
だが、秀島の口調は、続きがオレの想像を超えることを示している。そして、母の言葉が語られた。

『…藤野くん、私のココに、藤野くんのを入れてください』
「何を入れんの?」
『…私のココに、…藤野くんの、藤野くんのおちんちんを入れてください』
「仕方ないなぁ。きょうはそんなつもりなかったけど、欲しいなら、いいよ」

そのやりとりに、オレは何故か、初恋の相手が別の男を好きだと明かされたような、そんな感覚に陥った。
オレの心境を見抜いていたかどうか、秀島が追い討ちをかける。

私は確信を持って、千春ちゃんに聞いた。
「本当は、そうなるって、とっくに思っていたのよね?」
『…それは、…そうね』
「いつぐらいから?」
『ケーキ食べてる時には、そうなんだろうなって思ったし、口で舐めさせられているうちに、仕方ないなって思った』
「前の日とは違う、なんていうか、期待もあったのかしら?」
『芽衣ちゃん、いじわるね』
「そんな。少しでも前向きならよかったと思って」
『なんだか、初めての感覚で。私も知らない自分を見せられるみたいな。…新しい経験への期待に近いようなのは、あったかな』

藤野が腰を沈め、硬くなったそれが、剥き出しの千春ちゃんの割れ目に当てられた。
「ほしい?」
藤野を見上げ、千春ちゃんは無言で頷いた。
侵入が始まる。
千春ちゃんはだらしなく口を開けながら、それでも声を出すまいと抵抗した。
藤野のそれが、中の壁を割っていく。千春ちゃんの身体が仰け反る。
『んぐっ、………ぐっ、…んん』
昨夜の痛みとは違う侵入。とうとうそれは、奥深くまで到達した。
『……あ、あ、……っ! ……ああぁぁっ!!』
決壊。
「……あぁ、やっぱり、やっぱりだ。水野さんの中は、ずっと俺を待ってくれていたんだね。いっしょに、いっぱい愛し合おう」
藤野が腰を振り始めた。千春ちゃんの内側にそれを擦り付けるような運動。
『はあぁぁ、ああぁ、あぁ、はぁっ、あっ、あっ、はあぁっ』
千春ちゃんは、もう声を殺せなかった。
「水野さん、あぁ、いいだろ?これ。あぁ、いいだろ?あぁ、気持ちいい。どう?どう?」
『あっ、あっ、あっ、あっ、あぁっ』
「ほら、言って。ふぅ、気持ちいい。どう?俺の、いいだろ?」
『あっ、くっ、いい、いいよっ、いいっ』
「違う、何がいいか、くっ、言わなくちゃ。何が?」
『お、おちんちんっ、いいよ、いいよっ』
「誰のっ?」
『ふ、藤野くんっ、藤野くんのっ、おちんちんっ、い、いいっ』
「水野さん、最高だ。好きだよ」
『んっ、んっ、んっ、あぁっ、あぁっ』
「キスしよう、キス。舌、出して」
腰を振りながらのキスは、口も顎も頬も無惨に舐め回すようなものだった。
『はうっ、はむっ、はっ、はう』
千春ちゃんは舌を出して応じた。

藤野が乳房を掴んだ。揉んで、押して、その豊かさを堪能する。
「水野さんっ、どうして欲しいか、言って」
『はぁ、あ、あん』
「愛し方を、くっ、男に伝えるのも、だ、大事な役割だあぁ」
『…ち、…乳首っ、乳首摘んで』
「こうか?こうか!」
藤野が乳首を摘み、夢中で力を込める。
『いいぃっ、いいっ、そうっ、そうっ』
「水野さん、好きだ。好きだよ」
『いいっ、いいっ、気持ちいいよっ』
「俺のこと、好き?くっ、好きだろ?くあ、水野さん?」
さっき無視した言葉。藤野の声には逃すまいという決意がこもっていた。


[36] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/08/14 (金) 22:30 ID:rjy.fIGU No.33082
今から藤野と千春さんがどのように別れるのか興味深々です。続きを期待しております。

[37] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/15 (土) 14:10 ID:QEwaR9V6 No.33083
作り話なのかもしれませんが、人の心の奥を垣間見るようで
おもろい話に感服!!!


[38] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/16 (日) 09:06 ID:/H4q4jlc No.33085
一寸法師様 お言葉、嬉しいです。進めて参ります。
カッツ様 楽しんで頂けて心から喜んでおります。
現在、表現の一部がコードに引っかかっているようで、試しながら投稿しております。読みにくくなってしまい、ご迷惑をおかけいたします。


藤野が、腰の振りを大きくした。
『はぁんあ、あぁぁ、あっ、あっ、あぁっ』
「好きだよね?もう、好きでしょ?俺のこと」
『す、す、好きじゃ、ないっ!あぁん、好きじゃないっ』
「なんで?なんでだっ、くっ、こんなに気持ち、いいのに。感じてるんだろ?」
乳首を摘み上げる。
『ひやぁぁっ、んっ、感じるっ、感じてるっ』
「やっぱり。ん、じゃあ、好きなんだろぉっ」

藤野は腰を前後させながら、手を使ってクリトリスへの刺激を始めた。
『ダメダメ、それは、だめぇっ。おっ、おっ、おおぉっ、おぉぉっ』
「水野さん、これ、好きなんだね?」
『ぐっ、おぉっ、おかしくなっちゃうっ。おおぉ』
「俺のこのやり方、好きでしょ?」
『こ、これは、す、すきっ』
藤野は早くなったり遅くなったりしながら出し入れした。その間ずっと、クリトリスへの刺激は途切れなかった。
『おぉーっ、おっ、ごっ、おおぉっ、おぉぉ』


[39] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/16 (日) 09:40 ID:LHsnDDSY No.33086
お読み頂いている皆様
ご迷惑をおかけしましたが、投稿できました。すみませんでした。続けます。


藤野がキスをする。
唸る口に舌を入れて、生温い唾液を流し込んだ。
『おんぐ、ぐっ、んん』
「俺の愛だよ。飲み込んで」
『んっく、ぐん』

私は異様な行為にぞっとしながら、きいた。
「唾液って、嫌じゃなかった?」
『わからないよ。わからないけど、私、藤野くんに乗っ取られる気がした』

「水野さん、ここ、ここがいいんでしょ?」
『おぉぉん、おっ、いいっ、いいっ、そこ。そこ』
「どこ?なんていうの?ここ。ほら、何、ここ?」
『くっ、ぐっ、クリ、クリっ』
「じゃあ、この、俺が入ってるトコは?」
『いやぁ、おぉん、い、言わないぃ、んぐ』
「言わないなら、やめちゃうよ?」
『い、いい、いいもんっ』
「水野さん、俺のこと愛してるって言うか、どこがいいのか、どっちかだよ。どっちか言わなくちゃ。俺、水野さんの愛情感じられないよ」
『んんぐぅ。おぉ、ヤバい。ぐっ、ヤバいぃ』
「どっちか言って。言えって」
『いや、んぐっ、言うの?んんっ。ねえ、言うの?』
「言うんだよ、水野さん」
『いや、言いたく、な、ないっ』
「言わないなら、この気持ちいいのも終わりだよ。言って。言うんだよ」
『おおぉっ、あっ、言う、言うから。…ま、ま、んぐっ、まんこ、まんごぉっ』
「誰の?」
『わ、わたしの、まぁっ、まんこがいいのっ。あぁ、言っちゃった。ヤバいっ、どうしよ、藤野くん』

言わされた。それが千春ちゃんを更に高めた。

「どうしたの?水野さん?」
『イッ、わたし、イッちゃい、そう。おおん、おっ、ヤバい、ヤバい、イッ、イッ』
「イクの?水野さん!いいよ、一緒に、イこうっ。俺も、もう、イクよ。水野さん、出してあげるからねっ。俺の全部、あげるからねっ」
『ヤーバっ、ヤバいいぃ』
「また、俺の、俺の精子、欲しいでしょ?言って、水野さん」
『ふぅっ、藤野くんのぉ。おっ、ぐおっ、せっ、せっ、せー、しっ。藤野くんの精子、くださいっ』
「どこにっ?」
『まんこっ、私のまんこにぃ』
「全部言えって」
『わた、わだしのまんこに、ふじ、のくんのせーし、だしてぇっ。あー、ヤバヤバヤバ、イク、イグっ、イッグゥあぁーおぁー』
「だっ、出すよっ、水野さんっ、がっ、ぐぅっ、で、出るっっ、あごぁ」
藤野の咆哮とともに、熱いものが千春ちゃんの奥深くにほとばしった。
『おっ、おっ、おぉ、おぉ、ん』
千春ちゃんは白目を剥いていた。何もわからなかった。ただ、身体が激しく痙攣している。それだけだった。

「その後、身体は大丈夫だった?」
『うん、…生理きた』
「それにしても、なぜまた出させたの?」
『…どうなるんだろうって。このままどこにいっちゃうんだろうって、そう思ったら、そうされたくなっちゃった』
吹き出すのをこらえるので大変だったわ。この子、自分が何言ってるかわかってないんだって。過去も未来も二度とない今も、試しに全部賭けてみたってことじゃない。愚かよ、愚かで、傲慢よ。

行為の後、千春ちゃんは藤野の腕枕で、ぼんやりと白い天井を見つめていた。まだ身体は汗ばんでいた。
藤野は左手で千春ちゃんの入り口をまさぐりながら、「俺の出したヤツ、水野さんの中でぐちゃぐちゃだ」と満足そうに笑みを浮かべた。
「一緒にイケたね。中に出すと、確かめ合った感じがするでしょ?じっくり愛し合えて、水野さんもうれしい?」
千春ちゃんは、無言を守った。

翌朝、千春ちゃんが目を覚ますと、キッチンから香ばしい匂いが漂ってきた。
リビングへ行くと、藤野が朝食を用意していた。
「あ、おはよう。ごめん、勝手に冷蔵庫開けて支度しちゃった」。
『…藤野くん。…どうして』
「水野さん疲れてるだろうから、元気にさせようと思って」
手つきは慣れていた。
ただ、キッチンには、食材の端切れや調味料が散っていた。
二人で食卓に着き朝食を食べ、何気ない会話を交わした。まるで、恋人かのように。
『……そろそろ行かなきゃ。遅刻しちゃう』
千春ちゃんが声をかける。
きのうと同じように二人で家を出て、別れる。その時、藤野が言った。
「ねえ、……今夜も、いいかな?」
千春ちゃんは答えられなかった。
藤野はそれを肯定と受け取り、彼女の唇に短く軽くキスをした。


[40] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/18 (火) 22:19 ID:tWqoIdSY No.33097
執筆、いろいろと制約あって大変そうですね。
こちらはただ待つだけで申し訳ない、いえ ありがとう ですね。

俺も藤野みたいになりたいよ、なれないけどね・・・


[41] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/19 (水) 00:53 ID:hMYiKxsw No.33098
カッツ様 お言葉を励みに続けて参ります。ありがとうございます。


ここまでが、社会人1年目の年末、赤坂で話した話。
話してみるものね、20年以上経って私も発見があった。
藤野とのこと、要は千春ちゃんにとっての恋バナみたいなものだったんだわ。もちろん、藤野に恋なんかしていなかったけど、自分がどれだけ身を焦がしているか、それを語りたかったのよ。私が根掘り葉掘りきいたこともあるけれど、下着の色まで明かすぐらいよく話したんだから。悲劇のヒロインじゃ陳腐過ぎるけど、翻弄されて変わってしまうこと自体にドラマを感じていたんじゃないかしら。

千春ちゃんとは、それからしばらく顔を合わせなかった。お互いに忙しくて。
ただ、社会人2年目になった春頃から、プロジェクト内で千春ちゃんを心配する声が聞かれるようになった。どうやら些細なミスがあったみたいでね。「水野が疲れている」とか「水野に無理させ過ぎ」とか、管理職を中心とした男たちが彼女を気遣っていた。私は内心、セックス疲れでしょって思ったけどね。
ところが、プロジェクト全体の集まりがあって久しぶりに見た千春ちゃんは、変わっていた。目の下にクマをつくって、面やつれしていた。本人は変わらぬ振る舞いを心がけていたのだろうけど、疲れているという評価はその通りに思えた。
みんなは彼女を働かせ過ぎだと思っているみたいだけど、違う。藤野と何かあるんだって思った。

「千春ちゃん」
『芽衣ちゃん、…ひさしぶり』
「今週、飲み行かない?」
『あ、うん。そうだね。うん、行きたい』
彼女はあまり乗り気でなさそうだったけど、行くことになった。

前と同じ赤坂の店。
「千春ちゃんと二人なんて、あれ以来ね、彼は?まだいるの?」
『…うん、いる』
「そろそろちゃんと付き合い始めた?」
『やめてよぉ、本当に最低なんだから』
恋人になっていないことは表情でわかった。嫌悪しながらともにいる、本当に理解に苦しむ。
しばらくはプロジェクトの話をした。小さなミスがあったにしても、彼女の仕事がプロジェクトの柱として機能していることが話からわかった。当然、私は教わることばかりだった。必要なことだからよかったけれど、でも、自らの仕事を自信満々に語る姿に私は憧れた。それが、一番口惜しかった。
だから、藤野の話は蜜だった。その話に持ち込めば、一瞬で、彼女をどん底の女にできるのだから。

「千春ちゃん、ちょっと、疲れていそうだけど大丈夫?」
『うん、ありがとう。そんなわけで最近忙しくて』
「藤野は、いたわってくれてる?」
『どうだろ、正直、いたわられたくもないけど。まぁ、優しい時もあるかな』
「ベッドは相変わらず激しいの?」
『もぉ、芽衣ちゃん、やめて』
「きっと、色んな要求に答えてるんでしょ?」
『…ええ?…うん』
「シない日、ある?」
『え、そうだね、あんまり、…ないかも』
「千春ちゃん、大変ね。ただでさえ仕事が忙しいのに。疲れるでしょ?」
『うん、ちょっと疲れているかも。でも大丈夫』
千春ちゃんは笑った。
まるで、それで話を終えたいみたいに。
「千春ちゃん、言われたくないだろうけど、実はね、みんな心配しているの。会社のオヤジたちなんて千春ちゃんが大事だから、水野を働かせ過ぎなんじゃないかって言っている」
『そう、だったの。会社の人に疲れがバレるようじゃダメよね……。もっとちゃんとメイクしなきゃ』
「茶化さないで。確かによく働いているんだろうけど、千春ちゃんはそれで参るタイプじゃないでしょう?何か、あるの?」
『…ごめんね。うん』
「藤野じゃなくて、ご家族に何かあった?」
『違う違う、そうじゃないの』
ここで、私は引いて待つことにした。

『…芽衣ちゃん、ごめん。…藤野くんに、毎月お金を渡していたら、お金がなくなっちゃって。貯金も取り崩してたんだけど、もう本当になくなっちゃったの。でも、彼には就活とかお金が必要だから……だから、それで、私、仕事の後に、夜も働いているの』
私、言葉を失ったわ。夜も働いている? 出版社の激務の後に?
「…何やってるのよ。どんな仕事?」
千春ちゃん、弁解するように早口になった。
『変な仕事じゃないの。藤野くんが紹介してくれて。経営者とか、富裕層の懇親会に参加して、一緒に飲むだけ。触られるとかはないし、その場で手渡しでお金をもらえるから、会社にもバレないの』
目眩がしたわ。要は、ギャラ飲みよ。そこまでバカだったなんて。女として消費されるって意味では身体を売る一歩手前。それを紹介したのが、自分のヒモだって言っているんだから、どういう能天気よ。

「ねぇ、千春ちゃん、わかってるの?会社にバレなければいいって話じゃないでしょ。いくらもらってるかなんて聞かないけど、そういうの、汚い金っていうんでしょ。すべて失うよ?」
『わかってる。わかってるの。とにかくお金がなくて』
「わかってないわ!」
私は柄にもなく大きな声を出した。
「千春ちゃん、藤野が最低だって理解してるのよね?」
『理解してる』
「底辺の男の養分になって、終わるつもり?お金がなくなって、次に仕事をなくしたら、どう?想像するの。藤野しか残らないじゃない。全て失った千春ちゃんを、藤野は求める?考えるまでもないって思わない?」
『だからって、私から見切りをつけるなんて。信じられる相手がいれば、藤野くんもまだ変われるかもしれないじゃない』
「ねぇ、そんなに藤野のペニスが欲しい?」
『え?なに?なによ、芽衣ちゃん』
「客観的には、そういう風にしか見えない。藤野のペニスを入れて欲しいから、お金も仕事も未来も渡しているって」
『そんな、酷いよ、芽衣ちゃん。そんなわけ、ないじゃない』
千春ちゃん、震えていたわ。怒りではなかったわね、あれは、失望かしら。私なのか、自分なのか。
「いろんな感情があるのはわかってあげる。だけど、合理的なのは、千春ちゃんにとって一番大事なのは、藤野に入れてもらってワケがわからなくなる快感だってことよ」
『なんで、そんなこと言うの?』
「理由なんて。セックスなしでも藤野といられるのか、それだけはっきりさせなさい」
いま思えば最低だったわ。千春ちゃんをもっと貶めるつもりだったのに。だけどあのままじゃ、私の世界まで、底辺の住人に汚される気がしたのよね。

千春ちゃんは、それっきり黙った。怒るか泣くかで出ていくと思ったけど、考えていた。

『…芽衣ちゃんの言うとおりだ。私、藤野くんの思い通りにぐちゃぐちゃになるのが、気持ちよかっただけだ。藤野くんがシてくれないなら、絶対に一緒にいないよ』
「逃げられそう?また抱かれたくなっちゃうなら、ウチに来たっていいの。どうする?」
『うん、ありがとう。でも、がんばってみる。別れ方はわかっているから、がんばってみる』

千春ちゃんをすぐに信じられたわけではないけれど、でも、目つきからは確かな意志が感じられた。

それで、次に千春ちゃんに会ったのは、ひと月かふた月後。
彼女、本当に藤野を追い出していた。

「え?」
オレは意外な展開に驚いた。
「それじゃ、藤野のことは解決したってことですか?」
「そうよ。解決。でもね、問題は結果じゃなかった。どうやって別れたかにあった。そのプロセスこそが、千春ちゃんの本当の墓場だったのよ」


[42] Re: 遍歴  スナフキン :2026/08/21 (金) 13:20 ID:3ZQX3F52 No.33106
ゾクゾクします。。。

[43] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/21 (金) 23:17 ID:cyGpnSgc No.33107
連日の投稿ありがたしです。
もっとひどいことになるのかなぁ??? 期待してます。


[44] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/22 (土) 00:32 ID:wUnHta3Y No.33108
スナフキン様 お言葉うれしいです。ありがとうございます。
カッツ様 こちらこそ毎回のお言葉、本当にありがとうございます。


秀島は、ゆっくりとカップを置いた。次に何を語るのか、オレは彼女の顔から目が離せない。

「もう一度だけ聞いておくわ。君は、千春ちゃんの最悪の過去を知りたい?もしも彼女が罪を犯していたとしても、それでも知りたい?」

オレの答えは決まっていた。だが、即答しては軽く見られると思い考えた。ここまでの話で母の人生の闇をのぞいてきたが、オレにとっては欲望を刺激される話ばかりだった。そして、ますます母親を愛おしく思えた。罪を犯したか。例えば藤野を殺したとか。それはあるわけがない。母は今も同じ会社で働いている。
考えるフリはこれぐらいで十分だった。

「大丈夫です。聞かせてください」と言った。

「そう。…『別れるためにがんばってみる』と宣言して2か月ぐらいしてからだった。千春ちゃんが劇的に変わったのよ」
秀島が再び語り始めた。

社内で見かける彼女の顔には力があふれていた。それまでの彼女になかった、ギラギラした印象を受けた。過労を心配していたオヤジたちも、最近の水野はすごいってウワサしてね、辣腕を振るうようになったなんて評価した人もいたわ。居酒屋ではあんなに取り乱していたのにね。
ある日、廊下で彼女に呼び止められた。
『芽衣ちゃん!』って、駆け寄ってきた時の顔、晴れやかだった。それで、声をひそめて言った。

『あのね、……藤野くん、追い出せた。もう連絡もとっていないの。部屋の鍵も返してもらったし、彼、本当に消えたの』

それで声を弾ませた。

『本当に、芽衣ちゃんのおかげよ。あの時、芽衣ちゃんが厳しく言ってくれなかったら、私、ずっとあのままだった。ありがとう。本当に、本当にありがとう!』

何度も何度も頭を下げる千春ちゃんに、「よかったじゃない」と口では祝福したけど、心の中はひどく白けていた。せっかく特等席で彼女の転落を眺めていられたのに、それも終わりかってね。

でもね、彼女を見ながら気づいたの。笑顔が、どこか前と違うって。
上手に笑っているのよ。口角も上がっているし、声も明るい。でも……彼女が本来持っていた、底抜けの明るさや、自分を信じて疑わない無邪気な光が感じられなかった。まるで、感情のスイッチを無理やりオンにして、必死に普通の水野千春を演じているような……そんな笑顔だったわ。
これは何かあるって、得体の知れない期待感が膨らんだ。

「千春ちゃん、お祝いさせて。今夜、いつもの居酒屋に行こうよ。もちろんご馳走するわ」
親友の顔をつくって千春ちゃんを誘ったの。彼女は一瞬考えて、OKした。

赤坂にある薄暗い居酒屋の個室。
私は必要以上に明るく振る舞って、彼女の社内での活躍のウワサを振った。
「聞いたわよ、また企画通したって。プロジェクトも抱えながら、千春ちゃんが本当は2人いるんじゃないかって、みんな言ってるわ」
千春ちゃんは謙遜しながら、『これからもっと仕事に集中したい。やりたい企画がたくさんあるの』と、前向きな展望を語った。
「うんうん、その意気よ!」と、私は本音を隠して盛り上げながら、タイミングを見計らっていた。

グラスの氷が溶けて、グラスを鳴らす音だけが響いた。

「……でも、本当に藤野が消えてよかった。私、千春ちゃんなら絶対にできるって信じていたわ」
彼女の目をじっと見つめた。真実への扉はまだ開かない。
「……で? いったい、どうやってあの底辺の寄生虫を追い出したの?」
千春ちゃんがビクッと肩を揺らして、グラスを持ったまま固まった。

『……えっと、それは……芽衣ちゃんが助けてくれたからよ。芽衣ちゃんが背中を押してくれたから、芽衣ちゃんのおかげで、私、決心できたの』

同じような言葉を繰り返す千春ちゃんは、壊れたロボットみたいだった。私の名前と礼しか言わない姿に、私は確信した。この女、何かとんでもない泥をかぶったんだって。
消えかけていたドス黒い炎がまた立った。心の内はワクワクして仕方なかった。美しく完璧な水野千春を、もう一度引き摺り下ろしたい。彼女の抱える致命的な汚点を暴き出し、踏みつけてやりたいって。

「本当にすごいわ、千春ちゃん。誰にでもできることじゃないもの」
私は彼女の手を握り、称賛の言葉を浴びせながら、逃げ道を塞いでいった。
「でも、どう言いくるめたの? あんなに執着していた男が、素直に引き下がるはずないじゃない。もしかして、手切れ金でも渡したの? 」
『…違うよ。だって、…そんなお金、もうなかったもの。だから…。ううん、わかってもらった。出て行ってくれたの』
「そんな風にできるなら、苦労はなかったでしょ?また戻ってくるんじゃない?」
千春ちゃんの視線が激しく揺らいだ。

『それは……大丈夫。二度と来ないように約束させたから……。もう、大丈夫なの』

「どうやって!? 約束なんて、守らないでしょ?どうやってあの男を納得させたのよ!これじゃ、私まで不安だわ」
私は心配と自身の不安を装って、千春ちゃんの良心に訴えた。
「ねえ、千春ちゃん。本当に大丈夫なの?中途半端なやり方で、またあの男が戻ってきたら、それこそ大変でしょ。ちゃんと納得させる方法があったんだよね?納得させたんだよね?私だって、心配だったのよ」
それが引き金だった。
彼女は身を硬くして、やがてその大きな瞳から、ポロポロと大粒の涙をこぼし始めた。

『……っ、……うぅ……っ』

扉が開いた気がしたわ。もうひと押しするつもりで、背中をさすった。

「ご、ごめん! 嫌なこと思い出させた?無理しなくていいから……!いいのよ、言いたくないことは言わなくて」

言葉とは裏腹にね、私の耳は千春ちゃんの次の言葉を逃すまいと全神経を集中させていた。
彼女、両手で顔を覆い、嗚咽を漏らしながら絞り出すように言ったわ。

『……違うの、芽衣ちゃん……。私、本当に彼を追い出したの……。だって…藤野くんと別れるためにね……藤野くんに消えてもらうために、私、一度死んだのよ……っ』

死んだ。
この女は何を言っているんだって思ったわ。さすがに想定外だった。状況は差し迫っている。でも、焦れば心が閉じてしまう。私は落ち着くまで待つことにした。
泣き止んだ千春ちゃんは、ハンカチで涙を拭うと、どこか吹っ切れたような表情を見せた。

『……芽衣ちゃんにだけは、話すわ。私の、恩人だから』

そこまで言うと、秀島はオレの顔をじっと見据えた。心中を確かめるように。


[45] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/22 (土) 23:01 ID:VLbAUOZY No.33113
そんな内容なんだろう、ワクワクします。
連投ありがたく、つづきが待ち遠しい。


[46] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/23 (日) 01:08 ID:XBsTOTNU No.33114
カッツ様 続きが待ち遠しいとは、本当にうれしいです。ありがとうございます。


関係の終わりを望んだ千春ちゃんに、藤野は一つの「条件」を出した。
「お前に捨てられたら、俺は生きていけない。どうしても別れたいなら、手切れ金としてまとまった金を用意してほしい」

理不尽な要求。だけど、腐敗した関係を清算できるなら、千春ちゃんにとっては合理的だった。でも、すでに藤野に給料を吸い尽くされ、貯金も底を尽いていた千春ちゃんに、まとまったお金なんて用意できるはずもない。
途方に暮れる彼女に、ある日、藤野は悪魔の囁きをした。

「金がないなら、俺に協力してくれ。そうすれば、別れてやってもいい」
『協力って……?』
「ギャラ飲みでお前を呼んだ金持ちの中で、お前を特別に気に入った奴がいるんだ。そいつが、自分のためだけの特別なサービスを望んでる。俺がそれをセッティングすれば、仲介料としてまとまった金が入る。お前に捨てられても、それならなんとかできる」

特別なサービス、容易に想像つく話よね。察した千春ちゃんが震える声でその意味をきく。藤野は鼻で笑って軽く言い放った。

「決まってんだろ。金持ちのオッサンを一晩、ベッドで慰めてやればいいだけだよ。減るもんじゃねえだろ?」

売春よ。
本来なら、千春ちゃんの生きる世界に現れるはずもない話。金銭と尊厳を引き換えにするのだから。だけど、千春ちゃんは、即座には断れなかった。
『……考えさせて』
すぐに藤野が追い討ちをかけた。
「いいぜ。でも、断るなら俺はずっとお前の所に居座るからな。俺を養えよ」

それからの数日間、千春ちゃんの頭の中は狂気の葛藤に支配された。
一生ヒモの奴隷として生きるか。それとも、身体を売って自由を買うか。
そんな極限状態の最中に、赤坂の居酒屋で私と飲んだ。私は彼女に発破をかけた。
秀島は、自嘲気味に笑った。

「それで、追い詰められていた彼女は、崖から飛び降りることにした。私との別れ際、確かにこう言った。『別れ方はわかっている』って。それはそういうことだったのよ」

私と赤坂で飲んだ翌日。千春ちゃんは藤野に『あの話、受ける』と伝えた。
藤野はすぐに、下劣な笑みを浮かべた。
「よく決心したな、千春! さすが俺の女だ。お前なら絶対にやってくれるって信じてたぜ!」
自分の身体を売る女を「応援」する、狂ったヒモの言葉。
そして、藤野は、意外な提案を持ちかけた。

「それじゃあ、週末、買い物に行こうぜ。客からコスプレの希望が届いてるんだ」

週末、藤野に連れて行かれたのはスポーツ用品店だった。水泳のコーナーに行く。
藤野は店員の男性に声をかけた。

「連れが水泳始めるんだけど、競技用の水着、いろいろ見せてくれる?」

50前後の体格のいい、頭の薄くなった男性店員が女性店員を呼んでくると言う。

「いや、いいよ、店員サンが付き合ってよ」

恭しかった店員が千春ちゃんを見た。
顔、胸、ウエスト、脚、一瞬でベッタリと見られた。
次に店員が顔を上げた時、その表情は、破廉恥で下卑たものに変わっていた。


[47] Re: 遍歴  スナフキン :2026/08/23 (日) 08:52 ID:KMgZ8AcU No.33115
ハラハラして息がつけません。。。

[48] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/23 (日) 21:27 ID:9jAmV0B6 No.33116
店員とのやり取りも何かありそう。
そして金持ちおじさんは如何に期待膨らみます。


[49] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/25 (火) 18:45 ID:zTMYDkic No.33122
スナフキン様 カッツ様
いつもありがとうございます。続けます。


「お連れ様は水泳のご経験はございますでしょうか?」
店員は藤野と千春ちゃんの関係を解釈し、藤野と話し始めた。
「経験?ああ、まあ、昔少しぐらいかな」
「目的はどのような?」
「目的まで聞くのかよ。そりゃ水泳に決まってるでしょ。泳ぐんだよ、プールで」
「フィットネスでございますね、それでしたら、こちらなどいかがでしょう?」
店員がある一角を示して、そちらに移動しようとする。
その時、藤野が呼び止めた。
「待った。こういうのがいいよ、こういうのだ、欲しいのは」
そこは競技に臨む選手たちのための品が集まったコーナーだった。素人の千春ちゃんからしても、場違いなのは明白だった。
「恐れ入りますが、こちらは部活動などで競技する選手用のものでございますが」
そこから、店員の丁寧な説明が始まった。機能や競技へのメリット、初心者にとってのデメリットまで。藤野はすぐに退屈そうになる。
「わかったわかった、わかったよ。そりゃ、水泳で使うんだけどさ、どうせなら、それ以外にも使いたいわけ。色んな使い方ができるでしょ?プール以外で着ることだってあるでしょ?そういう時に、より盛り上がれる方がいいわけだ。あっちとこっちじゃ、切れ込みとか違うでしょ?わかった?そういう点で見繕ってよ」
藤野の言葉に店員は戸惑ったが、すぐにかしこまりましたと言って、商品を探り始めた。

こちらはいかがでしょうと、店員がハンガーにかかった黒い水着を藤野に見せる。千春ちゃんは蚊帳の外だった。
「こちらは競技レース用でして、非常に生地が薄く身体との密着度を極限まで高めています。ハイレグのカットが腰骨付近まで上がっていて、脚の動きを邪魔しません。また、背中ですが大きく開いた作りとなっております」
店員は、藤野の要求を理解し、プレゼンテーションしていた。
「いいね、これと同じようなの、他にもある?生地が薄くて、カットの大きいヤツ」
「もちろん、ございます。メーカーごとに出ていますので、お持ちします。では、恐れ入りますが、お連れ様。サイズをお教えください」
この時初めて、店員は千春ちゃんに言葉をかけた。答えを要求する好奇の目。
千春ちゃんはなるべく冷静に、なんでもないことのように答えた。

語っていた秀島が息をついてオレを見た。そして鼻で笑う。
「多分、店員の目、今のキミみたいだったんじゃないかしら。数字が知りたくて仕方ないって目をしてるわよ。バスト?ヒップ?どれが欲しいわけ?だけどあいにく、千春ちゃんのサイズなんて覚えていないし、聞いてもいないはず」
図星だった。オレは、母の身体のラインをよりいやらしく想像するための手掛かりとして、数字を欲していた。もう恥じらいもなかったが、「つい話に夢中になってしまって」と詫びて、続きをお願いした。

いくつかの商品を手に店員が戻って、「ご試着なさいますか?」と聞いた。藤野にね。

「するする。千春、試着だ。そこ、入って」
店員より先に藤野に促されて、試着室に入る。半袖の軽やかなドット柄の黒いワンピースを着た姿が鏡に映る。すぐに脱ぐ。パープルのブラを外し、このために履いてきた黒いインナーショーツ一枚になる。
艶のある黒色の品をハンガーから外し、脚を通す。店員に手渡された時の助言に従い、苦労しながら、覆うもののない身体へと沿わせていく。
どうにか着た千春ちゃんの身体は、締め付ける化学繊維の生地に覆われ、素人には無用の腰回りのカットは大きく開き、股間へのラインを強調している。鏡を振り返って見る。背中はほぼ裸に思えた。

「似合ってるか見てやるよ」
外から藤野に声をかけられる。
カーテンを開ける。
千春ちゃんは身体の前で腕を組んで立った。
店員と藤野が並んで、粘ついた視線を向けてきた。
試着室は、千春ちゃんの水着姿を男たちが堪能するためのショーケースに変わっていた。


[50] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/08/25 (火) 19:05 ID:si5OwwrY No.33123
千春さんは慰み者になってしまうのですね。

[51] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/26 (水) 11:22 ID:b02YLnDk No.33124
いいですねえ、店員さんも超ラッキー。
この先まだ何枚か着替えるんですよねえ、興奮するよ。


[52] Re: 遍歴  土屋 :2026/08/26 (水) 23:57 ID:CYqzhIbE No.33125
古田の磐井様 カッツ様
お言葉ありがとうございます。続けます。


「ちゃんと見たいから、腕下ろそうぜ」
藤野が見せ物を求めるように言い、千春ちゃんはそれに従った。
「店員サン、どうかな?」
「あ、はぁ、もう、とても、似合っていらっしゃいます。これでしたら、競技を目指す選手たちのように質の高い練習をして頂ける品でございます。締め付けは苦しくございませんか?」
再び千春ちゃんに話が振られた。
「少し、窮屈です」。
「競技用ですから、そのような作りになっております。女性の身体を締め付けて、抵抗をなくすというものです」
後半は藤野に説明した。
藤野が満足そうに笑った。
「あとは、生地の薄さだな」
「その点は、パッドをご使用頂くのがよろしいかと存じます」
藤野が店員を一瞥した。
「違うよ、この生地と連れの相性が知りたいんだ。店員サン、どこに目がいく?」
「それは、あのぉ、全体のフィットを拝見しております」
「このまま人前で泳いで大丈夫かな?」
「あ、いえ、それは、ええ、その、お連れ様はお胸がとても豊かでいらっしゃいますので、やはりパッドを着けられた方が」
「千春、店員サンが、このままだと胸に目がいっちゃうって」
「いえいえ、決してそういうわけでは」
千春ちゃんは反応しなかった。
「店員サン、ちょっと、一緒に試着室に入ってさ、他のも含めて彼女の胸が主張しすぎないか、確認してくれる?」
「あ、いや、そんな。それはお連れ様がなさるのがよろしいかと」
「俺はさ、素人でしょ?わかんないんだわ。素人の判断ほど危険なことはないからね」
「いや、そう申されましても」
「千春は、どう?俺とプロの店員サン、どっちに確かめて欲しい?」

そこで急に、秀島は話を止め、オレに訊いてきた。
「君、興奮してきたでしょ?千春ちゃんは、何て答えたと思う?」
『いや、確認そのものを断ったか、藤野って言ったか、でしょうか?』
「答えはね、店員よ」
オレは言葉を返せない。
満足気に秀島が続ける。

私も予想外だった。
でも、全て明かすと決めた赤坂の店で、私に言った。

『もちろん、嫌だったよ。だけど、そのぐらいのことに怯んでたら身体を売るなんてできないから。それに…』

一度逡巡したようだったけれど、続けた。

『藤野くんに色々酷いことをされたけど、こんな恥ずかしいことまでさせられるんだと思ったら、くすぐられちゃって。終わりにする前、もう一度だけって思ったの。芽衣ちゃんをまた呆れさせちゃうよね』
「最後に堕ちたかった?」
『バカだって思うでしょ?』

呆れたし、理解できなかったけどね。でも、もう私は千春ちゃんがどうなるかには興味がなかった。藤野と別れるために、どれだけの泥水を飲んだのか、その一滴一滴を明らかにする方が面白いと思ったのよ。

千春ちゃんが同意したことで、店員は前向きになった。藤野は話を進めようとする。

「俺はここにいて、他の客が来たら知らせるから。店員サンは安心して仕事してくれればいいから」
「あの、本当に問題にならないのでしょうか?」
「ならないよ。こっちが頼んでんだから。千春も確かめてもらった方が安心だよな?」
千春ちゃんが頷き、藤野の思惑通りに二人が試着室に入ることになった。
藤野は付け加えた。
「千春、胸はお前のウリなんだからさ、どう見えるかは大事だからな。ちゃんと、好きなトコロを両方勃たせた状態にしてから確認してもらえよ」
水着姿の千春ちゃんが、50前後の男の店員を試着室に招き入れる。
彼女は自分でカーテンを閉めた。


[53] Re: 遍歴  カッツ :2026/08/27 (木) 23:44 ID:Paeuu6D6 No.33134
いやいやいや、店員さんとエロな展開になりましたね。
つづき期待し待っています。


[54] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/02 (水) 13:17 ID:SjhjnVJY No.33167
カッツ様 いつもありがとうございます。続けます。


試着室の中で男に背を向けて、千春ちゃんは、水着の上から自分の両胸に触れた。
『すみません、こんなことお願いして。少し、待ってください』
店員に言って、指を立て、膨らみの真ん中の突起を転がすように刺激する。
だが、緊張しているのか、うまくいかない。仕方なく、彼女は水着の中に手を入れて直接触ることにした。
艶やかな漆黒の生地は、すぐに突起の存在を浮かび上がらせた。
千春ちゃんは振り向いて、店員に正対した。
『どうですか?…わかりますか?』
店員が、生地に押さえ込まれた膨らみを凝視する。
「…わかります。その、お胸の先端が浮かんでしまっていますので、やはり、パッドをお使いになるのがよいと思います」
『これは、パッドが必要ですね』

そんな風にして、3着を試した。男と数十センチの距離の中で、背中を向けて彼女は着替えた。自分で肩紐を外し、水着を太腿まで下ろし、両方の脚を抜くことを繰り返す。男がそうしたなら、千春ちゃんの後ろからの裸は、インナーショーツをのぞいてすべて見られたに違いない。

3着目も突起がぷっくり浮いていることを確認した後、店員が言った。
「すごく、ステキなお胸をしていらっしゃいますね」
『いえ、そんな』
「私も仕事ですのでお教え頂きたいのですが、ご一緒に確認しました三回とも、たとえばお連れ様との行為で高まった時と同じぐらい硬くされたのでしょうか?」
『え?あ、はぁ』
「本来もっと硬くなるようですと、評価が変わりますから」
上気した顔が歪んでいる。
『だ、大丈夫です。変わりないと思います』
「ということは、ご自身の指で勃たせながら、快感があったわけですね?」
『そんなこと…』
「お連れ様がお胸を刺激される時の、その弄り方を思い出しながらされたのでしょうか」
『違います。でも、た、勃ち方は同じです』
「そうですか、感度が高いのですね。ボリュームがあって感じやすいなんて、お客様を相手にしているカレシ様も大変だ」
『やめてください』
「あ、失礼しました。恋人のことに口を挟んではいけませんでした。大変、申し訳ございませんでした。最後に私が間違えてはいけませんので確認させてください。カレシ様が先ほど、お客様の好きな所を勃てるように言われましたが、それは、その、間違いなくお好きな部分を勃てられたということでよろしかったでしょうか?」

本当に、下卑た不用な問い。でも、千春ちゃんは「大丈夫です。好きな所ですって言っちゃった」って言ってた。
惚けたような顔をしてね。

千春ちゃんは、外の藤野に声をかけた。
『もう、いい?』
カーテンの外から返事がある。店員にあてて。
「店員サン、カットが際どいからさ、股の毛がハミ出る可能性がないかとか、最後によく確認してくれる?」
目の前の店員が、かしこまりましたと返事をした。男が立ち膝になり、千春ちゃんの股間に顔を近づける。
「失礼します。きちんと収まっていらっしゃいますね」
いくらカットが際どいと言ったって、まともな競技用なのだからそんなの当たり前なのにね。だけど、男は止まらなかった。
「お客様、ハミ出す可能性を確認するようにとのお申し付けでしたので、少し、生地を中央に寄せて頂けますでしょうか?」
千春ちゃんは無言で、言われた通り生地を摘むようにしてわずかに寄せた。ほんの数ミリ、覆われていたはずの肌が露わになる。
男がさらに顔を近づけた。臭いを嗅がれるんじゃないかって思うぐらいだったそうよ。
男は千春ちゃんの股間を見つめながら言った。
「お二人はお付き合いされて長いのですか?」
当然、千春ちゃんと藤野を恋人だと思っている。
「きっとマンネリで、このような遊びで刺激を得ようとされているのではないかと思いまして。お手伝いができているのならいいのですが」
男の顔はもはや得意げだった。
『いえ、そういうわけでは』
「もしもお役に立てるのでしたら、少し、こちらをマッサージいたしましょうか」
男が手を千春ちゃんの股間に伸ばそうとする動作を見せた。

『確認してもらったよ。大丈夫。いい?』

すぐさま千春ちゃんは外の藤野に声をかけ、店員には結構ですと伝えた。

「いま、大丈夫だ」
藤野の合図でカーテンを開け、店員を外に出した。
もう一度閉めて、千春ちゃんは元の黒いワンピースに着替えた。

藤野が店員に確認する。
「店員サン、どれが一番キケンだったかな?」
「最初のものが一番くっきりと、その、お連れ様の乳首の勃起が確認できましたので、これは絶対にパッドが必要かと存じます」
「わかった。じゃあ、これの青いのを買うよ」
「ありがとうございます。あと、パッドでしょうか?」
「あぁ、それは、きょうはいいや」
「はあ」
店員が藤野に小声で話した。
藤野が千春に言った。
「千春、店員サンがさ、これ、俺とベッドで楽しむために買うのかってさ」
店員が慌てる。
実は千春ちゃんも慌てた。自分の客と使うとは言えなかったから。
それで、『そうです』と返してしまった。
藤野が吹き出した。
店員は大喜びだったでしょうね。

この買い物で、千春ちゃんの準備は整った。あとは、その日を、待つだけだった。


[55] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/03 (木) 01:54 ID:0kyqcSXI No.33170
店員さんいい思いできましたね。
千春ちゃんを母とする、息子の気持ちで読むのが一番ですかね。
つづきお待ちしています...


[56] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/08 (火) 13:56 ID:I4FbiVG. No.33211
カッツ様 ありがとうございます。そのように読んで頂きますと、寝取られ的に味わえますでしょうか。


マッサージをさせなかった母への歯痒さから、オレの脳は妄想に支配されていた。

黒い競泳水着に締め付けられ、ハイレグの生地を自分で横にズラしている。あと1ミリで毛がはみ出すようなギリギリの状態。店員が、マッサージを提案する。頷きも、断りもしない母。
店員はそれを承諾と受け取り、母のアソコに触れる。最初は優しく、黒い生地を撫でるように。
「アッ」と声を漏らす母。
呼吸するようにソコが蠢く。
やがて店員の指が、生地を大きく片側に寄せると、母の秘密の毛が現れた。
店員は、その奥にあるワレメをなぞる。
「アン」
同時に店員は反対の手で、水着よ表面に浮かぶ胸の突起を弄る。
「クアッ」
声を出した母は上気して、自分の身体に起きている事態を見下ろしている。
「乳首はカチカチなのに、下はヌレヌレですね」
店員は笑うと、指の先端をワレメの中に侵入させた。
「アアァ」
母は喘ぎ、だらしない顔を晒す。

誰もが認める能力と美貌を持ち、華やかな業界で活躍する期待の若手だった母が、数分前に会った名前も知らない男に簡単に陵辱を許してしまう。

男が笑みを浮かべ指を何度か出し入れする。
「アアァ、そんなこと頼んでないのにぃ」
母のアソコから、透明な粘液が伝い落ちてきた。

母が感じている。屈辱的な仕打ちを喜んでいる。なんて穢れた罪深い女なんだろう。

「コーヒー、おかわりは?」
秀島の声で、オレは現実に引き戻された。
『あ、いただきます』
秀島がカップを二つ持って席を立つ。

藤野と店員によって母が踏み躙られたことは、オレに新たな欲情しかもたらさなかった。
競泳水着を着せられた若い頃の母の姿を思えば、悔しさや怒りなど昂りの前に散ってしまった。
母は自分を買った男にどう扱われたのだろうか。
それが攻撃的で残酷なものであることを期待してしまっている。
我慢汁が洪水を起こすのは、きょう何度目だろう。

「君さぁ」
給湯室だろうか、奥から秀島に声をかけられる。
『はい』
「君は千春ちゃんとセックスしたいわけ?」
『は、はい?』
「母親の卑猥な話に夢中で、その母親を抱けたらうれしいんじゃないの?」
『いや、それは、それはないです。本当に』
秀島なりのジョークか、悪ふざけなのだろうか。まったく読めない。そして、笑えない。

秀島がカップを二つ持って戻ってきた。
はい、と言ってカップを渡される。
「母親のいやらしい話は好きだけど、母親といやらしいことをしたいとは思わないわけだ?」
『そ、そうですね。そうです』
ほんの一瞬、秀島の目線がオレの股間をとらえた。
「ふーん。複雑ね、男の子って。…さて、クライマックス、かな」
オレの喉が鳴った。
『お願いします』

蒸し暑い夏の土曜日の夕方、彼女は身支度を始めた。姿見の前に立って裸になると、曇りのない身体を見つめた。あすになれば、穢れたものになっているそれに別れを告げような気持ちだったそうよ。

気がつくと、藤野が戸を開けてのぞいていた。
『なに?』
「そうツンケンするなよ。昨夜だって、あんなに愛し合ったじゃないか」
『わかってるよね?今夜のことが終わったら、必ず出て行ってもらう。そして二度と私の前に姿を現さないで』
「わかってるって。その代わり、ちゃんと客を満足させろよ?満足させなきゃ大した金にならない。それじゃ、俺は出て行けない」
『藤野くんは私とシて、満足できなかったことあった?』
「あ?」
『同じようにするだけよ』
藤野は投げやりに笑った。

オレは、別れの直前まで母が藤野とヤッていたことに引き付けられた。
『あの、母は前の日も藤野に抱かれていたんですか?』
「君ぃ、今話し始めたところなのに」
『すいません。なんだか、意外で』
「理屈と愛は別だけど、愛と快楽も違うってことよね」
母は、藤野との快楽に抗えなかったということだろう。

秀島が話を続ける。

千春ちゃんは青い競泳水着を着て、その上からベージュのストッキングを履き、中が透けないよう、紺のワンピースを着た。半袖のAライン。シャツのような襟付きの前開きで、同色ウエストをリボンで締めている。そこから足元へ優雅に裾が広がっていた。
「千春、似合ってるよ。今からでも、もう一回ヤリたくなるな」
『もう十分。だいたい、またグシャグシャにされた身体じゃ、お相手が嫌がるでしょ?』
「それもそうだな」

オレは再び聞いてしまう。
『母が、そう言ったんですか?』
「また?そうよ、間抜けなセリフだから覚えてるわ。藤野を忌み嫌いながら、藤野が最高って言っているようなものじゃない」
母の中に、それほど藤野が侵蝕していたということか。あるいは、母がそこまで差し出したということかもしれない。

話すのか、どうするのかと秀島に問われる。
オレは詫びて、改めて続きを求めた。

二人は1年余り共に過ごした千春ちゃんの部屋を出た。
都心の高級ホテルで、千春ちゃんは一晩男に身を売り、藤野は別の部屋で待機する。
次の日に、千春ちゃんが受け取ったお金を藤野に渡し、部屋の鍵を取り返して永遠に別れる。
そういう算段だった。

ホテルに向かう途中、藤野が言った。
「千春はきのうも随分感じてたけど、今夜は俺とヤルみたいな快感はないだろうな?」
『そんなの、どっちだっていい。私もう、男に感じさせて欲しいなんて、人生で思わないと思う。本当に、終わりにするの』
「そりゃもったいないな。それじゃ、お前がセックスでイクの、きのう、俺にまたがって叫んだのが最後ってことになるぜ?いいのかよ?」
『構わない。昨夜のあれが最後。もうそれでいいの』

投げやりだったのか、達観だったのか、その覚悟が悲壮なものであったことは間違いなかったでしょうね。
でも、こういう時に神様のイタズラは起きるのよ。着いたホテルのロビーで、千春ちゃんは声をかけられたの。
「水野さん」て。


[57] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/09/08 (火) 16:40 ID:wbErJ3hI No.33212
次なる展開を楽しみにしています。

[58] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/08 (火) 22:14 ID:pMHg.Two No.33217
千春ちゃん覚悟を決めたんですね、しかし
そう思うようには行かないのが人生。
さらに落ちて行くのかな?つづきお待ちします。


[59] Re: 遍歴  一寸法師 :2026/09/09 (水) 11:55 ID:H8W0TkA. No.33219
思わぬ展開になっていて驚きました。
関係を切るためには売春も辞さない千春さんは追い詰められたのですね。
引き続きよろしくお願い致します。


[60] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/11 (金) 12:45 ID:lK1GM6X. No.33230
古田の磐井様 ありがとうございます。お言葉を励みに続けていきます。
カッツ様 いつもありがとうございます。引き続き読んで頂けますとうれしいです。
一寸法師様 ありがとうございます。楽しんで頂ければうれしいです。


聞き覚えのある声に振り返ると、会社の一つ下の三橋沙和がいた。新人で配属されたばかり。千春ちゃんの直属ではないけど近いところにいる後輩だったはず。
沙和はそれこそ美人でね。読モ出身の目立つ新人だった。気が回るタイプで、私たちの期の千春ちゃんと引き合いに出す人もいた。ただ違ったのは、彼女は表と裏を使い分けることができて、それを隠そうともしなかったことね。
そんな子と、藤野とホテルにいるところで出会したのよ。

千春ちゃんは内心焦ったけど、取り乱す訳にはいかない。沙和が藤野を見たのがわかる。品定めする目だったって言ってたわ。
「はじめまして、水野さんの会社の後輩の三橋沙和と申します。いつもご指導頂いていて」
彼女は藤野を千春ちゃんの彼と判断したのだろう、完璧な感じのよさであいさつした。
「ああ、そりゃどうも。けど俺は水野とはそういうんじゃないんだ。ただの大学のダチでね。これから仲間と合流するとこなんだ。水野、遅れちゃうから行こう」
『そ、そうなの。ごめんね、沙和ちゃん。また、会社でゆっくり』
藤野が誤魔化してうまく切り抜けた。
でも、千春ちゃんはこの時、心を抉られていたみたい。

『沙和ちゃんね、彼氏連れだったの。いかにも沙和ちゃんが好きそうなエリートって感じの人。私に声をかけた彼女を見守って、こっちにも気を遣いながら後ろで佇んでた。私ね、沙和ちゃんは自分に見合う人を選べるんだって思った。それができたら、私だってこんな風になっていなかったのにって、思っちゃった。だって藤野くんを見てから私を見た沙和ちゃんの目、憐れむようだったんだから』

千春ちゃんの敗北宣言だったわ。味わい深い言葉のはずなのにね、同期としては、下の子にやられたっていうのが情けないったらありゃしない。

「でも、藤野が誤魔化してくれたんでしょう?」

『藤野くんにね、なんでうまく言ってくれたのか聞いたの。動揺されてお客へのサービスに影響が出たら困るからだって』

年下の女が上手に生きていて、順風満帆だったはずの自分が他人に商品として売られるまでになっている。千春ちゃんの、自分への失望と言ったらなかったでしょうね。
数分後、千春ちゃんと藤野はホテル上層階にあるスイートルームの前に立ったのよ。

オレは、その時の母と自分の知る母との落差に悶えていた。
三橋沙和が大切な人と愛を確かめ合う同じ建物で、母は、愛とは無縁の、肉欲に捧げるためだけの時間を迎えようとしていた。
オレの知っている母なら、理路整然と不条理を訴えてその場を離れるはずだ。
それなのに、オレの描いている像をことごとく裏切っていく。でも、それがたまらない。もっと汚く穢れて欲しい。そのどん底の到達点が明らかになるまで、もう少しだ。

秀島がオレを一瞥して、続けた。

部屋に入ると、男が出迎えた。客本人ではなくて、その付き人のようなものだったんじゃないかしら。客は富裕層のはずだから、秘書か執事か、そういう役目の男かと聞いたわ。

「…うん、そうかも。そんなようなものだったかも」

千春ちゃんの返事は曖昧だった。
藤野が会釈して広い部屋を奥に進むと、見たことのある男が立っていた。

「やっぱり知っている人だったのね?」
『うん、…夜の仕事で、会ったことがあった。経営者たちのグループのリーダー格みたいな人で。後輩の起業家たちに慕われていて。私はその人の隣に座らされて。紳士だなって思ってた』
「何歳ぐらい?」
『それね、うん。50代かと思っていたんだけど、68だった』

男は千春ちゃんを見るなり、眉の濃い顔を綻ばせて言ったらしいわ。

「アイ、来てくれてうれしいよ」

私は「アイ」という名に引っかかった。

『私ね、夜の仕事の時、アイって名前使ってたの。だから、よろしくお願いしますって言った。そうしたら、今夜は千春だな、って』
「藤野、しゃべったのね」
『下の名前だけだったみたいだけど。藤野くん、すぐにお金のこととか、サービスの内容とかの確認を始めてね。なんだかマネージャーみたいだった。作家やら女優なら悪い気はしないのかもしれないけど、私は藤野くんに売られるんだってよくわかった』
「本当に酷い、千春ちゃんの目の前で。それで、それからどうなったの?」
『藤野くんが出て行って、それで、始まったの』
「あれ?付き人は?」
『…もう一人の人は、隣の部屋にいた…のかな。私たちはベッドルームに入っちゃったから、ちょっと…わからないかも』
「そう。隣にいるなんて。嫌よね。色々聞かれてしまうでしょう?」
『あ、うん。そうかもね。そうかもしれない』
「声出ちゃっただろうし、色々な音だって、聞かれたくないわよね?」
『それはそうなんだけど、もう気にしていられなくて』
「お客を相手にするって、どういう感じでするの?」
『それは、普通よ。うん、普通。相手に合わせて、普通にするの』

千春ちゃんの恥を抉り出したい私からすると、答えはどれも芯を掴めないものだった。

「ちゃんと身体の準備ができるように、してもらえたのかしら?」

そこで、千春ちゃんは困った顔をした。

『ねぇ、芽衣ちゃん。私、あの時のこと、何もかも話さないとダメかな?ちょっと、あまり具体的には思い出したくないかも』
「あ、そうよね。ごめん、気になって色々聞いちゃって。千春ちゃんがどんな戦いをしてきたのかなって」
『いいの。芽衣ちゃんには話すって決めたから。でも、ちょっと、ごめんね』

私は諦めざるを得なかったが、気まずさからか、彼女が自分から話し始めた。

『最初にキスしながら服を脱がされて。いきなり格好悪かったんだけど』
そう言って笑った。
『私、水着の上からストッキング履いていたから、ちょっとおかしなことになっちゃって。水着とストッキングなんて一緒に着ないから、ダメね。脱ぐように言われて、それで、水着だけになったの』
「ねぇ、その客の男は、なんで千春ちゃんに水着を着せたのかしら?」
『シュミだって。生地の手触りで肉を感じたいとか、女の身体が締め付けられているのが好きなんだって。とにかく、悦んでいた』

男の欲をわかるとは言わないけど、そういうシュミなら、千春ちゃんの身体は最高だったでしょうね。

「千春ちゃんは、その人とシて、嫌なら言わなくていいのだけど、気持ちよくなれた?」
『うん。大丈夫。私も、気持ちよくなれたよ。その…イカされたし。』
「オーガズムがあったのね。よかったわ」
『だからね、私が最後にイカされた相手、藤野くんにはならなかったよ。藤野くん以外の人と、ちゃんとイッたの』
薄暗い個室で、千春ちゃんの顔は晴れやかで歪だった。

秀島が深く息を吐いた。

「私が知っているのはここまでよ」

「え?」
オレはこれから興奮が昇り詰めようというところで突然天井にぶつかった気がした。
この物足りなさは生殺しだ。
母の行った身売りのディテールが圧倒的に足りない。

「あの、その、他に、何かその時のことで言っていたことはないんでしょうか?」

秀島の目が一瞬で冷たくなった。

「何か、不満?」


[61] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/11 (金) 22:33 ID:/xWVgiN. No.33235
私も大いに不満ですね、売られた身体千春ちゃんの様子が知りたい。
富裕層の叔父様の女として飼われてしまうのか??? つづきが待ち遠しい。


[62] Re: 遍歴  ファン :2026/09/20 (日) 16:09 ID:RSa0n4y2 No.33270
展開が楽しみです

[63] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/21 (月) 15:58 ID:y/gZ402w No.33283
カッツ様 ファン様
いつも本当にありがとうございます。間が空いてしまいましたが、続けて参ります。


「言ったでしょ?私は知っていることを垂れ流すだけだって」

秀島は表情が消えている。

『あ、はい。そうです。わかってます。その、まずは、こんなに丁寧に教えてくださって、本当にありがとうございます。つい、その、もっともっとって求めてしまって。あの、こんなに母のことを知ることができるとは思っていませんでした。感謝しています』
オレは、素直な気持ちを述べた。
秀島が涼しい笑みを浮かべる。

「そんな風に、股間を膨らませて言われてもね」

鼻で笑った。

『あ、すみません。これは、その。すみません』

「君、わかっているかしら?私が話したのはストーリーじゃない。千春ちゃんが話したことの、そのままよ。わかったら、早くお家に帰って一人で楽しんだら?」

秀島がデスクに戻ろうとする。
この場が閉じようとしている。
だが、オレの欲望は、もっともっとと、求めている。
秀島は怒るだろう。だが、それよりも可能性に手を伸ばしたい。

『あの、その客の男って、誰なんでしょうか?』

秀島が振り返った。

「今度は、母親をどういたぶったんですかって聞くわけ?」

『…どうしても、気になって』

秀島が吹き出した。大笑いする。

「本当に、千春ちゃんて、男運がないのね。まさか息子までこうだとは、想像もしていないでしょうね。旦那だけはマトモであることを祈るばかりだわ。あいにくね、私は知らない。会ったことないもの」

秀島は満たされたと言わんばかりの、勝ち誇ったような表情をしている。

『そうですよね。あの、それじゃあ、三橋さんをご紹介頂けないでしょうか?』
「沙和は駄目。連絡先知らないもの。彼女、期待されていたんだけど割と早いうちにやめたらしいわ」

幕が降りていく。

『本当に、お忙しいのに、ありがとうございました』

秀島がデスクに着く。

「気をつけて帰りなさいね」

秀島の顔が優しい。
ふと、客の男について、「私は知らない、会ったことない」と言った秀島の言葉が反復した。
その後の「沙和は駄目」と明らかに語感が違った。
「会ったことがないから直接は知らない」という風にも受け取れる。
秀島の、「知っていることを垂れ流すだけ」という言葉に遡る。
この人は誤魔化したり嘘をついたりしない。
秀島の言葉が、「客のことは知らないが、知っている情報はある」という意味に変換された。
立ち止まる。

『あの、母の客の男のこと、知っている人を知りませんか?』
「どうして?」
秀島がデスクから返す。
『秀島さん以外の誰かは、客のことを知っていて会ったことがある、というように、さっき聞こえました』

秀島が口元だけで笑った。

「人の話、ちゃんと聞けるのね。客を知っている人を知っている、そうね。そうよ」
『あの、その人をご紹介頂けないでしょうか?』
「本当に、君は厚かましいわね。千春ちゃんとは違うけど、週刊誌の記者にでもなればいいわ」

拒絶は感じない。

『オレ、最低だってわかってます。だけど、もう抑えられなくて、母を裏切って生きるしかないと決めて、ここに来ました。もう止まれないんです。堕ちられるところまで、いかせてください』

そうねと言って、秀島は考えた。

「まぁ、その人を教えたところで何が変わるわけでもないし。いいわ」
『本当ですか?ありがとうございます。ありがとうございます』
「だけど、その人、君も知っているのよ」
『え?誰?ですか?』

「間瀬さんよ」


[64] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/09/21 (月) 19:32 ID:gVTm0giE No.33285
知っている人が間瀬隆介さんとは驚きました。

[65] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/21 (月) 21:16 ID:cyGpnSgc No.33287
あれれ、間瀬さんって誰でしたっけ???
さらに堕ちて行く母千春ちゃんの事、知りたいですねぇ。


[66] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/09/21 (月) 23:19 ID:gVTm0giE No.33288
カッツさん。
[14]に「薫さんが日程を整えてくれた次の水曜日。オレは緊張で胃を焼かれるような思いで、薫の夫・間瀬隆介のオフィスを訪ねた」というフレーズがあります。


[67] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/22 (火) 21:06 ID:VLbAUOZY No.33292
古田の磐井さん ありがとうございます。
記憶が乏しく感謝感激です。 ありがとう!!

しかし、つづき 待ち遠しいですね、まだかな、まだかなぁ


[68] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/09/22 (火) 21:28 ID:TKoBGl1I No.33293
カッツさん。私も待ち遠しいです。

[69] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/23 (水) 00:59 ID:2zltB0RY No.33296
古田の磐井様 カッツ様
間瀬についてシェアして頂きありがとうございます。待ち遠しいとのお言葉うれしいです。

ここで前回までの主な登場人物を整理します。

◆土屋裕一(20)オレ。大学生。偶然聞いた話から母・千春の男性遍歴に関心を持ち、その過去を調べている。証言から母の淫らな過去を知るほど興奮し、調査にのめり込んでいく。
◆土屋千春(45)裕一の母親。出版社勤務。男を虜にする天性の魅力を持つ美女で、仕事では「天才」と称されるエリート。社会人1・2年目に友人関係が断絶した空白の時間がある。
◆秀島芽衣(45)千春の会社の元同期。現在は独立。裕一に「空白の時間」の千春について証言。ヒモを飼い、その男の要求で売春したこと、買い手が間瀬の知人であることを明かす。
◆間瀬隆介(48)千春の親友・薫の夫。企業経営者として成功している。裕一に秀島を紹介する。しかし秀島から、千春が売春していた際の客を知る人物として名指しされる。
◆間瀬薫(45)大学からの千春の親友。夫の隆介の仕事相手である秀島が千春の元同期であることを裕一に告げる。良妻賢母タイプで裕一の調査を疑問視するが、止めようとはしない。
◆石川典子(44)大学からの千春の親友で、薫と3人で交流を続けている。IT企業勤務でモデルのような美女。ノリのいい性格で、裕一が千春の過去を探るのを面白がる。
◆藤野(不明)秀島の証言によると、「空白の時間」に千春とともに暮らしていたヒモ。
◆三橋沙和(43)千春の会社の1つ後輩。秀島の証言で、千春と藤野を目撃したとされる。
◆土屋一郎(55)裕一の父で千春の夫。息子にカタブツと思われているエリート。裕一は華やかな千春がなぜ結婚したのか疑問に感じている。

続けます。


秀島のオフィスを出たオレは、夕暮れに向かう坂道を下りながら、スマホの画面に指を走らせていた。
宛先は間瀬さん。母の客を知るという男。

指先の微かな震えを抑えながら、秀島を紹介してもらったことへの御礼を打ち、そして、「間瀬さんのお知り合いで、昔、母がお世話になった裕福な方がいらっしゃると伺いました。改めてお話を聞かせていただけないでしょうか」と加えた。
緊張を自覚して、送信ボタンを押した。

返信は驚くほど早かった。
端末がポケットの中で震えたのは、最寄り駅の改札を抜ける前だった。画面を開く。実務的で簡潔な文面と、いくつかの候補日程が整然と並んでいた。
オレは迷うことなく、一番早い日程を指定して即座に返した。

暗くなる前に家に着く。
玄関の鍵を開けると、まだ人の気配はなく静まり返っていた。母が帰宅するまで、あと1時間はあるだろう。
自室に駆け込み、ドアを閉めると同時に、オレは狂ったようにズボンと下着を下ろした。黒いボクサーブリーフの内側には、秀島のオフィスで溢れた粘液が乾き惨めな跡を作っていた。
ベッドに横たわる。頭の中で、秀島がその薄い唇から垂れ流した生々しい場面の数々を、一つ一つスライドショーのように思い描いた。
底辺の男に紫のブラを奪われ、無理やり結合された母。男の道具になることに快感を見出してしまった母。金と引き換えに競泳水着を仕込んで差し出された母。
想像すればすぐに身体はギンギンに変わるのに、どういうわけか集中できない。極上の情報が多過ぎる。最後の盛り上がりに、うまく辿り着けない。
オレは起き上がり、ズボンを半端に下げたまま、持て余した高揚感を引きずりながら自室を出た。何かに突き動かされるようにして、母のクローゼットの扉を開け、その暗がりに忍び込んでいた。

ひんやりとしたクローゼットの奥。いきなり目に飛び込んできたのは、見たことのない品のいいシルバーのカクテルドレスだった。
近いうちに着る予定でもあるのだろうか。それだけが特別な専用のハンガーに掛けられている。光沢のある上質なシルバーの生地で仕立てられた、美しいAラインのワンピース。ビスチェ風のデザインになっていて、鎖骨の周りから二の腕にかけては、繊細なレースで覆われ透ける作りになっていた。
そのすぐ脇の棚には、収納からわざわざ取り分けられたように、上下のアンダーウェアが静かに置かれていた。
装飾の一切ない、ストイックなグレーのブラジャーとショーツ。ブラはカップこそしっかりとした厚みがあるものの、肩紐が付いていない。間違いなく、目の前に掛けられているビスチェドレスの下に仕込むためのものだ。
オレの脳内で、そのドレスを身に纏った母の姿が、鮮烈なカラーで立ち上がる。
ビスチェのドレスに収まった、年齢を感じさせない完璧な肢体。
グレーのカップに押し上げられ、ドレスの胸元から丸く膨らむ柔らかな胸の谷間。
コルセットのようにシルエットを美しく描く、細いくびれ。
優雅に広がるAラインの裾から覗く、ストッキングに包まれた締まった脚。
知的な輝きをたたえる眼と、自信に満ちた薄紅色の唇。
艶やかにアップに結い上げられた髪が晒すうなじ。
完璧な、気高い母。

その母が、こちらを向いて微笑んでいる。
唇が動いた。
「藤野くん」
母は、あの忌まわしい男の名を呼んだ。
「もっと汚して」
ドレスの裾を持ち上げ、実用的なグレーのショーツを脱ぐと、横になった藤野の上にまたがった。
ヤツのモノを自分の割れ目に埋め込んでいく。

下から藤野が突き上げるリズムに合わせて、豊かな二つの乳房が揺れる。
藤野の骨ばった手が掴み、揉む。
「はっあぁっ、藤野くん。最低で最高。このまま、出して。私の中に、出してっ」
母の体内に藤野の遺伝子が放出される。
「ああ、私の一番大事なところに、藤野くんが、きたぁ」
それと同時に、オレも最低の欲望を吐き出した。

処理を終え、何食わぬ顔で自室に戻った。
しばらくすると、玄関の開く音がして母が帰ってきた。
いつものように、白いTシャツに着替えた母は、キッチンで手際よく夕食の支度を始める。さっきまでオレの脳内で藤野に汚されていた女とは思えない、清廉な日常がそこにあった。
オレはダイニングの椅子に腰掛け、平静を装って声をかけた。
「友達と夕飯食べに行く日程決めたいんだけど、ママ、いない日ある?」
母は手を止めずに、優しく振り返る。
『ママ、金曜日はちょっとしたレセプションでいないから、その日は夕飯済ませてくれると助かるわ』
「レセプション?」
母への興味がすぐに湧いた。
「うん。前に担当していた作家先生がプラットフォームとコラボするんだけど、始めてみたら作風が守られるかわからなくなって助けて欲しいっていうわけ」
レセプションに至った経緯らしい。
「ママは部外者なんだけど、ちょっと間に入ったら企業側にも感謝されちゃって、それでウチの会社まで事業に関わることになってね。その公開のレセプションだから行かないわけにいかないのよ」
その口調は半分ぐらい面倒そうだったが、普通の人には難しいことをやってのけたのだということが、今のオレにはわかった。

トントン、と小気味よい包丁の音が再開する。
あのクローゼットに隠されていた、シルバーのドレスの目的が明らかになった。
母からすれば、それは時折発生する、仕事上のイベントに過ぎない。
だが、オレは想像してしまう。
あのビスチェのドレスを着た母が、他人の男たちの目にさらされる。わずかな露出と、内に秘めたあのグレーの下着で、大勢の大人たちの欲望の視線の中を泳ぐ。その内の1人が、堪えられずに声をかける。
それだけで、ズボンの内側が再び猛烈に熱く硬くなっていくのがわかった。

もっと、どん底へ。母の娼婦だった過去という、黒く汚れ切った奥底へ、沈んでいきたい。


[70] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/23 (水) 17:43 ID:9jAmV0B6 No.33298
ビスチェドレスってその金曜のレセプションで着るのかな?
露出度は大丈夫なのか、素敵なんだろうな。
さて、母不在の時に何か企みでもあるのでしょうか・・・
つづき楽しみに待っています。


[71] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/09/25 (金) 19:10 ID:bibR6jKE No.33310
がんばって続けてください。期待してます。

[72] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/25 (金) 20:02 ID:DUtd5hdA No.33311
カッツ様 ありがとうございます。ドレスは鎖骨から二の腕がレースで覆われて露出は控えめでしたが、美しいと思います。
古田の磐井様 お言葉を励みに続けます。ありがとうございます。


「またここに来たってことは、秀島さんからほぼ全てを聞き出したってわけだな。裕一くんの行動力、いや執念か。大したものだ」
間瀬隆介は整った顔に、余裕を崩さない大人の微笑みを浮かべて言った。

再訪した間瀬のオフィスは、以前と変わらず無機質で、洗練された静寂に包まれていた。

オレは努めて冷静に、早々に切り出した。
『秀島さんに伺ったんですが、母が若い頃、大変お世話になった裕福な方がいたということで、間瀬さんのお知り合いなのでしょうか?』
ソファに腰掛けた間瀬は微塵も動じることなく、ただ楽しむように目を細めた。

「それは、西条さんのことだな」

確信に満ちていて、あっさりした返答。間瀬の態度からは、オレの脳内を見切っているかのような余裕があふれていた。

オレは一気に核心へと迫る。
『母と、その西条さんの関わりについても、知っているということですか』
「ああ」
そして間瀬は涼しい顔のまま、まるで「今日は晴れだ」とでも言うような平淡な口調で言った。

「西条さんは、若い頃の千春さんを抱いた男だ」

脳裏で、「売春よ」と言った秀島の言葉が鮮烈にフラッシュバックする。
オレはごくりと唾を飲み込み、ソファの上で姿勢を正した。そして、膝の上に置いた両手を握りしめ、深く頭を下げた。
『その方を、紹介していただけないでしょうか。直接、お話を聞きたいんです。お願いします』

間瀬は少しの間、無言でオレの頭頂部を見つめていたが、「その前に」と静かに言葉を挟んだ。
「いくつか条件がある。まず、僕がこんな話をしていることは、妻には内緒にしてほしい」
『薫さんに…ですか?』
顔を上げたオレに、間瀬は淡々と続ける。
「僕自身、何もやましいことはないけれど、千春さんの過去を知っていることは薫に話していないんだ。必要なかったからね。だから、そのことで夫婦間がギクシャクするのは避けたい。それに、僕が話せることはあるけれど、君の期待には答えられない可能性が非常に高い。あまり期待しない方がいい」
条件、というよりは釘を刺すような冷徹な警告。だが、ここまで来て引き下がれるはずがなかった。
『わかりました。薫さんには絶対に言いません。お願いします、聞かせてください』
オレの悲壮なまでの懇願に、間瀬は満足したように小さく頷いた。

「まず西条さんだが、4年前に亡くなっている」

目の前が暗くなった。一瞬にして、オレの内面は激しい落胆に塗りつぶされる。母の深淵を知る男に直接会って、その口から生々しいディテールを聞き出すという道が、いきなり完全に閉ざされた。
だが、間瀬は話を続けた。

「千春さんを西条さんが知ったのは、今から20年以上前のある飲み会だ。当時、千春さんは本業とは別に、今でいう『ギャラ飲み』のような仕事を掛け持ちしていた。その辺の事情は、秀島さんからすでに聞いたんだろ?」
『はい。教えてもらいました』

間瀬は遠い過去を懐かしむように、視線を斜め上へと向けた。

「当時はまだ、世間がIT革命なんて言葉に沸き立っていた頃だ。僕はまだ何者でもない、ただの駆け出しの起業家だった。西条さんは、すでにいくつかの事業で成功を収めていてね。僕らのような若い起業家連中を集めては、面倒を見てくれるような父親とか兄貴分とか、そういう存在だった」

間瀬の端正な顔に、わずかだが、粗野な雰囲気が混ざったように感じる。

「そんな西条さんが主催したある飲み会に、コンパニオンとして呼ばれた女性の一人が、千春さんだった。あの場では、『アイ』と名乗っていたよ。僕は末席から見ていただけだったけれど、夜の女性にもずいぶん素敵な人がいるものだと驚いたさ。他も美人が集まっていたけれど、千春さんは輝き方が違った。隣の西条さんが楽しそうなんだ。一流の経営者を満足させられる知性があるのは明らかだった」

すると間瀬は、自嘲気味にふっと笑った。

「だから、僕がその場で千春さんと直接言葉を交わす機会なんてなかったし、千春さんも、あの席に僕がいたことは知らないはずだ。後になって薫と付き合って、彼女の親友として千春さんを紹介された時には、本当に心臓が止まるかと思ったよ。あの『アイ』だって、一目でわかったからね。当然、初対面のフリを通したんだが」

オレは、母と西条が関係を持った経緯を知っているのか尋ねた。
間瀬が優しい表情を浮かべたように見える。

「ウリだったんだろう?西条さんがそれなりの額払ったって言っていたよ。あの頃の出版社の給料で金に困っていたとしたら、何か事情があったのかもな。騙されたとか、あるいは家族のこととか…」

間瀬は、藤野のことまでは把握していないらしい。

『あの、その、西条さんご自身は、母とどんなことがあったか詳しく話されたんでしょうか?』

間瀬の目が怪しく光った気がする。

「きたな。そうだよな、それが裕一くんの一番知りたいところだもんな」


[73] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/26 (土) 10:25 ID:b02YLnDk No.33314
売られた母千春ちゃんについて詳しく聴き取れそうですね。
面白くなってきましたね、ワクワクです。つづき待ってます。


[74] Re: 遍歴  スナフキン :2026/09/26 (土) 14:04 ID:3liM1Doc No.33316
期待でゾクゾクします。。。

[75] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/26 (土) 20:15 ID:S3AvIaq2 No.33317
カッツ様 スナフキン様
ありがとうございます。続けます。


「その前に裕一くん、この間、母親を欺いて生きていくと言っていたが、あの覚悟に変わりはないんだよな?」

オレは『もちろんです』と答えた。
もう止まれないのだとも。

間瀬さんは許可するかのように頷いた。そして、語り始めた。


西条さんは、仕事の話は学ぶことばかりのカリスマ的な経営者だったんだが、夜の話となると途端に下劣になってね。男同士では、それがまた楽しかった。

アイとの飲み会からしばらく経ってからだ。西条さんと、僕を含めた男数人で飲む機会があった。
深夜になって酒もまわって、男だけの下卑た会話が始まったんだ。それで誰かが、西条さんに訊ねた。「最近抱いた中で、一番いい女は誰ですか」って。
西条さんは、下品極まりない笑みを浮かべて言ったよ。「なんといってもアイだ」と。
アイの名前はすでに仲間うちでも噂だったから、その場は獲物を見つけたかのように盛り上がった。

当然、ディテールを聞き出そうと、みんなから質問が噴き出した。

「どうやって口説いたんですか?」
「仲介の男がいてさ。そいつに抱かせろって言ったんだ。それなりに金を払うことになったけどな。結果的には安かった」

「アイはベッドでもよかったんですか?」
「見た目以上だったかもな、ふははは」

「やっぱり乳ですか?デカいですよね?」
「ああ、豊かで、それで綺麗だったよ。ピンク色の乳首を摘んでやるといい声で鳴くんだ」

「おおー、すごいですね。さすが西条さん」
「だが、一番よかったのはアソコだな」
「ええっ、そんなによく締まるんですか?すげぇヤッてるだろうから、ガバガバかと思ったのに。ハハハハ」
「締まりも最高だったよ」

勝ち誇ったような西条さんに、その場で最年長のメンバーが聞いた。

「アイとも、いつもみたいにしたんですか?」
「当たり前だろ」

いつものっていうのは、西条さんの際どいシュミのことだ。僕はその時に知ったんだが、西条さんと付き合いの長い人たちの間では周知のことだったらしい。それが、気に入った女とビデオ撮影しながらスルってことだった。

オレは殴られたような衝撃と共に、欲望のマグマが噴き出したのを感じていた。
母は身を売って西条に抱かれた。その上、その痴態を映像に撮られていた。これほどの陵辱があるだろうか。
見たい。その映像を見てみたい。

間瀬さんの話は、その欲望がオレだけのものではないことを明かしていく。

当然、男たちは色めき立って、お願いですから見せてください、と口々に懇願していたよ。だけど、西条さんの答えは意外なものだった。

「それが、テープはアイに返したんだ」

みんながっかりだった。どうしてそんなもったいないことをって、疑問をぶつけた。半分は不満だったな。西条さんはこう説明した。

「別れ際に、アイがテープを渡して欲しいって言ってきたんだ。余りに毅然とした態度で、大したもんだと思ってな。渡すことにしたんだ。もったいないことをしたよな。だけど、決裂するよりも、手懐ける方が旨味があるとも思ったんだよ」

つまり、あの時点で、西条さんは千春さんと関係を続けるつもりがあったってことだ。実際どうだったか、そこは僕は聞いていない。

だがそれよりも、その映像だ。今と違って、当時はデータじゃない。簡単にはコピーなんてできない現物のビデオテープだ。それが、西条さんから千春さんの所にいったってことさ。そして、その中には、千春さんが取り返さずにはいられないほどの行いが記録されていたんだろう。

間瀬さんが、オレの反応を促すような、酷く冷徹で、知的な目を向けてくる。
オレは喉を震わせ、張り付いた声をなんとか絞り出した。
『じゃあ、その、テープを…母が、今も持っている可能性があるということですか』

間瀬は肯定の言葉を口にする代わりに、ただ口元だけで、歪んだ笑みを浮かべた。

「普通に考えれば、とうに処分されているはずだ。彼女にとってみれば、忌まわしい記録だろう。だが、一方でね。下手な捨て方をして他人の手に渡るリスクを冒すより、自分の手元に、誰の目にも触れない場所に隠して確保し続ける方が、結果的に一番安全だという考え方もできる」

間瀬はデスクの上の時計に目をやり、話を締めくくった。

「いずれにしても、西条さんが亡くなっている以上、裕一くんが望んでいることの手がかりは、千春さんしか知らないということだ」

オレの頭の中は狂ったような期待に踊らされていた。母は今も、どこかにテープを隠している。その願望はすぐに妄信にすり替わった。

その時、付け足すように間瀬さんが言った。

「秀島さんの話で、他に気になったことはなかったか?」

オレは考えるよりも先に、ずっと引っかかっていた名前を挙げた。

『三橋沙和という女性が、気になっています』

母の会社の一つ後輩であることと、連絡先がわからないことを伝えると、「そうか、こっちでも調べてみよう」と言った。

間瀬さんのオフィスを辞した。
オレの脳は踊り続けていた。これから帰るあの家が、まるで宝物を隠す洞窟のように思えたからだ。あるいは、魔物が息を潜めているのだろうか。
だが、必ず見つける。
母の人生で最も屈辱だったはずの一夜を、この目でのぞいてやるのだ。


[76] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/26 (土) 22:43 ID:b02YLnDk No.33318
待望のビデオ見つかるといいな、三橋沙和も何か知ってそうな予感。
続編待ってます。


[77] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/27 (日) 22:50 ID:XIqCQTlg No.33323
カッツ様
いつもありがとうございます。続けます。


オレの狂気じみた家捜しは、容易でなかった。実際に手を動かしてみると、捜した後の完璧な原状回復の作業は、想像以上に手間がかかった。
母親が仕事に出ている日中、数日かけて、クローゼットにシェルフ、デスクの引き出し、キッチンやドレッサーの棚まで、家中の収納をのぞいた。だが、
期待したようなビデオテープの収穫はどこにもなかった。
唯一の発見といえば、母親の普段使いの下着がしまってあるチェストとは全く別の、クローゼットの奥の収納ボックスから、光沢のある生地の派手な下着が数組、大切そうに収められているのを見つけたことくらいだった。
男が見れば、勝負下着と呼ぶことが明らかなデザインのものばかりだ。果たして、父に見せるためにあるものなのだろうか。
だが、ビデオテープが見つからない焦燥が、下着への妄想じみた関心など霧散させてしまう。
間瀬の言う通り、そんな羞恥の塊のようなビデオなど、二十年余りにわたる歳月のどこかで処分されているのが当たり前なのだ。

自室のベッドに大の字になり、天井を見つめる。母親の、若き日の決定的な痴態を見たいという異常な思いに支配されていたオレは、冷たい水で顔を洗ったかのように、急に現実へと引き戻された。

間瀬と会ってから1週間ほどが経った頃、スマートフォンの画面に典子さんからのメッセージが届いた。
「秀島さんに会ってどうだった?薫と二人で気にしてるから、お茶でもしようよ」
行き詰まりから、なんとなく手を差し伸べられたような、そんな気持ちになった。

待ち合わせ場所は、前回と同じ表参道のカフェだった。
駅から店へと向かう道すがら、ふと思う。ここは四半世紀前、母がまだ「水野千春」だった頃、最低の男・藤野と出会い堕落していく、その一歩目を踏んだ街なのだ。今、オレが歩いているこのアスファルトを、若き日の母は絶望の足取りで歩いたのだろうか。

店に入り、視線を奥へと巡らせると、テラスに近い席で薫さんが小さく手を振った。その横には、典子さんも座っている。社長夫人とIT企業のマネージャー。二人は店内で一際目を引くほど華やかだった。
オレは席に着くと同時に、まずは間瀬さんを介して秀島を紹介してもらったことへの礼を丁寧に述べた。
薫さんが、探るような、どこか心配そうな目をオレに向ける。
「秀島さんと話せて、よかった?嫌な話を聞くことにならなかったかしら?」
『はい。本当に、貴重な話をたくさん聞くことができました』
オレはそう答え、秀島から仕入れた情報の何から話せばいいだろうかと、二人に報告をしようと口を開きかけた。
だが、それを典子さんが片手を挙げて遮った。
「あ、ストップ。報告ならいいわよ。私たちはね、千春の過去については、千春本人からしか聞くつもりないから」
典子さんは、ストローを弄びながらサバサバとした口調で言う。
「あんたに声をかけたのは、報告会をさせるためじゃないの。あんた自身が、秀島さんに会って『よかった』と思えているなら、それでいいって確認したかっただけ」
薫さんもそれに優しく微笑んで頷く。オレは胸が温かくなるのを感じながら、改めて礼を述べた。

すると、薫さんが首を少し傾げて言った。
「それで、千春の過去への関心は満たされたの?」
『はい。ただ、知れば知るほど、母の過去への関心が湧いてくるんです』
オレの本音を察したのか、典子さんがニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべて茶化してきた。
「なによ、それ。まだまだ下心が膨らむわけだ。ほんと、エロガキねー」
「ちょっと、典子!」
典子さんがゲラゲラと笑い、薫さんが慌てて突っ込みを入れる。が、呆れたようにしている薫さんも表情は笑っていた。

オレは二人の笑顔を見つめながら、ふと、この二人がテープのありかのヒントを持っている可能性はないだろうかと思った。
だが、直接的には聞けない。別の糸口を見つけなくては。関係ないようで、水面下で繋がるような話。他人の話で、目的の人物にも重なる話は…。

『あの、一つ聞いてもいいですか。母が社会人になってほどなくして別れた、当時の彼氏のことって知っていますか?』
「え?」
『秀島さんが、母にそういう相手がいたと言っていて』
典子さんも薫さんも、突然の質問に小さく目を丸くし、記憶をたどるように視線を泳がせた。

やがて、薫さんが「あ!」と小さく手を叩いた。

「それ、光くんだわ」
『ヒカル…?』
初めて聞く名前に、オレの耳がピクリと動く。
「そうだ、千春のゼミの同級生。チハルとヒカルで、名前の韻が似てる二人ねって、からかってたわね。ほら、ものすごいイケメンだったじゃない?」
典子さんの言葉に、薫さんも大きく頷く。
「そうそう、背が高くて爽やか系のイケメン。ずっと千春のことが好きでね、就活が終わった後にようやく付き合い始めたのよ。でも、光くんが就職したのが大手の保険会社で、最初は地方勤務になっちゃって。結局、社会人になってすぐに遠距離で別れちゃったのよね」
美男美女でお似合いだったのに、と惜しそうに語る薫さんの言葉を聞きながら、オレは、イケメンでエリートというヒカルの人物像に強く引っかかりを覚えた。「沙和ちゃんは自分に見合う人を選べる」と、エリートらしき男を連れた後輩に敗北宣言したという母の言葉が舞い戻る。
だが母にも、藤野のような生ゴミとは違う、自分に相応しい男と付き合っていた時期があったのだ。その頃は幸せを疑わなかったのではないだろうか。

『その、ヒカルさんとの写真とか、母が持っているとしたら、どこにしまっていると思いますか?』
オレの問いを典子が茶化す。
「そんなの、ママの昔の男を知りたいから写真見せてって甘えてみれば?」
『いや、それはちょっと。そういう昔の記録、母は処分したりしていないでしょうか?』

「残してるよ」
当然とばかりに即答したのは典子さんだった。
薫さんが驚いたように身を乗り出す。
「ちょっと典子、なんでそんなこと言い切れるのよ。千春から聞いたの?」
「聞いたのよ」
典子さんは得意げに胸を張った。
「私が旦那と結婚する時、昔の男の写真とか思い出の品をどうしようか迷って、千春に相談したの。そしたら千春がね、『私は処分できなくて、全部取ってあるよ』って言ったのよ。どこに、どうやって隠してあるかも教えてもらって、私は今でもその千春のやり方を真似してそのままにしてるんだから。だから、千春だって今も同じ場所に置いてるんじゃないかな」
心臓が、ドクンと激しく脈打った。
オレは自分の必死な家捜しを思い返した。クローゼットも、シェルフも、デスクも全部捜した。写真なんて、どこにもなかったはずだ。
オレは乾いた喉を鳴らし、典子さんを食い入るように見つめた。
『それ…どこですか?』


[78] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/28 (月) 23:13 ID:JxO6EqA2 No.33331
おっとお、隠し場所分かるのか? 分かっても無理だったり・・・
テープ見つかる事を祈ってます。   期待してます。


[79] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/09/29 (火) 15:00 ID:nvTCiLfA No.33334
テープの在処が、、、。楽しみです。

[80] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/29 (火) 20:25 ID:YgvDcZKw No.33335
カッツ様 古田の磐井様
お言葉を頂き励みになります。ありがとうございます。続けます。


典子さんはニヤリと口元を歪めてから説明を始めた。
「あんたん家の脱衣所、洗濯機の上の戸棚があるでしょ?」
「…あります」
「その戸棚の、一番上の段。そこ、普段使わない予備のバスタオルとかが詰まってるはず。でね、そのタオルをどかした奥、そこを二重構造にしてあるの」
典子さんが悪戯っぽくオレに目線を送る。
「ウチも同じ作りなんだけど、一番上の段の奥なんて、下から普通に見上げても見えない位置なのよ。家の中で自分しか絶対に触らない、旦那や子供じゃ目に入りもしない場所。そこに、奥の壁と同じ大きさ、同じ色の箱を仕込んであるってわけ」
そう言って、得意げに笑った。
薫さんが、紅茶のカップをソーサーに戻しながら、呆れたような顔でため息をつく。
「ちょっと典子、本当にお喋りが過ぎるわよ。千春の秘密をそんな風に勝手に……」
「いいじゃない、減るもんじゃなし」
典子さんはあっけらかんと言い返す。
「それにさ、千春が今でも私に教えた通りの隠し場所を使ってるか、ちょっと確かめてみたいじゃない? 裕一さ、もし光くんとか、昔の男の写真を見つけたら、こっそり私に教えなさいよね」

母が考えた隠し場所。それは、一度は諦めかけた「母のビデオテープ」が、今も処分されずに残されている可能性に直結していた。
早く家に帰って確かめたい。その猛烈な焦燥感が、オレの心を狂おしく急き立てた。
「ねぇ」
不意に、典子さんがつまらなさそうな声を上げて、オレの顔を覗き込んできた。
「あんた、生真面目な顔しちゃってさ、私がそこに何を隠しているのかは、気にならないわけ?」
薫さんがすかさず横から口を挟む。
「何って、さっき自分で言ってたじゃない。元彼の写真でしょ?」
「元彼の写真て言ったって色々あるでしょ?どんな写真か気にならないの?」
「色々?色々なんてあるかしら?」
薫さんがおっとりと首を傾げる。
「だからさー、薫も裕一も、私がどんな写真を隠してるか聞きなさいよ。訊ねるのがマナーでしょ?」
「聞かなくたって、どうせ自分から言うじゃない」
薫さんのツッコミに、典子さんが不満げに頬を膨らませる。オレは早く話を切り上げて帰りたかったのもあり、たまらず話を合わせるように言葉を差し挟んだ。
「……で、典子さんは、どんな写真を隠しているんですか?」
「ふふ、仕方ないな。知りたがりのエロ少年に教えてあげる」
二十歳のオレを子供扱いして、典子さんが満足そうに笑みを浮かべる。
そして急に声を潜めた。
「昔の男と撮った、ちょっとエッチな写真」
「ちょっ、典子!」
薫さんが顔を赤らめて制するが、典子さんはどこ吹く風で続ける。
「いいじゃない、相手の男のことなんて今さらどうでもいいのよ。でもね、若くてハリのあった頃のキレイな身体だけは、どうしても処分できなかったの。お別れしたくなくてさ」
「ほら、やっぱり自分から言いたかっただけじゃないの」
「何よ、私だって昔は本当にスタイルが良かったんだから! 証拠として残しておきたいの!」
スタイルなら今も十分にいいと思ったが、四十代の女たちの賑やかな応酬を前に、オレは黙っていた。
ただ、「エッチな写真」という単語が、オレの脳髄に邪悪な刺激を与えた。

ヒカルという、母に相応しかった男との写真は見つかる可能性が感じられる。もしもそれが、二人のハメ撮りだったら。
挿入し、感じている母を見下ろして撮った写真や、男に跨り突き上げられて、胸を揉まれる母を見上げて撮った写真があるかもしれない。
それが見つかれば十分な気がしてくる。

いや、と考えを打ち消す。
本当に欲しいのは、幸せできれいな母の姿ではない。穢され堕落した母の動画だ。もう一度、目的を定め直す。その方が見つかるような気がしたから。

典子と薫のやり取りを最後まで聞き、オレは脱兎のごとく表参道を後にして、我が家へと帰宅した。
カチャリ、と静まり返った玄関の鍵を開ける。母はまだ仕事で帰らない。
オレは靴を脱ぎ捨てるなり、廊下を突き抜け、脱衣所にある洗濯機の前へと駆けつけた。
息が荒くなるのを抑えられない。
洗濯機の上に設置された、備え付けの白い木製の戸棚。化粧板に覆われた扉を左右に開け放つ。
一番上の段。典子さんの言葉通り、そこには普段使わない厚手のバスタオルやフェイスタオルが、隙間なくぎっしりと詰め込まれていた。

落ち着くよう、自分に強く言い聞かせる。ここで痕跡を残せば、あの鋭い母に一発で勘付かれる。
オレは急いで食卓から木製の椅子を運び込み、脱衣所の床に設置して踏み台にした。椅子に立ってポケットからスマートフォンを取り出すと、タオルの畳まれ方、重なり具合、戸棚全体の配置を、原状回復のために全て写真に収めた。
細心の注意を払いながらタオルを一枚ずつ丁寧に取り出し、床へと置いていく。
改めて下から見上げると、確かに、上段の棚の中はほぼ見えない。
靴下のまま椅子の上に立ち、戸棚の最上段の奥を、上から覗き込むようにして見つめた。
一見、何もないように見える。
だが、奥の壁の右端にわずかに隙間があって、指を差し込めそうだ。
手を伸ばし、指をかけて手前に引く。

壁自体が、手前に動いた。


[81] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/09/29 (火) 21:26 ID:aXiH0mTc No.33336
続きを御願いします。

[82] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/30 (水) 10:32 ID:iZ43GPDM No.33342
おっ、見つかったよですね、きっとテープ入ってますね。
さあ内容が気になってしょうがないしょうがない。 つづきを・・・


[83] Re: 遍歴  土屋 :2026/09/30 (水) 20:05 ID:DxvaBmxM No.33343
古田の磐井様 カッツ様
お言葉ありがとうございます。続けます。


これだ。

短く息を呑み、オレは確信した。

心臓が、破裂しそうなほどに暴れ始める。全身の毛穴が開き、脳内の血流が加速した気がする。
母が封印した、本当の聖域。
棚の手前まで引き出して両手で掴むと、横に長く奥行きは浅いが、それが確かに箱であることがわかる。
オレは椅子から降り、箱を脱衣所の床に置いた。
そのままオレも胡座をかき、震える手で慎重に蓋を開ける。
中には、中身を優しく労わるように、真っ白な新しいタオルが詰められていた。そのタオルの清潔な状態から、これが決して封印されたものではなく、最近も母が触れたものであることが伝わってきた。
元に戻せるように撮影してから、そっと、上のタオルをめくる。
現れた中身は、濃いグレーのポーチと、黒い箱が3つだった。
ここでも画像で記録を取り、オレはテープが入っているであろう順に、まず、細長い黒い箱を開けた。
中から出てきたのは、繊細な銀色のチェーンがついたアクセサリー。そして、それとは別に、銀色の輪っかのような小物が5つ、綺麗に並んでいた。ピアスのようにも、あるいは医療用器具のようにも見える。だが、少なくとも、今オレが求めているものではない。その物体は慎重に元に戻した。
続いて、残された2つの小さな黒い箱の片方を開けた。

あった。

手のひらに収まるサイズの、透明なプラスチックのケースが2つ。
中に収められているのは、驚くほど小さいが、間違いなくテープだった。プラスチックのボディにのぞき窓が付いていて、巻かれた磁気テープが見える。
心臓が激しく高鳴る。地鳴りのような動悸のあまり、喉の奥から吐き気すら込み上げてくる。
この2本のテープの中には、若き日の母が金で買われ、恥辱に震えながら喘ぐ姿が記録されているに違いない。ついに、オレは母の秘密の真ん中に辿り着いたのだ。

オレは歓喜の余りおかしくなりそうな自分を必死に理性で押さえ込んだ。
まず、ケースに入ったテープの表面にあるロゴや型番を、正確にスマートフォンで写真に撮る。
そして、触れた指紋を拭き取るようにしながら、箱もポーチも、全てを寸分の違いもなく元の白いボックスへと収めた。タオルを敷き詰め、蓋を閉め、椅子の上から、戸棚の最上段の左奥へと戻す。床のタオルも写真の通りに畳んで詰め直し、化粧板の扉を閉めた。椅子を食卓へと戻す。
原状回復は終わった。

だが、目的への道のりはこれからだった。
我が家には、こんな旧式の小さなテープを再生できる機器などどこにもない。
オレは自室に駆け込み、猛烈な勢いでスマートフォンを操り、AIも使ってネット情報を検索した。
古い規格のテープを再生できる中古のビデオカメラと、パソコンに映像を取り込むための機材を調べ、必要なもの一式をコンビニ受け取りで注文した。母に見つかるリスクを避けるためだ。

2日後。
コンビニのレジで重みのある段ボールを受け取り、機材が全て揃った。
自室のノートパソコンの設定も、すでに済ませてある。
だが夜になり、両親がいる中で動くことはできなかった。こんなに長く、苦しい夜は、人生で二度とないだろうと思った。

そして、次の日。
オレは大学の講義をすべてサボった。
午前8時過ぎ。母が仕事へ出かけ、家が留守になったのを確認する。
静寂に包まれた家の中で、オレは再び脱衣所の戸棚から、あの白いボックスを降ろした。
中から、2本のビデオテープを取り出し、自室へと持ち帰る。
机の上には、手に入れたばかりの、旧時代のビデオカメラ。
オレは震える手でケーブルを繋ぎ、カメラをPCのUSBポートへと接続した。画面に異常はない。動作の推移を、祈りながら見守った。
パカッと、ビデオカメラのテープホルダーが開く。
オレはプラスチックケースから、1本の黒いテープを取り出した。二十数年の歳月を眠り続けた、母の秘密。
それを、カメラのメカニズムの中へと、ゆっくりと挿入する。
ガチャ、と重々しい機械音がして、テープが内部へと吸い込まれていった。
画面の前に座り、マウスを握る。カーソルを「PLAY」のボタンへと合わせた。
心臓が、喉から飛び出しそうだった。

一度だけ、深く、深く呼吸をした。
そしてオレは、再生ボタンをクリックした。


[84] Re: 遍歴  カッツ :2026/09/30 (水) 21:29 ID:iZ43GPDM No.33344
ありましたね、期待と興奮が膨らみます。
つづき待ち遠しいです。


[85] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/10/01 (木) 12:32 ID:uu9iJiH6 No.33347
続きを楽しみにしてます。

[86] Re: 遍歴  :2026/10/02 (金) 10:12 ID:1nYZuFk2 No.33353
素晴らしい世界ですね
一気に読みました
再生ボタン・・・
続きをお待ちします


[87] Re: 遍歴  土屋 :2026/10/02 (金) 20:07 ID:wPQm6xyE No.33356
カッツ様 古田の磐井様 未だにエッチな60代様
ありがとうございます。励みになります。続けます。


ズッというノイズが、一瞬だけスピーカーから弾けた。
直後、画面に映し出されたのは、手ブレを伴いながらゆっくりと動くカメラの主観映像だった。
どこかの高級ホテルのスイートルームだろうか。間接照明だけが灯る、琥珀色の薄暗い贅沢な空間。画面は、手前を歩く一人の男の後ろ姿を追いかけている。仕立てのいいシャツを着たその男は、歩きながらふと、振り返った。
「撮っているな?」
男が訊ねる。短髪に、濃い眉、眉間と目元に皺が寄っている。還暦前後といった風貌だが、自信とゆとりが全身から漂っている。この男が、若き日の母を抱き、4年前に亡くなったという西条なのだろうか。
カメラマンは目線で応答したのか、西条はまっすぐ歩き、部屋の入り口らしい、重厚なドアの前で止まった。そして、静かにドアノブを回した。

開かれたドアの外、廊下からの逆光を受けて、ワンピース姿らしい一人の女性のシルエットが現れた。
小さな頭部から伸びる首筋、華奢な肩と長い腕。若さを誇るような腰のくびれ、豊かに広がる下半身のライン。シルエットだけで、男の関心を引く女であることは一目でわかった。

『こんばんは』

その瞬間、オレは心臓を撃ち抜かれたような衝撃に襲われた。
二十数年前の音声。それは、オレがこの世に生を受けてから今日に至るまで、ずっと耳にし続けてきた声そのものだったからだ。
間違いなく、母だ。若き日の、水野千春の声だった。
「よく来たね」
西条が、包容力のある、優しさを込めるような声で迎え入れる。
『本日は、よろしくお願いいたします』
黒いシルエットのまま、母が丁寧にお辞儀をした。その仕草には気品すら漂っている。
西条と母が並んで、部屋の中へと進んでくる。カメラに向かって歩いてくる形だ。
『広いお部屋ですね……』
母がカメラのほぼ正面、部屋の中央あたりまで差し掛かったその時、天井からのダウンライトが彼女の顔を真上から照らし、暗かった影を一瞬にして払い去った。

オレはパソコンの画面に顔を擦り付けんばかりに、その姿に釘付けになった。
あまりにも、美しく、可憐だった。
目尻の上がった、吸い込まれそうな大きな瞳。ツンと通った高い鼻筋に、どこか肉感的な、厚めの唇。綺麗な卵形の頭の輪郭を強調するように、豊かな黒髪は上品にアップにまとめられている。現在の、四十代になった母の面影を残しながらも、そこにあるのは、圧倒的な若さと瑞々しさを放つ、二十代前半の「水野千春」の美貌だった。
不意に、母の視線が、自分を捉えているカメラのレンズへと向けられた。
その瞬間、美しい眉が不快そうにピクリと跳ねる。
『……撮っているんですか? 困ります。そんなお話、聞いていません。止めてください』
冷徹で、毅然とした母らしい物言い。
カメラマンが動揺したのか、画面が揺れる。
すかさず西条が宥めるように声をあげた。
「すまんすまん、説明もせず、いきなりだったからな。それは謝る。だが…」

声色が低く、重くなった。

「お前に拒否する権利はないんだ。私が買ってやったんだからな。今お前は、私が所有する物だ。物に選択肢などない。私がしたいようにする、ただそれだけだ」

カメラは母の顔にズームインする。
言い返さない。唇を噛むような、屈辱に塗れた表情で、受け入れ難いことを目で語っている。

「ふはは」
西条が笑う。
「そう怖い顔をするなよ。私は今日という日を、ずっと楽しみにしていたんだ。アイ。……いや、千春か」

話しながら西条はソファに腰を下ろした。
母は何も答えず、ただ西条の目の前に、直立不動で立っている。半袖の紺色のワンピースに身を包んだその姿は、優等生が先生の前に立つようだった。
「清楚な服が、本当によく似合うな。かわいいよ。……おいで」
西条が、自分の隣のスペースを軽く叩き、母を誘った。
母は躊躇ったのか、まずソファの自分の座る位置に手を置き、身体を支えるかのようにして、西条の横へと腰掛けた。

カメラは少し高い位置から、座った二人を見下ろすようなアングルで捉える。
「千春。これから行う全てのプレイが、あのカメラに記録されるんだ」
西条が耳元で囁くと、母は初めて、気まずそうに視線を下に落とし、俯いた。
「返事は?」
西条が再び、支配的な低い声で言った。
しばらくの沈黙の後、母の唇が小さく動いた。
『……はい』
「恥ずかしいだろ?」
『……はい』
「それが、たまらなくなるんだ…」
西条の手が、母の華奢な肩を抱き寄せた。
母の身体がわずかに傾く。
顔を背けるように斜め下を向く母。
その顎に、西条は手をかけ顔の向きを変えさせると、整った唇に自分の口を重ねた。
母が身を硬くする。
『んぐっ』
抵抗しているように聞こえる。
だが、西条は離さない。

やがて、静まり返った部屋に、生々しい音が響き始めた。
チュッ、チュッパッ、チュッ、チュパ……。
母が、応じている。
『んふ』
母の息が漏れた。

初めて見る、母の性的な行い。
オレは、激しい鼓動と張り付くような喉の渇きに襲われていた。

お互いの唾液を吸い合う、濡れた音。母の白い喉が、西条の舌を受け入れるたびに、コクンと小さく上下するのが見えた。
「いいぞ、千春。……ベロを出して」
西条が唇を離し、命令する。
母は、潤んだ大きな目で西条をじっと見つめた後、小さく、その赤い舌先を口元から覗かせた。西条もまた自分の舌を出し、母の舌先を、まるで愛玩動物を慈しむように生々しく舐め上げていく。
『……んんっ』
母の口から、微かな、熱を帯びた吐息が漏れた。
そのまま、二人の顔が再び激しく重なり合う。今度は、お互いの舌を深く奥まで絡ませ合うような、濃厚で、容赦のないディープキスだ。母の鼻から漏れる呼吸が、明らかに速く、乱れていくのがはっきりと伝わってくる。

『はう、んふ、はむ…はぁ』

しばらくして、西条が満足そうに顔を離し、母の濡れた唇を見つめた。
「おいしいよ、千春。……どうだ?」
画面が広がり、母の上半身まで写す。乱れた呼吸に、母の胸が上下している。ワンピースの生地の下に、豊かな肉の膨らみが隠れているのは明らかだった。
母は西条の顔を、湿り気のある上目遣いで見つめ返した。
『…お…おいしいです、西条さん』

母が男の名を呼んだ。
オレの知らない水野千春の、汚れきった、そして狂おしいほどに美しい深淵が、明らかになろうとしている。


[88] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/10/02 (金) 21:44 ID:KiqDZcAI No.33358
期待どおりの展開です。楽しみです。

[89] Re: 遍歴  カッツ :2026/10/04 (日) 22:33 ID:eIE7hZ6o No.33371
ビンゴでしたか、この後詳しく母千春ちゃんの淫らな身体、声が
露になるんですね。 楽しみでしょうがありません。


[90] Re: 遍歴  :2026/10/05 (月) 11:51 ID:iYE6WKoU No.33375
人に言えない関係

奥深い所で・・・記憶にも体にも強烈にインプットしている
ムスコに秘めていたコトを知られ
イケナイ女として見られるなんて
いつか、、、
濃厚な思い出が増えていきそう
私の願望ですが・・・


[91] Re: 遍歴  ヤマユリ :2026/10/05 (月) 17:07 ID:Zl2MCEcs No.33376
最高です。興奮してます。右手が、忙しい・・・・マスかいてます・・・・

[92] Re: 遍歴  土屋 :2026/10/06 (火) 22:44 ID:0LdaoGb. No.33385
古田の磐井様 カッツ様 未だにエッチな60代様 ヤマユリ様
お言葉、とても励みになります。ありがとうございます。続けて参ります。


「千春、オーダーしたものは、着てきたか?」
西条の試すような低い声に、母は目線を宙に泳がせてから、小さく頷いた。
間接照明の暗がりで、西条の顔がより深く歪んだように見える。
西条は母と正対すると、彼女が身につけている、清らかに閉じられた紺色のワンピースのボタンを、一番上からゆっくりと外し始めた。
カメラがその手元を捉える。
やがて前が大きくはだけ、その隙間から、本来ホテルの部屋にそぐわない、鮮やかな青い生地がのぞいた。
母は西条の腕に、そっと自らの細い手を添えた。
その瞳は、自らの衣服を剥ぎ取っていく西条の無骨な指先を見つめている。
全てのボタンが外れた。
西条はそのまま母の服の内側に手を差し入れ、ワンピースを肩から滑り落として脱がせた。
「はぁ」と母が短く息をついたのと同時に、すとん、と衣服が足元に落ちた。
されるがままに、母は天井を仰ぎ見た。
カメラが、遮るもののなくなった身体を、一画面に収めるように捉える。
手脚の長い、完璧なバランスの肢体。
それを、肩から股ぐりにかけて、逆三角形にきつく締め上げているのは、青色の競泳水着だった。
伸縮性のある化学繊維の生地に、スイートルームのライトが当たり、生地の張りと、その下にある身体の膨らみや盛り上がりが、陰影を伴って容赦なく照らし出されている。
だが…。

「おい、千春。ストッキングを履く順序が違うぞ」
西条が、クククと喉を鳴らし、柔らかい声で指摘した。
画面を凝視すると、その通りだった。母は競泳水着を着用した上からストッキングを履いていて、へその位置あたりまでが、不自然なベージュの薄膜に覆われてしまっている。
『えっ?あっ……す、すみません。すぐに、脱ぎますから……っ』
その不格好な重ね着を指摘され、恥ずかしくなったのだろう。母は慌てて前屈みになり、ストッキングを両手で降ろそうとした。
「まず、ストッキング、その上から水着だろう。ふだん、男とこういう遊びはしないのか?千春、せっかくだ、少しそのままで楽しもう」
西条は床にしゃがみ込み、母の足元に擦り寄った。そして、ストッキングに包まれたままのふくらはぎから、肉感的な太腿にかけて、大きな両手で愛撫するように撫でまわし始めた。
『や、ちょっと、変な格好だから…』
「気にするな。こんなに、細くて美しい脚をして」
『……っ、くすぐったいです……』
「くすぐったいのが、今に気持ちよくなる。私はね、女の身体が、こうして生地にピタリと包まれている状態が、好きなんだ。特に千春は最高だ」
西条の手は、ふくらはぎから太腿、そして母の豊かな尻へと、這い上がるように動いた。ストッキング越しに肉を掴み、揉みしだく。

「よし、そのテーブルに手をついて。尻を、こっちに向けるんだ」
促されるまま、母は目の前にあった低いガラステーブルに両手を置いた。そして、丸く張った尻を、背後にいる西条の方へと突き出した。
『……これで、いいですか……?』
母が首を傾げ、振り返る。
その動きによって、引き締まったウエストが妖しくねじれ、突き出された尻の存在感が、さらに大きく、強調される。
「そうだ、千春。それじゃあ…脱ごうか」
西条は、熟した果実の皮を湯むきでもするかのような手つきで、母の腰からストッキングをゆっくりと引きずり降ろし、脱がせた。
カメラがぐっと近づき、露わになった丸く張った尻を、画面いっぱいに大きく写し出す。
いつの時点でよれてしまったのか、本来なら尻の肉を覆うはずの競泳水着の細い生地は、深く狭い割れ目の奥へと完全に食い込み、母の白い肌を半分以上、剥き出しにしていた。
西条が、その剥き出しの肉に、直接手のひらを滑らせて愛撫する。
「千春、尻がツルツルだ。本当に、非の打ち所がない」
透き通るような肌が覆う、まあるい肉。その割れ目を絞られたような青い生地が這っている。
オレには、母の身体が罪深いものに見えた。

西条は後ろから母の背中にぴったりと張り付くような格好になり、その大きな両手を、脇から母の豊かな胸の膨らみへと回した。
『ひゃっ……!』
突如、胸を包み込まれた母が、短く声を上げる。
カメラはすぐに回り込み、テーブルに手をついて身をよじる母を、下から見上げるようなアングルで舐めるように捉えた。

「いいな、男に愛されている身体をしている」
『んん、ああぁ、んっ』
西条の両手は母の二つの膨らみを捉え、それぞれの中指が胸に食い込んで、一点を擦るように動いていた。青い生地に覆われた膨らみに窪みができている。
『あっ、あっ、んあぁっ』
「最後にヤッたのはいつだ?」
『やん、あっ、ん』
「ん?最後はいつだ?」
『あ、あ、きのう、です』
「誰と?」

母が躊躇う。藤野のことを言いにくいのだろう。

『しゅ、主人と。あっ、くうっ』

競泳水着の強力な締め付けによって、限界まで平たく押さえ込まれた胸を、西条の両手が容赦なく揉みほぐしている。
『はっ、あぁん…あっ、…くぅっ』

胸を責められる姿に釘付けになったせいで、違和感に遅れて気付いた。母は今、「主人」と言った。


[93] Re: 遍歴  カッツ :2026/10/07 (水) 11:04 ID:YveY2ZbI No.33389
母上の千春ちゃん、相当お美しいようでたまりません。
そして新たな疑問、主人とは??? つづき期待します。


[94] Re: 遍歴  古田の磐井 :2026/10/07 (水) 12:59 ID:KuLqdkmk No.33390
すごい展開ですね。続きを御願いします。

[95] Re: 遍歴  スナフキン :2026/10/09 (金) 14:06 ID:lURVR7qg No.33402
面白すぎます!!!

[96] Re: 遍歴  土屋 :2026/10/09 (金) 21:19 ID:zwBALtik No.33404
カッツ様 古田の磐井様 スナフキン様
いつもありがとうございます。続けます。


藤野のことだろうが、「ご主人様」という意味だろうか。
オレが思考を巡らせようとする前に、西条は休むことなく母を責めている。

そうだ、今は、母への仕打ちを味わわなくては。
母の胸は西条のいいように揉まれているのだ。

「あぁ、これが、千春のおっぱいか。すごいボリュームだ。水着の圧迫を押し返すほどじゃないか」
西条が母の胸に夢中になっている。
『あっ、……ん、……んぅ……』
「お前のおっぱい、ダンナも好きだろう?」
『ん、ん、…んっ』
母が頷く。
「主人」の次は「ダンナ」だ。オレは激しく勃起させながら、頭が混乱し始める。

だが、画面の中はオレを待つことなく、西条が母に欲望をぶつけている。

「この感触だよ、この感触。水着の人工的な手触りの中に、ちゃぁんと、お前の生の肉が感じられる。千春は、私の趣味を完璧に満たしてくれているんだ」
生地に阻まれているせいか、西条の手は、胸を揉むというよりは、競泳水着の滑らかな表面を、力強く押したり、擦りつけたりするように動いている。
『ふ、…ん、…んっ…』
「どうだぁ、千春。ここが、硬くなってきたぞ」
西条の中指の先端が、水着の生地の上から、母の胸の一点を執拗に責め立てた。
『あ、…はぁ…、あっ』
胸が波打つようだ。
『はっ、んんっ、はあっ』
母が、声を躊躇わずに出すようになっているのではないか。
やがて西条の指がそこから離れると、青い競泳水着の胸の中心、少しだけ外側の位置に、ぷっくりとした小さな突起と思しき丸い膨らみが、生地を押し上げるようにして、生々しく浮き上がっていた。
西条は満足げな息を吐きながら、母をテーブルから立たせた。
「ちゃんと、この身体を眺めなくてはな」
西条の前に、直立する母。
その身体は、水着という拘束具に全身を縛られながら、両胸には、今や一目でわかるほど、はっきりと2つの突起が浮き上がっている。水着の締め付けを、内側から押し返して主張するほど、母は乳首を硬くしていた。

「改めて、自己紹介してもらおうか。アイではない、本当の名前でな」

西条が笑うと、母がハイレグから伸びる脚を重ねるように閉じた。
下を向いてから顔を上げると、西条の方を見た。

『藤野…千春です。23です。…バスト、Eです』

藤野、千春?水野千春だろうと、すぐに戻して再生する。

『藤野…千春です。23です』

やはり、藤野。
まさかという想像に、焦りを覚えた。

「結婚は?」
西条の確信が滲む声。次を聞くのが怖い。

『…しています。人妻、です』

ああ、なんていうことだ。そんなことがあっていいのか。母が、結婚していた?レイプ犯でヒモの藤野に、人生そのものを差し出していたのか。オレの母は、ずっと前から、オレのものでもなければ、父だけのものでもなかった。

「結婚してどのぐらいだ?」
『4ヶ月ぐらい』

足元が崩れ去っていく気がする。そして、最低の男に奪われてしまった母を、腹立たしく、狂おしいほどに愛おしく思ってしまう。

「新婚で、こんなことをしているとはなぁ」
西条のつぶやきに嘲りが滲む。
「子どもは?」
『いません』

母がいないと言った子どもはオレのことではない。オレとは無関係の、藤野の遺伝子がまだいないと言っているのだ。頭の中が熱い。

「いま、妊娠は?」
『いえ、していません』

西条は母に向き合い、その細いウエストに両手を置いた。そこからなぞるように、下腹部、そして腹へと滑らせて優しくさすった。
手のひらで撫で回される、母の平らなお腹。
「この感触もいい。生地の中に柔らかい肉があってね、その奥に、お前の鍛えている腹筋が感じられる。腹筋の奥は、内臓だ。……ん、感じるぞ。千春の『中身』を感じる」
西条の呼吸が、明らかに興奮で荒くなっていく。
「そのうち、男のタネを受け入れて、ここを大きく膨らませるのか?」
『あぁ、あ、あ』
「ダンナのがいいか?それとも、タネをもらえるなら誰でもいいか?」
『はぁん、んん、んあぁ、あ、ん』
母の反応から、未来を想像しているのがわかる。
「どうなんだ?」
『んあ、あ、わかりません』

西条はそのまま、流れるように頭を下げ、母の胸元へと顔を埋めた。そして、水着の生地ごと、母の胸に激しくしゃぶりついた。
『はぁうっ! あっ、…あんっ…あぁ!』
「がふ、ふぐ、ふあ、ふむぅっ」
水着の冷たい繊維の上から貪り、舐め上げる。
その濡れた舌先が責めているのは、間違いなく、水着を押し上げて浮かび上がった、あの硬い乳首の突起だった。
『ん、あぁ、……はっ、はぁっ、……んん……っ』
母の身体が、西条の頭を抱え込むようにして、小刻みに震えている。女の顔だ。目は半分閉じ、口は下顎が下がっている。感じているのだと思った。

しゃぶりつきながら、西条の大きな手がゆっくりと青い生地をなぞり、股間の方へ伸びていく。母の中への入口を隠す水着の鋭角が近づく。
だが、その指先は、布地の境界線に触れる寸前で、ピタリと止まった。

「こっちは、もう少しとっておくか。千春のココは…特別なんだろ?」

西条は顔を上げ、濡れた母の胸を見つめながら、意地悪そうに微笑んだ。
母が西条を見て頷いた。
今度は、瞳を潤ませ、何かを期待するような熱を醸していた。


[97] Re: 遍歴  カッツ :2026/10/10 (土) 23:45 ID:ocOlNw2c No.33412
まさかの藤野との婚姻関係、驚き。
さあいよいよでしょうか、股間への刺激は、特別なんだ・・・。
またまたつづき待っています。



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