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愛しい妻

[1] スレッドオーナー: 篤史 :2025/08/29 (金) 09:35 ID:zjNC3KNM No.203326
私の名は篤史、46歳、父が興した自動車関連サービス業の後を継いでいる。
妻の名は茉莉、46歳、店の総務関連を纏めている。
一人息子はコロナ終焉気に高校を卒業し、現在は関東方面の大学生で
青春を謳歌しているはず、と思う。

自動車関連サービス業というのはいかにも大雑把な表現だが、
父が興した頃の業務は車の部品調達や付随する車検、保険代行が主だったが、
車が機械から電子部品に変化するにつれて業務は変化してきた。
車検や保険代行は変わらず業務しているが、
カー用品とエアコンやアクセサリーなどを含んだ店舗経営が主立った業務に変化している。

会社は利益が横ばいながら整備士も含めて30名ほど在籍しており、
私はともかく、総務一般を纏めている妻は、
上得意先の営業窓口も兼任しているため案外忙しいと思う。
私生活の諸事などは気遣って、私もできるだけ協力しているが、
妻としてはストレスが鬱積していただろうし、
正直なところ夫婦関係もお座なり気味だったから猶更のことだっただろう。

妻が木崎を気に入っているのは薄々感じてはいた。
俳優の舘ひ〇しをやや丸くしたような風貌の木崎は51歳、
地元の店舗設計事務所の専務の肩書を有している。
落ち着いた雰囲気と紳士的な態度など妻の好みに適っていたし、
彼と接する妻の様子を傍から窺えば、それは察せた。

木崎との取引は4年ほど前から設計事務所の営業車の車検、保険代行から始まった。
またそれ以外の商品の取引も継続し、いわゆる上得意客となった。
対応したのは妻で、そうした縁から店の店舗改築の折には
彼の設計事務所を指定していた。

二人の関係を薄々感づいたのは今年1月中頃だったと思う。
感づいたというより、正直に言えば妻の口から聞かされた。
妻が言うには、
「新年の挨拶に木崎さんの事務所に行ったでしょ。
帰り際、彼が見送ってくれたんだけど、その時ね、
今度、夕食しませんかって誘われたわ」
と私に話した。
愛想が良く、四十を過ぎてからの妻の容姿は公平な目で見ても肉感的だから、
そうした前例がないわけでもない。
しかし前例の誘いは品良く断ったのを知っていたから、
「木崎さんと食事しても良いよね」
と意思を告げられた私が驚いたのはやむを得ないと思う。

そして、驚きと同時に感じたのは、非常に空しいような切ないような、
しかし身体の底から湧き響いてきた劣情感だった。


[28] Re: 愛しい妻  篤史 :2025/09/04 (木) 18:59 ID:x4PKt5BI No.203498
daigoさん、ご丁寧なお便り頂戴しまして感謝します。

〔24〕のコメントにも記しましたが、こんな世の中なので夫婦関係の多様化は
避けられないと考えています。
では夫婦を繋ぐものは何かと考えれば、互いの立場を尊重しあう思いやりでしょうし、
互いを信じることでしょうか。
そのつもりでいる私ですが、胸中に存在する邪な思いも中々捨てきれないのも事実です。
ご報告が進めば、現在の私たち夫婦がどのような状況にあるかを知っていただけるはずですが、
こうしたことに関心のない人たちにはなんて不幸な夫婦かと思われるように感じます。
しかし、おっしゃるように夫婦関係が瓦解しては元も子もありません。
もちろん一抹の不安はありますが、今のところ、夫婦間の意思疎通は健全です。
期待に沿えるか分かりませんが、これからも応援していただけるようお願いします。


[29] Re: 愛しい妻  篤史 :2025/09/04 (木) 19:20 ID:x4PKt5BI No.203499
美樹さん、ふにゃさん
感想いただき感謝します。

早漏談義もなんですが、以前、サイドテーブルに置いてある時計で
実際どんなものかと試した経験があります。
私の場合、精一杯頑張って耐えられるのは10分でした。
おそらく今もその調子は同様です。

早漏の定義ではないけれど、学者が調査した統計では
6〜7分が平均という事実もあるようです。
なのでそれ以下ですと該当するようです。

そんな私に慣れたのか、妻もタイミングを合わせる術を心得ているようです。
私たちの場合は、ベッドインしてから挿入に至るまであれこれと会話をするし、
その間、互いの愛撫も欠かしてないので、それで多少は誤魔化してるのかと。

早漏と寝取られの因果関係は考えたことがないので何とも言えませんが、
これも私たち夫婦の場合は、妻が夫婦関係の主導権を握っているため、
そもそも私がマゾ気質なのだろうと思います。
投稿文中にも記したように、妻が満足する前に放ってしまうと詰られますし、
おかしなもので、妻に詰られると気の昂りを感じる私がいます。
そんな私を観察しているのか、調子づいた妻はさらに詰るんですね。
結局、いつの間にか妻に馴致されて、私が寝取られ嗜好に傾いたのかと分析していますが・・・。

つまらない話でしたが、今後とも何かとよろしくお願いします。


[30] Re: 愛しい妻  美樹 :2025/09/04 (木) 21:16 ID:IRtIgExE No.203500
「学者が調査した統計では6〜7分が平均」というのはおもしろいですね。
それが、挿入してからの時間なのか、それともピストンを始めてからの時間なのかが気になります。
私の場合は、膣内の感触を味わいながら、ペニスをゆっくりと動かすのが気持ちよく、それで十分射精しそうになります。慌てて抜いて、昂ぶりを鎮めて、再挿入して、ということで時間を稼ぎます。
測ったことはありませんが、ピストンを始めたら、おそらく1分も持たないと思います。
6〜7分が平均とは、皆さん凄いですね。


[31] Re: 愛しい妻  洋祐 :2025/09/05 (金) 01:19 ID:G8eMu3Do No.203503

女性へのアンケート調査(20〜40代:各100名,50代:80名.60代:69名,平均42.7歳)によれば、
理想の時間は1位:10分(20.9%),2位:5分(18.9%),3位:1分未満(12.9%),4位:15分(9.6%),5位:3分(7.1%),
平均:9.7分で、46.8%の女性が5分以下、74.6%の女性が10分以下が理想と答えています。
逆に、30分以上の挿入時間を希望する女性は8.0%しかいないそうです。
実際に、長いと嫌がる女性が多いようです。

そう考えると、早いか遅いかは相手の女性次第となりますが、奥様はどの程度なのでしょうね。
私はかなり遅漏なのですが、パートナーが8.0%の女性なので本当にラッキーでした。


[32] Re: 愛しい妻  ジゼル :2025/09/05 (金) 05:26 ID:gg94qDi2 No.203507
篤史さん、更新ありがとうございます。

自分もかなりの早漏です。
なので女性に感じてもらえるように前戯やクンニなどに時間をさき、出来るなら女性から望まれる頃合いに挿入するようになりました。
それでも中に入れるとどうしても彼女からの声と締めつけが気持ちよく持ち堪えることが出来ずに出してしまうことがたびたびです。
こればかりはいつまでも反省しているのですが治りませんね。
何度も出来る若い頃なら良かったのですが衰えもありますし、もう仕方ない部分もあるのかと諦めもちらほら。
余計なことでしたね。

奥様が可愛い。
反応一つ一つが篤史さんを刺激するようにそして恋する乙女も見え隠れ。
嫉妬なのかそれとも奥様への愛情なのか?どちらにしても魅力的です。
奥様がこれからどんどん綺麗になっていくのでしょうね。
楽しみです。


[33] Re: 愛しい妻  ふにゃ :2025/09/05 (金) 08:51 ID:PGSytDLA No.203510
篤史さんの、早漏と寝取られの因果関係の分析はその通りじゃないかと思います。
早漏でおちんちんも小さい自分じゃ妻を満足させられないから、巨根で1時間2時間でも挿入していられる男性に妻をイキ狂わせて欲しいと願っているMな自分がいます。


[34] Re: 愛しい妻  篤史 :2025/09/05 (金) 12:12 ID:TPokyBmM No.203513
洋祐さん こんにちは。
仔細なデータ、ありがとうございます。
なるほど、と思いました。
要はパートナーとの相性が良ければ男女ともほぼ満足という意味合いでしょうね。
妻の場合は・・・、考える必要に迫られるかもしれません。
これからもよろしくお願いします。


[35] Re: 愛しい妻  篤史 :2025/09/05 (金) 12:19 ID:TPokyBmM No.203514
最初の食事デートから約2カ月後の、4月中旬、妻は木崎から2度目の誘いを受けた。
その日、私は数日前から決まっていた用品メーカーへの出張日だったし、
それは妻も承知していたから、
「ねぇ、どうすれば良い?」
と、困惑した表情でたずねてきた。
「出張日程の変更は無理だからなぁ」
「そうよねぇ・・・」
「う〜ん・・・、僕がいないとまずい?」
「まずくはないけど・・・、でも不安かな」
「僕が帰るのは翌日の夕方だよ」
「日にちを変えてもらおうかなぁ」
「彼だって忙しい身だと思うよ。時間が空かなかったからその日になったんじゃないの?」
「そうよね・・・」
木崎抜きのそんな話は無意味だったが、
私が不在の間の2度目のデートに妻が困惑するのは仕方ないだろう。
むしろ、困惑や不安の表情を示す妻が愛しかった。
「だけど断るのは、どうだろね?」
「・・・・・・」
「僕は受けた方が良いと思うけどな」
「そう?」
「茉莉が待ち焦がれた木崎さんとの2度目のデートをする当日、僕は出張。
その日の夜はビジネスホテルでデートの様子を想像して、翌日の夕方まで
悶々と過ごすなんて、案外刺激的だろ?」
「それは、あなただけでしょ。デートするのはわたしなんだから」
「だから、鬼の居ぬ間になんとやらで、茉莉も羽目を外せるんじゃない?」
「そんなこと言って・・・、知らないよ」
「ってか、けっこう期待してるんだろ、茉莉も」
「へぇ、そうやって意地悪するんだ」
妻は私を睨んだ。
そして、
「でも、断りにくいよね。OKの返事しても良いのね?」
「そうだね。茉莉も僕も待ち望んでたんだから」
「それは、あなただけじゃない」
頬を膨らませたまま妻は言って私の小脇を突いた。


出張当日、最寄り駅まで妻に車で送ってもらった。
途中の車中、夫婦の会話はあまりなかった。
ロータリーの隅に停め、書類バッグを手にした私が降りる際、
「なにかあればlineしてね。電話でも良いけど」
と、妻は言った。
「了解。でも、まずいだろ、それは」
「わたしたちのことの方が大事でしょ。遠慮しなくて良いから」
「そうだね、わかった」
車を降りた私がコンコースに向かったとき、
「いってらっしゃい」
と妻の声が聞こえ、そして車は走り去った。
ごく当たり前の見送りの言葉が印象的で、私は不思議ななにかを感じた。


[36] Re: 愛しい妻  篤史 :2025/09/05 (金) 12:22 ID:TPokyBmM No.203515
その出張は、用品メーカー主催の展示会イベントで、
商談は後日に販売店業者が個別に行うので気が重くなる内容ではなかった。
予定通りの時間に催されたイベントに参加し、定刻通りに終了した。

私は学生時代を高田馬場で過ごした。
当時は学生の街といっても過言でなく、ゲームセンターやパチンコ、
喫茶店、立ち食いソバやレトロな飲食店ばかりだった印象がある。
その頃から今も年賀状を交わしている土器の友人がいて、
イベント終了後に連絡を取り、数年ぶりに再会した。
狭い路地を入ったところにある焼き鳥屋に入って乾杯をして昔話に嵩じた。
2時間ほど歓談した頃、
「さて、女房殿がお帰りの時間だから、そろそろお開きにしようか」
と、友人が言った。
「お帰りの時間って、なんだ?」
「仲良し同士のプチ同窓会に参加しててな、そろそろ帰る時間ってことさ」
「へぇ、同窓会ねぇ」
何気なしに言ったのだが、何を思ったのか友人は溜息をついてから、
「仲良し同士が俺には誰かわからんし…」
と言い、
「じゃあ、またこっちに来る機会があったら連絡くれよ」
そう言って、先に店を出て行った。

友人の妻は我々同級生仲間で、当時はミス○○に選出されたほどの美人だった。
結婚式に招待された親しい仲間たちだったが、
「あの野郎、きっとすぐ別れるぞ」
と、嫉妬の罵声浴びせる者ばかりだった。
そんな彼の妻がプチ同窓会に参加したという。
友人の口調からすると、彼はその同窓会参加を良く思っていないらしい・・・。
そんな状態の夫婦がいる年代なのだろうかと思うと、
私も急に妻のデートに不安を感じ始めた。

八重洲口まで戻った私は妻が予約手配した大手町のビジネスホテルにチェックインした。
ほぼ最上階ともいえる12階までEVで昇り、ホールの隅に設置されていた自販機で
ウィスキーの小瓶を二瓶仕入れてから部屋に入った。
そもそも最近の出張は日帰りが多い。
一晩の睡眠を取るだけの部屋にしては思ったより広く豪華に感じた。
衣服を脱ぎ、そのまま浴室で汗を流し、クローゼットのガウンを羽織った。
備え付けのグラスに注いだウィスキーを飲むと不思議なほど孤独感を感じた。
壁の時計へ自然に目が向いた。

9時20分・・・。
今頃、妻は木崎とどこで何をしているのだろう、と思った。
妻から知らされていたのは、
7時に市役所前の煉瓦通りにある時計台付近で待ち合わせる、
ということだけだった。
初回のデートもそうだったが、木崎は食事前に妻を買い物に誘っていた。
彼にしてみれば、それが当然の行動と思う。
食欲が満たされた状態よりも買い物に対する食指がわくのは当然だろう。
ピアスに続いてアンクレットや、妻の予想ではランジェリィを選定するとなれば
満腹状態は良くない。
6時半に待ち合わせた妻と木崎だから、この時間、既に買い物を済ませただろう。
では、二人はどこにいるのか・・・?
なにをプレゼントされたかはわからないが、木崎は妻がお気に入りのなにかを
プレゼントしたはずだから、妻は案外それだけで空腹を忘れたかもしれない。
軽い食事で済ませて…、というより木崎はむしろそれを考慮しているのだろうと感じた。
となれば、前回はパブに入って多少のアルコールとチークダンスを楽しんだようだが、
2度目の今回はそれを省略してダイレクトに静かな場所へ誘ったかもしれない。
静かな場所へ移ろう、などと男が女を誘うドラマがあるが、
それはたいていホテルの部屋を指す。

目が自然に時計に向かう。
まだ10分ほどしか過ぎていない。
ソファに座ってだらりと脚を投げ出していると、
高田馬場の酔いにウィスキーの酔いが重なってくるのを感じた。
しかし身体が妙に熱いのは酔いのためだけではないとわかっていた。
空しい想像が自棄を起こしたように欲望と嫉妬に変化している。
実際、ガウンを羽織っただけの下半身は勃起していたし、
それも尋常でない昂りだった。
だが、何ともし難いのは胸を蝕む嫉妬の思いだった。

二人は何をしているのだろう・・・?
誰もいない静かな空間で、妻はプレゼントされたアンクレットを足首に纏い・・・、
いや、もしかしたら妻は前回プレゼントされたピアスを留めているかもしれない・・・。
そして、セクシーなランジェリィを着けた肢体を木崎の目の前で披露している、かもしれない…。
そのランジェリは妻好みというより、木崎好みのデザインを強要したように思えた。
拒む妻の耳元で、木崎は口説き落として与えたのだろう。
与えられた妻は木崎の要望通りに、
全身を朱に染めてセクシーなランジェリィ姿を披露している、のかもしれない・・・。
衣服姿からも想像できる妻の裸身を木崎はどんな目で鑑賞しているのか・・・。

強い焦燥感に身震いしたとき、テーブルに置いたスマホのline着信が響いた。
跳ね起きた私は勢いよくスマホを掴んでモニタを見た。
送信者は、高田馬場で飲んだ友人からだった。
lineを開くと、
『まだ飲んでれば良かったよ。女房はどうやら泊りらしい。
女房との結婚を妬んでた奴らが知ったら大笑いだろうな』
自虐的な内容だった。
どうしようかと迷ったが、
『泊りもあるだろうさ。妙な考えをするのは止めた方がいい。
それに誰も妬んでいたりしないさ』
とだけ記して返信した。
スマホをテーブルに戻しながら、友人同様、自虐的に笑うしかなかった。


[37] Re: 愛しい妻  ジゼル :2025/09/05 (金) 12:47 ID:vK9x/nsE No.203516
奥様のデートが進行するなか自宅でも地元でもない土地にいる…
何かあっても呼ばれても行けない距離がもどかしく、また連絡のない間は妄想と嫉妬と愛する人への感情が入り混じりそれが刺激となる。
まだ何も起こっていないせいもあり、これからがどうなっていくのかという不安もありますよね。
どちらにせよ奥様からの報告を聞くまでは身を捩るほどの興奮と妄想しかありませんね。
これからがドキドキです。


[38] Re: 愛しい妻  美樹 :2025/09/06 (土) 14:08 ID:6AB44C0U No.203543
なかなか素晴らしいシチュエーションですね。
ひとり東京のホテルで、彼とデート中の妻を思う。しかも、妻には、彼と寝てもいいと許可している(「許可した」という立場なのか、「許可させられた」という立場なのかは、微妙ですが)。
妻は、夫の許可があるので、彼に誘われれば、躊躇する必要はない。したがって彼がどんな風に誘ってくるか、それに自分がどう対応するかのアバンチュールを楽しむ余裕がある。
夫にしたら、どう考えても、「今夜、妻は抱かれるだろう」と思わざるを得ない。
初めてのNTRの醍醐味ですね。


[39] Re: 愛しい妻  篤史 :2025/09/07 (日) 09:32 ID:5f36Vq4M No.203571
翌日、眠い目をこすりながら朝食をとり、イベントの2日目に向かった。
幾つかのメーカーから個別に話を聞き、業者向けの資料も入手した。
そして午後4時に予定通り終了して解散となった。
参加した中に地元の商工会でもよく顔を合わせる業者がいて、
向こうもこちらに気づき神田の居酒屋で食事がてら一杯飲み、
そして帰宅したのは午後8時過ぎだった。

門灯が点り玄関の軒先にも明かりが点いていた。
玄関を開ければ、おそらくいつも通り妻が出迎えてくれるはずだ。
それは当然と言えば当然だったが、変に気が逸ったのは状況が状況だからだろう。

夜間だけだが我が家の玄関ドアは開くとチャイムが鳴る。
聞き慣れたチャイムの音のききながら、
「ただいま」
声をかけるとダイニングから、
「おかえりなさ〜い」
これも聞き慣れたいつもの調子の妻の声が届いた。
しかし、廊下に上がっても妻が姿を見せる様子はなかった。
料理の途中で手が離せないのだろうか、と思ったか思わなかったか、
私は覗き込むようにダイニングに入った。

「おかえりさない、あなた」
テーブルの横に微笑んだ妻が立っていた。
「ただい,ま・・・」
と言っただけで、声が止まってしまった。
いつも通りの展開が、ここで突然打ち切られ、私は唖然とした。
唖然でなければ驚愕して声が出せなかった。
正面で立っていたのは、出張前に私を駅まで送ってくれた妻ではなかった。
「ど、どうしたの、その髪?!」
声が高くなったのは当然と思う。
「変わったでしょ? ふふ、どう、似合う?」

黒髪のセミロングだったヘアスタイルが、明るくて艶があるダークブラウンに染められ、
髪の長さもかなり詰めていた。
言葉を繋げずにいると、妻は肩口まで詰めた髪の裾をつまんで、
「このスタイル、ミディアムレイヤーっていうのよ。
短くしてすっきりしたし、若く見えるでしょ?」
私の驚きなど一向に介す様子もなく、妻は言った。
「いやいや、それはわかるし、そうは思うけど・・・」
しどろもどろに返すと、
「あ、髪の色? 艶があって綺麗でしょ?」
そう言って妻は片手をテーブルに乗せ、片手を腰に乗せたポーズで見つめてきた。

文字で表現するとたどたどしいが、妻の変化はそれだけでなく、
その衣装も動揺した。

フィットしたオフホワイトのセーター、
側面にスリットが深く入ったタイトミニ、
太腿の半分が露出した脚はラメ入りのストッキングに包まれていた。
昨日を区切りに一変した妻の姿に魅入り、同等の驚きで私は言葉が思うように出せなかった。

ポーズを崩した妻は近づくと、まだ手にしていた私の書類バッグを引き取り、
顔を寄せてきて、
「もしかして、怒ってるとか?」
からかうように言った。
問われてたじろいだ私は返事もできなかったが、
「いやいや・・・、驚いてるんだよ」
とだけ言った。
「ふぅん・・・、妬いたんじゃないんだ」
とあっさり言い、続けて、
「ねぇ、素敵でしょ。ヘアスタイルも髪の色も、
それにセーターもスカートもストッキングも」

確かに妻の言うとおりだった。
肯定を強要するような口調に、私は頷くしかなかった。

「あの、あのさ、いつそうしたの?」
「いつって、昨日の夜よ」
「夜? 彼とデートじゃなかったの?」
「そうよ、一緒に彼も美容院へ行ったの」
当然のように妻が言う。
「はぁ?」
「だからぁ、彼がこうした方がもっと素敵だよって言うから」
「じゃぁ・・・、食事とかは?」
「美容院が1時間くらい掛って、そのあと買い物に行ったわ。
それから軽い食事をご馳走になって」
そう説明されても、時間と行動が合致せず理解できなかった。
「あのさ、7時に待ち合わせしたんだよね?」
「それがね、午後になって6時にならないかって連絡があったの。
6時なら間に合うからOKしたわ」

なるほど、と私は思わず唸った。
説明を聞いて疑問は解けたが、またすぐ別のもやもやが急激に充満し始めた。


[40] Re: 愛しい妻  美樹 :2025/09/07 (日) 19:59 ID:N.ryhvYM No.203591
続きを投稿して頂き、ありがとうございます。

奥様のヘアスタイルとファッションが木崎の好みに変えられてたんですね。そして奥様もそれを楽しんでいる。しかも夫から見ても、似合っている。
こんなシチュエーションだと、嫉妬と興奮が抑えられないですね。
美容院の次は買い物。何を買ってもらったのでしょうか。そして買い物の後はどうなったか、気になるところですね。



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