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覆水盆に返らずB

[1] スレッドオーナー: 矢部 :2025/07/10 (木) 00:07 ID:dlh6H.Uk No.201946
パートBからの投稿になりますが、
前作の「覆水盆に返らず」「覆水盆に返らずA」は
こちらのサイトの「他の男とセックスしている妻」に投稿済です。

スローな展開で、物足りなさすぎる内容ですが、
読者の皆様、よろしくお願い致します。

*****

「あのへんやな・・・」

ふと漏れた私の声に反応したのか、由紀も口を開きました。

「あっ トオサン、洗濯物と炊飯器のスイッチ お願いね」

彼女の声は、高ぶっていたとか、震えていたとかではなく、
いつもの日常の中のお願い事を、淡々と口にしているような
普通のトーンでした。

数分後には、彼女も面識のあるとはいえ、私の親友とはいえ、
いちおう「男」と会う、いちおう「デート」に臨むような
雰囲気は、彼女からは微塵も感じられなかったのです、。

(後席に座っていたから、余計にそう思えたのかもしれませんが)

むしろ私のほうから、彼女がこれから平尾とデートすることを、
あらためて知らせるようなことを言ったのでした。

「じゃぁ、あいつの気晴らし・・・気分転換 させてやってな」

あくまでも平尾のためを強調する「ずるい」私に戻っていました。
平尾のことを持ち出すことで、自分の感情を隠そうとしたのです。
というか、そうでも言わないと、他に言葉が浮かばなかったのです。

「ん〜 まぁ、難しいかも・・・ わかんないよ」と由紀。

その声も、どこか“あっけらかん”としていたのを覚えています。

車はロータリーに入り、駅前(裏口)に着きました。

「じゃ〜 行ってくる」

これから電車に乗って 街まで買い物に行く、そんな軽い感じで
私に言うと 「ふぅっ」と軽く一息吐いて 由紀は車を降りました。

後席のスライドドアが閉まる間際・・・

私は言葉にできない絶望感と無力感に襲われ、
そして血圧までも上がっていたと思います。

取り返しのつかないことをしてしまった感覚。
しかし一方では ここにきて とても気持ちが昂っていたのです。

私はその場で、彼女をずっと目で追うまでもなく、
そのまま車を走らせてロータリーを回り、メインの通りから、
一本筋に入ったところにあるコインパーキングに車を停めました。

そしてすぐに下車して、小走りにもう一度メイン通りまで出て、
そこから数十メートル先にある、先ほどの駅裏ロータリーを、
街路樹や立て看板、広告旗の陰から、じっと見つめていました。

なぜ私は 牧里駅の「裏口」を待ち合わせ場所に選んだのか?
二人が会うシーン、大袈裟ですが「寝取られ」「妻の貸し出し」、
背徳的な現場を“この目で見てみたい”と素直に思ったからです。
こんな歪んだ願望は こちらのサイトによる影響も大きかったのです。

その願望を叶えるために、事前に地図情報を調べてから、
この場所を選んでいたのでした。

・駅裏口には、駅に近い場所にコインパーキングが数か所あって、
 休日でも比較的空いている
・ロータリーからメイン通り沿いにはコンビニやドラッグストア、
 不動産屋や飲食系のお店等があり、それなりに人の往来もある。
・車道に沿った歩道に街路樹があり“隠れ蓑”になってくれる。

つまり、私の浅はかな計算によるものだったのです。

ただその日、実際にこの状況になってくると、欲望や願望などは、
焦る気持ちに打ち消され、どうでもよくなっていたのですが・・・。

少し離れていても、由紀の姿はすぐにわかりました。
落ち着いたクリーム色のシャツに、ダークブラウンの綿パンツ。
姿勢良く立ち、視線も逸らすことなく前を見据えていました。
これから自分を迎えに来る“男”を待っていたのです。

当然ですが、そんな彼女の視線の先に、私は いませんでした。
もしかしたら、たとえ目と鼻の先にいても、彼女の意識の中に
私はもう存在していないのでは? 
被虐的な感覚に焦りながらも、ドキドキしながらその瞬間を
心待ちにしているという複雑な気持ちでした。

そして時間ぴったりの 13:30・・・

白いアウディクーペがロータリーに滑り込むように現れました。
間違いなく平尾でした。

由紀は、目の前に停車した高級車に向けて軽く頭を下げると、
迷いもなく助手席のドアを開けて乗り込みました。

その時、遠目に見ていた私には、彼女の口元が、
わずかに緩んだように見えたのです。
嬉しそうな笑顔だったのか、単なる挨拶の笑顔だったのか、
もちろん離れたところから、はっきりとは分かりませんでした。
ただ 彼女が“拒んでいない”事実だけは鮮明に目に映りました。

しかし、よくよく振り返って考えてみると、
このデートが実現するに至る ここまでの経緯からすれば、
由紀が拒んだり不機嫌になることは ないのですけどね・・・

それでも言いようのない焦りと嫉妬、理性では「冷静に」と
思っても、つい数分前まで一緒にいた愛妻が、急に遠い世界に
行ってしまった、自分だけが置き去りにされた、
そんな感覚になってしまったのです。

由紀を乗せたアウディはロータリー出口の信号で止まりました。

(追いかけよう)

気づけば、私は走っていました。
パーキングに飛び込み、ドアを開けシートに滑り込みました。

(こんなこと してはいけない・・・)

頭では分かっていたのですが、
どうしても、あのまま“彼女が連れ去られてしまう”気がして
ならなかったのでした。

焦りから精算機前で財布から小銭がなかなか取り出せず、
私は紙幣を押し込み、おつりの硬貨数枚を取り損なって、
地面に散らばらせてしまいました。

そのすべてが、もどかしい時間の無駄に思えたのです。

とにかく私は急いで車に乗り込みました。

もう、見えなくなっているかもしれない。
いや、もしかしたら まだ追いつけるかもしれない。

思いが交錯する中、メイン通りに出ることはできましたが、
視線の先には、すでにアウディの姿はありませんでした。

わずか数分、いや数十秒の差だったのか・・・
それだけの違いなのに、私は二人に“置いていかれた”という
思いに囚われました。

車内に静寂が満ち、茫然とした私はアクセルを踏むこともできず、
ただハンドルに手を添えたまま、その場でしばらく深呼吸を
繰り返していたのを覚えています。

自宅への帰り道の記憶は、ほとんど残っていません。

いつも通る住宅街の道や交差点も、風景としては映っていたはず、
でも、どのように帰ったのかわからないまま、
とりあえず自宅に辿り着き、玄関の扉を開けたとき、
そこには、「音のない空気」が、ひっそりと漂っていました。


[2] Re: 覆水盆に返らずB  愛妻の夫 :2025/07/10 (木) 06:43 ID:YirUbVck No.201947
そうじゃないかと思ってました。お好きな様にお書きください。

[3] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/10 (木) 15:50 ID:dlh6H.Uk No.201949
帰宅はしたものの、当然ですが由紀の気配がないこと、
流し台の脇に置かれた、使いかけのティーカップ。
リビングテーブルの上に無造作に置いてある今朝の新聞。

いつもなら 気にせず見逃していた日常の小さな光景なのに、
その時だけは、「由紀がいなくなった証拠」のように、
私の心に深く刺さったのでした。

リビングに戻っても、もちろんテレビは消えたまま、
私は何か音が欲しくて、リモコンを手にしたのですが、
指は結局、ボタンに触れず、膝の上に降ろしてしまいました。

ソファに深く腰を下ろして、ふと ロータリーで立っていた
由紀の外見を思い浮かべていたことを覚えています。
身に着けていたイヤリングと腕時計、そしてローファーは
特に印象に残っていました。

なぜ、いつもと違って“ちゃんとしたもの”を選んでいた?
そう考えた瞬間、私は自分の胸のあたりに、
軽く押しつぶされるような痛みが広がったのでした。

こんなときは、大袈裟に考えてしまうものなんですね、
いや、もっと自分自身を深掘りすれば・・・ 
由紀は私のもとから完全に去った、ように思いたかった、
そんな気分に浸りたかった、悲劇のヒーローになりたかった、
という気持ちがあったのかもしれません。

とにかく、まるで「戻ってこないもの」に手を伸ばしている、
そんな虚しい気持ちに溺れていたのでした。

そのとき、不意にスマホから「ピコン」という控えめな通知音が
鳴りました。
耳慣れた音でしたが 心臓が一瞬、跳ね上がるような感覚でした。

由紀?

そんな期待が、咄嗟に心を占めていました。

私はすぐにスマホを手に取り、画面をスワイプしました。

そこに表示されたのは、
「○○電機 週末特売セールのお知らせ」という、
何の感情も込められていない無機質な自動配信メールでした。

「えー? ああ・・・」

思わず、本当に声を出したのを覚えています。
誰に聞かれるわけでもないその独り言が、
リビングの静けさに 妙に響いて余計に空しく感じられたから。

それと、残り香のように、あのフローラルな香りだけが、
まだ室内に漂っているような、そんな気がしました。

壁に掛かったリビングの時計に目をやると、
まだ14:20過ぎ・・・
由紀が帰ってくるまで4時間以上もあることを、
あらためて知ったのでした。
由紀がアウディに乗ってから、もっと時間が経っていた気が
していましたが・・・ まだ1時間も経っていないとは。

(マジ?・・・)

時間の流れだけが、いつもとまったく噛み合っていない、
そんな気がしていました。

(まだ? たったこれだけしか経ってない?・・・)

二人を追っかけようとしたり、独りで運転して帰宅したり、
そして帰宅後も“何もしない時間”を過ごしている間にも、
由紀と平尾はどこかで、確実に“なにか”を共有している?

そう思うと、心の奥がじわじわと焼けるような、
焦りと苛立ちと、そして抗えない嫉妬に近い感情が
湧き上がりました。
同時に 私は、これまで経験したことのない喪失感と無力感で、
逆に、下半身が なんとも言えない感覚を纏いながら、
昂っている、いや 昂ろうとしていたのかもしれません。

私は、再びソファに深く身を沈めたまま、
天井の一点を見つめたまま、この感覚に酔っていたのでした。


[4] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/07/10 (木) 16:52 ID:59772BR. No.201951
お待ちしていました。
矢部さんの心情がよく分かる内容で、私もいたたまれなくなります。


[5] Re: 覆水盆に返らずB  エムエヌ :2025/07/10 (木) 20:27 ID:kOoPchR6 No.201953
「他の男とセックスしている妻」にも上げましたが

名作は死なず
矢部さん エロではなくてもいい ここ「なんでも体験告白」へ移行されました
(パチパチパチ)
思う存分書いてください
応援しています
(私はこの作品 結構興奮していますが)
でもあまりに誹謗中傷が多いのは文才がありすぎて
嫉妬ですかね


[6] Re: 覆水盆に返らずB  しげぞう :2025/07/10 (木) 22:39 ID:hmzosy/Y No.201958
良かった。
頑張って下さい😊


[7] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/07/11 (金) 06:51 ID:PhOsquFA No.201962
矢部さん、再開どうもありがとうございます。
いよいよ由紀さんのデートが始まりましたね。
続きを楽しみにしています。


[8] Re: 覆水盆に返らずB  :2025/07/11 (金) 09:13 ID:NYUWDFk6 No.201963
楽しみにしてます
自分のペースでゆっくり書いてくださいね


[9] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/07/12 (土) 19:11 ID:7p8sC7eQ No.202009
矢部さん、お待ちしておりました。

こちらでも引き続き応援しています。
どうか最後までよろしくお願いします。


[10] Re: 覆水盆に返らずB  コーザブロー :2025/07/12 (土) 22:56 ID:kan2Os86 No.202011
初めて投稿しますが、すべて読ませていただいております。
よろしいですねぇ、「矢部ワールド」にドップリと浸ってます。
矢部さんのお心持ち、穏やかざる様子が伝わりますよ。
由紀さん平尾さん、お二人が脳みその中を静かに駆け巡ってますね。
楽しみです。


[11] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/13 (日) 00:26 ID:u5W77EqU No.202013
コメントを書いてくださった皆様

こちらでも投稿を読んでくださってありがとうございます。
そして、とても励みになるコメントをありがとうございます。
勇気を貰っています。
筆も展開も遅いのですが、よろしくお願い致します。

少しですが、続けます。

******

静かなリビング。
テレビは相変わらず消えたまま。
スイッチをONにしようか、と思ったのですが、
リモコンを握る気力さえ起きなかったのを覚えています。

頭の中はずっと由紀と平尾のことしか考えられませんでした。
今、どこで? 何を? どんな表情で、どんな話を?
手を繋ぐとか、ある? まださすがにそこまでは、ない?

こんな妄想までしてしまうくらいなら、
二人が会うシーンなど、隠れてまで見なければよかった、と
正直 後悔をしていました。

私は他の別のことを考えられないくらいまでに、
心配性というか 小心者というか 臆病者だと自覚しました。
自分で蒔いた種で、ここまでこんな気持ちになってしまうのは、
まさかの想定外でした。
それと同時に、ここまで弱気になっていた私だからなのか、
喪失感とか無力感というのを、この時 はっきりと感じました。

居ても立っても居られない気持ちになっていた私は、
何か閃いたとか、何かを思い出したとか、そんな気持ちが
あったわけではなく、もちろん何かをするわけでもなく・・・
でも、由紀の気配を少しでも感じてみたくなって、
私は ふっと立ち上がり、由紀の寝室に向かったのでした。

由紀の寝室・・・

30年近くも寄り添っている、妻の、妻だけの「部屋」
ではありますが、いちおうはプライベート空間ですよね、
胸騒ぎは当然していました。

前回は箪笥の中の彼女の下着を確認する、という
歪んだ気持ちがあって、寝室に入ってしまったのです。
しかし今回は覗いてみようとか、探ってやろうとか、
そんな気持ちは一切ありませんでした。

本当になんとなく何かに背中を押されるように、
ドアノブに手をかけたのでした。
それでも、誰もいないのはわかっていても、
やっぱり罪悪感はありましたが。

(※ ちなみに皆さんはいかがですか? 
 奥様の個室に入る時、少しでも罪悪感がありますか?)

臆病者の私、いや そう自覚している私は、音を立てぬように
ドアをそっと開けました。

8畳程度の部屋、カーテン越しに陽射しが差し込んでいました。
石鹸?とフローラル系の香水の匂い・・・
こういうのは50代とは言っても“女性”を感じさせますよね。

私は由紀の寝室に入って、全体をゆっくりと見渡しながら、
これまでのモヤモヤとした 表現し難い気持ちが、
少しずつでも落ち着いてきていたのでした。

箪笥・ベッド・書棚・ドレッサーなど・・・
私の目に映ったのは ごく普通の特別感のない妻の寝室でした。

ドレッサーの上に、リップ、コンパクト、ハンドクリームなど
小物たちが整然と置かれていました。
そしてもう一つ・・・
そのドレッサーの上に、ドラッグストアのレジ袋に入ったまま、
無造作に置かれた“何か“が目に留まったのでした。


[12] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/07/13 (日) 00:56 ID:ma3Ci1io No.202014
詳細な描写がかえって生々しくてエロくてたまらないです。
今のペースでよいので寝取られるまで続けて欲しいです。
是非是非お願いします。


[13] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/07/13 (日) 01:20 ID:y6ctE/LU No.202015
いざ事が始まってしまうと、デートごっことは言え
由紀さんと平尾さんの二人だけで時間と空間を共有してるのを
矢部さんは後悔しながら、痛感していたのでしょうか?

ドレッサーの上に置いてあるドラッグストアのレジ袋の中身は?
まさかコンドームだったのでは?

続きを楽しみにしています。


[14] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/07/13 (日) 04:02 ID:p17mfrQA No.202016
ドラッグストアのレジ袋入ったままの「何か」が目に留まったのですね。
奥さんの由紀さんは矢部さんが来る事を見越して、わざと無造作に置いたものだと思います。
レジ袋の中には何が入っていたのでしょうか?
凄く気になりますね。
まるでテレビドラマのような展開で次回が待ち遠しくなります。


[15] Re: 覆水盆に返らずB  :2025/07/13 (日) 14:42 ID:AC4RLSE. No.202027
初めまして。
パート1から読みました。
全部共感出来る展開です。
妻のタンスや下着の話はドンピシャで気になる話です。
これからもお願いします。


[16] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/07/16 (水) 18:27 ID:A/GqQ/r2 No.202081
最初から読み直しました。
アウディに笑顔で乗り込んだ由紀さんのデートがスタートしましたね。
この先の展開が待ち遠しいです。
お待ちしています。


[17] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/17 (木) 17:46 ID:jiluIkd6 No.202106
皆様、激励や感想のコメント、本当にありがとうございます!
じれったい展開で申し訳ございません。

******

ドレッサーの上のレジ袋の位置は 絶対に変えないように、
そして袋自体の形状も皺も弛みも、できるだけそのままに、
私は慎重に袋の取っ手を親指と人差し指だけで摘まみました。
そして、恐る恐る 中に入っていたものを確認したのです。

レジ袋に入っていたのは、未開封のパンストだったのです。

→サイト的にはコンドーム、アダルトグッズ、セクシー下着が
 正解なんですが・・・ 期待外れで、すみません;(汗)
 というか、正解の方は いらっしゃいますか?

包装紙(パッケージ)の透明な窓越しにベージュのナイロン地が
透けて見えました。
国内メーカー品で、何足組とかセットものではなく単品でした。
この包装紙だけを見ると、エレガントで特別感があるように
思えたのでした。

この包装紙(パッケージ)のままのパンスト・・・
何もない普通の日に たまたま目にしたとしても、
私は特に何も感じることは、なかったはずです。 
(もちろんストッキングは嫌いではないです・・・;;)

しかし この日に限っては、包装紙を目にした瞬間から、
私は触れてもいないのに、指先にその質感が伝わってきたのです。
彼女の脚を綺麗に魅せる、薄く、柔らかく、肌に密着している、
あの独特の生地の感覚が。

私は、開封して手に取って見ることは、できなかったのですが、
自然に疑問が膨らんできたのでした。

こんなものが、なぜ そこにあるのか? 
なぜ 彼女は、それを買おうと思ったのか?
足首から太腿にかけて、肌を滑るその感触を、由紀が
平尾を意識しながら買ったのだとしたら・・・?

その問いをきっかけに、私の頭には“あらぬ妄想”しか
浮かばなかったのです。

※皆様は そんなことはないですか? 私だけが異常?(汗)

私の脳裏に、浮かんだ ひとつの情景・・・
彼女がクローゼットの前で、スカートを一度は手に取った姿。
鏡の前で、このストッキングを手に取り 思案する姿。
裾のラインと色を、じっと見つめて迷っている、その横顔。
私は、酷く鮮明にそれを想像していました。

由紀は穿こうとしたのか? 平尾のために?

この日の由紀は、パンツスタイルで靴下を穿いていました。
いつものようなカジュアルな装いで平尾に会ったのです。

ということは・・・
このストッキングは、結果として「穿かない選択」が、
されたわけで、そう思うと私は、わずかでも気が楽になった
気がしました。

彼女は“あえて”ストッキングは使わなかったのですが、
そもそも なぜ、こんな物を用意していたのか?

自分の中に湧き上がるのは、怒りでも、悲しみでもなく、
興奮でした。

他の男のために、装いを思案する妻。
私に見せなかった一面が そこに存在していた、という事実。

そして今頃、由紀はアウディの助手席で、足を組み替え、
平尾の方に身体を少し傾けて、笑っているかもしれない。
レストランのテーブル越しに、平尾にさりげなく手を伸ばされ、
驚きながらも拒んでいないのかもしれない。
決して見ることのできないプロセスだけが、私の中に生々しく
映し出されていたのでした。
そして彼女は今、この部屋に、この家に、私の隣にいない現実。

「共有されていない時間」が、まるで裏切りのようになって、
私の胸を焼き、その熱が下半身に流れていくのがわかりました。
そして「ここにいない由紀」が、これまでで一番、
愛おしく思えたのです。

私は冷静さを失い、妄想に耽る自分に、倒錯した昂ぶりすら
感じていました。
そしてそれを喜び、受け入れている自分に酔っていたのです。

(俺って最悪やな)

そう思ってしまう自覚がありながらも、私はこの感情に
身を預けたかったのです。
今 思えば、これも「寝取られ」の醍醐味のひとつだったのかも
しれませんね。

ふと、私は由紀の部屋に掛かる時計を見上げると、
由紀が戻ってくるのは、まだあと3時間以上も先なのが
わかりました。

その時間の長さすら、私は被虐的な絶望と同時に熱い興奮を感じ、
由紀のベッドの端に崩れ落ちるように腰を下ろしてしまったのを
覚えています。

ちなみに私の頼りない砲身は、血が少しだけ集まり始めていました。
でもまだ、“眠り”と“目覚め”の間、半熟状態でした。

(それでも これまでのことを思うと かなりの進歩でしたが…)


[18] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/07/17 (木) 18:53 ID:rNbq9L46 No.202107
矢部さんらしい投稿ですね。
読者として、ホッとしているのも事実です(笑)

由紀さんは由紀さんなりに、
平尾さんとの「ごっこ」をシミュレーションしたのでしょうね。
何ごとにつけ慎重な由紀さんであるがゆえに、
初めての今回は無難な選択をしたということでしょうか。

手つかずのストッキングではありますが、
由紀さんが想定している「ごっこ」が、
男と女の成り行きを想定内としているものだったのかも知れませんね。

いずれにせよ、由紀さんなりのこの探りがどんな展開になっていくのか、
読者として、おおいなる楽しみになってきました。


[19] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/07/17 (木) 23:05 ID:6M2y0Lec No.202110
さすがにコンドームはまだ早かったですね。

それにしても、由紀さんはデートの装いをパンツルックにするか
スカートにパンストの組合せにするか、迷っていたのですね。

由紀さんの立場から考えたら、まだ初回だし今日は控えめに
パンツルックで抑えめにして、これから仲良くなったら
スカートにパンストにしようかな、などと思っていた
のかもしれませんね。

もしそうなら、このパンストは、由紀さんと平尾さんの仲が
深まったことを示すキーアイテムになるかもですね。

続きを楽しみにしています。


[20] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/07/18 (金) 23:45 ID:akTHSRLk No.202122
新しいストッキングを買ったことだけでも興奮材料ですね。
今後平尾さんの前で履くことがあるのでしょうか?
その変化の過程が大変気になります。


[21] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/07/21 (月) 07:33 ID:5wKrk5OM No.202198
平尾さんとの初デートの由紀さん、平尾さんはどんなデートプランなのでしょうか?
由紀さんは平尾さんの求めに応じてしまうのか気になります。


[22] Re: 覆水盆に返らずB  ガンツ :2025/07/21 (月) 09:28 ID:fIkzbUXY No.202200
いつも楽しみにしています。
寝取られについては女性にはなかなか理解できない性癖だと思いますが、
普通の奥さんの反応はやはりこんな感じなのだろうと思い
この奥さんがどうなっていくのか
エッチな方向に行っても行かなくてもハラハラして興奮します。


[23] Re: 覆水盆に返らずB  TXT :2025/07/21 (月) 14:11 ID:it63F5eo No.202206
ほかの物語みたいなあり得ない尻軽女とすぐやるオトコの話じゃないから
逆にエロさがあるんですねー

わかって きましたよ


[24] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/21 (月) 20:23 ID:19n7RMKs No.202219
皆様、ダラダラとした拙作にコメントを送ってくださり
本当にありがとうございます! 
とても励みになります。
あいわらず、じれったい展開で申し訳ございません。

******

ひとしきり、由紀の寝室で悶々とした時間を過ごした私。

気だるさと切なさと寂しさ、一方でどうしようもない昂ぶりを
抱えたまま、平尾と会う直前に頼まれていた洗濯物を取り込み、
再びリビングに戻ってきました。

洗濯物の中には、当然、由紀の下着もありました。
ベージュ色の大ぶりで実用一点張りのショーツ(デカパン)と、
同じく装飾のない無表情なブラジャー。
色気とは無縁の、見慣れた生活感のある下着でした。

時間が気になって、時計ばかり見てしまうのですが、
見たところで、時の流れが早まるわけでもなく、
かえって苛立ちだけが募っていくのを感じました。

「ビールでも飲むかー・・・」

何か音が欲しくて、わざと独り言を口に出してみました。
私は冷蔵庫を開け、冷えた缶ビールに手を伸ばしたのです。
が、途中で その手を止めてしまいました。

もし何かあって、由紀から「迎えに来て」と連絡がきたら?

いや、そんなことあるはずない、と頭ではわかっているのに、
ゼロではないかも、という希望が、冷蔵庫を閉じるという
判断をさせたのでした。

そして同時に ふと思い出しました。

(そういえば・・・ 昼メシ、食ってなかったな)

これまでの時間、空腹を感じる余裕もなかったのですが、
思い出した途端、じわりと空腹感が込み上げてきました。

とりあえずお湯を沸かしインスタントコーヒーを淹れ、
棚にあった安物の菓子パンをもぐもぐと頬張りながら、
テレビのリモコンを手にしました。

(由紀は、平尾と一緒に昼メシ 食べたのかな?)

(どこで? 何を? どんな表情で?)

そう考えた瞬間、パンの味が分からなくなっていました。
その時のことを振り返ると 視覚だけではなく味覚までもが
侵されていたのですね。

テレビをつけても、バラエティ、スポーツ、旅番組も、
何ひとつ頭に入ってきませんでした。
新聞を広げても、活字すら拒否をしているような、
そんな気分でした。

私はソファから立ち上がって、何をするでもなく外に出て、
ぼんやりと自宅前を眺めていました。

「どこ 行ってるんや・・・」

言葉にしたところで答えが出るわけでもないのですが、
通り過ぎる宅配のバイクが、生活感を引き戻してくれて、
私はまた家の中に戻りました。

少し前に由紀の寝室で感じていた昂ぶりも、
このように現実に触れたことで、不思議と落ち着きを
取り戻しつつありました。

(やっぱり、こういうのは俺には無理・・・)

(こんなことになるのなら、もうやめたほうが・・・)

最初は、大人の刺激になると思っていたし、
こちらのサイトに投稿されている小説のように、
テンポ良くエロな展開を楽しめるぐらいに思っていました。

もちろん私は、由紀のことが嫌いになったわけではないし、
寝取られてほしいと思っているわけでもありません、
むしろ好きすぎるゆえに、ひとりの女として、
他の男の目に留まるということに興奮していたのです。

しかし今は、独りになった 惨めさや辛さや寂しさ しか
感じていませんでした。
いかに私が小心者であった、ということでしょうかね。

そんな思いを振り切ろうと そして時間潰しに と、
私はサンダル履きのまま、フラフラと家を出ました。

私が向かったのは、自宅から歩いて10分もかからない、
メイン通りに面しているショッピングモールでした。
同じ敷地には、24H営業のスーパー、コンビニや焼肉屋、
回転すし店、安くて旨いうどん屋、クリーニング店、
携帯電話ショップ、フィットネスジムなどもあります。

私は、ベンチに腰掛けて、辺りを見渡していました。
(小汚いオッサンに見えたかもしれません;;)
私は日曜日午後の賑わいの中、
人間観察 と言えば聞こえが良いのでしょうが、
単なる時間潰しと気分転換をすることしか、
私の頭の中になかったのでした。

その日に限ってなのか、私だからなのか、
特に目に付いたのは、学生カップルや子連れの若い夫婦
ではなく、私たちと同世代のシニア夫婦の姿でした。

笑顔で会話を交わしながら歩く夫婦。
黙ったままでも、自然と同じ歩幅で並んで歩く夫婦。
奥さんが先導し旦那さんが従うように後ろを歩く夫婦。
当たり前のように存在する、それぞれの関係性を
眺めていると、ふと、私の頭の中にある問いが
浮かんだのでした。

(由紀と平尾も、あんなふうに見えるのかな?)

それを思っていた直後、まったく想定しなかった
“ある設定”が、唐突に脳裏をよぎったのでした。

これまで私は、単に親友平尾のためにという大名目と
愛妻由紀の装いの変化を期待しての、無理やりのデートを、
「ごっこ」としてプロデュースする立場で、
なおかつ私自身もNTR的状況になることに興奮して、
その刺激でED回復を狙っていたのですが・・・

(もし、二人が本当に夫婦になってしまったとしたら?)

と、私は初めて「夫婦」とか「再婚」という設定を
意識したのでした。

ただ、そうなる理由や筋道なんてありませんし、
あくまでフィクションに過ぎず、現実味がない話のはず、
それでも、そのありえないシーンが 妙にリアルに
感じられてきたのです。
私は背筋にぞくりと冷たいものが走りました。

もちろん現実に、そうなることは簡単ではありません。
もしそうなるのなら、離婚届を提出しなければならず、
会社や両実家 そして子供たちへの報告、
財産分与や年金分割などといった面倒な手続きや処理も
山ほどあります。

それでも小心者の私は、ゼロではないという可能性のほうを
どうしても気にしてしまい、逃れられなくなっていました。
ありえないはずのイメージが、脳裏にべったりと張り付いて、
どうしても逃がしてくれなかったのです。
いや、わざと逃げないようにしていたのです。

その時の私は、自分で自分を追い詰め、その苦しみすら
楽しんでいるような、精神的マゾヒストになっていたのです。

それに加えて、その感覚に、どこかでゾクゾクするような
奇妙な快感に包まれました。

「もっとイチャイチャして」「もっと俺から距離を置いて」
そんな歪んだ願望が心の奥に湧いてきていたのです。

そうなると同年代の夫婦が、すべて平尾と由紀に見えてきて、
胸の奥のゾクゾクは、やがてドキドキへと変わり、
さらに下半身へと血が集まりはじめているのが、
自分でもはっきりとわかりました。

ひとときの興奮と刺激を堪能した私は、家に戻りました。
時計は、ありがたいことに? 18時少し前を指していました。

(あと30分もすれば、由紀が帰ってきてくれる・・・)

私は炊飯器のスイッチをONにして、ソファに腰を下ろし、
テレビのスイッチをONにすると、「ちびまる子ちゃん」の
オープニングの歌がやけに賑やかに楽しそうに
耳に入ってきたのを覚えています。

何かが変わって帰ってくるのか?
何も変わらず、いつもの由紀が戻ってくるのか?

その時・・・

「ただいま〜ぁ!」

(え? 早い・・・)


[25] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/07/21 (月) 21:40 ID:jgsqx.0g No.202220
奥さんが出かけてから、矢部さんは色々な妄想に取り憑かれて
精神的なMにまでなっていたのですね。
予定より早く帰宅した由紀さんから、どのような話が出てくるのか?

続きを楽しみにしています。


[26] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/07/22 (火) 06:28 ID:Wbqsg2Us No.202228
これまでも、そしてこれからも矢部さんの妻。
そんな意識しかなかった由紀さんを焚きつけて、
いざ、その「ごっこ」がスタートしてみると、
矢部さんの心に、後戻りできなくなる恐怖や歪んだ願望が
入れ代わり立ち代わりで去来したご様子。

この時間の中でいろいろな思いが昇華され、
矢部さんの心に胎動していた悪魔が
目覚めた瞬間だったように思います。

由紀さんが、その悪魔とどのように向き合うのか
まだ先の話なのかも知れませんが、
興味深く拝見したいと思っています。


[27] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/07/22 (火) 13:05 ID:qauNq6Ho No.202239
予定時間より早く帰って来た由紀さん。
平尾さんは由紀さんを早く帰らせて矢部さんを安心させたかったのでしょう。
どのようなデートだったのか報告が楽しみです。
おそらくですが、平尾さんは由紀さんと次のデートを約束しているのではないでしようか。
あわよくば、矢部さんが出勤している時に由紀さんはパートを休んで平尾さんとデートするのかもしれませんね。
その時はストッキングを履くのでしょう。


[28] Re: 覆水盆に返らずB  タロウ :2025/07/23 (水) 09:54 ID:nTrC/Cb. No.202265
最初から読ませて貰いました。
リアルで現実だから面白い。
アルアルの場面が面白いです。
ゆっくり楽しみます。
ガンバって下さい。


[29] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/25 (金) 15:59 ID:fm1CrgoQ No.202309
明るく軽やかな由紀の声が 玄関越しに届いてきました。
いつもと変わらない・・・
少なくとも、私の耳にはそう聞こえました。

もちろん私はすぐに立ち上がり、かけたのですが、
そこで踏みとどまりました。
出迎えに走りたい衝動に駆られながらも、
ぐっと堪えて リビングでじっと待つことを選んだのです。
こんなときこそ、あくまで自然に普段通りの態度で、と
自分に言い聞かせていたのです。
(単に虚勢を張っていただけです;;)

リビングに入ってきた由紀、
その姿を見た瞬間、私は拍子抜けしたような感覚を
覚えました。

(何も変わっていない・・・)

メイクや香りに違和感があるわけでもない。
表情に翳りがなく視線が泳いでいるわけでもない、
どこも無理をしている様子は感じられず、
あまりに自然体の、いつもの由紀だったのです。

期待と不安を抱え 独り悶々とあの長い時間を乗り切った
私に対して、由紀の あっさりとした姿を見ると、
正直、残念な気持ちになってしまったのを覚えています。
勝手なものですよね・・・(汗)

その想いが 少し皮肉混じりの言葉となり口から出ました。

「おかえり・・・ 早かったやん。 もっと盛り上がって、
 帰りも遅くなるんかな、って思ってたんやけど」

さも驚いたように言ってみました。
芝居がかっていると感じながらも、余裕のある自分を
装おうとしていたのかもしれません。

由紀は、そんな私の言葉を軽く受け流すように、
穏やかに笑って返してきました。

「ううん、平尾さんが “遅くなると悪いから”って。
 渋滞もなかったし、意外にスムーズに帰ってこれたから」

口調も自然で、身振りも穏やかで、どこか物足りなささえ
感じるほどでした。

「そっか、残念やったな。 もう少しゆっくりしても、
 よかったのに」

そんな私の空回り気味の軽口など気に留める様子もなく、
由紀はレジ袋を手に持ち、笑顔で言いました。

「これ 買ってきたし、晩ごはんの時に一緒に食べよ?」

見覚えのあるレジ袋・・・
中には、たこ焼き(10ヶ)が入っていました。
それは、私がフラフラと時間を潰していた
ショッピングモールの中にあるお店のものでした。

(うそやろ・・・)

数分前、私も同じ敷地内でベンチに腰掛けていたのです。
タイミングさえ合えば、ふたりに鉢合わせをしていた、
ばったり出くわしていた、かもしれなかったのです。

彼らと同じ場所にいた可能性があるという事実に、
心がざわつき始め、ついさっきまで目にしていた
シニアカップルのシーンに、再び 由紀と平尾を
イメージしていたのでした。

「え? 平尾と行ってたん?」

「あっ、そこまで送ってくれたから・・・
 で、そこで買ったんだけど・・・」

「ふ〜ん (そういうことか) 」

私はソファに座り直し、テレビに視線を向けました。
とりあえず画面は映っていましたが、
中身はまったく目にも頭にも入ってきませんでした。

脳裏に浮かぶのは、たった今まで一緒に過ごしていた
由紀と平尾の姿。
私は見たわけでもないのに、なぜかその情景が、
ショッピングモールをバックに鮮やかな映像として
浮かんできていたのです。

(手は繋いだ? まさか、そこまでないと思うけど)

しかし、まさか と思う一方で、心のどこかでは、
むしろ、そうであってほしい、という 矛盾した
願望すら芽生えていたのでした。

「ちょっと着替えてくるね」

そう言って由紀は、自分の寝室へと向かいました。
ちなみに由紀が、外出先やパートから帰宅した時は、
いつもこの「流れ」なので違和感はありませんでした。

(ああ、本当に帰ってきた・・・)

予定よりも早く、事故もなく帰ってきた・・・
そのころになって、ようやく私の胸の中に
安堵が芽生えました。

ですが、その一方で、

(なんか、ホンマ、拍子抜けやな〜・・・)

こちらのサイトの投稿小説にありがちな、
「帰るのが遅くなります」という連絡とか、
メイクや香水などで意味深な余韻を漂わせるような
気配も素ぶりも何もなかったのです。

勝手なものですが・・・
そんな事態が起きていないことを、
正直、私は残念に思っていたのでした。

やがて由紀は、部屋着姿でリビングに戻ってきました。
グレーの長袖Tシャツに、少し色褪せたデニム。
先ほどまでのデートの外見も十分カジュアルでしたが、
いつもながらに、彼女の中では家と外の線引きを
きちんとしたかったのかもしれません。

「トオサン、(炊飯器の)スイッチ ありがとー」
「ちょっとだけ待ってて、すぐ用意するから」

そう言いながらキッチンに向かおうとしたところで、
由紀が振り返り、もう一度 私に声をかけました。

「洗濯物、取り込んでくれた?」

「お、おう・・・ バッチリや」

拍子抜けしていた私は少しだけ返事のタイミングが
遅れましたが、由紀は気にする様子もなく、
軽く笑って、

「ありがとう、ごめんね」と言いました。

そんな穏やかなやり取りに、私の中の緊張が
すっと緩んでいったのでした。

その後も、デートのことには触れることもなく、
いつものように由紀は夕食の準備を進めました。
昼前に買っておいた惣菜のおかげで、
手間は少なかったはずです。

ソファでくつろぐ私はバラエティ番組を観ながら、
ずっと由紀の様子を目で追っていました。

(どこに行って、何をして、どんな話をした?)

聞きたい気持ちは、募り 膨らむ一方でした。
気になって仕方がありませんでしたから。
でも、それを悟られるのが怖くて恥ずかしくて、
臆病な私は聞くに聞けず、自問自答を繰り返して
ばかりいました。

テーブルに並んだ2品のおかずと納豆、たこ焼き、
そして炊きたてのご飯と湯呑み。
いつもと変わらぬ、日曜の晩ごはんになりました。

ありきたりな天気の話をしていた と記憶しています。
「明日 雨らしい」とか、「この前、傘 忘れた」とか、

あまりにも気軽な いつもながらのシーンに
気が緩んだのかもしれません、
ついに私は、口火を切りました。

まずは無難に、平尾についての話題から。

「で、どうやった? あいつ、気分転換できた感じ?」

「うーん、そこは ちょっとわからないけど・・・
 でも けっこう、話は したと思うけど・・・
 むしろ私のほうが気を遣わせたかも・・・」

由紀は食事を進めながら、穏やかに 何でもない事
のように答えました。
口調も表情も、まるで平常通り。

でもその話をきっかけに、私が少しずつ
話題を引き出しながら、由紀はデートの一部始終を、
順を追って丁寧に話してくれました。

駅での待ち合わせから、どこに行ったか、
何をしたのか、何を食べたか・・・
語られたのは、どこにでもあるような、
ごくありふれた外出話でした。

結論を言えば――
内容に関して、特に不満も、心をざわつかせる
ようなポイントもありませんでした。
艶っぽさもなく、あくまで“常識の範囲内”。

それでも私は、その中に平尾の存在をにじませる
ようにしながら、些細なことでも引き出そうと
していたのでした。
信じたい、でも確かめたい、探りたい・・・
そんな矛盾が、ずっと自分の中にあったのです。

実はこのあと、平尾からも電話があったのです。
デートの御礼と報告でした。
由紀の話とは、大きなズレはありませんでした。
それでも・・・期待通り? 
私にとっては刺激になる話もありました。
それは、次回のスレッドに記すことにします。


[30] Re: 覆水盆に返らずB  エムエヌ :2025/07/25 (金) 16:08 ID:hYH38Nrg No.202311
相変わらずの文才に感銘いたします
期待と不安が葛藤している気持ちがよく伝わります
更新ありがとうございました
次回も期待しています


[31] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/07/25 (金) 19:05 ID:/8f5moAw No.202317
由紀さんの自然な振る舞いと矢部さんの意識しまくっている姿との
コントラストが興味深いですね。
刺激になる話が気になります。
続きを楽しみにしています。


[32] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/07/26 (土) 00:19 ID:.lnI/s.s No.202322
2人の間に何もなかったことが残念に思えるようになってしまうと
より寝取らせるように仕向けてしまうのが貸し出しの醍醐味ですね。
続きを楽しみにしております。


[33] Re: 覆水盆に返らずB  :2025/07/26 (土) 04:14 ID:7rPJjKBA No.202326
読んでいて、おもしろいと思いました。先が、楽しみです。

[34] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/07/26 (土) 08:22 ID:Bfv/mVNM No.202335
矢部さんにとって刺激となる話とは?
次回が楽しみです。


[35] Re: 覆水盆に返らずB  とも :2025/07/27 (日) 00:02 ID:Ah4namVQ No.202350
常識的に考えれば、思慮分別があって不倫とは無縁の人生を送ってきた50代半ばの既婚女性が、
夫の友人とデートして直ぐに性的関係に及ぶなんて、まずありえないことでしょう。
矢部さんは、そんなあり得ないことを半日かけて妄想していたわけですから、
このときすでに、精神がかなり病んでいたのではないかと思います。
それだけ、EDによって精神的に追い込まれてていたのでしょうか。
奥さんが言う通り、病院に行っていれば、こんなことにはならなかったような気がします。

ちなみに、スレのタイトルである「覆水盆に返らず」は、
働かずに妻に愛想を尽かされて離縁されたダメ男が、それから大出世を遂げた後に、
復縁を申し出た元妻に言った言葉とされています。
そう考えると、スレのタイトルに違和感がありますが、
これからの人生、矢部さんがダメ男のまま終わらないことを願っています。


[36] Re: 覆水盆に返らずB  シキ :2025/07/27 (日) 12:04 ID:3ipY4VzM No.202365
この段階では寝取られというわけではないですが、待っている時間はとても長く感じますよね。
私も数年前から寝取られをしていますが、妄想してる時間が1番楽しいですね。
待っている間もそうですし、計画してる時の妄想も良いものです。
ここから回を重ねるたびに奥様に変化が出てきたと思いますので、続きを楽しみにしています。


[37] Re: 覆水盆に返らずB  ムサシ :2025/07/27 (日) 14:16 ID:Auzl5aBo No.202370
女房をすぐ寝取らせたり
女房もすぐ寝取られたり
ノーパンノーブラスケスケランジェリーで
寝取られ放題ヤリタイ放題
絶倫オトコにアンアン感じまくる
ウソ臭い話しありえない話しよりも
エロスがあるありえる話しですね
いつも毎回楽しみしてます。


[38] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/28 (月) 00:47 ID:doJrnX5E No.202387
皆様、たくさんの激励のコメントをくださってありがとうございます。
とても励みになります、そしてたくさんの勇気をいただいております。

とも様、タイトルについてのご指摘をしてくださってありがとうございます。
「口は禍の元」とか「後悔先に立たず」とか、タイトルの候補もあったのですが・・・
「覆水盆に返らず」は、具体的な意味まである諺とは知らずに、
私は安易に付けてしまいました。

お書きくださった 本来の意味(働かずに妻に愛想を尽かされて離縁された
ダメ男が、それから大出世を遂げた後に、復縁を申し出た元妻に言った言葉)
と、私が書こうとする内容は違う流れです。

違和感がある、とのことですし、おそらく読者の皆様も同じだと思いますので、
このタイトルでの連載は、ここで終わりに致します。
とも様、ご指摘、ありがとうございました。
皆様も、これまで応援、本当にありがとうございました。

それにしても、ここのサイトに投稿することの難しさを感じています(汗;)。


[39] Re: 覆水盆に返らずB  覆盆ファン :2025/07/28 (月) 06:18 ID:YEv1HdoE No.202389
タイトルに全く違和感ないですよ。
一般的には取り返しが付かないという意味で使われていますし、
そもそも日常生活でその語源通りに使う場面などまずないでしょう。
ガチガチに縛って使えないことわざに意味はありません。
ここは今までどおりでよいのではないですか。
続き楽しみにしています。


[40] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/07/28 (月) 06:38 ID:kXRXE782 No.202390
いろいろな想像させる良いタイトルだと思っておりました。
現にこれからどんなことが起きるのだろうと
次の展開を想像したりしながら没入していた読者も多かったのでは?

その起点はやはり「覆水盆に返らず」という意味深なタイトルにあります。
ですが、それはあくまでもことわざであり、ものの喩えに過ぎません。

ことわざでしかない以上、その由来にまで同じものを求める必要もないと思います。
単に、矢部さんに起きた取り返しのつかないことという意味だけで十分だと思いますが。


[41] Re: 覆水盆に返らずB  シキ :2025/07/28 (月) 14:05 ID:qEEIb3.k No.202405
こちらのスレになってからアンチがいなくなって良かったと感じていたところです。
善意で投稿していただいているのにまた変なのが出てきてしまいました。
ともさん、ホント余計なことしてくれましたね…


[42] Re: 覆水盆に返らずB  やべっち :2025/07/28 (月) 14:53 ID:K7ly.nuQ No.202407
アンチも困るが、知性のない信者も困ったものだな。
とも氏のレスはただの感想で、アンチには見えないけどね。
矢部さんは知性がある人のようだから、とも氏の感想に納得して
「このタイトルでの連載は・・・終わり」と言ってるだけだろ。
ここのサイトでは、これまでも知性のない信者が何でもかんでもアンチ認定して
アンチと同じようにスレを荒らすことがあったけど、いい加減にしてほしい。

矢部さん、タイトルを変えて新たな連載を期待しています。


[43] Re: 覆水盆に返らずB  ジューザ :2025/07/28 (月) 16:17 ID:9AzIoqKQ No.202410

とも氏の、矢部さんの精神が病んでいるんなら
ムサシ氏が書いてるここの嘘くさい軽い話の主人公やすぐ股を開く妻は
それ以上に病んでることになるなー


[44] Re: 覆水盆に返らずB  ケンケン :2025/07/28 (月) 17:44 ID:.F37sdM6 No.202411
矢部様
アンチのコメント無視してください。 続きが読みたい人がたくさんいます。


[45] Re: 覆水盆に返らずB  :2025/07/28 (月) 18:35 ID:f4KzmEvA No.202415
とも氏の、中途半端な知性迷惑!
矢部さん、投稿待っ居ます。


[46] Re: 覆水盆に返らずB  愛妻の夫 :2025/07/28 (月) 19:41 ID:L/nYUYn. No.202416
矢部様
そもそもここは社会的に非常識な場所なのです。
ただ人間は不条理な生き物なので妻も夫も結婚式で宣誓した通りには生きれない、こともある。
それは非常識で現在のホワイト社会では才能ある芸能人もその貢献を無視して一殺してしまう。

更に自身の思い通りに展開しないとすぐに非難をする輩が声を発する。
偉そうに、何様のつもりだ!

ここは不条理の告白をする場所なのです。
スポンサーもいない。

知識や常識を振り翳すつまらない人間でこの場を忌避しないでください。
同輩がこれだけ貴方様の告白を、追体験なり妄想しているのです。
書き始めた貴方様には同輩の期待に応えていただきたい、と言ったら傲慢ですね。

単純に楽しみにしています。書いてくださいませ


[47] Re: 覆水盆に返らずB  田中 :2025/07/28 (月) 20:20 ID:WPSG8mY2 No.202417
諺の語源なんて全く関係ないです、そんな言葉はいくらでもあります。矢部さんは感受性が人より優れすぎてるから、少数の否定派にも過敏に反応されるようですが、あなたを肯定する大多数のファンの為にも気にしないで続けて下さい、私もその1人です。

[48] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/29 (火) 09:02 ID:6InF.yGI No.202427
皆様、たくさんの激励やご指摘、本当にありがとうございます!
タイトルにつきましては、私の無知さや安易さが皆様に違和感を
与えてしまう結果となりまして、申し訳なく思っています。

ネットで調べたのですが、
ご指摘のあった、ダメ男や大出世、復縁を要する意味と合わせて、
「一度起きたことは元に戻すことができないことを意味する諺」
とも書いてありましたので、こちらの意味でタイトル使用を
続けさせていただくことに致しました。
ここまで来ると、変なというか妙な愛着もあるので(笑)
地味な夫婦で、派手さもなく、文才もない上に表現力も乏しく
展開も遅いので、皆様にはモヤモヤさせてしまうばかりですが
これまで通り、読後の感想や質問(由紀の事などは嬉しいです;;)
等をいただければ、とても励みになります。

もう一つ、
「他の男とセックスをしている妻」に残っている作品Aにも
いまだにコメントを頂けてるのは、なにげに嬉しいです。
この場を借りて、感謝申し上げます。

猛暑の毎日ですが、皆様、ご自愛くださいませ。


[49] Re: 覆水盆に返らずB  エムエヌ :2025/07/29 (火) 12:11 ID:DWw8Mz02 No.202431
矢部様

貴作品このモヤモヤが良いと思っている方が
多いのでなないのでしょうか?
私は大ファンです
焦らせるといけないのですが
更新が待ち遠しいです


[50] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/07/29 (火) 12:30 ID:6InF.yGI No.202432
由紀と平尾 それぞれの話から、デートで行った場所、
滞在時間、移動時間等の 大まかな流れが
なんとなく見えてきました。
もちろん正確ではないにしても、大きなズレはない、
と思っています。

『デートごっこ』の大まかな行程:
13:35-13:45 コンビニ(飲み物購入)
13:45-14:30 移動(海沿いドライブ)
14:30-15:30 カフェ(軽食)
15:30-16:00 さらに遠方へ移動
16:00-16:45 ホームセンター
16:45-17:40 移動(帰路)
17:40-17:50 ショッピングモール(たこ焼き)
17:50-18:05 帰宅へ

私が気になって仕方なかったのは、
そこで二人は何をして、どんな会話をしたのか?
刺激的な出来事はなかったのか?
驚くようなことはなかったのか?
という点でした。

私は あくまでも、平尾の気晴らし 気分転換という、
このデートの表向きの目的を前面に掲げながら、
由紀の口から自然に話を引き出そうと努めました。
あれこれ興味本位や好奇心から詰め寄るのではなく、
彼女が気負わず自然に話せるように。

私なりに聞き方に抑揚をつけたり、途中で私自身の
入浴を挟むなど タイミングにも考慮しつつ、
尋問にならないように気を配りながら進めました。

ですが、最初のコンビニでの話が出た瞬間、
いきなり私は焦ってしまいました。

定刻通りに迎えに来た 平尾のアウディの助手席に
座るとすぐに「とりあえず飲み物でも」と言われて、
駅近くのメイン通り沿いのコンビニに入ったこと。
由紀は「午後の紅茶」、平尾は「お〜いお茶」を選び、
由紀は自分の分を支払おうとしたそうですが、
結局、平尾が支払いを済ませたとのことでした。
前以て 費用は折半と伝えていたにもかかわらず、
そうなった ということです。

その話の流れで、由紀は少し躊躇いながら、
ポツリと私に言いました。

「あ、そういえばトオサン・・・」

由紀が話したのは、コンビニで飲み物を買い、
アウディに乗り込もうとしたときのこと。
信号待ちをしていたわが家の車が見えたそうです。
プレートナンバーも間違いなく、運転しているのも
私だとわかった とのことでした。
そのシーンは、デート始めで まだ話題を探っていた
こともあって、格好のネタとして平尾にも伝えた、
と言ってました。

そして、由紀がさらに・・・

「あのへん、どこか寄ってた?」

「え? あ・・・ いや・・・」

焦りを悟られないように冷静を装いながら、
心の中は冷や汗でいっぱいでした。

「うん、あそこらへん 久しぶりやったしな・・・」
「道、一本だけ入ったら、一方通行だらけやった」
「昔 行ったことある飲み屋、まだ あるんかなって」

もはや自分でも、何を言っているのか・・・
私は動揺を隠しながら、苦し紛れにそう答えました。
いきなりのカウンターパンチ的なものでしたが、
何とか乗り切ったのを覚えています。
まさか尾行に失敗したなんてことは言えませんし。

「ふーん、そっか」

由紀から、それ以上の突っ込みは なかったのですが、
こんな時って(こいつ、もしかして尾行に気づいた?)
とか思ってしまいますよね・・・。

それよりも、たとえ百円台の飲み物とはいえ、
平尾に支払ってもらったことに対して、
私から 「あとでお礼を言う」ことにして、
なんとか話題を(全力で)切り替えました。

すると由紀から 次のカフェでもサンドイッチを
ご馳走になった、という追加報告がありました。

他に、海沿いのドライブが天気も良く快適だったこと。
久しぶりの遠出で、彼女自身は気分が良かったものの、

「平尾さんは・・・うーん・・・」
「いろいろ話はしたつもりだけど、
 気分転換になったのかどうかは・・・」
「トオサン、直接 平尾さんに聞いてみたら?」

結局、由紀から聞けたのは、場所や推定時間といった、
ほぼ表面的な情報だけでした。
しかし、その会話の端々から、あとで平尾に詳しく
聞けそうな糸口を掴むことができたのです。

私はその日のうちに平尾に確認しようと 気持ちを
固めていた矢先、彼からLINEのメッセージが届きました。

『今日はありがとうございました!』から始まり、
『久しぶりに楽しかったです』など、感謝の言葉が
平尾らしく丁寧に綴られていました。

『おつかれ! 困ったことしてくれたな!(笑)』

『え? 何? 何かあった?』

すぐに平尾からは焦った様子のメッセージとスタンプが
続きました。

『詳しくは今から電話で、いい?』と平尾。

『OK』と私が返すと、すぐに犬のキャラが
ペコリと頭を下げるスタンプが返ってきました。

このやりとりの画面を由紀に見せると、
意外にも彼女は真剣な表情で、

「平尾さん、大丈夫かな?」

と呟きました。

そして まるで彼女の中に、平尾の気分転換という
「役割」についての責任感が芽生えたかのような、
真剣な表情を浮かべていたのでした。

「飲食のお礼と、どうやった?って 聞いてみるよ」

そう告げて私は自室へ入り、平尾に電話をかけました。
(由紀は風呂に入りました。)

私にとって刺激的な話を平尾から聞かされることに
なったのでした。


[51] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/07/29 (火) 13:47 ID:92oWggWQ No.202435
矢部さん、再開どうもありがとうございます。

行程から見ると、今回のデートの目的地はホームセンターですね。
平尾さんが一人でなく由紀さんを連れて、由紀さんに選んでもらう
もしくは由紀さんの意見を聞いて、買いたい物があったのでしょうか?
一体何を買いに行ったのでしょうか?
また刺激的な話は何だったのでしょうか?
続きを楽しみにしています。


[52] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/07/30 (水) 05:54 ID:cUwRU4hI No.202457
矢部さん、投稿お疲れさまです。
そうですね、刺激的な話しとは何でしょうね。
ホームセンターの家具売り場でソファに二人並んで座ってみた?

いや、清掃用具売場の前を歩きながら平尾さんが家の清掃をしていない旨を独り言のように言うと由紀さんは「今度お掃除に行きましょうか」と言ったかな?

次回の投稿を待ちましょう。


[53] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/07/30 (水) 06:42 ID:qg2L5Yek No.202460
矢部さん、投稿再開ありがとうございます。

由紀さんに尾行をしっかり見られちゃいましたね。
それを由紀さんがどう思ったのか気になるところです。
矢部さんが冷静を装いながらもその場を取り繕うことに必死なこともあり、
うまく誤魔化し切れたのか真相がはっきりしないままとなりましたね。

続きが楽しみです。


[54] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/07/30 (水) 07:18 ID:H1cMIV6Q No.202461
矢部さん更新ありがとうございます。
いつもながら臨場感半端ないです。
文才が無いなんて嘘っぱちですね。
遅々として進まなくてもこれだけファンがいるのが証拠です。
刺激的な内容が気になりすぎますので次の更新も
お待ちしております。


[55] Re: 覆水盆に返らずB  ABC :2025/07/30 (水) 16:32 ID:fwomfEbA No.202475
いっきに一話から読んで来ました。
ほかの物語と違うので、おもしろいです。WAKUWAKUします。


[56] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/08/02 (土) 01:10 ID:JoSMrG2k No.202547
皆様、コメントありがとうございます。 とても励みになります。
まだまだ猛暑ですが、おたがいに体調管理をしっかりして、乗り切りましょう!
少しですが更新致します。

*****

スマホから、いつもの落ち着いた声の平尾が
少し焦っているような口調で話しかけてきました。

「今日はアリガトな、ヤベちゃん・・・と奥さん、
 ホンマ、心遣いには 感謝してます」

そんな平尾に私は笑みを含ませ応えました。

「そんなことより、困ったことしてくれたな〜」

「あ、それ・・・何? 気になるやん」と平尾。

平尾が恐縮しながらも、少し慌てているのが
伝わってきましたので、私は あえて冗談っぽく、
彼が話しやすいように柔らかい口調で返しました。

「言ったやろ〜 割り勘って。 
 カミさん、コンビニと カフェでも平尾さんに
 奢ってもらった、って言うてたし」

「あー なんや、そんなことか・・・
 まぁ、飲み物と食事くらいは 出すよ、
 というか 出させてよ、いちおうデートやし」

電話越しに苦笑まじりで、それでも安心したような
平尾の声が印象的でした。

「今回は許したるわ ホンマ 気ぃ遣わんといてな、
 お前が気を遣ったら、デートの意味ないやろ?」

「すまんなー、気にかけてもらって・・・」

いつもながら他愛のない親友らしいやりとりで電話が
スタートしました。

が、もちろん私にとっては本題ではありません。

当然、私はデートのことを詳しく聞かせてほしいと
思っていましたし、平尾自身もそのことについては
理解をしているような感じでした。
結論から言うと、平尾は、私が思っていた以上に、
積極的に「報告」をしてくれたのでした。

「カミさんから だいたいの話は聞いたけど・・・」

とりあえず 私はこのように平尾に伝えることで、
正直に報告するしかないことを、暗に匂わせました。
(俺は もう知っているんだけど、と)
今思えば、こんな小さなところに気が回ること自体、
私は小心者というか姑息だったのです。

続けて私は、あらかじめ由紀から聞いていた、
デートで行った場所や流れを軽くなぞりながら、
少しずつ聞きたい事を引き出そうとしたのです。

「コンビニ 出たところで、俺の車 見たらしいやん?」

「そそ、あれな ヤベちゃんで間違いなかったやろ?」

平尾は、私からこの話題を持ち出してきたことが
意外だったのか、少しびっくりした声でした。

「そうや、実は尾行しよう と思ってたんやけど、
 アウディに まかれたみたいや、エエクルマやな〜」

私はわざと大袈裟に冗談っぽく言うことで、
逆に本意を隠そうとしていました。
でも平尾は笑わず、真面目な口調で返してきました。

「尾行? マジで尾行しようと思ってたんか?」

「そんなわけないやろ!」と、すぐに私。

「あー、でも 尾行する気持ちはわかるで・・・」

さらに平尾は、

「もし直美が他の男と出かけることになったとしたら
 理由は何であれ 当然気になるで、旦那としてな。
 俺ならガチに変装して、レンタカーで尾行するで」

そう言って、ふっと平尾の声のトーンが落ちたのです。

「でも心配するのは、やっぱり夫婦やからな。
 俺には今 女房(直美さん)おらんし できんけど」

そう話す 平尾の報告によると、

実はこの「尾行」の話は、コンビニを出た後も、
車の中で由紀と交わされた、とのことでした。

私が尾行していたかも? ということは、
あくまでも 話題のきっかけにすぎず、
その時の話のメインになったのは、
妻が他の男とデートをするという非日常的な設定
からの「尾行」の話だった、と。

由紀は・・・
女性として、妻として、旦那が尾行をしてまで
気にしてくれる 心配をしてくれる ことについては
素直に嬉しい、と話していたそうです。
由紀が平尾に合わせていたのかもしれませんが;;

ただ私は、つい先ほど 由紀と話をしていた時に、
尾行疑惑のことは 咄嗟に全否定していました。
あの時 素直に「ちょっと気になっただけや」
くらいのことを笑って返せば、
どうってことなかったんだ と、今でも
思い返しています。

(ただ 尾行(しかも未遂)が バレた焦りとか、
 後ろめたさ、そしてなによりも 男としての
 ちっぽけなプライドもあったわけで、
 結局は 素直に言えなかった かも・・・;;)

「そっか・・・ 尾行しとけば良かったな〜
 ぜんぜん思いつかんかったで ・・・ あはは」

どこまでも強がりな私は、余裕たっぷりなトーンで
平尾に とぼけた笑いで返したのでした。

次に私は、

「それはそうと・・・ お前は気分転換できた?」

「俺は楽しかったよ・・・逆に奥さんは?」と平尾。

想定内の返事、これで由紀のことが聞ける とばかりに

「いや、本人は楽しかったって、言うてたで・・・
 どんな話 したん? というか どんな様子やった?」

そう尋ねると、平尾は少し間をおいて話し始めました。

「あー 奥さんな・・・」


[57] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/08/02 (土) 05:19 ID:NKxVUhRA No.202550
矢部さんの尾行は、奥さんが嬉しかったというのは
すごくポジティブな反応で良かったですね。

初デートで車内で二人きり、二人とも話題を探していた
ところに、矢部さんの車登場で、格好の共通の話題が
見つかり、一気に緊張がほぐれた感じがします。
デート中の由紀さんの様子が気になりますね。

続きを楽しみにしています。


[58] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/08/02 (土) 06:03 ID:9pJmCPf. No.202552
由紀さんからの報告を平尾さんとの会話でウラを取ってみたら、
由紀さんも平尾さんも、矢部さんの妻として友人として、
矢部さんに対して誠実であろうとしているようですね。

また、矢部さんが直接聞くことのできない由紀さんのホンネが
平尾さんを通じて伝わってくるという副産物も期待できますよね。

ただ、ある意味こうした健全な関係性の中に、
由紀さんの「ごっこ」のその先が果たしてやってくるのかどうか?

続き、楽しみにしております。


[59] Re: 覆水盆に返らずB  ABC :2025/08/02 (土) 14:52 ID:NRYIyc1c No.202571
更新、有難うございました
矢部さんの心理的なかけ引きがリアル。
すぐエッチするような薄っぺらい小説なんかよりWAKUWAKUします。


[60] Re: 覆水盆に返らずB  ABC :2025/08/03 (日) 12:07 ID:CoTB73nw No.202603
読めば読む程、三人の心理的なかけ引きがある様な気がします
しかし人間は誰しも思惑や企みは潜めていると思うんです。
WAKUWAKUしながら読んでますので。


[61] Re: 覆水盆に返らずB  愛読者 :2025/08/04 (月) 14:29 ID:1AUu1Lok No.202653
矢部さんへ
毎回たのしく読ませてもらってます。
奥様をイメージしたいですが芸能人だったら
誰に似てますか?教えて下さい。
早く続きが読みたいです。

愛読者


[62] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/08/05 (火) 20:21 ID:AmzPsEr2 No.202678
皆様、コメントをありがとうございます。

大変励みになります。勇気をいただいております。
ダラダラした話ですけど、これからもよろしくお願い致します。

似ている芸能人ですか・・・
そうですね、大昔に(若い頃に)外見がぱっと見で、
森口博子さんに似ている、と言われたことがある、
というのを本人から聞いたことがあります。
しかし当時 私は、「かなり強引やな」と思った記憶もあります。(笑)
(ご質問、ありがとうございました!)

続けます。

*****

電話の向こうの平尾の声には、どこか照れたような
響きが混じっていました。

「奥さんな、最初ちょっと緊張してる感じやったわ。
 まぁ、俺もやけど」

思わず私は声を出して笑ってしまいました。

「あはは・・・エエ歳の大人二人が緊張ってか?」

軽く茶化したものの、考えてみれば当然なのかと。
旧知とはいえ、あくまでも他人、そして男女。
しかも私を介した微妙な関係性で、さらに“デート”
という、ありえないシチュエーション。
緊張するのは無理もないですよね。

もし私が平尾の立場だったら、きっとそれ以上に
汗をかいていたと思います。

平尾は話を続けてくれました。

「奥さん、アウディ初めてやったらしくて。
 座った瞬間、えらいびっくりした顔してたで」

まぁ、当然でしょう。
我が家は軽自動車、由紀はいつも後ろの席。
助手席に座ることも少なく、高級車の革張りシート
なんて、なおさらです。

「革(シート)ですか? 高級感ありますね とか、
 いきなり褒めてくれてたで・・・」

電話越しに、平尾の苦笑が浮かぶようでした。

海沿いの道を走る頃には、由紀も平尾も少しずつ
リラックスしてきたようで、話も弾み、
ぎこちない間(ま)もほとんどなかった、
とのことです。

話題は 平尾からは 私との若い頃のエピソードや
沿道にある「旨い」店の話、
由紀からは、パート勤務先の話や 子供たち
(弘幸や麻里奈)の話、など、
会話は自然に流れていたようです。

ちなみに後で由紀が少し曇った顔で、
こんなことを言いました。

「子どもたちの話、しないほうが良かったかな?」

子どもがいない平尾に気を遣ったのでしょう。
でも私は「気にすることない」と答えました。
会話の流れで出た ごく自然な話題だったので。

続けて平尾が少し声のトーンを落として、

「なんて呼んだらって 奥さんに聞いてみたんや」

「名前のこと?」と私。

「うん。“奥さん”てのもなんか生々しいやろ?
 かと言って“矢部さん”やと他人行儀やし」

困ったような顔をしながら尋ねたらしいです。
その時の、少し照れたような平尾の口調が
印象的でした。

由紀は ちょっと驚いたような顔をしたそうですが、
すぐに穏やかに笑って、こう言ったそうです。

「あー、私 由紀ですし、べつに下の名前でも」と。

「で、そっから 由紀さんって呼ばせてもらった」

電話越しの平尾の声に、その“呼び名”の照れが
そのまま混じっているようでした。
そしてその「由紀さん」という響きが、
妙に私の耳に残りました。

私にとって、知人に「由紀さん」と妻の名前を
呼ばれることに違和感や嫌悪感はありません。
ただ、今回はこうして二人で何気ない会話から
呼び名が決まっただけのことですが、
二人の距離が一気に縮まったような気がして、
とても刺激的に感じられたのです。
この時 私は、言葉にできない疼きがあった
のを覚えています。

その後、入ったのが海沿いのカフェ。

二人とも昼食が まだだったこと、というよりも
二人とも このデートを前に、緊張して
食べることができなかったことは、
車の中で笑い話として交わされていたそうです。

幸い、海の見えるデッキ席が空いていて、
由紀はサンドイッチ、平尾はパスタをオーダー。
由紀は「食事代は自分持ちで」と伝えたのですが、
平尾は“ハイハイ”と流しただけだったとか。

カフェでは、平尾の仕事の話になったそうです。

副社長という肩書きの裏にあるプレッシャー、
経営者として 社長の片腕として、
社内外への目配り、取引先への配慮や調整、
安全・業務・財務の管理から全社員の健康管理、
そして重大な経営判断など。

リアルな苦労を、由紀に語ったとのことでした。

「ほとんど愚痴やったな〜・・・
 でも奥さん、ホンマ真剣に聞いてくれてな、
 聞き上手やったし、俺もつい 話し込んだんや」

平尾は笑いながらそう言いました。

親友である平尾の、日頃の愚痴の捌け口として、
そして日頃のストレス解消、ガス抜きとして、
この“デートごっこ”が役に立ったのなら、
それは本来の目的通りなのかもしれません。
彼も由紀も ある意味 愚直にそれに沿った事を
していたまで、だったのですが・・・

「ふ〜ん」と私は曖昧に返しました。

もちろん由紀も、彼の肩書きは知っています。
ただ、私とは雲泥の差のポジションにいる彼が、
寄りによって私の妻にそんな話をした・・・
正直、私は素直に受け止めきれなかったのです。

そして恥ずかしながら、別の意味での嫉妬を
抱いたのも事実です。

(こいつ、自慢したかったんか?)

そう思ってしまうのは良くないのですが、
そう思ってしまうのも仕方ないですよね・・・
私の器の小ささゆえでしょう。

平尾は続けました、

「奥さん、俺の話をちゃんと理解しようと
 してくれてるのが分かったし・・・
 なんて言うか、その気持ちに癒されたで」

(癒された?)

平尾の その言葉を聞いた瞬間、
気分の良くなかった私でしたが、
ある過去を思い出したのでした。

由紀が私と付き合う前、昼の仕事を終えた後に
夜はスナックでアルバイトをしていたこと。

ただその話も 当時の知人から いわゆる人伝てに
聞いただけで、あまり詳しくは聞けていないし、
また由紀にとっては、触れられたくない過去なのだ
と思っていました。

そんな記憶と背景を思い浮かべながら、「聞き上手」
というテクニックは、由紀がその当時に見せていた
別の顔を微かに匂わせていたのでは? という
思いが私の胸をよぎり 不思議な感情を覚えました。

それは決して嫉妬ではなく、むしろ私には
見せたことのない由紀の一面を、少しだけ覗いて
みたい という、好奇心にも似た感情でした。

結婚後30年近く ずっと話し続けてきた夫婦です。
今更、「聞き上手」もなく その時も変わらず
普段の由紀だったのだろう、と思う一方で、
「デート」という特別な場だからこそ、彼女の
特別な面が引き出されたような気がしました。

この「聞き上手」「癒された」話も 私にとっては
大きな刺激の一つになっていたのでした。

その後、二人はカフェを出て、ホームセンターに
向かったとのことでした。
(食事代は 結局 平尾持ちだったそうです)


[63] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/08/05 (火) 21:20 ID:Dqzp.GTw No.202680
由紀さんと平尾さん、車内の会話は弾んでいたのですね。

由紀さんと名前で呼ぶことで、二人の距離は一気に縮まりましたね。
由紀さんは平尾さんを何と呼んだのでしょうか?

カフェで仕事上のリアルな苦労の本音を話してくれた平尾さんに
由紀さんは自分に心を開いてくれたと感じたのでは?
スナック仕込みの聞き上手のテクを駆使して平尾さんに癒しを
与えた由紀さんに平尾さんも好印象を持ったのですね。
カフェでの会話で更に二人の距離が縮まりましたね。
ホームセンターでは二人の距離はどうなったのか?

続きを楽しみにしています。


[64] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/08/11 (月) 17:55 ID:OnlBOyrY No.202819
小太郎様 いつもコメントをありがとうございます。

〉由紀さんは平尾さんを何と呼んだのでしょうか?

特に聞いたわけではないのですが、この時は「平尾さん」と呼んでいたのでは、と思います。


ダラダラとした内容ですが、投稿を続けます。
読者の皆様、読んでくださってありがとうございます。

(この度の大雨災害に遭われた方々、心からお見舞い申し上げます。)

*****

「ホームセンター? ほかに行く所 なかったんか?」

私は、つい そう尋ねてしまいました。

呆れたというより、正直 拍子抜けした、と言ったほうが
近いかもしれません。
あまりにも平凡、あまりにも日常的で、
せっかくの “デートらしさ”とは ほど遠い場所。
もう少し夕暮れの時間に似合う 雰囲気のあるスポットも
あったのではないかと、思ってしまったのですが。

平尾によれば、カフェで由紀と話をしている途中、
「洗濯用のな、洗剤 切らしてたんを思い出したんや」、
とのこと。

「そのタイミングで、か?」

私は思わず、苦笑しました。

いかにも平尾らしいというか、彼の性格、人柄が
よく出ている気がしました。
洒落たプランがあったわけでもなく、
演出に凝るわけでもなく、
ただ ふと思い出した日用品のことを素直に口にして、
そのまま足を運ぶ・・・

あらためて親友である彼の素朴さが、ある意味
微笑ましくもありました。

それでも私は気になって、由紀が どう反応したのかを
尋ねてみました。
すると「いいですよ、行きましょう」と、
由紀は笑顔ですぐに頷いてくれたそうです。

「そらそうや。 嫌です、なんて言わんやろ」

私は少し棘を含んだ言い方で返してしまいましたが、
実のところ、それを聞いて少しホッとしていたのも
事実でした。

たしかに、ホームセンターという場所は、
デートらしくはありません。
だからこそ、由紀にとっても 気負わずに済んだの
かもしれません。
私にしても、どこか安心を感じていたからこそ、
少し強気な口調で言えたのかもしれません。

そのホームセンターは、私も以前 由紀と一緒に
訪れたことがありました。
田園地帯の中に突如あらわれる壮大なスケール感、
店舗入り口横の広大なガーデニングコーナー、
各種何層にも並ぶDIY用品の棚が記憶に残っています。

目を閉じれば、ぼんやりと その風景が浮かんで
きたのでした。
でも、そこに立っていたのは、私ではなく・・・
平尾と由紀でした。

買い物カートをゆっくり押しながら歩調を合わせ、
笑顔で洗剤のボトルを手に取って話す二人の姿。
着飾って “デートをしています”的な装いではなく、
自然体で のんびりと目的もなく午後のひと時を
過ごすためだけに 気軽に立ち寄ったくらいの外見。
その光景は、誰がどう見ても 間違いなく 紛れもなく
「熟年の夫婦」にしか見えないことでしょう。

ありふれた生活空間だからこそ、
二人の自然な様子が、より一層 リアルに思い浮かんで
きたのです。

そして、私の中で その情景は、静かに、けれど確実に、
ある種の “被虐的妄想”へと変わっていきました。

まるで夫婦・・・

胸が熱くなるのを感じました。
それは、猛烈な嫉妬でした。
同時に、由紀がそのまま平尾に連れて行かれてしまう
のではないかという、言葉にならないほどの恐怖。
そしてなによりも、その場に「旦那である私」が
いない、という事実。

深く息を吸い込みながらも 私の呼吸は乱れていました。

ただの買い物。ただの日用品・・・
でも、その場所で繰り広げられたであろう、
あまりにも日常的すぎる、しかし極めて親密な二人の
やり取りに、私は耐えがたいほどのスリルとリスクを
感じていたのでした。

思えば、ほんの数時間前も・・・
ショッピングモールで何気に目にした、
仲睦まじいシニア夫婦を、私は微笑ましく眺めていた
はずでした。

けれど今、平尾の口から語られる“ただの買い物”は、
私の心にじわじわと火を灯し、
勝手で都合の良い妄想を繰り返す中で 情景が膨らみ、
ついには私自身の身体にまで
影響を及ぼしていたのです。

気づけば、私の下半身は熱を帯びていました。
スウェットパンツの中の 勃起に気づいた時、
なんとも言えない戸惑いと、それ以上に その懐かしい
感覚に対する複雑な “嬉しさ”のようなものを
覚えてしまったのも事実です。

(・・・マジか)

心の中で、そう呟いていました。

私の中で、“弱さ”と“興奮”が 同時に
疼いていたのでした。

それは まさに、小心者なりの「寝取られ」の
醍醐味だったと思います。

無意識のうちに私は、
スウェットパンツ越しに 右手を、
固くなったシンボルに当てていたのです。

「で? お目当ての洗剤、あったんか?」

平静を装って、私はそう尋ねました。

「部屋干しなら、こっちのほうが良いですよ、って
 奥さん おススメのやつにしたわ」 と平尾。

私の中で、またひとつ妄想のピースがはまりました。

由紀が洗剤ボトルを手に取って、平尾に差し出す。
そして二人は、目を合わせて微笑み合う。

“夫婦”として仕立て上げた二人の様子が
ありありと浮かび、刺激に変わっていたのです。
スウェットパンツ越しに当てた私の右手には
自然と力が入り、そのまま ゆっくりと
扱き始めていたのでした。

そんな私の様子など 知る由もない平尾は、
電話越しに その後も変わらぬ調子で、
デートの報告を続けてくれたのです。


[65] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/08/11 (月) 23:59 ID:PhOsquFA No.202829
ホームセンターには不足した日用品を補充する為に行ったのですね。
でも日用品であるが故に、由紀さんと平尾さんは本当の夫婦のように
周りから見られていたのでしょうね。

由紀さんが平尾さんに洗剤をお勧めして、それを平尾さんが受け入れた
二人のやり取りで更に二人の距離が近づいていったのでしょうか?

続きを楽しみにしています。


[66] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/08/12 (火) 00:26 ID:imloT4WU No.202830
更新ありがとうございます。
矢部さんの文章、控えめに言って最高です。
ホームセンターで一緒に洗剤を選んだだけですが、寝取らせへの大きな一歩でしたね。
矢部さんの復活する下半身によって寝取らせが加速してしまうのでしょうか?
続きが待ち遠しいです。


[67] Re: 覆水盆に返らずB  夏休みは終わらない :2025/08/12 (火) 11:36 ID:RdGF/VKk No.202842
ノーマルすぎるから、嫉妬になる気持ちはよく分かります。
読んでてとても興奮しました。
続きが楽しみです。


[68] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/08/12 (火) 12:44 ID:iC1wLJh6 No.202844
更新有り難うございます。
女性とデートしている時に洗剤が切れていることを思い出すのでしょうか?
私が思うにはホームセンターに行って洗剤を購入すれば由紀さんから掃除洗濯はどうしているかを言わせて、あわよくば由紀さんから「今度お掃除と洗濯に行きましょうか」と、言わせる魂胆があったのではないでしょうか。
私の思いすごしかな。


[69] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/08/12 (火) 19:39 ID:7p8sC7eQ No.202853
初デートならば、小洒落たデートスポットを想定しがちですが、
よりによってホームセンターとはまったくの想定外でしたね。

いつも矢部さんの隣りにいる、いつもどおりの由紀さんが、
さしたる違和感もない様子で平尾さんと夫婦然としている様子を想像しては、
それまで安泰であったはずの矢部さんの指定席が、
いきなり侵食されたかのような心境にでもなってしまったのでしょうか。

鬱勃起でしょうか?

矢部さんの葛藤と刺激。
これからも期待しています。


[70] Re: 覆水盆に返らずB  西門 :2025/08/15 (金) 14:40 ID:MiF6uTjg No.202920
覆水盆に返らずの表題とじっくり進む話の展開に、
手離したものの大きさを事後に気付いて自分の馬鹿さを反省しつつも、
愛した妻の幸せを祈ってしまう男の業を感じさせられています。
貞淑と言う言葉が似合う堅物の由紀夫人が平尾氏の手管で一匹の淫獣に
堕とされて愛した矢部さんの元を離れていくまでに至った話になるのだろうと、
興味深く読ませて頂いてます。
辛いこともあるかもしれませんが続きよろしくお願いします。


[71] Re: 覆水盆に返らずB  ジン :2025/08/15 (金) 22:32 ID:/PBRcZW. No.202932
初めまして、第一話から読みました。

妻が、すぐに淫靡な下着を身につけ、他の男に簡単に抱かれ、快感に身を委ね喘いでしまうような、一般的夫婦らしからぬ軽すぎる貞操感が綴られてる定番の小説。
ココに数多く投稿されております。
そんな簡単に寝取られのセックスなんてできるものではないのにと笑わせる妄想小説多い中、貴殿の小説は異色中の異色です。
それが理由なのか誹謗中傷コメント多く、タイトルまでもナンクセつけられてる始末。
それぐらい貴重な小説ですから、これからも頑張って投稿続けてもらいたいと思います。

これまでの感想ですが、平凡な場所でのデートが逆にリアリティを増し、主人公の内面の葛藤や嫉妬、興奮を際立たせています。微妙な心理描写が丁寧で、読み手も主人公の複雑な感情に引き込まれます。まさに『日常の非日常』を感じさせる一編だと思います。
快楽と苦悩がもつれ合いながら進行していく様が、まるで心理スリラーのような迫力を持って描かれていて、読み応えがあります。主人公がこの自家中毒的な感情のループから抜け出す兆しが見えるのか、それともさらに深みへ沈むのか、非常に気になります。
信じたいけど疑いたい、その心の揺れ動きが超リアルで切ないのもいいです。
続き、待ち遠しいです。


[72] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/08/18 (月) 15:45 ID:ZBmwKYLI No.203018
小太郎様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
・ホームセンター、日用品、同世代のシニアカップル となれば、
「夫婦」にしか見えないでしょうね・・・;;

ざるそば様 コメント、ありがとうございます。
・待ち遠しいと言われるような展開になるかどうか・・・(汗)
 これからもよろしくお願い致します。

夏休みは終わらない様 コメント、ありがとうございます。
・日常的なシーンだから、余計に嫉妬を感じますよね?

進一様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
・平尾の本心は、というか 他人の本心は どこまでいっても
 わからないので、なんとも言えないのですが、
もしかしたら「あわよくば」の気持ちがあった? どうでしょうかね?
 今度、AIに聞いてみようかなと思っています。

倍胡坐様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
・鬱勃起?ではなく、妄想からの正常勃起だと、本人は思っています(汗)

西門様 コメント、ありがとうございます。
・期待に沿うような展開になるのかどうか、心配しております。
 どうか、これからもご愛読をお願い致します。

ジン様 コメント、ありがとうございます。
・貴重な小説なのかどうか・・・ エロ不足で申し訳ないくらいに思ってます。

皆様、残暑お見舞い申し上げます。ご愛読、いつもありがとうございます!
コメントは、とても励みになります。これからもよろしくお願い致します。

*****

「あとは・・・ 店の中 ウロウロしたんやけど」

どうやら時間的にも、他の場所に移動してまで
デートらしい 何かをするほどでもないと
思ったらしく、そのままホームセンターに
留まっていたそうです。

それはそれで私の気持ちは複雑でしたが・・・

「そういえば・・・奥さんのことで、意外やな って
 思ったことあったで」

「なんや?」

そう平尾が話し始めた時、私は自然と身を乗り出して
いました。

その内容は、二人が たまたま通りかかった
店内にあるカー用品コーナーでの出来事でした。

平尾は缶入りの車用芳香剤(エアスペンサー?)を
手に取って、アウディに似合う匂いは、どれか?
と由紀に尋ねたそうです。

私は 二人がやりとりをするシーンを、頭の中で
思い描きながら聞いていました。

たしかに芳香剤にはいろいろな種類がありますよね。

由紀は「どれでしょうかね?」と
その場にあった小さな円筒型の缶のサンプル品を
手に取り 香りを確かめていた と。
そんな彼女の横顔に、どこか懐かしさと柔らかな笑みが
浮かんでいた、と平尾は言いました。

「(最近は香りの)種類がずいぶん増えたんですね」
「わたしは・・・ ライム一択でしたよ」

そう言って 笑顔の由紀が手に取ったのは、
3缶が1パックのセット商品だったそうです。

「3つって・・・全部使い切るのに、半年くらい?」

平尾がそう言うと、由紀はクスッと笑って、

「いいえ・・・3つを同時に使うんですよ」
と答えたそうです。

「全部、同時に?」思わず私も問い返しました。

平尾は笑いながら、

「うん・・・昔、奥さんの友達は そうやって
 使ってた らしいで」

(昔? 友達?)

その言葉に、私は胸の奥がざらつくような感覚を
覚えました。

さらに平尾は由紀とのやりとりを なぞるように
伝えてくれました。

「やんちゃな使い方やねー って言ったら、
 わたしは やんちゃじゃなかったですよ!
 って 奥さん 笑ってたで」

平尾による、その会話の再現によって、
決して私が知ることのできない過去の由紀が
ふいに姿を現したような気がしました。

由紀は「友達」なんて言い方をしていたみたい
ですが、元カレであることは間違いありません。

こうして回想していると、30余年も前の妻の過去に
未だグズグズと引き摺られて情けない男だ・・・
と自分でも理解はできてはいたのですが、
平尾の報告を聞いた その時は、「あの頃の由紀」
に変に執着し、惹きつけられていたのでした。

そして同時に、当時の由紀と元カレに対する
抑えがたい嫉妬心が湧き上がってくるのを
私は感じていました。

その後、平尾と由紀は しばらくカー用品の売り場
に居たらしく、
アルミホイールが陳列されたコーナーに寄った時には、
由紀は何も言わずに 数々のホイールを見つめていた、
と平尾が淡々と伝えてくれました。

整然と並び 煌々とライトに照らされた、大小サイズと
各種デザインの数々のアルミホイールの映像が、
私の脳裏に浮かんでいました。

その中の一つに 由紀の視線が止まり 呟いたそうです。

「これって・・・懐かしいかも」

「懐かしい?」

平尾が聞き返すと 由紀は少し気まずそうに笑い、
肩をすくめて こう言ったそうです。

「さっき話した友達、ホイールにも こだわってて、
 人とは違うデザインが良いって」

「へぇ、車好きなんですね、何 乗ってたんですか?」

平尾が返すと、由紀は静かにこう答えたそうです。

「日産の・・・ あっ 日産の車でした」

そう 由紀が答えたと。

平尾が言うには、その時の由紀の目は遠くを見ている
ように、映ったそうです。
もしかしたら、彼女の実家の物置に預けられたままの
あのホイールとともに、由紀の中に、きっとその頃の
記憶が蘇ったのではないか、と私は思いました。

平尾は平尾で、そんな由紀の反応が意外だったらしく、
笑いながら、

「前にやべちゃん、言うてたよな・・・
 奥さん、車が好きとか 詳しいとか って(※)
 やっぱり昔 奥さん、ちょいワルやったんかもな」
 ※「覆水盆に返らず」スレッドNo.93・118参照

平尾のその言葉に、私は思わず苦笑しながら、
心の中では、やんちゃだった若い頃の由紀の姿を
勝手に想像し始めていました。
想像というよりも、作り上げていたのでした。

深紅の唇に タイトなスーツ、ハイヒール姿の
シャープでクールな由紀。
スナック勤務を終えた深夜、ライムの香りに
満ち溢れた、友達 いや 元カレのシーマの助手席で
楽しそうに微笑んでいる・・・。

そんな光景が、まるで実際に見たかのように、
鮮明に浮かんできたのです。

 ※読者の皆様はいかがですか?
  身近な女性(例えば奥様)の過去・・・
  まさか今のその方からは想像できないくらいの
  〇〇だった事実を知ることになったとしたら? 

私の勝手な想像(妄想)は、留まることを知らず
抑えきれない昂ぶりとなって 加速していきました。

平尾と由紀の今回のデート、
その名目はあくまで、平尾の気晴らしであり、
気分転換であり、本来ならば軽いジョーク的に
扱うはずの「デートごっこ」でした。
が、ここにきて私にとっては、スリルとリスクが
混ざり合い、まるで“寝取られ”にも似た刺激が
渦巻いていたのです。

それは・・・
アウディに乗り込む由紀の姿を見て焦り、
進まない時計を眺めながら孤独に耐え、
平尾に「由紀さん」と呼ばれることに動揺し、
夫婦のように映る二人の姿に疎外感を覚え、
そして過去の由紀の面影を誇大妄想する・・・

そのすべてが、私を刺激し、昂ぶらせ、
これまでにないほどの熱量とともに、
私の胸の奥から腹部、そして身体の芯へと伝わる
温かく重い熱になっていました。

スウェットの上に当てていた私の右手は、
そのまま久しぶりに硬化したペニスを扱き、
長い間忘れかけていた快楽の時間を止めることは
できなかったのです。

平尾からは続けて、帰路は比較的空いていたこと、
その時も、それなりに由紀と会話が弾んだこと、
そして私も夕方に行っていたショッピングセンター
に由紀を送り届けたことなどを
淡々と報告してくれました。

「そっか・・・ あっそろそろ風呂やから・・・」

「あ!すまん すまん また、あらためて な!」

もはや それどころではなくなっていた私は、
平尾に悟られないように適当な理由をつけて
電話を終わらせると、再び 独り悦に浸りました。

(50代男 自慰シーンにつき カットします;)

程なくして私は 久しぶりに頂に達し果てたのでした。


[73] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/08/18 (月) 16:24 ID:BTwZPp5. No.203020
矢部さんのED。早くも回復でしょうか。
でも、実際に由紀さんとその場に即してみないとわかりませんが。

もちろん、この物語は回復すればそれで良しではありませんよね。
矢部さんの心理の奥の奥がどういう方向へ向かうのか、
そして、由紀さんがどうなっていくのか、ですよね。

読者諸氏の応援コメントもあり、
このスレッドもようやく落ち着いて来たようで何よりです。
引続き応援しております。


[74] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/08/18 (月) 16:25 ID:YosEr.mE No.203021
車用芳香剤とホイールを眺めながら由紀さんは別れた元カレを
思い出していたのでしょうね。
平尾さんとのやり取りで由紀さんの過去が垣間見れたのは
矢部さんにとてつもない嫉妬心を呼び起こしたのでしょうね。
決して嫌いになって別れた訳でなく、親に引き裂かれて
別れさせられたのですからね。
続きを楽しみにしています。


[75] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/08/19 (火) 11:49 ID:.VoJySS. No.203054
由紀さんは元彼の事を思い出しながら平尾さんとの会話を楽しんでいたのでしょう。
さて、次回のデートはまだまだ先になるのでしょうか?
それとも矢部さんには内緒で会うのでしょうか?
この後の展開をお待ちしています。


[76] Re: 覆水盆に返らずB  夏休みは終わらない :2025/08/21 (木) 13:06 ID:CWdsdmwQ No.203134
まさか、
これで終りじゃない、ですよね!
早く続き読みたいです。


[77] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/08/22 (金) 00:07 ID:lLCY9xLo No.203149
続きが更新されていないか何度も見に来てしまいます。
早く続きが読みたいです。


[78] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/08/24 (日) 00:21 ID:x2A9BacE No.203210
倍胡坐様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
・EDの回復というよりは、デート報告の刺激からの
 一時的反応だったのかなと思います。

小太郎様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
・妻の過去の話は聞けば聞くほど、もっと知りたくなるような、
 それくらいまで掻き立てられます。私も固執しすぎでしょうか?

進一様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
・私に内緒で会う、いかにもこちらのサイト小説にありがちな
 ある意味「標準的な」流れですが、残念ながら由紀の場合も
 そこまで肝が据わっていなかったと思います。

夏休みは終わらない様 コメント、ありがとうございます。
・とても励みになるコメント、ありがとうございます。

ざるそば様 コメント、ありがとうございます。
・何度も見に来ていただいて、ありがとうございます。 これからもよろしくお願い致します。

皆様、いつもご愛読をありがとうございます!
コメントは、とても励みになります。
もしよかったら感想を聞かせていただきたいです。
これからもよろしくお願い致します。

遅い展開ですが・・・

*****

久しぶりに味わう自慰の快楽に溺れ切った私。

スウェットパンツの中 トランクスを穿いたままで
暴発してしまいました。
止めなかった、止まらなかった、止めたくなかった、
止めてはいけなかった・・・
いろいろな思いが交錯していました。

年甲斐もなく みっともない結末になりましたが、
それさえも どこか充実した時間に感じられ、
私は、とても満足していました。
後処理も苦にならないくらいでしたから。

由紀は、私が平尾から報告を聞いていたことは、
気には なっていたと思います。
ですが、彼女は入浴後も普段通りの仕草で振る舞い、
私に対しても何の違和感もなく接してきました。

そう考えると この時点では、彼女にとっての
今回の平尾との半日は、本当に単なる
デート「ごっこ」をしただけ、
平尾の気分転換に付き合ってあげただけであり、
イベントが終われば、その瞬間 いつも通りに戻る。

つまり、当初 彼女が提示した「10か条」(※)に
しっかりと沿った行動をしていると言えたのです。
(※)「覆水盆に返らず」 スレッドNo.79 No.138
    由紀から条件提示された10か条

また、「デートごっこ」のもうひとつの目的であった、
私のED回復についても、デートの報告をネタにして
自慰まで できたことは、あえて私からは話すことはせず、
また由紀から聞いてくることもありませんでした。

洗濯かごに放り込んだ 汚れたスウェットパンツや
トランクスから、彼女が気づいてくれれば それで良いと、
私はそれくらいに思っていました。

そのあと 私は由紀に軽く話しかけてみました。

「平尾に(食事代の)礼を言うたら、笑われたで」

「えー、そうなんだ・・・
 あっ 平尾さん、気分転換できた感じだった?」

あくまでも、平尾の気分転換や気晴らしを
由紀は気にしていましたが、

「どやろ、電話じゃわからんしな・・・」と私。

「そうよね・・・」

由紀との 今回のデートについての話は、
その後 当たり障りのない二言三言を交わした程度で
次のデートの段取りに入るまで、私たち夫婦の間で
話題になることはありませんでした。

“10か条”に沿っていると言えば それまでですが。

後日、平尾とも改めてデートのことについて
話をしたのですが、これといった新しいネタもなく、
前回と変わらない内容を、むしろ オモシロおかしく
余裕をもって、お互いが話し合えたくらいでした。

特に私の場合、“賢者の時間”真っ只中というのか、
前回のように、報告を聞いて 滾り昂っていたほどの
刺激を感じることはありませんでした。
その冷静さが、次のデートに向けての歩みを促す
きっかけになったのだと思います。

欲というのは厄介なもので、
私なりに今回 成功体験を得たこともあって、
次回のデートでは、より刺激的なこと、
更なるスリルとリスクを求めたくなっていたのです。

次のデートでは・・・

・由紀の外見に興奮したい とか、
(こちらのサイトにあるような、ミニスカートや
 ハイヒール、厚化粧、セクシーランジェリーを使用)

・平尾と由紀が危ない関係になってほしい とか、
(こちらのサイトにあるような、ラブホに行って
 やられまくって、帰宅時間が遅くなる)

・そして私の悪い癖なのかもしれませんが、
 由紀の過去をもっと知りたい 詳しく知りたい とか。

ただ、私から2回目デートの提案をするのは、
平尾に対して「お願い」をする形になってしまいます。
だから私は、平尾から「もう一度デートがしたい」と
言わせるように自然に促そうと考えました。

私から平尾には、

「で、気分転換できたんか? 気晴らしは?」
「結局、月曜日になると、お前は忙しいしな・・・」
「たかが一回だけで、寂しさなんか 埋まらんやろな」
「今回のデートが逆効果になっても あかんしな」

平尾からは、

「うん、久しぶりに楽しかったで・・・ありがとな」
「そうやなー、月曜日からは いつも通りやったしな・・・」
「そうやな・・・埋まったようで埋まってないかもな」

平尾は返すたびにトーンも暗くなっていきました。

そんな私からの誘導的な会話は、
決して しつこくならないように配慮しながら、
時には、違う話題(例えば温泉など)をきっかけに
するなど、電話とメールでアプローチをかけたのでした。

「そっか、でも奥さんは嫌がってないか?」と平尾。

「それはないと思うで、もともと半年くらいのスパンで
 考えてたし、何回か 気分転換が必要や、って
 あいつ自身も 理解してるし」

「そっか じゃぁまた ヤベちゃんの言葉に甘えさせて
 もらっても ええかな?」

「わかった、カミさんに いつ行けるか、聞いとくわ」

私も調子良く合わせました。
平尾からの希望に応えてあげる形で。

「すまんな・・・ 持つべきものは友やな」と平尾。

こうして平尾と私の間で、2回目のデートを
実施することが決まったのです。

平尾は「いつでも良い」とのことでしたが、
次の日曜日は、ウチの娘が帰省していることを、
彼は知っていた(由紀から聞いていた)みたいで、
「そこは無理やろ」と。

私も、今回1回目の翌週というのは 早すぎるかな?
という思いもあったのですが、
反面、“鉄は熱いうちに”という思いもあったので、
その次の、つまり翌々週の日曜日ということで
仮決めをして、私から由紀に伝えることにしました。

この後は、近場の温泉に行こう とか、
またメシでも とか、関係のない話題を 私は持ち出し、
デートの件を ぼやかしたのは言うまでもありません。

我が家に娘の麻里奈が帰省し、翌日曜日は母娘で
仲良く買い物に出かけました。
母娘の関係性というのは、旦那父親の立場であっても
どこか踏み込めない部分ってありますよね。

すごいな、というか、マジか と思ったのは、
ある日 三人で晩ご飯を囲んだときのことです。

何かの話をしている拍子に
由紀は、あのホームセンターに行ったことを
麻里奈に話し始めたのでした。
由紀は(私と)何度か行ったことがありますが、
麻里奈は一度も行ったことがないらしく、
興味津々で聞いていました。

(オイオイ、娘に話す気か?)と内心 とても焦る私。
「へぇー そこって どんなところ?」と普通に聞く娘。
そのホームセンターはどこにあり、どのくらいの広さだ、
とか 規模の話や品揃え(特にペットコーナー)の話を
する由紀。
もちろん誰と行ったなんてことは言わないし、
娘からすれば、当然 私と一緒に行ったことが前提で
話を聞いていたはずです。

当たり前ですが、デートの話は一切出ませんでした。
単なるホームセンター自体の会話だけで二人が
盛り上がっていた様子は、母娘の「独特の連帯感」を
感じる光景でした。

内心驚き 焦っていた私は、ホッとしたのと同時に、
なんとも不思議な気持ちになったのを覚えています。
一方で、もしかしたら由紀は私のことを、遠回しに
“試している?”くらいまで思っていました。

そんなホームセンタートークの終盤にさしかかる頃、
「また行くの?」「いつ行くの?」「一緒に行きたい」
などと娘が、私にとっての思ってもいないパスを
出してきたのでした。
まさにキラーパスでした(笑)

「うーん わかんないけど・・・いつかな?」
と、由紀は独り言のように答えたのですが、
微かに私を見たような気がしました。

そこで私は 待ってました! とばかりに・・・
「次の日曜でも エエで!」と、
この場では さすがに言えませんでしたが(汗)。

ある晩の食卓で繰り広げられたエピソードですが、
由紀からは、ごく普通の話をしているような
雰囲気しかありませんでした。
結局、それが彼女のデートに対する捉え方だった
のでしょう。

こちらのサイトの流れからすれば、
肉付きの良い妻は、トントンと次のデートも決まり、
旦那も積極的に他の男と、簡単に事を進めることが
できるのでしょうが・・・
私の場合は、なかなかうまくいかなかったのです。

娘 麻里奈はその夜、駅まで由紀の運転する車で向かい、
再び 遠く離れた勤務地に戻りました。


[79] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/08/24 (日) 08:37 ID:h5j./lxM No.203216
第一回のデートごっこの内容に興奮してオナニーまでしてしまった
矢部さんと娘さんとの世間話で平尾さんと訪れたホームセンターの
事を話している由紀さんとのコントラストが興味深いですね。

今デートごっこの出来事を日常として世間話にしている由紀さんが
これから回数を重ねるに従って、非日常の秘め事として自分の胸に
しまってしまうのか?
これからの由紀さんの変化に興味津々です。

続きを楽しみにしています。


[80] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/08/24 (日) 11:17 ID:WLv.jo6k No.203224
いつも変な想像をしてしまいすみません。
2回目のデートの報告を楽しみにしています。


[81] Re: 覆水盆に返らずB  中年ファン :2025/08/25 (月) 14:19 ID:FTtoGFyA No.203257
矢部さん。更新をしてくださりましてありがとうございました
先週、覆水盆に返らずに気が付いて読む始めました
感想はサスペンスとエロチックが詰まった素晴らしい内容とおもいます
ここの小説はハチャメチャで尻が軽い妻と軽薄な夫となぜか絶倫の間男が
すぐにエッチをするような嘘みたいな夢のような話しや
そんなうまいこといくわけないような話しばっかりが蔓延して
どれも一緒と飽きてきた中で矢部さんの話しは天然素材で無農薬で無香料で着色料もない自然食品のように感じます
読んでいくうちにその良さがわかってきました安心して読めるんですよ ^^
誘われてすぐにオマタをひらく女の話しはあきましたが
由紀さんのノーマルの主婦のすがたにエロさがある気がするんです
この先の話しに期待をしてます
誹謗中傷に負けずに
書いてください


[82] Re: 覆水盆に返らずB  夏休みは終わらない :2025/08/28 (木) 20:29 ID:XurjSm8s No.203319
早く続き読みたいです。
まだですか?


[83] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/08/28 (木) 23:10 ID:doJrnX5E No.203322
小太郎様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>これからの由紀さんの変化に興味津々です。
そうですねー、少しずつですが・・・;;

進一様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>いつも変な想像をしてしまい
こちらのサイトだと、むしろその流れ、進一様の予想のほうが正解ですよね!

中年ファン様 コメントをくださりありがとうございます。
>この先の話しに期待をしてます
 励みになるコメントをありがとうございます。
 期待に沿えるのかどうか;; これからもよろしくお願い致します。

夏休みは終わらない様 コメントをくださりありがとうございます。
 遅筆につき、お待たせしてすみません

*****

2回目のデートの件を伝えたのは、水曜日。
夕飯を終え、由紀が食器を洗っている時でした。

この件については、あらたまって というよりも、
何かのついでのタイミングの方が 話しやすかった、
というのもあります。

平尾とは、4日後の日曜日に、ということで
仮決めをしていたので、早めに由紀の都合を聞く
必要もありました。
ただ昨日まで娘が帰省していた手前、なかなか
言い出すこともできず、私的にやきもきしていた
のが本音です。

「そういえば平尾が、カアサンと またお願いしても
 エエかなって、言うてきた・・・ どうやろ?
 あいつ、日曜日なら大丈夫みたいやけど」

水の音に紛れ、泡に包まれた指先をすすぎながら、
由紀は驚くわけでもなく 少し間を置いて、

「あー うん、わたしも別に・・・何もないし」

それだけの返事でした。

私と目は合わせることはなかったのですが、
声に特別な抑揚が入ることもなかったことや
無理をしているような気配も、気負いも、
どこにも見当たりませんでした。

まるで、日々の買い物や家事の延長のような、
ごく自然な受け止め方・・・
その自然体が、なにより私にとっては
ありがたく、深い安堵を覚えたのでした。

だから、と調子に乗ったわけではないのですが、
私はこの時とばかりに、

「カアサン、次のデート、スカートとか?」
「いちおうデートなんやし・・・」

オチャラケて、できるだけ軽いノリっぽく、
前回の「デートごっこ」で残念に思ったことを
それとなく伝えたつもりでしたが・・・

やはり声が上ずってしまった私の言い方が 曖昧で、
本音というか願望までは伝わっていなかったのかも、
いや むしろ変な形で伝わってしまったのか、

「はぁ? どういうこと?」と由紀。

至ってシンプル そして一気に冷たいトーンになって
返されました。

由紀は顔を上げて、(なんでそんなこと言うの?)
そんな表情で私を見ていました。

咄嗟に私は、余計なことを言ってしまった、
という思いと、返す言葉を用意していなかった
ことに焦ってしまい 口籠っていると、

「そんなことより、トオサン 治った?」

逆に由紀は冷静に本来のデートの"もう一つの"
目的に対しての、結果を訊いてきました。

面と向かって、「とりあえずオナニーできた」
なんて言えないですよね・・・
それに、先日 彼女が洗濯物を取り扱った際に、
絶対に気がついているはず、と思っていたので。

「あー それな、まぁ、いちおう・・・」
「なんとかなりそうな気はするんやけど」

恥ずかしさもあり、歯切れの悪い私は 続けて、
デートが刺激になったのは確かだが、
まだ完全に治っていなくて、苦戦をしていると。
それに、先日平尾に会った時の 彼の様子も
まだまだ不安定だったと、少し盛って伝えました。
(あくまでもデートは平尾のためで、
 自分はその次というアピールをしたつもり!)

「じゃぁ日曜日・・・ うん、わかった」と由紀。

それから当日まで、私たち夫婦の間では、
デートに関する話題は一切出ませんでした。

普段通りの会話をし、ごく普通の家庭生活を
送っていたのでした。
それぞれがあえて触れなかったのか、
触れずとも理解し合っていたのか、
「10か条」に沿っているといえば、それまでですが。

私は今回のデートに、
前回のような戸惑いや不安を感じていませんでした。
むしろ 正直に言えば、より濃厚な刺激を期待して
昂ぶっていたのです。

(もっと強い刺激を、もっと深い熱を)

前回の終了後に味わってしまった感覚や
知り得ることができた事実が、私の中で
“成功体験”として強く残っていたのですね。

そして いよいよデート当日の朝・・・

それはごく普通の朝の始まりでした。
由紀はいつも通りに起き、仕草や表情も変わりなく、
朝食を作り 洗濯物を干し 掃除をするなど、
淡々と家事をこなしていました。

前回のこともあり、早めの昼食を提案した際も、
彼女はごく普通に「そのほうが良いね」と応じました。

日曜日のルーティンを終え 早めの昼食(その時の
話題も娘のことだった、と記憶しています)を
済ませると、リビングは静寂に包まれていました。

私はテレビの画面を片目に、手元のスマホで
ヤフーニュースをぼんやり眺めながら、
時計をちらちらと見ていました。

やがて、階段を下りてくる由紀の足音がしました。

(スカート?)

私は淡い期待を胸に深呼吸をして、
彼女がリビングに入るのを待ちました。

微かな空気の揺れ、衣擦れの音に気配を感じ、
振り向くと 由紀が現れました。

その姿・・・

遠目から見る限り、前回とほとんど変わって
いませんでした。
いや、むしろ「同じ」だったと言っても
良いでしょう。

髪は丁寧にブローされ、メイクは薄化粧、
ただ、目元は いつもよりほんの少しだけ濃い
アイラインが引かれ、リップも、前回のピンクが
少し濃くなった気がしました。
(誤差の範囲かもしれませんが;;)

ネイビーのカーディガンは羽織らずに
手に持ったまま。

いつもならアクセサリー類は着けない彼女ですが、
耳元には前回と同じ小さなパールのイヤリング。

トップスは白のクルーネックのTシャツ。

ボトムスは前回と同じ濃いブラウンの綿パンツ。
ヒップラインを隠すような、ゆったりシルエットで、
いわゆる“女を出す”装いには見えませんでした。

(やっぱり、前回と同じか・・・)

私はその瞬間、期待外れ/残念といった気持ちと、
どこか安心した気持ちが混在していました。
この時 胸の奥で、ふっと緊張が解れたのです。

一見すると、前回とほとんど違いのない
平凡な普通の外見の由紀・・・

(あれ?)

ところがパンツから覗く彼女の足元の変化が
私の目に はっきりと映ってしまったのでした。
映っただけではなく、喉の奥に引っかかるような
違和感と、昂ぶりを伴う焦りが一気に込み上げて
きたのです。

前回、綿パンツの裾から覗いていた足元は、
単色グレーの靴下でした。
しかし今回はベージュのストッキングだったのです。
肌にぴたりと沿い ほんのり光沢を帯びたナイロンの
艶めく質感が、しっかりと私の目を捉えて
離しませんでした。

たかが足元の微細な変化・・・
それでも私の胸の奥に、違和感と期待を同時に
呼び覚ましたのです。

(マジか・・・)

私は刺激を得始めていたのでした。

「この程度の事で大袈裟だ」と ここのサイト投稿者の
皆様方に笑われてしまうくらいのツボですが、
この時、本当に私はビビってしまった記憶があります。

そして更に・・・


[84] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/08/28 (木) 23:52 ID:Dg5iOWaQ No.203323
いよいよ2回目のデートですね。
由紀さんの装いの変化、残念ながらまだスカートでは
なかったですが、グレーのソックスからベージュの
ストッキングに変化していたのですね。
その変化が由紀さんのデートごっこに対する気持ちの
変化を現していますね。
更なる変化があったのでしょうか?

続きを楽しみにしています。


[85] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/08/29 (金) 12:41 ID:hCrE9aKw No.203330
更新有り難うございます。
2度目のデートの朝を迎えましたね。
前回とほぼ同じような装いで期待外れの感がありましたね。
しかし、アイメイクが少し濃いめなのと靴下ではなくストッキングはパンストだったのでしょうか?
「そして更に・・・」が気になりますね。


[86] Re: 覆水盆に返らずB  :2025/08/30 (土) 00:08 ID:1JLHdqSM No.203336
今週は二回の更新ありがとうございます! 
楽しみ待っいます。


[87] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/08/30 (土) 03:45 ID:qg2L5Yek No.203339
着衣の変化は人間関係の変化に通じると思います。
前回ははじめてということもあったのでしょうか、
由紀さんなりの「探り」の結果がソックスという結論。
あくまでも日常の延長での様子見だったのかも知れませんね。

由紀さんの意識の中にあるソックスからストッキングという変化は
夫の友人との日常的な関係性から踏み出しつつあるようにも思えます。
普段着をベースとしながらも、その内側の変化が気になります。
勝負服や戦闘服といっては大袈裟でまだ微妙な変化でしかありませんが、
夫抜きの男と女としての関係性への発展を想像させられてしまいます。

そして更に・・・が気になります。
ひょっとして、由紀さんのTシャツから透けて見えるものが、
定番のベージュではなかった・・・とか?
相変わらずの矢部さんの焦らしに期待大です。


[88] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/08/31 (日) 00:41 ID:zsxndHDY No.203364
更新ありがとうございます。
靴下からストッキングとは急展開ですね。
2回目のデート報告が待ちきれません。


[89] Re: 覆水盆に返らずB  中年ファン :2025/08/31 (日) 10:01 ID:jxbfRktQ No.203373
矢部さん。
更新をしてくださいましてありがとうございました
由紀さん二回めのデートにむかう姿で
矢部さん興奮するのと同じで読者も興奮してます
Hのシーンはない  それでも矢部さんの話しはふつうの日の日常場面がふつうに書かれていますからとても現実的です
足もとのストッキングだけでも興奮できるんです
すぐにHが簡単にできるうそみたいな話しより現実的だとおもいます
だから人気あるんでしょう  天然素材で無農薬で自然食品のように思えます
エロHばかりして簡単に寝取られる夫婦はふつうの日常はぎくしゃくして過ごせないと思います
それにいくらなんでもふつうの妻はほかのオトコと簡単にHしません。なかなか簡単に寝取られません
ごくふつうの妻の話しが一番興奮します
次の話し楽しみに待ってます


[90] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/09/03 (水) 00:39 ID:O9vCgp6. No.203438
小太郎様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>由紀さんの装いの変化、残念ながらまだスカートではなかった
・その通りです。なかなか地味で固い女です、
 もっと、ほかの投稿小説内の女性のように華やかで積極的だったら、
 と 何度思ったことか;;;

進一様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>同じような装いで期待外れの感がありましたね
・そうですね・・・たまには期待に応えてほしいですよね;;

秀様 コメントをくださりありがとうございます。
>今週は二回の更新
・励みになるコメントをありがとうございます。
 たまたま二回投稿できたということで・・・これからもよろしくお願い致します。

倍胡坐様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
 鋭いコメントに、もしかして倍胡坐様は、平尾では?とビックリしてました(笑)

ざるそば様 コメントをくださりありがとうございます。
> 2回目のデート報告が待ちきれません。
・とても励みになり、勇気をいただけるコメントありがとうございます。

中年ファン様 コメントをくださりありがとうございます。
> ふつうの日の日常場面がふつうに書かれていますからとても現実的
・とても深く読み取っていただき嬉しいです。
 そうですね、良い意味で味気のない日常を過ごしていました。

*****

「さて 時間やし、そろそろ行こか〜」

そう口にしながらも、私は由紀の足元・・・
ベージュのストッキングに包まれたつま先を、
目の端で何度も追っていたのでした。

もちろん、気づかれぬように・・・
そう心掛けたつもりでしたが、どうだったでしょうか。
それでも、女の勘? 女性特有の気づき? なのか
案の定、由紀は私と目を合わせようとはせず、
むしろわずかに口元を綻ばせているように見えました。
いや、そう見えた“ような気がした”のかもしれません。
自分でもわかるくらいまでに私は狼狽えていたのでした。

「うん・・・」

少しだけ間を置いて由紀が頷き、
アイボリーのショルダーバッグを片手に、
くるりと身を翻して玄関へ向かいました。

その後ろ姿を、私は無意識のうちに目で追っていました。
そして、気づいてしまったのです。

白いTシャツの後ろ姿・・・
いつものような機能的なアンダーシャツとは異なるもの
が隠れていたことに。

左右の肩に それぞれ2本、合わせて縦に4本の
ストラップが掛かり、背中真ん中あたりには帯状に
繊細な花模様のレース刺繍が、薄っすらと控えめながらも
確かな存在感を放っていました。

前回、あれほど淡泊で実用的な下着を使用していた彼女が、
今日に限って身に着けていたのは、
色はおそらくベージュ色のキャミソールでした。
私的には、少なくとも「透け防止のインナー」と呼ぶには、
やや装いが過ぎているようにも見えました。

ふと、胸の内に動揺と波紋が広がりました。

(これって・・・わざわざ選んだのか?)

あくまで私の思い込みかもしれません。
心の中に波紋が広がるのを感じながら、私は咄嗟に
そう思っていたのでした。

もちろん、ただの偶然かもしれません。
決して派手でも、露骨でもなく、
極端に攻めた装いでもなかったわけですから。
何かのついでに手に取っただけなのかもしれません。

ですが・・・

その時は、“わざとではない”ことが、
逆に“わざとらしい”と感じられたのでした。

そして次の瞬間も 私は心を揺さぶられました。

由紀がシューズボックスから取り出したのは、
ローファーでもスニーカーでもなく、
黒のスエード調でカジュアルな ローヒールの
パンプスだったのです。

その靴を由紀が玄関の床に置いた瞬間、
「コツン」と軽く響いた音。
1センチにも満たない程度の低いヒール・・・
それでも “ヒール”であることに変わりはないわけで、
私は その特別感にさらに昂ってしまったのでした。

努めて平静を装いながら、私は茶化すように
由紀に声をかけたのでした。

「そんな靴、あったん?・・・ ええやん、それ」

「これ? たま〜に履いてるし、この前もマリちゃん(娘)
と出た時も、これだったけど・・・」

由紀は淡々と答え、何気ない仕草でストッキングに
包まれた足先を、すっと パンプスに収めました。
その動作を見ているだけで、私は胸の奥に熱が灯るのを
感じました。

車に乗り込むまでのわずかな距離でも、
パンプスの「コツコツ」という軽やかな音が、
やけに新鮮に響き 耳に残りました。
そしてそれは、私の中で焦りとも昂りともつかない感情が
胸をざわつかせたのでした。

車内では、最初こそ娘の話や、最近音沙汰のない息子の話題
で盛り上がりました。
親というものは、どんな状況でも子どもの話となれば、
つい 口数が増えてしまうものですね。

けれど それも長くは続かず、やがて会話は
静かに途切れていきました。

その沈黙を破ったのは、後部座席からの由紀の声でした。

「平尾さんと どんな話をしたら良いかなぁ?」

これまでも幾度となく触れていますが、
このデートの目的は平尾を元気づけるためのものです。
彼にリラックスしてもらい、彼にたくさん語らせて、
心地良いひとときを過ごすことで気晴らしや気分転換を
してもらう・・・。
けれども、前回デート中は、ほとんど平尾が話題を提供し、
むしろ由紀に対して気を遣ってくれていたような
展開になってしまったことを、彼女はとても気にしていた
のでした。

私はできるだけ軽い口調で応じました。

「気ぃ遣うことが、あいつの気晴らしに なってるんや」
「そんなもんやろ・・・ 知らんけど(笑)」

男としては、自分がどうであれ、やっぱり女性には
気を遣うもの、カッコつけたい気持ちは男なら誰しもある、
という事を由紀に話しました。

続いて私は、

「カアサンからの振りは、テキトーで えんちゃうか」
「趣味の話・・・ガーデニング好き、でも虫は嫌い とか」
「なんやったら またホームセンター行ったらえーやん」

「あ〜 そっか・・・ それいいね」と由紀。

そんな話をしながらも私はデートの話題になった時点で、
由紀へのアドバイスなんてことよりも、再び 由紀自身の
格好のことが気になっていたのでした。
由紀から平尾への会話よりも、由紀に対する平尾の視線が
気になっていたのです。

当然、平尾も由紀の背中を見るに違いない、
背中に透けていたキャミソールやパンプスに
どう反応するのか。
平尾は変に勘違いをするかもしれない・・・。

冷静に考えれば、あくまでも(フェチ色の強い)私のツボ
であって、平尾にとっては、全く関係のない興味のない
由紀の外見かもしれないのですよね・・・
それでも半日とはいえ、今日のこの姿の由紀と
デートをする平尾に私は、半ば嫉妬にも似た気持ちで、
胸の高鳴りを抑えきれませんでした。

「今日は曇ってるし、肌寒いやろな」
「ずっとそのカーディガン着とった方が ええで」
「寒そうにしてたら、あいつ 気ぃ遣うかもしれんしな」

そう言いながら、私は由紀にカーディガンを羽織って
おいてほしいと思っていました。

(平尾に背中を見せたくない、いや 見せてはいけない)

そんな思いを込めていたのでした。

ルームミラーに映った彼女の耳元では、
小さなパールのイヤリングが微かに揺れていました。

その瞬間、ふと、思いがけない想像が脳裏をよぎりました。

(もし、平尾に誘惑されてしまったら、由紀は?)

という 自分でも驚くような想像でした。

もちろん ただの妄想です。
しかし私の胸の中に言葉にしがたいざわめきを生み、
そしてそれが昂ぶりにも似た感覚を引き起こしていた
のでした。
そして そのざわめきは、私をますます昂らせて
いきました。

キャミソールを着て、ストッキングとパンプスを
履いている由紀・・・
車の中で私のすぐ後ろ、手を伸ばせば届くところに
彼女がいるにもかかわらず、その姿が拝めないことも、
平尾に対するジェラシーと被虐的な感情に
興奮していたことを覚えています。

指定時間の13時30分より少し前・・・
私の車は待ち合わせ場所である牧里駅のロータリーに
入る手前の信号で停車しました。
視線の先には、すでに白いアウディクーペが路肩に寄せて
ハザードランプを点滅させ停まっていたのです。

「あいつ、もう来てるで!」

私がわざと大袈裟に声を上げると、

「・・・うん」

由紀は少し硬い声で応じました。

私は少しでも空気を和らげるつもりで続けました。

「あいつ、昨日から待ってたんとちゃうか?(笑)」

けれど、由紀は笑わず 小さく頷いただけでした。

私はそのまま、アウディの後ろに車を着けました。

「あ、トオサン 洗濯物と炊飯器、お願いね・・・」

「おぅ 気ぃつけてな・・・」

「うん・・・ じゃぁ」と由紀。

そう言って、スライドドアを開け 車を降りたのと同時に、
平尾もアウディから降りてきました。
カジュアルな格好の彼は、その場に立ったまま、
サングラスを外し、私に向けて ぺこりと頭を下げながら
笑顔で手を挙げてきました。

私も精一杯の作り笑顔で、ハンドルに乗せた右手のひら
だけを上げて応えました。

ネイビーのカーディガンを羽織った由紀も、
アウディの助手席側に立ち、照れたようなハニカミ笑顔で
私に軽く手を振り、そのまま助手席に乗り込みました。

その時の彼女の姿は、何気ない日常の延長に見えましたが、
私の中には前回とは違った言葉にできない複雑な感情が
渦を巻いていました。
不安、期待、嫉妬、独占欲・・・
どれも当てはまるようで、どれでもないような感情でした。

「乗っちゃったか」

ひとりぼっちになった私は、ため息まじりに呟き、
そのままブレーキを解除した その瞬間でした・・・

(しまった!※)

※大したことではありませんが 私にはストレスでした;;


[91] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/09/03 (水) 05:02 ID:5qAd3SJM No.203439
前回と異なり、キャミソールを着て、ストッキングとパンプスを
履いた由紀さんは、完全にデートの装いですね。
この変化に平尾さんも当然気付き、由紀さんの気持ちの変化を
肌で感じるのでしょうね。
そんな平尾さんも由紀さんに本当のデートのようにもてなし
二人の距離が更に縮まっていくのでしょうか?

続きを楽しみにしています。


[92] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/09/03 (水) 18:37 ID:b.b2ILJ2 No.203462
毎回何度も読み返しています。
時には最初の方の投稿も読み返すこともあります。
由紀さんと平尾さんと2回目のデートになりましたね。
由紀さんの装いも少しづつ「女」をアピールしているのだと思います。
羽織っているカーディガンを脱ぎ、背中にレース模様のキャミソールを見たら私だたらそそられますね。


[93] Re: 覆水盆に返らずB  けんけん :2025/09/04 (木) 05:20 ID:abF152Kg No.203470
矢部さま、更新ありがとうございます。
昨日@からBまで一気に読ませていただきました!奥様の服装や、足元の変化をうまく表現されてて、このジワリジワリ感が堪りません。
非常に楽しみな読み応えのある作品に久しぶりに出会えました。ありがとうございます。これからも引き続きよろしくお願いします。

[94] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/09/05 (金) 17:59 ID:KvLqjkEU No.203520
平尾さんと男女の一線を越えてしまうことなど、
由紀さんにとってはあってはいけないことなのだと思います。

とはいえ、二回目のデートともなれば、
いくら由紀さんが否定してみたところで、
成り行きか何かでそうなってしまうことだってありえます。
自分の意思とは別だとしても、現実にあり得ることとして
由紀さんがそんなハプニングまでをも想定していたかどうか。
とても気になります。

矢部さんと目を合わせようとしなかった由紀さんには、
もしかしたら、そうしたことの後ろめたさがあったのかも。

透け防止の中のブラとショーツまで見ることができれば、
デートに向かう由紀さんの心持を知ることができたかも知れませんね。

続き、お待ちしております。


[95] Re: 覆水盆に返らずB  西門 :2025/09/08 (月) 16:29 ID:CfzRSc7c No.203621
由紀さんの微かな変化に由紀さんが平尾さんの男を意識しているのではないかと
気付いて戸惑うことになってしまった矢部さんの心情の細やかさに感心させられています。

また、「(しまった!※)」の矢部さんのストレスは帰宅予定を聞いていないことだった
のだろうと勝手に推理しつつ、矢部さんの読者を引き込む巧みな書き手の技巧に引き込まれ、
帰宅時の由紀さんの風情の書き込みを待ち侘びています。


[96] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/09/10 (水) 00:29 ID:dlh6H.Uk No.203665
小太郎様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>二人の距離が更に縮まっていくのでしょうか?
・そうですねー、劇的な接近はないにしても、少しずつでしょうかね。

進一様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>私だったらそそられますね
・私もそそられます、しかし由紀自身がそれを意識して着ていたのかどうかですね
 この時点ではまだ?

けんけん様 コメントをくださりありがとうございます。
>@からBまで一気に読ませていただきました!
・ありがとうございます。遅筆で進行も遅くて申し訳ないのですが、
 今後もよろしくお願い致します。

倍胡坐様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>由紀さんにとってはあってはいけないこと
・そうですね、さすがにまだデートも2回目ですし、
 いちおう旦那(私)の親友ですからね・・・

西門様 コメントをくださりありがとうございます。
>勝手に推理しつつ
・このお言葉、とても嬉しかったです。楽しんで読んでくださっているのが伝わりました、
 投稿冥利に尽きます! どうか今後もよろしくお願い致します。


*****

(しまった!)

私はその瞬間、自分の見通しの甘さを悔いました。

この時、由紀が乗った停車中の平尾のアウディの
すぐ後ろに、私の軽自動車が停車していたのですが、
この状態というのは、前回失敗した尾行をしようにも、
近すぎて実施困難であることに気がついたのでした。

(あかん、これやと付けられへん・・・)

ならば先にアウディに発車してもらい、
十分な車間を取ってから追いかけよう。
すぐに小賢しい考えが脳裏をよぎりました。

ところが、前方のアウディはまるで私の動きを
見透かしているかのように、
ハザードランプを点滅させたまま 全く微動だに
しなかったのです。

(はよ行けや・・・なんでオレが先に動かなあかんのや)

時間にすれば、ほんの1・2分だったかもしれません。
それでも時間を無駄にしている焦りと、
私の考えなんてお見通しとばかりに、
微動だにしないアウディが醸し出す雰囲気に
「根負け」した私は観念してアクセルを踏み、
アウディを追い越すようにしてロータリーを出ました。

案の定、私の車の後ろにアウディがぴたりと付き、
私はまるで気持ちまで煽られているかのような
妙な圧迫感を覚えた記憶があります。
その間に募った焦りと後悔、そして屈辱は思いのほか
大きなものでした。

そしてルームミラー越しに見える二人は
会話を弾ませ笑みを交わしていました。

(オレのことを話題にして笑ってるんじゃないか?)

そう考えてしまう自分が情けないとわかっていながらも、
被害的妄想は止まりませんでした。
悔しさと胸を締めつけるような怒りが、
私を支配していきました。

そして数百メートル先の国道に接続するT字路で
私は左折、当然のように?アウディは右折して、
私たちの車は完全に離れました。
その別れ際、「ププッ」と軽く鳴らされたホーン2回。
何の気なしの挨拶なのかもしれませんが、
私はどこか屈辱めいたものを感じたのでした。

自宅に戻った私は、玄関を閉めた途端、
深い静寂に包まれました。

音のない部屋・・・
わかってはいたものの、前回同様に時計の針だけが
淡々と時を刻んでいるのが、やけに耳につきました。

胸に渦巻いていたのは、前回のデートの時のような
焦燥や苛立ち、抗えない嫉妬に近い感情だけでは
ありませんでした。
それ以上に、自分だけが取り残されたような
疎外感から来る怒り、そして敗北感や無力感が、
私の胸の内で膨れ上がっていたのでした。

たしかに、年齢的にも感情の起伏は激しく
怒りっぽくなっていたんですよね・・・
それは自覚していたつもりだったのですが。

この時点で、由紀が帰宅するまで、
まだ4時間近くもありました。

とにかく自分をなだめようと、ソファに沈み込み、
深呼吸を繰り返しながら、私は由紀の姿を思い出して
いました。

白い長袖Tシャツにうっすらと透けたキャミソールの
レースの刺繍、パンプスから響いた「コツコツ」という
小気味よい靴音、ベージュの薄いストッキングに
包まれた艶めかしい足先・・・。

ふと私は、気を紛らわせようとしたわけではないの
ですが、まるで引き寄せられるように、知らず知らずの
うちに彼女の部屋へと足を運んでいました。
素直に 由紀の残り香に触れたかった、そして自分の心を
落ち着かせたかったのかもしれません。

由紀の部屋・・・
すぐに目に留まった 隅にあったダストボックスから
はみ出し覗いていた包装紙の切れ端。
それはパンティストッキングのパッケージだというのは
すぐにわかりました。
前回、彼女の部屋で見た未開封のそれだったのでした。

(今日のために買ってたのか?)
(なぜ、前回ではなく今日?)
(どんな思いで?履いたのか)
(キャミソールにした理由は?)

包装紙の残骸を見ながらいろいろな思い・・・
それは、自分で自分を ネガティブな方向に
追い込むかのような問いかけをしていたのでした。

そんなことを考えながら、
由紀の纏う光沢のあるキャミソールや
薄いベールのようなストッキングに手を這わせたい、
そんな衝動が沸き上がってきたのでした。

でも、事実 今、彼女は平尾のもとにいる・・・
もしかしたら平尾は今頃?

「くそっ!」

妄想に妄想を繰り返すうちに、フツフツとした怒りと
何もできない自分の無力感への腹立たしさは、
逆に私の下半身に勢いを与えてくれたのでした。

チノパンの上から然るべき部分に右手を添えた私は、
迷いもなく由紀のタンスを開け、畳まれた薄いピンクの
スリップの表面だけを慎重に、左の手の平や手の甲を
そっと当てて、撫で擦り滑らかな感触を味わいながら、
瞑った瞼の裏には実際に目にした由紀の背中の4本線、
そして花模様のレースの刺繍、そしてそこからの
由紀のキャミソール姿を思い浮かべていました。

更に、(平尾はもしかして?)と思い込むことで
私は胸のざわめきをさらに強くさせて、
自分を追い込みながら昂っていたのです。

もちろんその昂りは下半身(ペニスを擦る右手)に
集中してしまいました。

由紀の後ろ姿の記憶をなぞるように・・・

当然の流れのごとく、私の右手は静かに動き出しました。
その後は、このまま自らの欲望に任せ手をあてたまま
男なら誰しも味わえる至福の世界へと向かって・・・

ただ・・・

手の中に感じるべき熱は、思ったほどには
湧き上がらなかったのです。
大事な部分から、なかなか手ごたえが感じられないまま、
次第に焦りの気持ちのほうが強くなってきたのでした。

(こんな時に使えないのか)

思えば思うほど逆に萎えてしまう、手にしかけたものが、
少しずつ遠ざかっていく感覚。

(おいおい 待ってくれ・・・ まだやのに・・・)

やるせない思いから いつしか私は気持ちが覚醒して
しまい、情けなさと悔しさ、やるせなさを抱えたまま、
ため息と共に由紀の部屋を後にしたのでした。

それでも一縷の望みは、由紀が帰宅後にしてくれるで
あろうデートの報告でした。
前回の成功体験のようになることを期待しながら、
ひたすら彼女の帰宅を待つことに決めたのでした。

それにしても今日の由紀の装いを見る限り、
彼女の思いは、いったいどこに向かっているのだろう。

冷静になった私でしたが、

(由紀にとっては、今日のデートのためにたまたま
 選んだ格好であって、前回の装いとの比較は、
 単にオレの思考の先走りに過ぎないのか?)
(彼女は今日の服装で平尾にどんな風に
 エスコートされているのだろうか?)
(そして、由紀はどんな表情で平尾に接している?)

待て待て、焦るな焦るな・・・

そう心の中で唱えても、胸のざわめきだけは
ますます強くなるばかりで、
気づけば、私は車のキーを握りしめていたのでした。

ふと思い立ったのです。

「ホームセンターに行ってみよう」と。

(そんな情けないことはやめとけ)
(そもそも二人がそこに来るとは限らない)
(もしも二人の姿が発見出来たら出来たで
 辛い思いをする)
(それに二人に鉢合わせでもしたら、
 本当にみっともない)
(逆に、彼らが いなかったらいなかったでモヤモヤする)

とりあえず、これからの起こり得るであろう事について
いろいろな思いを巡らせることができるくらいに、
私はまだ一応冷静だったのかもしれません。

それでも、やっぱり二人を「見てみたい」・・・
そんな衝動が、また心を支配していったのです。

(店の中をちょっと覗くだけ・・・ それだけや)

結局、私は欲望には勝てなかったのでした。

私の軽自動車は海岸通りまでは快走していました。
最初こそ順調でしたが、日曜日午後ということもあり、
やがて道は混み合い、ついには渋滞に巻き込まれて
しまいました。

目的地に向かう気持ちがある以上は、
早く着きたい、早く行って、二人の姿を見てみたい・・・
逸る気持ちが、渋滞という現実に焦りを生み、
狭い車内に一人でイライラするしかなく、
時間は刻一刻と過ぎていくのに、車は進まず、
焦りと苛立ち、そして怒りが募っていったのでした。

まるで、自分の未練や執着が
この渋滞を生み出しているような気さえしていました。

ふと上空を見上げると、
厚い雲が空を覆い始めていました。

「あ、洗濯物、干したままや・・・」

ポツリと呟いたその独り言が、私を直ちに現実へと
引き戻しました。

これ以上モタモタしていても 何も得るものはない。
いや、そんなことは最初からわかっていたはず、
でした。

私はUターンし、家へと戻ることにしたのでした。

帰宅後、洗濯物を取り込んだ直後、雨が激しく
降り始めたのです。
(定番のデカパンも もちろん取り込みました;;)

窓の外を眺めながら、私はため息をひとつつき、
ソファに腰を下ろしました。

今頃、二人は何をしているのだろうか・・・

そんな思いを馳せながら、時計はまだ16時過ぎ。

リビングで一人私は、ただぼんやりとテレビの画面を
眺めたり、ソファでため息をついて背伸びをしたり、
フロアに寝転がったり、窓の外を見たり、
スマホで動画を観たり、経たない時間に苛立ちながら、
なんとか時間を過ごしました。

前回のデートでは由紀は予定の18:30よりも
早く帰宅しました、

今回も? と、
いつのまにか そんな期待もしていました。

18:00を過ぎると、そろそろかな?
1分1秒、私は由紀の帰宅を待ち焦がれていたのでした。

「18:15やのに・・・ まだか? 何してるんや」
「どないしたんや? もう18:23やで・・・」
18:30が、そもそもの時間なのに勝手ですよね。

頭の中で自然にカウントダウンが始まってすぐに、

「ピンポーーン」そして鍵を開ける音。

「ただいま〜」 由紀が帰宅しました。

「おぉ、もうこんな時間やったんやな、おつかれさん」

私は最大限のオトボケで彼女を家の中に迎えたのでした。


*****
戯言:

ここまで2回、平尾とのデート「ごっこ」を終えた
由紀でしたが、当時の私も、男の性(サガ)というか、
由紀の外見、特に洋服や下着の変化には、当初から
かなりの期待と注目をしていました。
結論から言えば、
「妻と勃起した男たち」サイトの投稿小説の流れや
傾向から、期待されているミニスカート姿とか
セクシーなランジェリーとか、ましてノーパンノーブラ
など、男目線に対して性的煽情的にそそるような格好を
彼女がしたことは、「残念ながら最後までなかった」
ことをお伝えしておきます。
(私の場合、そこまで甘くなかったのです;;(涙))
ご愛読いただく皆様の期待を外してしまい申し訳ない
のですが、むしろ彼女的には、回が進むにつれ、
平尾のことを、「男」としての意識することについて、
できるだけ隠したい、気持ちを悟られたくない、
たとえ私に気付かれていたとしてもシラを切り通したい、
そんな思いがあったのかな? と推察しています。
私の本音を言えば、彼女なりの煽情的な格好をして、
他の男に会って欲しかったという願望はあったのですが、
彼女が無頓着なのか、平凡すぎるのか、単に地味なのか、
それとも むしろこれが一般的現実的なのか、
外見という点では、彼女の変化はほとんど
感じることもなく、むしろ言動や行動から、
もしかしたら? と思えるようなシーンがあったかな、
というのが今後のプチ予告です。


[97] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/09/10 (水) 07:37 ID:ZhJeKAoA No.203672
キャミソール、ストッキングとパンプスの装いに由紀さんが変えた
理由、気になりますよね。デート後の由紀さんからの報告で
その理由を聞くことが出来たのでしょうか?

矢部さんがホームセンターに行こうとした気持ち、とてもよく
分かります。平尾さんとの二人きりの時の由紀さんの姿、表情
仕草を見てみたいと思いますよね。
3回目以降のデートで、矢部さんはこっそりデート中の二人を
見に行くのでしょうか?
由紀さんからのデートの報告、気になります。
続きを楽しみにしています。


[98] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/09/12 (金) 05:12 ID:ANWeJVpk No.203733
投稿ありがとうございます。
今回も奥様のデートを待ってる間の被虐的な心理描写が素晴らしかったです。
他の投稿で見られるような、デートの度にミニスカートに変わっただとか下着がセクシーなものに
変わっただとかは、ありふれすぎていて現実的ではないのかもしれませんね。
矢部さんにしかわからない奥様のちょっとした変化こそが読み手の興奮材料です。
今後少しずつ変わるあろう奥様の様子が楽しみです。


[99] Re: 覆水盆に返らずB  おろしぶっかけ肉うどん :2025/09/13 (土) 16:10 ID:V.VyvE.w No.203784
ざるそばさん、言うとうりです、ほかの投稿よりも
この話しは現実的ですから自分に置換えやすい。
自分の妻がゆき様と同じ様な気がするんです。
主人公の気持ちがとてもよく分かる話しですね。


[100] Re: 覆水盆に返らずB  だいご :2025/09/14 (日) 14:11 ID:l4/NHdfg No.203823
@での3月以来のレスです。
しばらく拝見するのをサボってましたら追いつくのが大変でした。
このように詳細な経過、心情を書いていただいているとはちょっと驚きです。
新聞の連載小説と思ってこれからも楽しみに読ませていただきます。

由紀さんは
かつて高校卒業したばかりの年下の車好きのやんちゃな彼氏と同棲までしていた。
スナックでのバイト歴もある。
性の相性も良かったからかまだ経済力も無いような彼と結婚まで考えておられた。
このようなことは密かに由紀さんの奥深くに眠っていた本性(言葉は悪いですが)なのかもと思いました。ごく普通の家庭に生活をしてこれが幸せというものなのだと自分に言い聞かせていろいろなものを閉じ込めて暮らしてこられたのではないでしょうか。
アウディに乗る魅力ある大人の男性に定期的に逢えば徐々に惹かれていくのは自然なことかもしれませんね。

離婚後、無二の親友である平尾さんとは結婚はせずに一人でひっそりと(平尾氏の援助は受けながら)暮らしておられるのかなと想像しています。
すみません、勝手な妄想でした。
これからも末永く投稿を続けていただきますよう楽しみにお待ちしております。



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