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満員御礼 m(__)m 超スゴイです!超感激です!超サプライズです!
爆発的大人気でこのスレッドは、なんとレス数が200を突破して満杯となってしまいました。
申し訳ありませんが新しいレスは書き込めませんので、続きは新しいスレッドでお願い致します。

覆水盆に返らずB

[1] スレッドオーナー: 矢部 :2025/07/10 (木) 00:07 ID:dlh6H.Uk No.201946
パートBからの投稿になりますが、
前作の「覆水盆に返らず」「覆水盆に返らずA」は
こちらのサイトの「他の男とセックスしている妻」に投稿済です。

スローな展開で、物足りなさすぎる内容ですが、
読者の皆様、よろしくお願い致します。

*****

「あのへんやな・・・」

ふと漏れた私の声に反応したのか、由紀も口を開きました。

「あっ トウサン、洗濯物と炊飯器のスイッチ お願いね」

彼女の声は、高ぶっていたとか、震えていたとかではなく、
いつもの日常の中のお願い事を、淡々と口にしているような
普通のトーンでした。

数分後には、彼女も面識のあるとはいえ、私の親友とはいえ、
いちおう「男」と会う、いちおう「デート」に臨むような
雰囲気は、彼女からは微塵も感じられなかったのです、。

(後席に座っていたから、余計にそう思えたのかもしれませんが)

むしろ私のほうから、彼女がこれから平尾とデートすることを、
あらためて知らせるようなことを言ったのでした。

「じゃぁ、あいつの気晴らし・・・気分転換 させてやってな」

あくまでも平尾のためを強調する「ずるい」私に戻っていました。
平尾のことを持ち出すことで、自分の感情を隠そうとしたのです。
というか、そうでも言わないと、他に言葉が浮かばなかったのです。

「ん〜 まぁ、難しいかも・・・ わかんないよ」と由紀。

その声も、どこか“あっけらかん”としていたのを覚えています。

車はロータリーに入り、駅前(裏口)に着きました。

「じゃ〜 行ってくる」

これから電車に乗って 街まで買い物に行く、そんな軽い感じで
私に言うと 「ふぅっ」と軽く一息吐いて 由紀は車を降りました。

後席のスライドドアが閉まる間際・・・

私は言葉にできない絶望感と無力感に襲われ、
そして血圧までも上がっていたと思います。

取り返しのつかないことをしてしまった感覚。
しかし一方では ここにきて とても気持ちが昂っていたのです。

私はその場で、彼女をずっと目で追うまでもなく、
そのまま車を走らせてロータリーを回り、メインの通りから、
一本筋に入ったところにあるコインパーキングに車を停めました。

そしてすぐに下車して、小走りにもう一度メイン通りまで出て、
そこから数十メートル先にある、先ほどの駅裏ロータリーを、
街路樹や立て看板、広告旗の陰から、じっと見つめていました。

なぜ私は 牧里駅の「裏口」を待ち合わせ場所に選んだのか?
二人が会うシーン、大袈裟ですが「寝取られ」「妻の貸し出し」、
背徳的な現場を“この目で見てみたい”と素直に思ったからです。
こんな歪んだ願望は こちらのサイトによる影響も大きかったのです。

その願望を叶えるために、事前に地図情報を調べてから、
この場所を選んでいたのでした。

・駅裏口には、駅に近い場所にコインパーキングが数か所あって、
 休日でも比較的空いている
・ロータリーからメイン通り沿いにはコンビニやドラッグストア、
 不動産屋や飲食系のお店等があり、それなりに人の往来もある。
・車道に沿った歩道に街路樹があり“隠れ蓑”になってくれる。

つまり、私の浅はかな計算によるものだったのです。

ただその日、実際にこの状況になってくると、欲望や願望などは、
焦る気持ちに打ち消され、どうでもよくなっていたのですが・・・。

少し離れていても、由紀の姿はすぐにわかりました。
落ち着いたクリーム色のシャツに、ダークブラウンの綿パンツ。
姿勢良く立ち、視線も逸らすことなく前を見据えていました。
これから自分を迎えに来る“男”を待っていたのです。

当然ですが、そんな彼女の視線の先に、私は いませんでした。
もしかしたら、たとえ目と鼻の先にいても、彼女の意識の中に
私はもう存在していないのでは? 
被虐的な感覚に焦りながらも、ドキドキしながらその瞬間を
心待ちにしているという複雑な気持ちでした。

そして時間ぴったりの 13:30・・・

白いアウディクーペがロータリーに滑り込むように現れました。
間違いなく平尾でした。

由紀は、目の前に停車した高級車に向けて軽く頭を下げると、
迷いもなく助手席のドアを開けて乗り込みました。

その時、遠目に見ていた私には、彼女の口元が、
わずかに緩んだように見えたのです。
嬉しそうな笑顔だったのか、単なる挨拶の笑顔だったのか、
もちろん離れたところから、はっきりとは分かりませんでした。
ただ 彼女が“拒んでいない”事実だけは鮮明に目に映りました。

しかし、よくよく振り返って考えてみると、
このデートが実現するに至る ここまでの経緯からすれば、
由紀が拒んだり不機嫌になることは ないのですけどね・・・

それでも言いようのない焦りと嫉妬、理性では「冷静に」と
思っても、つい数分前まで一緒にいた愛妻が、急に遠い世界に
行ってしまった、自分だけが置き去りにされた、
そんな感覚になってしまったのです。

由紀を乗せたアウディはロータリー出口の信号で止まりました。

(追いかけよう)

気づけば、私は走っていました。
パーキングに飛び込み、ドアを開けシートに滑り込みました。

(こんなこと してはいけない・・・)

頭では分かっていたのですが、
どうしても、あのまま“彼女が連れ去られてしまう”気がして
ならなかったのでした。

焦りから精算機前で財布から小銭がなかなか取り出せず、
私は紙幣を押し込み、おつりの硬貨数枚を取り損なって、
地面に散らばらせてしまいました。

そのすべてが、もどかしい時間の無駄に思えたのです。

とにかく私は急いで車に乗り込みました。

もう、見えなくなっているかもしれない。
いや、もしかしたら まだ追いつけるかもしれない。

思いが交錯する中、メイン通りに出ることはできましたが、
視線の先には、すでにアウディの姿はありませんでした。

わずか数分、いや数十秒の差だったのか・・・
それだけの違いなのに、私は二人に“置いていかれた”という
思いに囚われました。

車内に静寂が満ち、茫然とした私はアクセルを踏むこともできず、
ただハンドルに手を添えたまま、その場でしばらく深呼吸を
繰り返していたのを覚えています。

自宅への帰り道の記憶は、ほとんど残っていません。

いつも通る住宅街の道や交差点も、風景としては映っていたはず、
でも、どのように帰ったのかわからないまま、
とりあえず自宅に辿り着き、玄関の扉を開けたとき、
そこには、「音のない空気」が、ひっそりと漂っていました。


[191] Re: 覆水盆に返らずB  西門 :2025/12/08 (月) 12:10 ID:9h/kXQlo No.205819
気に入らない男に対する女性の対応の素っ気なさに思いを巡らすと
矢部さんが丁寧に記述されているこれまでの何気ないように思える展開の
一つ一つから由紀さんが平尾さんに女性として好意を抱いていることが
明白に伝わってくる。
このことが後の御二人の離婚が必然であったことに今既にして納得できている。
常識ある高齢の男女が世間的に許されるはずのない関係にしかも
SMと言う変態と言われる行為で結ばれて堕ちていくことになると
張られた伏線からエロスに支配され弄ばれる3人の男女の自分史に
大いに興味を持たされている。
矢部さんの書きたいように書いて頂くことが3人の間に起こったエロスの出来事が
正しく伝わると期待していつも次の書き込みを今か今かと待っています。よろしく。

なお、エロスは愛や性的欲望とか生命の本能を意味するものらしいです。
他に適切な言葉を知らなかったのでそのまま使っています。


[192] Re: 覆水盆に返らずB  たかし :2025/12/08 (月) 17:08 ID:88hRyDI. No.205823
長文の連投ありがとうございます
楽しみにしている読者は嬉しくてたまりません

最初に矢部さんが書かれている通りなら約1年で矢部さん御夫婦は破綻されてしまうのです
それを楽しみ、と言ってしまうのも申し訳ないことですが
ここまでお話しいただいのですから是非ゆっくりで良いので続けてください

残暑が厳しい8月下旬から話は始まっています
お話の現在は紅葉の秋です
読者の皆さん、楽しみに(すみません)読ませていただきましょう


[193] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/12/10 (水) 23:31 ID:dlh6H.Uk No.205853
ケンケン様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>今週凄いですね。
>私は、楽しみに待ち侘びております。
・体調が良いときにはPCに向かえるので。なんとか更新しています。今後もご愛読をよろしくお願い致します。

やました様 コメントをくださりありがとうございます。
>展開が楽しみです。
・期待に沿えるのかどうか、心配ですが。今後もご愛読をよろしくお願い致します。

小太郎様 いつも鋭いコメントをくださりありがとうございます。
>由紀さんと平尾さんとの関係は側から見ると夫婦に見えたのですね。
・そうですね、ただ、いい歳をした男女がハイキングとなると、健全な背景バックもありますし、ほぼ「夫婦」に見えるのかな、と。

ひろし様 コメントをくださりありがとうございます。
>最高です!
・投稿者冥利に尽きる一言です。今後もご愛読をよろしくお願い致します。

ゆうや様 コメントをくださりありがとうございます。
>期待を持って読んでます
・ダラダラしたスロー展開ですが、今後もご愛読をよろしくお願い致します。

考察パート2様 コメントをくださりありがとうございます。
>無駄が多すぎる。説明も多すぎるから内容がわからない。登場人物の考えが伝わって来ない。
妻と平尾がドンカン。主人公が平尾に頼めば済む話し、妻が大人しすぎる。
コメント読んでもみんなイライラしてる。ふつうなら三回目はホテル行く
・ご指摘の通り、全ては小生の文才のなさです。今後もダラダラしたスロー展開になると思いますが、ご愛読をよろしくお願い致します。

ただの読者様 コメントをくださりありがとうございます。
>なかなか興味深い話
・こちらも投稿者冥利に尽きる一言です。興味深いという深層深淵真相を探ってくだされば幸いでございます。今後もご愛読をよろしくお願い致します。

ボルボ男爵様 コメントをくださりありがとうございます。
>その場に自分もいるかのように吸い込まれてゆくなかなか興味深い話
・こちらも投稿者冥利に尽きる一言です。吸い込まれていただき、状況を共有いただければ幸いでございます。

倍胡坐様 いつも鋭いコメントをくださりありがとうございます。
>不必要な創作はむしろ余計なこと
・勇気をいただけるコメントに感謝しかありません。
>身バレ防止や諸般の事情を考慮
・(実はハイ;汗)ご理解いただけるコメント、本当に助かります。

西門様 いつも鋭いコメントをくださりありがとうございます。
>いつも次の書き込みを今か今かと待っています
・まるで行間を読まれているかのようなコメントに背筋が伸びてしまいます。期待に沿えるような展開になるかどうか不安ですが、これからもご愛読をよろしくお願い致します。

たかし様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>残暑が厳しい8月下旬から話は始まっています、現在は紅葉の秋です
・スローペースで申し訳ありません。文才のなさだと反省しております。他のご投稿者さんに書き方を教わりたいです。(本気で思っております)

皆様、ご愛読といつも温かいコメント、有難うございました! 
スローな展開、物足りなさすぎる内容で申し訳ありませんでした。


*****

「どう話せばいいのかな・・・」 

しばらく言葉を探すように 由紀はベージュピンクの爪に
視線を泳がせて、小さく息を吸ってから話し始めました。

展望台で景色を十分に満喫した後、その先 中腹の公園の
奥まったところにあるベンチに腰掛けたと。

「ひとやすみしようって そこに座って・・・」と由紀。

紅葉の絶景を前に、そのベンチでお茶を飲みながら、
紅峰山の話はもちろん、休日で丁度 見頃ということもあり
観光客が多いことや、天気が良いなどと、その場にある
話題で、他愛もない話をしていた、と言いました。

ところが、直前のエピソード(夫婦に間違われた話)の
あたりから、平尾は俯き しんみりとした表情に
変わってきた、ということでした。

「夫婦に間違われたことを、けっこう気にしてて・・・」

由紀によると 正確には、60代後半か70代くらい?の
一人の男性に、展望台で紅葉の山々の背景をバックに
「お願いします」と 写真撮影を頼まれた時のこと。

平尾がその男性を撮り終えると、

「お二人も撮りましょう」「ご夫婦ですか? どうぞ」と、

咄嗟に 由紀は「違いますよ〜」と笑って否定をしたのですが、
その声は通らず、それどころか話の流れから、

「羨ましいですね」「僕は妻を亡くしているんです」と
その男性が一方的に話を続けてきたと。

その時、由紀は返す言葉が見つからず、平尾も
「そうですか」と(適当に?)話を合わせていた、
ということでした。

「なん それ。 ま、オレも夫婦に間違えたけどな(笑)」

私も、強がりながら 適当に返しました。

「トウサン、もぉ! そうじゃなくて・・・」

由紀がゆっくりと言葉を選ぶように続けたのです。

「平尾さんって、若い頃 この山に直美さんと一緒に
 来たことがあったらしくて」
「それで、あの男の人の言葉で、直美さんのことを
 思い出したのかも・・・」
「しかも、座ってた所が、その時と同じベンチだった
 らしくて」

そこから会話は、自然に 直美さんの話題になったと、
由紀は丁寧に説明をしてくれました。

「でね、平尾さん・・・」

由紀は、少し声を落としました。

「すみません、って言って・・・ 肩が震えだして」

「え?」 意外な展開に思わず声が出ました。

由紀の声から ただならぬ雰囲気が感じられたのです。

「顔をそむけていたけど、涙がポタポタって・・・
 声も、抑えられなくて」

平尾は 懐かしさで感極まったのか、こみ上げる寂しさ
からなのか、堰を切ったように泣き出したそうです。

「わたし、止めようがなかったよ・・・」

それもすすり泣くのではなく、思い切り嗚咽しながら
ポタポタと涙を落していたらしく、由紀もどうしたら
よいのか 戸惑ったそうです。

由紀の話、少々 盛り過ぎのような気もしましたが、
私は聞きました。

「ホントに 目の前でポタポタと涙が落ちて・・・」

由紀は両手を胸の前で組み、言葉を探していました。

そして・・・

「わたし、びっくりしたけど、かわいそうに思って」

「ま、男が 声出して泣いたら びっくりするわなぁ」

「んー それでね、なんていうかな・・・」

艶のある爪に視線を落としながら 由紀は言い難そうに、
それでも さらに詳しくその時の事を話してくれました。


[194] Re: 覆水盆に返らずB  けんけん :2025/12/11 (木) 05:26 ID:0LNEQrVM No.205854
更新ありがとうございます。この時期は体調崩しやすいので、お気を付けてください。いつも楽しみにお待ちしております。私はこのジワリジワリ感が好みです。この話しぶりだと何か行動をおこしましたね。想定はつきますが。多分これ以上デートを重ねると取り返しのつかないことになりそうですね。この終わり方だと続きが早く知りたいですね。なる早でお願いさします!

[195] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/12/11 (木) 07:45 ID:PhOsquFA No.205856
亡き妻の直美さんを思い出し、男泣きしている平尾さんを
目の前にして由紀さんはかわいそうと同情し、平尾さんを慰める為
優しく抱きしめてあげたのではないでしょうか?
そしてその時、私が直美さんの代わりになってあげるという気持ち
になっていたのでは?
由紀さんが平尾さんに言ってほしくない事とは、その気持ちでは
ないでしょうか?

由紀さんの心が動き出しましたね。平尾さんに対する同情が
亡き妻の代わりになってあげるという気持ちになり、それが
愛情へと変わっていくのでしょうか?

続きを楽しみにしています。


[196] Re: 覆水盆に返らずB  :2025/12/11 (木) 09:35 ID:jF8uC2y6 No.205858
ご自身のペースで。楽しみにしております。

[197] Re: 覆水盆に返らずB  たかし :2025/12/11 (木) 12:20 ID:H0KCOo1w No.205861
更新ありがとうございます
いつもより短めでしたけどこれくらいの量でも
週2回更新していただけると楽しみが増えます
くれぐれも無理をされませんように

次の更新は新しくCになるでしょうか
すこしづつ動き出しそうですね


[198] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/12/11 (木) 12:28 ID:i1wa.Waw No.205862
更新ありがとうございます。
少しの更新でも嬉しいです。
本当に読者の多く人気のスレッドですね。
皆さんのコメントを読むのも新しい発見があって楽しいです。
体調に気を付けて次回の更新も頑張ってください。
応援しております!


[199] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/12/11 (木) 19:03 ID:RW.Dc08Q No.205869
このスレッドも、まもなく200となりますね。
矢部さんには、まずもってここまで続けてくださったこと、
心より感謝申し上げます。

よくよく考えてみると、由紀さんにとって、
状況はかなり重いものになってきていますね。

愛妻を亡くした夫の友人への憐憫からはじまった"ごっこ"。
愛妻との思い出の地を訪れた平尾さんの嗚咽を目の当たりにして
由紀さんの心情がどのように変化したのかが大いに気になります。

平尾さんの直美さんへの思いの深さにはとても敵わないと思ったのか、
それとも、少しでも平尾さんを癒してあげられたらという思いが、
これまでのような"ごっこ"とは別物になってしまったか。

由紀さんのような女性が同情から一歩踏み込んでしまったら、
平尾さんを放っておくことはできないはず。
心は矢部さんのまま適当にやってくれたらという矢部さんの思いも、
それだけでは済まなくなりそうですね。

状況は緊迫してきたと思いますが、はたして由紀さんは?
淡々と進んだ夫婦の会話のその次は?
固唾をのんで続きを待っています。


[200] Re: 覆水盆に返らずB  ひろし :2025/12/14 (日) 09:50 ID:2N3TjH.A No.205920
矢部さんお疲れ様、パートC首を長く待つて居ます。


このスレッドはレス数が200を超えましたので書き込めません。
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