掲示板に戻る /戻る /全部 /1- /51- /最新10 /▼ラスト

自由と束縛の狭間で

[1] スレッドオーナー: 小田 :2025/05/11 (日) 15:08 ID:6hNJOGzk No.200457

序文


以前、「絆のあとさき」で1年余りを時系列で投稿しましたが、本稿はその翌年の春からを
一つの出来事に絞って投稿するものです。

そうは言っても、過去があって現在があるように、その流れは引き続いています。
ですから、過去に登場した人物の再登場もあるかも分かりませんが、投稿時間にも制約が
あるものですから、余程のことがない限り、過去に言及する事は控えさせて頂きたいと
思っています。

本稿で完結させるにはかなり無理があると思いますから、過去の投稿も併せて読んで頂けたら、
多少なりとも経緯などが分かると思います。
「絆のあとさき」以前にも「戻れない季節」、「堕とされた愛人」も投稿しています。
主人公の女性は同一人物ですから、彼女の性遍歴の経緯が分かると思います。


[73] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/10 (日) 11:41 ID:kiqzlcSU No.202780



『絶滅危惧種みたいに言わないでよ。何度も逝って意識が朦朧としてるのに、次は僕だとかって
急かすでしょ?だから、体勢を立て直せないまま、二人の間に倒れ込んでしまうの。
それって楽しんでるんでしょ?』
『綾ちゃんが絶滅?それは大反対だよ、はははっ。楽しんでるのは綾ちゃんもだろ?
僕達に弄ばれるのが大好きと言ってたじゃないか?』
『言ったかな?ほんとに?』
『恍けるんだから・・・MMFは大好きなんだろ?』
『かな?うふっ』
『正直じゃないな。二穴同時挿入に絶叫悶絶、知らないとは言わせないよ』
『うふふっ、AVのタイトルみたい、スマートじゃないわ。double penetration、略してDP、
どう?スマートでしょ?』
『出たね?英語で誤魔化さないでよ。どうなの?』
『好きよ、シュンちゃんも主人も。MMFが出来るんだもの、最高のパートナーかな?うふっ』
『普通なら騎乗位で体を倒して後ろからアナルに挿入だろ?綾ちゃんはほんとにエロいよ、
先にアナルだろ?それも後ろから。向き合ってオマンコに挿入するのは体勢が難しいし、体力が
いるんだからね』
『オマンコをご所望するのは何処の誰なの?』
『僕だった?ほんとに?』
『オウム返しってオトコらしくないわよ。オトコは黙って・・・違った?』
『オマンコとアナルに一杯射精するだろ?絶叫する綾ちゃんとは真逆だね、はははっ』
『あのね、交互に挿入するのは止めてね?バイ菌が入ったら大変だもの』
『ナベさんも言ってたけど、アレは止められないって。僕達もそうだけど、綾ちゃんを最高に興奮
させられるんだから、綾ちゃんのためにもなるだろ?』
『そうだけど・・・その時は興奮してるからイヤじゃないのよ。でも、後でチョッピリ後悔するん
だもの。次からは・・・ダメかな?うふふっ』
『難しいだろ?後で綺麗に洗ってるから、今までも何もなかった、そうだろ?』
『そうね・・・心配してたら何も出来ないものね』
『ん?・・・ちょっといいかな?』
『どうしたの?』

少しのタイムラグの後に、

『綾ね、もう終らないと。明日も仕事だろ?』
『ほんとだ!・・・あなた、焼きもちなの?そうなら嬉しいかな?』
『そうかな?そうかも!はははっ・・・シュンに代わるから、いいね?』
『うん、大好きよ、うふっ』

間髪を入れずに、

『ナベさんからドクターストップ、仕事が大変だから早く寝かしてやりたいって。綾ちゃんは
愛されてるものね』
『主人に内緒よ、お返事しないでね?・・・あのね、シュンちゃんのこと大好きだから。
二人だけで・・・分かった?』
『あぁ、それなら・・・』
『連絡は今まで通り主人からね?いい?』
『分かったよ。長くなってごめんね?』
『楽しかったわ、シュンちゃんと話せて。じゃ、おやすみなさい』
『あぁ、おやすみ・・・ナベさんに代わるね?』

変な間合いがあります。

『ご苦労様!機嫌が直ったみたいだよ。綾には感謝だね』
『傍に居ないの?』
『TVを観ながらケーキを食べてるよ』
『ホント?良かったわ。私の役目はお終いね?』
『そうだね。じゃ、早く寝るように、いいね?』
『うん・・・あなたもね?』
『綾、愛してるよ』
『うふふっ、私も・・・じゃ、おやすみなさい』


[74] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/10 (日) 16:30 ID:kiqzlcSU No.202784



直ぐにでも彼女から話し掛けて来ると思ったのですが、少し待たされます。


『ごめんね?喉を潤していたの』
『水?』
『あなたはPCの前でコーヒーを飲みながら聴いていたんでしょ?』
『ん?・・・だから?』
『私も・・・同じ立ち位置でいたいんだもの、うふっ』
『コーヒー?・・・あれか、いずみの携帯渡り、垂れる愛液はコーヒーに置き換えだろ?』
『喉に垂れたかな?うふっ。あなたって意訳が上手なんだもの、やはり私の旦那様だわ』
『褒めてるのか?』
『私しかいないでしょ?』
『はははっ、そうだね。谷に落ちないで渡れたかな?』
『何とか切り抜けられたでしょ?』
『切り抜きが上手じゃないか?』
『その部分ってこと?』
『持ち上げて納得させるんだから、真似のできない芸当だよ、はははっ』
『笑わないでね?とても神経を使ったのよ』
『そうは聴こえなかったが、そうしとこうか?』
『はい、それでお願いします・・・シュンちゃんは?』
『評価?』
『うん、どうだった?』
『他の二人よりいずみが入れ込んでいる様に感じたね。どうなんだ?』
『そう見せてるだけではないかな?ちょこっとね。若いからそうなのかもしれないわ』
『同年齢かと思ったが、違うのか?』
『自称だからほんとの事は分からないわよ。でも、経験上からそうだろうとは思うのね。
えっとね、29歳だって。そのように感じなかった?』
『友達と聞けば、同じ様な年齢だと思うだろ?先入観の為せる業だね、はははっ』
『そうね、声だけでは判断は難しいかも。あのね、どうしたらいい?』

話しが飛ぶのはよくある事です。

『場面の変更かい?』
『あれ?飛んだ?・・・ほんとだ!ごめんね?』
『個人的に会うことだろ?』
『シュンちゃんから何か聞き出せるかもしれないでしょ?』
『ピロートークで?』
『どう思う?』
『偏重していないとは言えないね。白状しろよ』
『偏ってるって?』
『分かって聞くのか?はははっ』
『はい、白状します・・・あのね、ピロートークの前哨戦が本題かな?でも、しっかりお話しも
するわよ』
『前哨戦?本題じゃなく本番だろ?はははっ』
『分かり易い?うふっ』
『いずみホームズになれるのなら、それはそれでいいが、ミイラ取りにならない事だね』
『懐かしいわ。明日香ちゃんに使用料を請求されそうだわ、うふっ』
『まぁ、その時間が取れるとは思えないが、どうなんだ?』
『分かってお話ししたの。気を引く作戦かな?私の気持ちもそうだから。でも、ほんとに実行
できるかは分からないわ。希望的観測で終わりそうかな?』
『彼から言質が取れなくても、解明は出来そうなんだろ?』
『うん、出来ると思うの。あれ?それなら何でって思うでしょ?』
『自己完結だろ?』
『はい、欲望の発散、それしかありません。エロ過ぎる?』
『セフレとはそういうものだろ?理解してるから、大いに楽しめばいいよ。但し、入り過ぎ、
入らせ過ぎは、ご法度だからね』
『うん、大丈夫よ。さっきの会話でもそれは分かるでしょ?』
『上手く纏めていたから、心配はないと思いたいね』
『心配ありません。私の心の中にはあなたが居るんだもの。危険水域には決して近付かない、
近付いて来たら完全阻止、そういうスタンスで臨みます、うふっ』
『はははっ、力強い宣言だね?信じる重みを感じるよ』
『そうでしょ?軽く見せてその実、とても重いって知らしめるわね』
『まぁ、力が入り過ぎないように。いいね?』
『うふふっ、それじゃ、お仕事に、出張に戻るわね?』
『はははっ、じゃ、取りあえず、おやすみだね』
『うん、おやすみなさい・・・愛してるわ、うふっ』


10分も経たずに、メールが届きます。

[おやすみ・・・二度目ね?今夜はありがとう、あなたに助けられました。でも、言い訳は?
胸にしまって置くから、いつか聞かせてね?]

察するモノがあるのでしょう。
もしかしたら、分かっていたのかもしれません。


[75] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/10 (日) 22:14 ID:kiqzlcSU No.202785



その週の金曜日、虚偽の出張を理由に館野さんとの3Pを断ったその日の午後、私は彼女を
迎えに大阪空港に向かいます。
3時過ぎのフライトと連絡があったのは、水曜日の”おやすみメール”ですが、その直後に
掛かってきます。


『メールを見てくれたでしょ?』
『早くないか?』
『5時以降は空席なんてないでしょ?4時頃と思ったのよ。でもね、金曜日でしょ?3時が一番遅い
時間なの』
『納得だね。楽しみだろ?』
『あなたに会えるんだもの。楽しみの一言では表現できないわ』
『ん?・・・ナニか勘違いしていないかい?』
『だって、月一しか会えないのよ。今月は二回だもの、楽しみだけしか言えないなんて
ボキャブラリーの欠落でしょ?だから、とてもワクワクしてるの。これが今の私の気持ちかな?』
『はははっ、掃除、洗濯がそんなに好きだとは思わなかったね』
『あれ?それのこと?あなたね、誘導したでしょ?』
『目的を見誤ったら大怪我をする事もあるからね。心してかからないと、いいね?』
『うふふっ、ご忠告を心より感謝します。これでいい?』
『はははっ、じゃ、空港で・・・』
『あれ?お仕事は?あなたが定時で退社してからだと思っていたの。いいの?』
『愛する妻が帰って来るんだよ。何を置いても・・・はははっ、聞かれたくなかったね』
『嬉しいなぁ。愛してるのは私なんだからね、うふっ・・・ありがとう、お迎えをお願いします』
『はははっ、じゃ、空港で』
『うん・・・愛しているんだもの』



到着ロビーには、私以外にも数人が待っていますが、時間帯によるのかもしれませんが、推測して
いた程ではありません。
電光掲示板には到着したとの表示が出ているのですから、去年がそうだったように早く出て来ると
思っていたのですが、同じ飛行機だと思われる乗客が出て来ても彼女の姿はありません。
10分以上経った頃に、やっと姿を見せます。


「ごめんね、遅くなって」

ひろ子と帰って来る時は、ハンドバッグ以外手荷物らしいモノは何も持っていなかった昨年が、
嘘の様です。

「どうしたんだ?」
「えっ?・・・これのこと?」
「はははっ、掃除、洗濯用の用具かい?」
「用具?そんなのってあるの?初耳だわ、うふっ」
「無知ほど怖いものはないね。不安になるよ、はははっ」
「”無知は罪である”、ソクラテスの言葉でしょ?英知のあなたが語るんだもの、ジョークなん
でしょ?」
「無知の知と思ってくれないか?はははっ」
「謙虚なのね?英知を持つものは英雄なんでしょ?それが言いたいのね?うふっ」
「だから無知の知、それが僕のスタンスだよ」
「うふふっ、あなたって・・・私達の会話を聴いている人がいるとしたら、おかしな人って
敬遠されそうだわ」


キャリバッグを私が引いて、空港ビルディングの前の横断歩道を渡って、駐車場に向かいます。





注記

本文中の”無知の知”とは、知ったかぶりせずに、分からない事は分からないと認めるべき、
という考え方です。


[76] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 10:28 ID:6hNJOGzk No.202792



「ナニかな?」
「あなたに叱られないか心配だったんだけど、持って来てしまったの」
「エロい下着?」
「それもあるかな?うふっ。そんな訳ないでしょ?セクシー止まりよ。あなたには見せられないし、
見たくもないでしょ?」
「返事になってないだろ?」
「うん・・・お仕事、PCとか資料など・・・怒らないでね?」
「掃除、洗濯は後回しかい?」
「それは違うの。ほんとにほんとだから、信じて欲しいし、時間があればってことなの。
お掃除もお洗濯もあなたがOKする迄は頑張るつもりだから」
「つもり?どういうつもりだ?」
「ごめんなさい、私が間違っていました。ロッカーに預けるから、少し待ってくれない?」
「そこまでしなくてもいいだろ?使わなければいいんだから。頭を働かせろよ」
「だって、近くにあったら・・・それがいけないんだわ。持って来た私が悪いの。ねぇ、送り
返すから・・・」
「聞えなかったのか?」
「だって・・・本末転倒でしょ?」
「はははっ、それが分かればいいよ。その気持ちを忘れないように、いいね?」
「うん、ほんとにごめんなさい」
「時間が出来れば、その時間を好きに使っていい。但し、重要事項の順位を間違わないのなら」
「うふふっ、理路整然としているんだもの、いつも情けなくなるわ。私って説明下手なの?」
「僕以外には納得させられる説明は出来るだろ?それを思い出すんだね」
「あなたには臆するの、どうしても勝てないってインプットされているんだもの、うふっ。
あなたの存在がね、ある意味、私の言動を制御していると思うの。あなたあっての私だもの、
そうでしょ?」
「そう見せて、実はだろ?今回の件はその尤もたるものじゃないか?」
「制御からはみ出した結果が・・・まだ分からないけど、最悪ならいつまで経ってもあなたには
頭が上がらないわ。でもね、それが私の望みなの。あなたの影を踏まない様について行きたいん
だもの」
「上手く纏めたね、はははっ」



何年も乗っている車ですが、彼女が東京在住になってからは、もっぱら明日香ちゃんが使用して
います。
時間は4時30分を回っています。

「町に戻ったら、食事にしようか?」
「6時前には着くでしょ?早くない?」
「まぁ、そうだが・・・車を置きに行かないといけないからね」
「えっ?どこに?」
「いずみのマンションだよ」
「あなたのお家だとばかり・・・どうして?」
「聡明ないずみだろ?驚くようなアイデアの宝庫なんだから、聞く必要もないだろ?はははっ」
「あなたね、アイデアじゃないでしょ?実情の問題だもの・・・お家に停められない事情?」
「分からないかな?週末のルーティン、頭の中はお花畑だろ?この時間帯はウズウズが始まって
るんだろ?はははっ」
「うふふっ、ムズムズかな?・・・あなたね!そんな訳ないでしょ?お仕事中は・・・あるかも?」
「はははっ、正直なのは好感が持てるね」
「好感だけ?・・・あっ?!スワップの交換なの?うふっ」
「本来のいずみが戻って来たね。おかえり!」
「ただいま!あなた・・・愛してるの」
「はははっ、ベッドで聞かせてもらおうか?」
「それなら、他の人と変わらないでしょ?あの時の”アイシテル”は本当の私じゃないモノ。
お相手を興奮させる必殺ワザでしょ?うふっ・・・でも、無意識だからそれも私かも?
無意識の意識ね」
「いずみ自身に他ならないよ。意識の意識とハッキリ認識できる時が本物だね」
「それじゃ、今は本物の本物だわ、うふっ」

本来の波長が合ってきたようです。


[77] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 11:55 ID:6hNJOGzk No.202804



彼女のマンション(今は明日香ちゃんが使用)に車を停めて、電車で町の中心部に出かけます。

「ねぇ、どうしてなの?」
「キャリーバッグ?」
「私のマンションに置くのとばかり・・・そうでしょ?お掃除、お洗濯には全く関係ないんだもの」
「もう直ぐ答えが分かるよ」
「答え?お返事のこと?」


私達が乗った私鉄は、10分も掛からずに街の中心部に着きます。
改札を出て、東に向かうのですが、

「ねぇ、何処に行くの?」
「身軽になるためだよ。分かるだろ?」

キャリーバッグを右手に持った私の左腕に右手を巻き付けて並んで歩くのですが、隣のJRの
コンコースでは、行き交う人々に進行方向を邪魔されそうになります。

「多いわね?」
「懐かしいだろ?」
「えっ?ナニが?」
「コンコースだよ。忘れることはないだろうね」
「うん・・・そのお話しは・・・もうとっくに解決済みなのよ」
「それが始まりだったね。多くの出来事を乗り越えて来た今、また解決しないといけないんだから、
休まる暇もないよ」
「ごめんなさい・・・私一人では何もできないって痛感した思いなの。それももう少しで・・・」
「それまで待つ、その一言だろ?」
「うん・・・」


コンコースを抜け、バスターミナルを通過して、横断歩道を渡ります。
コンコースからは、数分の距離です。

「ここだよ」
「ホテル?・・・えっ?どうして?」
「はははっ、質問が多くないか?」
「だって、予測不能なんだもの」
「直ぐに立て直せるんだろ?予測できないかい?」
「・・・何も・・・お掃除とお洗濯と全くリンクしないもの。ほんとお手上げだわ、うふっ」
「ヒントだよ、ホテルとは?」
「宿泊施設でしょ?旅行、出張とかの・・・ホテルに泊まる理由なの?」
「核心に近付いたね。チェックインを済ませてから再開としようか?はははっ」
「ねぇ、サイカイを掛けてない?」

予約したのは、いつものようにツインベッドルームです。

「あなたとはいつも同じね。他の人とは・・・あれ?!スワップならツインね、うふっ」
「変わり身の早さ?はははっ。そこに逃げるとは、かなり低レベルな発想だろ?」
「一番下?最下位ってこと?・・・あれ?これもサイカイなら、再開とは全く別物だわ。
無理も無理、無理し過ぎじゃない?うふっ」
「それもこれもいずみのためだよ。そう理解してくれるとホテルを予約したことが報われるだろ?」
「サイカイを擁護してくれたことと・・・ホテルは・・・擁護がリンクするの?」
「徐々に分ってきたじゃないか?いずみのサイカイはまた会うの再会をイメージしたと思うけどね」
「うん・・・このホテルは判事の・・・今も東京だと思うけど、数年も前でしょ?」
「覚えていた?記憶の片隅に置いていたのは正解だね。いつかやってくるかもしれないお助けマン
の可能性を残しておくのは大事なことだよ。それで再会を思い付いたんだね?」
「それじゃないのね?でも、あなたも覚えていたんだもの、当事者じゃないのに凄いことだわ」
「助けてもらうことがないとは言えないだろ?いずみの性事情は底が見えないと理解すべき
だからね」
「大袈裟でしょ?擁護がキーなのね?」

核心が見えてきたようです。


[78] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 13:00 ID:6hNJOGzk No.202808



「擁護するのは?」
「されるかな?・・・あなたのお家に行かない理由でしょ?」
「そういう理由だよ。だからホテルにしたんだが、山側のホテルも海の傍のホテルも満室でね、
ビジネスホテルに近いかもしれないが、まぁ、駅に近いだろ?それでここにしたんだよ。
分かったかな?」
「涼子さんでしょ?分かっていたけど、私が間違ったことをしたんだもの。気にならないとは
言えないけど、気にする方がおかしいって自分にいい聞かせて・・・じゃ、お掃除とお洗濯は
お昼間なのね?夜はホテルってことでいいのね?」
「それが普通の理解だろ?」
「違うの?」
「僕達は夫婦だろ?」
「だって、あなたの心の中まで見えないんだもの。あなたの優しさで瞳が曇ったのかも?うふっ」
「ウルルには見えないが、はははっ」
「見えないでしょ?心の中で嬉し泣きなのよ、心の瞳がウルルって」
「はははっ、違った意味で通じてるね。夫唱婦随かな?」
「以心伝心でしょ?・・・あなた、愛してるの・・・ねぇ・・・チュッ!・・・」

部屋の広さは、必要最小限と言えばいいかもしれません。
ベッドなど備品を除けば空いている空間は多くはありません。
窓の傍にテーブルと椅子なども置かれていないどころか、その場所すらもありません。
ベッドの前の少しの空間に、作り付けのテーブルとそれを挟んで椅子が置かれていますが、部屋の
中を移動するには邪魔としか言いようがありません。
それでも、ベッドは十分な広さですし、バスルームも完備されていますから、寝るには十分な部屋
だと言えそうです。

私達は、窓側のベッドに腰かけて話しているのですが、窓がすぐ傍ですから、仮に昼間から
セックスするとしたら、カーテンは閉めなければなりません。

「今のキスで伝わっただろ?以心伝心なんだから」
「キャリーバッグが答えでしょ?」
「それで?」
「お掃除とお洗濯だけなら必要ないもの。それを許してくれたんだもの・・・普通の理解って
言ったでしょ?それが示唆することはって考えればいいのね?」
「だから?」
「そうじゃないとすればね、あなたのお家には行かない、お掃除もお洗濯もしない、そうなるけど、
ほんとにそれでいいの?」
「やっと辿り着けたね、はははっ。じゃ、その心は?」
「うん、ハッキリ見えてきたわ。私とゆっくり過ごすことでしょ?でも・・・」
「家事代行業者が優秀でね、安心して任せられるから、いずみの手を煩わすこともない。
洗濯、掃除は詭弁だと思うか?」
「私の行動を正すことだから、詭弁どころか正論だと思うわ。あなたらしい論法ね?
ほんと振り回されるんだもの、生きた心地がしないでしょ?」
「死んでる?”シヌ〜!”なら詭弁だろ?」
「あなたとなら、”イク〜!”しかないでしょ?それが私の正論です、うふふっ」


彼女の服装は、淡いブルーのノースリーブのワンピースに、生成りのサテン地のニットの
カーディガンです。
ローヒールですから、散歩にはさほど抵抗はなさそうです。

「じゃ、食事に出ようか?」
「ねぇ、早過ぎるって言ったでしょ?」
「散歩してからにしようか?」
「うん・・・どこに?」
「遠い昔の日々、その日には帰れないが、タイムスリップの真似事かな?」
「これなのね?昔に会いに行く、再会なのね?」


[79] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 15:23 ID:6hNJOGzk No.202813



ホテルから南に向かい、明日香ちゃんの好きなパスタの店の前を通って、テニスコート併設の
公園球技場に入ります。

「ここってホントに懐かしいわ。会社の帰りに駅から手を繋いでお散歩したんだもの。
私って我慢強いって思ったわ。そうでしょ?残業のあなたを待っていたんだもの」
「そうだったね。怒らなかったからって、気にしていなかったんじゃないからね」
「ほんとに?うふっ」
「この辺りではいろんなことがあり過ぎたね。思い出すのも難しいくらいだよ」
「うん・・・でも今は、夫婦なんだもの。あの時なら考えもしなかったのにね」
「別れたいと何度も言っていただろ?」
「あなたって卑怯だもの。”来る者は拒まず、去る者は追わず”のスタンスだったでしょ?」
「今も変わらないよ。いずみならそのスタンスにヒビが入ることもあるかな?」
「大事にしてくれるってことでしょ?それなのに・・・私から離れられないのに、あなたの前から
姿を消しても、忘れられなくて。きっと迎えに来てくれるって信じて疑わなかったのよ。
後悔も後悔、それなのに私から連絡しないなんて、あれ?!卑怯なのは私だったの?うふっ」
「はははっ、多くの人に助けてもらったね。今回もだろ?」
「うん・・・ねぇ、懐柔なの?お散歩って」
「まぁ、ない事はないが、話しの流れだと思ってくれないか?もう来週になるんだね?」
「ほんとだ!・・・恍けました、うふっ」

腕を組むのではなく、その当時のように手を繋いで歩きます。

「新鮮ね?」
「はははっ、20代後半の頃だね。まさかだね、その後の出来事は」
「お姉さんだけを責められないわ。私に隠された性癖があったってことでしょ?」
「長く眠っていたとしか思えないね。今が本性かもしれないが、対応には苦慮させられるかな?」
「大丈夫だと思っていたのに、人を見る目はまだまだダメかもしれないわ。でもね、それが判明
するまでは、グレーだと思いたいの」
「誰しも自分が可愛いからね。だけどね、それで済まないこともあるから、人選には細心の注意を
払わないとダメだよ」
「真っ黒だったらどうしよう?何だか心配になってたわ」
「セフレを広げ過ぎたと思ってるだろ?」
「うん・・・そこが引っ掛かるところかな?」
「知ってるかな?・・・一日歩いた土地を与えるとの約束の下、頑張って歩いたが疲れて死んで
しまう。彼が貰えたのは彼が入る墓地だけだった・・・名言だろ?」
「トルストイでしょ?」
「愚問だったかな?はははっ」
「ちょこっと短絡し過ぎね?あのね、日没までに巡った土地は、全て自分のモノになるという約束
なのね。汗だくで歩き続けた末に、バッタリと死んでしまうの。手に入れられたのは小さな墓の
土地だけってことなの。これって農民の強欲さなのね。私と被るってことでしょ?」
「分かっているのなら、何も話すことはないよ。少しでも反省の材料になればいいと思ってね。
まぁ、僕より詳しいんだから、言わずもがなだね、はははっ」
「何も残らないのなら、手を広げるなんてしなかったと思うの。あなたを失うなんて考えもしない
もの。任されてるからって、気が緩んでいたとしか思えないの。墓の土地しか残らないのなら、
あなたを失うことに等しいでしょ?あなたが喚起してくれなかったら、結果がどうあれ、また同じ
事を繰り返すかもしれないもの。強欲と性欲は紙一重、戒めとして心に深く刻み付けておきます」
「しおらしいね、これがいずみだね?」
「そうよ。あなたの前では借りてきた猫かな?だって、あなたにはどうあがいても勝てないんだ
もの。愛は奪うモノなのに、いつまで経っても奪われてるの。私には永遠の命題かな?うふふっ」

歩みを北に変えて、先程の駅方向に戻ります。


[80] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 18:03 ID:6hNJOGzk No.202820



「歩きながらでも、しっかり話せるものだね」
「イギリス人?」
「笠信太郎だろ?全ての人に当てはまらない事を証明できたね、はははっ」
「あなたね、作者先生に叱られるわよ、”僕の本を冒涜するのか”って、うふふっ」
「誹謗中傷じゃないか?」
「同じでしょ?お勉強が足りないわよ、うふっ」
「トルストイも然り、かい?はははっ」


新聞社の社屋が入った高層ビルの8階の和食の店で夕食を摂ってから、ホテルに帰ります。
客室に戻ったのは、午後8時30分を回っています。

「こんな時間って、普通ならお仕事でしょ?」
「まぁ、9時が定時みたいなものだから、もう直ぐ退社時間だよ、はははっ」
「大丈夫なの?」
「ん?・・・仕事?体かな?」
「体に決まってるでしょ?手術したの忘れたの?」
「だから定期的に検査を受けてるだろ?」
「何かあってからだと遅いのよ。分かってる?」
「心配かけて申し訳ないね。何かしていないと落ち着かない事ってあるだろ?」
「忙しくしているの?違うでしょ?」
「はははっ、それはないよ。出来れば早期にリタイアしたいんだからね」
「それなら・・・えっ?私なの?」
「まぁ、そういうこともあるかな?」
「・・・私の我儘で東京に・・・それしかないもの。出来るだけ早く帰って来るって話したのは
本当よ。どちらも順調に進んでいるから、あなたに話した通り早くリタイアして・・・
まだ決められないけど、その予定に変更はないの。でも、出来るだけ早くとしか言えないけど」
「気にならないと言えば嘘になるからね。いくら離れていても夫婦なんだから、心配が先に立つ
のは仕方ないだろ?」
「任されてるのに、不甲斐ない私だもの。心配かけるようなことばかりで、ほんとにごめんなさい」
「はははっ、止めろよ。鋼鉄の心の持ち主とは思えないだろ?」
「あなたの前では、軟鉄かな?」
「ん?・・・それは僕だろ?」
「アレ?・・・アレの事?ベッドで?」
「はははっ、お手柔らかに!」
「軟鉄だもの、柔らかく優しくお相手致しますわよ、うふふっ」

他の客室は分かりませんが、ベッドルームはお世辞にも広いとは言えません。
お茶・コーヒーのセット、カミソリ等のアメニティも部屋に用意されておらず、フロント傍の
コーナーから各自必要と思われるものを部屋に持参するシステムです。

TVの前に設置のテーブルに、彼女がホットコーヒーを用意してくれます。

「数年前もそうだったかは記憶にないのね。でも、お部屋に用意されていないって酷くない?」
「必要かどうかだろ?不要なものまで用意することを省くためだろうね」
「ずっと前だけど、あなたと行った沖縄のあのホテルを覚えてるでしょ?」
「あれかい?某国の観光客の行状だろ?」
「レストランで用意されているモノで、持ち帰れるものならどれもって、感じだったでしょ?」
「お茶とか紅茶のパックとか、お里が知れると言うけど、あれは酷かったね」
「見境がない典型例だわ、うふっ」
「はははっ、つまみ食い程度なら可愛いが、数ヶ月もその状態はどう説明するんだ?」
「某国の観光客と同じ?・・・見境がないのは私もかな?”人の振り見て我が振り直せ”の典型例、
人のことは言えない私でした。ごめんね?」


[81] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 22:20 ID:6hNJOGzk No.202827



体を乗り出して、テーブル越しに”チュッ!”と唇を触れさせてきます。
それに呼応するように、携帯が鳴ります。
バスルーム側のベッドに置いていた彼女のバッグからのようです。

「誰かしら・・・ちょこっと待ってね?」

手を伸ばせば取れるのですから、ベッドとテーブルとの距離は推して知るべしです。
私はコーヒーを一口飲んで、彼女に頷きます。

「あれ?会社からだわ。スピーカーにしなくていいでしょ?」
「気にしなくていいから、早く出ないと」
「うん・・・」


『もしもし、どうしたの?・・・それ?何度言ったら分かるの?・・・自信がないのなら前の
セクションに戻ってもいいのよ。楊社長には私から・・・じゃ、どうするのよ。あなたに任せて
いるのよ・・・そうよ。あなたに一任してるといっても、私がサポートするって言ったでしょ?
信じないのなら・・・そうね、それなら一緒に頑張ろうね・・・いいわよ。月曜日ね、あなたに
託したんだから、余計な事は考えないの。いいわね?・・・分かればいいのよ。
じゃ、切るわよ・・・』


表情も変えずに淡々と話す彼女からは、私と居る時の様子など、第三者には想像すらできない
だろうと可笑しくなってきます。

携帯をバッグに戻して、私と向き合って直ぐに、

「あれ?おかしなことを言ったかしら?うふっ」
「余裕だね?はははっ」
「えっ?そう?アレって普通の対応でしょ?」
「社長の?」
「それはどうでもいいの。お仕事なのよ、まずそれでしょ?」
「いつもと同じ?」
「変わらないわよ・・・あっ?!あなたとの空気感の違いを言ってるんでしょ?」
「違い過ぎる、とかね?はははっ」
「お仕事と愛は同じテーブルに乗せられないでしょ?」
「正論だが・・・まぁ、丸く収まったようだから、いずみの手腕は十分に発揮されてることに
なるね」
「うふふっ、腕に力がないから、能力に置き換えて下さいな」
「楊さんも認める非凡な才能かい?はははっ」
「笑うって酷くない?うふっ」

先程と同じように、体を乗り出してキスしようとした時に、また、携帯が鳴ります。
ところが、着信音が同じではありません。


[82] Re: 自由と束縛の狭間で  :2025/08/12 (火) 13:01 ID:AD9e6dAI No.202846
小田さん、こんにちは。
70歳を超えると何が起きるか解りません。
夏風邪を引いたと思ったのが、7月初めですが
23日の夜から食欲が急に泣くなって、24日病院に行くと
肺炎で数値が悪いので入院治療とのこと、ビックリしましたが
入院8月6日まで入院していました。
まだまだ若いと思っていたのですが、年には勝てませんね。
熱い中ちょうど2週間入院していて身体が楽にはなりました。(笑)

いずみさんとの邂逅、コンコースからの始まりでしたね。
何度も意味のある失踪を繰り返し、小田さんの元へ。
ただ、この時点では小田さんと生活を共にするまでには
まだまだの感じですね。さらにいずみさんの性癖は、
王によって開発されていたように思えるが、いずみさんの
隠れた性癖に火をともしただけなのですね。この三連休
沢山の投稿ありがとうございました。入院している間に
いままでの投稿を読み返しました。有意義な入院生活でした。
まだまだ暑い日が続きますが、小田さんもお体には十分ご自愛ください。

この度の事件?も土曜日に渡辺と合ってから小田さんの所に来たことから
どのような落としどころになるのかひやひやしながら読んでいます。



掲示板に戻る /戻る /全部読む /前10 /最新10 /削除依頼 /▲トップ
処理 記事No パスワード


お名前 *必須 *トリップ可
E-Mail
タイトル
コメント
パスワード (投稿文の削除や修正時に使用します。英数字で8文字以内)
文字色
  

・投稿前に、必ずTOPページの「初めに読んでね」をご覧いただき、全ての内容をご了承の上で投稿してください。
・氏名、住所、電話番号、勤務先等プライバシーが侵害されるような内容を含む記事等の投稿は厳禁です。(即時削除)
・日本の法律に違反するような投稿は厳禁です。(即時削除)
・他人を誹謗中傷する投稿は厳禁です。(即時削除)
・誹謗中傷には大人の良識に反するような「汚い言葉」等も当然含まれます。
・規約違反や違法な投稿を発見した場合に、レス投稿で攻撃することは厳禁です。(即時削除)
・規約違反や違法な投稿を発見した場合は、管理人宛に削除依頼等でご連絡ください。
・この掲示板は体験談や小説、エロエロ話等を楽しんでいただくための掲示板ですので、募集を目的とした投稿は厳禁です。(即時削除)
・投稿文冒頭から「メールをください」等の記載がある等、明らかに募集目的のみと思われる投稿も厳禁です。(即時削除)
・ただし、レスの流れの中でメールのやり取りをするのは全く問題ありません。
・ご夫婦、カップルの方に限り、交際BBSと組み合わせてご利用いただく場合は、全く問題ありませんのでドンドンご利用ください。
・なお、交際専用BBSにスレッドを作成できるのはご夫婦、カップルの方のみですのでご注意ください。
・お手数ですが、交際専用BBSと画像掲示板とを組み合わせてご利用いただく場合は、必ずその旨を明記してください。
 【例】「交際BBS(東・西)で募集している〇〇です」、または「募集板(東・西)の No.****** で募集している〇〇です」など。
・上記のような一文を入れていただきますと、管理人が間違ってスレッドを削除してしまうことが無くなります。
・万一、上記内容に違反するような投稿をされた場合は、妻と勃起した男達の各コーナーのご利用を制限させて頂きますでご注意ください。
・当サイトは安全で安心できる楽しい「大人のエロサイト」です。腹を立てるのではなく、楽しくチ●ポを勃ててくださいネ!