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自由と束縛の狭間で

[1] スレッドオーナー: 小田 :2025/05/11 (日) 15:08 ID:6hNJOGzk No.200457

序文


以前、「絆のあとさき」で1年余りを時系列で投稿しましたが、本稿はその翌年の春からを
一つの出来事に絞って投稿するものです。

そうは言っても、過去があって現在があるように、その流れは引き続いています。
ですから、過去に登場した人物の再登場もあるかも分かりませんが、投稿時間にも制約が
あるものですから、余程のことがない限り、過去に言及する事は控えさせて頂きたいと
思っています。

本稿で完結させるにはかなり無理があると思いますから、過去の投稿も併せて読んで頂けたら、
多少なりとも経緯などが分かると思います。
「絆のあとさき」以前にも「戻れない季節」、「堕とされた愛人」も投稿しています。
主人公の女性は同一人物ですから、彼女の性遍歴の経緯が分かると思います。


[2] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/11 (日) 16:30 ID:6hNJOGzk No.200458



その日、2週間前の金曜日の夜、ある男性から紹介された女性と会うために、東京に向かいます。
季節は残暑が色濃く残る9月末です。

指定されたホテルに、3時過ぎにチェックインします。
そのホテルは私が定宿にしていますから、特に気に掛ける様なこともありません。
フロントには妻が遅れて来ると伝えて、カードキーを預けます。
そこまでは、その男性からの指示なのですが、カードキーがなければエレベーターに乗れない
ことは、彼も私も承知しています。

約束の時間は3時30分なのですが、その前に彼との約束を果たします。
客室に着いたら、その旨を連絡する事です。


『もしもし、渡辺です』
『野田です。部屋に入りました』
『近くに居ますから、今から・・・10分程かかりますが、宜しいですか?』
『えぇ・・・分りました』
『声を聞かせましょうか?』
『あっ、いやいや、直ぐに会えるのですから』
『そうですね、妻も楽しみに・・・聞こえましたか?』
『何も?何か?』
『早く会いたい、待ちきれないと・・・はははっ、言ってないか?』
『愉快な奥さんですね?』
『・・・行かせましたから、楽しんで下さい』
『えぇ、待っています』


その女性が誰なのか、推測は出来ています。
ただ、推測通りだった時の事を考慮して、普段と何ら変わらない様子を繕ってこの日を迎えます。

気になるのは、私に話を持ち掛けたその男性です。
無駄になるかもしれないと思いながらも、その男性の実体を暴くべく、調査を依頼したのです。
彼の生活環境など素性と身辺調査結果を、ホテル近傍のJR駅コンコースで調査員から概略の
説明を受け、調査資料を受け取った後、ホテルに向かったのです。

デリヘルのような出会いなのかと、苦笑してしまいますが、部屋に入って来た女性と互いに
名前を確認するのがルールだとは思いますが、ここはルールに捉われない全く新しいルールで、
対面するつもりです。

その女性、彼の奧さんなのですが、キャリアウーマンということもあって、ウィークディは
時間が取れないとのことで、土曜日の午後に会うことになったのです。
私としても、上京しなければならないのですから、休日の設定は有難いことです。

それにしても、見ず知らずの私にこの話を持ち掛ける理由が、判然としません。
世の中には、ネトラレという性癖の持ち主が居ることは理解していますが、あまりにも軽率
としか言いようがありません。
奥さんの相手をする男性の素性など、大きな意味を持たないのかもしれません。
ただただ、性行為の一部始終を奥さんから聴取して興奮する、そのためだけの相手だとしたら、
ネトラレが理解できないとしても、分からないではありません。
この二週間、同じ疑問を反芻しながら、今日に至るのですが、あと少しでその答えが分かる
かもしれません。

私がこの話に乗ったのは、その疑問を解き明かすためです。
それがなければ、この話には全く興味も何もありませんから、断わっていたことは言うまでも
ありません。


[3] Re: 自由と束縛の狭間で  :2025/05/11 (日) 19:29 ID:359cPwFY No.200460
小田さん、こんばんは。
今日の昼頃覗いたのですが、スレが立っていなかったので
今週の土曜日かなと思ったいたのですが、今見て感動しました。
約二ヶ月ぶりにいずみさんにお会いできるのでドキドキします。
「絆のあとさき」の翌年になるのですね。翌年再び上京した後の
事になるのですね。

現れるのはいずみさんですね。そのわけが説き明かされるのですか。
ワクワクドキドキと不安で初っぱなから興奮しています。
お忙しい中、本当にありがとうございます。
これから、毎週が楽しみができました。(笑)
体調にも十分ご注意ください。


[4] Re: 自由と束縛の狭間で  修司 :2025/05/11 (日) 23:20 ID:NTFGXXmU No.200463
おかえりなさい!

小田さん

また、拝読できることをとても嬉しく思います。

連載お休み中は・・・どうでしたか? 休めたのでしょうか それとも・・・忙しく暇なしとか

いずれにせよ本当に嬉しく思います

この章も沢山 綴ってくださいね!

最後に 夢中になるので 途中の感想は できるだけ 控えさせていただきますね

宜しくお願いします。


[5] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/17 (土) 11:14 ID:3ZgMVBeY No.200609


シンさん、お久し振りです。

あまり期待しないで下さいね。

その年の春からの出来事とお伝えしましたが、厳密には9月中旬からの2週間の推移を
詳細に書き綴っていく予定です。

短い期間の展開ですから、圧縮された内容になるとは思います。
たった一日でも、数名の登場人物が交差することもありますから、経緯に戸惑われる
こともあるかもしれません。
そこは、シンさんの洞察力で解消して頂ければと思います。


[6] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/17 (土) 11:27 ID:3ZgMVBeY No.200611


修司さん、早速のコメントをありがとうございます。

どのような展開になるかは、そう時間もかからずに分かってくると思います。
限られた時間、2週間での攻防(大袈裟ですね?)ですが、目指すところへと
収束させる推移と展開に、注力して頂ければと思います。

相変わらず週末での投稿ですから、牛歩の如くですが、気長にお付き合い下さい。


[7] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/17 (土) 12:47 ID:3ZgMVBeY No.200614


続きです。




ブリーフケースから愛用の雑誌と調査報告書を取り出し、窓の傍に置かれたラウンドテーブルに、
その報告書を下に雑誌を広げて置き、報告書が見えない様にします。
ブリーフケースは、クローゼットに収納します。

この季節ですから、半袖のポロシャツにチノパンツですが、夜用として薄手のジャケットも
持参しています。
ジャケットは隣のベッド、壁側のベッドに無造作に放り投げます。
ポロシャツ、チノパンツ、下着も脱いで、ジャケットの上に置きます。
ツインルームは私の希望なのです。
怪訝な様子でしたが、初めてということもあって、渋々了承してくれたのです。

腕時計を見ると、その女性がやってくる頃です。
腕時計も外してそのテーブルに置き、急いで窓側のベッドに潜り込みます。

息を潜め耳を澄ませて、その時を待ちます。

数分もしない内に、ドアの開く音とともに、部屋に入って来たことが分かります。

「あれ?・・・野田さん?・・・」

推測が確信に変わった瞬間です。

「・・・どこに・・・」

その言葉を口にしてから、何の動きもなく不思議に思っていると、何となく空気が動いている
ように感じるのですが、その正体は何なのか全くわかりません。
当然、何も見えないのですから、待つしかないと思った瞬間、急に掛け布団が捲られ、

「かくれんぼ・・・えっ?!・・・」
「驚いた?・・・綾さんだね?」



話を冒頭に戻して、ここまでの経緯とそれ以前の状況を話したいと思います。

彼女は、昨年から引き続いて、東京での起業を本格的に始めるのですが、4月からは従来の
ウィークディの東京滞在から居住に切り替えます。
仕事内容を考えれば、地元との往復に費やす時間が無駄なのは、説明されなくても分ります。
想定内と言えばそうなのですが、いとも簡単に押し切られるのは、致し方ないのかもしれません。

「だってそうでしょ?無駄は一切省きたいの」
「僕もか?」
「あなたは違うでしょ?でもね、今でも会える日って一ヶ月に何日あるの?」
「まぁ、そうだが・・・」
「でしょ?あなたに会えないってほんとに寂しいのよ。でも、今はお仕事に邁進したいの」
「一ヶ月に一度は会えるか・・・それは約束できるね?」
「うん、事前に連絡してくれたら問題ないから。金曜日の夜でしょ?土曜日まで私達の時間なのよ。
それにね、日曜日もあなたが許せるのなら、一緒に居たいわ」

本心だと思います。
その本心がふとしたキッカケで、大きく崩れるのですから、”欲”の方向を見誤ると予想外の
出来事に発展することもあります。


[8] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/17 (土) 15:58 ID:3ZgMVBeY No.200619



出版社の社長である木下さん、イタリアンレストランのオーナーシェフのオーナー、女風の
コイズミ君達とは、年が明けても継続してはいますが、春以降は会う回数が極端に減少している
様です。
それは、新しいセフレができたことが大きな原因だろうと推測できます。
当然、彼女からは事後報告を受けています。

私はというと、一年の予定だった東京本社での会議が、もう一年延長することになります。
関連会社への転籍もほぼ決まった矢先ですから、大いに驚いたのは言うまでもありません。
一ヶ月に一回、金曜日と決まっているのですが、日程は一ヶ月前に連絡があります。
ですから、一ヶ月に一度会えるのは、ほぼ確定的なのです。

娘のひろ子は、去年に引き続き同じ幼稚園に通園しています。
二人の居住はこれも変わりなく、木下さん所有のビルの最上階を拝借しています。
大きく変わったのは、世話係だった石黒さんからアキさんにバトンタッチした事です。
アキさんは彼女の友人のお嬢さんのナニーを長年務めていましたから、全く何の不安もなく信用
できる女性ですし、私も何度か会っていますから、適任者だと納得しています。
その友人の性事情も理解してお嬢さんの世話をしていたのですから、普通に考えれば、かなり神経
を使っていたことが窺えます。
娘に不安を与えずにセフレと楽しめると口には出さないのですが、そう思っていることは明白です。

新しいセフレが出来たと報告を受けたのは、5月中旬だったと記憶しています。
午後11時の”おやすみメール”の後で、


『ごめんね、お仕事中でしょ?』
『ナニかな?できれば手短に』
『うん・・・あのね、セフレが出来たの』
『ん?・・・まぁ、任せてるんだから、それはいいとしても、会える時間があるのか?』
『なんとか・・・いいよね?』
『はははっ、自己責任は分かってるだろ?』
『はい、十二分に・・・出会いとか話した方がいい?』
『特に・・・自由には責任が伴う、分かるね?』
『うん・・・大丈夫よ』
『じゃ、お任せだよ』
『うん、ありがとう。愛してるわ、うふっ』



石黒さんは、楊社長の会社にそのまま留まることになります。
彼女との愛人関係は昨年末で一旦解消したのですが、彼女の強い希望を受け入れ、継続する事に
なります。
二人して共謀したと考えるのが自然だと思うのですが、妻の思惑がそれを後押ししたことは、
疑う余地もないと思っています。
彼女とは不定期ですが、昨年と変わらず、概ね一ヶ月に一度会うことになっています。


初めて読まれる方には、バッググラウンドが分からないと思いますが、過去の投稿を読んで頂くか、
気にならないのなら、このまま読み進めて頂いても、本件の出来事は完結できると思います。


[9] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/17 (土) 18:52 ID:3ZgMVBeY No.200625



先程の場面に戻ります。


「・・・えっ?・・・どうして?」
「僕のセリフだろ?綾さん?」

掛け布団を捲るまでの僅かな時間の意味が分かってきます。

「・・・」

見る見る顔色が変わっていく彼女を、見たことがありません。
信条だった切り替えの早さは何処に行ったのかと、聞きたくなります。

「声が出ないのかな?綾さん?」
「・・・」

捲った布団を持ったまま、フリーズしたように見えます。
言い訳か説明を考えている様には全く見えないどころか、頭が真っ白になっていると考えるのが、
自然なようです。

「話せないか・・・」

体を起こして、彼女の右手を掴んで強引に引っ張り、ベッドに倒します。

「こうするつもりだったんだろ?この後は?」
「・・・どうして?・・・」
「溶かさないと話せないんだろ?」
「・・・ねぇ、どうして?・・・」
「はははっ、それしか話せないのか?」

抱き寄せてキスしても状況が把握できないのか、目を瞑るどころか見開いたまま、恐怖の表情は
より深く深刻になっていきます。

「・・・」
「この後は?上に乗るのかい?」

セクシーとはとても言えない下着なのですが、Tバッグだとしても全く用をなさない股割れで、
それも透けて見える素材ですから、その意味するところは明白です。
ブラも同色で同じ素材ですし、乳首は開けられた穴から顔を出しているのですから、相手の
男性にそういうオンナだとアピールすることで、見えない壁を取り除く効果を狙っていることは、
直感的に理解できます。

驚きと恐怖からか、フリーズしたまま動くに動けない状態なのでしょう。

「・・・」
「キスでは溶けないか?・・・じゃ、これだね」

股割れですから、遮るものは何もありません。
そこはもうすっかり準備完了で、その時を待っている状態です。

指でソフトに刺激を加えます。


[10] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/18 (日) 11:11 ID:f9nBfaWM No.200653



「・・・あっ?!・・・あああっ、そこは・・・」
「はははっ、溶けてきた?フリーズしてても準備完了とは恐れ入ったね」
「・・・用意してたから・・・お話しは?」

止まっていた意識が戻ってきたと思ったのですが、消え入るような声です。

「お話し?そのために来たんじゃないだろ?」
「・・・するため・・・そう、するために・・・」
「じゃ、するか?」

体をずらして、寄りかかっていた彼女を仰向けに寝かせます。
顔を近付けて瞳を覗き込んでも、これといった反応を示しません。
先程から見せていた呼吸が、もっと速くなってきます。

性器結合しなくても、触れられるだけで逝く女性もいます。
そうだとしても、性行為で逝く時の状態とは全く違うのですから、過呼吸の症状かもしれません。

意識が薄れながら荒い呼吸を繰り返し、抱き付いては突っぱねてきます。
見開いていた目を閉じたと思うと、

「挿れて・・・一杯出して・・・」

私を押しのけ、お尻の方から右手を伸ばして膣に指を入れるのですが、目的を果たせない様です。

「挿れてるのか?」
「・・・出さないと・・・」

表情の変化は全く見られないのですから、無意識に行動しているとしか思えません。
その間も荒い呼吸は続いています。

ローターを挿入して準備していたことが分かります。
取り出して、ペニスを擦り付けます。
半勃起もこの状況を変える一撃になるのなら、ヤルしかありません。
今の状態が一過性だとしても、この状況を打破できるのは、彼女が求めるセックスで逝かせること、
それしかないと判断します。

一気に挿入して、高速でピストンを開始すると、

「あああっ、あうあうっうううっ・・・イク〜!・・・うううっ」

呆気なく逝ってしまいます。
荒かった呼吸も徐々に落ち着きを取り戻し、逝った後の息遣いに変わってきます。
弛緩した体を抱き締めると、私以上に強く抱き付いてきます。

「落ち着いたかな?」
「・・・うん・・・アレ?私は・・・」
「綾さんだろ?」
「えっ?・・・ええっ!!・・・あなたは・・・そうだったわ」
「やっとかい?」
「私?・・・綾です。少し意識が飛んでたみたいなの」
「はははっ、芝居がかった話し方は止めろよ」
「まだはっきりしなくて・・・野田さんでしょ?」
「結婚したとは思わなかったね」
「結婚?・・・そう、結婚してるの、私のために」
「ん?・・・意味不明だね?それに、それが事実なら二重婚だよ」
「えっ?・・・アレ?・・・あっ?!あなた!・・・ああぁ、もう!何が何だか分からなくなって
・・・」
「セックスした?そうだろ?」
「うん・・・そうだけど・・・」
「はははっ、戻ったかな?」
「・・・綾って思ってる?」

まだ声に力はありません。

「そう思ってたが・・・」
『綾も私かな?・・・この場合は」
「いずみに戻って話さないか?」
「うん・・・何だか新鮮だわ、いずみって」
「はははっ、どちらが本名なんだよ」
「いずみです・・・こんなに驚いたのは初めてだわ」


[11] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/18 (日) 13:32 ID:f9nBfaWM No.200656



事の始まりを話したいと思います。

冒頭でも書きましたが、二週間前の金曜日の夜、渡辺と名乗る男性と知り合います。
その日は、東京本社で定例会議があり、いつも投宿しているホテルを予約していました。
そのホテルは妻の居住空間のエリアに入っているからです。
分かり難い表現かもしれませんが、昨年から引き続いています。
今は仕事上の付き合いですが、その会社の社長と期間限定の愛人関係だった時に、行動範囲を
決められていたことに由来します。
彼女も多忙を極める日々ですから、見えない空間には身を置きたくなかったのだと思います。

定例会議以外にも出張で東京に何度も来ているのですが、一つ屋根の下ではありませんから、
”一ヶ月に何度会えるの?”という彼女の指摘も満更間違っているとは言えません。
そうは言っても、彼女の意思で東京在住にしたのですから、会える日は余程のことがない限り、
断わられることはありません。

いつもは、午後7時頃から食事を共にして、あくる日迄ホテルで過ごしています。
娘とはその後に会うのですが、短くても親子三人水入らずで過ごす時間は、心が和むものです。

当初、定例会議後に懇親会があり、会える時間を午後10時頃と決めていました。


『だから、いつも通りにはいかないね』
『それなら・・・お食事のお誘いがあったけど、お断りしていたの。その時間までには終わると
思うし、そうでなかっても、中座するから行ってもいいでしょ?』
『任せるよ』
『あのね、何時頃になるか連絡してくれるでしょ?お話し中だったら気付かないこともあるから、
メールにしてくれない?』
『了解・・・』

何となく違和感はあったのですが、特段気に掛けることもないと、スルーします。


ところが、当日になって懇親会が急遽中止になったのです。
仕事上の付き合いだろうと推測できますから、急用という詭弁を使ってまで、断わらせることは
本意ではありません。
いつもとは違った結果になったとはいえ、一人で過ごす時間が少し増えたと思えば、それほど
苦痛ではありません。

午後6時過ぎにチェックイン後、部屋に上着とネクタイを残して、一階のブッフェスタイルの
レストランに向かいます。
当初は、ホテル近傍のファッションビル内の和食の店と決めていたのですが、直ぐそこにも
関わらず、一人ではホテルから出るのが億劫になります。
そのレストランは400名は収容できるのですが、想像通り入口は長蛇の列です。
時間はたっぷりあるのですから、平静を装うこともなく、淡々と案内されるのを待ちます。
ところが、思いのほか早く私の番がやって来ます。
受付のウエイターにルームナンバーを告げ、店内のウエイターがテーブルを指し示してくれるの
ですが、テーブルのところまでは案内してくれません。
彼の指示の方向を確認している時、すぐ傍をカップルがレストランから出て行きます。
手前が中年の男性、その隣が女性なのですが、楽しそうな雰囲気が伝わってきます。
一瞬、その女性の横顔が見れるのですが、ウエイターに急かされるまま振り返る事もなく、
指示されたテーブルに向かいます。
妻に似ていると思ったのですが、一瞬と言っても非常に短い時間ですから、確証も何もありません。
食事会と言っていたのですから、ホテルであったとしてもブッフェである筈もありません。


[12] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/18 (日) 16:35 ID:f9nBfaWM No.200659



そのテーブルまで行くのですが、またウエイターが待っているのです。
そこで初めて、私に用意されたテーブルに行き着くのです。
前の客の使用済み食器を片付けるのを少し待って、やっと席に着けます。
テーブルも隣から少し離すのですが、前の客と隣のテーブルの男性とは知り合いだったことが、
窺えます。

私が腰を下ろした席からは、その男性は斜め向かいの位置関係です。
何やら携帯で話しているのですが、時折聞こえる笑い声が、やけに耳障りです。
私の出張旅費では賄えないのですから、高級ホテルの部類かもしれませんが、このレストランの
混みようは些かげんなりします。

好みの料理をチョイスして、テーブルに戻って来ます。
食べ始めて少し経った頃、視線を感じて顔を上げると、その男性が笑顔で話し掛けてきます。

「お一人ですか?」

全くの他人ですから、見え透いた魂胆があるのかと勘ぐってしまいます。

「二人には見えないでしょ?」
「はははっ、僕の目には二人に見えますよ」
「後から・・・ですか?」
「えぇ、ないとは言えないでしょ?」
「はははっ、そうであっても、あなたには関係ない事でしょ?」
「全く・・・関係性とはこの場合のように見ず知らずの僕達でも、話すことから始まると思いま
せんか?」
「それはそうですが・・・ところで?」
「ですから、後から来るのですか?」
「拘りますね。ここには来ないですよ」
「じゃ、部屋に?」
「はははっ、それを知ったところであなたに関係ないでしょ?僕に何を話させたいのか、何を
知りたいのか、理解に苦しみますね」
「そうなんですよ。理解するモノじゃなく、感じるモノだと思いませんか?」
「はははっ、ますます分からなくなりますね。僕を迷路に導きたいと、そうなんですか?」
「正常な関係性迄には道程(みちのり)が長いかもしれませんが、物理的には倍速で良き関係性を
持てると、そう思っています」
「はははっ、それで?」
「ここのホテルのカップルは即席カップル、今言ったように物理的に倍速で関係性を築いている、
そういうカップルも少なくないと思っています」
「なるほど・・・後で来る、ですか?」
「間違っていないでしょ?」
「はははっ、来ないですよ。一人寂しく、ですからね」
「それは残念ですね?」
「枕を抱えて寝ることにしますか?はははっ」
「今夜はそうであっても、次はそうじゃなければ楽しいと思いませんか?」
「ん?・・・斡旋?」
「はははっ、あり得ないですよ。お見受けしたところ、それなりの役職に就かれている大企業に
お勤めかと、そうじゃないですか?」
「違うと言ってもそれを押し通すでしょ?仮にそうだとしたら、何を求めているのか・・・
そういうことですね?」
「無職じゃないですからね。就職をお願いする事はありませんよ、はははっ」
「はははっ、愉快な人ですね。大まかには分かりましたが、僕は何も求めていないと理解して
下さい」
「ですが・・・僕からのお願いとして聞いてもらえないですか?」

急に真顔になります。


[13] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/24 (土) 11:19 ID:w0nkkFsM No.200808



「聞くも何もあなたの事は何も知らないのですから、何もなかった時に戻したいですね」
「ですから・・・知って頂きたいのです。初めて会ったことは百も承知しています。
関係性の構築は後からでも付いてくると思います」
「後から・・・後から来るのですか?」
「えっ?・・・今夜ではない後なら・・・正直に話しますから、正面から受け取ってくれ
ませんか?」
「まぁ、時間もありますから、聞きましょうか?」
「ありがとうございます・・・僕の妻の事なのですが・・・いいですか?」

私の前の椅子に移って来ます。
決して大きいとは言えないテーブルですから、体を乗り出せば容易に顔を近付けられます。

声のトーンを抑えて、

「夜の営みなのですが・・・僕では手に負えない程性欲が強くて・・・愛する妻ですから、
安心できる男性と・・・そういう方を探していると言えばいいか・・・」
「何も含んでいないと言えますか?」
「体のいい売春だと思いましたか?」
「そう取られても・・・まぁ、アレでしょ?女風に任せたらいいと思いますが」
「金銭の絡むことは絶対に許せないと妻も僕も同じ意見です。自然な形で愛し合えるのならと、
僕の説得に理解を示しています」
「それが真実として、僕の精力がどれほどのモノか分からないでしょ?役立たずだったらどうする
のですか?」
「それはその時に・・・妻が判断しますが、決して気分を悪くさせるようなことはありません。
性欲が強いと言っても、社会的な地位と言えばいいかもしれませんが、それなりの責任ある役職に
就いていますから、常識と言えるものは全て身に付いていると思っています」
「そうですか・・・じゃ、あなたも?」
「コンサルティングの会社を経営しています・・・ちょっと待って下さい・・・」

上着の内ポケットから名刺入れを取り出して、一枚を抜き取ります。

「・・・渡辺さん・・・そうですか、僕もと言いたいところですが、会社名も役職もお知らせする
ことはありませんが、もし引き受けるとしたら、名前だけはお教えします。それでもいいですか?」
「えぇ、承諾してくれるのなら。妻の写真があるのですが、それを観て頂いて判断材料にして
頂ければ。ただ、ハッキリ分かるモノは用意していません。想像して頂くしかないのですが」
「奥さんの意向ですか?」
「えぇ、会えば分るのですから、雰囲気が分かるものでいいと押し切られまして」
「まぁ、一理ありますね。想像が行き過ぎている場合には、効果があるでしょうね」
「写真と違うと、そういうことですね?」
「ないとは言えないでしょ?」
「騙すようなことは一切ありません。僕が言っても信じてもらえないと思いますが、人並み以上の
美人だと思っています」
「美人の判断基準は、人それぞれですからね」
「それも分って・・・会って頂ければ納得してもらえると思います。写真ですが・・・」

携帯に表示してから、差し出します。

一枚目は、全身の写真ですが、後ろから撮ったものです。少し膝上のノースリーブの真っ白な
ワンピースですから、最近のモノだと思います。
もう一枚は、斜め後から顔だけを撮ったものです。この角度だと、知人でも特定できないかも
しれません。
ただ、全身写真には、直感的に感じるものがあります。
妻に非常に似ていると言わざる負えません。まさかとは思うのですが、断わる材料にするための
写真でしたが、真相究明に舵を切ることにします。


[14] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/24 (土) 12:55 ID:w0nkkFsM No.200810



「・・・どうですか?」
「おっしゃる通りですね。これで判断するには無理があります。ここは騙されたつもりで
一度会うことにしましょうか?」
「ほんとですか!妻も喜ぶと思います」
「ただね、会った時にお断りするかもしれないと、それも伝えてもらえませんか?」
「えぇ・・・ですが、心配はいりませんよ。必ず納得してもらえますから」
「自信ですね?」
「えぇ、今も・・・あっ?!失言でした」

小さくない焦りの色が顔に現れてきます。

「今も?」
「すみません。他の方とも・・・それだけ強過ぎると思って頂ければ。嘘をつくつもりもあり
ませんから、正直にお話しします」
「それが賢明でしょうね」
「複数の男性と・・・理解頂けなければ仕方ないのですが」
「正直に話してもらえたのですから、それは信用に値すると・・・」
「それでは会ってもらえますね?」
「えぇ・・・”今も”と言ったでしょ?僕が来た時にウエイターがテーブルを離したのは、
そういうことだったのですね?」
「そうです、三人で食事を。それから二人は部屋の方に・・・今頃は楽しんでいると思います」
「はははっ、申し訳ないが、ネトラレじゃ?」
「違いますよ、あくまでも妻のためなんですから。誤解は解いておかないと、独り歩きするかも
しれないでしょ?」
「はははっ、これは失礼。さっきね、入口ですれ違ったカップルの女性が、その写真と同じ
ワンピースを着ていたと思ったのでね」
「そうです・・・顔を見られましたか?」
「いや、一瞬の事だったのでね、何故かワンピースが印象に残った。まさかですね?」
「そのまさかを味わって欲しいですね」
「ベッドで?」
「えぇ・・・優しそうに見えますが、ベッドでは荒馬の如くですから、新鮮な興奮をもたらして
くれると思いますよ」
「まぁ、期待半分と思っておきます」
「期待以上ですから・・・ところで、お名前は?」

話ながら決めていました。

「野田です・・・連絡は携帯ですね?」
「交換できますか?」
「今日、落として壊してしまってね。明日以降になるでしょうが、携帯が手に入り次第連絡します。
それでいいですね?」
「えぇ、その時に会える日を決めましょうか?」

食べながら話していたのですが、食べ終ってコーヒーが飲みたくなります。

「分かりました・・・打ち合わせは終わりですね?」
「じゃ、待っていますね・・・あっ?!すみません、携帯に・・・じゃ、その時に・・・」

そう言って、先程の椅子に戻ります。

私はジェスチャーで飲み物を示唆して、席を立ちます。


[15] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/24 (土) 15:27 ID:w0nkkFsM No.200813



腕時計を見ると、午後8時前です。
1時間近くもその男性と話していたことになります。

コーヒーを持って戻ると、レストランを出たのか、その男性は何処にもいないのです。
何だか夢を見ている様な錯覚に陥りそうになります。
ところが、現実の話なのは間違いないのですから、飛躍過ぎると切って捨てられない過去が、
鮮明に蘇って来ます。

まずは、その男性の素性から彼女との関係性までを調査することにします。


『もしもし、岩城だが』
『小田だよ。久し振りだな』
『お前が先に言うか、はははっ』
『済まないね。今話せるか?』
『現場だが・・・まぁ、いいか?何だよ』
『力を貸して欲しいんだが』
『はははっ、お前よりも鍛えてはいるが、歳だからな・・・違うのか?』
『冗談はそこまで。ある男の身辺調査を頼みたいんだが、東京だからね』
『いずみさん絡みだろ?俺は止めとけと言っただろ?愛人ならまだしも結婚するとは、焼が回った
としか思えないが。まぁ、お前の頼みだしな、東京?』
『だからね、誰かを紹介して欲しいんだ。いいかな?』
『会社を辞めたのか?』
『まだだが・・・その事は又時間のある時に。急いでいるから、兎に角・・・』
『分かった!優秀な男がいるから直ぐに連絡させる。そいつと打ち合わせてくれるか?』
『済まない。恩に着るよ』
『はははっ、貸しだぞ。酒だけじゃダメだからな』
『その歳でもないだろ?美味い食事と酒、それ以上望むものがあるか?』
『言い得てるな、はははっ』
『じゃ、頼むよ』
『直ぐだからな、はははっ』


コーヒーを飲みながら、今後の展開を考えます。
彼女なのはほぼ間違いないと思うのですが、そうだとして、今会った渡辺の素性を早急に調べ
なければなりません。
彼女を妻としてこの話を持ち掛けてきたのですから、何か裏があっても何らおかしいとは思えない
からです。

10分も経ったでしょうか、携帯に着信です。
岩城が連絡した相手としか考えられません。


『もしもし・・・』
『小田さんの携帯ですか?』
『そうですが・・・』
『岩城警部から紹介頂いた清水探偵事務所の清水です』
『これは有難いですね。こんなに早く連絡頂けるとは』
『お会いして詳細をお聞きしたいのですが、今からでも大丈夫でしょうか?』
『急がせて申し訳ないですね。じゃ、お願いします』


30分も掛からずに来れるとの事でしたから、隣のホテルの二階のフードコート前を指定します。


[16] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/24 (土) 16:59 ID:w0nkkFsM No.200815



8時30分頃と約束して、レストランを出ます。
ゆっくり歩いてフードコートまで行くのですが、約束の10分前には着いてしまいます。
特に意識したのではないのですが、セオリー通りになるとは、潜在意識がそうさせたのかと、
おかしくなります。

神経は少し高ぶっているのですが、焦りは特にありません。
以前の彼女ではないことは、昨年の期限付き愛人を経験した時にも、レッドラインを越えなかった
ことから説明できます。
ただ、少し厄介な事は、渡辺の妻と名乗って性行為を繰り返していることです。
いくら容認しているとは言え、それが事実ならレッドラインを越えていると指摘されても、
反論できない筈です。
変わり身の早い彼女ですから、取り繕ってくることも考えられますが、その関係が数ヶ月経って
いる今、何がしかの疑問を持っているかもしれないと、淡い期待もあります。
仮にそこを突くことが出来れば、二人の関係に亀裂を入れることも、そう難しいことではないと
思えるのです。

フードコートの入口前で、店の案内ボードを見るでもなく眺めていると、40代半ばと思しき
男性が近付いて来ます。
辺りを見渡して、私しかいない事を確認してから、

「小田さんですか?」

電話での印象とは少し違う、ラフなスタイルです。

「えぇ、清水さんですね?」
「お待たせして・・・入りますか?」

二人共、コーヒーを買って、窓際の少し奥まったところのテーブルを選びます。

「いつも多いですね?」
「客ですか?」
「初めてですか?」
「そうではないのですが・・・そう言えばそうですね」
「少し緊張されてるとか?」
「はははっ、それはないですよ。客数から始まるとは思わなかったですね」
「意表を突かれたと、そうですか?」
「まぁ、そうですね」
「これが大事なんですよ。反論できない証拠を集めて、突撃するんです。もう、慌てふためくか、
知らぬ存ぜぬを貫き通すとか、いろいろですが、最後は陥落しますからね」
「探偵業は調査だけでしょ?突撃とは勇ましいですね」
「はははっ、突撃は私じゃないですよ。依頼者様が突撃して、その結果報告を受ける、まぁ、
突撃のお膳立てをする仕事ですかね」
「はははっ、安心しました。僕の仕事は僕がやりたいですからね」
「では、ご依頼の件ですが・・・」
「えぇ、ある男性の身辺調査と妻との関係を調べて欲しいのですが、守秘義務は大丈夫ですね?」
「岩城警部の友人と聞いています。岩城警部の部下でしたから、そうでなくても依頼者様の情報を
漏洩させるなんてあり得ないですよ」
「分かりました。まずは・・・」

先程受け取った名刺を見せます。

「経営コンサルタント・・・あるんですよ、こういうのは危ないですからね」
「嘘だと?」
「まぁ、何とも言えないですが・・・写真を撮ってもいいですね?」
「それと妻ですが・・・」

携帯に保存している、ひろ子と一緒に写った上半身の写真を見せます。

「ほ〜、美人ですね」
「お世辞はいいですから、仕事に集中して下さいよ」
「ご心配なく。で、二人の行動とか何か手掛かりはありませんか?」


[17] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/25 (日) 12:17 ID:YuiHDxyM No.200845



渡辺との出会いを、素直に話すのか悩んでいたのですが、名刺の出処を聞かれれば隠すことは
難しいですし、私が情報を隠避することがあれば、正確な調査報告書が提出されないかもしれ
ません。

「それがね・・・疑問に思ったのは、1時間ほど前でね。驚くでしょ?」
「悩む時間もなかったと・・・動きが早いのには、訳があるんでしょ?」
「そうですね・・・僕達夫婦は訳あって、一緒に住んでいなくてね。彼女は仕事の都合で東京在住、
僕は関西でね・・・」
「よくあるパターンですね。奥様の浮気、この場合は不倫、その調査ですね?」
「そこなんですが、上手く遊ぶのならと容認しているんだが、その名刺の渡辺がセフレだろうと
推測できるとしても、あろうことか僕に声を掛けてきた次第でね」
「それで名刺を貰ったと・・・根が深いかもしれないですよ」
「だから、深みに嵌る前に、既に嵌っているかもしれないが」
「名刺は連絡先でしょ?売春かもしれないですね」
「えぇ・・・ただね、”妻を抱いて欲しい”、それだけでね、金銭の話は一切なかったですね。
妻の性欲を満たすため、それが理由だと。どう思いますか?」
「詭弁でしょうね。よくあるでしょ?最初は無料とか定価の1/2とか。ところで、奥様と判断した
理由があれば教えて下さい」
「全身の後姿と斜めから撮った横顔の写真を見せてくれましたが、知らない女性なら断定できない
でしょうね」
「ではどうして?」
「顔は無理でしたね。全身なら後姿だとしても、シルエットから判断できるでしょ?」
「見慣れた女性、それも奥様ですから見間違うはずはないと、そうですね?」
「断定できるところまでは・・・だから、清水さんにお願いしたという次第ですね」
「そうですか・・・会う約束はしていますか?」
「おっ?思い出したよ。連絡先を聞かれてね、咄嗟に、携帯を壊したから明日以降に連絡すると
約束はしましたね。明日、新しい携帯を買って彼との連絡だけに使用するつもりです」
「それなら、業務用に用意した携帯がありますから、それを使って下さい。
彼とだけじゃなく、私との連絡用にも使ってもらえれば。どうですか?」
「有難いですね。そうさせてもらいましょうか?」
「では、明日届けますが、都合のいい時間は?今夜はお泊りですね?」
「これから彼女と会う予定でね。明日の午後まで一緒にいますから、その後、時間は・・・
駅まで送って来るでしょうから、別れるところを確認出来れば、駅のコンコースで受け取ることは
できますね」
「分かりました。時間は?」
「午後3時には別れますから、その前から待機してもらえれば大丈夫かと」
「了解です。その後に、渡辺に連絡ですね?」
「そうです。彼の都合、彼女かもしれないが、少し泳がせた方がいいと思いませんか?」
「短いと尻尾が掴めない、小田さんが会う日までには調査を済ませおく、それには時間が必要と
いうことですね?」
「勝手な判断ですが、2週間は必要かと。彼女は多忙ですから、ウィークディは動かないかも
しれない。そうなると土・日が濃厚だと思いませんか?」
「分かりました。日にちが決まれば、直ぐに連絡下さいね」
「可能なら、明日、私と別れてから調査をお願いできますか?」
「土・日が濃厚なら、動きがあるかもしれない。じゃ、明日から調査を開始します」


[18] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/25 (日) 16:36 ID:YuiHDxyM No.200851



その他、彼女の住所、会社の所在地など必要と思える情報を伝えます。

フードコートを一緒に出るのですが、

「小田さん、一つ聞いても?」
「えぇ、何なりと」
「奥様の事ですが、どうして”彼女”と呼ぶのですか?」
「バツイチでね。分かるでしょ?年齢差は」
「一回りくらいの差ですか?」
「はははっ、15歳のギャップは大きいね。”妻”と口にすると前妻を意識してしまう。
まぁ、そういうことで、必要じゃなければ”彼女”か名前ですね」
「気を悪くしないで下さいね。セフレを容認とは、そういうことですか?」
「精力、こればっかりはどうしようもないからね。彼女も理解してるんだが、今回ばかりは腰を
据えて対処しないといけないね」
「前にも?」
「数年前だが・・・最近は上手く回っていると思っていたんだが、知らぬは亭主ばかりなり、
ですね?はははっ」
「不倫とはそういうモノですよ。信じる気持の置き所とか、ボタンの掛け違いとか、
何かとすれ違いが、そうさせるようですね」
「それに遠距離をプラスだね?」


清水さんと別れて、ホテルを出たところのコンビニで缶ビールを購入します。
今夜は、懇親会なのですから、それ相応の準備が必要です。
彼女も食事会ですから、それへの対応も考慮している筈です。
二人共、ダミーを用意しないといけないのですから、騙し合いの様相を呈してくるかもしれません。
そうであっても、彼女は私の存在を認識していないのですから、私が平常心で臨めば、疑問など
湧く筈もありません。
腕時計は、9時30分に届いていませんが、10時頃と決めていましたから、懇親会後の私を演出する
時間が迫ってきます。

コンビニの近くで、缶ビールを飲みながら、メールを送信します。

[チェックインを済ませて、部屋にいるからね。何時に来れるかな?]

直ぐに返信はないと思っていたのですが、数分もしない内に、

[お疲れ様!楽しかった?10時までには行けるかな?]
[了解。エレベーターホールに着いたら、携帯に掛けてくれるか?]
[了解です]


彼女がレストランを出て行ったのは、午後7時前だったと思います。
勝手な推測ですが、2時間と決めていたとしたら、9時前には終わっている計算になります。
渡辺が携帯で話していた時間は・・・確か、8時頃でしたから、その相手は彼女ではないと推測
できます。
部屋を出た彼女が渡辺と会っていると思ったのですが、1時間もズレがありますから、それは不可能
です。でも、仮に1時間のベッドインなら、渡辺と会うことは可能です。
どちらにしても、9時以降は会えないと決めていたようです。
そうでなければ、メールの返信が早過ぎます。


[19] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/25 (日) 20:44 ID:YuiHDxyM No.200855



お酒は強くありませんが、話しながらなら少しは飲めます。
直ぐに酔ってこないこともあり、10時までは30分程ありますから、上のホテルの地下入口まで
往復することにします。
9月中旬ですから残暑も厳しく、なだらかな坂道を上がって行くのですが、少し汗ばんできます。
これもダミーには必要かなと思いながら、同じ道を下ります。

先程のコンビニの少し手前まで戻って来ると、渡辺がその前で誰かを待っている様子なのです。
私とは距離がありますし、店の中を見ているのですから、気付かれることはありません。
少しして、出て来たのは予想通り彼女です。

コンビニとホテルとの間には、少しの隙間があります。
渡辺の手を取って、彼女が誘導するのですが、この時間でも行き交う人は少なくありません。
全く気にならないのでしょう、抱き付いてキス、かなり長く抱き合ってから、コンビニの袋から
缶ジュースか缶ビールかは分からないのですが、一本を彼に渡して、お互いに一口飲んでから、
またキスします。
何を話しているのかは分からないとしても、楽しそうな雰囲気は伝わってきます。
彼女が彼から離れようとして、引き戻されてまたキスです。
時間が気になっている筈ですから、帰るサインを伝えていると思うのですが、一向に離れようと
しません。
手に持っていたそれを地面に置いて、彼の首に両手を巻き付け、隙間の奧に彼女が移動します。
私からは、渡辺の背中と彼の首に巻き付けられた彼女の腕しか見えません。
ここでするとは思えないのですが、そうなら通報されないとも限りません。
腕時計は10時を回っていますから、携帯を掛けても言い訳はできると言い聞かせます。

直ぐには出れないのは分かるのですが、気になっていたのでしょう、思いのほか早く出ます。
渡辺から離れて、携帯をバッグから取り出しながら、その隙間から出てきます。


『ごめんね、遅くなって』
『10時と言ってただろ?何処に居るの?』
『今ね、ホテルに向かって歩いてるの。10分くらいで行けるかな?』
『そうか・・・じゃ、会えそうだね?』
『えっ?何処に居るの?』
『酔い覚ましに散歩だよ。もう直ぐ隣のホテルのコンビニかな?』
『ほんとに?じゃ、私の方が早いかな?エレベーターホールで待ってるわね?』


私の返事も聞かずに切ってしまいます。
慌ててる様子が可笑しいのですが、渡辺に抱き付いてキスしたと思ったら、こちらに向かって
来ます。
私も早足に歩道まで戻ります。
コンビニに来られたらマズいと判断して、鉢合わせを企んだようです。
坂道を下ったように見せて、歩き出すと、彼女が近付いて来ます。

「どうした?慌ててる様に見えるけど」
「そう?戻った方が早く会えるかなって。コンビニのところまで来てたから」
「コンビニの前で待ってても良かったじゃないか?」
「だって、早く会いたかったんだもの」

私の左腕に両手を巻き付けてきます。
他の男性と接触した時は、そのことを話して、私には触れてこなかったのですが、タカが外れた
様です。
ところが、それが彼女なのでしょう、”ハッ”とした戸惑いの瞬間を見せたのですから、まだ外れ
ていないと言えそうです。

「じゃ、戻るか?」
「少し汗ばんでない?」
「そうかな?・・・ん?いずみも体温が高くないかい?」
「えっ?・・・この時間でも暑いでしょ?だからじゃない?」
「手が汗ばんでるね。何かしていたのか?」
「何も・・・ねぇ、コンビニの前ってホテルの二階でしょ?ここから下に降りたら一階から入れる
わよ。クーラーも効いてて涼しいかも?」
「おかしいだろ?どうしてコンビニのところから、ホテルに入ろうとしたんだ」
「うん・・・一階の入口に知ってる人が居て、会いたくなかったから。それで・・・」

会いたい渡辺が二階にいるからだろうと、言いたくなります。

「じゃ、そうするか?」


[20] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/31 (土) 18:32 ID:rhgaMG7s No.201000



部屋に入るまでは、周りを気にしている様に見えたのですが、すっかり平静を取り戻しています。
部屋に入っても、抱き付いてきません。
以前と同じスタンスなのでしょうが、誰かと接触したと言っているのと同じなのです。

「どうした?今夜はあれでお終いかい?」
「あれでって?」

私の上着とネクタイをクローゼットに収納しながら、首をかしげます。

「分からなければいいよ。水を淹れてくれないか?」

どのような時でも、全て思い通りにはならないものです。
彼女はその心境を嫌という程味わっている筈です。

いつものことですが、窓の傍のラウンドテーブルを挟んで座ります。

「私も・・・呑んだ後ってお水って美味しいんでしょ?・・・」

彼女も同じようにグラスの冷水を一口飲んで、

「・・・ねぇ、お話しがあるんでしょ?」
「僕が聞く前に話すのが筋だろ?」
「うん・・・ごめんなさい。あなたに抱き付きたいのに抱き付けないなんて、私ってダメって
イヤになりそうなの」
「よく分からないが、いずみの予定通りにはいかなかったと聞こえるが」
「うん・・・このお洋服ね、初めてでしょ?」

レストランで見かけたベアトップのワンピースです。

「それが?」
「あなたなら眉をしかめるデザインじゃない?」
「いずみの好きな色じゃないが、残暑が厳しいと言っても夜だからね、肌を出し過ぎかな?」
「涼しいのよ。クーラーが効いてると少し寒い時も・・・白色って9月の夜に似合わないと
思うの。それにミニでしょ?これでタイトなら勘違いされそうでしょ?」
「カーディガンを持っていないとは何とも不思議だね、はははっ」
「私らしくないでしょ?ねぇ、どう見える?」
「それの説明から入るのか?」
「だって、とっかかりが難しいんだもの」

膠着状態とは思えないのですが、彼女の気持ちを和らげるには、接触できる状況を作ることです。

「汗を流そうか?」
「えっ?・・・いいの?嬉しいな!・・・愛してるの、愛してるのに・・・何だか涙が・・・
可笑しいでしょ?」
「はははっ、まずは・・・いいか?」
「うん、シャワーね?うふっ」

ベアトップのワンピースの下は、ストラップレスの真っ白なシースルーのブラ、同じ素材の
Tバックです。
見方によるでしょうが、エロというよりもセクシー系に近いと表現できそうなデザインです。


いつも以上に丁寧に洗ってくれます。

昨年も同じようなことがあったのですが、その男性とは彼女の気持ちが180度も違うのは、先程の
情景が証明しています。


[21] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/05/31 (土) 21:37 ID:rhgaMG7s No.201003



ナイトウエアを着てベッドに入ります。
これも定番のように私の左腕に両手を巻き付け、隙間もない程密着してきます。

「ん?・・・求婚した男性を覚えてるだろ?その時以来だね?はははっ」
「忘れたいのに、何処か引っ掛かってる感じなの。あれで良かったかなって、酷いことをしたって
ちょこっと後悔してるの。ねぇ、どう思う?」
「やり過ぎだったかもしれないが、ああでもしないと諦めてくれないだろ?」
「うん・・・諦めるって、どういう気持ちなんだろ?」
「ん?何だかしおらしくないかい?」
「あのね、これで良かったかなって、後悔する事ってあるでしょ?」
「ないとは言えないね。それが生きてる証拠だよ、はははっ」
「私と結婚して後悔してない?」
「はははっ、ナニを今更・・・ん?いずみが、そうなのか?」
「振らないで!あり得ないでしょ?あなたが後悔するようなことばかりだもの。
いつも助けてもらうばかりで、私は何も出来ないもの」
「”ご謙遜を”と、楊さんも言ってただろ?大きな成果を残したから、新しい起業が舞い込んで
きただろ?」
「もう一杯いっぱいなの。心が折れそうになる時もあるの。でも、あなたには弱気を見せられない
もの。だって、私のごり押しを認めてくれたのに、”もうダメ!”って言えないもの。
だから・・・」

彼女の気持ちに理解を示すことは簡単です。
でも、それを受け入れたらそこで、成長が止まってしまう懸念があります。

「もういいだろ?弱気のいずみは見たくない。だけど、そうなったら何を置いても僕のところに
飛んで来いよ。何も話さなくていい、何も考えなくていい、ただただ抱き締めてやる。
いいか、振り返らず前だけを見る、それが出来れば、振り返ってもいい。
今のいずみは振り返ったらだめだよ、前に進むことだけを考える。いいかい?」
「うん・・・叱咤激励って誰でも知ってるのに、とても新鮮なの。あなただからだって分っている
のに、あなたに会えないと他の人に気持ちが傾いて、言われるままに・・・私も納得してるのに、
時間が経つと、”それで良かったの?”って小さな後悔が増幅してきて、辛くなってくるの。
それでも、止められないって・・・あのね、何を話してるのか分からないでしょ?」
「他の人か・・・話せるか?」

誰の事か分かるのですが、彼女はそれも分かって話していると思います。
名前は聞いていないのですから、特定できないとしても、事実を目視したのですから、間違って
いる筈もありません。

「うん・・・5月だった?セフレが出来たって連絡したでしょ?」
「そうだったね。いつかは覚えていないが」
「彼ね・・・いい人なのよ。でも、色々あって今話したようなことね、何だか分からないと思う
けど、後悔が大きくなってきたの」
「セフレだろ?同じ比重なんだから、直ぐにでも止められるだろ?」
「そうなんだけど・・・あのね、今夜の事ね、嘘をついてしまって、それまでの後悔に後悔が
積み重なるって感じで、落ち込んでるの」
「嘘?方便なら許すけど、そうじゃないと・・・」
「うん、あなたに叱られても仕方ないことなの」
「時間厳守だろ?」
「うん・・・私ね、あなたより厳しいって指摘されてたでしょ?私もそう思っていたの。
約束の10分前にお部屋に行きたかったの。ホントにほんとなの、信じてくれるでしょ?」
「いずみを信じないで、誰を信じるんだ、はははっ」
「嬉しい!・・・あなたを裏切ってしまったのに、温かく抱き締めてくれるんだもの。
もう!泣きたくなるでしょ?うふっ」
「少しはいずみらしくなったかな?」
「うん・・・平常心でお話しは出来ないと思うけど、遅れた理由は、彼と会っていたからなの」


[22] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/01 (日) 12:03 ID:Yqtib.4. No.201026


何処まで事実を話すのか、試金石と言えそうです。

「お食事は彼のお友達と三人だったの。あなたにはお食事としか話さなかったでしょ?
ちょこっと後ろめたい気持ちはあったけど、あなたは懇親会で約束の時間が変更になったでしょ?
だからいいかなって。彼のお誘いは、あなたと約束してたから断っていたの。
でも・・・時間があるのならって。
元々予定していた時間でしょ?ぽっかり穴が開いたようで寂しかったの、それでね・・・
その後で彼と二人でお部屋に。少し時間の・・・なんて言えばいいかな?兎に角、お部屋で
セックスしたの」
「それで遅くなったのか?」
「どう説明したらいいのか、あのね、他の事もあってその事と関係あるのね。それを説明する時に
お話ししてもいい?」
「複雑なら、それでもいいが・・・」
「話せないんじゃないの、纏めて話さないと私も上手く話せないと思うの。あなたに理解して
もらうには、その時がいいかなって」
「僕が携帯に掛けた時は何処に居たんだ?」
「・・・ホテルに向かってるって言った時は、コンビニで買い物をしていた時なの」

その時は抱き合っていた時なのですから、タイムラグはありますが、目くじらを立てるほどの
時間差ではありません。

「何も持っていなかっただろ?」
「彼と・・・喉が渇いて、セックスしたでしょ?それで。彼は缶ビール、私はジュース、あなたの
好きなオレンジジュース。ほんとよ、うふっ」
「詭弁だろ?はははっ」
「心はあなたのところに早く行きたかったの。だって、一ヶ月も会ってないんだもの」
「信じろと?」
「信じて下さい」
「体はまだ向かっていなかった?」
「彼の手の中に・・・お互いに抱き合ってキスして。ホテルとコンビニとの間に少し隙間が
あるでしょ?そこで・・・人が通ってるから、キスだけ・・・違うわ、お互いに愛撫しようと、
彼ね、ペニスを出そうとした時にあなたから携帯に。焦ったわ、キスしながらも時間が気になって
いたから。早く発射させれば放してくれると思った時だったの」
「あそこか・・・少しうす暗いが無理じゃないか?通報されないとも限らないだろ?」
「うん、心配なのに後ろから挿れるって。仕方なかったの、まだ体は彼の愛撫に翻弄されていた
のね。パンツを脱ぐなんてできないから、横にずらそうとしていた時、だからニアミスかな?」
「はははっ、ニアミス?」
「だって、ペニスとオマンコの接近中に、携帯が鳴ったんだもの。これって、異常接近の警告
でしょ?」
「グッドタイミングだった?ほんとか?」
「バッドなんて言えないでしょ?愛するあなただもの、うふっ」
「はははっ、正直に話せよ」
「ホントだもの、神の助けって思ったのよ。でも、発射させると決めていたから、ちょこっと
残念だったかな?嘘よ、うふっ」

峠を越えたと思ったのでしょう、普段の彼女が顔を出します。

「まぁ、どちらでもいいが、あの隙間でセックスするとは、変態と淫乱しかやらないだろ?」
「ホントそう思うわ・・・ちょこっと淫乱の顔を出したかも。あっ?!その事も纏めの時に
話すわね」
「肝心な・・・でもないか?食事とホテルは?ここじゃないだろ?」

分って聞くのですから、可笑しくなります。


[23] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/01 (日) 16:14 ID:Yqtib.4. No.201037



「えっ?何処だと思ったの?私の行動エリアは彼も守ってくれてるから。あのね、このホテルなの。
お食事はあなたとも何度か入った、ビュッフェスタイルのレストランだったの」
「ん?・・・騒がしいだろ?」
「うん・・・その事も・・・」
「まとめで話すか?」
「ごめんね、繋がりがあるから、そうしたいの。怒らないでね?」
「分からないことだらけだね。説明できたのは、今夜のセフレの彼との行動だけか。
ん?名前も職業も何も聞いていないが、どうして話さないんだ?」
「名前はね、渡辺って言うの。職業は企業のコンサルタントなの。ねぇ、少し疑問に思ってる
ことがあるって話したでしょ?だからね、それも・・・」
「まとめ?」
「うん、ほんとにごめんなさい。とても反省しています。あなたに話せないことはないのに、
今は話せないの・・・あっ?誰かを庇ってるとかそう言うんじゃないから、信じて下さい」
「誰か?渡辺じゃないのか?」
「違うもん、彼の事はこれからかな?」
「これからでもどうでもいいけど、いつ話すつもりなんだ?」
「あのね、私なりに考えがあって、一週間では無理かな?二週間かな?それより遅くはならないと
思うの」
「思うところがあるのなら、それまで待つかな?その時に僕からも話があるから、いいね?」
「うん・・・あなたの話って、このことでしょ?叱られるのは覚悟してるけど、それ以上の事って
何もないよね?」
「あったら?」
「そんな・・・ダメ!あなたと一緒に居たいの。離れたくない、私が悪かったの、全て私が・・・」
「いずみに任せたんだから、僕に責任がある。まぁ、そうと決まった訳じゃないだろ?
その男に瑕疵があったってだけなら、何も恐れることはないだろ?」
「うん・・・そうかもしれないけど・・・」
「堂々巡りだろ?一ヶ月ぶりに会ったんだから、楽しい話をしないか?」
「うん・・・何があるかな?お仕事のお話じゃつまらないでしょ?・・・あれ?・・・
携帯が・・・」
「いずみじゃないか?」

ラウンドテーブルに置いているバッグから聞こえてきます。
私の携帯もそこに置いているのですが、点灯していません。

「・・・出ないといけない?」
「好きにしていいよ。渡辺だろ?」
「じゃ、寝たことにするわ、いいでしょ?あなたと居るのに邪魔されたくないもの」

ところが、数分置きに何度も掛かってきます。

「どうしよう?これじゃお話もできないわ」
「出るか?」
「うん・・・あのね、オーナーと同じようなお話しになるかも?怒らないでね?」
「思ってることが成就するまでだろ?」
「あなたって・・・あのね、11時30分過ぎなら構わないって話してるの。おやすみメールを邪魔
されない時間帯かな?だからね、10時30分頃も」
「約束してた?」
「はっきりとは・・・掛かって来るかもとは思っていたけど。話さなくてごめんなさい。
ほんとにイヤなの、あなたと居る時にお話しするのって」
「普段通りに話さないと、疑われるだろ?他の男と居ると。はははっ」
「ほんとだ!他にもセフレが居るって思わせようかな?」
「出ろよ、うるさいからね」
「うん・・・スピーカーにしないと・・・ごめんなさい、怒った?」
「バッグから出して、持ってくる、いいね?」


[24] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/01 (日) 17:22 ID:Yqtib.4. No.201038



初めて見る携帯です。

「ん?・・・そういうことか?」
「うん・・・これも説明するから、ほんとに怒らないでね?」
「待ちくたびれてるぞ。早く出て早く終わらせろよ、いいね?」
「うん・・・スピーカーにします」

私に抱き付いたまま、携帯に話し掛けます。


『ごめんね?何度か掛けたの?』
『忘れるくらいだよ。出ないと明日の朝まで掛けてたかな?』
『疲れたから、いつもより早く寝てしまって』
『疲れた?嘘だろ?物足りないから、あそこでやろうって誘っただろ?』
『やりたいって言ったのは誰なの?』
『早く終わらせたかったんだろ?』
『どうしてそう思うの?』
『それが聞きたくて。あの後誰かと会っていたんじゃないだろうね?』
『そうだったら?』
『アレ?機嫌が悪いのか?』
『寝てたって言ったでしょ?起こされたら誰でも気分のいいものじゃないでしょ?』
『隣に誰かいるのか?』
『居たら?』
『本気か?』
『居る訳ないでしょ?ナベしかいないんだもの』
『そうだな・・・悪かったよ、疑って』
『もういいでしょ?ほんとに疲れたの』
『やり過ぎたか?はははっ』
『かもね?うふっ・・・寂しい?』
『アヤは?』
『言わせないで・・・早く会いたいわ』
『決まったら連絡するから。楽しみだろ?』
『うん・・・早く決めてね?』
『明日か明後日には。そうだった、時間が取れたら写真を撮るからね』
『イヤらしい?』
『その時だよ。じゃ、早く寝て』
『うん・・・大好きよ、チュッ!』
『はははっ、じゃあ』


携帯を胸のところに置いて、

「ごめんね?分かった?」
「アヤ?ニックネームじゃないだろ?はははっ」
「だって、セフレですもの、本名はご法度でしょ?」
「セフレのルールかい?」
「そうでしょ?何処の誰とも分からない人なのよ。JINさんからコイズミ君まではバックグラウンド
が分ってお付き合いしたでしょ?彼は・・・あっ?!ナベって聞こえた?」
「何センチも離れていない愛妻が口にした言葉は重いからね、はははっ」
「近過ぎた?うふっ」
「もっと近づきたいんだろ?」
「もっと重くなりたいもの・・・愛してるの・・・でも、今夜はルール違反だから、二番目の
距離感でお願いします、うふっ」


[25] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/07 (土) 12:12 ID:LKPNupfo No.201183



「ルールだらけだね。三日ルールは生きてるのかい?」
「うん・・・今は違反かな?・・・ねぇ、それも・・・あれ?それってあなたとの時だもの。
失言かな?うふっ」
「纏めるかい?失言も含めて」
「ごめんなさい。私ね、要約がダメって指摘されてるでしょ?それって、あなただからだと思うの。
お仕事では・・・自分で言うのって自慢してるみたいだけど、そういうんじゃないのよ」
「楊さんも褒めてたからね。僕の前では”蛇に睨まれた蛙”かい?」
「萎縮してしまうの。どうしてもあなたには勝てないんだもの。きっとね、愛する気持ちが強過ぎ
ると思うの。一歩下がってとか言うでしょ?何歩下がってもその気持ちは変わらないし、下がれば
下がる程、あなたが見えなくなるんだもの。これって、くっ付くしかないでしょ?うふふっ」
「僕だけにしろとは言えないが、くっ付く相手の見る目を養わないとダメだろ?」
「まだ分からないの。だからね、半信半疑かな?そんなに時間もかからないと思ってるんだけど、
あなたに話したのも分るでしょ?」
「自己弁護だろ?」
「それはあるかな?白ならいいんだけど、真っ黒だったら、叱られるだけでは済まないかもしれ
ない、”任せてるのにこのざまは何だ!”って、そう思えて、出来るだけ撒いておこうかなって」
「はははっ、悪知恵が働く間は大丈夫だよ。僕を安心させるのも、愛情だと思うよ」
「うん・・・頑張ります。”ナニに?”って聞かないでね?」
「イロイロ、エロエロ?」
「どちらもかな?・・・もう!逸らさないでね?」
「戻すか?」
「名前からね・・・あのね、橋本綾にしたの。ほんとは橋本綾見の綾見ちゃんを拝借しようと
したのに、綾見の”見”が聞こえなかったみたいなの。可笑しいでしょ?綾でもいいかって、
糸偏の綾なの」

明日、渡辺に連絡した時に、”アヤ”と教えてくれるでしょうが、私が事前に聴取しているとは、
夢にも思っていないでしょうから、可笑しくなってきます。

「綾見ちゃんが東京に来てるのに、会ってないのか?」
「綾見ちゃんって商社でしょ?超多忙って明日香ちゃんから聞いてるし、私も同じような毎日
でしょ?会いたくても会えないかな?綾見ちゃんって女風を利用してるんでしょ?あっちの方は
処理できてるみたいね」
「はははっ、いずみは渡辺かい?」
「それと、彼のお友達・・・あれ?まとめに纏めさせてくれない?うふっ」

先に撒いておくことで、私の怒りの軽減を狙っていることは丸分りです。

「それはその時だが、ナベは渡辺のナベだと誰でも分かるだろ?セフレで名前を使わないとは、
何だか不自然だし、距離感があるように思えるね」
「そうでしょ?初めてかな?あれなの、昔からナベって呼ばれてるから、それにしたいって。
ニックネームと同じね」
「やはり違和感は拭えないね・・・まぁ、どうでもいいことだが、はははっ、あれだね、
敬称抜きだから、相当深い付き合いのように見えるね。レッドラインを意識しないといけない状態
まで来てるのなら、事実より真実に比重を置かないと、驚く様な事態にならないとも言えない
からね」
「うん・・・だから・・・纏めて・・・いいでしょ?・・・ねぇ、どうして聞かないの?」
「いずみがいつ話すか・・・はははっ、写真だろ?」
「うん、あなたが聞かなかったらどうしようって、気になっていたの」


[26] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/07 (土) 14:40 ID:LKPNupfo No.201189



「僕が報告を受けたのが5月だっただろ?その前からだろうけど、一ヶ月前に知り合ったのなら、
約5カ月経過してることになる。短いとは言えないから、呼び捨ても、写真も分らないではないね」
「うん・・・短いようで長いかな?お付き合いを始めた経緯も”まとめ”で、いいでしょ?
写真の事ね、最初はツーショットだったから、気にならなかった。でも、セフレだから裸の
お付き合いでしょ?そのために会っているんだもの。だからね、裸を撮りたいのは分からないでも
ないでしょ?私って分からないのならって、渋々OKしたの。これってとてもセンシティブでしょ?
あれ?私じゃないと思ってる?」
「言いたいことは分かるけどね、相手によるだろ?」
「そうなの。セフレとしてのお付き合いだから微妙でしょ?拡散されたら大変だもの」
「顔のないヌードなんて誰も見たくないだろ?」
「だから微妙なの。後ろからとか、斜め後ろからの横顔とかね・・・パーツはアップで・・・
そんな感じのものなの」
「はははっ、抜けてるだろ?それだけで収まらないのは、いずみも分っていただろ?」
「うふふっ、ダメね。逝った後とかは抵抗できないでしょ?ハメ撮りは神経を使うわよ。
私的には余韻を楽しめないから、最悪ね。あれよ、後で全て確認して危ない写真は削除したから
大丈夫よ」
「まぁ、そうしとこうか。ネットに流れたら削除は難しいからね」
「うん・・・これも・・・あれ?まとめで報告します、うふっ」
「じゃ、セフレの話はお終いとしようか?」
「ねぇ、私達の今夜はまだ終わらないでしょ?」
「はははっ、三日ルールは?」
「だからね、二番目の距離感って言ったでしょ?分かるでしょ?」
「一番は・・・はははっ、僕にも一番があったのかい?居心地のいい二番を用意してくれてると
思っていたのにね」
「それはひろ子ちゃんとの事でしょ?今はあなたと私でしょ?一番は・・・」
「性器結合だろ?」
「うん・・・このままでもいい?あなたに抱き付いて眠りたいの。でも、あなたが寝るまでは
起きてるから」
「あれ?疲れたから早く寝るんじゃなかったのかい?」
「嘘も方便でしょ?違うわ、れっきとした嘘だもの。セフレとはそういう関係、名前もバック
グラウンドも何もかも嘘で固めてるんだもの。もしかしたら、彼もそうかもよ?」
「偽名か?仕事も?」
「仕事はそうかもしれないわ。それも、まとめで・・・ごめんね?」

全ては纏めて報告すると言う彼女には、半信半疑と言いながら、ある推測に辿り着こうとしている
ように思えるのです。
彼女一人では到底調査もおぼつかない筈ですから、第三者に依頼していると推測しても間違って
はいないでしょう。


いつものことですが、彼女は7時前にはホテルを出て、ひろ子に朝食を食べさせてから、8時に
戻って来ます。
昨年はひろ子と一緒に朝食を摂っていたのですが、東京在住になってからは、そのパターンを
変えています。

私と朝食後、チェックアウトを済ませてから、ひろ子を呼ぶことにしています。
直ぐに昼になるのですが、ホテル近隣の商業施設でウインドーショッピングを楽しんだ後、
ひろ子の好きなレストランで昼食です。

その後、3時頃まで一緒に過ごしてから、空港行の私鉄の改札前で別れます。
改札を入らない訳にはいきませんから、改札を通過してから、そこまで戻ります。


[27] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/07 (土) 16:16 ID:LKPNupfo No.201192



「小田さんですね?」

彼女と娘の姿が見えない事を確認していると、後ろから声を掛けられます。

「えっ?・・・」

振り返るとラフな服装の若い女性です。

「・・・清水探偵事務所の?・・・」
「そうです。所長から届けるようにと」

小さな手提げの紙袋を差し出します。

受取りながら、

「中で・・・そうですね?流石です。ありがとう」
「所長から伝言です。お約束通り、奥様の追跡を開始しました。いいですね?」
「えぇ、ここは騒がしいですから、空港に着いたら連絡すると伝えて下さい」

携帯を取り出してから、その袋を返却します。

「それと、所長と私ともう一人、三人で調査します。よろしくお願いします」
「それは・・・こちらこそ、よろしくお願いしますね」

探偵事務所の内実は全く分らないのですが、三人一組なのかもしれません。
徒歩、バイク、車とかに別れるのでしょうが、何にも分からない私が推測する事は全く無意味です。


渡辺という男の実像、彼女との関係性が徐々に明らかになっていくだろうと、電車に揺られながら
考えていると、30分弱の乗車時間もかなり短く感じられます。

チェックインを済ませて、出発ロビーのカフェに向かいます。
人気店ですから、満席も考えられたのですが、ラッキーなことに席を確保できます。

コーヒーを一口飲んでから、渡辺の携帯に掛けます。
腕時計は、4時前を指しています。

待っていたのでしょう、直ぐに出ます。


『もしもし・・・野田さん?』
『済まないね、遅くなって』
『そろそろかなと。では日にちですが、希望とかありますか?』
『ウィークディは仕事で時間が取れそうもないですからね。できれば、土・日なら、どうですか?』
『それは良かったですよ。妻も忙しいものですから、土・日なら有難いですね・・・そうだろ?』
『傍に奥さんがいるのですね?』
『えぇ、野田さんの事が気になってるようですよ・・・はははっ、早く会いたいと・・・チュッ!
・・・すみません。来週は予定があるので、二週間先なら、土・日どちらでもいいですよ』
『じゃ、土曜日に、二週間先ですね?』
『了解です。妻の名前ですが、アヤと言います。ホテルですが、妻の要望もあって昨夜のホテルで
お願いしたいのですが、いいですか?』
『アヤさん、可愛い名前ですね。時間は希望できますか?』
『夕方までなら。できれば、午前でも遅い時間、午後ならいつでも・・・初めてですから、2時間
くらいでお願いできますか?』
『チェックインが3時からでしょ?少し余裕をみて、3時30分ではどうですか?』
『了解です。それじゃ、5時30分まででいいですね?部屋に入られたら連絡下さいね。それを合図
に妻を行かせますから。カードキーの一枚は、奥さんが後から来るとフロントに預けて下さい』
『えぇ、アヤさんの顔が分かればロビーまで迎えに行きますが、それは会うまでのお楽しみ
ですね?』
『そうですね。気に入って頂ければ、二回目以降もありますから。約束が出来ましたから、少し
お見せしましょうか?・・・えっ?恥ずかしい?はははっ、喜んでいるんですよ。では後で、
送っておきます。あっ?!SNSのFBのメッセンジャーはインストールされていますか?』
『大丈夫です。今後はそれを使いますか?』
『LINEは何かと目立ちますから・・・良かったです』
『仕事で北米に掛けますからね。メールも電話も無料なのは有難いですよ』

安心材料になる筈です。


[28] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/07 (土) 17:14 ID:LKPNupfo No.201193



『妻の提案なんですよ。メールも画像も速いですからね。信じてもらえないかもしれないですが、
妻はアメリカにも顧客が居るんですよ。あれ?話したらダメだったかな?・・・
ちょっと待って下さいね・・・』

口が滑ったのか、信じさせるために話したのかは不明ですが、その顧客について、彼が確認を
取れない相手だとしたら、彼女の手腕が勝っていることになります。
現に、会話はネイティブとは言えないまでも、必要十分な交渉力を発揮しています。

『・・・すみません。イレギュラーでしたね。野田さんも英語が堪能でしょうから、お話しが
楽しみだと、妻も早く会いたいと言って・・・あれ?勝手に話すなって、笑っていますから、
楽しみにしてるみたいですよ』
『そうですか、アメリカに・・・キャリアウーマンそのモノですね。僕も早く会いたいですね』
『それじゃ、二週間後の土曜日に。後で妻の画像を送っておきます、参考にして下さい』
『はははっ、楽しみですね。じゃ、その時に』

彼女もセフレとは言え、それ相応の開示はしている様です。
バイリンガルについては、渡辺が入り込めない領域だと判断したと思えるのです。
なにかについて、優位性はその時々に役立つことは十分に理解している様です。


携帯を切って、コーヒーを飲み干してから、清水さんに掛けます。


『もしもし、清水です』
『小田です。連絡が遅くなって申し訳ない』
『いつになりましたか?』
『二週間先の土曜日、午後3時半、お話ししたホテルで。いいですか?』
『二週間ですか、時間があるのは有難いですね。その前に調査報告書をお渡しできると思います』
『それは有難いですね。ところで、お願いがあるのですが・・・』
『何か?出来る事なら何なりと』
『SNSのFBはご存知でしょ?』
『創業者は大富豪でしょ?それが何か?』
『携帯にインストールしたいのですが、渡辺からの要請でね』
『LINEとかは使いたくないか、なるほど・・・いいですよ、好きに使って下さい』
『どうなんでしょうね、日本での主流はLINEなんですか?』
『詳しくは・・・それはそうと、報告はタイムリーにしますか?』
『通例では?』
『しないですね。調査報告書をお渡しする時に、説明するのが通例です』
『それなら・・・こちらから・・・』

カットされます。

『すみません。そのことですが、いいですか?』
『えぇ、何か?』
『岩城警部から適宜報告をするように指示されていますから、それでお聞きしたのですが』
『そうですか・・・では、動きのあった時は連絡してもらえますか?』
『了解ですが、既に動きがありましたね』

渡辺と会っていることは、彼との会話から知り得ています。


[29] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/08 (日) 15:03 ID:0zZJuRxw No.201227



『そうですか、教えてくれますか?』
『小田さんを駅まで送って、駅前の交差点をホテル側に渡ったところで、そこで待っていた
中年の女性にお嬢さんを預けました。その女性はご存知ですか?』
『えぇ、アキさんといって娘のナニーなんです。それと家事一般をお願いしています』
『住み込みですか?』
『えぇ、大変助けになっています』
『分りました。お嬢さんと別れた奥様は、隣のホテルに隣接しているコンビニの前まで移動
しました。そこで待っていた男性と腕を組んで直ぐに歩き出しましたから、行先は決めていた
ようです。坂道の歩道に出て、少し上がってから左折し、その通りを真っ直ぐに・・・
人通りも少ないですから、イチャイチャしてるようで、時折キスしながら歩きます。
途中、その男性の携帯に着信があり、立ち止まって話すのですが、話しの内容までは分かりません。調査員の女性、お会いになった彼女ですが、二人を追い抜いて直ぐに靴紐がほどけたと見せて、
聞き取れた内容ですが、”6時ですね?”と”妻も楽しみにしています”です。
この男が渡辺で間違いないですね。小田さんに持ち掛けた話と符号しますね』
『今夜もですか・・・』
『笑顔の奥様ですから、強制されている様にはとても思えないですね』
『分りました。その後は?』
『先程のコンビニから徒歩で15分程のマンションに入りました。今も見張っていますが、動きは
ありません』
『5時過ぎのフライトですから、もし連絡するのでしたら、6時30分以降にお願いできますか?』
『了解です』


腕時計は、4時30分に近付いています。
保安検査場を通過して、ゲート前まで来ます。

渡辺との連絡用SNSをインストールします。
当然、名前は”野田”です。

食事は出来るだけ娘と一緒と決めてはいるのですが、昨年のように厳格ではありません。
彼女は多忙を極めていますから、食事の時間もままならないことも多々あると聞いています。
それもあって、経験豊富なアキさんを迎えたのも頷けます。
私も認めない訳にはいかないのですから、彼女もある意味自由に動ける免罪符を手にしたと
言っても過言ではありません。
それはウィークディのことなのですが、なし崩し的に土・日にも適用されていきます。


機内でも頭に浮かぶのは、渡辺の事です。
彼女の行動は、昨夜の一件から今夜の予定までを考えれば、目的が何かは容易に推測できます。
ただ、金銭が絡んでいるとしたら、彼女は関知していないか、知っていても知らない振りを
していると思えるのです。
渡辺と共謀しているとは到底思えないのですが、敢えて知らない振りを通す理由があるのか、
それが問題であり、私の知りたいところです。
二人の関係性は複雑ではないと思えるのですが、渡辺の素性を一刻も早く知らなければ、解決策も
ままなりません。


大阪空港に着いて直ぐ、カフェに入ります。
6時30分になろうとしていますが、渡辺からも清水さんからも連絡はありません。
清水さんならもう少し後になるのは理解出来るのですが、渡辺から画像が送られていてもおかしく
ない時間帯です。
よくよく考えれば、”野田”だけでは特定できない事に気付きます。
フルネームを知らしていないのですから、当然と言えば当然です。
この時間は、彼女が関係を持つ男性と会っているでしょうから、携帯に掛けても問題ないと判断
するのですが、昨夜のような展開なら、三人で食事中かもしれません。
そうであっても、連絡できない状況は不信感を持たれることも考えられます。
見えない状況とはいえ、掛けることにします。


[30] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/08 (日) 17:02 ID:0zZJuRxw No.201230



何度かコールして、


『もしもし、渡辺ですが』
『野田です。今話せますか?』
『野田さん、待ってたんですよ』
『気付くのが遅くなって、申し訳ない』
『今ね、食事中でね・・・聞こえますか?』
『少し騒がしいですね。何が聞えるのですか?』
『妻の声ですよ・・・聞こえるでしょ?』
『いや、何も・・・』
『話し声ですから、聞きづらいかもですね』

あまり話したくない様な雰囲気でしたから、登録しているフルネームを伝えて、携帯を切ります。

食事中は推測通りだったようです。
昨夜と同じパターンだとしたら、7時前には部屋に向かう筈です。
そうであるのなら、SNSの確認のためにメールか電話あると推測します。
案の定、7時少し前にSNSのメールで私を確認してから、電話に切り替えます。


『先程は申し訳なかったですね』
『食事中に掛けて、こちらこそ悪いことをしました』
『野田さんとは約束が出来ましたから、話してもいいかと・・・』
『食事の事ですか?』
『はははっ、昨夜の事を覚えていたのですね?』
『えぇ、三人で食事だったと。渡辺さんに声を掛けられたのが始まりですからね』
『そうでしたね。昨夜の事とは思えない程、お近づき出来て嬉しく思っています』
『ご丁寧に、恐縮しますよ、はははっ』
『昨夜と同じです。先程、お相手の男性と妻はレストランを出ましたから、そろそろじゃない
かと』
『はははっ、”そろそろ”とは焦点が合っていないようですね?』
『それじゃ、”今すぐ”ですか?』
『”今にも”なら核心を突いていると思いませんか?』
『なるほど。繋がる瞬間を表現していますね。野田さんに座布団一枚、はははっ』
『渡辺さんはユーモアがおありですね。楽しく話せるのは有難いですよ』
『僕もです。座布団一枚と言いましたが、座布団など貰っても楽しくはないでしょ?
お約束した通り、妻の画像を何枚か送っておきます。昨夜とは違ってご禁制のモノですから、
お取り扱いには、十分注意して下さいね、はははっ』
『それは有難いです。お相手の男性には・・・そうですね、最初だけですよね?』
『妄想をかき立てる手助けになるものですから、会ってしまえば必要ないモノですね』
『なるほど。生身に勝るものは無し、ですね?』
『生身どころか生中だし、自然な行為を求めていますから、ゴムなど邪道だと理解して下さい』
『本気モードだと、そういうことですね?』
『妻は真剣そのものです。心から愛し合いたいと願っていますから、勇み足も・・・
力が入り過ぎることが玉に瑕ですが』
『玉を潰すとか、そういうことなら考えないといけないですね、はははっ』
『大事なところは大丈夫ですよ、丁寧に扱いますから。欠点どころか上と下の口で咥えて放さない
ですから、それが玉に瑕かと。そういう行為なら大歓迎でしょ?』
『じゃ、今まさに咥えて放さない行為の真っ最中、今夜のお相手の方は大満足でしょうね』
『そうなんですが・・・続けて出来ないことが多くて、僕が補充しないと。まぁ、妻もそれを
望んでいるんですよ』
『不足を補う、そうですね?』
『えぇ、満足には程遠くて。あっ?野田さんがどうとかじゃなくて、普通に満足できないんですね。
ですから、信用のおける方にお願いしてる訳なんです。ただね、そういう方はどうしても年齢的な
こともあって、体力勝負には向かないですからね。かといって、若い男性だと色々と面倒なことも
ありますから、難しいですね』
『痛し痒し、ですね。僕も同じ部類でしょうから、奥さんに喜んでもらえるとは思えないですね』
『皆さんがそうだとは限らないですから。昨夜と今夜の方は、補充が必要ですが、野田さんは
まだ分からないでしょ?その時に妻が判断しますから。初めての方を2時間と決めているのは、
妻が見極める必要最小限の時間と判断したからです』
『二週間先に審判が下されるのですか・・・頑張らないといけないですね、はははっ』
『僕の出番がない程、楽しませてやって下さい、はははっ』
『ところで、今夜も補充でしたら、こうして話していても大丈夫なんですか?』
『まだ時間は・・・8時過ぎに妻から連絡があれば、補充要員の出番なんです。それ迄は話して
・・・野田さんは大丈夫ですか、話していて』


[31] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/08 (日) 21:34 ID:0zZJuRxw No.201233



腕時計に目を落すと、8時までには30分もあります。
このまま話すには、材料不足です。
材料は、彼の妻、私の妻ですが、彼女の画像をネタにして、何かを引き出せるかもしれません。
それに、彼女からの連絡時の様子が分かるかもしれません。

『大丈夫ですが・・・できれば・・・』
『そうでしたね、今から送りますから。一度切りますね?』

一分も掛からずにそれは届きます。
ところが、彼からは何の音沙汰もありません。
彼女からの連絡を受けて、補充に行ったとしか思えません。
気にしても始まらないのですから、送られてきた画像を一瞥してから、清水さんに掛けます。
知らない女性なら、まじまじと眺めるでしょうが、その必要は全くありません。


『もしもし、清水です』
『小田です。こちらから掛けて申し訳ない。何か動きは?』
『奥様がロビーに降りて来てからの動きを監視後、連絡する予定でした』
『今はホテルの客室ですね?』
『5時30分頃に渡辺と一緒にマンションから出て来ました。そのまま真っ直ぐ昨日のあのホテルに。
ロビーで50歳くらいの男性と落ち合って、チェックインを済ませてから、三人でホテルの
レストランに。レストランの中は、小田さんに携帯をお渡しした彼女が、その様子を監視して
います。今はロビーで奥様が降りて来るのを待っている状態です』
『分りました。渡辺は?』
『奥様とその男性を送り出してから、携帯で誰かと話していたのですが、少ししてからまた携帯に、
その前も話していた様ですから、途切れることなく誰かと話していたのは間違いありません。
レストランでの様子なのですが、写真は取れなかったのですが、様子は彼女が見ていますから、
代わりましょうか?・・・あれ?切りますね。直ぐに掛けますから』

数分も待たずに掛かって来ます。

『すみません。奥様が先程の男性と降りて来たものですから。エレベーターホールからロビーを
横切って玄関まで。始終笑顔で腕を組まれて、別れ際にキスをしていました。
その男性と別れて直ぐにエレベーターホールに戻ったのですが、驚くことに渡辺が待っていた
のです。エレベーターに乗りましたから、客室に戻ったと思われます』

渡辺が話した通りの行動です。
既定路線だったことは間違いないようです。

『玄関で別れた男性ですが、1時間程ですか?』
『そうですね・・・ショートの約束なのか、渡辺のための行為かもしれませんね』
『ネトラレですか?』
『今現在の段階では何とも言えないですが、それも含めて調査します。それと、その男性を
調査員が追跡していますから、追って人物像が判明すると思います』
『役に立ちますか?』
『妻帯者でしょうし、社会的な立ち位置も含めて、不倫が表立てになるのは避けたいでしょうから、
色々と聞き出せると思います』
『なるほど。彼の奥さんに不倫を気付かれないという前提が必要ですね』
『そうなると、こちらが不利になりますから、出来るだけ早く彼を問い詰めたいですね』
『分りました。お任せしますが・・・』
『奥様がロビーに降りて来て帰られる迄は監視を続けますが、そのまま泊まることも考えられます
から、日にちが変わる頃までに姿を見せなければ、一旦、撤収して朝一からまた継続します』
『僕に連絡することになっていますから、10時30分迄にはロビーに降りて来ると思います』
『分りました。では、その事を確認してから連絡します・・・そうそう、思い出しました。
先程の彼女の目撃情報ですが、代わりますから・・・』

”あっ?後日でも・・・”と言い掛けたのですが、間に合いません。


[32] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/14 (土) 12:21 ID:J9iEAGI6 No.201394



『・・・代わりました。お話ししても大丈夫ですか?』
『まぁ、そうですね。出来れば手短に』
『分りました。レストランはいつもの事ですが、かなり混雑していました。ですから、変な動きが
あっても気にならない、そんな雰囲気ですから、大胆になれるんだと思います。
お隣りのお客さん、女性一人だったのですが、気付かない筈もありません。あからさまに怪訝な
表情で、急いで食べて睨んで席を立ったのですから、その状況は分かると思います』
『公序良俗に反していたと、そういうことですね?』
『えっ?・・・それって、そこまでは。キスは普通にしていましたし、渡辺が隠すようにして、
胸を触らせていたようです。ハッキリは見えなかったのですが、奥様が男性の股間に顔を埋めて
フェラしたように見えたのですが、とても短い時間でしたから、挨拶って感じでした。
お隣りの女性はそれが分かったから、気分を害されたんだと思います。
監視している私もドキドキする瞬間でしたが、股間から顔を上げた奥様の笑顔には胸がキュッと
なって、とても美しんです。ほんとに見とれてしまって、お仕事を忘れそうでした』
『はははっ、話半分って言うでしょ?美人のくだりはそう理解しておきます』
『うふふっ、ご謙遜を。あっ?!すみません、余計な事を言って。それと、お隣りの女性と言い
ましたが、彼女は私から見て右隣、左側は壁でしたから、奥様達は一番奥の席でした。
壁側にその男性、隣に奥様、私からは顔が見える位置関係です。奥様の前が渡辺です。
お隣りの女性は奥様の隣になります』
『失言だと思わずに話して下さいね。妻の状況も見えるようで有難いですよ。じゃ、清水さんに
代わって下さい』

ほんの少しのタイムラグの後、

『無駄話が多過ぎますね。後で叱っておきます。簡潔にご説明するようにと、常々指導している
のですが。では、先程の打ち合わせ通りで監視します』
『大変ですが、宜しくお願いします』


空港で食事を済ませてから帰宅したのが、午後10時頃です。
汗を流してから、昨日から今夜までの一連の彼女の行動を時系列で思い出しながら、気になる
ところをピックアップします。
ところが、どうしても引っ掛かるのは、私を選別した理由です。
あまりにも安易ですから、反対の立場ならあり得ない選択です。
そう考えれば、事前に私のバックグラウンドを知っていたことになるのですが、そうだとしたら、
誰が何の目的で、目的とは言えるものがなかったとしても、私に白羽の矢を立てる意味も理由も
全く分りません。

渡辺とは過去にも会った記憶は全くありません。
仕事絡みだとしても、経営コンサルタントを生業にしている人との接点もありません。
私の関知しないところで、一方的に認識されているとしたら、それは仕方ないことですが、
そうであるのなら、彼女と関係があるとしか思えないのです。
彼とセフレの関係だと聞かされたのは、5月中旬でしたから、それ以降に私の存在を察知したと
しても、彼女からではない事は断言できます。
それなら、彼女と居るところを見られたことになりますが、私に持ち掛けた理由が何であれ、
彼女の夫だと認識していないことが理由だとしても、少なくとも顔見知り程度だとは分る筈
ですから、その理由に説明を付けるのは、非常に困難な作業であり、理由付けできるとしても、
全く受け入れられるものではないことは分かり切っています。

私を選別した意味も理由も分らないとしても、原点は彼女の性欲の処理という明快な理由が
存在します。それに焦点を当てれば、深く考えることもないと思う反面、私以外の男性の選別基準
があるとしたら、私も含めてそれを知ることが出来れば、この問題もそう難しくなく解き明かせる
とも思えるのです。
どちらにしても、推測でしかないのですから、二週間後の展開を待ってみるのも一考だと、考える
のを止めます。

何も分らない時は、無の境地、これしかありません。
少しでも見えるものがあれば、思考回路をフル回転させてそれを解き明かしていく、そういう姿勢
で臨むことが解決の糸口になると思っています。


[33] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/14 (土) 15:10 ID:J9iEAGI6 No.201397



PCを操作しながらの思考は、イギリス人かなと苦笑です。
仕事に関するメールを処理しながらですから、それ相応の考えしかできないのかもしれません。

最近立ち上げた会社の関連メールも、彼女から届いています。
昨日の昼間に送信されたことが、メールの送信日時から分かります。
多忙を極めていることは百も承知していますが、その反動が性欲を助長させていると推測しても、
間違っているとは思えません。

PC画面の時間は、午後10時30分を回っていますが、清水さんからも、渡辺からも連絡はありません。
推測通りなら、彼女はホテルを出ている筈ですから、尻切れトンボになっている渡辺から掛かって
きてもおかしくない時間です。
少し気になる程度ですから、深く考えている訳ではありません。
連絡があってもなかっても、進めていく事に何ら変わりはありません。
それでも時間が気になるのですから、困ったものです。

10時40分過ぎに、メール着信音が鳴ります。
彼女にしては少し早いですから、渡辺だろうと携帯を見ると、案の定、彼からです。
先に画像、遅れてメールです。

[画像を送ったまま連絡出来なくて、すみません。二枚追加します。今夜のレストランです]

画像は先に届いた裸のモノではありません。
当然ですが、顔は写っていませんが、男性とキスしてる様な後ろから撮ったモノ、股間に顔を
埋めているモノです。

返信しようとした時に、電話に切り替わります。


『遅くなってすみません。見られましたか?』
『えぇ、でもあれですね、顔がないのは感情を高ぶらせるには物足りないですね』
『パーツでもダメですか?』
『M字開脚は刺激的ですが、胸までとは。如何ともしがたいものを感じますね』
『はははっ、それが精一杯ですね。僕は出したいんですが、妻がうるさくて。でも、あれですよ、
あの時の声は興奮モノですよ』
『そうだとしても、想像も出来ないですから、本番までのお楽しみですね?』
『そう言ってもらえれば。後悔させませんから。僕が言うのも何なんですけど、個人差があるのは
分かりますが、美人の部類に入ると思います』
『じゃ、その時ですね。ところで、奧さんは傍に居ないんですか?』
『あっ?!忘れていました。最初の画像を送った後に妻から連絡があって、それで・・・』
『補充は完了しましたか?はははっ』
『さっきまで。充填するには時間が掛かりますからね。今夜は特に物足りなかったようで、
1時間も経たずにSOSですから、野田さんに連絡する時間もなくて、遅くなって申し訳ないです。
傍には居るんですが、満足したんでしょうね、爆睡ですよ、はははっ』
『そうですか・・・お相手の男性は写真の?』
『混みあってるのは有難いですね。携帯で話している様にして撮るのは、難しくないですから。
後ろからですが、キスしてるのは分かるでしょ?』
『そうだろうとは想像できますね。ベアトップの服ですが・・・』
『ワンピースですね。タイトですが程よく体の線が出ると、妻がそう言っています。
ストラップが見えないでしょ?ノーブラ、ノーパンなんですよ』

昨夜と同じワンピースのようですが、タイトではなかったことから、同じワンピースではないかも
しれません。ただ、体の線云々については、認識の違いもありますから、上半身の写真ではあるの
ですが、同じだと判断できそうです。

『刺激的ですね。お相手の方もさぞかし興奮されたと、違いますか?』
『胸もアソコも触らせたのはいいんですが、フェラがいけなかったんでしょうね、興奮させ過ぎた
のか、ベッドでは直ぐに撃沈ですから、妻の愚痴も分らないではないですね、はははっ』


[34] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/14 (土) 16:34 ID:J9iEAGI6 No.201399



『レストランでは大胆過ぎでしょ?大丈夫なんですか?』
『事前に興奮させていますから、それが勝って周りは気にならないようです。
僕が指示するのですが、行き過ぎない様に手綱はシッカリ握っていますから、問題になるような
事はないと思っています』
『そうなのに、NGがあるとは不思議ですね?』
『画像でしょ?ハメてる時は”なんでもする”と言うんですが、いざその時になるとダメなん
です。ネットに流出したら消去なんて不可能ですから、妻の言うことも分らないではないですね』
『それが正解でしょうね。もう一つの画像がフェラですね?』
『そうですよ。妻が取り出して・・・真剣そのものですから、刺激し過ぎるんでしょうね、
口の中に射精ですよ。慌てる事なく笑顔を見せて、頬を膨らませて指示を仰ぐんですから、
可愛いでしょ?』
『問題ある行為ですね、はははっ』
『ちょっと慌てましたが、飲ませて一件落着でしたね』
『誰かに見られなかったですか?』
『隣に居た女性は気付いたと思いますね。非常に不愉快な表情を見せて、席を離れましたから。
ちょっとやり過ぎたかなと、小さく反省しています、はははっ』
『反省じゃなく興奮でしょ?少なくとも奥さんは』
『そうかもしれないですね。見られて興奮するタイプだと言っていますから』
『実力も侮れないですね。心してかからないと秒速でノックアウトされそうですね』
『その時まで準備していて下さい。じゃ、遅くなりましたから、この辺りで』
『そうですね。じゃ、その時に』


清水探偵事務所の女性が見た情景と符号するようです。
彼女の笑顔に胸がキュッとなった時の笑顔は、その男性の精液を口に含んでいた時だったので
しょう。
問題ないと自信の程を見せる渡辺ですが、問題ないとは到底言えない行為ですから、第三者に
通報される危険をはらんでいることを自覚させる必要があります。
それには、二週間後迄待たなければなりませんから、その日まで何も起こらない事を祈るばかり
です。

渡辺と彼女との関係性も見てくるのですが、性欲の発散に協力してくれる男性を募集するには、
”妻”と位置付けた方が真実味があることは理解出来ます。
ただ、そういう理由だけなのか、隠された事象が発覚しないか、それが気にはなります。


携帯を切って、PCを操作していると、携帯に着信です。
時間は午後11時を指しています。
いつものように届く”おやすみメール”です。

[おやすみ]の一言だけですが、それでお互いに安心を得ているのです。
話すこともなければ、私も[おやすみ]と返すだけです。
ですが、今夜の様子をどのように話すのか、聞きたくなります。

携帯に掛けると直ぐに出ます。


『何かあったの?』

冷静そのものです。


[35] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/14 (土) 18:36 ID:J9iEAGI6 No.201402



『寝てるかなと思ったから、メールが来て驚いたよ、はははっ』
『あり得ないでしょ?メールしないと何もできないもの』
『何かしてるのかい?』
『今から、お仕事。昨日のお昼間に送ったメール見てくれたでしょ?』
『大変だぞ。よくぞ引き受けたね』
『あなたに相談したでしょ?私に”任せる”だったから』
『無理は禁物だし、自分を追い込むのも程度モノだからね』
『うん・・・ちょこっと大変かな?追い込まれない様に気持ちの切り替えも大変かな?』
『大変が二回も?仕事以外にも大変な事があるのか?』
『ない事はないかな?』
『アレか?』
『アレって?』
『はははっ、容認してるんだから、誤魔化すなよ』
『そうなの・・・困るのよね。昨夜から大変だったでしょ?』
『セフレと会ってから僕とだったね。時間の配分が大変だった?』
『あなたが来るのよ。一ヶ月に一回しか会えないんだもの。大事な日なのに・・・あなたの懇親会
で約束の時間が遅くなったからって、お食事からセックスまで。あなたに叱られても仕方ないのに、
責任はあなたにあるって言ったでしょ?ホント泣きそうだったもの』
『終ったことだろ?気にしなくていいからね』
『うん・・・あのね、今からお仕事って言ったでしょ?』
『それまでに時間はあっただろ?ん?・・・そういうことか?』
『あなたを駅まで送って行ってから・・・彼と会っていたの。あなたに話すのか迷ったのよ。
でも、特に話すようなことがなければ構わないって、あなたと決めていたでしょ?』
『まぁ、話し難いのは分かるね。あの後すぐに?』
『土曜日の午後の遅い時間に会うと約束していたの。あなたが帰る時間は分かっていたから』
『ひろ子はアキさんに?』
『駅前の横断歩道を渡ったところで、アキさんに・・・それでね、コンビニの前で彼と会ったの』
『今から仕事だろ?ということは?』
『10時頃にお部屋を出たのね。駅前のタクシー乗り場まで送ってくれて、タクシーはダミーだけど、
仕方ないでしょ?クルって回ってお家に帰ったの』
『綾だから?はははっ』
『これも大変でしょ?うふっ』
『だね・・・あの時間からなら、食事もだね?』

キーポイントですから、どのように話すのか気になります。

『昨夜と同じように、ホテルのレストランで。彼のお友達も一緒だったの』
『今夜も三人で?』
『そうなの。同じ人じゃなかったの』
『顔が広いね?』
『そうかな?』
『聞かない方がいいか?』
『3Pとかじゃないから。でも、親しい関係かも?昨夜の人も・・・』
『そうか、まとめで全てかい?』
『容認されてるからって、無節操じゃないから、それは信じてね?』
『よく分からないが、あるルールに基づいている、そういうことかな?』
『うん・・・ルールと言えるか分からないけど、そういうことかもしれないわ』
『はははっ、曖昧だね?まぁ、いずみを信じてるから、それは肝に銘じるように、いいね?』
『うん、ありがとう・・・あのね、気持ちのズレが急に襲って来ることがあるのね。その時って
無性に彼に会いたくなって、ウィークディは我慢の連続でしょ?だから、お休みの日は開放感に
満たされたいの。それで、大胆な行為も・・・”羞恥心って何なの?”って感じになる事もある
のね。これって危険でしょ?だからね、気を付けるようにしてるから、問題になるような事には
ならないと思うの』
『興奮してると見えなくなるから、彼にも注意喚起をお願いするんだね』
『うん・・・あなたに話せて良かった。全てではないけど、大まかには理解してるんでしょ?』
『まぁ、纏めの時に聞くことにするよ。明日も休みだが・・・』
『約束はしていないけど、11時30分を過ぎたら掛かって来ると思うの。だからその時のお話しで
・・・』
『僕に聴かれたらマズいか?』
『・・・ないことはないかな?だから・・・でも、あなたに嘘は付けないから・・・』

その時に、清水さんから借用している携帯に着信です。


[36] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/15 (日) 10:40 ID:d5TopSjc No.201421



『・・・携帯?』
『少し待ってくれるか?』
『掛け直す?』
『そのままで、いいね?』


直ぐに出ます。


『小田です』
『清水です。遅い時間にすみません。話せますか?』
『そうですね、少し待ってもらえますか?一旦切って掛け直しますから』

PCの時間は、11時10分過ぎです。
清水さんとの携帯を切って、


『待たせたね』
『お仕事なの?』
『いずみ程忙しくないが、暇じゃないね』
『あなただわ、うふっ。どうすればいい?』
『11時半だね?出来るだけ早く終わらせて、結果を連絡する。いいね?』
『うん・・・でも、直ぐって訳にはいかないと思うの。だから・・・』
『分かった。出来るだけと言っただろ?』
『ごめんなさい。ダラダラ話さないようにするから』
『じゃ、待ってるから』
『うん、怒らないでね?』
『任せてると言っただろ?』
『うん・・・愛してるんだもの』
『はははっ、待たせてるから切るぞ』
『私も待っててね?』
『あぁ、切るぞ』


再度、清水さんに掛けます。


『報告なんですが、いいでしょうか?』
『えぇ、聞かせて下さい』
『10時頃に奥様と渡辺がロビーに降りて来ました。仲睦まじい様子で、駅前のタクシー乗り場まで。
奥様がタクシーに乗られ迄居るのかと思ったのですが、一言二言話してからその場を後にして、
隣のホテルに併設されているコンビニの前で、女性と落ち合います。
歩きながらキスしていましたから、奥様と同じくらい親密な関係だろうと推測できます。
年齢は奥様と同じくらいでしょうか、40歳前後かもう少し若いかもしれません。
先程のホテルに戻って、エレベーターに乗りましたから、客室に戻ったと思います。
奥様の後に他の女性とですから、何だか複雑な様相を呈してきたと思いませんか?』
『その女性が誰なのか気にはなりますが、今は渡辺と彼女との関係をあぶり出すことに専念して
下さい』
『分りました。明日以降の奥様の行動で分かっている事がありましたら、教えて欲しいのですが』
『明日の予定が分かるかもしれません。少し待ってもらわないと・・・12時を回るかもしれない
のですが・・・』
『大丈夫です。お待ちしています』


[37] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/15 (日) 12:50 ID:d5TopSjc No.201423



昨夜から一日しか経っていないのにも関わらず、展開が大きく動きそうです。
渡辺との話の中で、彼の妻(私の妻ですが)が傍で寝ていると話したことは、彼女が自宅に
帰っていることから、真っ赤な嘘だと断定できるのですが、彼女ではなく他の女性だったとしたら、
彼は何も嘘をついていることにはならないのです。
時間のことを考えれば、その女性が寝ているとは到底思えないのです。
睡眠薬でも飲ませたのなら、そうかもしれないのですが、ここはその仮説を排除して、時系列で
考えれば、どうしても起きていると思えるのです。

渡辺と私の会話を聴かれても構わない相手だとしたら、彼女の行動は既に知られていることに
なります。
そう考えるのが自然だと思うのですが、そうだとしたら、その女性の存在が彼女とどう絡んで
くるのか皆目見当もつきません。

PCの前には3台の携帯を並べているのですが、プライベート用と清水さんから拝借した2台を注視
しながら、解けないパズルに思い悩んでいると、プライベート用に着信です。

彼女からです。


『どうした?』
『お話しは終わったの?』
『終ったところだよ。掛かって来る時間じゃないのか?』
『だから、あなたに・・・あのね、聞かれたくないかなって言ったけど、それがあなたを悩ませ
ているんじゃないかって。本意じゃないのにそうなら謝らないといけないって、それで・・・』
『あとでもいいだろ?彼との話が終わったら報告するんだろ?』
『うん・・・そうだけど。あのね、考えたの・・・今回の事ね、見えないことが多いかなって。
それでね、彼から掛かってきたらね、あなたに聴いてもらって、少しでも見えることがあるのなら、
そうしたいって思ったの』
『説明を省くことは出来るだろうね。だけど、いずみの都合のいいように誘導しないと約束する
のなら、その提案に乗ってもいいよ』
『説明を省くとかそういうんじゃないし、お話しも普段通りにするから、それは信じて欲しいの』
『それなら・・』
『あのね、イヤらしいことも話すと思うけど、それが普通だから怒らないで聴いて欲しいの』
『セフレならそうだろ?気にしなくていいよ』
『あっ?!掛かってきたから・・・スピーカーにするわね』


少し間合いを取ってから、


『ごめんね、遅くなって』
『疲れた?』
『そうかな?うふっ』
『綾ちゃん、こんばんは。今夜はご苦労様でした』
『カナちゃん、こんばんは。ベッドなの?』
『綾ちゃんのシミがあっちこっちに。寝るところがないじゃない?』
『そんなに?おかしいなぁ、うふっ』
『激しさを物語ってる証拠でしょ?』
『オンナだって証拠でしょ?カナちゃんの愛液で分からなくなるわよ』
『洪水?それは綾ちゃんでしょ?』
『潮吹き?タオルを敷いたのよ。そうよね、あなた?』
『溜まっていたんだな。今夜の相手が物足りなかったと、激しく求めてきたからね。
何度も逝ってるのにもっともっとだったから。そうだろ?』
『恥ずかしいでしょ?カナちゃんが居るのよ』
『綾ちゃん、何が恥ずかしいの?オマンコを開いて”見て!”ってお願いするのは誰なの?』
『カナちゃんもでしょ?』
『お互い様ね?・・・ナベさん、さっきのこと話してもいい?』
『携帯の?いいよ』


[38] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/15 (日) 15:58 ID:d5TopSjc No.201426



『2週間後に会う男の人ね、さっきまでナベさんが話していたの。聞いてるんでしょ?』
『決まったの?』
『2週間後の土曜日、午後3時半にこのホテルで。決まりだからね』
『来週かと思っていたのに、ちょこっと残念かな?うふっ』
『綾ね、来週は他の人と約束があるだろ?忘れたのか?』
『覚えてるけど・・・何かね、物足りないでしょ?あなたに補充してもらうのも悪いかなって』
『忘れてたね、来週はクマさんが僕の代わりをしてくれるからね。嬉しいだろ?』
『ホントに?カナちゃん、クマさんの出張は?』
『綾ちゃんを抱きたいって、明日もそうなのにね。彼ね、綾ちゃんのオマンコが最高って言う
のよ。妻の私に話すのって酷いと思わない?』
『ごめんね?いいものはいいのよ、クマさんとはとてもいい感じなんだもの。相性が良いのは
仕方ないでしょ?でも、また出張って延期にならない?』
『明日ね、無理矢理早く帰って来るのよ。綾ちゃんとしたいからって。来週のことはまだ予定
だから決まったんじゃないのに、ナベさんに頼んで欲しいって。それでね、さっき話したところ
なの。出張が入ればまた延期になるけど、待つのも楽しみでしょ?』
『お仕事なら仕方ないわね。その時は、主人に慰めてもらうから、大丈夫よ』
『それは難しいよ。綾ね、自分勝手な判断はダメだろ?その日はカナちゃんと会う予定だからね、
綾をクマさんが抱く代わりなんだから。クマさんが出張になっても、カナちゃんとの約束は変更
にはならない。もう決まったことだからね』
『勝手な判断ってあなたじゃない?私は何も聞いていないもの』
『綾ちゃん、ごめんね?綾ちゃんに相談しないで決めてしまって。主人が出張でなければ
会えるんだから、期待して待ってて欲しいな?これってスワップでしょ?正真正銘の夫婦交換、
私達の原点でしょ?』
『希望的観測なの?期待は出来ないって言ってるのと同じでしょ?』
『だからね、クマさんがダメな時はシュンに頼むから、それならいいだろ?』
『シュンちゃん?ホテルに来てくれるの?』
『レストランまでは僕が相手するよ、今まで通りにね。ホテルにするかマンションかはシュンと
決めたらいいからね』
『分かったわ。シュンちゃんならいいかな?ホテルに来てもらおうかな?うふっ』
『綾ちゃんって、主人とシュンちゃんとどっちが好きなの?』
『どちらもかな?』
『オトコならいいんじゃないの?』
『見境がないみたいじゃない?』
『あるの?』
『ないかな?』
『やっぱり!チンポがあればいいんでしょ?』
『チンポ次第かな?カナちゃんもそうでしょ?』
『ないよりはいいけど、後で補充ってどうかと思わない?』
『安心安全を優先すれば、それしかないだろ?性欲を満たすには必要な人だよ』
『あなたとクマさん、それにシュンちゃんが満足させてくれたら、必要ない人でしょ?』
『それが出来ないから、そうなったんだろ?エロ全開の綾が言う?はははっ』
『うふふっ、ごめんね?失言でした、うふっ』
『聞いたわよ、レストランで射精させたんでしょ?ほんとエロオンナね、うふっ』
『主人がしろって言うんだもの。後で補充してくれないと大変でしょ?』
『僕が?ほんとに?綾が自主的にだろ?オッパイとオマンコは触らせろとは言ったけどね』
『止めなかったでしょ?だから、そうだとばかり・・・やり過ぎたかな?』
『面白かったよ。”チンポを出して下さい”っておねだりするんだから。戸惑っているのに、
無理矢理って感じだったね』
『やり過ぎでしょ?お隣りさんに見られなかったの?』


[39] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/15 (日) 17:59 ID:d5TopSjc No.201432



『しっかり見られたね。不信感丸出しだったから通報されないか心配だったけど、それは何事も
なかったんだけど・・・はははっ、綾、話せよ』
『アレのこと?・・・うん、あのね、お口に射精したのね、お口に含んだまま主人に
”どうするの?”って笑顔で聞いたのね。聞かなくても分っていたんだけど、主人を立てないと
いけないでしょ?あれ?それは後の事ね?分かった?』
『勃て過ぎでしょ?頑張り過ぎたら、私が楽しめないでしょ?考えて下さいね、綾ちゃん?』
『ごめんね?・・・あれ?私の話を聞いてオカズにしようとしてない?』
『あるかな?中途半端は体に悪いでしょ?最後まで聞かせてよ』
『顔を上げた時にね、少し後ろのテーブルに居た女の子と目が合ったのね、その子ってウインク
するのよ。”えっ?”と思ったけど、私もウインクしたら、手を振ってくれたの。なんだか、優し
いと思わない?これって、昨夜の事ね』
『えっ?二日もなの?今夜の事かと思ったわ』
『聞いたんでしょ?二度も話す必要ってある?うふっ』
『あれだよ、昨夜も今夜と同じ様な展開だから、綾が二回説明することもないだろ?』
『順番かなって思ったから、昨夜の事から・・・あれ?!やり過ぎだと思う?』
『エロ全開は危険よ。見られてたってことでしょ?やるわね、何歳くらいだったの?』
『一瞬だったからよく分からなかったのね。でも、25歳までかな?可愛い子だったわよ』
『ウインクしながらゴックンしたんでしょ?』
『分かるの?お返事しないといけないでしょ?声を出せないから喉を鳴らしたの、うふっ』
『はははっ、僕は何も指示しなかったのにね。好きなモノには目がない?エロ過ぎだろ?』
『美味しくないのよ。カナちゃんも同じだって言ってたでしょ?』
『そうかな?覚えてる?主人の精液を取り合ったこと・・・』
『そんなことあったっけ?うふふっ』
『綾ちゃんのお口に出したでしょ?半分ずつって主人が言ったのに、少ししかくれなかった
でしょ?』
『無理矢理お口を開けるから、殆んど零れてしまったでしょ?大事な精液だったのに・・・
あっ?覚えてる?主人がカナちゃんに中出しした精液のこと・・・』
『綾ちゃんがお口で受け取って私に飲ませたあのこと?』
『半分は私のだったでしょ?キスしながら全て渡したのに、少ししか返してくれなかったのよ』
『二人共、精液の海で泳ぎたいだろ?はははっ』
『可能なら?そうよね、綾ちゃん?』
『精液が泳ぐのは膣の中でしょ?泳ぐんじゃなくて、泳がされるが正しいんじゃない?』
『綾はね、いつも膣を精液で満たしたいんだよ、そうだろ?』
『いつもは無理でしょ?だからね、お休みの日はずっと入れていたいかな?』
『チンポでしょ?』
『カナちゃんとやっと意見があったわね』
『久し振りに貝合わせしない?』
『うふふっ、したいの?』
『そうだわ、明日は3Pに変更しない?』
『それはどうかな?クマさんと楽しみたいのに、カナちゃんが居たら気が散るでしょ?』
『私には見られたくないイヤらしいことをするんでしょ?』
『クマさんがね?うふっ』
『嬉しいんでしょ?』
『かな?・・・そうだわ、明日の時間は決まったの?』
『主人の事で頭が一杯なんでしょ?3時のチェックインには間に合わせると言ってたわよ』
『ほんとに?嬉しいかな?うふっ』
『詳細はクマさんに連絡して決めたらいいからね。それから、6時までは了承済みだから』
『6時迄なの?3時間だけ?それじゃ満足できないんじゃないの?』
『今夜から続いているのよ。主人に満杯にしてもらった上に、明日はクマさんでしょ?溢れかえる
程満足させてもらえるんだもの。3時間でも十分過ぎるくらいだもの』
『綾は忙しいからね。仕事中毒じゃないかと思う程だよ』
『それで6時迄なの?・・・そうか!その反動なのね?エロ全開は』
『・・・あれ?ちょこっと待ってね?』


携帯から離れたようです。


[40] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/15 (日) 20:50 ID:d5TopSjc No.201436



『綾ちゃんって、清楚でおとなしそうなのに、ほんとはエロオンナなのね』
『人は見かけによらないとか言うだろ?』
『典型例ね、綾ちゃんって。今までスワップしてきた中で最高にエロいオンナね』
『だから良かったんだろ?』
『昨夜の人もね、喜んでくれたから私達も嬉しいでしょ?』
『はははっ、綾には内緒だよ』
『ねぇ、今度の人はナベさんが初めて見付けたのよ。大丈夫なの?』


彼女が離れた理由が分かってきます。
少し時間稼ぎをしているのは、私に連絡すると判断します。
プライベート用の携帯で聴いているのですから、仕事用に掛けてくる筈です。
彼女は渡辺用の携帯で話しているのですから、仕事用の携帯で掛けてくるのでしょう。
仕事用の携帯をマナーモードに設定します。
ところが、固定電話に掛けてくるのですから、用心深さが窺えます。
リビングと親子電話の設定で、PCと同じデスクの右端に置いています。

慌てて取り上げて、書斎から隣の寝室に移動します。


『分ったでしょ?』
『理由か?』
『仕事用の携帯に掛けて欲しいの。それで終わりにするから』
『合図を決めろよ』
『物音がしたからってことにするから。猫だろうって話すから、それが合図ね』
『了解』


PCの前に戻って直ぐに、


『ごめんね、物音がしたのね。それでどこからかなって』
『遅かったからおトイレかなって。ねぇ、ナベさん?』
『話しながら興奮したんじゃないかって、カナちゃんが、はははっ』
『近いかな?でも、おトイレではありません。そうなら・・・言えないかな?うふっ』
『物音って大丈夫なの?』
『猫じゃないかな?窓をガリガリって。そうよね、あなた?』
『猫?・・・そうかもしれないね。今はいないんだろ?』


書斎から寝室に再度移動して、彼女の携帯に掛けます。


『あれ?・・・携帯に・・・ちょこっと待ってね?』


話し声が聞こえないところまで移動したのでしょう、何も聞こえない数秒後に、


『ごめんなさい。つまらない話ばかりでうんざりしたでしょ?』
『まぁ、そうだね。そろそろ終わってもとは思っていたが、いずみがいつ終わらせるのか、
そのタイミングに注力してたかな?はははっ』
『ほんとにごめんなさい。お仕事って話して切るから、携帯はそのままで、いいでしょ?』
『待ってるよ』


少しのタイムラグも長く感じられます。


[41] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/21 (土) 14:54 ID:x8bomWrk No.201563



『ごめんね?』
『今度は早いわね?』
『嫌味なの?』
『ごめん。誰からなの?』
『お仕事なの。これから連絡するんだけど、その前に打ち合わせをするのね』
『夜中なのよ。こんな時間にお仕事って、嘘でしょ?』
『はははっ、見え過ぎる嘘は付けないだろ?アメリカだよ。14時間だったかな、時差があるだろ?』
『現地は午前中なの。そういうことだから、私は抜けるわね。カナちゃん、主人と楽しんで
下さいね?』
『綾ちゃんって英語を話せるの?』
『バイリンガルだよ。優秀な奥さんだろ?』
『チョッピリね。じゃぁ、おやすみ・・・じゃなかった、頑張って!カナちゃん、アヘアへね?』
『”イク〜!”ってナベさんに抱き付くから、明日は主人に抱き付いてね?』
『うふふっ、じゃぁね』
『綾!クマさんには午後一番くらいに、いいね?』
『了解です』


空気の揺らぎも感じられない程の静寂が続くように思った時、


『ふ〜、疲れた?ごめんね?』
『はははっ、聞き耳を立てるのも疲れるものだね』
『注意力の鍛錬になるでしょ?あっ?!言い過ぎました。ごめんね?』
『久し振りにいずみのエロトークを楽しませてもらったね、はははっ』
『笑わないでね?いつもあんな感じかな?どう思った?』
『セフレとかスワップなら普通じゃないか?普通の夫婦が普通でなくなるのがスワップだろ?』
『ナベさん、違った!渡辺と私は最初から普通じゃない夫婦を演じてるでしょ?見破られてると
思うのに、それを見せないっておかしいと思わない?』
『推測だけどね、カナさんと言ったかな?彼女も即席の夫婦じゃないか?』
『同じ穴の狢?・・・そうかな?そうかも!うふっ・・・それなら辻褄が合うわね』
『セックスを楽しむための二枚舌と思えば、それはそれでいいんじゃないか?何か問題が発生
した時に対処する、その姿勢でいいと思うよ』


私が問題と言ったことなど、特に気に掛ける程の事でもないと受取っている筈です。
よく使う言い回しですから、私達には単なる注意喚起程度の認識なのです。
ところが、今回は問題以上の問題が隠されている様に思えるのです。
それは、彼女には秘密にされている事象があると推測されることです。
渡辺とカナさんの会話からそれが窺えるのですが、彼女以外のクマさん、シュンさん達も知って
いると思えるのです。
それが何なのか分からないとしても、知らないのは彼女だけだと推測しても、間違っているとは
思えません。
悪く考えるのなら、彼女が罠に嵌められたとも思えるのですが、それ程酷い状態と思えないのは、
直接話した渡辺の印象から、邪悪な影は感じ取れなかったのが、その理由です。


『うん・・・あなたがそう言ってくれたら、気持ちも楽になるかな?だって、私の責任で決めた
ことだから不安も・・・ない事はないかな?』
『自由には責任が伴う、言い古されたフレーズだけど、いつでも思い出せる位置に置いておく
ように、いいね?』
『うん、あなたに話さなくて決めた事ね、私なりに自信があったし、直ぐに話さなかったのはね、
確信が持てるまで待って、満を持して報告したかったからなの。でも、ここにきてその自信が少し
揺らいでいるの。
まだ何も掴めていない状況なんだけど、何だか不安が不安を呼ぶような、そんな感じなの』
『想定外に踏み出したからだろ?』
『ナベさんだけじゃなく・・・クマさん、シュンちゃん迄ならある意味ね、想定内かなって。
そこまではいいかなって思っていたのに、少しずつ広がってきたのが、何だか不安なの』


[42] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/21 (土) 16:30 ID:x8bomWrk No.201565



PCの時刻は、12時を回っています。
彼女の明日の予定が分かったのですから、先に清水さんに連絡しなければなりません。


『話し中なんだが、少し待ってくれないか?』
『ごめんなさい。切った方がいい?』
『メールの確認がまだ残っていてね、片付けたら掛け直すから』
『お仕事なのに、ごめんね?』
『いいから気にしないで。切るぞ』
『うん、待ってるね』


不安そうに感じるのですが、展開が変わればあっと言う間にそれに飲み込まれていくのですから、
天然がそうさせているのなら、理解できなくとも認めない訳にはいきません。

仕事とは嘘も方便ですが、探偵を使って調査しているとは口が裂けても言えません。
清水さんは待っていたのでしょう、直ぐに出ます。


『遅くなって申し訳ない』
『何か情報がありましたか?』
『えぇ、明日の昼から男性と会う予定のようで、午前中は出掛けないと思います』
『分りました。昼前から張り込みます』
『彼女の行動もそうなんですが、その男性の素性も・・・』
『分かり次第ご報告します』
『じゃ、宜しく』


彼女の行動は分かっているのですが、敢えて話さないようにします。
調査には先入観が最大の敵だと聞いた事があります。
少ない情報で調査範囲を絞り込んでいく方が、的確な調査が出来ると思います。

清水さんとはあまりにも早く終わってしまったのですが、時間も時間ですから、明日の事を
考えれば、早く済ませて彼女を休ませたいと思います。

何度かコールしてから、


『驚くでしょ?早過ぎない?』
『それなら、遅過ぎるだろ?はははっ』
『そうだけど、お仕事は?』
『正直に話すから、いずみも、いいかい?』
『うん・・・あなたからでしょ?』
『時間が掛かりそうだからね、いずみと話した後で・・・と思ったんだが、まだ話すことがあった
かい?』
『私にはあるの。さっきのお話しの補足をしないと、枕を高くして寝れないもの』
『それは後だろ?』
『ほんとだ!・・・明日の用意をしていたの、お洋服とか・・・』
『下着か?はははっ』
『好みってあるでしょ?クマさんは・・・そうだったわ、名前の補足をしたいの、いいでしょ?』
『どうでもいいんだが、話したいのなら聞こうか?』
『ニックネームなのは分かるでしょ?ナベさんと同じ部類なの。熊倉っていうのね、それで・・・』
『クマさんか、分かり易いね』
『カナちゃんは奧さんね、言ってたでしょ?夫婦交換、スワップだって』
『渡辺夫婦と?何だか危ういね。数ケ月経ってるんだろ?』
『うん・・・交換も鑑賞も・・・単独も。何回もあるかな?今夜は彼とカナちゃんね。時間差が
あるけど明日はクマさんと私、8月頃から今のようになったの。誰がとかじゃなくて自然にかな?
相性がいいって言ってたでしょ?私もそう思うけど、クマさんの方が入れ込んでいると思うの。
イヤじゃないから、求められるのは嬉しいし、私もそれに応えたいから興奮も快感も倍増するの
かもしれないわ』
『もう一人いただろ?』


[43] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/21 (土) 21:36 ID:x8bomWrk No.201573



『ねぇ、聞きたくないのは分かるけど、聞いて欲しいの。全て物理的な興奮であって快感も
そうなの』
『セフレの概念をはみ出さなければ、それでいいからね。聞こえなかったのか?』
『ごめんね、シュンちゃんでしょ?シュンスケって言うのね。ナベさんのお友達なの・・・あのね、
彼ともそうなんだけど、ナベさんのマンションで。さっきの携帯で話してたでしょ?』
『友達に、夫婦交換・・・他の男性は性欲を満たすための補助要員のようだね』
『うん・・・経緯とかはまとめで話したいの。それでいいでしょ?・・・でも、あなたなら
全貌を描いている様に思えるの』
『それはその時に答え合わせをしようか?』
『うん・・・中途半端な状況説明しかできなくて、ほんとにごめんなさい』
『一つ聞いていいか?』
『うん・・・気になる事でも?大ありでしょ?』
『まぁ、そうだが。金曜日に予定の変更がなかったら、セフレの話はしないつもりだったかな?』
『あの夜は勇み足だったと思ってるの。あのね、二週間後にお話しするって言ったことね、
あなたの都合もあるから早くってつもりだったの。だから、それ以降ならいつでも説明すると
決めていたの。金曜日にお話ししたのは、今も言ったように勇み足だったとちょこっと後悔して
るし、でも、前振りできて良かったかなとも。複雑な気持なの、それに不安な気持ちも・・・
ゴチャゴチャなのに、性行為には勝てないのが今の私かも』
『仕事の反動と理解してるが、深追いはしていないね?』
『大丈夫って思っているんだけど、ほころびが出てきたかもしれないの。私一人で決めたこと
でしょ?』
『後悔先に立たず、かい?』
『そこまでは・・・でも、なんか違うの、肌感覚ってあるでしょ?』
『交わり感覚じゃないのか?はははっ』
『それもあるかな?うふっ。ジョークも交えてくれるから気持ちも楽になるけど、それじゃない
でしょ?』
『反比例だろ?』
『どういうこと?・・・あっ?!あれね、交われば交わる程、その時の気持ちとそうじゃない時の
気持の乖離でしょ?それなの、何か違うって言うか違和感かな?でも、まだ見極められないの』
『見極める材料を拾ってるんだろ?僕に話す期限を設定したくらいだからね。そうだろ?』
『断片的にはかな?ほんとにまだ分からないけど、数ヶ月経って蜜月も終わりに近付いていると
思うの』
『目が覚めてきた?どこかの大統領就任後の100日と符合してる?はははっ』
『あなたに報告したのが5月でしょ?今は9月中旬だから、ほんとに100日と何日かね。
燃え上がって何も見えない期間を過ぎた頃ね』
『早く気が付いて良かったかは、まだ分からないだろ?』
『うん・・・何もなくて良かったとなっても、今の違和感は拭えないと思うの。だからね、私の
気持次第なんだけど、どちらに転んでもお付き合いはお終いにしようと思ってるのね。
でも、相談する人もいないでしょ?戸田さんが居てくれたらどんなに心強いかって、ないもの
ねだりね?』
『去年なら戸田の神通力もあったけど、今回は見知らぬ他人だろ?”戸田って誰?”で一喝される
だけだね。まぁ、蒔いた種は自分で刈り取るしかないだろ?蒔かぬ種は生えない、肝に銘じる
んだね』
『撒かないと何事も進められないでしょ?でも、今回は撒き方に問題があったのね?』
『結論はまだ先だろ?気持ち良く終われるかは、その時まで待つしかないんだろ?』
『うん・・・そうかな?』
『もう一つ聞きたいんだが、いいかな?』
『うん・・・今この時点で話せることなら。ごめんね?』
『いずみはテリトリーを決めていただろ?それを逸脱していないね?』
『うん、去年から変わっていないし、それは変更できないって話してるから・・・あっ?!
マンションの事なの?』


清水さんから報告を受けていますから、聞くまでもないのですが、彼女から説明すべきことです。


[44] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/22 (日) 11:00 ID:o0.Gfgyg No.201584



『もっと早く話すべきだっただろ?』
『ごめんなさい・・・あのね、私の行動範囲を話してたのね。そしたら、マンションを借りた
って、5月末だったかな?あのホテルから歩いて15分くらいだから、ギリOKだろって。
蜜月の時でしょ?少しくらいは逸脱してもいいかなって、それで・・・オーナーのマンションの
前を通るんだけど、土・日ならニアミスもないでしょ?そう遠くもないから了承したの。
間違ってないでしょ?』
『いずみがそう判断したんだから、それはそれでいいと思うよ。まぁ、徒歩15分なら理解の範囲
じゃないか?』
『良かった!・・・あのね、戸田さんはいないけど、あなたを戸田さんと思って・・・あれ?
あなたも戸田さんも同じ人なのに、可笑しいわ』
『はははっ、ナニが言いたいんだ?』
『明日の事ね?クマさんの人と成りを見てもらいたいの。見るって言ったけど、会える訳じゃない
から、携帯での会話を聴いてもらって判断を仰ぎたいの。ナベさん、カナちゃんのは聴いてもら
ったでしょ?』
『もう一人いたね?』
『シュンちゃんも機会を見て。出来れば来週にでも、決まったら必ず連絡するから』
『戸田の出番だね?分かったよ。今夜の二人は特に問題はないように思ったね』
『うん・・・戸田さんの判断って百人力だもの。あなたと同じレベルかしら?うふっ』
『同列は失礼だろ?はははっ』
『あれ?こちらを立てればあちらが立たず、かな?・・・タツ違いって分かった?』
『明日は一人だけだろ?迷うことなく勃てられるだろ?はははっ』
『今のは、戸田さんじゃなく、あなたのコメントね?』
『はははっ、そう思いたいんだろ?』
『そうじゃないと楽しめないもの、うふっ』
『好きにしろよ・・・じゃ、今夜はここまでにしようか?』
『はい・・・明日ね、お昼過ぎにクマさんに連絡するから、その時はお立会いくださいね?』
『勃たせる相手が違うだろ?はははっ。その前に連絡しろよ』
『はい!必ず・・・じゃ、明日ね?おやすみなさい。愛してるわ』


PC画面の時刻は、1時前を表示しています。
彼女は明日の用意をしているでしょうから、直ぐには寝ない筈です。
それでも、7時前には起きて娘のひろ子と朝食を共にし、午前中は一緒に過ごすでしょう。
ナニーのアキさんには午後から出掛ける事、男性と会うことも包み隠さず話すことも分っています。


[45] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/22 (日) 12:19 ID:o0.Gfgyg No.201587



あくる日曜日は、7時過ぎに目覚めます。
一人で仕事をしている時と違って、携帯であれ、話す時間も長くなればなるほど、神経が
高ぶってくるのは、私だけではないと思います。
爽やかな目覚めではないのですが、ホットコーヒーを淹れてPCに向かいます。
昨夜にやり残したメールのチェックと返信を済ませてから、午前中はゆっくり過ごします。

清水さんから連絡があるとしたら、夕方、6時過ぎだろうと推測するのですが、彼女からは
昼過ぎの予定ですから、時間の経過と共に、彼女からの連絡を意識しない訳にはいきません。

昼過ぎに約束通り、掛かって来ます。


『時間通りでしょ?』

相変わらず、変わり身の早さには感心します。

『元気だね?』
『カラ元気よ。お昼は?』
『これからだよ。いずみは?』
『少し早かったけど、ひろ子ちゃんと済ませました』
『話していていいのか?』
『メールが来て、2時過ぎに羽田だって』
『海外じゃないだろ?』
『千歳空港だって。でね、迎えに来て欲しいって』
『そうか・・・3時のチェックインには間に合うね』
『うん・・・行ってもいい?』
『はははっ、いずみが決める事だろ?6時までは二人の時間だろ?』
『だって、もう話したんだから、私一人じゃないでしょ?』
『戸田さんかい?』
『その方が気が楽かな?』
『”じゃぁ、行っておいで”。これでいいかな?はははっ』
『ありがとう。会ってる間は恋人なの、カナちゃんもそうなのよ。セフレでもセックスだけじゃ
ないって話してるの。でもね、私のセフティーゾーンから逸脱するでしょ?ちょこっと悩むのよ』
『初めてなのか?』
『うん・・・ほんとよ。最初で最後になると思うし、戸田さんの後押しもあるしね、迎えに行こう
かな?』
『思い出作りなら反対だからね』
『それはないの。今日の日を楽しく過ごしたい、ただそれだけ。信じてくれるでしょ?』
『それはいいが・・・』
『クマさんとの会話でしょ?』
『まぁ、判定できなければ諦めるしかないね』
『何とかしたいから、また連絡するわね。時間は分からないけど、待ってくれるでしょ?』
『戸田の責任があるからね、はははっ』
『嬉しいわ。これから用意して出掛けるわね。アキさんには男性と会うって話してるし、私の
性事情は理解してくれてるから。あれ?そういうことも含めて雇用関係を結んだのに、また話す
って緊張してるのかしら?うふっ』
『戸田じゃなく僕を意識した?』
『かもね?何だかあなたに話すのって緊張するかな?』
『はははっ、楽しんでおいで』
『うん・・・ありがとう。愛しています、うふっ』


私に全てではないにしても、話せたことからタカが外れたのかもしれません。
セフレを恋人と呼ぶこと自体、それを物語っていると思います。
どのような状況でも行き過ぎた行動は、全て自分に返って来ることは誰しも経験があると思います。
彼女は百も承知しているでしょうし、自由奔放な行動には責任が伴うことも認識している筈です。


[46] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/22 (日) 15:25 ID:o0.Gfgyg No.201589



迎えに行った彼女が彼と会えるのは、2時過ぎから2時30分の間になりそうです。
それから直ぐにホテルに向かうとすれば、私に二人の会話を聴かせることなど不可能に近い
筈です。
そうであるのなら、6時に別れるまでには連絡はないと推測できます。

出掛けようかとも思ったのですが、万が一、彼女か清水さんから掛って来ることも考えられます
から、リビングで録画していた経済チャンネルを観ながら、愛用の雑誌を読むことにします。

驚いた事に、3時前に彼女から掛かって来ます。


『どうした?』
『大変なの。どうしたらいいのか、あなたに相談したくて』

彼女にしては少し慌てている様です。
声も抑えていますから、いつものようにトイレからかもしれません。

『トイレかい?』
『うん・・・戸田さんじゃなくあなたに、いいでしょ?』
『緊急?話せよ』
『3Pをしようって、男の子を用意してるの。寝耳に水でしょ?』
『ん?何も話さずにだったら、それは問題じゃないか?いずみの承諾もないんだからね』
『あやふやなの。私は承諾したって思っていないのよ。でも・・・』
『興奮状態での話なんだろ?それはいいとしても、いずみの気持ちじゃないか?』
『イヤじゃないのよ。でもね、私に相談もなくなんて許せないもの。私が悦ぶって計画したのは
分かるのよ。でも、こんなの許してたらこれからも・・・あれ?もう終わりに近付いている
んだけど、もっと大きな仕掛けを繰り出してくるかも分からないでしょ?』
『少し大袈裟だろ?まぁ、気持ちの問題として処理したらいいんじゃないか?』
『そうよね。私に相談も承諾もなくだから、今回はキャンセルでいいでしょ?』
『キャンセル?その男性は?』
『女風のセラピストなの。コイズミ君に似て可愛い子なのよ。でも、甘い顔は出来ないでしょ?』
『はははっ、コイズミ君似の彼を受け入れるか、それの相談だろ?』
『悩むでしょ?私の好みだもの。もう!それじゃないでしょ?』
『セフレの関係に優劣はないと話せばいいんじゃないか?』
『対等でしょ?押し付けは受け入れられないと話すわね。それと私の心情を理解していないとも。
それでいいでしょ?』
『それが分からないのなら、今日の約束もキャンセルしてもいいと思うよ』
『それだけ強い気持ちで臨めってことね?』
『戻すけどね、女風の彼とはホテルのロビーで会ったのかい?』
『そうなの。二人を待たせておトイレなの。オシッコじゃないのに、おトイレって女の隠れ家
みたいね?』
『それを言うのなら、秘密基地じゃないか?はははっ』
『これから出撃?・・・ほんとそうよね、対等に渡り合うんだから、うふっ』
『討ち死にしないように、はははっ』
『”シヌ〜!”はないかな?やはり、”イク〜!”じゃないと私じゃないもの』
『仲直り?』
『私の気持ちを大事にしてくれるのなら・・・上手く中継できるかも?』
『何か策がある?』
『なくはないかな?その時は聞き耳を立ててね?』
『彼を勃てるんだろ?』
『かな?あなたと話せて良かった!戸田さんじゃ突っ込んだお話しは出来ないもの。あれ?
突っ込まれるのは私なのに、ごめんね?』
『セフレの域を出ない様に、いいかい?』
『うん、分かってるから。長くなったから、行くわね?』
『あぁ、疑われない様に』
『大丈夫よ。愛してるわ、うふっ』


[47] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/28 (土) 16:23 ID:oCUlTrYE No.201707



ロビーで待たせているコイズミ君似の男性に、どのように話すのか興味もあるのですが、
ここは大人しく彼女からの連絡を待ちます。

私の前のテーブルには、仕事用、プライベート用、清水さんから借用した携帯を並べて置いて
いるのです。
少なくとも、仕事用は省いてもいいのですが、万が一ということもないとは言えないのですから、
その2台とは少し離して置きます。

30分を経過した頃、プライベート用の携帯が鳴ります。
ところが、登録されていない番号ですから、渡辺とのホットライン用の携帯だと即座に理解します。
繋いで、スピーカーに設定します。


『・・・掛からないわ。どうして出ないか分からない?』
『忙しいんじゃないか?何かしてれば・・・エロエロなら出れないだろ?』
『何も聞いていないのよ。私に隠し事があるって事なの?』
『それは・・・ないと思うけど、もういいんじゃない?』
『イヤなの。こういう関係だからこそはっきりさせておきたいんだもの。告げ口じゃないのよ、
これからも楽しくお付き合いしたいでしょ?だからね、イレギュラーがあったけど、解決したって
報告しておきたいの。カナちゃんにも言えることだもの、反対の立場だったらあなたも面白くない
でしょ?でも、理解し合えたのなら、主人は何も言わないと思うのよ。そうだからって、話さない
のは主人を裏切ったことになるから、それは分かるでしょ?』
『そうだね・・・でも掛からないだろ?』
『そうね、帰ってから話すことにするわね。それじゃ、仲直りしようか?』

ほんの少しの間合いと、”トン”と非常に軽い音が微かに聞こえます。

『悪かったね。僕の暴走だったよ』
『いいの・・・妄想じゃないの?うふっ・・・チュッ!・・・うぐぐぐっ・・・』

後は布の擦れる様な音が少し続いてから、

『シャワーは?』
『セクシーだね・・・いつ見ても綺麗な体・・・元気になりそうだよ』
『あれ?体だけ?』
『美人だよ、僕でいいのかって思う程だよ・・・どう?』
『認めるのね?・・・ここも認めないといけないかしら?』
『認められるように頑張るからね・・・早く脱いだら?』
『脱ぐのが早いんだもの。でもあれよ、ベッドではゆっくり長く愛してね?』
『溜めてきたからね。満足させられると思うよ』
『先に行ってて、直ぐに行くから・・・チュッ〜、チュッ!・・・いい?』
『分かった。早くね?』
『うん・・・』

その後すぐに、

『・・・ごめんね。携帯を窓の傍のテーブルに置いたから、ベッドでの話し声は聞こえないと
思うの。聞えたとしても喘ぎ声だけだと思うから、ここで切るわね?聞こえてる?』

彼が傍に居ないのは分かっているのですから、声を抑えて、

『あぁ、了解』
『帰ったら掛けるから・・・6時30分くらいかな?切るわね』


[48] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/28 (土) 18:32 ID:oCUlTrYE No.201710



何も思うことはありません。
セフレと過ごす彼女の日常なのですから、特に気にすることもありません。
ただ、相手の男性の素性は明らかにしておく必要があります。
今までなら、私が関知していた男性でしたから、それなりに安心感はあったのですが、
今回は、私の関与なしに彼女が選任した男性達なのですから、気に留めなければなりませんが、
数ヶ月は何事もなく、彼女の選任に問題はなかったと思っていた矢先に、セフレの渡辺と偶然に
会ったことに加えて、彼女の相手として白羽の矢を立てられたことから、その理由を探るべく、
探偵事務所に調査を依頼したのです。

暫くは彼女からも探偵事務所からも連絡はないだろうと、先程のチャンネルを観ることにします。
予測とは当たらないものだと可笑しくなる程、TVを観だして直ぐに、清水さんから掛かって来ます。


『お時間はありますか?』
『えぇ、大丈夫です』
『今日の経過報告なのですが・・・』
『聞かせて下さい』
『奥様は1時過ぎに自宅を出られました。ホテルに向かうと思ったのですが、駅前に向かわれ
ました』
『清水さん、概略でいいですから、詳しくは・・・』
『分りました。岩城警部から丁寧に説明するように指示されているのですが、そうさせてもらい
ますね?』
『えぇ、続けて下さい』
『電車で羽田空港まで行かれて、男性を迎えられました。その男性とは親しい間柄だと思います。
会って直ぐにキスしていたことからもそれが分かります。電車で戻られて、ホテルのロビーで
待っていたと思われる若い男性、25歳前後のかなりのイケメンです、三人で話されていましたが、
話しが噛み合っていない様なそんな雰囲気でしたが、奥様はトイレに行かれて、少し時間が
かかっていましたから、調査員に様子を見させたところ、携帯で誰かに相談している様子でした。
トイレから出て来て、待っていた二人と少し話していたのですが、残念そうな様子で若い男性が
帰って行きました。もう一人の調査員に後をつけさせたところ、女風のセラピストでした。
奥様とその男性は客室に向かわれました。それから動きはありませんが、ロビーに降りてくる迄
待機中です』
『分りました・・・部屋に入った男性の調査は?』
『奥様と別れた後から、追跡を開始します』
『分りました・・・また連絡はありますか?』
『その男性の所在とか分かればご連絡します』
『では、お願いします』


”さてと”と口に出る程、時間が掛かりそうです。
彼女からは早くても6時30分より前倒しはないでしょうし、清水さんに至っては、その時間を
想像することすら難しい状況だと思えるのです。
今夜、彼の居住地が分かったとしても、職業等彼の身辺調査までには数日は掛かる筈です。
彼女から聞けることは、非常に限られているでしょうから、その少ない情報も併せて清水さん
からの報告を待つしかありません。

録画していた経済ニュースの続きを観ながら、今後の対応を考えるのですが、今会っている男性は
熊倉さんであり、彼の妻がカナさんだということも、彼女との携帯の会話から分かっています。
渡辺の友達のシュンスケなる人物も彼女から聞いています。
それ以外の男性は私も含めて、彼女の性欲解消の一部を担う予備軍の扱いのようです。
この予備軍の立ち位置が不可解であり、非常に不透明な存在だと認識するからこそ、渡辺の要請を
受けることにしたのです。

約束を厳守する彼女の姿勢には感心させられるのですが、案の定、6時30分を回らずに掛けて
きます。


[49] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/29 (日) 11:58 ID:D5JiWbII No.201724



『良かった!時間厳守でしょ?うふっ』
『はははっ、楽しそうじゃないか?』
『かな?・・・お家に戻って来ました』
『ご苦労さん、はははっ』
『あなたが言うのっておかしくない?』
『僕の意向じゃないからかい?』
『そうかな?心が広い旦那様で良かった!うふっ』
『まぁ、それはいいとして・・・』
『クマさんとの事でしょ?・・・あのね、時間も時間でしょ?ひろ子ちゃんとお食事なのね。
それからお風呂でしょ?寝かしつけてからになるから、9時頃でもいいかしら?』
『ダメだと言ったら?』
『えっ?・・・ごめんなさい、あなたの指示に従います。でも、少しだけ待ってくれない?
アキさんにお願いしないといけないから』
『ダメだとは言ってないだろ?はははっ』
『もう!怒ってるのかって思うでしょ?あなたに注意されたらキュ〜って気持ちが落ち込むの。
ほんと体に悪いんだから』
『体にいいことをしたんだろ?加重平均ならイーブンとは言えないだろ?』
『もう!難しく言うんだから、うふっ。乗られただけじゃないのよ、私も・・・あれ?!重さじゃ
なくて、重要度のことなの?』
『分かって聞く?はははっ』
『言えないかな?うふっ』
『いいよ・・・じゃ、9時にいいかい?』
『うん・・・愛してるわ、うふっ』


昼食はコンビニのサンドイッチでしたから、夕食は駅前の洋食屋にします。
その後、風呂に入ってPCを操作しながら、彼女からの連絡を待ちます。
ところが、9時少し前に清水さんから掛かって来ます。


『話せますか?』
『えぇ、何か進展でも?』
『居住地と名前が分かりましたので・・・』
『仕事は?』
『それは明日以降になると思います。奥様は駅前からタクシーに乗られましたが、その男性は
見送ってからまたホテルに戻って、エレベーターに乗りましたから、客室に戻ったようです。
奥様はカモフラージュだったようで、一回りしてから自宅に帰られました。
その男性なのですが、8時過ぎに女性とロビーに降りて来ましたから、その女性と会っていたのは
間違いないと思います。
カードキーがないとエレベーターには乗れないのですから、迎えに降りて来たのか、その女性が
カードキーを持っていたかは不明です。その男性がエレベーターに乗るまでは確認したのですが、
その後はロビーで待機していましたから、女性との合流までは確認出来ていません。
その女性なのですが、奥様と同じように非常に仲睦まじい様子で、JRで4駅西の駅前のマンション
に二人で入って行きました。電車の中での会話から夫婦と思われますが、確証はありません。
マンション一階のポストから、彼が“熊倉”という名前だと分かりました。動物の”熊”、倉庫の
”倉”、熊倉です。
先ほど言い忘れたのですが、男性の年齢は40〜45歳くらい、女性は40歳前後、奥様と同じくらい
じゃないかと思います。それがですね・・・どう考えたらいいのか悩むところなのですが、
その女性は、昨夜、渡辺が奥様と別れた後に会った女性なのですよ。もしかしたら、スワップかも
しれないですね』
『複雑な関係かもですね。それも含めて、二人の関係が分かり次第知らせて下さいね』
『了解です』


[50] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/29 (日) 15:09 ID:D5JiWbII No.201729



PC画面の時間を気にしながら話していたのですが、携帯を切った時は9時を回ったところです。
時間厳守の彼女ですから、何かあったのかと気にはなるのですが、不安とは程遠いものです。
その後、数分もしない内に掛かって来ます。


『ごめんね、遅くなって』
『ひろ子?』
『クマさんからなの』
『約束してたのか?』
『何も、何もしていないのに、話があるからって。それでね、”後で掛けるけど、時間は分から
ない”って、直ぐに切ったの』
『思い当たることは?』
『ないかな?・・・今日の事でお話しって何もないと思うの。私の理解だけど』
『言い忘れたとか・・・ヤリ残したじゃないか?はははっ』
『楽しめたと思うのよ。不満があるようには見えなかったけど』
『まぁ、憶測じゃ始まらないだろ?その時だね』
『うん・・・何を話すつもりだったかな?うふっ』
『彼の評価だろ?』
『どうだった?クマさんは』
『独断的だとは思ったが、いずみに諭されて謝罪だろ?まぁ、可もなく不可もなく、そんなところ
じゃないか?』
『誤解があったみたいなの。私ね、前にね、ピロートークの時に、”若い子もいいかな?”って
話したことを思い出したの。それを彼が覚えていて、セラピストを用意してくれたの。
いつ思い出したか、でしょ?』
『問い掛けは要らないからね。ピロートークの時じゃないのか?』
『燃えた後に、徐々に落ち着きを取り戻してる時って言えばいいかな?ふと、ほんとにふとよ、
何の脈絡もなくふとなの。それでね、今度は私が謝る番って、可笑しいのよ、二人で大笑いなの。
でもね、言葉の綾とでも言えばいいかな?”本気じゃなかった”って、話したの・・・』
『まだあるんだろ?尻切れトンボかい?』
『あなただわ。見え過ぎる?それとも・・・事実を話します。”最高のセックスだもの、他の人
は要らないの”だったかな?ちょこっと恥ずかしい、うふっ』
『はははっ、それこそ言葉の綾だろ?』
『彼に?』
『違うのか?』
『違わないかな?』
『自信だろ?』
『うん・・・必要でしょ?オトコの人にはとても必要なことだもの』
『その気にさせられるんだから、堪ったものじゃないね、はははっ』
『私って悪いオンナなの?』
『必要悪だろ?鼓舞する術を会得してる証拠だね』
『詭弁かな?』
『まぁ、それに近いと定義付けしてもおかしくないね、はははっ』
『うふふふっ、そうよね、そういうお付き合いだから、セフレの域を出ていないでしょ?』
『セフレの本質を見抜いているね、はははっ』
『それなのに、不安に駆られるっておかしいと思ってるでしょ?』
『そう待たずに解明できると期待しているよ』
『うん・・・その時にね?うふふっ』
『彼について話しておきたいこととかないのか?』
『ベッドのこと?気にしないでしょ?』
『特に何もないのなら、性行為は聞かなくていいからね』
『うん・・・あのね、さっき携帯に掛かってきたでしょ?何だと思う?』
『さて、彼の思惑までは推測もできないね。接してるいずみなら見当がつくんじゃないか?』
『合体だけじゃ心は読めないでしょ?体の快楽とは違うもの、そうでしょ?』
『だね・・・じゃ、約束してるんだから、聞いてみるかい?』
『うん・・・あなたにも参加して欲しいかな?』
『聞き耳?』
『それしかないでしょ?お口はチャックね?うふっ』
『黙して語らず、だね?』
『あなただって分ってるんだから、強調する意味も理由もないでしょ?』
『済まないね、はははっ』
『いい?掛けるわよ』


[51] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/06/29 (日) 16:34 ID:D5JiWbII No.201733



渡辺とのホットライン用とプライベート用の携帯2台を屈指して、私を参加させるのです。
昨日も同じ手法を使っていますから、手慣れていると思われます。


『クマさんだよ〜』
『ごめんね?遅くなりました、うふっ』
『仕事なんだから気にしなくていいよ』
『心が広いのね?嬉しいわ』
『綾ちゃん、オマンコが広がってない?』
『カナちゃん?!驚くでしょ?お家なの?』
『仲良し夫婦だもの。今日は主人がお世話になりました』
『どういたしまして、うふっ。昨夜は主人と楽しめましたか?』
『それなのよ。話そうかどうしようって迷っていたのね。主人に相談したらね、隠すのはおかしい
って。こういう関係、スワップのことね、透明性が大事でしょ?私達ともそうだけど、綾ちゃんが
知らないとしたら、一大事だもの』
『ナンなの、奥歯にものが挟まったみたいな言い方って』
『まだ挟まってる感覚でしょ?』
『あれ?広がってるとか挟まってるとか、どうお返事したら満足ですか?』
『どちらもでしょ?主人のペニスで広げられて、その感触がまだ残ってる感じじゃない?』
『分かるんだもの。聞いて損しちゃったかな?うふっ』
『損?それなのよ。綾ちゃんが知らなかったら、夫婦関係ではマイナスってことでしょ?』
『それが損ってこと?』
『そうでしょ?お互いの価値観に影響したら、プラスにもマイナスにもなるじゃない?』
『主人に対する私の気持ちに影響するってことね?』
『それなの。ここまでは理解したわね?』
『何となくかな?』
『今朝ね、ナベさんとはチェックアウト迄一緒だったの。ホテルの玄関で別れて、JR駅構内の
お店を見て回ってからカフェでランチしてたのね。そしたら、ナベさんが少し離れたところを
女性と腕を組んで歩いてるの。綾ちゃんかなって思ったのよ。でもね、離れてても綾ちゃん
だったら分かるでしょ?何となく地味な感じの女性だったし、他のグループのスワップの女性
かなとも思ったのね。その時はそれ以上何も思わなかったんだけど、何故か気になっていて、
帰って来た主人に相談したら、他にスワップしてるとは聞いていないって言うでしょ?
それならその女性は?ってなるでしょ?それでね、綾ちゃんが知ってるか聞こうか、どうしようか
って意見が分かれていたんだけど、ハッキリさせないと不透明なままでしょ?それでね・・・』
『私は何も聞いていないし・・・あっ?!クマさん、覚えてる?』
『ナベさんの携帯に掛けた事かな?』
『3時半頃だったでしょ?』
『そういうことか、ヤッてる最中だったから出れなかった。そうじゃないか?』
『そうね・・・そうだったら誰なのか気になるわね』
『綾ちゃん、今はお家でしょ?仕事とか言ってたから』
『そうよ。主人はまだ帰ってこないし、連絡もないの。でもね、何度かあったし、気にもして
いないって言えば嘘になるけど、間違った事にはならないと思うの』
『愛してるものね?』
『カナちゃんもでしょ?』
『主人を愛してなければ、スワップなんてできないわよ』
『愛すること、信じること、それがなかったら知らない人とセックスなんてできないわ』
『大丈夫よ。身元が確かな人だし、私がお相手してる人だもの』
『感謝してるのよ、カナちゃんが紹介してくれたこと』
『同じよ。私も性欲が強くて、主人を困らせていたのね』
『あのね、週末がとても待ち遠しいの。それがあるから、お仕事も頑張れるのね』
『思い出したわ。来週ね、3Pをお願いされたのね。ナベさんには今朝話したんだけど、綾ちゃんが
OKならいいって』
『3Pって?FFMなの?』


[52] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/05 (土) 16:30 ID:OvKfGr4I No.201870



『そうよ、綾ちゃんと私、男性は館野さん。土曜日にお相手したでしょ?』
『あの人ね、レストランでお口に射精したのよ。だからね、二回目は遅いと思うでしょ?』
『させたんでしょ?ベッドで楽しむために。そうでしょ?』
『分かる?それなのに同じように早いんだもの。主人の出番が予定より早くなったかな?』
『穴埋めには足りないけど、それなりに楽しめるでしょ?』
『親切だし優しく接してくれるから、安心して体を預けられるわ』
『でも、でしょ?』
『お歳のこともあるし、それなりに楽しめたらいいかなって。あれ?!カナちゃんと同じことを、
うふふっ』
『じゃ、決まりね。時間と場所は同じね、金曜日だから』
『あれでしょ?穴埋めは・・・穴って何だか恥ずかしいかな?・・・クマさんでいいのね?』
『その予定だよ。でもね、館野さんの体力で3Pは難し過ぎないか?』
『二人に射精は難しいかもしれないわね。綾ちゃんが気に入ったって言ってたから、綾ちゃんに
じゃない?』
『ほんとに?でも、二人で分けましょうね?うふっ』
『綾ちゃん、もう昂奮してるでしょ?濡れてない?』
『かも?うふふっ・・・お話を戻していい?』
『いいよ。ナニかな?』
『主人が会ってた女性の事ね、話しを大きくしたくないから、知らなかったことにしてくれない?
私の気持ち次第でしょ?なかったことにはできないけど、愛する気持ちは変わらないから。
お願いね?』
『分かったよ。カナもいいね?』
『大丈夫よ。余計な事を考えないで、セックスを楽しみましょうね?』
『うふふっ、了解です。じゃ、今夜は・・・』
『綾ちゃんと主人のセックスプレイを聞きながら、オナニーしようかな?』
『クマさん、恥ずかしいことは話さないでね?』
『はははっ、了解です。じゃ、おやすみかな?』
『そうね、おやすみなさい』


ほんの少しのタイムラグの後、


『疲れた?』
『聞き耳?』
『立てなかったの?うふっ』
『はははっ、若ければね』
『濡らしたと思う?』
『カラカラとは言えないけど、湿潤程度じゃないか?』
『お湿り?きっとそうよ・・・あれ?また難しく言うんだから、うふっ』
『まぁ、それはさておき・・・』
『ナベさんと一緒に居た女性でしょ?』
『スワップ夫婦は予測も付かないようだが、思い当たる節があるんだろ?』
『予測の予測ね?奧さんじゃないかと思うの』
『奥さん?』
『ハッキリ言わないんだけど、別居中みたいよ。そんなのどうでもいい事なの、私には』
『セフレの関係に関与しないんだったら、問題ないが・・・』
『大丈夫だと思ってるの。全てナベさんの責任で処理する約束をしてるから』


[53] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/06 (日) 11:01 ID:9RWvaVJA No.201879



『携帯の事だけどね、いずみ、この場合は綾だが、出ない筈はない、手が離せないのなら
後で掛けてくる、そういうことかい?』
『そう、今までそういうことはなかったの。もしね、誰かと会ってるのなら、事前に話すか
途中でも連絡してきたの。それって、どういうことか分かるでしょ?』
『ん?・・・スワップ夫婦が言ってた?』
『透明性、これってとても大切なアイテムなの。少しでも疑いを持たれたら、その瞬間に関係性は
崩壊するのね。セフレってそういうものって二人の間では認識してるの。
お仕事ならいいのよ、体の関係とは次元が違うでしょ?あっ?!優位性の話じゃないのね、
分かるでしょ?』
『仕事に置き換えれば、嘘も方便になる。そういうことだろ?』
『さっきも使ったでしょ?仕事ってここでは神様かな?便利な言葉でしょ?』
『キャリアウーマンと認識させているところが大きいだろうね。あれか、水戸黄門だろ?』
『印籠は持ち合わせていませんわ、うふっ』
『淫靡な雰囲気は溢れる程持ってるだろ?はははっ』
『あなたね〜、奥様なのよ、もう少しソフトに表現して欲しいかな?うふっ』
『透明性だけどね、何らかの疑念を持ってるだろ?』
『うん、それを解明した時に、私の推測が間違ってなかったら、その瞬間に関係性は崩壊するの』
『それまでは、タヌキとキツネかい?』
『透明性の裏で騙し合いかな?うふっ』
『それまでは・・・2週間とか言ってただろ?そう言える根拠は話せないのかい?』
『あなたに嘘はつきたくないから、話せることは全て話してるの。だからね、その時まで待って
欲しいの』
『話せない事は嘘じゃない?』
『事実が分かるまではグレーかもしれないけど、嘘じゃないの』
『2週間先が楽しみだね、はははっ』

私と会う約束は2週間後の土曜日ですから、その時の彼女の驚く様子が目に浮かぶようです。

『うん・・・ハッキリしたら連絡するわね。その時に全て話すから』
『分かったよ』
『じゃ、今からお仕事タイムです。日付が変わる頃までかな?』
『そうか・・・じゃ、僕ももう少し仕事をするかな?』
『じゃ、おやすみメールはいつも通りに。お仕事頑張ってね?』
『あいよ、はははっ』


PC画面の時刻は、10時を少し過ぎています。
彼女からのおやすみメールが届くまで起きているつもりです。

渡辺の素性が分かれば、一緒に居た女性の関係も分る筈です。
清水さんには、可能な限り早く調査を終えるように依頼しなくてはなりません。
彼女が想定していると思われる事実は、すでに私が調査を開始しているのですが、2週間と期限を
決めていることからも、私が探偵事務所に依頼したように、第三者にお願いしていることは、
間違いないでしょう。

11時少し前に、彼女からメールが届きます。


[54] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/06 (日) 12:06 ID:9RWvaVJA No.201880



[話せる?]


何かなければ、このようなメールは来ません。
直ぐに、彼女の携帯に掛けます。


『どうした?』
『ナベさんが話があるって。あなたに聴いてもらいたいから、一旦切って掛け直すことにしたの。
今手が離せないって理由で、ほんとにそうなのよ』
『見当は?』
『何も聞いていないから、分からないの。お仕事の邪魔になるかもしれないけど・・・』
『聞き耳かい?』
『お返事しないといけないような事かもしれないけど、何度も切れないから、私の判断でもいい?』
『返答に困るような事なら、強制的に神様を出すんだね』
『お仕事?あなたの判断で携帯に掛けてくれる?』
『あぁ、そうしようか』
『うん・・・掛けるわね』


直ぐに繋がります。


『ごめんね、お話しって?』
『2週間後の土曜日のお相手の人だけどね、覚えてるだろ?』
『覚えてるって?何も分らないから、分からない人って記憶に残ってるだけよ』
『はははっ、そりゃそうだね。初めてだろ?僕が用意するのは』
『今まではカナちゃんの紹介だったから?』
『僕の見る目が問われるだろ?』
『ホントそうよ。変な人だったら、その瞬間にセフレは解消だからね、うふっ』
『失敗が許されない事は承知してるからね。綾の好みの男性なのは間違いないと断言できるよ』
『それって何度も聞いたけど、ナベを信じないってことじゃないのよ。私にはナニも描けないの、
何のヒントもないんだもの。でも、ナベは信用に値する人だもの、何も見えなくても間違った事
にはならないと思ってるの。そうでしょ?』
『嬉しいよ、信じてくれて。だけどね、その人なんだけど、かなり辛辣と言えばいいのか、
綾の裸の画像を見ても驚きも興奮も見せない。テンションが低いままなんだ。キャンセルでも
されたら、僕の威信に関わるだろ?綾だけならまだしも、クマさん夫婦にも話しているんだから、
引くに引けない状況だろ?』
『オトコのプライドなのね?』
『分かってくれて、嬉しいよ。それでね、もう少し綾の様子が分かる画像を見せれば、テンション
も上がると思うんだ。どうかな?』


私の反応に不安を覚えている様子が、鮮明に浮かび上がってきます。
当然と言えば当然なのですが、私の妻なのですから、性的な反応を期待する方がおかしいと、
吹き出しそうになります。


[55] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/06 (日) 15:09 ID:9RWvaVJA No.201883



『そうかもしれないけど、私は今のままで十分満足してるのよ。だから、お仕事も頑張れるのね、
ナベには心から感謝してるの』
『そう言ってくれたら、頑張った甲斐があるよ。だけどね・・・』
『プライドでしょ?』
『厄介なモノだと思うだろうけど、ここは一歩譲ってくれないかな?』
『そうね、日ごろの感謝を込めて・・・うふふっ、大袈裟だけど、一肌脱ぎましょうか?』
『ほんとに?嬉しいね。だけど、脱ぎようがないよ、全裸の写真を撮ったんだから、はははっ』
『違うでしょ?もう少しそうしようかなっていう、心の事なの』
『冗談だよ。心まで撮れたら逆立ちして歩くよ、はははっ』
『ほんとに?じゃ、逆立ちして歩いてもらおうかな?うふっ』
『全て曝け出す?ほんとに?』
『ジョークでしょ?あり得ないもの。ナベへのお返しね?』
『受け取りましたよ、はははっ・・・じゃ、見せる部分を拡大するでいいね?』
『いいけど、私が特定されるような写真は絶対にダメだから、それは分かってね?』
『了解です。じゃぁ、明日はどうかな?』
『急遽?それはダメかな?お仕事でしょ?』
『そうだったね。ごめん!ちょこっと調子に乗ったかな?』
『マネしないでね?”ちょこっと”は、私が大切にしてる言い回しなんだから』
『ごめん!ごめん!全面降伏です、はははっ』
『素直なところがナベの良いところなんだから。分かった?』
『分りました。じゃ、次の土曜日かな?』
『そうね、その時に。それまでにキャンセルされない様に繋ぎ留めないといけないわね』
『写真は遅れるけど、綾が会いたがってるって匂わせておくよ。いいだろ?』
『ナベを信じるから、いい?・・・ナベには大事なミッションでしょ?出来る限り応援するわね』
『ギリギリの範囲まで撮らせてくれると思ってるから』
『出来る限りの範囲ね?』
『じゃ、お願いはここまで。まだ時間はあるかな?』
『ナニかあるの?』
『2週間後の人だけどね、綾が気に入ったら、イヤじゃなかったらかな?他の男性も増やしたい
んだけど、いいかな?』
『私のためだって分かるのよ。でも、その人も含めて5人でしょ?これ以上増やしたら、お相手
する時間ってないじゃない?』
『日曜日は隔週だろ?綾の仕事次第だから決まってはいないけど』
『そうよ。隔週ってナベが言い出したことでしょ?お仕事優先って理解してくれてるのに、毎週
なんてとても難しいわ。私のために頑張ってくれるナベの気持ちはホントに嬉しいのよ。
でも・・・ごめんね?』
『そうだろうと思ってね、一日の人数を増やせば解決できないかな?どう思う?』
『金曜日の夜に一人でしょ?土曜日はお昼間に二人だから、夜ならって思ったの?』
『その時間が取れるのなら。難しいかな?』
『その時によるでしょ?でも、待たせていて前日かな?当日かも分からないけど、お返事するの
ってお相手の男性に悪いわよ。そんなの私にはできないもの。だからね・・・』
『それも了解済みなら、問題にはならないだろ?まだ決まったんじゃないけど、そういう話も
できるかもしれないとしたら、綾には何も負担にならない。それならいいだろ?』
『分かったわ・・・でも、2週間後の人の評価次第でしょ?それから考えても遅くないと思わ
ない?』
『そうだね、その時まで待つことにするよ。無理を言ってごめんね?それと、仕事の手を止めて
ほんとに悪かったよ』
『いいわよ。分かり合えたんだから、そのための時間なら何も惜しくないもの。これから頑張って
遅れを取り戻すわね?』
『じゃ、頑張って・・・愛してるよ』
『うん・・・私も・・・おやすみなさい』


[56] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/06 (日) 17:11 ID:9RWvaVJA No.201885



最後のフレーズを噛みしめているのか、直ぐに話し掛けてきません。
ところが、私への説明を考えているとしたら、それが正解だと思えるのですが、それは直ぐに
判明します。

『長くなって、ごめんね?』
『彼との話?それとも・・・』
『うふふっ、見え過ぎるのって面白くないわね?』
『言い訳?』
『ない事はないかな?初めて聞くこともあったでしょ?でも、お話しの中で説明できてると
思うの。あなたなら、反復することもないかなって思いながら、話し掛けるのが遅くなりました。
ごめんね?』
『はははっ、二度も謝る?後ろめたい事象があるのかい?』
『ない事はないかな?あれ?二度目だわ、うふっ・・・あのね、彼との会話はその通りなの。
だから、私からの説明は要らないと思うのね。でもね、日曜日のことは変則的で、隔週って
いっても、その通りじゃないのね。今月は今日のクマさんが初めて、先月は一度だけだったの』
『補足説明?補充じゃないのかい?はははっ』
『うふふっ、補足の日は補充もあるかな?そういう設定かな?』
『曖昧だね?まぁ、それはいいとして、4人はローテーションを組んでるのかな?』
『そうでもないみたい。クマさん夫婦と話した時に、館野さんって名前が挙がってたでしょ?
あの人とは来週もだから2週連続でしょ?だから・・・』
『ランダムか。彼の都合、いずみの分からない事情でそうなるのか、そこが今回の暗部じゃ
ないか?』
『読み切れないの。優しくて親切で思いやりがあるでしょ?見えないのね、裏側が。何かがある
とは思うんだけど、そうじゃないかもしれないとも思えるから、半信半疑なの。あれ?前に話し
たわ、うふっ』
『確かに優しいね。”愛してる”と言えるんだからね、はははっ』
『私は口にしてないわよ。でも、あの時は・・・それは分かるでしょ?』
『何度も聞かされたから、耳がタコになってるよ』
『うふふっ、そうでした。今もね、”私も”って言ったけど、”愛してる”とは言ってない
でしょ?あれ?じゃ、何て言うの?って気になるでしょ?あのね、”大好き”なの。お終い!』
『恥ずかしいだろ?』
『だって、容認されてるって言っても、ご主人様には・・・ほんと恥ずかしいかな?うふっ』
『容認もそうだけどね、自由には責任が伴う、忘れないように。いいね?』
『うん、肝に銘じています。あなたあっての私だもの、迷惑はかけられないでしょ?』

充分に迷惑を掛けていることに気付いていない彼女が、愛おしくなります。

『こういう話をすること自体、ある意味迷惑だろ?』
『ほんとだ!ごめんね、お仕事の手を止めて』
『いずみもだろ?はははっ』
『もう少し頑張ろうかな?ねぇ、あなた・・・』
『なんだよ、猫なで声で。媚を売る相手が違うだろ?はははっ』
『売ってません!愛してるのはあなただけって、そう言いたかったの』
『”愛”はむやみに口にするものじゃない。セフレであってもだよ、分かるね?』
『うん・・・”大好き”しか言わないもの。あの時も”大好き”に置き換えられるように頑張り
ます』
『はははっ、その成果は?自己申告しかないだろ?』
『信じてもらえるように・・・できるかな?うふっ』
『無理は禁物だよ。せっかくの興奮が醒めるのなら、その採用は止めてもいいんだからね』
『せっかくのセフレだから?』
『まぁ、彼だけとは言えないが、今回の事で今後のセフレ対策が見えてくることを祈りたいね』
『うん・・・何とか見えるような展開にしたいし、良くも悪くもハッキリした結果が出せるように
したいの』
『だね。じゃ、もう少し頑張るか?』
『うん・・・次の土曜日の事、報告するわね?それとね、それまでに何かあったら、おやすみ
メールの時に連絡するから。些細な事でも、あなたに知ってもらいたいの』
『自主性を放棄するのか?』
『だって、ここまでお話ししてるんだもの、放棄とかじゃないけど、報告しないと私の自主性に
関わるでしょ?うふっ』
『そうくるか!まぁ、自主性の何たるかが分かってるようだから、安心して展開を見守ってられ
そうだね、はははっ』
『はい!結論が出るまで、私を見守っていて下さい、うふっ』
『楽しみにしてるよ』
『うん・・・じゃ、戻る?』
『戻りたい?』
『あなたが戻るのなら』
『始めるか?』
『うん・・・愛してるの、ほんとだからね、うふっ』


[57] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/12 (土) 11:28 ID:XkAga69A No.201997



月曜日のおやすみメールには何も付加されていなかったのですが、数分も掛からずに
またメールの着信です。

[話せる?]

いつもと同じフレーズですが、何か思うことがあるのかと、少々不審な気持で折り返します。


『どうした?直ぐにメール?何かあったのかい?』
『お仕事してるんでしょ?』
『お見通しかい?まぁ、いつものことだけどね。いずみに頼まれた市場調査かな?』
『大変でしょ?業種が違うと・・・』

本題は他の事にあるのは明らかです。

『それじゃないだろ?』
『あのね、おやすみメールを送信して、急に不安になってきたの。間違ったことをしたんじゃない
かって』
『見えないね。可視化できないのかい?』
『怒らないで聞いて欲しいの。バカな私って分かってるから』
『今回の件だろ?”後悔先に立たず”を身に染みて感じた、そうだろ?』
『うん・・・セフレの枠をはみ出したかなって・・・』
『具体的に話さないか?核心の周りを回っていても意味するところは伝わらないぞ、はははっ』
『おやすみメールを送る前まで、ナベさんと話していたの。あなたに聴いてもらったら良かったん
だけど、切ってまですることもないかなって。あなたがお仕事してるのは分かってるんだもの。
私もそうだったんだけど、少しだけならって、10分くらいだったかな?お話ししたのは』
『二つ疑問があるが、いいか?』
『うん・・・あのね、ナベさんから掛かってきたの。私からじゃないから』
『それじゃないよ、訊きたいのは』
『うん・・・』
『一つは昨夜の続きなのか、二つ目は頻繁に掛かって来るのか、答えられるね?』
『あのね、雑談みたいなモノから始まって、具体的なお話しは特になくて、その中でテーマに
触れていくような、そんな感じなの』
『質問に答えていないだろ?』
『ごめんなさい。テーマが昨夜の事なの。写真を撮るって話したでしょ?』
『ん?おかしな話だね。次の土曜日に決まっただろ?変更したいとか、そうかい?』
『日にちじゃなくて、撮影ポーズって言えばいいかもしれないの。あのね、そういう姿態を想像、
妄想かな?イヤらしいお話がしたいって感じなの。だから、具体的はお話しは何もなくて、
少し話したらそれで満足みたいな、そんな感じなの。私はイヤじゃないけど、長く話すって無駄な
時間でしょ?だからね、少し途切れた時に終わらせるようにしてるの』
『それが10分程ってことだね?』
『うん・・・二つ目をお返事してもいい?』
『いいよ』
『一言で言ったらね、ランダムなの。掛かって来る時間帯は、10時30分〜40分くらいなの。
私がその頃ならいいって話してるから。11時にはあなたにおやすみメールを送信したいから、
邪魔されたくないのと、その後からお仕事を頑張るって自分にいい聞かせられるから。
キリがいいって言うの?おやすみメールで区切りが出来る、気持ちを切り替えられるって言えば
いいかな?そういうのってあるでしょ?それとね、多くはないのよ、11時30分頃も・・・
できれば、掛けない様にとは話してるの』
『しがらみを絶つ、かな?』
『えっ?・・・言葉のしがらみ、言葉がまつわりついて来るって感じかな?会ってる時は、
優しくて思いやりがあるから、何も感じられないけど、結局はしがらみなんだってあなたに
言われたら、そうかもしれないと思えてきたわ』
『会ってる時は楽しいんだろ?だけど、一歩離れたら、うっとうしい存在でもある、違うか?』


[58] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/12 (土) 14:04 ID:XkAga69A No.202002



『携帯ではね、できるだけ必要最小限でお話ししたいの。セフレの関係って言葉じゃないでしょ?
だから、携帯で雑談なんて全く無意味だと思ってるの。でも、掛かって来たら、無下にできない
でしょ?』
『いずみの優しだよ。前にも話したと思うけど、誤解されない程度に相手しないとダメだろ?』
『どうしても引っ張られてしまうの。会ってる時の情景が浮かんで来るでしょ?ダメだって分って
るんだけど、修行が足りないって叱られそうだわ』
『ランダムの意味は話さないのかい?』
『不規則でしょ?決まりがないとも・・・時間帯は決めているから、掛かって来る日数ね?
週に二回くらいかな?それこそランダムなの。雑談混じりだけど、週末にお相手する男性の情報
とか、性的なってことね、下着とかお洋服とか、レストランで会う時の性的な接触とか、
そのような打合せなんだけど、どう言えばいいかな?他の事も絡めて話すのね。だから、いつの
間にかそうしようかって、気付いたらその日の流れが決まってる様な、気付かない内に誘導されて
いるって感じなんだけど、イヤじゃないのね。楽しくエロを話すって感じ、淫靡な雰囲気は一切
ないから、つい・・・でも、時間は決めているから、それはシッカリ見極めて、おやすみメール
までには終わらせているの』
『それなら二回も必要ないだろ?』
『それなの。それで・・・あなたに叱られるって思ったの。そのお話しをしてから携帯を切った
のね、その後すぐに不安になって。それで今お話ししてるの』
『同じじゃない?』
『今日は月曜日でしょ?・・・あれ?月曜日はあまりないかな?日曜日が多いかも?もう一日が
ランダムかな?』
『はははっ、緊張してるのか?』
『うん・・・あのね、金曜日と土曜日でしょ?お相手するのは。その時って・・・あのね、
エロい下着って決めてるのね、二人で決めた事なんだけど、男性を興奮させる必要アイテムって。
ブラ、パンツなんてそれ用って感じだし、愛液とか精液も付着することがあるでしょ?
お洗濯しないといけないんだけど、持ち帰れないでしょ?アキさんに話せば理解出来る範囲って
分かるんだけど、普段使用の下着とかと一緒にお洗濯って私の中ではあり得ないの。
セフレとお家とは一緒にしたくないから・・・それでね、金曜日は彼にマンションに持ち帰って
もらって、土曜日は時間があれば一緒にマンションに帰って、金曜日のと合わせてお洗濯するの。
でも、土曜日は6時迄には別れることにしてるのね。その日によるんだけど、でも、ほんとんどそう
かな?あのね、男性二人とお相手してから彼ともするから、マンションに帰る時間は殆どないの。
だから、土曜日も持ち帰ってもらうことが多くて・・・』
『彼が洗う?それはないだろ?』
『私が・・・汚れたまま放って置けないでしょ?出来るだけ早くお洗濯しないといけないから、
月曜日の夜にマンション行ってお洗濯してるんだけど、今夜ね、取引先との会食が急遽決まって、
明日に変更したの。彼ってホント気にしないって言うか、男性ってそういうモノなんだって
分っていても、軽いお返事って気持ちが楽になるけど、気にしながら連絡する私って何なのって
思ってしまったわ』
『彼に傾いてる?それはないだろ?約束の重みを身を持って経験しているからだね、はははっ』
『そんなこともあったかな?うふっ・・・傾いてはいません。傾くのはあなただけ。もう!言わせ
るんだから、うふっ』
『余談だったね?はははっ・・・あれか、週末だけかと思っていたが、まぁ、そういうことなら
・・・彼は一人住まいだね?』
『別居中みたいって話したでしょ?ホントだと思うわ・・・確証はないけど、何となくそう思うの』
『それは理解できたが、まだ言い残してることがあるだろ?』
『うん・・・あのね、お洗濯には行くけど、セックスはしていないの。信じられないかもしれない
けど、ほんとにほんとなの。キスとか体の接触はあるけど・・・私がイヤだって断ってるから』
『そういうことじゃなくて、話さないと分からないだろ?』
『セフレの域を超えてるって話したことね、明日もお洗濯に行くんだけど、さっき彼と話した
ことね、9時過ぎに行く約束なの。その時にお食事できるもの、お弁当とケーキをお願いされたの。
これってセフレの関係を逸脱してるでしょ?それとね、エロい下着は手洗いしてるんだけど、
他のお洋服も・・・レストランで性的なお遊びをするでしょ?目立たないけど、汚れるのね。
それは洗濯機を廻すから、終わるまで時間があるでしょ?その間にお掃除もするんだけど、
それって自主的じゃないのよ。でも、何となく示唆されたら放って置けなくて・・・私一人じゃ
なくて、彼も一緒にお掃除するから、罪悪感は半減されるような感じなの。
ダメだって分っているのに・・・あっ?!洗濯機には彼の洗濯物も一緒に。あなたに叱られるって
分かっているのに・・・』
『話さなければ嘘にならない、そういう理屈だろ?』
『容認されてるから、あなたに聞かれなければ話さない事柄の一つかもしれないの。怒ってる
でしょ?』
『セフレじゃないね。体を越えた関係に足を踏み入れている。自覚があるんだから、対処方法を
考えることは出来るだろ?』
『どうすれば・・・明日もそうだし、週末も、二週間先まで約束してるから、それまではセフレを
解消できないし、気になってることが分かるまでは動けないの』
『論点がズレてるだろ?気になっていることなど今は度外視して、考えるのが筋だろ?』
『セフレ以前の問題なの?』
『僕が家事代行業者に依頼してることは分かってるんだろ?』
『うん・・・えっ?・・・それなのに・・・ホントにごめんなさい。出来るのなら・・・』


[59] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/13 (日) 10:57 ID:DKB63IC2 No.202023



『東京に居るからできない?』
『・・・うん、今は無理でしょ?』
『いつならいいんだ?』
『いつって・・・』
『今年いっぱいは出来ない?』
『・・・』
『返事できないのなら、出来る様なセフレを選ぶんだね』
『うん・・・私が間違っていました。ほんとにごめんなさい・・・でも、今は・・・』
『今は?』
『・・・東京でしょ?だから・・・』
『自覚があるのなら、対処方法を考えろと言っただろ?』
『気持ちが落ち込んでしまって・・・何も思い付かないの』
『辞めるんだね、会社経営なんてお前には向いていない。明日の朝一番に帰って来い、いいね?』
『・・・どうしていいのか分からないの。あなたに叱られたら頭が真っ白になって・・・』
『帰って来る、いいね?』
『明日はお仕事だし・・・』
『何度も言わせないの、分かったか?』
『うん・・・あなたの指示には従います。でも、少し待って欲しいの、会社を放棄なんてできない
から、考える時間が欲しいの』
『即断即決、今しかないだろ?誰と何を話しているんだ?』
『あなたと・・・あなたのお家のお掃除とかお洗濯・・・そうだわ、次の日曜日なら朝早く東京を
出れば一日は居れるでしょ?』
『それで何が出来る?単なる自己満足じゃないのか?』
『今はそれしかできないの。どうしたらいいのか分からない』
『原因は?』
『私が彼の・・・あっ?!原因の元を覆す?そういうことでしょ?』
『話せよ』
『今週の金曜日と土曜日の約束を断って、あなたのところに帰る。それじゃないと筋が通らない、
そうさせて下さい』
『それから?』
『えっ?・・・お掃除とお洗濯・・・お料理は何も出来ないから・・・』
『弁当か?それなら誰かさんと同じじゃないか?』
『うん・・・同じ立ち位置なんてあり得ないもの。少し時間があるから何が出来るか考えてみる
わね、それでもいい?』
『どうでもいいことに頭を使わない。近々の対応はどうするんだ?』
『明日の事?』
『断るのか?』
『それしかないもの。神様を理由にしたらいいでしょ?』
『金曜日も土曜日も神様だろ?同じ轍は踏まない方がいいね』
『お仕事は神様だもの、これ以上の方便はないでしょ?』
『じゃ、なにか、事後と事前は同じレベルなのか?』
『明日の目的はお洗濯だから事後でしょ?週末はこれからだから事前ってこと?』
『そういうつもりだが、同じじゃないだろ?』
『そうか!事後は対応しないといけないが、事前はまだ何もしていないから、対応も何もない。
そういうことね?』
『やっと分ってくれたか、はははっ』
『良かった!ほんとに泣きそうなんだもの。愛してるからイジメないでね?うふっ』
『愛するが上の叱咤激励だと理解するんだね』
『あなたの思いやりね。嬉しくてほんとに涙が・・・泣かさないでね?』
『はははっ、淫水以外も出さないと濁ってしまうだろ?』
『あなたとなら涙の方が多いかもよ。だって、時間が合わないから愛し合えないでしょ?』
『元気になったかい?』
『見えないモノが見えるようになってきたかな?』
『続けるよ・・・明日の事だけどね、僕が思うことを話すから、意見があれば聞かせてくれ
ないか?』
『うん・・・でも、あなたの思う通りにしたいの。それが私の誠意だもの』
『聞く前から方針を話すなよ、はははっ』
『ごめんね?でも、私が出来る事って・・・昔ね、あなたの指針が私の行動だったでしょ?
あなたの事を信じて疑わなかったのに、今は疑われる私って何だか情けなくなるわ』
『疑心暗鬼は心の中、表に出さなければ分からない。それが疑われる原因だよ』
『隠してるってことじゃなくて、自主的に話さない、でしょ?』
『昔に戻るんだね、特にこのような事案の時は』
『うるさいくらい話していたってことね?』
『思い出したかい?』


[60] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/13 (日) 14:36 ID:DKB63IC2 No.202026



『任されてるからって、お鼻が高くなっていたのかも?ごめんね、これから気付いた時には
話すようにするから。でも、今回は纏めまで、ハッキリするまで待ってね?』
『約束したからね』
『彼との約束と重みが違うもの。他の人とのセックスは、セフレの域を出る序説みたいなもの
でしょ?』
『まぁ、その後だろ?域を出るのは?』

セフレとのセックスは、彼の要望であったとしても彼女が容認したのであれば、誰とセックス
しても問題はないのですが、それに付随する出来事はセフレの域を超えていると認識しています。

『お洗濯とかお掃除がなければ、セフレの関係性に問題はないって言えたかもしれないでしょ?
でも、私のためでも他の人を紹介するって、セフレの域を超えているように思えない?』
『それが序説なんだろ?』
『そうよね、それがなければ問題なんてないんだもの。それが問題の核心でしょ?』
『思いは同じだね、はははっ』
『なんか、答え合わせをしてるみたいだわ、うふっ』
『それはその時だね。じゃ、明日の事だけど・・・』
『断らないとしたら・・・でも、マンションには行かない方がいいでしょ?』
『洗濯の事だけどね、エロい下着はいくつ持ってるんだ?』
『10組かな?明日と関係あるの?』
『洗濯は?』
『金曜日と土曜日だから・・・土曜日はね、NP、NBだったから・・・あっ?カナちゃんがね、
ノーパン、ノーブラのことって教えてくれたの。直ぐに分かるんだけど、ノーパン、ノーブラって
私達は話すでしょ?だから、註釈を入れました、うふっ。だからね、金曜日の一組だけなの』
『日曜日は?』
『クマさんでしょ?それはね、私のセクシー下着だから、お家でお洗濯なの』
『じゃ、一組だけか・・・』
『どうするの?』
『約束したことだし、可能な範囲で守ることにしようか?だからね、弁当とケーキは持参し、
下着は持ち帰る。部屋には入らずにエントランスで受け渡しとする。いいかな?』
『お仕事が忙しいから断わりたかったけど、約束したからってことでいいのね?下着は持ち帰って
手洗いってことでしょ?お部屋で干すのはいいんだけど、アキさんに見られるのは、ちょこっと
恥ずかしいかな?』
『破棄しようか?10組もあるんだから1組くらいなくなっても分らないだろ?それに、二週間先
まで必要ないとしたら、破棄した下着の出番は永遠にないかもしれないだろ?』
『二週間後にはセフレを解消してるかもしれないし、仮に、継続するとなったらその時に購入
すればいいんだもの。完璧だわ、あなたってクレバーね?うふっ』
『クレバーは頂けないね。ワイズにしてくれないか?はははっ』
『サワちゃんが傍に居たら、”おかしな夫婦”って揶揄されそうね?』
『居なくて良かったよ、はははっ』
『会ってるんでしょ?』
『いずみの画策に乗っかった格好だね、はははっ』
『ねぇ、今回の件が私達が思ってる結末だったら、三人で・・・どうかな?』
『いずみと同じだったら?解決できれば、三人でカンパイとするかな?』
『うん・・・それまでは、解明することに全力で臨みましょうね?うふっ』
『戻すか?』
『今週の金曜日と土曜日を断るでしょ?明日の事もそれに絡めればいいんでしょ?』
『それしかないだろ?週末の出張をどのように説明するかだね?』
『関西方面って話そうと思うの。仕事内容は話さないって取り決めてるから、考えなくてもいい
でしょ?でね、帰宅できるのは、日曜日の夜か、長引いても月曜日の午後には帰社できるって
説明するわね?』
『いいんだね?』
『あなたと長く居たいんだもの。ちょこっと不安もあるけど、いい機会だと思うの。こんなことが
なければ、あなたのお家に行くこともないでしょ?』
『涼子?』
『うん・・・何年も経ってるのに、拘るって情けないでしょ?でも、何事もなかったように
楽しく過ごせるかもしれないわ。だって、あなたが傍に居るんだもの、うふっ』
『家事代行業者並みとは言わないが、掃除・洗濯に追いまくられて、余計な事など考える暇もない
と思うよ』
『それにお食事の用意も・・・大変だわ!出張を取り止めようかな?うふっ』
『はははっ、時間も時間だから、今から連絡して断わりを入れようか?』
『はい・・・あれでしょ?二週間先はそのままでいいんでしょ?』
『安心させないといけないからね。それに、その時に解明できるとしたら、当事者が居ないと
話しにならないだろ?』
『うん・・・じゃぁ、今から掛けるわね?』


[61] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/19 (土) 11:25 ID:Nb4ToO/w No.202141



一呼吸置いているのか、繋がらないのか、少し待たされます。


『アレ?綾?』
『良かった!直ぐに出ないから寝てるのかと思ったわ』
『まだ仕事・・・どうしたの?』
『ほんとに?眠そうな声じゃない?』
『バレたかな?ウトウトしてたみたいだよ』
『それでお仕事が出来るの?』
『ナニかな?』
『気になるわね、こんな時間に掛けてくるんだから』
『さっき話しただろ?言い忘れ?』
『言い忘れと言うか、まだ決まっていなかったから話せなかったの』
『こんな時間に?』
『延期をお願いしていたの。だって、今週の金曜日から土曜日はナベとの約束があるでしょ?』
『えっ?それじゃ・・・キャンセルなのか?』
『大きな声ね?目が覚めたの?』
『そりゃ、そうだろ?』
『ごめんね?そういうことだから・・・緊急ってこともあるって話してたでしょ?今まで一度も
なかったのは、極力そうならない様に配慮していたからなの。私なりに努力はしていたんだけど、
限界ってこともあるでしょ?だから、今回はキャンセルさせて欲しいの。分かってくれるでしょ?』
『仕事なら仕方ないけど・・・都内に居るの?』
『関西方面に出張なの。ウィークディもそれなりにあるのよ、話していなかったけど』
『綾は忙しいから、仕方ないと言えば仕方ないけど・・・困ったな、ほんとに困るよ』
『絶対はないって話したでしょ?そうなるかも分からないから、その時は対応を考えるってナベが
話さなかった?』
『・・・話したけど、二人で考えるじゃなかった?』
『ずっと前でしょ?そう言ったかは曖昧なんだけど、対応って考えられないわ』
『日曜日は?』
『約束は金曜日と土曜日でしょ?』
『変更できないか聞いてみるよ』
『私を飛び越えて?あり得ないわ』
『今週末だよ、今からキャンセルなんてできないだろ?』
『私の都合はどうでもいいのね?見損なったわ』
『あっ?そういうつもりじゃ・・・困った・・・』
『困らない様に逃げ道を設けて置くのが処世術でしょ?それもできないなんて、呆れて開いた口が
塞がらないわ』
『尤もだね。綾が正しい・・・だけど、困ったとしか言えないよ』
『ダメでしょ?そんなことならセフレを解消してもいいのよ』
『あれ?強気だね?いいの?そんなこと言って?』
『いいわよ、そんなことも対処できないのなら、こちらから願い下げだわ』
『それは困るよ。僕の事が嫌いになったんじゃないだろ?』


[62] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/19 (土) 12:56 ID:Nb4ToO/w No.202150



『誰がそんなことを言ったの?時間があれば会いたいって言ってるのは誰なの?』
『綾じゃないか、僕もだけど』
『そうでしょ?2人の関係を壊してもいいの?そう思ってないでしょ?』
『分かったよ、仕事の都合で会えないと連絡するよ。だから、機嫌を直してくれないか?』
『いいのね?それなら・・・大好きなナベに戻ろうかな?』
『良かったよ。綾に嫌われたらどうしようかって・・・』
『泣きそうだった?うふっ』
『えっ?・・・それはどうかな?』
『私に振ったの?』
『セフレの解消は本心だったの?』
『うふふっ、それを聞いてどうするの?知らない方がいいんじゃない?』
『そうだね、綾の気持ちは変わらないと信じてるよ』
『私の気持ちを大事にしてくれるのなら、今までと変わらないわ』
『それじゃ、これからも・・・そうだ、今週は断るけど、来週は大丈夫だね?』
『そのつもりよ。私のためにセッティングしてくれるんだもの、ナベに感謝してるのよ』
『今回はイレギュラー、そうあるものじゃないと連絡するけど、いいよね?』
『そうね・・・でも、ナニがあるか分からないでしょ?それは含んでおいてね?』
『分かったよ。じゃ、明日の夜は・・・』
『そのことだけど、ナベに頼まれたお弁当とケーキは届けるけど、お洗濯もお掃除もできないの。
ごめんね?』
『えっ?どうして?』
『出張の用意もあるし、その間出来ないお仕事も進めておかないといけないの』
『残念だな。ケーキを一緒に食べようと思っていたのに』
『次回があるでしょ?その時まで待ってて。いいでしょ?』
『仕事なら仕方ないね。じゃ、ケーキは一つで。やけ食いかな?はははっ』
『パンツとブラは持って帰るから、用意しててね?』
『エロ下着だよ、イヤだって言ってたじゃないか?』
『ナベに頼めないでしょ?最初で最後よ、持って帰ってお洗濯は』
『分かったけど、次からは今まで通りだね?』
『そうよ、今まで通りだと中途半端なんでしょ?もう少し進めてもいいかなって。したいんで
しょ?』
『いいのか?でも、セックスは出来ないんだろ?』
『時間がないもの。お口でもいい?』
『スッキリできれば、仕事も捗るかな?』
『ナベが喜んでくれたら、嬉しいでしょ?私もお仕事が頑張れるもの』
『じゃ、楽しみに待ってるよ。来る時は携帯に掛けてくれるだろ?』
『いつも通りに。違うのは、お玄関のところで受け渡しね。ブラとパンツを忘れないでね?』
『分かったよ。分かり合えて良かったよ、綾は?』
『同じよ。嫌な思いをさせて、ごめんね?大好きだから』
『綾に早く会いたいよ。愛してるからね』
『うふふっ・・・じゃ、おやすみなさい』
『おやすみ・・・』


[63] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/20 (日) 12:02 ID:FRqlMzaw No.202172



最速で戻って来ます。


『これで良かった?』
『心配?』
『だって、あなたの意向に沿ったお話が出来たか気になるもの』
『飴と鞭の使いどころは及第点だね。だけど・・・』
『あれでしょ?フェラの追加サービスは要らなかった?』
『飴を与え過ぎだろ?少し甘いと思ったね』
『そう思ったのよ。でも、彼の心情も分るでしょ?』
『洗濯、掃除の時は、セックスしていない事実が分かったから・・・はははっ、あれか、それを
証明するためのエサ、必要悪か?』
『彼が喜ぶことでしょ?悪はないんじゃない?・・・あっ?!それだけ時間が掛かるから、私には
悪になるのかな?でも、怪我の功名ね?セックスしていないことが分かったんだから。
あなたって鋭過ぎるでしょ?うふっ』
『時間が問題なんだろ?数ヶ月も関係を持っているんだから、射精はコントロールできると
したら、前提が崩れる。それはどうするんだ?』
『ほんとだ!時間がないからセックスは出来ないって話しているのに・・・前言撤回って謝るしか
ないかな?でもね、今週末はキャンセルしたんだから、お洗濯は何もないでしょ?
2週間後の金曜日から土曜日でケリが付くとしたら、謝るも何もないもの』
『なるほど・・・余程自信があるみたいだね?』
『前にも話したけど、半信半疑なの。でもね、疑問を持たれるって、こういう関係では最大の
ピンチでしょ?何もないのが当たり前、少しでも疑問が浮上してきたら、終焉の合図だと思うの』
『正しい判断だけど、入り込まないのが大前提だからね』
『うん・・・入り込まれないのもでしょ?』
『はははっ、優しさの置き所にも気を付けるように、いいね?』
『はい!フェラは撤回します、その時があれば』
『じゃ、寝るか?』
『うん・・・明日の夜の事ね、おやすみメールの時に報告します』
『だね・・・おやすみ』
『おやすみなさい・・・愛しています、うふっ』



火曜日の夜、9時前に清水さんから連絡があります。


『遅くなりましたが、渡辺の事務所が確認できました』
『名刺の通りじゃないと思っているのですが』
『そうですね、こういう場合はデタラメな住所が殆どですが、そうじゃないのには驚きましたね』
『所在地に間違いはないと、予想外ですね』
『それ以外は、虚偽でしたね』
『見せかけですか?』
『経営コンサルタントではなく税理士事務所で、登録もしています。名前ですが、渡辺ではなく
田辺です。ですから、田辺税理士事務所ですね』
『本人の確認は?』
『電話を掛けて田辺と確認していますから、間違いはありません。ただ、マンションの借主の
名前までは確認できていません』
『誰の名義であっても気にする程の事でもないと思っています。彼、田辺がそこに在住している
ことが分かれば、それで十分です』
『マンションから車で30分程のところに事務所があります。事務員と思しき女性が一人います
から、二人体制のようです。仕事内容までは調査しませんから、仕事についてはここまでです。
それでいいですね?』
『本名と仕事が分かれば、それで十分ですから』
『日曜日に奥様と会った男性ですが、電子部品を製造している会社の営業です。役職は課長待遇
のようです。こちらも会社に電話を掛けて確認しています』
『そうですか・・・分りました。ご苦労様です』
『小田さん、困ったことが・・・』


[64] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/20 (日) 14:13 ID:FRqlMzaw No.202177



『どういった?』
『奥様とセフレとの関係を調査しているのは、我々だけではないようです』
『といいますと?』
『依頼主は分からないのですが、調査を止めるように強く言われたのと、私どもへの依頼主を
教えるように、これもかなり強硬でしたが、守秘義務を盾に断りました。
手出しされれば暴行罪で訴えることもできるのですが、当然でしょうが、それは理解している様で、
そこまでは。その男性は私達を待たせて現状を携帯で連絡した後、依頼主に渡すようにと、女性の
名前の名刺を受け取りました。
理由が分からないのですが、依頼主と電話で話したいとのことです。
何か思い当たることはありませんか?』
『ないことはないですね、取りあえず掛けてみます。今後については後で連絡しますが、手荒な
ことはされなかったと、それでいいですね?』
『大丈夫ですが、その男性は反社関係のようでしたから、小田さんの事が気にならないとは言え
ないですね』
『ご心配は有難いのですが、大丈夫ですから』
『分りました。では、名刺の写真を送ります』

彼女が誰かに調査を依頼していることは薄々分かっていたのですが、”やはり”と口を衝いて
出そうになります。

送られてきた写真の名刺は、マリアさんに他なりません。
予測通りと言えばそうなのですが、彼女以外に調査を依頼していれば、それこそ驚天動地です。
マリアさんと駆け引きになるかもしれませんが、兎に角、聞く耳は持っているつもりです。



数回の呼び出し音の後、


『お久し振りですね。お元気でしたか?』
『昨年は色々とお世話になりましたね。今度はいずみですか?』
『それはもう済んだことでしょ?石黒の働きが大きかったでしょうね。いずみちゃんに察知され
ないか、とても心配していたのですよ』

以前は確か”サワちゃん”でしたから、少し儀礼的な表現なのは、石黒さんが私の傍に居ないから
かもしれません。

『分かっていたと思いますよ。善意の行動と捉えていたようですから、知らない振りで通したと
思っても間違ってはいないでしょうね』
『相変わらずね?石黒はそれが良いって。人を好きになる彼女の基準が分からないわね』
『逸れないで話しませんか?』
『そうね・・・核心は見えているんでしょ?』
『何となく・・・あと一押しが欲しいところですね』
『探偵事務所では出来ない事を私がするとしたら、協力して解決できないかしら?』
『程度モノでしょ?清水さんは恐怖を感じたと言っていましたよ』
『大袈裟でしょ?何も接触していないのに?あれね?態度に問題があったのかしら?』
『でしょうね?善良な市民に対する言動ではなかったと。少なくとも僕が依頼した人ですから、
穏やかにお願いしたいですね』
『えぇ、注意はしたのよ。素直に話さないとね、少しは声を荒げるのはあるかもしれないわね。
小田さんもないとは言えないでしょ?』

何度かいずみを叱責した事を指しているようです。

『時と場合によりますね。それより・・・』

清水さんに依頼したのが私だと分かっていた理由から、聞かなくてはなりません。


[65] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/21 (月) 11:32 ID:x8bomWrk No.202203



『最初に戻したいんでしょ?』
『清水さんに依頼したのが僕だと分かった、それを話すのが筋でしょ?』
『無用心ってご存知?』
『隙だらけ?それとも無防備?』
『おかしな人だわ。どちらも同じ意味合いでしょ?』
『先週の金曜日ですね?僕がのこのこと・・・これが当てはまると、そうですね?』
『驚いたわよ、小田さんがレストランに来るなんて。いずみちゃんから聞いていなかったのよ。
小田さんって神出鬼没だわ、うふっ』
『予測不能に置き換えてくれませんか?はははっ』
『それって、いずみちゃんもそうでしょ?似たもの夫婦ね?』
『僕には分かり易いですよ。何と言ってもいずみは僕の妻ですからね』
『婚外に愛人がいる夫婦は多くはないのに、そのど真ん中にどっぷり浸かってるのは誰かしら?』
『浸かり過ぎても疑問に思うだけの冷静さは失っていない夫婦もいるんですから、表彰もの
でしょ?』
『ほんと変わらないわね。議論するとどうしても勝てないって、いずみちゃんが。でもね、嬉し
そうに話すんだから、満更じゃないのね。嬉しいのは小田さんでしょ?』
『はははっ、逸れないで下さいよ・・・先週の金曜日に戻ってくれませんか?』

先週の金曜日以前に、彼女がマリアさんに依頼した事は間違いないでしょう。
私がその日、ホテルのレストランに現れたことは、想定外だったと認めているからです。

『小田さんには金曜日が起点になったようね。あれよ、”この件”についていずみちゃんが私に
依頼してきた日も少し前なのよ。日曜日の夜だったわね、”半信半疑なんだけど”って、それが
話しの始まりだったわ』
『予想外ですね、気付くのが遅かったのか、信じたくなかったのか、どちらかでしょうね』
『そうね、半信半疑は本音だと思うわ。でもね、信じたい気持ちが強かったんじゃないかな?
その理由はね、いずみちゃんが選んだセフレだからだと思うの。彼を否定することは、
いずみちゃん自身を否定することに他ならないでしょ?誰しも自分が可愛いもの、そこまでは
理解出来るわね。でもね、金曜日を境に疑いの気持ちが大きくなってきたみたいなの。
こちらの調査開始は金曜日のあのレストランがスタートなのよ。何もまだ報告できる材料もない
のに、何時頃だったかな?日曜日の夜ね・・・そうだわ、9時頃だったわね、急によ、”半信半疑
は単に妄想に過ぎないと分かったから、できるだけ早く・・・2週間ってお願してたけど、
それは厳守して欲しい”って、何かに気付いたような口振りだったわ。その時にピンときたの、
あの後、小田さんと会って話した内容と関係あるんじゃないかと。そうでしょ?』
『そう話したのなら、そうかもしれないですね。僕にも半信半疑と言っていましたが、少し疑いの
方に傾いていたかもしれない。ところで・・・』
『小田さんの事は何一つ話していないわ。小田さんが調査を依頼したのが分かったからなの。
小田さんなりの考えがあると思うのね、そうでしょ?』
『いつ?・・・今日じゃない口振りですね。あの日だとしても、レストランの喧騒では近くに
いないと・・・何も気付かなかったが・・・』
『調査とはそういうものよ。対象者は小田さんじゃなくても渡辺・・・本名は田辺ね、清水さん
から聞いたんでしょ?』
『えぇ、先程・・・続けて下さい』
『先に話しておくわね。日曜日の電話だけど、急いでいるみたいで、用件だけ話したら直ぐに
切ったの。小田さんか誰かに・・・小田さんだったの?』
『9時過ぎに約束していたから、急いでいたと思いますね』
『定期的なモノなの?』
『まぁ、声を聞く程度・・・それはいいでしょ?』
『仲良しだものね、うふっ・・・あの時の状況はいずみちゃんから聞かなかった?』
『話さないでしょ?いずみはあれでいて慎重なところもありますからね。ただ、話さないといけ
ない事は理解していますから、2週間後にはと濁していましたね』
『隠していないって事でいいのね?』
『セフレの事は聞いたんでしょ?』
『小田さんが容認してることは。いずみちゃんが決めたのは初めてだから、不安が大きくなって
きた、そのように受け取れるわね』
『戻しましょうよ、はははっ』


[66] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/21 (月) 14:58 ID:x8bomWrk No.202211



『ごめんなさいね・・・いずみちゃん達と言えばいい?セフレの田辺さん、お相手の男性、
杉山さんね。奥の席に杉山さん、その隣がいずみちゃん、いずみちゃんの前に田辺さんの位置関係
だったの。
あの日ね、いずみちゃんから聞いていたのよ、ドリンクコーナーの直ぐ傍のテーブルだろうって。
2カ所あるでしょ?仕方ないでしょ?5時過ぎに2人の女性をそれぞれ配置していたのに、田辺さんが
遅れるから、そこは確保できそうにないといずみちゃんから連絡があったのね。いつもは彼が先に
レストランに来てるらしいの。それでね、ロビーで落ち合ってから3人でレストランに行くことに
なったからって。
焦ったわよ、ウエイターがテーブルを案内するでしょ?オープン直ぐなら、我儘も聞いてもらえる
だろうけど、それでも、6時少し前にはロビーにいずみちゃんと田辺さんが到着して直ぐに、
その日の男性、杉山さんも現れたからホッとしたわ。調査員の女性に一番近いテーブルを確保する
ように厳命していたのよ。ウエイターに媚を売ったかは分からないけど、お隣りのテーブルを
確保できたの。あれよ、美人って何かとお得でしょ?いずみちゃん程でもないけど、無理が通る
のね、分かるでしょ?』
『損はしないイメージがありますね』
『そうでしょ?でもね、いずみちゃんは損をしてると思うわよ。分かるかしら?』
『はははっ、僕ですか?』
『まぁ!即答なの?』
『マリアさんには敵わないですね。変えられないことに注力するのは無駄骨ですよ、はははっ』
『そうね・・・いずみちゃんって見る目があるのかないのか、ほんと不思議な思考の持ち主だわ』
『好み?考え?どちらですか?』
『どちらもでしょ?おかしな小田さんとはお似合いだわ。良かったわね?』
『落ち着くところに落ち着きましたね。それが自然な流れでしょうね?』
『言うわね・・・続けるわよ。それでもど真ん中ってチョイスしないのね、当然でしょうけど。
壁際のテーブルを・・・いずみちゃんにお願いされたら、あれでしょ?以前に聞いた”いずみ
マジック”の効果は大きいのね、調査員の女性もそれにあやかったと思うわ。ここからが、その日
のミッションの始まりね』
『その事をいずみは知っていた?そうですか?』
『監視と追跡がいずみちゃんの依頼事項なの。田辺さんは、いずみちゃんから彼の名刺の画像を
送ってもらっていたから、その日までには彼の実像は把握できていたのね。
杉山さんについては、ホテルを出てから追跡して判明したの。あれよ、土曜日から清水さん達も
調査していることは把握していたのよ』
『探偵にも察知されないのは、流石ですね』
『褒めてるの?違うんでしょ?』
『感心してるんですよ。誰にも気付かれずに行動できるなんて、流石以外に思い付く言葉はない
でしょ?』
『だから、大森グループは生き残ってるのよ。あれね、小田さんのお友達の協力も大きいわよ』
『岩城?・・・なるほど、僕が岩城と携帯で話しているところを・・・誰も近くには・・・
もしかして、録音・・・ボイスレコーダーを、その女性が仕掛けた?そうでしょ?』
『盗聴器と両方ね。直ぐに行動しないといけないこともあるでしょ?盗聴器はね、雑音も拾うし
遠くまで届かないでしょ?だから、緊急用なの。ボイスレコーダーは回収して後で聴くには、
充分機能を発揮してくれるわ』
『その女性ですが・・・』
『いずみちゃんは知らないわ。美人はほんとお得ね?監視対象者の傍に陣取れるんだもの』
『マリアさんはロビーに?』
『事務所よ。逐一報告させてるから、指示は的確に出せるのね』
『そうですか・・・いずみを知っているのは・・・ラルフさんが現場で指示を出していたとか?』
『そうね・・・小田さんの知らないいずみちゃんもいるのは分かるでしょ?触れられたくない過去
が、この場合は役に立ったの。私に話させないでね?』

交際クラブ、AV製作にも関わっていたのですから、愚問と切って捨てられた感覚です。

『それは・・・蒸し返しはご法度ですよ。今のいずみは・・・』

カットされます。

『社長だものね。それも2社でしょ?なかなかできない芸当よ。尊敬しか思い付かないわ。
うふふっ、小田さんのマネはいけないわね』
『いいですよ、協力してくれるのなら、いくらでも真似て下さい、はははっ』
『余裕ね?この件はそう難しくないと思うわ。2週間後の土曜日には調査報告を話せると思うの』
『いずみの行動は本人から事後報告を受けていますが、全てではないのは本人も認めています。
僕がレストランに入った時には、いずみと・・・杉山さんでしたね?客室に移動した後だった
ようです。ところが、その時は、何も知らなかったのですから、いずみの行動は全て把握できて
いなかった事になります。その後で、田辺さんに声を掛けられたことが、事の始まりですね』
『それが疑問を生んだのね?』
『えぇ、いずみが彼の妻だと言うでしょ?セフレだと直感的に判断できたとしても、”妻はない
だろ?”と思うのが普通の神経ですよ』
『その理由でしょ?』


[67] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/21 (月) 22:22 ID:x8bomWrk No.202221



『有り余る性欲の解消に協力して欲しい、とくるんですから、ネトラレだとしても何か隠された
事実が介在してると思っても不思議じゃない。性欲処理はあながち間違ってるとは言えないです
から、それは認めない訳にはいかないが、短絡過ぎるでしょ?性欲処理と性行為との間に介在
させるモノが見えない。推測はできるとして、それが正しいと思っても、それには触れない渡辺、
田辺さんですね、どう理解したらいいのか、ここが悩みの種なんですね』
『答えは見えてるのに、それを見せないのなら、力ずくで・・・ダメね、理路整然と詰めて白状
させる、これしかないわね』
『見えないものを見えるようにするのは、骨が折れるモノですね』
『小田さんが観れなかった情景を話しましょうか?折れる骨が少なくなると思うわよ』
『はははっ、言いますね・・・僕が来るまでの?』
『隣のテーブルの彼女のことね?彼女が盗聴器とボイスレコーダーをテーブルの下に設置して
スタンバイね。いずみちゃんと杉山さんとの行為がエスカレートしている報告は、随時届いて
いたの。彼女から危険水域だから止めるか聞いてきたのね。通報されてもおかしくないって
言うでしょ?行き過ぎだと判断して止めるように指示を出したのに、遅かったのね。
でも、彼女じゃなかったら、それ迄にホテルマンにチクられていたかもしれないわよ。
フェラまでエスカレートするなんて、誰も想像もできないのに、いずみちゃんなら変に納得して
しまうんだから、ある意味、微笑ましいとは思うのよ。でも、場違いでしょ?風俗店なら普通の
行為でもレストランではね。いずみちゃんだからあり得ない事はないと思っても、他の人に
気付かれたら大変でしょ?
田辺さんは、見られないようにテーブル越しに話し掛けている様な素振りだったのに、止める様子
は感じられなかったみたいなの。彼の指示だろうことはそれからも分るのね。
いずみちゃんの心理状態は分からないけど、射精迄させるんだから見た目よりも冷静だったと
思うのね。興奮状態だったら、フェラだけでは収まらないのは、何度も観てきてるでしょ?
跨って挿入するのはほぼ間違いないと思うわ。
フェラしてる時に、彼女にテーブルを離れるように指示したのね。それとなく注意するような仕草
を交えて。いずみちゃんが分かったのかは分からないけど、その後すぐに射精させたから、きっと
分っていたと思うわ。
それがね、可笑しいのよ。彼女以外に女性一人、男性一人ね、計三人で監視に当たったのね。
二列と言えばいい・・・小田さんは分かると思うから。そうね、二列離れたテーブルから監視して
いたのね、その二人が。いずみちゃんが顔を上げた時に彼女と目が合って、お互いにウインクした
と聞いた時は、吹き出しそうになったわ。冷静そのものでしょ?あれね、機械的に処理してると
言えばいいかもしれないわ』

土曜日から監視を始めた清水探偵事務所の女性調査員も同じような感想でしたから、女性の感性に
訴えるだけの性的な魅力を持っている様です。

『杉山さんを昂奮させる、ただただそれだけだったと』
『いずみちゃんのためでもあるでしょ?ベッドでのお楽しみは後で、それじゃない?』
『間違ってるとは言えないでしょうね、はははっ』
『奥様だものね?性行動は知り尽くしているんでしょ?』
『見える範囲は。見えないことも多いですから、今回のように』
『でも、見え易い?』
『マリアさんの一働きで、全容が見えて来ると信じてますからね』
『そうね・・・後はね、玄関でいずみちゃんと別れた杉山さんの追跡、小田さんと話していた
田辺さんが、いずみちゃんと合流して客室に。
小田さんは清水さんと打ち合わせね。いずみちゃんは田辺さんとよろしくやってから、小田さんと
合流してエレベーターに乗るまで監視。その日はそこまでで終わったの。何か質問とかある
かしら?』
『お手数を掛けますね。ところで、いずみと僕が何を話したか聞かないんですか?』


[68] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/07/27 (日) 11:32 ID:U8u3oWpA No.202361



『狐と狸でしょ?』
『騙し合い?・・・ずるくはないけど、まぁ、そういうところですか。二週間後には判明する、
その予定ですね?』
『急がされてるから仕方ないでしょ?いずみちゃんのお願いだもの、最大限の努力はするわよ』
『ところで、日曜日は?』
『小田さんの家族は省くわね?その後の事も追跡は完了してるわよ。清水さんから報告を受けてる
でしょ?』
『どう思います?熊倉夫婦を』
『即席じゃないと思うわ。田辺、渡辺夫婦ね、危ういわね、とっくにバレてるかも?そんな臭い
がするわね』
『臭いますか?熊倉夫婦にバレていると、そう思う理由は?』
『女の勘かな?理由なんてないに等しいわ。誰かを崩すしかないでしょ?』
『杉山さん?それとも館野さん?』
『館野さんかしら?杉山さんより入れ込んでるみたいだといずみちゃんから聞いてるからね。
崩しやすいでしょ?近い内に呼び出して問い詰めてみるわ。田辺さんとの関係、もしかしたら
熊倉夫婦とも関係があるかもしれないわね』
『熊倉夫婦と田辺さんとの関係性、偽名を知っているとしたら罪は深いでしょうね』
『まだ何も見えない状態でしょ?一つ一つ明らかにしていかないといけないわね。いずみちゃん
には”渡辺”が偽名だと話していないし、最後の最後まで隠すつもりなの。途中で知ってしまう
と、どうしても態度とか顔に出ないとも限らないでしょ?二週間後迄は、知らない方がいいと
思うわ』
『当然、僕とのことも内緒に。情報は逐一知らせてもらえると思っていてもいいですね?』
『小田さんと二人三脚?いずみちゃんのためだものね、イヤでも了承しない訳にはいかないわね』
『はははっ、無理を言ってすみませんね』
『清水さんの調査はそのまま継続してもらうことにして、私は別ルートね。何か新しい情報が
あれば廻してくれるでいいわね?』
『えぇ、了解です。じゃ、今夜はこの辺りで。調査の程、宜しくお願いします』
『堅苦しいわね?・・・忘れてたわ・・・土曜日も金曜日と同じようにお隣りに女性を配置した
のね。三人共顔ぶれが違うのは当然ね?蛇足だったかしら?まぁ、でもほんと同じパターン
なのよ。危険過ぎるって分からないのかしらね?じゃ、また・・・いずみちゃんに宜しくとは
言えいないわね』


彼女の偽名について、何も触れようとしなかったのは、私が認識していないと思ったからで
しょう。
彼女との会話が狐と狸であれば、”綾”と名乗る彼女の正体をばらすことは、拙速と判断しても
おかしくありません。


マリアさんとの携帯を切って、直ぐに時間を確認します。
9時30分を回ったところですから、彼女からの報告までには少しの余裕がありそうです。

ホットコーヒーを淹れて、PCの前に戻ります。
一口飲んでから、清水さんに掛けます。


[69] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/03 (日) 11:00 ID:tkPWP66A No.202600



『小田です。先程の名刺の女性に連絡したのですが・・・』
『今しがたその女性から連絡がありました』
『そうですか、どのような?』
『一口で言えば、謝罪ですね』
『僕もその話しはしたのですが、謝罪の連絡があったのは喜ばしいことですね』
『えぇ、まさかという感じです』
『それ以外に何か話さなかったですか?』
『調査の邪魔はしない、でしたね。それ以外は・・・小田さん、まさかダブルブッキングじゃない
でしょうね?』
『依頼主が僕だと?いくらなんでもそれはないでしょ?岩城に怒鳴られるだけじゃ済まないですよ』
『ですね。それじゃ・・・奥様ですか?』
『引っ掛かることがあるんでしょうね。依頼内容が同じか分からないですから、あちらは気にせず
調査を完遂させて下さいね』
『分りました。明日以降、週末の奥様の行動予定は分かりませんか?』
『あっ?!忘れていました。今夜、田辺、渡辺ですね、会う予定ですが、この時間は会っている
はずです。彼のマンションですから、特に追跡も必要ないかと』
『そうですか・・・奥様がマンションの前で彼と話しているところを確認しています。調査員から
先程連絡がありました』
『今ですね?・・・ウィークディは不要と話したのに、有難いですね』
『気になさらずに・・・調査員一人は張り付かせていますから。今夜の奥様の行動に不審なところ
があったものですから、何か動きがあると判断して追跡したところ、田辺さんのマンションに行か
れたという次第です。自宅に帰られるまでは張り込む予定です。彼以外の第三者と接触があるかも
しれませんから』
『そうですね。じゃ、お願いします』
『報告はどうしましょうか?』
『緊急でなければ、明日のこの時間帯にでも。いいですか?』
『分りました。では、そうさせてもらいます』


確か9時過ぎに行くと話していたのですから、受け渡しだけとしたら、少し時間が掛かっている
ことになります。
昨年なら9時を回らないと動けないと決めていたのですが、ナニーのアキさんがひろ子の面倒を
見てくれるのですから、9時前には出かけたと思われます。
渡辺のマンションまでは、徒歩15分程と聞いていますから、普通に考えれば受け渡しが終わって
帰宅途中と理解してもおかしくないのですが、マンションの前で話していると清水さんの報告です。
何か手違いとか揉めているのであれば、助っ人にならない訳にはいきません。
彼とのホットラインは当然ですが、プライベート、仕事用の携帯は持参している筈です。

仕事用の携帯に掛けます。
数回のコールの後、


『もしもし・・・』
『何処に居るんだ?』
『ホントに?!それじゃ、急がないと。少し待ってくれる?』
『まだマンションなのか?』
『そうなの・・・どうしようかな?』
『彼から離れているのか?』
『そうよ・・・分かったわ・・・』

声を抑えて、

『・・・ありがとう。このままで・・・』


[70] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/03 (日) 12:50 ID:tkPWP66A No.202608



渡辺からは少し離れている様ですが、話し声は聞き取れる範囲と理解できます。
ほんの数秒の後、


『言ったでしょ?お仕事があるって』
『打合せなの?』
『何度も聞かないでよ。時間がないから・・・えっ?ダメよ・・・』
『誰もいないだろ?キスくらいいいじゃないか?』
『”ダメ!”って言ったでしょ?それで収まらなくなったらどうするの?』
『少しなら・・・綾もしたいだろ?』
『会うとこうなるから心配だったの。イヤじゃないのよ、分かるでしょ?』
『綾と僕の気持ちは、同じだろ?』
『そうよ・・・そうだけど・・・』

何かが擦れる様な音が聞こえて、

『・・・チュッ!・・・もういいでしょ?』
『手を・・・ダメなの?』
『ダメかな?時間がないから・・・いいでしょ?シュンちゃんが来たら大変だもの』
『10時だからまだ大丈夫だよ』
『どうして出張って話さなかったの?もしかしてニセモノ夫婦って知ってるの?』
『知らないよ。話す訳ないだろ?』
『それなら尚更でしょ?』
『ケーキを持って来るんだよ。言いそびれることもあるだろ?』
『おかしな言い訳ね?』
『綾に会いたいからケーキを持ってくるんだよ。察してやらないと可哀想だろ?』
『お泊りのつもりなの?それなら尚更でしょ?』
『綾とヤリたいんだよ。分かるだろ?』
『察するってその事なのね?シュンちゃんと私とどちらが大事なの?』
『綾に決まってるだろ?』
『それなら考えるまでもないでしょ?お泊りしてたら明日は遅刻よ。お休みの日ならいいけど』
『そうだね・・・仕事だから仕方ないか、シュンには出張と話しておくよ』
『言い訳が大変よ、大丈夫?』
『考え事してたとか、何とか誤魔化すから。綾は気にしなくていいからね』
『ありがとう。いつも優しいんだもの、大好きよ・・・チュッ!・・・うふふっ』
『これにやられるんだから、綾には勝てないよ』
『シュンちゃんの機嫌直しに、私から携帯に掛けようか?』
『嘘の出張先から?』
『そう!・・・そうだわ、先週行った札幌がいいかな?』
『札幌に出張?』
『ちょこってイヤらしいお話しでもすれば、機嫌も良くなると思わない?』
『そうかな?ないよりはいいだろうけど。じゃ、そうしようか?』
『じゃぁ、10時30分過ぎなら帰れると思うから、それから掛けるわね?』
『そうだね、そう話しておくよ』
『じゃ、その時に・・・ん?もう一度?・・・チュッ!・・・うふふっ・・・アレ?繋いだまま
だったわ・・・』
『えっ?大丈夫?』
『もしもし・・・あれ?切れてる。良かった!』

ここで携帯が切れます。
数分もしない内に、彼女から掛かって来る筈です。

冷めかけたコーヒーを飲みながら、PCを操作していると、


『ごめんね、遅くなって・・・』


[71] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/09 (土) 16:55 ID:lRxF4OqQ No.202758



いつものフレーズですが、

『・・・ねぇ、どうして?』

開口一番に聞いてくることは分かっていましたが、恍けて見せます。

『ん?・・・ナニかな?』
『ナニって、おかしいでしょ?私が掛けるって約束してたのに』
『なにかい、僕が掛けたらまずいことでもあるのか?』
『違うの、ホントは嬉しかったの。お助けマンなんだもの、うふっ』
『それより、今は・・・』
『ごめんね、それが先だわ・・・あのね、駅に向かって歩いているの。かなり早足なのよ、
聞えるでしょ?』

彼女の言う早足の様子が聞き取れます。

『10時30分に間に合わせるためかい?』
『うん・・・シュンちゃんの人と成りが分かるいい機会だと思って』
『それで提言かい?』
『少し重くない?提案って思って欲しいな、うふっ』
『はははっ、まぁ、good idea なのは間違いないね』
『でしょ?苦境脱出の一芝居かな?うふっ』
『彼への助勢だろ?』
『そうかな?そうかも!・・・うふふっ、女性の私が助勢だなんて、お助けウーマンね?』
『ん?掛けた?はははっ』
『ちょこっと恥ずかしいかな?穴があったら・・・あれ?藪蛇?』
『はははっ、もういいだろ?仲良し夫婦に見えるね』
『それは私達。ナベさんとは偽装夫婦だもの。それがバレないための裏工作、それしかないで
しょ?』
『裏を見過ぎると表が見えなくなるからね、気を付けるように』
『うん、真実を見る目でしょ?曇っていないから大丈夫よ』
『心の目を曇らせない様に、分かるね?』
『はい・・・あなた、私にお返事は?』
『虫の知らせかな?そういうことってあるだろ?』
『あなたが?おかしいの。見られてるみたいだわ』
『これが真の夫婦の姿だよ、はははっ』
『なんか、誤魔化されてるみたいだわ。でも、ほんとに助けられたわ。でも・・・』
『”でも?”・・・考えておくから。今夜の第二ラウンドを完遂させる、いいね?』
『うん・・・言い訳を考えててね?うふっ』
『はははっ、じゃ、11時までには終わらせろよ』
『御意!・・・あれ?堅すぎた?』
『ほどほどに、かな?』
『硬くしない程度のお話を目指します』
『頑張れよ、はははっ』
『じゃぁね、愛してるのはあなただけ。ホントだからね』


PC画面の時間は10時少し前です。
後30分もすれば、彼女から掛かって来るでしょうから、それまでに追加のコーヒーを用意します。

そうこうしている内に、時間になります。


[72] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/09 (土) 19:34 ID:lRxF4OqQ No.202762



『お仕事、ご苦労様です、うふっ』
『ん?・・・ナニかな?』
『データーの送信をありがとうございます。あなたって何時もお助けマンだわ』
『彼にはお助けウーマンだろ?はははっ』
『いつもじゃないのよ。今夜は特別かな?うふっ』
『助けられるとお返しをする、その精神だろ?』
『精神って大袈裟じゃない?それに特化した気持、心理じゃない?』
『心の?それじゃなくてね、調査してハッキリさせる審理だろ?はははっ』
『ナベさんの助けに疑問を持っているから、裁判の審理の意味なのね?』
『それじゃお返しにならないね?』
『疑問先行かな?うふっ』
『そろそろ時間だろ?』
『うん・・・10時30分を回ったわね・・・じゃ、掛けるから、スタンバイOK?』
『息を殺して、だろ?』
『はい、お願いします・・・ちょこっとイヤらしいお話しに、沢山かな?ご清聴下さいね』


何も聞こえない数秒が経って、


『もしもし・・・』
『綾だよ。ケーキは美味しかった?』
『あれ?ナベさんから聞いたの?』
『10時前だったかな?シュンちゃんと行き違いがあったって、その時に聞いたの。私に買って
くれたんでしょ?』
『ケーキを一緒に食べてから、綾ちゃんを食べる予定だったのに、残念だよ』
『ケーキほど甘くないわよ』
『甘い違いだろ?』
『脇が甘いってこと?』
『綾ちゃんの脇は甘い香りがするだろ?』
『イヤらしいんだから。脇の匂いを嗅ぐ?変態でしょ?』
『綾ちゃんとなら変態でも何でもいいよ。それなのに、出張だろ?ナベさんは綾ちゃんの予定を
把握していないんだから、嫌になるよ』
『私を大事に思ってない証拠でしょ?』
『言えてるよ。僕に乗り換えないか?毎日がハッピーになると約束するから』
『離婚するの?』
『そんなの気にしなくていいんだよ。僕と一緒、それだけでハッピーだから』
『そうね、それもいいかもしれないわ。あれね、ハッピーってアレのこと?』
『アレ?・・・アレって?』
『女の私に言わせるの?そんなことなら、乗り換えなんて考えることもできないわよ』
『お惚け?・・・乗り換え?アレだろ?鶯のなんとか・・・綱渡りだろ?』
『大学を出てるんでしょ?サーカスじゃないのよ・・・あれ?アレってサーカスみたいかな?』
『みろよ、綱渡りと変わらないだろ?』
『ゆっくりなら難しくないでしょ?それなのに、”早く早く!”って急かすから谷に落ちそうに
なるのよ、分かる?』
『谷?隙間だろ?ナベさんと僕の間にころがるんだから、綾ちゃんは鶯にはなれないね?』
『“ケキョケキョホーホケキョ”って鳴きまねさすんだもの、気が散って目標を外して谷に落ちる
のよ』
『落とすところが違うだろ?はははっ』
『狙ってくれないと収まるモノも収まらないでしょ?不安定なのに体を支えてくれないんだもの、
二人の間に倒れそうになるのよ。分かる?シュンちゃんと主人の間が谷ね、二人のペニス・・・
チンポがいいわね?チンポに密壺を交互に挿入でしょ?チンポが枝の例えね?鶯が枝から枝に
鳴きながら移動するの、その時に谷も渡るの。いい?綱渡りじゃないでしょ?だからね、鶯の谷
渡りって言うの。分かったかしら?うふっ』
『それでか、鳥って飛びながらフンをするだろ?綾ちゃんも密壺から愛液を垂らしながら谷渡り、
あれってフンなの?はははっ、おかしいよ』
『シュンちゃんが刺激し過ぎるからでしょ?キツイのよ、シュンちゃんのチンポは』
『チンポで潮吹きだものね。ユビマンなら納得だけど、チンポではあまりいないだろ?国宝級もの
だね、はははっ』


[73] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/10 (日) 11:41 ID:kiqzlcSU No.202780



『絶滅危惧種みたいに言わないでよ。何度も逝って意識が朦朧としてるのに、次は僕だとかって
急かすでしょ?だから、体勢を立て直せないまま、二人の間に倒れ込んでしまうの。
それって楽しんでるんでしょ?』
『綾ちゃんが絶滅?それは大反対だよ、はははっ。楽しんでるのは綾ちゃんもだろ?
僕達に弄ばれるのが大好きと言ってたじゃないか?』
『言ったかな?ほんとに?』
『恍けるんだから・・・MMFは大好きなんだろ?』
『かな?うふっ』
『正直じゃないな。二穴同時挿入に絶叫悶絶、知らないとは言わせないよ』
『うふふっ、AVのタイトルみたい、スマートじゃないわ。double penetration、略してDP、
どう?スマートでしょ?』
『出たね?英語で誤魔化さないでよ。どうなの?』
『好きよ、シュンちゃんも主人も。MMFが出来るんだもの、最高のパートナーかな?うふっ』
『普通なら騎乗位で体を倒して後ろからアナルに挿入だろ?綾ちゃんはほんとにエロいよ、
先にアナルだろ?それも後ろから。向き合ってオマンコに挿入するのは体勢が難しいし、体力が
いるんだからね』
『オマンコをご所望するのは何処の誰なの?』
『僕だった?ほんとに?』
『オウム返しってオトコらしくないわよ。オトコは黙って・・・違った?』
『オマンコとアナルに一杯射精するだろ?絶叫する綾ちゃんとは真逆だね、はははっ』
『あのね、交互に挿入するのは止めてね?バイ菌が入ったら大変だもの』
『ナベさんも言ってたけど、アレは止められないって。僕達もそうだけど、綾ちゃんを最高に興奮
させられるんだから、綾ちゃんのためにもなるだろ?』
『そうだけど・・・その時は興奮してるからイヤじゃないのよ。でも、後でチョッピリ後悔するん
だもの。次からは・・・ダメかな?うふふっ』
『難しいだろ?後で綺麗に洗ってるから、今までも何もなかった、そうだろ?』
『そうね・・・心配してたら何も出来ないものね』
『ん?・・・ちょっといいかな?』
『どうしたの?』

少しのタイムラグの後に、

『綾ね、もう終らないと。明日も仕事だろ?』
『ほんとだ!・・・あなた、焼きもちなの?そうなら嬉しいかな?』
『そうかな?そうかも!はははっ・・・シュンに代わるから、いいね?』
『うん、大好きよ、うふっ』

間髪を入れずに、

『ナベさんからドクターストップ、仕事が大変だから早く寝かしてやりたいって。綾ちゃんは
愛されてるものね』
『主人に内緒よ、お返事しないでね?・・・あのね、シュンちゃんのこと大好きだから。
二人だけで・・・分かった?』
『あぁ、それなら・・・』
『連絡は今まで通り主人からね?いい?』
『分かったよ。長くなってごめんね?』
『楽しかったわ、シュンちゃんと話せて。じゃ、おやすみなさい』
『あぁ、おやすみ・・・ナベさんに代わるね?』

変な間合いがあります。

『ご苦労様!機嫌が直ったみたいだよ。綾には感謝だね』
『傍に居ないの?』
『TVを観ながらケーキを食べてるよ』
『ホント?良かったわ。私の役目はお終いね?』
『そうだね。じゃ、早く寝るように、いいね?』
『うん・・・あなたもね?』
『綾、愛してるよ』
『うふふっ、私も・・・じゃ、おやすみなさい』


[74] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/10 (日) 16:30 ID:kiqzlcSU No.202784



直ぐにでも彼女から話し掛けて来ると思ったのですが、少し待たされます。


『ごめんね?喉を潤していたの』
『水?』
『あなたはPCの前でコーヒーを飲みながら聴いていたんでしょ?』
『ん?・・・だから?』
『私も・・・同じ立ち位置でいたいんだもの、うふっ』
『コーヒー?・・・あれか、いずみの携帯渡り、垂れる愛液はコーヒーに置き換えだろ?』
『喉に垂れたかな?うふっ。あなたって意訳が上手なんだもの、やはり私の旦那様だわ』
『褒めてるのか?』
『私しかいないでしょ?』
『はははっ、そうだね。谷に落ちないで渡れたかな?』
『何とか切り抜けられたでしょ?』
『切り抜きが上手じゃないか?』
『その部分ってこと?』
『持ち上げて納得させるんだから、真似のできない芸当だよ、はははっ』
『笑わないでね?とても神経を使ったのよ』
『そうは聴こえなかったが、そうしとこうか?』
『はい、それでお願いします・・・シュンちゃんは?』
『評価?』
『うん、どうだった?』
『他の二人よりいずみが入れ込んでいる様に感じたね。どうなんだ?』
『そう見せてるだけではないかな?ちょこっとね。若いからそうなのかもしれないわ』
『同年齢かと思ったが、違うのか?』
『自称だからほんとの事は分からないわよ。でも、経験上からそうだろうとは思うのね。
えっとね、29歳だって。そのように感じなかった?』
『友達と聞けば、同じ様な年齢だと思うだろ?先入観の為せる業だね、はははっ』
『そうね、声だけでは判断は難しいかも。あのね、どうしたらいい?』

話しが飛ぶのはよくある事です。

『場面の変更かい?』
『あれ?飛んだ?・・・ほんとだ!ごめんね?』
『個人的に会うことだろ?』
『シュンちゃんから何か聞き出せるかもしれないでしょ?』
『ピロートークで?』
『どう思う?』
『偏重していないとは言えないね。白状しろよ』
『偏ってるって?』
『分かって聞くのか?はははっ』
『はい、白状します・・・あのね、ピロートークの前哨戦が本題かな?でも、しっかりお話しも
するわよ』
『前哨戦?本題じゃなく本番だろ?はははっ』
『分かり易い?うふっ』
『いずみホームズになれるのなら、それはそれでいいが、ミイラ取りにならない事だね』
『懐かしいわ。明日香ちゃんに使用料を請求されそうだわ、うふっ』
『まぁ、その時間が取れるとは思えないが、どうなんだ?』
『分かってお話ししたの。気を引く作戦かな?私の気持ちもそうだから。でも、ほんとに実行
できるかは分からないわ。希望的観測で終わりそうかな?』
『彼から言質が取れなくても、解明は出来そうなんだろ?』
『うん、出来ると思うの。あれ?それなら何でって思うでしょ?』
『自己完結だろ?』
『はい、欲望の発散、それしかありません。エロ過ぎる?』
『セフレとはそういうものだろ?理解してるから、大いに楽しめばいいよ。但し、入り過ぎ、
入らせ過ぎは、ご法度だからね』
『うん、大丈夫よ。さっきの会話でもそれは分かるでしょ?』
『上手く纏めていたから、心配はないと思いたいね』
『心配ありません。私の心の中にはあなたが居るんだもの。危険水域には決して近付かない、
近付いて来たら完全阻止、そういうスタンスで臨みます、うふっ』
『はははっ、力強い宣言だね?信じる重みを感じるよ』
『そうでしょ?軽く見せてその実、とても重いって知らしめるわね』
『まぁ、力が入り過ぎないように。いいね?』
『うふふっ、それじゃ、お仕事に、出張に戻るわね?』
『はははっ、じゃ、取りあえず、おやすみだね』
『うん、おやすみなさい・・・愛してるわ、うふっ』


10分も経たずに、メールが届きます。

[おやすみ・・・二度目ね?今夜はありがとう、あなたに助けられました。でも、言い訳は?
胸にしまって置くから、いつか聞かせてね?]

察するモノがあるのでしょう。
もしかしたら、分かっていたのかもしれません。


[75] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/10 (日) 22:14 ID:kiqzlcSU No.202785



その週の金曜日、虚偽の出張を理由に館野さんとの3Pを断ったその日の午後、私は彼女を
迎えに大阪空港に向かいます。
3時過ぎのフライトと連絡があったのは、水曜日の”おやすみメール”ですが、その直後に
掛かってきます。


『メールを見てくれたでしょ?』
『早くないか?』
『5時以降は空席なんてないでしょ?4時頃と思ったのよ。でもね、金曜日でしょ?3時が一番遅い
時間なの』
『納得だね。楽しみだろ?』
『あなたに会えるんだもの。楽しみの一言では表現できないわ』
『ん?・・・ナニか勘違いしていないかい?』
『だって、月一しか会えないのよ。今月は二回だもの、楽しみだけしか言えないなんて
ボキャブラリーの欠落でしょ?だから、とてもワクワクしてるの。これが今の私の気持ちかな?』
『はははっ、掃除、洗濯がそんなに好きだとは思わなかったね』
『あれ?それのこと?あなたね、誘導したでしょ?』
『目的を見誤ったら大怪我をする事もあるからね。心してかからないと、いいね?』
『うふふっ、ご忠告を心より感謝します。これでいい?』
『はははっ、じゃ、空港で・・・』
『あれ?お仕事は?あなたが定時で退社してからだと思っていたの。いいの?』
『愛する妻が帰って来るんだよ。何を置いても・・・はははっ、聞かれたくなかったね』
『嬉しいなぁ。愛してるのは私なんだからね、うふっ・・・ありがとう、お迎えをお願いします』
『はははっ、じゃ、空港で』
『うん・・・愛しているんだもの』



到着ロビーには、私以外にも数人が待っていますが、時間帯によるのかもしれませんが、推測して
いた程ではありません。
電光掲示板には到着したとの表示が出ているのですから、去年がそうだったように早く出て来ると
思っていたのですが、同じ飛行機だと思われる乗客が出て来ても彼女の姿はありません。
10分以上経った頃に、やっと姿を見せます。


「ごめんね、遅くなって」

ひろ子と帰って来る時は、ハンドバッグ以外手荷物らしいモノは何も持っていなかった昨年が、
嘘の様です。

「どうしたんだ?」
「えっ?・・・これのこと?」
「はははっ、掃除、洗濯用の用具かい?」
「用具?そんなのってあるの?初耳だわ、うふっ」
「無知ほど怖いものはないね。不安になるよ、はははっ」
「”無知は罪である”、ソクラテスの言葉でしょ?英知のあなたが語るんだもの、ジョークなん
でしょ?」
「無知の知と思ってくれないか?はははっ」
「謙虚なのね?英知を持つものは英雄なんでしょ?それが言いたいのね?うふっ」
「だから無知の知、それが僕のスタンスだよ」
「うふふっ、あなたって・・・私達の会話を聴いている人がいるとしたら、おかしな人って
敬遠されそうだわ」


キャリバッグを私が引いて、空港ビルディングの前の横断歩道を渡って、駐車場に向かいます。





注記

本文中の”無知の知”とは、知ったかぶりせずに、分からない事は分からないと認めるべき、
という考え方です。


[76] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 10:28 ID:6hNJOGzk No.202792



「ナニかな?」
「あなたに叱られないか心配だったんだけど、持って来てしまったの」
「エロい下着?」
「それもあるかな?うふっ。そんな訳ないでしょ?セクシー止まりよ。あなたには見せられないし、
見たくもないでしょ?」
「返事になってないだろ?」
「うん・・・お仕事、PCとか資料など・・・怒らないでね?」
「掃除、洗濯は後回しかい?」
「それは違うの。ほんとにほんとだから、信じて欲しいし、時間があればってことなの。
お掃除もお洗濯もあなたがOKする迄は頑張るつもりだから」
「つもり?どういうつもりだ?」
「ごめんなさい、私が間違っていました。ロッカーに預けるから、少し待ってくれない?」
「そこまでしなくてもいいだろ?使わなければいいんだから。頭を働かせろよ」
「だって、近くにあったら・・・それがいけないんだわ。持って来た私が悪いの。ねぇ、送り
返すから・・・」
「聞えなかったのか?」
「だって・・・本末転倒でしょ?」
「はははっ、それが分かればいいよ。その気持ちを忘れないように、いいね?」
「うん、ほんとにごめんなさい」
「時間が出来れば、その時間を好きに使っていい。但し、重要事項の順位を間違わないのなら」
「うふふっ、理路整然としているんだもの、いつも情けなくなるわ。私って説明下手なの?」
「僕以外には納得させられる説明は出来るだろ?それを思い出すんだね」
「あなたには臆するの、どうしても勝てないってインプットされているんだもの、うふっ。
あなたの存在がね、ある意味、私の言動を制御していると思うの。あなたあっての私だもの、
そうでしょ?」
「そう見せて、実はだろ?今回の件はその尤もたるものじゃないか?」
「制御からはみ出した結果が・・・まだ分からないけど、最悪ならいつまで経ってもあなたには
頭が上がらないわ。でもね、それが私の望みなの。あなたの影を踏まない様について行きたいん
だもの」
「上手く纏めたね、はははっ」



何年も乗っている車ですが、彼女が東京在住になってからは、もっぱら明日香ちゃんが使用して
います。
時間は4時30分を回っています。

「町に戻ったら、食事にしようか?」
「6時前には着くでしょ?早くない?」
「まぁ、そうだが・・・車を置きに行かないといけないからね」
「えっ?どこに?」
「いずみのマンションだよ」
「あなたのお家だとばかり・・・どうして?」
「聡明ないずみだろ?驚くようなアイデアの宝庫なんだから、聞く必要もないだろ?はははっ」
「あなたね、アイデアじゃないでしょ?実情の問題だもの・・・お家に停められない事情?」
「分からないかな?週末のルーティン、頭の中はお花畑だろ?この時間帯はウズウズが始まって
るんだろ?はははっ」
「うふふっ、ムズムズかな?・・・あなたね!そんな訳ないでしょ?お仕事中は・・・あるかも?」
「はははっ、正直なのは好感が持てるね」
「好感だけ?・・・あっ?!スワップの交換なの?うふっ」
「本来のいずみが戻って来たね。おかえり!」
「ただいま!あなた・・・愛してるの」
「はははっ、ベッドで聞かせてもらおうか?」
「それなら、他の人と変わらないでしょ?あの時の”アイシテル”は本当の私じゃないモノ。
お相手を興奮させる必殺ワザでしょ?うふっ・・・でも、無意識だからそれも私かも?
無意識の意識ね」
「いずみ自身に他ならないよ。意識の意識とハッキリ認識できる時が本物だね」
「それじゃ、今は本物の本物だわ、うふっ」

本来の波長が合ってきたようです。


[77] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 11:55 ID:6hNJOGzk No.202804



彼女のマンション(今は明日香ちゃんが使用)に車を停めて、電車で町の中心部に出かけます。

「ねぇ、どうしてなの?」
「キャリーバッグ?」
「私のマンションに置くのとばかり・・・そうでしょ?お掃除、お洗濯には全く関係ないんだもの」
「もう直ぐ答えが分かるよ」
「答え?お返事のこと?」


私達が乗った私鉄は、10分も掛からずに街の中心部に着きます。
改札を出て、東に向かうのですが、

「ねぇ、何処に行くの?」
「身軽になるためだよ。分かるだろ?」

キャリーバッグを右手に持った私の左腕に右手を巻き付けて並んで歩くのですが、隣のJRの
コンコースでは、行き交う人々に進行方向を邪魔されそうになります。

「多いわね?」
「懐かしいだろ?」
「えっ?ナニが?」
「コンコースだよ。忘れることはないだろうね」
「うん・・・そのお話しは・・・もうとっくに解決済みなのよ」
「それが始まりだったね。多くの出来事を乗り越えて来た今、また解決しないといけないんだから、
休まる暇もないよ」
「ごめんなさい・・・私一人では何もできないって痛感した思いなの。それももう少しで・・・」
「それまで待つ、その一言だろ?」
「うん・・・」


コンコースを抜け、バスターミナルを通過して、横断歩道を渡ります。
コンコースからは、数分の距離です。

「ここだよ」
「ホテル?・・・えっ?どうして?」
「はははっ、質問が多くないか?」
「だって、予測不能なんだもの」
「直ぐに立て直せるんだろ?予測できないかい?」
「・・・何も・・・お掃除とお洗濯と全くリンクしないもの。ほんとお手上げだわ、うふっ」
「ヒントだよ、ホテルとは?」
「宿泊施設でしょ?旅行、出張とかの・・・ホテルに泊まる理由なの?」
「核心に近付いたね。チェックインを済ませてから再開としようか?はははっ」
「ねぇ、サイカイを掛けてない?」

予約したのは、いつものようにツインベッドルームです。

「あなたとはいつも同じね。他の人とは・・・あれ?!スワップならツインね、うふっ」
「変わり身の早さ?はははっ。そこに逃げるとは、かなり低レベルな発想だろ?」
「一番下?最下位ってこと?・・・あれ?これもサイカイなら、再開とは全く別物だわ。
無理も無理、無理し過ぎじゃない?うふっ」
「それもこれもいずみのためだよ。そう理解してくれるとホテルを予約したことが報われるだろ?」
「サイカイを擁護してくれたことと・・・ホテルは・・・擁護がリンクするの?」
「徐々に分ってきたじゃないか?いずみのサイカイはまた会うの再会をイメージしたと思うけどね」
「うん・・・このホテルは判事の・・・今も東京だと思うけど、数年も前でしょ?」
「覚えていた?記憶の片隅に置いていたのは正解だね。いつかやってくるかもしれないお助けマン
の可能性を残しておくのは大事なことだよ。それで再会を思い付いたんだね?」
「それじゃないのね?でも、あなたも覚えていたんだもの、当事者じゃないのに凄いことだわ」
「助けてもらうことがないとは言えないだろ?いずみの性事情は底が見えないと理解すべき
だからね」
「大袈裟でしょ?擁護がキーなのね?」

核心が見えてきたようです。


[78] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 13:00 ID:6hNJOGzk No.202808



「擁護するのは?」
「されるかな?・・・あなたのお家に行かない理由でしょ?」
「そういう理由だよ。だからホテルにしたんだが、山側のホテルも海の傍のホテルも満室でね、
ビジネスホテルに近いかもしれないが、まぁ、駅に近いだろ?それでここにしたんだよ。
分かったかな?」
「涼子さんでしょ?分かっていたけど、私が間違ったことをしたんだもの。気にならないとは
言えないけど、気にする方がおかしいって自分にいい聞かせて・・・じゃ、お掃除とお洗濯は
お昼間なのね?夜はホテルってことでいいのね?」
「それが普通の理解だろ?」
「違うの?」
「僕達は夫婦だろ?」
「だって、あなたの心の中まで見えないんだもの。あなたの優しさで瞳が曇ったのかも?うふっ」
「ウルルには見えないが、はははっ」
「見えないでしょ?心の中で嬉し泣きなのよ、心の瞳がウルルって」
「はははっ、違った意味で通じてるね。夫唱婦随かな?」
「以心伝心でしょ?・・・あなた、愛してるの・・・ねぇ・・・チュッ!・・・」

部屋の広さは、必要最小限と言えばいいかもしれません。
ベッドなど備品を除けば空いている空間は多くはありません。
窓の傍にテーブルと椅子なども置かれていないどころか、その場所すらもありません。
ベッドの前の少しの空間に、作り付けのテーブルとそれを挟んで椅子が置かれていますが、部屋の
中を移動するには邪魔としか言いようがありません。
それでも、ベッドは十分な広さですし、バスルームも完備されていますから、寝るには十分な部屋
だと言えそうです。

私達は、窓側のベッドに腰かけて話しているのですが、窓がすぐ傍ですから、仮に昼間から
セックスするとしたら、カーテンは閉めなければなりません。

「今のキスで伝わっただろ?以心伝心なんだから」
「キャリーバッグが答えでしょ?」
「それで?」
「お掃除とお洗濯だけなら必要ないもの。それを許してくれたんだもの・・・普通の理解って
言ったでしょ?それが示唆することはって考えればいいのね?」
「だから?」
「そうじゃないとすればね、あなたのお家には行かない、お掃除もお洗濯もしない、そうなるけど、
ほんとにそれでいいの?」
「やっと辿り着けたね、はははっ。じゃ、その心は?」
「うん、ハッキリ見えてきたわ。私とゆっくり過ごすことでしょ?でも・・・」
「家事代行業者が優秀でね、安心して任せられるから、いずみの手を煩わすこともない。
洗濯、掃除は詭弁だと思うか?」
「私の行動を正すことだから、詭弁どころか正論だと思うわ。あなたらしい論法ね?
ほんと振り回されるんだもの、生きた心地がしないでしょ?」
「死んでる?”シヌ〜!”なら詭弁だろ?」
「あなたとなら、”イク〜!”しかないでしょ?それが私の正論です、うふふっ」


彼女の服装は、淡いブルーのノースリーブのワンピースに、生成りのサテン地のニットの
カーディガンです。
ローヒールですから、散歩にはさほど抵抗はなさそうです。

「じゃ、食事に出ようか?」
「ねぇ、早過ぎるって言ったでしょ?」
「散歩してからにしようか?」
「うん・・・どこに?」
「遠い昔の日々、その日には帰れないが、タイムスリップの真似事かな?」
「これなのね?昔に会いに行く、再会なのね?」


[79] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 15:23 ID:6hNJOGzk No.202813



ホテルから南に向かい、明日香ちゃんの好きなパスタの店の前を通って、テニスコート併設の
公園球技場に入ります。

「ここってホントに懐かしいわ。会社の帰りに駅から手を繋いでお散歩したんだもの。
私って我慢強いって思ったわ。そうでしょ?残業のあなたを待っていたんだもの」
「そうだったね。怒らなかったからって、気にしていなかったんじゃないからね」
「ほんとに?うふっ」
「この辺りではいろんなことがあり過ぎたね。思い出すのも難しいくらいだよ」
「うん・・・でも今は、夫婦なんだもの。あの時なら考えもしなかったのにね」
「別れたいと何度も言っていただろ?」
「あなたって卑怯だもの。”来る者は拒まず、去る者は追わず”のスタンスだったでしょ?」
「今も変わらないよ。いずみならそのスタンスにヒビが入ることもあるかな?」
「大事にしてくれるってことでしょ?それなのに・・・私から離れられないのに、あなたの前から
姿を消しても、忘れられなくて。きっと迎えに来てくれるって信じて疑わなかったのよ。
後悔も後悔、それなのに私から連絡しないなんて、あれ?!卑怯なのは私だったの?うふっ」
「はははっ、多くの人に助けてもらったね。今回もだろ?」
「うん・・・ねぇ、懐柔なの?お散歩って」
「まぁ、ない事はないが、話しの流れだと思ってくれないか?もう来週になるんだね?」
「ほんとだ!・・・恍けました、うふっ」

腕を組むのではなく、その当時のように手を繋いで歩きます。

「新鮮ね?」
「はははっ、20代後半の頃だね。まさかだね、その後の出来事は」
「お姉さんだけを責められないわ。私に隠された性癖があったってことでしょ?」
「長く眠っていたとしか思えないね。今が本性かもしれないが、対応には苦慮させられるかな?」
「大丈夫だと思っていたのに、人を見る目はまだまだダメかもしれないわ。でもね、それが判明
するまでは、グレーだと思いたいの」
「誰しも自分が可愛いからね。だけどね、それで済まないこともあるから、人選には細心の注意を
払わないとダメだよ」
「真っ黒だったらどうしよう?何だか心配になってたわ」
「セフレを広げ過ぎたと思ってるだろ?」
「うん・・・そこが引っ掛かるところかな?」
「知ってるかな?・・・一日歩いた土地を与えるとの約束の下、頑張って歩いたが疲れて死んで
しまう。彼が貰えたのは彼が入る墓地だけだった・・・名言だろ?」
「トルストイでしょ?」
「愚問だったかな?はははっ」
「ちょこっと短絡し過ぎね?あのね、日没までに巡った土地は、全て自分のモノになるという約束
なのね。汗だくで歩き続けた末に、バッタリと死んでしまうの。手に入れられたのは小さな墓の
土地だけってことなの。これって農民の強欲さなのね。私と被るってことでしょ?」
「分かっているのなら、何も話すことはないよ。少しでも反省の材料になればいいと思ってね。
まぁ、僕より詳しいんだから、言わずもがなだね、はははっ」
「何も残らないのなら、手を広げるなんてしなかったと思うの。あなたを失うなんて考えもしない
もの。任されてるからって、気が緩んでいたとしか思えないの。墓の土地しか残らないのなら、
あなたを失うことに等しいでしょ?あなたが喚起してくれなかったら、結果がどうあれ、また同じ
事を繰り返すかもしれないもの。強欲と性欲は紙一重、戒めとして心に深く刻み付けておきます」
「しおらしいね、これがいずみだね?」
「そうよ。あなたの前では借りてきた猫かな?だって、あなたにはどうあがいても勝てないんだ
もの。愛は奪うモノなのに、いつまで経っても奪われてるの。私には永遠の命題かな?うふふっ」

歩みを北に変えて、先程の駅方向に戻ります。


[80] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 18:03 ID:6hNJOGzk No.202820



「歩きながらでも、しっかり話せるものだね」
「イギリス人?」
「笠信太郎だろ?全ての人に当てはまらない事を証明できたね、はははっ」
「あなたね、作者先生に叱られるわよ、”僕の本を冒涜するのか”って、うふふっ」
「誹謗中傷じゃないか?」
「同じでしょ?お勉強が足りないわよ、うふっ」
「トルストイも然り、かい?はははっ」


新聞社の社屋が入った高層ビルの8階の和食の店で夕食を摂ってから、ホテルに帰ります。
客室に戻ったのは、午後8時30分を回っています。

「こんな時間って、普通ならお仕事でしょ?」
「まぁ、9時が定時みたいなものだから、もう直ぐ退社時間だよ、はははっ」
「大丈夫なの?」
「ん?・・・仕事?体かな?」
「体に決まってるでしょ?手術したの忘れたの?」
「だから定期的に検査を受けてるだろ?」
「何かあってからだと遅いのよ。分かってる?」
「心配かけて申し訳ないね。何かしていないと落ち着かない事ってあるだろ?」
「忙しくしているの?違うでしょ?」
「はははっ、それはないよ。出来れば早期にリタイアしたいんだからね」
「それなら・・・えっ?私なの?」
「まぁ、そういうこともあるかな?」
「・・・私の我儘で東京に・・・それしかないもの。出来るだけ早く帰って来るって話したのは
本当よ。どちらも順調に進んでいるから、あなたに話した通り早くリタイアして・・・
まだ決められないけど、その予定に変更はないの。でも、出来るだけ早くとしか言えないけど」
「気にならないと言えば嘘になるからね。いくら離れていても夫婦なんだから、心配が先に立つ
のは仕方ないだろ?」
「任されてるのに、不甲斐ない私だもの。心配かけるようなことばかりで、ほんとにごめんなさい」
「はははっ、止めろよ。鋼鉄の心の持ち主とは思えないだろ?」
「あなたの前では、軟鉄かな?」
「ん?・・・それは僕だろ?」
「アレ?・・・アレの事?ベッドで?」
「はははっ、お手柔らかに!」
「軟鉄だもの、柔らかく優しくお相手致しますわよ、うふふっ」

他の客室は分かりませんが、ベッドルームはお世辞にも広いとは言えません。
お茶・コーヒーのセット、カミソリ等のアメニティも部屋に用意されておらず、フロント傍の
コーナーから各自必要と思われるものを部屋に持参するシステムです。

TVの前に設置のテーブルに、彼女がホットコーヒーを用意してくれます。

「数年前もそうだったかは記憶にないのね。でも、お部屋に用意されていないって酷くない?」
「必要かどうかだろ?不要なものまで用意することを省くためだろうね」
「ずっと前だけど、あなたと行った沖縄のあのホテルを覚えてるでしょ?」
「あれかい?某国の観光客の行状だろ?」
「レストランで用意されているモノで、持ち帰れるものならどれもって、感じだったでしょ?」
「お茶とか紅茶のパックとか、お里が知れると言うけど、あれは酷かったね」
「見境がない典型例だわ、うふっ」
「はははっ、つまみ食い程度なら可愛いが、数ヶ月もその状態はどう説明するんだ?」
「某国の観光客と同じ?・・・見境がないのは私もかな?”人の振り見て我が振り直せ”の典型例、
人のことは言えない私でした。ごめんね?」


[81] Re: 自由と束縛の狭間で  小田 :2025/08/11 (月) 22:20 ID:6hNJOGzk No.202827



体を乗り出して、テーブル越しに”チュッ!”と唇を触れさせてきます。
それに呼応するように、携帯が鳴ります。
バスルーム側のベッドに置いていた彼女のバッグからのようです。

「誰かしら・・・ちょこっと待ってね?」

手を伸ばせば取れるのですから、ベッドとテーブルとの距離は推して知るべしです。
私はコーヒーを一口飲んで、彼女に頷きます。

「あれ?会社からだわ。スピーカーにしなくていいでしょ?」
「気にしなくていいから、早く出ないと」
「うん・・・」


『もしもし、どうしたの?・・・それ?何度言ったら分かるの?・・・自信がないのなら前の
セクションに戻ってもいいのよ。楊社長には私から・・・じゃ、どうするのよ。あなたに任せて
いるのよ・・・そうよ。あなたに一任してるといっても、私がサポートするって言ったでしょ?
信じないのなら・・・そうね、それなら一緒に頑張ろうね・・・いいわよ。月曜日ね、あなたに
託したんだから、余計な事は考えないの。いいわね?・・・分かればいいのよ。
じゃ、切るわよ・・・』


表情も変えずに淡々と話す彼女からは、私と居る時の様子など、第三者には想像すらできない
だろうと可笑しくなってきます。

携帯をバッグに戻して、私と向き合って直ぐに、

「あれ?おかしなことを言ったかしら?うふっ」
「余裕だね?はははっ」
「えっ?そう?アレって普通の対応でしょ?」
「社長の?」
「それはどうでもいいの。お仕事なのよ、まずそれでしょ?」
「いつもと同じ?」
「変わらないわよ・・・あっ?!あなたとの空気感の違いを言ってるんでしょ?」
「違い過ぎる、とかね?はははっ」
「お仕事と愛は同じテーブルに乗せられないでしょ?」
「正論だが・・・まぁ、丸く収まったようだから、いずみの手腕は十分に発揮されてることに
なるね」
「うふふっ、腕に力がないから、能力に置き換えて下さいな」
「楊さんも認める非凡な才能かい?はははっ」
「笑うって酷くない?うふっ」

先程と同じように、体を乗り出してキスしようとした時に、また、携帯が鳴ります。
ところが、着信音が同じではありません。


[82] Re: 自由と束縛の狭間で  :2025/08/12 (火) 13:01 ID:AD9e6dAI No.202846
小田さん、こんにちは。
70歳を超えると何が起きるか解りません。
夏風邪を引いたと思ったのが、7月初めですが
23日の夜から食欲が急に泣くなって、24日病院に行くと
肺炎で数値が悪いので入院治療とのこと、ビックリしましたが
入院8月6日まで入院していました。
まだまだ若いと思っていたのですが、年には勝てませんね。
熱い中ちょうど2週間入院していて身体が楽にはなりました。(笑)

いずみさんとの邂逅、コンコースからの始まりでしたね。
何度も意味のある失踪を繰り返し、小田さんの元へ。
ただ、この時点では小田さんと生活を共にするまでには
まだまだの感じですね。さらにいずみさんの性癖は、
王によって開発されていたように思えるが、いずみさんの
隠れた性癖に火をともしただけなのですね。この三連休
沢山の投稿ありがとうございました。入院している間に
いままでの投稿を読み返しました。有意義な入院生活でした。
まだまだ暑い日が続きますが、小田さんもお体には十分ご自愛ください。

この度の事件?も土曜日に渡辺と合ってから小田さんの所に来たことから
どのような落としどころになるのかひやひやしながら読んでいます。



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