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覆水盆に返らずB

[1] スレッドオーナー: 矢部 :2025/07/10 (木) 00:07 ID:dlh6H.Uk No.201946
パートBからの投稿になりますが、
前作の「覆水盆に返らず」「覆水盆に返らずA」は
こちらのサイトの「他の男とセックスしている妻」に投稿済です。

スローな展開で、物足りなさすぎる内容ですが、
読者の皆様、よろしくお願い致します。

*****

「あのへんやな・・・」

ふと漏れた私の声に反応したのか、由紀も口を開きました。

「あっ トオサン、洗濯物と炊飯器のスイッチ お願いね」

彼女の声は、高ぶっていたとか、震えていたとかではなく、
いつもの日常の中のお願い事を、淡々と口にしているような
普通のトーンでした。

数分先には、彼女も面識のあるとはいえ、私の親友とはいえ、
いちおう「男」と会う、いちおう「デート」に臨むような
雰囲気は、彼女からは微塵も感じられなかったのです、。

(後席に座っていたから、余計にそう思えたのかもしれませんが)

むしろ私のほうから、彼女がこれから平尾とデートすることを、
あらためて知らせるようなことを言ったのでした。

「じゃぁ、あいつの気晴らし・・・気分転換 させてやってな」

あくまでも平尾のためを強調する「ずるい」私に戻っていました。
平尾のことを持ち出すことで、自分の感情を隠そうとしたのです。
というか、そうでも言わないと、他に言葉が浮かばなかったのです。

「ん〜 まぁ、難しいかも・・・ わかんないよ」と由紀。

その声も、どこか“あっけらかん”としていたのを覚えています。

車はロータリーに入り、駅前(裏口)に着きました。

「じゃ〜 行ってくる」

これから電車に乗って 街まで買い物に行く、そんな軽い感じで
私に言うと 「ふぅっ」と軽く一息吐いて 由紀は車を降りました。

後席のスライドドアが閉まる間際・・・

私は言葉にできない絶望感と無力感に襲われ、
そして血圧までも上がっていたと思います。

取り返しのつかないことをしてしまった感覚。
しかし一方では ここにきて とても気持ちが昂っていたのです。

私はその場で、彼女をずっと目で追うまでもなく、
そのまま車を走らせてロータリーを回り、メインの通りから、
一本筋に入ったところにあるコインパーキングに車を停めました。

そしてすぐに下車して、小走りにもう一度メイン通りまで出て、
そこから数十メートル先にある、先ほどの駅裏ロータリーを、
街路樹や立て看板、広告旗の陰から、じっと見つめていました。

なぜ私は 牧里駅の「裏口」を待ち合わせ場所に選んだのか?
二人が会うシーン、大袈裟ですが「寝取られ」「妻の貸し出し」、
背徳的な現場を“この目で見てみたい”と素直に思ったからです。
こんな歪んだ願望は こちらのサイトによる影響も大きかったのです。

その願望を叶えるために、事前に地図情報を調べてから、
この場所を選んでいたのでした。

・駅裏口には、駅に近い場所にコインパーキングが数か所あって、
 休日でも比較的空いている
・ロータリーからメイン通り沿いにはコンビニやドラッグストア、
 不動産屋や飲食系のお店等があり、それなりに人の往来もある。
・車道に沿った歩道に街路樹があり“隠れ蓑”になってくれる。

つまり、私の浅はかな計算によるものだったのです。

ただその日、実際にこの状況になってくると、欲望や願望などは、
焦る気持ちに打ち消され、どうでもよくなっていたのですが・・・。

少し離れていても、由紀の姿はすぐにわかりました。
落ち着いたクリーム色のシャツに、ダークブラウンの綿パンツ。
姿勢良く立ち、視線も逸らすことなく前を見据えていました。
これから自分を迎えに来る“男”を待っていたのです。

当然ですが、そんな彼女の視線の先に、私は いませんでした。
もしかしたら、たとえ目と鼻の先にいても、彼女の意識の中に
私はもう存在していないのでは? 
被虐的な感覚に焦りながらも、ドキドキしながらその瞬間を
心待ちにしているという複雑な気持ちでした。

そして時間ぴったりの 13:30・・・

白いアウディクーペがロータリーに滑り込むように現れました。
間違いなく平尾でした。

由紀は、目の前に停車した高級車に向けて軽く頭を下げると、
迷いもなく助手席のドアを開けて乗り込みました。

その時、遠目に見ていた私には、彼女の口元が、
わずかに緩んだように見えたのです。
嬉しそうな笑顔だったのか、単なる挨拶の笑顔だったのか、
もちろん離れたところから、はっきりとは分かりませんでした。
ただ 彼女が“拒んでいない”事実だけは鮮明に目に映りました。

しかし、よくよく振り返って考えてみると、
このデートが実現するに至る ここまでの経緯からすれば、
由紀が拒んだり不機嫌になることは ないのですけどね・・・

それでも言いようのない焦りと嫉妬、理性では「冷静に」と
思っても、つい数分前まで一緒にいた愛妻が、急に遠い世界に
行ってしまった、自分だけが置き去りにされた、
そんな感覚になってしまったのです。

由紀を乗せたアウディはロータリー出口の信号で止まりました。

(追いかけよう)

気づけば、私は走っていました。
パーキングに飛び込み、ドアを開けシートに滑り込みました。

(こんなこと してはいけない・・・)

頭では分かっていたのですが、
どうしても、あのまま“彼女が連れ去られてしまう”気がして
ならなかったのでした。

焦りから精算機前で財布から小銭がなかなか取り出せず、
私は紙幣を押し込み、おつりの硬貨数枚を取り損なって、
地面に散らばらせてしまいました。

そのすべてが、もどかしい時間の無駄に思えたのです。

とにかく私は急いで車に乗り込みました。

もう、見えなくなっているかもしれない。
いや、もしかしたら まだ追いつけるかもしれない。

思いが交錯する中、メイン通りに出ることはできましたが、
視線の先には、すでにアウディの姿はありませんでした。

わずか数分、いや数十秒の差だったのか・・・
それだけの違いなのに、私は二人に“置いていかれた”という
思いに囚われました。

車内に静寂が満ち、茫然とした私はアクセルを踏むこともできず、
ただハンドルに手を添えたまま、その場でしばらく深呼吸を
繰り返していたのを覚えています。

自宅への帰り道の記憶は、ほとんど残っていません。

いつも通る住宅街の道や交差点も、風景としては映っていたはず、
でも、どのように帰ったのかわからないまま、
とりあえず自宅に辿り着き、玄関の扉を開けたとき、
そこには、「音のない空気」が、ひっそりと漂っていました。


[80] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/08/24 (日) 11:17 ID:WLv.jo6k No.203224
いつも変な想像をしてしまいすみません。
2回目のデートの報告を楽しみにしています。


[81] Re: 覆水盆に返らずB  中年ファン :2025/08/25 (月) 14:19 ID:FTtoGFyA No.203257
矢部さん。更新をしてくださりましてありがとうございました
先週、覆水盆に返らずに気が付いて読む始めました
感想はサスペンスとエロチックが詰まった素晴らしい内容とおもいます
ここの小説はハチャメチャで尻が軽い妻と軽薄な夫となぜか絶倫の間男が
すぐにエッチをするような嘘みたいな夢のような話しや
そんなうまいこといくわけないような話しばっかりが蔓延して
どれも一緒と飽きてきた中で矢部さんの話しは天然素材で無農薬で無香料で着色料もない自然食品のように感じます
読んでいくうちにその良さがわかってきました安心して読めるんですよ ^^
誘われてすぐにオマタをひらく女の話しはあきましたが
由紀さんのノーマルの主婦のすがたにエロさがある気がするんです
この先の話しに期待をしてます
誹謗中傷に負けずに
書いてください


[82] Re: 覆水盆に返らずB  夏休みは終わらない :2025/08/28 (木) 20:29 ID:XurjSm8s No.203319
早く続き読みたいです。
まだですか?


[83] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/08/28 (木) 23:10 ID:doJrnX5E No.203322
小太郎様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>これからの由紀さんの変化に興味津々です。
そうですねー、少しずつですが・・・;;

進一様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>いつも変な想像をしてしまい
こちらのサイトだと、むしろその流れ、進一様の予想のほうが正解ですよね!

中年ファン様 コメントをくださりありがとうございます。
>この先の話しに期待をしてます
 励みになるコメントをありがとうございます。
 期待に沿えるのかどうか;; これからもよろしくお願い致します。

夏休みは終わらない様 コメントをくださりありがとうございます。
 遅筆につき、お待たせしてすみません

*****

2回目のデートの件を伝えたのは、水曜日。
夕飯を終え、由紀が食器を洗っている時でした。

この件については、あらたまって というよりも、
何かのついでのタイミングの方が 話しやすかった、
というのもあります。

平尾とは、4日後の日曜日に、ということで
仮決めをしていたので、早めに由紀の都合を聞く
必要もありました。
ただ昨日まで娘が帰省していた手前、なかなか
言い出すこともできず、私的にやきもきしていた
のが本音です。

「そういえば平尾が、カアサンと またお願いしても
 エエかなって、言うてきた・・・ どうやろ?
 あいつ、日曜日なら大丈夫みたいやけど」

水の音に紛れ、泡に包まれた指先をすすぎながら、
由紀は驚くわけでもなく 少し間を置いて、

「あー うん、わたしも別に・・・何もないし」

それだけの返事でした。

私と目は合わせることはなかったのですが、
声に特別な抑揚が入ることもなかったことや
無理をしているような気配も、気負いも、
どこにも見当たりませんでした。

まるで、日々の買い物や家事の延長のような、
ごく自然な受け止め方・・・
その自然体が、なにより私にとっては
ありがたく、深い安堵を覚えたのでした。

だから、と調子に乗ったわけではないのですが、
私はこの時とばかりに、

「カアサン、次のデート、スカートとか?」
「いちおうデートなんやし・・・」

オチャラて、できるだけ軽いノリっぽく、
前回の「デートごっこ」で残念に思ったことを
それとなく伝えたつもりでしたが・・・

やはり声が上ずってしまった私の言い方が 曖昧で、
本音というか願望までは伝わっていなかったのかも、
いや むしろ変な形で伝わってしまったのか、

「はぁ? どういうこと?」と由紀。

至ってシンプル そして一気に冷たいトーンになって
返されました。

由紀は顔を上げて、(なんでそんなこと言うの?)
そんな表情で私を見ていました。

咄嗟に私は、余計なことを言ってしまった、
という思いと、返す言葉を用意していなかった
ことに焦ってしまい 口籠っていると、

「そんなことより、トオサン 治った?」

逆に由紀は冷静に、本来のデートの目的に対しての
結果を訊いてきました。

面と向かって、「とりあえずオナニーできた」
なんて言えないですよね・・・
それに、先日 彼女が洗濯物を取り扱った際に、
絶対に気がついているはず、と思っていたので。

「あー それな、まぁ、いちおう・・・」
「なんとかなりそうな気はするんやけど」

恥ずかしさもあり、歯切れの悪い私は 続けて、
デートが刺激になったのは確かだが、
まだ完全に治っていなくて、苦戦をしていると。
それに、先日平尾に会った時の 彼の様子も
まだまだ不安定だったと、少し盛って伝えました。
(あくまでもデートは平尾のためで、
 自分はその次というアピールをしたつもり!)

「じゃぁ日曜日・・・ うん、わかった」と由紀。

それから当日まで、私たち夫婦の間では、
デートに関する話題は一切出ませんでした。

普段通りの会話をし、ごく普通の家庭生活を
送っていたのでした。
それぞれがあえて触れなかったのか、
触れずとも理解し合っていたのか、
「10か条」に沿っているといえば、それまでですが。

私は今回のデートに、
前回のような戸惑いや不安を感じていませんでした。
むしろ 正直に言えば、より濃厚な刺激を期待して
昂ぶっていたのです。

(もっと強い刺激を、もっと深い熱を)

前回の終了後に味わってしまった感覚や
知り得ることができた事実が、私の中で
“成功体験”として強く残っていたのですね。

そして いよいよデート当日の朝・・・

それはごく普通の朝の始まりでした。
由紀はいつも通りに起き、仕草や表情も変わりなく、
朝食を作り 洗濯物を干し 掃除をするなど、
淡々と家事をこなしていました。

前回のこともあり、早めの昼食を提案した際も、
彼女はごく普通に「そのほうが良いね」と応じました。

日曜日のルーティンを終え 早めの昼食(その時の
話題も娘のことだった、と記憶しています)を
済ませると、リビングは静寂に包まれていました。

私はテレビの画面を片目に、手元のスマホで
ヤフーニュースをぼんやり眺めながら、
時計をちらちらと見ていました。

やがて、階段を下りてくる由紀の足音がしました。

(スカート?)

私は淡い期待を胸に深呼吸をして、
彼女がリビングに入るのを待ちました。

微かな空気の揺れ、衣擦れの音に気配を感じ、
振り向くと 由紀が現れました。

その姿・・・

遠目から見る限り、前回とほとんど変わって
いませんでした。
いや、むしろ「同じ」だったと言っても
良いでしょう。

髪は丁寧にブローされ、メイクは薄化粧、
ただ、目元は いつもよりほんの少しだけ濃い
アイラインが引かれ、リップも、前回のピンクが
少し濃くなった気がしました。
(誤差の範囲かもしれませんが;;)

ネイビーのカーデガンは羽織らず手に持ったまま。

いつもならアクセサリー類は着けない彼女ですが、
耳元には前回と同じ小さなパールのイヤリング。

トップスは白のクルーネックのTシャツ。

ボトムスは前回と同じ濃いブラウンの綿パンツ。
ヒップラインを隠すような、ゆったりシルエットで、
いわゆる“女を出す”装いには見えませんでした。

(やっぱり、前回と同じか・・・)

私はその瞬間、期待外れ/残念といった気持ちと、
どこか安心した気持ちが混在していました。
この時 胸の奥で、ふっと緊張が解れたのです。

一見すると、前回とほとんど違いのない
平凡な普通の外見の由紀・・・

(あれ?)

ところがパンツから覗く彼女の足元の変化が
私の目に はっきりと映ってしまったのでした。
映っただけではなく、喉の奥に引っかかるような
違和感と、昂ぶりを伴う焦りが一気に込み上げて
きたのです。

前回、綿パンツの裾から覗いていた足元は、
単色グレーの靴下でした。
しかし今回はベージュのストッキングだったのです。
肌にぴたりと沿い ほんのり光沢を帯びたナイロンの
艶めく質感が、しっかりと私の目を捉えて
離しませんでした。

たかが足元の微細な変化・・・
それでも私の胸の奥に、違和感と期待を同時に
呼び覚ましたのです。

(マジか・・・)

私は刺激を得始めていたのでした。

「この程度の事で大袈裟だ」と ここのサイト投稿者の
皆様方に笑われてしまうくらいのツボですが、
この時、本当に私はビビってしまった記憶があります。

そして更に・・・


[84] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/08/28 (木) 23:52 ID:Dg5iOWaQ No.203323
いよいよ2回目のデートですね。
由紀さんの装いの変化、残念ながらまだスカートでは
なかったですが、グレーのソックスからベージュの
ストッキングに変化していたのですね。
その変化が由紀さんのデートごっこに対する気持ちの
変化を現していますね。
更なる変化があったのでしょうか?

続きを楽しみにしています。


[85] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/08/29 (金) 12:41 ID:hCrE9aKw No.203330
更新有り難うございます。
2度目のデートの朝を迎えましたね。
前回とほぼ同じような装いで期待外れの感がありましたね。
しかし、アイメイクが少し濃いめなのと靴下ではなくストッキングはパンストだったのでしょうか?
「そして更に・・・」が気になりますね。


[86] Re: 覆水盆に返らずB  :2025/08/30 (土) 00:08 ID:1JLHdqSM No.203336
今週は二回の更新ありがとうございます! 
楽しみ待っいます。


[87] Re: 覆水盆に返らずB  倍胡坐 :2025/08/30 (土) 03:45 ID:qg2L5Yek No.203339
着衣の変化は人間関係の変化に通じると思います。
前回ははじめてということもあったのでしょうか、
由紀さんなりの「探り」の結果がソックスという結論。
あくまでも日常の延長での様子見だったのかも知れませんね。

由紀さんの意識の中にあるソックスからストッキングという変化は
夫の友人との日常的な関係性から踏み出しつつあるようにも思えます。
普段着をベースとしながらも、その内側の変化が気になります。
勝負服や戦闘服といっては大袈裟でまだ微妙な変化でしかありませんが、
夫抜きの男と女としての関係性への発展を想像させられてしまいます。

そして更に・・・が気になります。
ひょっとして、由紀さんのTシャツから透けて見えるものが、
定番のベージュではなかった・・・とか?
相変わらずの矢部さんの焦らしに期待大です。


[88] Re: 覆水盆に返らずB  ざるそば :2025/08/31 (日) 00:41 ID:zsxndHDY No.203364
更新ありがとうございます。
靴下からストッキングとは急展開ですね。
2回目のデート報告が待ちきれません。


[89] Re: 覆水盆に返らずB  中年ファン :2025/08/31 (日) 10:01 ID:jxbfRktQ No.203373
矢部さん。
更新をしてくださいましてありがとうございました
由紀さん二回めのデートにむかう姿で
矢部さん興奮するのと同じで読者も興奮してます
Hのシーンはない  それでも矢部さんの話しはふつうの日の日常場面がふつうに書かれていますからとても現実的です
足もとのストッキングだけでも興奮できるんです
すぐにHが簡単にできるうそみたいな話しより現実的だとおもいます
だから人気あるんでしょう  天然素材で無農薬で自然食品のように思えます
エロHばかりして簡単に寝取られる夫婦はふつうの日常はぎくしゃくして過ごせないと思います
それにいくらなんでもふつうの妻はほかのオトコと簡単にHしません。なかなか簡単に寝取られません
ごくふつうの妻の話しが一番興奮します
次の話し楽しみに待ってます


[90] Re: 覆水盆に返らずB  矢部 :2025/09/03 (水) 00:39 ID:O9vCgp6. No.203438
小太郎様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>由紀さんの装いの変化、残念ながらまだスカートではなかった
・その通りです。なかなか地味で固い女です、
 もっと、ほかの投稿小説内の女性のように華やかで積極的だったら、
 と 何度思ったことか;;;

進一様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
>同じような装いで期待外れの感がありましたね
・そうですね・・・たまには期待に応えてほしいですよね;;

秀様 コメントをくださりありがとうございます。
>今週は二回の更新
・励みになるコメントをありがとうございます。
 たまたま二回投稿できたということで・・・これからもよろしくお願い致します。

倍胡坐様 いつもコメントをくださりありがとうございます。
 鋭いコメントに、もしかして倍胡坐様は、平尾では?とビックリしてました(笑)

ざるそば様 コメントをくださりありがとうございます。
> 2回目のデート報告が待ちきれません。
・とても励みになり、勇気をいただけるコメントありがとうございます。

中年ファン様 コメントをくださりありがとうございます。
> ふつうの日の日常場面がふつうに書かれていますからとても現実的
・とても深く読み取っていただき嬉しいです。
 そうですね、良い意味で味気のない日常を過ごしていました。

*****

「さて 時間やし、そろそろ行こか〜」

そう口にしながらも、私は由紀の足元・・・
ベージュのストッキングに包まれたつま先を、
目の端で何度も追っていたのでした。

もちろん、気づかれぬように・・・
そう心掛けたつもりでしたが、どうだったでしょうか。
それでも、女の勘? 女性特有の気づき? なのか
案の定、由紀は私と目を合わせようとはせず、
むしろわずかに口元を綻ばせているように見えました。
いや、そう見えた“ような気がした”のかもしれません。
自分でもわかるくらいまでに私は狼狽えていたのでした。

「うん・・・」

少しだけ間を置いて由紀が頷き、
アイボリーのショルダーバッグを片手に、
くるりと身を翻して玄関へ向かいました。

その後ろ姿を、私は無意識のうちに目で追っていました。
そして、気づいてしまったのです。

白いTシャツの後ろ姿・・・
いつものような機能的なアンダーシャツとは異なるもの
が隠れていたことに。

左右の肩に、それぞれ2本 合わせて縦に4本の
ストラップが掛かり、背中真ん中あたりには帯状に
繊細な花模様のレース刺繍が、薄っすらと控えめながらも
確かな存在感を放っていました。

前回、あれほど淡泊で実用的な下着を使用していた彼女が、
今日に限って身に着けていたのは、
色はおそらくベージュ色のキャミソールでした。
私的には、少なくとも「透け防止のインナー」と呼ぶには、
やや装いが過ぎているようにも見えました。

ふと、胸の内に動揺と波紋が広がりました。

(これって・・・わざわざ選んだのか?)

あくまで私の思い込みかもしれません。
心の中に波紋が広がるのを感じながら、私は咄嗟に
そう思っていたのでした。

もちろん、ただの偶然かもしれません。
決して派手でも、露骨でもなく、
極端に攻めた装いでもなかったわけですから。
何かのついでに手に取っただけなのかもしれません。

ですが・・・

その時は、“わざとではない”ことが、
逆に“わざとらしい”と感じられたのでした。

そして次の瞬間も 私は心を揺さぶられました。

由紀がシューズボックスから取り出したのは、
ローファーでもスニーカーでもなく、
黒のスエード調でカジュアルな ローヒールの
パンプスだったのです。

その靴を由紀が玄関の床に置いた瞬間、
「コツン」と軽く響いた音。
1センチにも満たない程度の低いヒール・・・
それでも “ヒール”であることに変わりはないわけで、
私は その特別感にさらに昂ってしまったのでした。

努めて平静を装いながら、私は茶化すように
由紀に声をかけたのでした。

「そんな靴、あったん?・・・ ええやん、それ」

「これ? たま〜に履いてるし、この前もマリちゃん(娘)
と出た時も、これだったけど・・・」

由紀は淡々と答え、何気ない仕草でストッキングに
包まれた足先を、すっと パンプスに収めました。
その動作を見ているだけで、私は胸の奥に熱が灯るのを
感じました。

車に乗り込むまでのわずかな距離でも、
パンプスの「コツコツ」という軽やかな音が、
やけに新鮮に響き 耳に残りました。
そしてそれは、私の中で焦りとも昂りともつかない感情が
胸をざわつかせたのでした。

車内では、最初こそ娘の話や、最近音沙汰のない息子の話題
で盛り上がりました。
親というものは、どんな状況でも子どもの話となれば、
つい 口数が増えてしまうものですね。

けれど それも長くは続かず、やがて会話は
静かに途切れていきました。

その沈黙を破ったのは、後部座席からの由紀の声でした。

「平尾さんと どんな話をしたら良いかなぁ?」

これまでも幾度となく触れていますが、
このデートの目的は平尾を元気づけるためのものです。
彼にリラックスしてもらい、彼にたくさん語らせて、
心地良いひとときを過ごすことで気晴らしや気分転換を
してもらう・・・。
けれども、前回デート中は、ほとんど平尾が話題を提供し、
むしろ由紀に対して気を遣ってくれていたような
展開になってしまったことを、彼女はとても気にしていた
のでした。

私はできるだけ軽い口調で応じました。

「気ぃ遣うことが、あいつの気晴らしに なってるんや」
「そんなもんやろ・・・ 知らんけど(笑)」

男としては、自分がどうであれ、やっぱり女性には
気を遣うもの、カッコつけたい気持ちは男なら誰しもある、
という事を由紀に話しました。

続いて私は、

「カアサンからの振りは、テキトーで えんちゃうか」
「趣味の話・・・ガーデニング好き、でも虫は嫌い とか」
「なんやったら またホームセンター行ったらえーやん」

「あ〜 そっか・・・ それいいね」と由紀。

そんな話をしながらも私はデートの話題になった時点で、
由紀へのアドバイスなんてことよりも、再び 由紀自身の
格好のことが気になっていたのでした。
由紀から平尾への会話よりも、由紀に対する平尾の視線が
気になっていたのです。

当然、平尾も由紀の背中を見るに違いない、
背中に透けていたキャミソールやパンプスに
どう反応するのか。
平尾は変に勘違いをするかもしれない・・・。

冷静に考えれば、あくまでも(フェチ色の強い)私のツボ
であって、平尾にとっては、全く関係のない興味のない
由紀の外見かもしれないのですよね・・・
それでも半日とはいえ、今日のこの姿の由紀と
デートをする平尾に私は、半ば嫉妬にも似た気持ちで、
胸の高鳴りを抑えきれませんでした。

「今日は曇ってるし、肌寒いやろな」
「ずっとそのカーデガン着とった方が ええで」
「寒そうにしてたら、あいつ 気ぃ遣うかもしれんしな」

そう言いながら、私は由紀にカーデガンを羽織っておいて
ほしいと思っていました。

(平尾に背中を見せたくない、いや 見せてはいけない)

そんな思いを込めていたのでした。

ルームミラーに映った彼女の耳元では、
小さなパールのイヤリングが微かに揺れていました。

その瞬間、ふと、思いがけない想像が脳裏をよぎりました。

(もし、平尾に誘惑されてしまったら、由紀は?)

という 自分でも驚くような想像でした。

もちろん ただの妄想です。
しかし私の胸の中に言葉にしがたいざわめきを生み、
そしてそれが昂ぶりにも似た感覚を引き起こしていた
のでした。
そして そのざわめきは、私をますます昂らせて
いきました。

キャミソールを着て、ストッキングとパンプスを
履いている由紀・・・
車の中で私のすぐ後ろ、手を伸ばせば届くところに
彼女がいるにもかかわらず、その姿が拝めないことも、
平尾に対するジェラシーと被虐的な感情に
興奮していたことを覚えています。

指定時間の13時30分より少し前・・・
私の車は待ち合わせ場所である牧里駅のロータリーに
入る手前の信号で停車しました。
視線の先には、すでに白いアウディクーペが路肩に寄せて
ハザードランプを点滅させ停まっていたのです。

「あいつ、もう来てるで!」

私がわざと大袈裟に声を上げると、

「・・・うん」

由紀は少し硬い声で応じました。

私は少しでも空気を和らげるつもりで続けました。

「あいつ、昨日から待ってたんとちゃうか?(笑)」

けれど、由紀は笑わず 小さく頷いただけでした。

私はそのまま、アウディの後ろに車を着けました。

「あ、トオサン 洗濯物と炊飯器、お願いね・・・」

「おぅ 気ぃつけてな・・・」

「うん・・・ じゃぁ」と由紀。

そう言って、スライドドアを開け 車を降りたのと同時に、
平尾もアウディから降りてきました。
カジュアルな格好の彼は、その場に立ったまま、
サングラスを外し、私に向けて ぺこりと頭を下げながら
笑顔で手を挙げてきました。

私も精一杯の作り笑顔で、ハンドルに乗せた右手のひら
だけを上げて応えました。

ネイビーのカーデガンを羽織った由紀も、
アウディの助手席側に立ち、照れたようなハニカミ笑顔で
私に軽く手を振り、そのまま助手席に乗り込みました。

その時の彼女の姿は、何気ない日常の延長に見えましたが、
私の中には前回とは違った言葉にできない複雑な感情が
渦を巻いていました。
不安、期待、嫉妬、独占欲・・・
どれも当てはまるようで、どれでもないような感情でした。

「乗っちゃったか」

ひとりぼっちになった私は、ため息まじりに呟き、
そのままブレーキを解除した その瞬間でした・・・

(しまった!※)

※大したことではありませんが 私にはストレスでした;;


[91] Re: 覆水盆に返らずB  小太郎 :2025/09/03 (水) 05:02 ID:5qAd3SJM No.203439
前回と異なり、キャミソールを着て、ストッキングとパンプスを
履いた由紀さんは、完全にデートの装いですね。
この変化に平尾さんも当然気付き、由紀さんの気持ちの変化を
肌で感じるのでしょうね。
そんな平尾さんも由紀さんに本当のデートのようにもてなし
二人の距離が更に縮まっていくのでしょうか?

続きを楽しみにしています。


[92] Re: 覆水盆に返らずB  進一 :2025/09/03 (水) 18:37 ID:b.b2ILJ2 No.203462
毎回何度も読み返しています。
時には最初の方の投稿も読み返すこともあります。
由紀さんと平尾さんと2回目のデートになりましたね。
由紀さんの装いも少しづつ「女」をアピールしているのだと思います。
羽織っているカーディガンを脱ぎ、背中にレース模様のキャミソールを見たら私だたらそそられますね。


[93] Re: 覆水盆に返らずB  けんけん :2025/09/04 (木) 05:20 ID:abF152Kg No.203470
矢部さま、更新ありがとうございます。
昨日@からBまで一気に読ませていただきました!奥様の服装や、足元の変化をうまく表現されてて、このジワリジワリ感が堪りません。
非常に楽しみな読み応えのある作品に久しぶりに出会えました。ありがとうございます。これからも引き続きよろしくお願いします。


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・ただし、レスの流れの中でメールのやり取りをするのは全く問題ありません。
・ご夫婦、カップルの方に限り、交際BBSと組み合わせてご利用いただく場合は、全く問題ありませんのでドンドンご利用ください。
・なお、交際専用BBSにスレッドを作成できるのはご夫婦、カップルの方のみですのでご注意ください。
・お手数ですが、交際専用BBSと画像掲示板とを組み合わせてご利用いただく場合は、必ずその旨を明記してください。
 【例】「交際BBS(東・西)で募集している〇〇です」、または「募集板(東・西)の No.****** で募集している〇〇です」など。
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