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[39460] 壊れかけの絆H  投稿日:2009/02/16 (月) 22:59
来訪した鍵の業者には、鍵のタイプを伝えてあったので作業は手際良くスムーズな物でした。

【カチャッ…カチッ…ッ…パチッ…ッン…】

無音のリビングに響く乾いた無機質な作業の音

作業を見つめる私は、後頭部が痺れるような不思議な緊張感と息苦しさを覚えていました。

妻の疑惑の化粧箱を、固く閉ざし守っていた南京鍵は拍子抜けする程呆気なく解鍵されました。

私は、どんな理由であれ妻の持ち物を勝手した後ろめたさから、請求された作業代金に少しばかり色をつけて支払いました。

鍵の業者は恐縮しながら代金を受け取り、南京鍵のメーカーと裏に刻まれたナンバーを控え、『後程合い鍵をお持ちします』と私に告げ、帰って行きました。

リビングのテーブルにはたった今解鍵されて、化粧箱から外された南京鍵が物言いたげに無造作に転がり、その南京鍵を外された化粧箱は先程まで感じた頑強さが薄れ、いつでも開けれる状態になっていました。

私は逸る気持ちを抑え、キッチンで手を入念に洗い、グラスに注いだ冷たい水を一気に飲み干し、高揚する心を鎮め、問題の化粧箱と向き合いました。

【変な物が出て来なければ良いのだが…】

鬼が出るのか?蛇が出るか?…。
正にこの時の私の心境は怖い物見たさに尽きました。

私は目の前の木製の化粧箱の四隅の縁を何かの儀式でもあるように撫でるように触り、バネ仕掛けの開閉部分に触れました。
【ガシャン‥ッ… 】

勢いよく外れた化粧箱の留め金。

私の綺麗に洗った筈の掌は、すでにジワッと汗ばんで、後頭部から背筋、そして肛門にかけて【ゾクゾク‥ザワザワ】と、痺れるような緊張感がうごめき出していました。
私は化粧箱の縁を掴む指先に【グッ‥ッ‥】と力を込め、化粧箱の上蓋を持ち上げました。

【キッ‥ッ‥ギギッ‥】
ついに疑惑の化粧箱の扉は開かれました。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H  投稿日:2009/02/16 (月) 23:00
化粧箱は内側に紅色の美しいビロード地の生地が施され、中央部分には仕切りがあり、左右それぞれに中身を隠すように赤色と黒色のシルク地のスカーフが四つ折にされ掛けられていました。

私はこの時、この化粧箱には妻なりの仕舞い方の暗黙のルールがあるように感じ、慌ててメモを用意し、左右どちらに何がどのような順序で納められているのかを克明に記入しながら作業をする事にしました。

取り敢えず現状では、私がこの化粧箱を開けるに至った流れを妻に悟らせる訳には行かないのですから…。

私は左側の仕切りに被せられていた黒地のスカーフを緊張で小刻みに奮える指先で外し取りました。

【こ‥これは!‥ 】

そうです、そこに納められていた物は先日、妻のベッドに隠されていたあの発情した牝の印しがベットリと付着していたあの高級そうな黒地にシルバーやゴールドの刺繍をあしらった下着でした。

それらが綺麗に洗濯されキチンと折り畳まれ仕舞われていました。

更に驚いた事に、素人目にも高級そうな下着のセットが数点納められていました。

赤色、黒色、ゴールド。
それらは、まばゆいばかりの派手さと淫靡さを備え、取り出して見ていた私は複雑な心境にならざる得ませんでした。

こんな物を着けて、あの澤田統括部長と…

朝の駐車場での出来事が鮮明に思い出され、悔しさが沸々と沸き上がり、その淫靡な下着を触る手にもついつい力が入ってしまいます。

私は悔しさを抱いたまま、他に何か無いかと仕切られた箱の左側の部分を調べて見ると、箱の隅に何枚かのタグと小さく折り畳まれたメモがある事を発見しました。

タグは二枚あり、一枚目のタグには聞き慣れないメーカー名が刻まれ、裏には

【アンダー70E
カラー G 】

と記載されていて、もう一枚の同様のタグの裏には
【サイズ M
カラー G】
の記載がありました。

これは何か下着のタグのようです。

私は小さく折り畳まれたメモ紙を手に取り、慎重に開き、中を確認したのです。

そこには血圧が上がり、額の血管から血飛沫が飛び散りそうになるような文章が記載されていたのです。

《愛する悠莉子へ

絶対似合うから今回は プレゼントしたこの下 着を身につけて来てね 。
来週が待ち遠しい。 眠らせないよ。 》

何なんだこれは!?

私の妻に対する疑いは危険水域を越えました。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H  投稿日:2009/02/16 (月) 23:02
私は気持ちを静める為にテーブルの上に置いたペットボトルの水をグビクビと飲み、手にした煙草に火を着けました。

【本当に笑えない…
離婚云々では済まさん。あの二人をどん底に叩き落としてやる!! 】

私の憎悪に似た怨念めいた物が吐き出す煙りとともにリビングに充満して行くのが分かりました。
私は高ぶる感情のままで化粧箱の右側のスペースに掛けられた赤いスカーフを外しました。

そこに有った物は見た目には、派手で淫靡な下着でも妖し気でいかがわしい物でもないように見えました。

おそらく左側のスペースにあったタグの下着を包装してあったと思われる下着店の綺麗なラッピング用の包装用紙と複数の封筒。

私は一枚一枚、重ねられた封筒の順序を間違えないようにしながら中身を確認しました。

一通目の封筒には産婦人科の診察券と額面5千円程度の領収書。

二通目には、エステティックサロンの会員証と、かなりの額の束になった領収書。

これらは妻の口から一切聞かされていない物でした。

産婦人科…何の為に行ったのか?
婦人科の具合が悪いなどとは聞いていませんでしたし、見た目には体調が悪いようには思えませんでした。

エステティックサロンにしても一体いつ通っているのでしょうか?

この領収書の束を見る限り、かなりの回数を通っている訳です。

正に、知らぬは亭主ばかりなりです。


三通目の封筒は私の住む地方都市の役場の物でした。

私には非常に見覚えのある封筒です。

私はそこに入っていた薄っぺらい用紙を取り出して見て愕然としました。
何とそれは離婚届けだったのです。

それも妻の記入欄には必要項目全てに記入があり、捺印までされていたのです。

【な、な、何よ?コレは?どう言う事?】

ある意味これは、あの発見してしまった妻の牝の印しが染み付いた淫靡な下着よりも…今朝の駐車場で見た妻悠莉子と澤田統括部長の姿よりもショッキングでした。

これには私も我を失い、しばし呆然となり、思考回路が全て停止してしまいました…。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H やま 投稿日:2009/02/16 (月) 23:10
ひどい話ですね。
奥さん(今でもそうなのかはわかりませんが)や
その部長を貶めるなら手伝いますよ。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H 出汁 投稿日:2009/02/16 (月) 23:14
復讐あるのみですねー。
心中察するに余りあるとはこの事ですね。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H 興奮 投稿日:2009/02/16 (月) 23:15
地獄に落としちゃいますか。協力しますよ。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H カス夫 投稿日:2009/02/16 (月) 23:22
恐ろしいことになってきました。震えが止まりません。
叶様の心中の苦しさは、想像を絶するものであったと思います。
お話を聞いていて、すっかり私も引き込まれてしまいました。
今夜はとても眠れそうにありません。引き続き、お話をお願いいたします。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H 将人 投稿日:2009/02/16 (月) 23:38
人の事とは言え…めちゃめちゃ興奮します、このままじゃ寝れないよ汨アきお願いしますヲ

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H 匿名 投稿日:2009/02/17 (火) 00:16
ボイスレコーダーも気になります。

[Res: 39460] Re: 壊れかけの絆H  投稿日:2009/02/17 (火) 00:16
叶さんの心中 察しようとしても察しきれないでしょうね

覚悟の結果とはいえ やりすぎやろ

奥様に悟られぬよう 準備を進めることができるのでしょうか?
頑張ってくださいね