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[30673] 魔性【番外編31】 樹氷 投稿日:2008/04/22 (火) 02:56 今思えば、西島氏との出会いが無ければ私達夫婦の人生も変わっていたのかも知れない。
いや‥西島氏が山田君に特注した【あの淫靡で魅惑的なボンデージ】を、たまたま私がクラス会の打ち合わせで山田君の縫製工場を訪れた時に目の当たりにしなければこんなドラスティックな日常にはならなかったのだろう‥ 私は西島氏からの連絡を待つ間、リビングの床に無造作に脱ぎ捨てられた先程まで明美が身に着けていた妻のボンデージを見ながら思い返していた。 脱ぎ捨てられたそのボンデージの裏地部位に装着されていた【伝説の巨根竿氏である藤田のペニス】を型取ったディルドだけが私の事情や複雑な心境を嘲笑うように雄々しく天を仰いで色欲の際限なさを訴えかけているようであった。 それはまるで今後の無情なまでの不吉さを刻み伝える墓標のようでさえあった。 「♪〜♪〜♪♪‥・ 」 不意に携帯電話の着信音が鳴り、物思いに耽っていた私はリアルな現実に引き戻された。 「はい‥〇〇です。 えっ?!‥‥何でアンタが?・・ 」 驚いた事に電話を掛けて来たのは、あの巨根竿氏藤田であった。 「西島ハンから聞いたで、何や難儀なこっちゃな? ワシはアンタに言った筈や、アンタの嫁さんは危ない爆弾を抱えてとるてな。 アンタが上手に、さじ加減して転がすようにしてやらんと手に負えなくなるてナ。 縁のあるアンタ達夫婦の事や、ワシも一肌脱がして貰うワ。」 驚きと頼もしさに声を失う私に藤田は 「餅は餅屋やろ〜? その男のバックにヤバイ連中が居るんやろ? 蛇の道は何とやらや。 まぁ何とかなる!」 [ピンボーン‥ピンボーン‥ピンボーン ] 藤田との電話の最中に自宅のインターホンが鳴った。 [一体こんな夜分に誰だ?] 私は電話をくれた藤田に 「ちょっと待っててや‥」と告げ、慌てて玄関を開けた。 そこには憎いまでにニヒルに笑いながら携帯電話を握る藤田が立っていた。 [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 樹氷 投稿日:2008/04/22 (火) 02:57 インターホンの音を聞き、玄関を開けた私の視界に飛び込んで来たのは、憎いまでにニヒルに笑いながら佇む、藤田の姿であった。
「よう!!配管設備の者です・・」 藤田は初めてこのマンションを訪れた時の台詞を照れ隠しするように言った。 どこまでカッコイイ奴なのだ。 どこまで頼もしい漢なんだ。 「驚いた・・ 来てるなら来てるて言うてくれたらエェのに・・」 「何か照れ臭くてな・・それより、相手の男に近い女がココに居るんやろ? 直接、話を聞かせて貰おか?」 藤田は玄関先からリビングの方向を覗き込むようにしながら言った。 ソファーに座る明美は、藤田の姿を見るなり顔が強張って固まってしまった。 見る見るうちに明美の顔から血の気が失せて青ざめて行く。 [何だ?知り合いなのか?] それにしても明美の藤田を見てからのリアクションは普通では無い。 「何や?姉ちゃん、その様子ではワシの事を色々知っているようやな? ほなら嘘を言うたり、適当な事を言うたら‥ 分かっとるな? 」 明美は藤田の言葉に怯えを映した目で小刻みに、ウン、ウンと頷いた。 明美の藤田に対する尋常で無い、怯えと畏れにも似たリアクション‥ 有名な竿氏であるぐらいで、ここまで畏れる態度を取る明美に 「何なん?明美? 藤田ハンを知っとんたんかいな? まぁ有名な竿氏のお方や。 色々とアチコチ覗いとるオドレが知っていても不思議やないが‥ 何も藤田ハンがオドレをどうこうする訳やないやん。 何をビビッとるねん?」 明美は、大きく見開いた眼で私の顔を見ながら、酸欠の魚が水面で口をパクパクとさせるように唇を動かしながら小さく顔を左右に振った。 [ん‥ん? コイツどないしたんや? ] 明美は私の怪訝な態度に何を思ったのか、 「ア‥アンタ‥このお方が何をしてはる人か分かっとんの? 」 [おかしな事を言う奴やなぁ‥ 今更コイツ何が言いたいんや? だから藤田ハンは伝説の竿氏やないかい‥ ] 「だからな‥有名な竿氏の・・」 私がここまで言いかけた時、藤田がニコニコと笑いながら、私の言葉を遮り、明美の顔を見つめながら 「ワシは竿氏や‥ なっ?そうやろ姉ちゃん? 」 明美は藤田の言葉に、怯えた目をして、再びぎこちなく頷いた。 私はこの時、【伝説の巨根竿氏藤田】の真実の姿を知らずにいた。 [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 樹氷 投稿日:2008/04/22 (火) 03:52 藤田を見て、何故だか畏れるような態度の明美。
そんな明美を見て、藤田は 「姉ちゃん、何を恐がっとるんや? 正直に色々教えてくれたらワシは何もせぇへん。まぁワシは竿氏やから‥コレは使うかも知れんがな。」 藤田は自身の股間を指差し、ニヒルに口元を歪め、笑った。 やがて少しづつ落ち着きを取り戻した明美は、藤田の質問に、事細かに、ほんの子細な事柄までも順を追って答えた。 そして、一通りの説明を受け、情報を得た藤田は 「りょう言う奴は、十中八九、堅気や無いな‥ アンタの嫁ハンが、面倒な事になる前に早よ片付けた方がエェ。 もうすぐ西島ハンもココに来る筈や‥。 まぁアンタも心配やろうけど、一人より二人、二人より三人、皆で智恵を絞ればどうにかなるもんや。 アンタも元気出さんとな!」 藤田は努めて明るく、私の背中を力強く叩いた。 「そろそろ頃合いやね‥」 明美が時間を確認しながら言った。 私は明美に「疑われたり、不審がられたりせぇへんように上手くやってや 。」 と話した。 明美はバッグから自分の携帯電話を取り出し、気持ちを落ち着けるように深く深呼吸を繰り返しながら携帯電話のディスプレイを眺めていた。 やがて「ほな‥電話するな‥」と明美は右手に持つ携帯電話の発信ボタンを押した。 [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 樹氷 投稿日:2008/04/22 (火) 06:02 深く深呼吸をしながら心を鎮めるようにして右手に持つ携帯電話のディスプレイを眺める明美。
一瞬‥ほんの一瞬だけ目をつむるようにし、発信ボタンを押した。 受話位置を耳に押し当て、りょうが電話に出るのを待っている。 やがて明美は[おっ‥!]といった表情をした。 りょうが電話に出たのだ。 「あぁ‥ウチや‥ 終わったデ‥ えっ?‥ 由香利さんが聞いたら目を剥いて激怒するようなモンが録れたワ‥ ・・そうや‥あのディルドで突かれてヒィヒィ涙流しながら喜んでたワ‥ そうや‥ウチもスッキリしたワ‥ アンタの思惑通りやん? コレ聞いたら由香利さんも亭主に愛想尽かすやろ? で‥今、何処に居るん? あぁ‥分かったわ‥ これからタクシーで行くさかい、大して時間かからん思うわ。 えっ?‥何で?‥二人やないの?‥ アンタも好きやな‥エェよ‥ウチも体が日照ったままや‥ じゃこれから向かうナ‥」 会話を終えた明美は、 俯いて 「フゥ〜・・・」っと体内に残る緊張を吐き出すように息を吐き、 [パチン‥ッ‥]と携帯電話を閉じた。 安堵の表情で顔を上げた明美は 「・・上手くいったで‥ でもやっぱり、二人やないみたいやで。 他にも何人か居るようや。 これから複数でやろう言うてた。 で‥ウチはこの後どないしたらエェの? 」 「取り敢えず案内して貰おか? 詳しくは車の中でや。」 藤田は、そう言うと私に [行くぞ]と促した。 「藤田ハン‥西島ハンは? 」 私の問い掛けに藤田は 「大丈夫や‥ もう下に来とる筈や‥」 と答えた。 自宅を出てエレベーターに乗り、地上に降りて、マンションに面した道路に出ると、そこには見慣れぬ黒塗りの威圧感溢れる高級車が3台、列なるように停められていた。 [な‥何なんだ!この車は?!] 一瞬たじろぐ私に藤田は 「気にせんと乗ってや。こっちや‥こっち‥ 」と最後尾の車に案内した。 その瞬間‥ 運転席のドアが開き、中から厳ついスーツを着た男が降りて来た。 何事だ!?と、怯む私を右手で制する藤田。 車から降りて来た男が藤田に 「お疲れ様です‥」と挨拶し、後部ドアを開けた。 唖然としながら後部座席に乗り込むと、そこには「どんな案配や‥」とばかりに、西島氏がすでに座っていた。 [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 ジュリ 投稿日:2008/04/22 (火) 07:43 樹氷さん。
私好みの展開になってきました。本当に面白い流れで、ここまで一気に読みました。私自身も文字の中に引き込まれてしまいました! 早く続きがみたいです。 [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 ゆー 投稿日:2008/04/22 (火) 08:16 これからバイオレンスはあるんでしょうか。
小説を読んでるようで、どんどん引き込まれて行きますねぇ。 [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 待ってるよ〜 投稿日:2008/04/22 (火) 08:51 いや〜・・もう朝からドキドキ☆続編超期待
[Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 あっちん◆NDqWE6 投稿日:2008/04/22 (火) 09:10 樹氷さん
いつも楽しく読ませて頂いています。 これからの流れが楽しみです 藤田さんかっこよすぎ〜 [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 ぽっちょマン 投稿日:2008/04/22 (火) 13:05 こりゃたまりませんね。ドキドキします。
へたな小説超えちゃってますよ! [Res: 30673] Re: 魔性【番外編31】 チャーリー 投稿日:2008/04/22 (火) 17:00 樹氷さんへ
ご苦労様です。 毎回楽しく拝見させていただいております。 だんだんと結末が近づいている感じがして、寂しい気もします。 ご自身のペースで更新していただけたら、一読者として嬉しいです。 楽しみにしていますので、これからもよろしくお願いします。 |