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[28516] それは汚い流し台で・・・G モンブラン◆zZ7ndI 投稿日:2008/02/03 (日) 23:13 かおりと会ったのはそれから数日経ってからだった。
その日は普通にデートをし、ご飯を食べ、少しばかりお酒を二人で飲んだ。下北沢のビック・ベンというビルの地下だった。 「お酒なんて珍しいね?」 とかおりに言われ、何もないことを強調しつつ、心の中は鉛の重りがついてるくらい苦しかった。ヤケ酒・・・みたいなところもあったろうか? 少しだけ遅くなったその日、少し強引にかおりをホテルに連れ込んだ。そしてフラッシュバックするあの映像を振り払いながら、やっぱり少し嫌がっていたかおりを抱いた。 いつもの通りだった。かおりの中は暖かく、やわらかく、とろけるような潤滑油に溢れていて、オイラはあっという間に果ててしまった。 かおりはオイラが果てると自分の胸にぐっと引き寄せ、髪の毛がクシャクシャになるくらい頭を撫でてくれた。『よくできました』という、お母さんのお手伝いをした子供をほめるよう、頭をクシャクシャに触った。 そして立ち上がり、ホテルに備え付けの酔い覚ましのコーヒーを黙っていれてくれた。 あたりはコーヒーのいい匂いだった・・・さっきまで抱き合った二人の小さな空間は、確かめ合ったお互いのぬくもりと、コーヒーの香りがマーブル模様に混ざり合い、ジャムを煮詰めたような甘い空間だった。 もともとオイラは冷たい人間だったはずだった。両親から大して愛情を受けずに育ち、高校時代にはいわれのない無機質な誹謗と、集団無視というイジメをうけ、人間不信というにはオーバーだが、どこか冷めた可愛げのない人間だったのだ。 誰もが泣くような悲しい映画や、感動するドラマでも涙など出ない、そんなオイラが本気で人を好きになるなんてありえないと思っていた。 だが、かおりとの恋愛はそんなオイラに人間らしい感情をよみがえらせてくれた。卑屈で、いわばこういったアンダーグランドの世界、ネットの世界がリアルだったオイラにかおりはリアルでの人生の楽しさを教えてくれたのだ。それほどかおりとの恋愛は甘く、とろけるようだったのだ。 「かおり・・・オマエさ・・・・元彼とまだ続いてるでしょ?」 ジャムを煮詰めた甘い空間は、オイラの心に突き刺さってる黒い塊をいっそうあぶりだす・・・リトマス紙だ。つらい発言が、他人事のようにスラスラと言える。頭は不思議なくらいクールだ。 「オマエの部屋にあったビデオ・・・見ちゃったんだ・・・・オマエ、最低だな・・・」 かおりがどういうリアクションをしたのかはわからない。だって、オイラがあさっての方向で話をしていたから。ただ、次の瞬間にみたかおりの顔は、いままでに見たことないくらい真っ赤な顔をしていた。ウソをつき、言い訳の仕様がないくらい見事にばれた、そんな顔だった。 オイラは思ってることを矢継ぎ早に言った。それは覚悟というより賭けに近かった。どうなるかなんてわからない。間違いなく普通の男はこんなことされたら手放すべき女と認識するだろう。男として別れ話を切り出すべきだろう。 だがこの期に及んでオイラは、まだかおりの真意や、ほんの少しの可能性を信じて、最も今やってはいけない作業をかおりと確認しながらやっているのだ。 話し合いだ。 お互い傷つくだけの無毛な話し合い・・・だがそれでも止めなかったのは・・・いや、やめれなかったという方が正しいか?オイラの内側に、不純で、変質で、ドス黒い、だが妙に甘美なとめられない欲求があったからなのだ。 次回 それは汚い流し台で・・・H『静止した闇の中で・・・』エヴァンゲリオンみたいになってきた。 [Res: 28516] Re: それは汚い流し台で・・・G コレクター 投稿日:2008/02/04 (月) 01:24 まさか…次回『男の戦い』 !?
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