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[28541] 魔性【番外編D】 樹氷 投稿日:2008/02/05 (火) 05:33 「何や緊張してるワ…まだ朝やのに…ドキドキするワ…」
「緊張?よう言うやんか?朝っぱらからマムシ(鰻)にトロロに生卵… やる気マンマンやないかい…」 「えぇ〜‥ こ、これは‥仕事に疲れとるアンタの為やないのぉ…」 私は朝の食卓に並んだ[気合い十分の?]膳の数々に呆れ返り、苦笑いした。 「朝はコレで栄養を採り‥夜はアレでタンパク質を補給かいな? 明日の朝、顔がツルツル、テカテカになるんやないかい?」 「ホンマやなぁ、アハハッ…」 屈託なく笑う妻。 「ワシは夕方に一度戻って来てから先に行くさかい、お前は8時半頃に出ればエエよ。 【Z】には9時に行くって書き込んであるんやからな。」 「うん…分かっとるよ。準備しておく。」 仕事に出た私は夜の事を思うと気持ちが高揚して、仕事が手につかなかった。 【一体、どれぐらいの様々な表情を見せるのだろうか? どんな強物達が妻の新たな引き出しを開け…快楽に導くのであろうか?】 私はそんな妄想を繰り返しながら、時が経つのを待った。 3時過ぎに、これまた気合い十分の西島氏から電話があった。 「ママさんからワシんとこに連絡があったでぇ…アンタの書き込み見て問い合わせが殺到しているらしいんや。 相当な事が起こるナ。 ワシも楽しみや…ガッハッハッハ…」 豪快に笑う西島氏。 「そないに問い合わせあるんでっか? 何や楽しめそうですやん? しかし…ウチの大丈夫やろか? まさかそないな反響あったなんて思うとらんですよ。 現場で事が始まる前にテンパってしまうんやないかな?…」 「う〜ん… そやなぁ… でもその辺は、あのしたたかなママさんが上手くやってくれるやろ。 じゃあ後で迎えに行くさかいな…」 「はい、待ってますワ」 仕事が捗らないまま時は過ぎ、私は一旦、7時頃に自宅に戻った。 自宅では、すでに準備万端の妻が待機していた。 綺麗にセットされた栗色の髪… 入念に施された顔立ちを引き立たせる化粧。 深紅のルージュが妻の妖しさを強調しているようだ。 「ホンマ、ドキドキするわぁ…後はボンデージに着替えて完了やわ…」 「何やアノ書き込みに大反響みたいやで。 大変な事になりそうやな… 」 「えぇ〜っ??そないに!?… どないしよう…」 しかし、そんな言葉とは裏腹に、妻の瞳は妖艶さを増していた… 。 [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 樹氷 投稿日:2008/02/05 (火) 06:27 リビングの壁に掛けられた時計は[7時30分]を指していた。
「ほな、先に行ってるデ…タクシーでなら場所もすぐ分かる筈や。」 「うん…後でな。」 熱を帯びた目で私を見送る妻。 私は西島氏との待ち合わせ場所に出向いた。 そして西島氏と合流した私はタクシーに乗り込み【Z】へと向かった。 車中で西島氏は「嫁ハンどないや?緊張しとるんやないかい?」 「ハハッ…そうですなぁ、緊張通り越して楽しみでいっぱいみたいですワ」 「たいした嫁ハンやなぁ… 」 西島は目を細めた。 私達の乗り込んだタクシーはオフィス街にある【Z】の入居するビルの前に到着した。 閑散としている筈の夜のオフィス街。 しかし冷え切っているように見えるそのビルから言いようの無い熱が感じられた… 【性の宴の館】 長い夜が… そして衝撃的な夜が始まろうとしていた。 [ピンポーン…ピンポーン…] カメラ付きのインターホンを鳴らした。 10秒程の沈黙が流れ [ガチャ、ガチャガチャ…] 開鍵する音が聞こえて冷たく重い扉が開けられた。 「いらっしゃっい…」 ママーさんの出迎える声とともに店内からは、ざわめきにも似た異様な熱気が伝わって来た。 「平日のこの時間やのに店の中はエライ事になってるわよ…カウンター空けてあるからどうぞ…」 西島氏と私は目を見合わせ、店内の様子を悟った。 入口横にあるネームプレート置場から、各々のネームプレートを探し出し首に掛けた私達は廊下を通り、ざわめく店内に入った。 [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 樹氷 投稿日:2008/02/05 (火) 07:30 店内に入る私達の目には信じがたい光景が広がっていた。
10席あるカウンターは、私と西島氏の為の2席意外は埋まり、ボックス席、リビングともに人影が見える。 ムワッとむせ返る様な雰囲気だ。 当然、男性客が圧倒的に多い。 私達を一瞬見る視線は一見穏やかであるが、強い意思だけは伝わって来る。 【負けない…】 【獲物は絶対に渡さない…】と。 ママさんが続けた。 「ホームページの来店予告の効果にしても凄いわぁ…こんなに居っても皆が[たろうさん]の奥様に相手して貰える訳やないのになぁ…この間、説明した思うけどココは男性客から強引な誘いはご法度やし…相手の女性の承諾が無い限り、触ったりも出来ないし、性交位も覗き見たり出来んのやからね…事が始まったらエライ雰囲気になる思うわぁ… 」 ママの言葉を受け、西島氏が「あぶれた連中が触発されて、他の単独女性と盛り上がるやろ? けどワシも木曜日のこの時間にこんなに盛況なんは初めて見るワ 」と呟いた。 カウンターに座り、ビールを注文し、改めて店内を見回すと店内には20人を越える客が入っているようだった。 カップルが2組、単独女性も2人来ているようだ。 リビングから聞こえる女性の嬌声が、これから始まるであろう【性の宴】のイントロのようであった。 インターホンが鳴る度に皆が入口を注視していた。 店内は更に数名の客が来ていた。 そして3杯目のビールを注文した頃に再びインターホンが鳴った… 時計を見ると9時を少し回ったところだった。 受話器を受けるママさんが私に合図をくれた。 【妻が到着したのだ!!】 ママが妻を出迎えに行く。 なかなか中に入って来ない。 店内の客の意識は統一されたように店内に続く廊下を注視している。 ある者は横目でチラ見し、またある者は堂々と、これから入って来るであろう妻を‥[来店予告の女]を確認すべく体を向けて見ている。 西島氏が私に小声で、 「会員規約やら誓約書にサインやらしとるんやろ…しかし…怖いぐらいの雰囲気やな」 私も重苦しい雰囲気を感じながら、無言で頷いた。 やがてママと妻の談笑する声が廊下から聞こえ、ついに妻が店内に入って来た… 【性の宴】の扉は開かれた。 [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 いぃ☆ 投稿日:2008/02/05 (火) 10:30 いよいよですね!!
性の宴・・・ゾクゾクします! それと・・もう一人の謎めいた女性の存在・・ どう関わってくるのか楽しみにしてます! [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 樹氷 投稿日:2008/02/05 (火) 12:30 ついに妻が【Z】にやって来た。
ママに付き添われるように現れた妻。 ボサノバが流れ、顔見知り同士が賑やかに語らっていた【Z】の店内が一瞬、例えようの無い静寂と緊張感が走り、時間が止まったようになった。 男性客の刺すような視線が妻に集中してる。 妻もやはり緊張しているのだろう…表情が強張っている。 妻はカウンターに座る私を見つけて、瞳に安堵を浮かべた。 首に掛けたネームプレートを見ると 【ゆきみ】 と書かれている。 どうやらここでは【ゆきみ】らしい。 ママがカウンターの客に「ホームページに来店予告してくれた当店で遊ぶのは初めての方で、ゆきみさんです。 仲良くしてあげて下さいね」と紹介してくれた。 妻はカウンターに向かって微笑み、ペコリとお辞儀した。 この瞬間、【Z】を支配していた奇妙な緊張感が[スゥーッ]と消え去り前回、下見に来た時に感じたままの【Z】に戻ったようだ。 ママさんが笑顔で 「ラウンジのほうで、ゆきみさんと飲みながら話しませんか?」 とカウンターに座る面々に話しかけた。 初老の品の良い髭の紳士を初め、カウンターに座る私と西島氏以外の人、全てが、各々のグラスを持ち、ゾロゾロとラウンジに移って行ってしまった。 「フゥ〜…凄いな… 」 ため息混じりの私の一言に西島氏も 「これはアンタの嫁ハンの争奪戦が見物やな… アレかい?【例の新しくオーダーしたボンデージ】を着て来ているんかいな?」 「着て来てますワ…何せ、女王様してみたい言うてたんやから… 間違い無いんとちゃいますか 」 「あの中にMが居るんやろうからなぁ…ワシからママには言うてあるから上手くチョイスする形にはなるやろ… アンタの嫁ハンの梃子になってくれる経験豊富なSの女性も呼んでくれとるらしい… 縛りから何から中級程度の事までは出来る女性みたいやから大丈夫やろ…」 「ホンマすいませんなぁ…何から何まで西島ハンに頼んでばかりで」 私は西島氏に頭を下げて西島氏の空になったグラスにビールを注いだ。 「しかしどの女性なんですやろ?今来てはるんですか?」 私は[キョロキョロ]と店内を見回した。 私の位置から確認出来る女性はカップルを含めて4名。 この中にその女性が居るのだろうか? 「まぁママさんが戻って来たらワシに話しがあるんやないかい? 今回はワシもアンタも傍観者や…」 [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 コタロウ 投稿日:2008/02/05 (火) 14:45 なんかものすごい緊張感が伝わってきて、ドキドキします。
すばらしいです。続きをお願いします m(__)m [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 イク 投稿日:2008/02/05 (火) 19:07 不朽の名作・・・論ずるより嫁(読め)ですかいな?^^
プロの作品か? それ以上ですね!! ワクワク・ドキドキ・・・。^^ [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 カメ吉◆Y9dFJs 投稿日:2008/02/05 (火) 20:51 めちゃくちゃ興奮度 そそる展開ですね。(○_○) [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 スマッシュ 投稿日:2008/02/05 (火) 23:00 凄い興奮しますね。なんか以前行ったところを思い出しました。
エロイ雰囲気がそそりますね。早く次が読みたいですよ。 [Res: 28541] Re: 魔性【番外編D】 桃子 投稿日:2008/02/06 (水) 04:21 ある人に薦められて、一気に読ませていただきました。文章力も凄いです、読んでいて引き込まれます。そして同性として奥さんがうらやましくもあります。こんなことを書いて夫がどう思うのか興味があります。
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