密やかに咲く

[12] 理想の不倫  最後のティッシュ :2020/07/26 (日) 01:02 ID:cJ8eFA/6 No.27628

  >ハイヒールでフロアタイルを鳴らしながらミーティングスペースに向かう女性
  >美しき来訪者に目を奪われた男性社員達は仕事の手を止め視線で彼女の行方を追った
  >スーツでも隠し切れない美しい体のライン 男性の心を射抜く端整な顔立ち
  >視線を顔に向けている者達は気付いていない 左手の薬指で輝くリングを
  >「競合相手を呼び出すなんて度胸あるわね、見直した でも、談合ならお断りよ」
  >「談合か それもいいが今の僕の上昇トレンドは貴女です この後ランチでも」
  >「おあいにく様、私は仕事にしかk


今日も別人の自分を作り出している

「ハァ・・・」

キーボードから指を離すと一つ溜め息をついた 実際の自分とは掛け離れた人物を創る事に少々お疲れ気味である
しかし作中の女性は理想とする自分であり、理想の自分を思うがままに描く事に夢中になっている

 もう、こんな時間 お昼は何にしよう・・・

パソコンの前に座りティッシュでメガネを拭く女性は 橘 美咲 34歳
容姿は普通である 髪型は肩まで伸びた黒髪を後ろで束ねている、他に特筆するような特徴は無い
敢えて言えば微妙にふくよかさんである 二人の娘は小学生、夫はそこそこの高給取り
以前はパートに出ていたが勤め先に気の合わない人がいて辞めてしまった
次の働き先を探してはいるが、それほど力を入れてないお気楽生活である
時間を持て余し辿り着いた趣味がエロサイトに投稿する小説を書く趣味作家なのだが、3作品目にしてマンネリ気味になってきている
美咲の作品は自分が抱く理想であり汚れを期待する受け手からすればソフト過ぎて反応が薄い
かといってハードな作品は苦手である、行為そのものより男と女の関係性を描写する事の方が好きなのだ
それに美咲は性の描写が少々苦手である 数多ある性行為は知識としては知っているが実際の経験は夫になった男性一人だけ
そんなものテキトーに書いとけばいいのだが、自分が理想とする男女関係の方が好きで一から想像する面倒事よりそちらに力を入れていた

 喫茶店でいいか

家、飲食店が並んでいるエリア、スーパーマーケット この一周1kmちょっとのトライアングルを一周する事が彼女の日課で
昼食に出る前には夕食の献立は決まっている というより年始には今夜の献立はほぼ決まっていた
年末に気合を入れて12の献立を考えたら後はそれの繰り返し、日曜日にカレーを作ったら次のカレーは金曜日
新鮮味が薄れる事はないと美咲は考えている 夫も娘もこのローテーションに気付いているが文句を言う事はない
そして彼女は今日も1kmちょっとのサイクリングに出かけた

喫茶店で昼食を摂り次はスーパーマーケットに向かういつもの道、道中にある公園のベンチで一休みしながら物思いにふける

 毎日同じことの繰り返し ハァ・・・ 何か面白いことないかな・・・

などと考えているが最短のルーティンワークを確立したのは自身であり自分で何とかするしかない

 そういえば腰のくびれ無くなりそうだけど 何か運動した方がいいのかな?

以前、意を決してウォーキングを始めた事があったが三日坊主で終わってしまっている 

 また今度考えればいいか 何か面白いことないかな・・・

色々考えてみるが結局は同じ道をグルグル回る事になり、同じ毎日の繰り返しとなるのであった
と、ここまでは繰り返してきた日々と同じだったが、この日は少し違った

「よお、姉ちゃん つまらなさそうな顔してんな」

 え?私のこと?

顔を横に向けると近付いてくるオジサンが目に入った
大柄な体躯に助平そうな顔つき ちょっと怖い

 えぇ・・・ この人誰? 怖いんですけど・・・

美咲は立ち上がるとオジサンに背を向け公園の入り口に置いてある自転車に向かおうとする
その美咲の背に向けてオジサンが一言

「別世界に連れてってやろうか」

 なにそれ 怖い 通報した方がいいかな? 怖い

通報すれば事案発生となるが、しかし面倒事を好まない美咲は逃げ帰っただけだった


夫が手酌で晩酌している、娘たちが夕食を食べ終え食器をキッチンの流しに運んでいる
夫の事は放っとけばいい、下の子のお風呂は上の子に任せとけばいい
放っとける事は放っとき、任せれる事は任せる
家族が集まれば母である美咲の家事は増えるが、それでも確立した最短のルーティンワークでこなしていく
一見すると時間を持て余す美咲は怠惰な性格だと思われがちだが、持て余すほどの時間を作れるのは美咲の才能が成せる業なのである
夜の家事の合間にできた時間、美咲の目はお気に入りのテレビドラマを映しているが頭の中では昼間の出来事がグルグルと回っていた




リビングの灯りを消して寝室に入ると、夫はベッドに座っていて隣に来るよう催促され
自分のベッドには上がらず夫のベッドに上がった美咲がメガネをはずし寝転ぶと夫は添い寝してくる
暫し抱き合い唇を重ねていると、夫の舌が美咲の唇をつついておねだりし美咲は唇を開き夫の舌を受け入れる
美咲の口の中で絡み合う二人の舌、腰にあったはずの夫の手が胸まで上がってきてパジャマの上から胸の小さな膨らみを掴んだ

「んふっ んふっ」

開いた小さな唇から甘い声が漏れだすと、胸を揉んでいた手はパジャマを捲りナイトブラに包まれた二つ膨らみを愛ではじめる
二つの膨らみは御世辞にも大きいとは言えない、それでいて結婚当初にはあった腰のくびれも消滅寸前
追い打ちをかけるように美咲はセックスに対して積極的では無い、嫌いというわけでは無くセックスは好きなのだが基本は受け身
そんな美咲だが不定期ながら週に一回以上の頻度で夫は抱いてくれる、奮い立たせる努力をせずとも勝手に抱いてくれる夫に甘えているのだ
胸を揉んでくれている手に美咲は自身の手を重ねた
そんな僅かな反応でも夫は嬉しく思う、今では出会った頃のような激しい恋愛の感情はないが
側で美咲を見ているうちに愛から姿を変えて生まれた愛情というものを彼女に注いでいる 
夫が悪い 少々の事には目を瞑り少々の欲求は口を噤んで飲み込み美咲の好きにさせている そんなだから美咲が甘えてしまうのだ

ベッドの横にあるテーブルには美咲が掛けていたメガネが置いてあり、その横にたたずみ輝いているテーブルランプがベッドの二人を照らしている
抱き合う二人は既に一糸纏わぬ姿になっているが、それでも尚舌を絡め合っている
ようやく離れた二人の唇、夫の頭が仰向けに寝た美咲の胸へと向かい柔らかい膨らみに顔を擦りつけた
小さなオッパイだがそれは夫にとって問題にすらならない 大きさや形といったものは関係なく美咲のオッパイが好きなのだ
美咲は胸に柔らかい温もりを感じた それは夫の舌で乳房を舐め乳首を転がす

「あんっ あんっ・・・」

微かな喘ぎ声、美咲の乳首が固くなっている事は夫の舌も承知している
愛撫している乳首からは離れた所にある陰毛の茂み、そこに隠された秘部の割れ目には愛液が滲み出てきていると思われるが
暫くの間、夫の舌は美咲の乳首を堪能した

「あっ・・・ あっ・・・」

美咲の喘ぎ声が変わると愛撫は湿気を帯びた秘部へと移る
少々深い陰毛の茂みに鼻を押し付けクリトリスを唇で覆った

「あんッ」

ひとつ喘ぎの声を上げて続く愛撫を待つ このあと何をされるか美咲は分かっている
濡れた襞を舌で掻き分け始めた夫も美咲を絶頂に導く手順を把握している
舌の先はクリトリスと膣口を何度も往復し、肉の花弁から滴った愛液が肛門を濡らし始めるとそろそろ頃合いだ
夫の指先が膣口を撫でる

「んんっ」

入り口を撫でていた指が慎重に奥へと進み始める
膣内に溢れている愛液が指の侵入を難無くさせているが、愛情あふれる指は愛する者を傷つけまいと優しく進み
指全体が愛液を貯えた膣に包まれると次は熱く柔らかい肉の壁を撫で始める

「ああぁ・・・ ああぁ・・・」

無償の愛、その指は何の見返りも求めていない
只々美咲に気持ち良くなって貰いたいだけだが、ご褒美であるかのように湧いて出た愛液が指に絡み付いてくる
美咲が気持ち良くなってくれている、夫にとってこれ以上のご褒美は無い
このまま美咲を絶頂に導く事はできるのだが頃合いを見て膣から抜け出た

呼吸を乱した美咲は胸を大きく上下させている メガネをはずした目に映っているのはスタンドライトに照らされたぼやけた天上
耳にコンドームの封を切る音が入ってくると目を瞑り夫と一つになるその時を待った
お腹を撫でられる、それは「挿れるよ」という夫からの合図
薄皮のゴムを被ったそれはゆっくりと入ってくる 指でほぐされ愛液を纏った膣はそれを容易に受け入れる

「ううぅ・・・」

夫は美咲の反応を見ながら腰を動かし始めた

「あっ あんっ あっ あんっ」

なんと愛おしい姿だろうか 頭の下にある枕を両手で掴み眉間にシワを寄せて目を瞑っているが幸せそうな表情だ
小さな胸に腰はくびれが有るか無いかわからない幼児体型だが、それも愛おしい
夫からすれば美咲がいかなる容姿でも関係ないのだ 性格や一緒に過ごした今までの時間も含めた美咲という女性に好意を持っている
体を前に倒し美咲に抱き付くと枕を掴んでいた小さな手が背中に周ってくる

「愛してるよ」
「うんっ あんっ」

セックス中に夫が囁いた唯一の言葉に美咲が応えた
とめどなく湧いてくる愛液を掻き混ぜるようにゴムの皮を被ったチンポが膣内で躍動する

「ああっ ああっ ああんっ」

大きくなった美咲の喘ぎ声は火に油を注ぐかのように夫の興奮を高め、膣を突き上げるチンポに力を与える

「んんッ んんッ いきそうッ いくッ」

その喘ぎは火にガソリンである
快感に身体の自由を奪われた美咲は、力強さを増して突き上げてくるチンポを受け止めることしかできない

「んッんーッ!  あはぁ あはぁぁ」

美咲は絶頂し夫は果てた、美咲の膣はゴム皮を被ったチンポから精液を搾り取ろうと収縮している
抱き合ったまま余韻に浸る二人、一緒にオーガズムを得た今夜は良いセックスだった

 まだ気持ち良い・・・ 今日も良かった 次はいつかな・・・

夫意外の男を知らない美咲、結婚して12年経つが今も夫に身体を求められ続けている
長女を産んだ後にセックスが良くなった そのセックスでは必ずと言っていい程に絶頂を迎え、時には二度の絶頂を得る事もある
これが普通の夫婦、これが普通のセックスだと思っている贅沢な女だ