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[2652] サクラチル−序章 藤島誠◆FIRAuA 投稿日:2007/12/03 (月) 01:13
序章:閑花素琴
意味:静かに美しく咲いた花と、装飾のない簡素な琴。閑静な春の雰囲気を醸し出すもののたとえ。

私は、藤島誠34歳会社員です。この話は私の家族がある男のためにバラバラになってしまった体験談をもとに構成した物語です。

私には桜子という32歳の結婚10年目になる妻がいます。
二人の間には小学校三年生のもうすぐ9歳になる百合華という娘が一人います。
お互い生まれて初めての異性との交際で、同じ職場での出会いから2年の交際の後、両親、友達に祝福され結婚しました。
結婚してからの私は家族のため、酒もたしなむ程度、タバコもギャンブルもせず、仕事に打ち込んで、その結果同年代の中ではめきめき頭角を現し、ある程度の業績をあげ、いくつかのプロジェクトをまとめあげるプロジェクトリーダーのような役職にも就き、上司にも部下にも信頼されている存在でした。
それも妻に理解を得られていたため、妻に家庭のことを任せていられたからだと思います。
しかし、仕事に打ち込みすぎてあまり子供に構ってやれなかったからか、娘には少し嫌われているような気がします。妻にそのことを言うと、「ちょっとすねているだけよ」というのですが、反省をしなければなりません。

妻は専業主婦で家族のためによく家事や育児をこなしています。妻も至ってまじめな性格で、酒はまったくと言っていいほど飲めず、タバコもギャンブルもせず、趣味といったら子供の頃から続けているバレエをするくらいです。
妻はバレエをしているため痩せています。これを言うと妻に怒られてしまうのですが、胸は残念なことに微乳という感じで外から見ると殆ど膨らみがわからないくらいです。背丈は158cmで体重45kg、髪はストレートで肩胛骨あたりまであり綺麗な黒髪です。全体的に清楚でどことなく幼い印象を受けます。以前、ショッピングをしていたら学生と間違われてしまったという話を聞きました。妻は若く見られたということでうれしそうに話していました・・・
性格はいたって穏和で正直者です。ぼーっとしていると事もありますが、度胸もあり適応能力と責任感が高く、特にOL時代は仕事が出来ると上司からの評価も高かったようです。
普段はぼーっとしていて動作もおっとりしているのですが、町中で間違ったことをしている人を見ると相手が誰であろうが構わず注意するので、私はハラハラすることがあります。以前バス停でバスを待っているとき、横入りしてきたやくざ風の男に注意して見事ちゃんと並び直させたり、タバコが大嫌いということもありますが、レストランの禁煙席にも関わらずタバコを吸っていた若い高校生くらいの男の子を注意して反省させていたこともありました。

娘の百合華も妻同様スラッとしており、140cm弱程で小学校三年生にしては背が高い方だと思います。髪も妻のように黒髪ストレートで肩胛骨あたりまで伸ばしています。性格も妻に似ており、穏和で正直者、適応能力が高く、学校の成績も常に上位です。顔も妻に似ており、親の贔屓目を抜きにしても美人の部類にはいると思います。

もちろん夫婦仲もよく、よく友達からは「おまえら、いつまで新婚気分なんだよ!」と言われるほどでした。
当然、友達にそのように言われるくらいですから、夫婦生活の方もセックスレスと言うことはなく、週に2回ほどしています。
ただ、私の方が持久力がないので一晩につき1回しかできないのが残念です。

いつもするときは子供が寝静まった後に私が誘ったり、妻が誘ったりしていました。
「誠君、今日しよっ?」(妻は誰の前でも恋人時代と同じように私のことを名前で呼びます)
「うん、いいよ。じゃあ、一緒にシャワー浴びようか」
「うん!うれしいな」
いつもする前には二人でシャワーを浴びて、先に私が出てから寝室で準備をして待っています。
「誠君、おまたせ〜。ごめんね、遅くなって」
「ううん、大丈夫だよ・・・桜子、愛してるよ・・・」
「私も・・・」
そう言って最初は軽いキスから始まり、だんだんと濃厚なキスへと移っていきます。
ひとしきり愛撫をしたあと、コンドームをつけ挿入をしていきます。
「いいかい、桜子」
「うん、キテ・・・はぁっ・・・っん・・・はぁん」
「気持ちいいよ・・・」
「動いて、もっと動いてっ・・・うんっ・・・あっ、あっ、あっ」
「・・・!あっ、俺もうすぐイキそうだっ・・・桜子の中すごく気持ちいいよっ!!!あ〜〜〜」
「キテ!もっと動いて!ん〜〜〜あんあんあんあんあっきゃふっあん」
「いくよ!いくよ!イクよぉ!うぅっ〜〜〜」
「ぁン、気持ちよかったよ。ちゅっ、誠君気持ちよかった?」
「はぁはぁはぁ・・・・ああ、すごく気持ちよかったよ。」
「うふふふ、うれしいっ!あたしで誠君が気持ちよくなってくれるのがすっごくうれしいの」
「ありがとう。これからもずっと好きだよ、桜子。愛しているよ」
「あたしも。誠君のことだ〜〜〜い好き。あたしには誠君しかいない、誠君以外に考えられない。」
「なんか照れちゃうな。さぁ、もう夜遅い、よい子はねんねの時間だ」
「あ〜〜!また子供扱いするぅ。最近百合華も誠君のまねしてあたしのこと子供扱いするんだよ〜」
「はははっ、ごめんごめん、さっ寝ようか、おやすみ!」
「もう〜〜。おやすみっ」
「「チュッ」」
このように、私たち家族は、いえ夫婦はいわゆる倦怠期というものはなく、とても仲良く過ごしていました。

このように家庭にはほとんど問題はなく、仕事も順風満帆でした。そしてあるとき、今までの業績を認められ、上司にプロジェクトリーダーからマネージャーへの昇格の話を持ちかけられました。
そうなったら、昇給もするし今まで以上にいろいろなプロジェクトを任されることになるので、とてもやりがいがあると判断し、すぐに了承しました。
しかし、すぐに昇格するという訳ではなく、いままで携わってきたプロジェクトの顧客資料や引き継ぎ資料などをまとめて年に一度の定例役員会において報告しなければならないとのことでした。
そのためのデータの入ったCD-ROMを上司から受け取り、急ピッチで資料作成を進めていました。
次の定例役員会までは時間がなく、通常業務のほかにこの作業があったので毎日のように残業が続いていました。
そして、あまりにも膨大なデータ量のため会社での作業では間に合わなくなり、自宅に資料等を持ち帰って作業をすることになりました。
通常、顧客情報などは社外秘なので、社外持ち出し禁止なのですが、時間がないこともあって甘い考えから持ち出してしまいました。
自宅での休日返上しての作業の結果、何とか期日には間に合いました。
ところが、資料完成から三日後、役員会当日の朝になって事態は急転してしまいました!

朝、目が覚めていつも通りテレビをつけるといつものニュース番組がやっていました。
『では、次のニュースです。株式会社○○産業の顧客情報がおよそ12万件流出していることがわかりました。この顧客情報の中には一般顧客以外の○○産業の取引先企業機密情報なども含まれており、数億円の損失が出るであろうと予測されております。この件を受け、○○産業の株価は大幅に下がり・・・』

・・・なんてことだ!!!この企業リストはまとめた資料の中ににあったものじゃないか!なぜ流出してしまったのか・・・自宅で仕事をしたときにウィルスに感染したのか・・・このときデータを扱っていたのは私だけです。仮に私でなくても責任者義務違反となり私への追求は免れないでしょう。これは大変なことになってしまった・・・クビか・・・いやクビだけで済んだらいいが、損害賠償となったら・・・!
念のため急いで自宅のパソコンを立ち上げ、ウィルスチェックをしてみました。
すると、出るわ出るわ、私のパソコンはデータをばらまくタイプのウィルスだらけでした。これで間違いなく発信源は私でしょう。
「ぶつぶつぶつ・・・」
「ねえ、誠君?どうしたの?誠くんてば!」
「え?、ああごめん今日は大事な会議があるからもう出かけるな」
「えっ?朝ご飯は?朝ご飯食べないと体に悪いぞ〜〜〜」
「ごめんな、ちょっと急な仕事なんだっ!!」
「どうしたのかなパパ?またお仕事忙しくなってきたのかなあ・・・今度の遊園地に行く約束もなしになっちゃうのかなあ・・・もーパパ嫌いよっ」
「コラコラ、パパは私たちのためがんばっているのよ?そんなことパパに言わないの。さっ百合華もご飯食べちゃいなさい!学校に遅刻するわよ!」
「は〜〜い」

こうして、機密情報流出により、私の昇格のための定例役員会は、糾弾会になってしまいました。
取締役から四方八方から罵詈雑言の嵐を浴びせかけられました。私の処分は改めて後から伝えられることになり、とりあえずその場は解放されました。
私の席のあるフロアに戻ると、あちこちから電話が鳴り響き、私の同僚や部下たちは対応に大わらわでした。
あまりのことに頭が真っ白になってしまい、その日はどのように仕事をしたか、どのように家に帰ってきたのかよくわからないまま過ぎていきました。

それから、私は客先や対応に追われ、忙しい日々が続きましたが、次第に騒ぎは収まり私の処分の通達のないまま1週間ほどが過ぎていきました。
どうやら情報流出元が私であるということは上司がなんとか隠していてくれたらしく、周囲から私が責められるということは全くありませんでした。
少し安心していると、別部門の川端専務という人から私に用があるということでお呼びがかかりました。

この方は、私が新入社員の頃の直属の上司でした。今は40代後半で、取締役の中では一番若く有能です。背も高くスポーツ万能、顔もモデル並みによいということで一部の女子社員には人気があります。しかもいろいろな方面に顔が利く人でありました。その反面、最近ではいろいろとドス黒い噂も絶えない人で、政界や裏の世界とのつきあいもあるとの噂もありました。
そして、実はこの川端専務はかつて、結婚前に妻に言い寄ったことがあり、妻がきっぱりと断ったということがありました。

ついに処分が通達されるのか!と思いました。しかし、今では全く関係ない部門の専務からの呼び出しということで少し不審に思いましたが、こうなったら腹をくくるしかないと思い専務室に行き呼び鈴を押しました。

ビーッ
『誰かね?』
「藤島です。」
『おお、君か入りなさい。』
「失礼します。」
「この前の役員会での君の処分を通達する。率直に言おう、君の昇格はなしだ。給与もしばらく40%ほどカットということになる。しかし、君は有能だ。このまま手放すのはのは少し惜しい。そこで、私の部門に異動してきてほしい。私の元で君の力をもう一度発揮してもらいたい。」
正直驚きました・・・
「え、クビではないんですか?損害賠償とかも・・・」
「この件は私のあるつてを使い事態を収めた。損害金額もたいしたことはない。それに気がつかなかったかね?あれだけ連日報道していたニュースがピタッと報道しなくなったことを。それに、株価も殆ど回復傾向にある。」
「あ、ありがとうございます!なんとお礼を言ったらいいか・・・」
「ただし、私としても全ての取締役連中を納得させるだけは出来ない。はっきり言って藤島君を我が社に残すことに反対である者も少なからずいる。給与のカットだけでは納得させられんのだ・・・そこで、しばらくの間、私の下で資料倉庫管理室へ異動してもらう。今までのような藤島君の力を発揮できるような華やかな部門ではなくなるが、ほとぼりが冷めるまでと思って我慢して欲しい。了解してくれるか?」
「そんな!あたりまえじゃないですか!感謝してもしきれません!!」
「そんな感謝はいらない。私は藤島君の今までの実績を見て、我が社にとって藤島君に去られた方が損失であると考え留まらせたのだ。君をただ助けようとした訳じゃない。つまり、悪い言い方をすれば君はまだ利用価値があると思っているからだ。私の下で私の指示通りに動かなかったり無能な振る舞いをしたら次はないと思え。」
「わかりました!ありがとうございます。」
「それと、最近私の秘書が一人やめた。人手がなくて困っている。かといって私の眼鏡に叶うものは私の知る限りでは我が社にはいない・・・・そこでだ、君の奥さんはかつて私のそばで働いていたこともある。君の奥さんに私の秘書として復帰してもらいたい。」
「わかりました。家内に相談してみます。」
「いいか、勘違いするなよ、相談して決める云々ではない。これはもう決定事項だ。すでに、私の部下を使って君の奥さんに話をつけてある。」
「そうなんですか?知りませんでした・・・」
「私が君に説明するまで言うなと言ってあったからな。出勤は来週頭から早速来てもらうぞ。」
「わかりました・・・ありがとうございます。」
「わかったらもう下がっていいぞ。君も私の元に来る準備をすぐにするんだ」
「はい・・・」

クビにならなかったのは幸いでした・・・しかも減給と共働きが条件とは・・・
しかし、このとき得体の知れない不安感があり、いやな予感がしていました。
まさか、このことが私の平和な家庭を大きく揺るがす事態になるなんて思いも寄りませんでした・・・