人妻菜穂子の人生
9 Re: 人妻菜穂子の人生
霧積謙
2022/07/23 (土) 04:15
No.30085


●菜穂子の行動



菜穂子は、正雄が感ずいた事を知った。
でも、それはいずれ解る事で、もう片桐と別れるのは無理だから、
しかたがないと割り切っていた。
正雄には可哀そうだが、私が借金を肩代わりすれば
離婚してくれるかも、・・そう思っていた。
片桐から貰ったお金をためたり、仕事で知り合った会社に投資したりして、
菜穂子は2年程で、1000万の金を貯めていた。
あと、1500万程、片桐から借りて正雄に慰謝料として払えば、
さすがの正雄も別れてくれるだろう。
こう試算していた、・・・・
今の私なら、1500万程の金は簡単に稼げるだろう。
そういう自信があったし、実際に投資部門をいずれ担当したいと考えていた。
今の私には、仕事も夜も片桐が必要、
本来出会うべき人に出会ってしまったのでしかたない、と考えていた。

菜穂子は、早速片桐に相談した。
正雄が気付いた事、菜穂子が借金を肩代わりする案はどうか、と。
「解った、すぐ動くから少しまって、」
「君の案は嬉しいけど私がすべき事なので忘れてくれ、」
「それより君は、こんな情報を正雄さんにインプットしておいてくれ、」
(片桐さんは誠実な人だから、変に騒がない方がいいわよ、
あなたにとって必要な人なんだから、)・・・・・・
こんなニュアンスの事を刷り込み、騒がないように、情報操作してから、
会談をセットした。



●片桐と正雄との会談



片桐は、正雄に多方面から、菜穂子との関係を
それとなく知らせて、突然で動揺しないように下地を作っていた。
同じ事を言われるのでも、事前に言われると、
相当にショックが和らぐのも計算済みだ。
正雄の家、菜穂子も一緒だ。

「正雄さん、ご無沙汰しております、」
「こんにちは片桐さん、」
世間話をしてから、切り出した。
「正雄さん、ご承知だと思いますが、
私は菜穂子さんとお付き合いさせて頂いております、」
「・・・・・・・・・・・」
「もちろん、許される関係じゃないのは、承知の上です、」
「ご主人である正雄さんには、大変申し訳ないと思っており、
心からお詫び申し上げます、」
片桐はこういって土下座した。
「顔を上げて下さい、片桐さん、」
「はい、ありがとうございます、」
「菜穂子さんは、秘書として入社以来、本当によく働いてくれています、」
「そんな菜穂子さんを私は好きになってしまったんです、」
「私は、逃げも隠れもしません、いかようにも責任を取るつもりでいます、」
「うーん、どうやって?」
「正雄さん次第ですが、正雄さんが菜穂子さんと別れて下さるなら、
菜穂子さんと一緒になりたいと思っています、」
「形式は拘りませんので、事実上と言う事ですが、・・・」
「いやだといったら?」
「その場合は、菜穂子さんの意志次第という事になりますね、」
「うーん、そうですか、・・・」
「混乱しててよく解りませんが、何か条件のような物は考えていますか?」

「ぶしつけで誠に失礼ですが、聞いて下さい、」
「条件ですが、
・菜穂子さんを事実上解放して下さい、
・正式な離婚は下の子供さんが社会人になるまで待ちます。
・その間、菜穂子さんは私の所で暮らし必要な時には正雄さんの家に戻る、
・共有のような形をとっても構いません、
・正雄さんの家での束縛はしませんので、全ては菜穂子さんの意志に任せます。
・責任は慰謝料と言う形で支払いをさせて下さい、
・金額は3000万、借金を2500万清算し残り500万をお支払します。
・返済のために積み立てていたお金が300万程ありますのでそれもお返しします。
・それと今迄通りのコンビニの経営のコンサルも継続します。
以上でどうでしょうか、ご検討頂ければと思います。
菜穂子さんは大変だとは思いますが、・・・」

ここで、
菜穂子はきっぱりと言った。
[私は構いません、]
と、菜穂子の固い意志表示だ、・・・

正雄は、
「少し待って下さい、突然で頭が混乱しているので、一週間程、時間を下さい、」
「解りました、お待ちしております、
本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした、」
深々と頭を下げて、片桐は帰っていった。
とことん、誠実な男だ。正雄は声も無かった、
怒鳴りたい所なのに、憎い男なのに、・・・
こうして、片桐の申し入れが終わった。


正雄は、2〜3日たってから、
菜穂子の友人を呼びだして聞いてみた。
「菜穂子の事なんだけど、聞いてる?」
「聞いてるわよ、」
「菜穂子は本気よ、正雄さん、」
「投資コンサルタントになりたい見たいね、」
「以前の菜穂子じゃないわね、自信ありそうだし、」
「もう主婦はしたくないって、」
「正雄さんが別れてくれなかったらどうするの?と聞いてみたわ」
「なんていってました?」
「裁判でもなんでもするって、」
「そうとうな覚悟ね、」
「そうなると正雄さんの会社が心配って言ってたわ、」
「最近上手くいってるんでしょ?」
「ああ、まずまずだね、」
「どう言う意味なのか解らないけど、」
「そうそう、裁判になれば、慰謝料数百万程度だから平気ともいってたわ、」
「そ、そうですか、解りました、」

正雄は、既に話は相当に進んでいる事を覚悟せざるを得なかった。
裁判になれば、殆どお金は取れない、取れても数百万、
それが世間相場、という事。



●菜穂子と正雄との話し合い



片桐と菜穂子との話し合いの後も、菜穂子は淡々と生活をしていた。
離婚の話は出ないが、すっきりした感じで、
家に帰るのも夜遅く、タクシーで帰ってくる。
ベッドも2年前から別々だ。だから、ゆっくり話をする時間がなく、
菜穂子と話をしたのは、土曜日だった。

「菜穂子、これからの事なんだけど、」
「はい、」
「どうしたら良いかな?」
「それはあなたが決める事でしょ、」
「条件も示されたんだし、」
「不満なら裁判でもなんでもしたら、」
「私はもう主婦はしません、」
「そんな事言われても、」
「応じるしかないわよ、」
「子供が帰る時は、時々帰ってあげるから、」
「3000万の利益を稼ぐのは大変よ、」
「借金がなくなり、なおかつ800万も貰えるのよ、」
「有り得ないでしょ、普通、」
「そうだけど、でも菜穂子がいなくなる、」
「片桐さんじゃない人だったら、私がいなくなったらもっと悲劇でしょ、」
「きっとゼロ円よ、」
「そっ、そうだろうな、」
「気に入らないなら裁判でもすれば、」
「片桐さんは痛くもかゆくもないわよ、」
「だって2〜300万で済むんですもの、」
「そうか、そうだな、」
「それにあなた片桐さんに裁判起こしたら干されるわよ、
そしたらコンビニなんか吹っ飛んじゃうかも、」
「脅すなよ、」
「もう私は以前の私じゃないんだから、諦めて、」
「条件を受け入れて前を向いた方がいいわよ、」
「うん、そうだな、そうするか、」
「俺はもう菜穂子は抱けないのか?」
「諦めなさいよ、抱くのは駄目だけど、帰った時、
裸ならあの人に内緒で見せて上げてもいいわよ、サービスで、」
「だめか、やっぱり、」
「諦めるか、・・・」
優柔不断な正雄に、結論がでたようだ。



●菜穂子の事実上の離婚



こうして、
菜穂子と正雄の事実上の離婚が成立した。
約束事は、念書として書かれて3人がサインした。
・正雄と菜穂子は離婚する。
・時期は次男が社会人になってから正式に。(多分あと1年程、)
・片桐は慰謝料3000万を正雄に支払う。
但し、借入金を相殺し、500万+積立分300万、
・菜穂子は、正式に離婚するまで、子供の世話で正雄の妻として時々戻る。
・離婚後も母親として正雄家にいく事は構わない。
・正雄は、菜穂子は家に帰る時に菜穂子の意志に反する事は強要しない、
違反した場合、本念書は無効となり金銭も返済対象となる。
以上。

最後の文章は、菜穂子が追加した。
家で強姦でもしたら全部パーよと、正雄は観念した。
もう菜穂子を抱く事は出来ない。
但し、菜穂子が良いと言えば構わない事に
なっているので、望みは残っているが、
菜穂子にその気がないので、絶望的だ。
・・・・・・・
こうして、
菜穂子は正雄と離婚して、晴れて片桐の妻になった。





●その後の正雄



正雄には、慰謝料3000万が早速実行された、
差引800万の入金。
同時に、2500万の借入金の完済証明が送られてきた、
これには正雄は本当に喜んだ。
最近設けた金が1000万程あり、合わせて1800万になる、
さらに、なんと菜穂子から慰謝料としてさらに500万が振り込まれた。
これで、合計2300万、正雄には大金だ、・・・
これを元に、念願の2店舗目が出せそうだ。
もちろん、相談相手も片桐だが、正雄は苦笑していた、
これじゃ片桐さんを訴えるなんて、どんな馬鹿でも出来ないな(笑)、と。
菜穂子という古女房は取られたけど、・・
正雄が知っている菜穂子は、どこにでもいる普通のおばさんだ。
だから抱いても5分で終わる精液処理係としてしか考えていなかったのだ。
投資コンサルタントの才能にあふれ、抱き心地抜群の女である事は知らない。
じゃないと3000万もの価値は付かないという事を。
ともあれ、正雄は菜穂子を諦め、新しい目標に向かった。



●その後の菜穂子



菜穂子は安堵していた。
これで新しい人生が始まる喜びで一杯だった、
菜穂子は、片桐から貰った金や、
投資のリターンで1000万以上の金を持っていたので、
慰謝料として正雄に500万を上げた。
正雄は、大喜びして菜穂子に言った。
(これで菜穂子との離婚を許す、)と。
この言葉が忘れられない、正雄はやはり馬鹿なのだ、・・・
菜穂子は、
こんな男と20年以上も暮らしていたのかと思うと、
慰謝料が欲しいくらいだと思った。
ともあれ、菜穂子は自由になった。
身の回りの物、引っ越しの準備などで忙しい毎日が始まった。