妻の提案
7 妻の提案
麻糸
2021/05/04 (火) 09:05
No.28722
妻の提案「デートC」

今日の予定は横浜で高級中華のランチを食べ、散策した後、プレゼントを買うプランである。

家を出て一時間後くらいに敦子からLINEがはいった。
「こんなの食べた事ない!」「美味しすぎる!」など、
たわいもない感想とともに広い個室で食する高級中華の写真が数枚送られてきた。

その後場所を移し山下公園での2ショット記念写真など熟年デートっぽい写真が送られてきた。

私はおしゃれに飾り立てた妻の楽しそうな表情と吉田との2ショット写真により、嫉妬交じりの何とも言えない感情に搔き立てられていた。

しばらくLINEが途切れ、18時くらいにこれから帰宅するとの連絡が入り、
19時過ぎに今日の出来事を満喫してきた敦子は帰宅した。

「ただいまパパ。今日一日とても楽しかったよ。こんな日をくれたパパに感謝です!」
興奮気味に妻の帰宅の言葉があった。

気のせいか朝見送った妻より艶っぽくなった表情を強く感じた。

シャワーを浴び、すっかり自宅モードに着替えた妻と二人で夕食をすることになった。

妻は高級中華の話から始まり、吉田の紆余曲折、波乱万丈のこれまでの人生話を続けた。

私は適当に相槌を打ち聞き流しながら妻の話に耳を傾けた。

いよいよ例のプレゼントの話に話題が移っていった。

「何を貰ったか気になるでしょ?」
「これからあなたに見せる物の反応を研究材料にするそうよ」
妻は満面の笑みで微笑みかけた。

「もったいぶらず早く見せろよ」
私も気が気でないが顔に出さずに妻に話しかけた。

「じゃあ見せるよ。これね」
敦子が見せたのは小ぶりのダイヤが数個ついたシンプルなストレートラインの指輪であった。

私は戸惑った。
価値でいえば10万円程度の指輪に見えた。

こんな物を見せられてどんな反応をすればよいのか?
ただ微妙に高額なプレゼントを貰い、相手に感謝すればよいのか?

妻は私の微妙な反応をじっと見ていた。
そして、しばらくの沈黙の後、話始めた。

「これは今日付き合ってくれた事への純粋なプレゼントで研究材料ではないの」
「本当のあなたの反応を試すのはこれなの」