自慢の母
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敏夫
2021/02/24 (水) 08:47
No.28422
私がまだ小学生の頃、近くの公園に母がよく遊びに連れて行ってくれました。
浮気性の父親は母とケンカばかりしていて、母は私に父親はいかに酷い男なのか
記憶を刷り込むように話してくれた。
いま振り返ると父親がすべて悪いのではなく、母に拒絶されその思いを外の女に
向けていたのではないだろうかと思えるふしがある。

その日も母と二人で公園に行くと、見知らぬ男の人が手を振り私達を待っていた。
母は手を振り男の人の側へと駆け寄って行った。 
いつも私に見せていた笑顔とは違って、手を振る母は無防備というかまるで
子供の様に素の母、いいえ、女性だった。
母は会社の友達だよと言って私に紹介してくれたが、母親でない微妙な空気に
包まれた、その様子の母親に違和感を感じていた。
男の背中に手を添え触れていることが当たり前のことの様に笑みを浮かべている。
男もその手に違和感を感じることなく視線をあわせる。
体が重なるくらいの距離、父親とだってあんな近くで視線を合わせることないのにって
嫉妬の様な感情を抱いた。
男の人は私の目線に合わせる様にしゃがみ込み、

初めまして お母さんにはいつもお世話になってるんだ。宜しくなっ!

そう言って私の頭をゴシゴシと撫でた。
男はニヤニヤ薄笑いを浮かべ母と目を合わせこう言った。
 「お母さんの唇に似てるね」
母は「エッチなんだから」そう言って男の尻を叩いた。
男は父親と違い、よく喋り小太りで頭も禿げていた。
煙草のヤニで黄色くなったのだろうか、それとも歯を磨いていないのか
分厚い唇の中から匂いそうな歯を見せ男は笑っていた。
母親は私に向かって
 
「面白い人でしょこの人 いつもこうなのよ 」

そう言って男の背中を叩いて笑っていた。
自慢の母が、禿げたオジサンと楽しそうに戯れていた。背が高く髪も長くて何より綺麗な母親が
父親と違ったナマズを人形にした様な男と笑っていた。

母親は当時38歳だった。 パートで荷物の配達の仕事をしていた。
勤め始めたころ、家に帰ってきた母親がよく言っていた。
「あ〜もうやだ!煙草の匂いが…もうやだ!髪にまで…」
そういって洗濯機に服を投げ入れていた。
どうやら同僚男性が助手席の母に気遣いすることなく煙草を吸うらしい。



そんな母と父親との関係はギクシャクしたもので、友達だと紹介された男性といるときの方が
母は楽しそうにしていたことが印象的でした。 性の知識も身に付いた頃、その男性が
母親の"男"だと気がついた。