遅かった出会い
92 離婚
東風
2021/12/07 (火) 13:09
No.29605
香の離婚が成立した。
香の夫は、香と子供たちの気を引きたいがために物を買い与えた。
しかし、香は子供たちに対し、物で心を動かされてはいけないことを言い聞かせており、
夫が妻子に貢げば貢ぐほど、妻子の心は離れていった。
そして、自らの預金を使い果たし、あろうことか会社の金にも手を付けていた。直属の上司がそれに気づいたが、公にせず香に相談してきた。
上司とは、二人の結婚の時に世話になり、年賀状程度ではあったが、家族ぐるみの付き合いが細々と続いていた。
 幸いに金額が少なったため、直ぐに香が清算したが、依願退職は免れないところとなった。
 当然、このことは弁護士にも報告され、協議離婚は一気に片付き、夫は家を出た。
もともと、所謂「サザエさん家族」で、香の収入と両親の年金収入で充分生活は出来た。
引き止めなければならない経済的理由はなかった。

 晴れて香は自由の身になった。
 一方、山田は、世間によくある夫婦喧嘩や子供の成長に伴う様々なトラブルはあったが、安定した生活を営んでいた。
妻とのセックスもあった。
 一方で香の体は妻の体より抱き心地はよく、香を狙う職場の男たちの視線は山田も知っており、それらに対する優越感は、山田の性欲を一層強くした。
しかし、香に対して体を求めるために、あるいはそれ以外の理由であってもご機嫌をとるような素振りは見せなかった。
 幸か不幸か、山田も香も童貞・処女を失って以来、異性に困ることはなかった。 誰とでもセックスをするいった乱れた性生活ではなかったが、
積極的に異性を求めた経験はなく、来るものを拒むことの方が多かった。
 そんな状況に結婚という枠組みを二人とも窮屈に感じてことも共通していた。 香の窮屈感を開放したのが山田だったが、解放されすぎた香の行動が山田の怒りを買うこととなり、
香の放った「やきもちやき」という言葉は、山田の気持ちを冷めさせたことに香は気が付いた。
 香の知る過去の男たちは、「やきもちをやく」ことで盛り上がることが多かったが、山田は、一瞬怒りを訴えるが、いとも簡単に潮が引くように香の前から消えようとした。
そこの事は香にとっては驚きであり、新鮮でもあり、逆になりふり構わず山田を追いかけることとなった。
その結果が離婚ということとなった原因の大きな要因であったが、それを言葉にすると山田が去って行くことは明白だったので、遠まわしな言葉や態度で示すしかなかった。