遅かった出会い
88 変化
東風
2021/11/24 (水) 13:20
No.29576
 この一件以降、山田は、改めてこの話をすることはなかった。
そして、山田から連絡を入れることもなかった。
もともと、家族にバレることを防止するために連絡は余程の事でない限り、フリーメールでのやり取りであったが、
香から山田に対し、
「会ってもらえますか?」
とメールが入って、それに山田が反応する形が基本となった。
山田のスケジュールは、香たちが作ったシステムで概ね把握できており、香はそれに合わせて連絡を入れた。
 そして、一方的に香は、近況を山田に伝えていたが、山田からは、業務上必要なこと、二人が属する研究会の
用務など、必要以上の個人的な情報提供は行わなかった。
 香からのメールには、とうとう夫と離婚に向けて弁護士が入って協議に入ったこと、それと同時に
不登校気味だった息子が何とか進学の道筋が立ったことが記されていた。
不登校気味の息子の進路や、自宅のローンの返済などに対し、軽く口出しはするものの行動が伴わず、
何時の日か収入が逆転した夫婦にとって、夫は無責任な同居人になってしまっていた。
そのことは、離婚協議において香には優位に働き、離婚の手続きは、香の思い通りに進んでいるとのことであった。
 その際に何度も弁護士から
「付き合っている男性はいないよね、もしそれがバレたら、全ての協議が真っ逆さまになる」
と言われていたようだが、頑なに否定した様だった。
 しかし、香の容姿は、年齢のそぐわず高校生の子供がいる母親とは思えない雰囲気を醸し出しており、
弁護士が何度も確認したのは、「黒」と推測した方が普通の感覚であったであろう。


 この日も香の誘いに山田が答える形で、仕事帰りの行きつけのホテルの一つに二人は入った。
香は、明らかに山田を誘うように下着が徐々に派手になり、山田の性欲を刺激した。
そんな香に対し、山田はスマホのカメラを向け、撮影をし始めた。以前から、時折デジカメを向けていたか、
スマホのカメラの進歩に伴い、気軽に撮影や加工が出来るようになった。
そして、顔をこそ見せないものの、何枚かを投稿するようになり、それを香に見せた。
「やめてよー」
と言った香に対して、
「大宮には見せても、サイトじゃだめなの?」
と、山田に言われて、香は絶句するしかなかった。
「何でもするって言ったじゃないか」
と言われると返す言葉もなかった。
ホテルに入ると、シャワーを浴びることも許されず、着衣のまま愛撫され、挿入を許した。
そして、山田のペニスを受け入れたまま、カメラを向けられた。
香は言いようのない恥ずかしさと、憤りを感じながらも、何回か繰り返される中、それが当たり前のようになっていった。