遅かった出会い
80 女の弱さ
東風
2021/10/21 (木) 18:41
No.29449
山田が多忙を極めるころ、香も追い詰められていた。
 山田との関係が深まる中、夫に対する嫌悪感が強くなった。
夫は、何とか香の気を引こうとし、香もそれを分かっていたが、分かれば分かるほど嫌悪感が増した。
それは、成長と共に物事が分かり始めた子供にも伝わり、子供も父を避けるようになった。
夫は、自宅でも孤立し、一人部屋に閉じこもり、酒量がふえ、生活も荒れた。当然、仕事にも支障をきたし、
家族ぐるみで香の実父もよく知る夫の上司から、苦情も届くようになった。
 夫のそのような状況は離婚を望む香にとってもある意味好都合で、弁護士を通して離婚調停に踏み切った。
この頃には、夫婦間の収入は逆転し、香ひとりの収入と実の両親の年金で生活に支障はなかった。
 一方職場においても、旧態依然とする部署で、大宮をはじめとする後輩の指示は得られていたが、
上司とは上手くいっていなかった。
 更に、精神的な拠り所となっていた山田も多忙を極めた。
 そんな時に、香の近くにいたのが後輩の大宮で、常に香を陰で支え、時には盾となって香を守ってくれた。
大宮に恋愛感情はなかったが、彼の優しさに甘えていたし、年下の男の子にチヤホヤされることに心地よさを感じてしまった。
 そんな時、お酒がはいり、失敗してしまった。香は、決してお酒に弱い体質ではなく、自宅でも両親と嗜む程度には飲んでいた。
しかし、酔うとガードが低くなるのは欠点だと理解していた。ある程度の酒量を超えると、急に記憶が怪しくなる・・・。
それに対し、山田との始まりの時は、山田は飲んでいたが、香は運転手として一滴も飲んでいなかった。
酔った勢いで山田との関係が始まったことでないことは、香にとって心の支えであった。

 そんな、思いと言い訳を何度もメール送り続けた。
しかし、山田からは、香の言い分と、システムから抜き取った大宮とのメールのやりとり
との矛盾点をあざ笑うように指摘され、追い詰められていった。