遅かった出会い
78 男の気持ち
東風
2021/10/21 (木) 14:16
No.29445
山田は、日々多忙を極める中、明らかにモーションをかけてくる女性が何人かいた。
年下の独身から、3歳年上の女性まで、何れも山田がその気になれば、何時でも抱くことは出来た。
 しかし、香に限らず、安定して妻以外の女性と関係を持つためには、適度な妻とのセックスも欠かすことは出来なかった。
加えて、香は、特に神経を使うことなくセックスを楽しめる関係であったし、仕事上の情報交換という点でも、
香からの情報は、会社全体の動きを把握するうえでは重要なファクターであった。

 山田は、 趣味も広く、特にライフワークとしているスポーツ競技や、業界他社とのシステム研究会はなど、
仕事以外にも多くの仲間や友人・先輩がおり、その関係でも女性と関りを持つ機会は多くあった。
「その気になれば何時でも」
と思う気持ちと、独身時代「来るものは拒まず」で生活していて、随分人間関係が面倒なことになった苦い経験から、
そういう行為に億劫(おっくう)になっていたこと事実であった。
 例えば、山田が気楽に関係を持った女性に対し、友人や知人が好意を寄せていることや、仮に関係を持たなくても、
明らかに自分に好意を持っている女性をに対し、友人が好意を持っていることを知ることは、山田にとって大きなストレスであった。
年輩の女性からも
「君ねえ、悪気はないと思うけど、誰にでも優しくしちゃダメよ」
と、釘を刺されたこともあった。
 そういう人間関係から抜けられなくなったのが妻であった。責任をとってというよりは、解けなくなったロープを解くのが
面倒になって結婚したというところだろうか。

 そういう意味では香は年上で、煩わしいことを考えなくてもよいある意味都合のいい女であった。
加えて、そもそも香は人妻であり、ないものと思えばそこまで。しかし、会社内に兄弟いることは、面倒な話で、
嫉妬というよりは、単純に不愉快な話で、香との関係を続ける意味は見いだせなかった。
そこで、香への返信には
『あなたの度重なる行動は、ことの真偽に関係なく不愉快です。セックスの相手としては良かったが、不愉快を感じてまで、あなたと個人的な関係を続けるのは面倒です。
火のない所に煙は立たぬ、あなたが大宮に好意を持たせてしまったことは間違いなく事実で、二人の間に体の関係がなかったとしても、それを知りながら仕事で大宮やあなたと顔をあわせることすら、余計なストレス。そういうストレスを乗り越えてでもあなたを選ぶほど、根性のある人間ではないことをあなたが一番知っているでしょう』
と、記した。