遅かった出会い
71 決定的?
東風
2021/10/15 (金) 14:37
No.29423
 そんなことがあったが、二人の関係は特に深まることなく、何事もなかったように仲良く仕事をしていた。
しかし、二人に任されたシステム運用の最終段階になって、香と大宮では解決できない不具合が発生した。
困った香は、山田に相談することにした。まだ、オープンされているシステムでもなかったので、リモートで解決することが出来ず、
香は、自分のパソコンを持ち込み、解決を山田に依頼した。そして、多忙を極めていた山田は、自分の仕事が終わった
深夜になってやっと香からのヘルプに手を付けた。
その結果辿り着いた結論は、あまりにも単純なことであった。香のPCのスペックの問題か、あるいはシステム上の通信データの許容量に
制限かあり、香のアカウントだけの通信が途絶えてという結論に達した。
そこで、山田は、香のPCにあったIDを自分のPCに設定し、後日、香からPASSを聞いて整理すればよいと思っていたが、試しに思いつく、
香に関するデータから、軽い気持ちで幾つのパスを入れてみたところ、3つ目のPASSが偶然にも一致してしまった。

 そこに現れたのは、香と大宮がシステムの開発を始めたころからのやり取りがメール形式で保存されていた。
 最初は、仕事上の連絡や確認の内容だったが、だんだんと個人的な大宮の思いが現れるようになった。
呼び名も香の姓から、「カオリさま」と変わっていった。 山田は、胸の高鳴りを感じながら、多くのメールの
やり取りを飛ばして、システムの障害の原因のファイルに辿り着いた。それは、大宮から香に対する大容量のファイルフォルダーで
大宮のミスから、圧縮されずに元のサイズのまま送られていた。
 そして、その中に職場の休憩室で頬を寄せ合って写る香と大宮の画像が複数枚含まれていた。