遅かった出会い
4 告白2
東風
2020/08/04 (火) 14:38
No.27644
 すし屋を出た二人は、並んで香の車が停めてある駐車場に向かって地下道を歩いた。
 様々な偶然なのか、周囲の期待なのか、二人が一緒に仕事をする機会が今まで以上に増えていた。そのため、日ごろの仕事上の悩みや愚痴も一致して、同志の感を強くしていた。この日も二人の話は尽きることなく、話しながらゆっくりと歩みを進めていた。
 
 山田も結婚し、3年を超え、妻は、二人目の子供を妊娠しながら子育てに追われている中、香を女として見ないと言えば嘘になる。仕事上の関係やプライベートでの人間関係から、親しくなった女性も何人かいた。面倒見のいい性格から、年下の女の子とつい合う場面は少くなかった。しかし、何れも先輩として気遣いが必要で煩わしく思うことが多かった。その点、香は仕事関係から家庭状況まで互いに理解しており、気を使わず自然に会話することが出来た。

 香は、結婚して8年。結婚当初は、実家に近いところに賃貸マンションに住んでいたが、長男の出産を考えたころ、実家を建て替え、香の両親と同居することとなった。4年制大学で学び、それを活かせる今の職場に遣り甲斐を感じており、定年まで勤めあげることは当然と考えていた。