遅かった出会い
117 ショッピングセンター
東風
2022/01/20 (木) 15:27
No.29771
A氏の追跡は続いた。
二人は、公園を後にして、近くのショッピングセンターに行った。
普段生活する街で家族連れで混み合うショッピングセンターを歩くことなど、絶対にあり得ないことである。
店内に入ると香は、山田の腕にしがみ付き肩を寄せて歩いた。
A氏は、その後ろ2〜3mほど離れてついて行った。山田は、横目でA氏を確認した。
「普段どこで服買ってるの?」
山田がそんなことを香に聞くことは滅多にない事だった。
「あはは、ネット通販かイオン」
仕事をしながらの主婦、子育てが終わったかと思ったら、高齢の実父母の世話、
その合間を縫っての山田との逢瀬。加えて、仕事上の研修や勉強、
普通の主婦やOLのようにウインドショッピングを楽しむ時間は彼女には縁遠いものであった。
ネット通販に費やす時間も家族との団欒の時間にPCやスマホでサッサと選んでいたし、
手に取って選ぶ時もおばあちゃん(実母)への家庭サービスの時間に限られていた。
 しかし、そんな簡単に選ばれた服も無理なくさりげなく似合っていた。
山田と関係を持ち始めたころは、まれにスカートも履いたが、仕事が忙しくなるにつれ、
パンツスーツやラフなパンツスタイルが多くなっていた。
 この日は、春らしい白いパンツとピンクのカーディガンで身を包んでいた。
「パンティーの色が透けるようなパンツ」
というリクエストをしたが、カーディガンが長く、腰を隠してしまっていた。

 香にしがみ付かれた山田の手は、歩きながら香の腰や臀部を撫でた。
時には、商品を眺める香の背部に回り、腰を香の臀部の上に押し当てた。
一通り、一周したころ、山田はトイレに行くといって、香の傍を離れた。
そして、「どうぞ、近づいてください」とA氏にメールを送った。
トイレから出てきた山田は、物陰から香とA氏を眺めていた。
A氏は、パンの売り場にいた香の背部に近づいて、パンを物色する振りをして、
香に体が降れそうな位置に立った。そして、振り返りざまに香の後ろ髪に顔を近づけ、髪の匂いを嗅いで息を吸い込む姿が見て取れた。
気配を感じた香が振り返ろうとしたとき、慌ててその場を離れた。
そんな二人の姿を確認して、山田は香のもとに戻った。


「今ね、変な人が近づいてきて気持ち悪かった」
「ふーん、痴漢じゃない(笑)」
「こんなところで?」
「俺も痴漢していい?」
「もう、あなただったらいいよ」
「じゃあ、食料品のところでお昼を買おうよ、任せるから適当に買ってよ。適当に近づいて触るから(笑)さっきの痴漢が見てるかもしれないから」
「バカ」
と言って、香は食料品売り場に向かった。

 デイユースの温泉宿の部屋で昼食を摂るべく、香はサンドイッチや飲み物を籠に入れながら歩いた。
山田は、そんな香に近づき、籠に飲み物を入れながら、お尻を触り、また、指先で香の肛門部分に指を立てた後、その場を離れることを繰り返した。
しかし、その動きにA氏は同調する勇気がないのか、二人の行動を遠目に見ていた。