色は思案の外
7 色は思案の外
最後のティッシュ
2017/08/20 (日) 15:08
No.24896
僕らは程近い御近所さんには挨拶を済ませていたけど、遂にこの日が来た
引っ越してきて四週間経った日曜日、僕らの町内会デビューの日だ
活動内容は町内にある公園とその周辺の清掃だけど、新参者の僕らにとっては顔見せの場って感じかな
僕の家の周りは新しい家が多いからなのか比較的若い方の参加が多いけど
昔からこの地域に家を構えている方は年配者の参加が目立っている
お隣さんの田端さんを介して初対面の方と顔合わせをした後は公園の掃除だけど
これも交流の一環だ、集まった方々は気の良い人ばかりで自己紹介がてらの会話についつい熱が入ってしまう
「野上さんはどのような仕事を?」
「建築関係です お店の内装とかそんな感じの」
「大工職人ですか?」
「いえ、営業です。名刺には「企画営業」なんて書かれてますけど」
「ほう、何かクリエイティブな感じがして格好いいですね」
「いえいえ、名刺に箔をつける為の部署名ですよ 設計なんか「デザイナー」って横文字にされちゃって」
「ははは、聞こえは良いですね」
「はい、聞こえだけはね」
「お二人は社内恋愛で結ばれたと聞きましたが」
「ええ、上司と部下ってやつです」
「なるほど、野上さんは部下に手を出したわけですか」
「あ、いえいえ 嫁の方が上司でして」
 (「嫁」か、良い響きだ)
「ああ、やはりそうでしたか」
「え、「やはり」って・・・」
「ははは それにしても綺麗な奥さんですね 野上さんもこう見えて中々のやり手なんですね」
 (「こう見えて」って・・・)
「吉崎さんは運が良いですよ、主任と呼ばれていた頃の嫁は客先でも噂される程の鬼上司でしたから」
「鬼上司?」
「はい、仕事中にこんな感じで長々と無駄話してると何言われたか」
その時、公園に凛子さんの声が響き渡った
「宗太くん!口ばかり動かしてないで手も動かしなさい!」
「あ、はい!」
二週間振りに鼓膜を震わせた「吉田主任」の声に反応して思わず背筋を伸ばしてしまった
なんて事だ、僕が叱られたという事は話し相手の吉崎さんも一緒に叱られたという事になる
「まぁ、今のは優し目ですがこんな感じで・・・」
「なるほど・・・ あれで優し目ですか・・・」
「吉崎さんの奥さんはウチとは逆ですね、可愛らしい感じで 優しいでしょ?」
「いやぁ、今日は新顔の野上さんがいるから猫被ってるんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ、野上さんの奥さん程じゃないですがウチも中々の鬼嫁ですよ」
「ええ?見えないなぁ いつもニコニコしてそうな感じに見えるけど」
 (吉崎さんの中では凛子さんは鬼嫁ってことになったのか・・・)
「ははは、どこも似たり寄ったりだと思いますよ」
「吉崎さんは結婚されて何年ですか?」
「三年目です」
「因みに、吉崎さん夫婦に新婚の甘い生活ってありました?」
「甘い生活か・・・ う〜ん・・・」
「あ、ウチと一緒ですね」
「結婚した途端に嫁が現実的になりまして、今では家の中は嫁ルール満載ですよ 野上さんの方は?」
「ウチは小遣い制の導入ぐらいですね、後は結婚前と変わらないというか・・・」
話が盛り上がりそうになってきた時、再び凛子さんの声が響く
「宗太くん!吉崎さん!」
「あ、はい!」
なんて事だ、今度は吉崎さんの名前まで出して・・・
「なかなか勇ましい奥さんですね・・・」
「ええ、部下も仕事を頼む施工業者も男ばかりでしたから あれぐらいじゃないと・・・」
「なるほど、結婚前と変わらないというのはこの事ですか お察しします」
 (ありがとうございます)

僕の叱られっぷりが良かったのか、ゴミを拾う暇がないほどに旦那衆から声を掛けられ
これから長い付き合いになる町内の方という事と、僕の仕事柄もあいまってついつい熱が入り話が長くなってしまう事もあった

 僕の方は良い感じで初顔合わせができた。でも、心配なのは凛子さんの方だ
 初めて顔を合わせた人の前で、あんなに大きな声を出して・・・

と思ったけど奥様方からは意外とモテているようだ
清掃活動が終わると、奥様方に囲まれた凛子さんは頭一つ抜け出ていて見上げられながら何か話している
話題の中心になっていると思われる凛子さんは時々笑顔を見せているが、何を話しているんだ?
「女同士の会話は男は耳に入れない方が吉」これは師匠である部長から結婚前に送られた有難い言葉だ
気にしてはいけない
お昼は久しぶりに二人で外食しようと思っていたけど
凛子さんは何人かの若い奥様達に連れられて近所の喫茶店に行ってしまった

 今日は一日一緒に過ごしたかったんだけどな・・・

早目の時間のランチデートの後は凛子さんを昼間の明るいベッドに誘い・・・というプランが崩れてしまったが
まぁ、いいか 今朝の凛子さんは何所となく楽しそうだった
時間はまだ午前の10時を少し回ったぐらいだ、頭の中で発走を告げるファンファーレが鳴り響く
 (よし、久しぶりに行くか)
凛子さんに連絡を入れて僕が目指したのはウインズ、場外馬券売り場だ
今日は独り競馬、そこにデート気分は無い
そしてここは場外、純粋にギャンブルと向き合う猛者が集う戦いの場である
朝の清掃活動で徳が積まれていたのか僕の予想は絶好調だった

 馬の声が聞こえる 勝つ馬が見える!

調子が良い時はこんな感じで競馬が簡単に思えてしまう
結局、最終の12レースまで勝負をして猛者たちの解散に合わせて僕もウインズを出た
耳にはまだ自動払戻機が札を吐き出す音が残っている
今日は年に一回あるかないかの日になった

 もう負ける気がしない、このまま有馬記念まで突っ走る!

こんな勘違いをして勝った金は直ぐに無くなっちゃうんだよね
とりあえず銀行に寄って勝った分のお金を預けてから家に向かった
最近は何かと調子が良い、競馬だけじゃなくて仕事も家の中も全て上手く回っている
家に歩を向けると昨夜の事が頭の中に蘇ってくる

昨夜は凛子さんが目隠しプレイを受け入れてくれたのだ

凛子さんがアイマスクを着けてくれた時、正直なところ僕は少し気持ちが冷めてしまった
僕から見れば裸の凛子さんがアイマスクを着けて顔を半分ほど隠しているだけで、想像していた程のエロさは感じない
大きめのアイマスクはキスの邪魔にもなりそうだ、これならアイマスクは着けずに素顔を見ている方がいい
どうしたものかと考えながら、凛子さんの手を握り横たわる裸体を眺めていたが
これは僕がお願いした事で、このまま何もせずに終わる訳にはいかない

 とりあえずオッパイを揉んでみるか、アイマスクは適当なタイミングで外してもらおう・・・

「ねぇ・・・ 何もしてくれないの?」
 (それは今から・・・ん?何か珍しい事を言われた気がするな・・・)
とりあえず目の前にある乳房を掴んでみる
「んっ・・・」
 (ん?) 
柔らかい乳房は揉み心地が良いが、それよりも凛子さんの様子がいつもと違う事に気が付いた
彼女の胸が深い呼吸で上下している
 (もしかして興奮してるのかな?)
乳首を指先で撫でてみると彼女の身体は敏感に反応して、あっという間に乳首は固く勃起した
どう表現すればいいのだろうか、まるで倍速で愛撫を進めている感じだ

 この状態でオマンコを触ったらどうなるんだ?

そんな逸る気持ちを抑えて胸の愛撫に集中する
「あっ ああっ」
いつもと同じ愛撫なのに凛子さんの喘ぎ声がいつもと違う気がした
そして身体の反応は明らかに違う、手はシーツを掴み腰を捩って悶えている
 (もしかして凛子さんってM気質?いや・・・、どちらかというと普段はSっぽいし・・・)
判断を急いてはいけない、やりすぎて後で叱られる事になったら元も子もないからね
とりあえず胸の愛撫を一旦止め内腿に手を這わせてみた
喘ぎ声は聞こえないが凛子さんの腰が僅かに動いている
指先でそっと秘部を撫でてみると、そこは熱く湿っていた
「うっ・・・ あぁ・・・ だめ・・・」
そんなこと言われると指を入れたくなるのが男の性
「あっ だめっ ほんとうに・・・だめ・・・」
熱く濡れた膣の壁が僕の指を包んだ
 (うわぁ・・・ 凄く濡れてる・・・)
膣の壁を撫でる僕の指は愛液で滑り、粘液の音が聞こえてきそうな程に溢れ出てきている
「ああぁ あぁ・・・ あうぅ・・・」
僕がその気になれば直ぐにでも凛子さんを絶頂に導けそうな喘ぎ声が耳に入ってくる
このプレイと凛子さんの性の気質が合っているのかもしれないけど
それにしても初めての目隠しプレイでここまで快感を得られるものだろうか

膣の壁を指で擦りながらアイマスクに覆われた凛子さんの顔に僕の顔を近付けた
「目隠しプレイは初めて?」
凛子さんの可愛い喘ぎ声が止んだ
「もしかして経験ある?」
自分でも無粋な事を聞いていると思ったが、気になってしまって聞かずにはいられない
「ごめんなさい・・・」
「ん?」
 (ごめんなさい?)
「気になって・・・」
「うん」
 (気になって?)
「着けてみたの・・・」
「うん、それで?」
 (着けてみた?アイマスクを?いつ?)
「それで・・・ 試しに色々してみたら・・・」
 (色々・・・ 色々・・・ 色々ってオナニー!?)
「良かった?」
「うん・・・ 思ってたより・・・」
「それって一回だけ?」
「んー・・・」
 (なるほど、これ以上は聞かないであげよう)
「よかった、目隠しは嫌いじゃないんだね」
「うん」
 (僕が仕事してる時にそんな事してたのか・・・)
「このまま続けるよ」
「うん」
アイマスクを着けた凛子さんはいつもより素直になっている、僕の顔が見えないからだろうか
そんな素直になった凛子さんの予想外の告白に驚かされた僕は平静を装う事で精いっぱいで
気づけば膣に入れた指は動きを止めていた
僕は前の男とプレイしてたんじゃないかと勘繰ってしまったけど
よくよく考えればフェラチオを断っていたぐらいだから、こんな事はさせないだろう

 それにしても、目隠しプレイの稽古までするとは・・・
 仕事以外の事にも手を抜かないんですね、流石です

思わぬ目隠し効果で愛撫にも力が入り、彼女の快感を指だけで絶頂に導いてしまったけど
これはアイマスクを外す良いタイミングで、外したアイマスクを枕元に置くと
暫く抱き合いながら休憩した後はいつものセックスに移った
あのまま目隠しプレイを続けた方が良かったのか、僕の判断が正しかったのかは判らないけど
その答えは、これから凛子さんと一緒に色々試しながら探せばいいさ

スケベな事を考えていると家までの道のりが短くなる
何か大事な事を忘れている気がしたけど、忘れる程度の些細な事は気にしない
何もかもが上手くいっている、僕は意気揚々と玄関のドアを開けた