色は思案の外
18 色は思案の外
最後のティッシュ
2017/08/31 (木) 23:34
No.24932
先程までの騒音が止み部屋には小さな音だけが残っている
畳に何かが擦れるような音、小さな吐息と思われる音
そして小さく控え目な凛子さんの声・・・
「んっ・・・」
 (この声は・・・)
「んっ・・・ んっ・・・ あっ・・・」
 (凛子さん・・・)
「はぁっ んっ」
 (ええ・・・ さっきまで何か乱暴な事されてたんじゃないんですか?それでも感じているんですか!?)
「気持ちいい?まだ軽く撫でてるだけよ」
 (これは加奈さんの声、という事は撫でているのは恵美さんが言う「良い所」・・・)
「はぁ はぁ あぁ・・・」
 (いや・・・違う 凛子さんは感じてなんかいない、苦しんでいるだけだ、きっとそうだ そうであってほしい・・・)
「入れて欲しくなったら言ってね」
 (何言ってるんだよ、そこは僕だけの・・・)
加奈さんが口を閉じると部屋には凛子さんの吐息と小さな喘ぎの声だけになる
時折、凛子さんの小さな声が止み
その時は恵美さんにキスをされていると思われるような気配を背中に感じていた

この状態が朝まで続くのではないかと思える程の長い愛撫に変化があったのは
凛子さんの喘ぎ声が変わった時だった
「あぁ ああっ」
 (凛子さん・・・)
「うっ だめっ はぁ・・・ あっ」
 (お願いだ 僕以外の人の前でそんな声出さないでくれ・・・)
「はあっ あんっ あぁっ」
 (声が大きくなってきている・・・)
「あぁ だめっ 入れないで・・・ あッ だめッ」
 (凛子さん!?)
「だめッ 加奈さんっ んッ」
 (どうしたんですか!? いや、何となく何されてるか分かるけど・・・)
「大丈夫よ、まだ動かさないから」
 (入れられちゃったんですね・・・)
また凛子さんの喘ぎ声だけになった
どれぐらいの時間、凛子さんは二人に弄ばれているのだろうか
思っていた以上に長くなった愛撫は終わる気配を見せない

「ううっ ううあぁ・・・」
時折、凛子さんが深く喘ぐようになってきた
「動かすわよ」
「だめ・・・」
「どお?」
「うぐぅっ・・・ だめっ」
 (ああ・・・ この声の感じは・・・)
「いやっ 止めてっ」
 (ガンバって我慢してください!)
「ここが気持ちいいんでしょ?」
「うんっ」
 (あっ!「うん」って答えちゃいましたね!)
凛子さんが加奈さんの愛撫を受け入れるのを待っていたかのように恵美さんの声が聞こえてきた
「うふふ 良くなってきたでしょ」
「あぁ・・・ こんなの初めて・・・」
「羨ましいわ、私も加奈も二人に責められるなんて経験ないのよ どんな感じなの?」
「凄いわっ あぁ」
 (凛子さん・・・)
「そんなに良いの? 私も欲しいわ、後で加奈と二人で抱いてね」
「うんっ」
「二人で加奈も抱いてあげましょうね」
「あんっ うんっ」
「うふふっ 良い感じになってきたわね お布団に行きましょ」
「えっ? でも・・・ 宗太くんが・・・」
「寝てるいから大丈夫よ 行きましょ」
「うん・・・」
 (なんだと! こっちに来るのか!?)
本当に僕が寝ていたとしても、隣で「あんあん」騒がれれば流石に目が覚めると思うのだが
どうやら凛子さんの思考は快感で少々鈍っているようだ
同性からの愛撫は異性とは似て非なるものだと言われるが、そこまで違いがあるのか?

三人が立ち上がる気配を背に受け、二人が凛子さんから離れた事を感じ取ると少しの安堵を覚えたが・・・
「ねぇねぇ 恵美ちゃんのパンティー脱がせてあげて」
「私が?」
「うん 気持ち良くしてもらったんでしょ お礼よ」
「ふふっ そうね 恵美さん、パンティー下げるわよ」
「うん お願い」
 (そんな事聞き入れなくても・・・)
「凛子さん お願い、そのまま舐めて・・・」
 (え?)
「舐めるの?」
「お願い・・・」
「凛ちゃん、舐めてあげて」
部屋が少しの間だけ静寂に包まれた
「はぁ・・・ 上手ね 良かったわ・・・」
 (舐めたんですか!?)
「恵美ちゃんエッチな顔してたよ 戸惑ったのは最初だけだったでしょ?」
「ええ、そうね 一度舌を着けてしまえば後は大した抵抗は無いわね、臭いも気にならないわ」
「次は私 はい、来て」
「はいはい、舐めるわよ」
「うん あ・・・ あッ 凛ちゃんッ」
 (舐めてるんですね もぉ・・・何やってるんですか・・・)
「あッ だめッ それッ だめッ」
 (え?なにしてるんですか?)
「どお?良かった?」
「もぉ、イジワル・・・ 指入れるなら先に言ってよ・・・」
 (ええぇ・・・ 指を!?)
「あら、加奈さんも私の中に入れたでしょ、お返しよ 濡れてたから簡単に入ったわ」
「うふふっ 油断した加奈がいけないのよ 次は私の番、凛子さんのオマンコの味見させて」
「ええ、いいわよ」
「長くて綺麗な脚ね、羨ましいわ」
「もぉ、早く来てよ この格好恥ずかしいのよ」
 (どんな格好してるんですか・・・ 僕は気が遠くなりそうになってるんですよ)
「うふふっ じゃぁ、失礼します」
 (妙にエロい台詞ですね)
「恵美ちゃんエロい」
 (あ、加奈さんとシンクロした)
汗が滲む身体に鞭打って寝たフリを続ける僕を余所に
背後の三人はキャッキャ言いながらエロい戯れで盛り上がっているようだ
 (あぁ・・・なんか疲た 凛子さんまで楽しんじゃってるみたいだし・・・)


そんな僕の緩んだ気を引き締め直すかのように三人の気配が近付いてきた
並んで敷かれている布団は、横を向いて寝転がっている僕の真ん前にあり
その布団を離す様子もなく掛布団を除ける気配だけが伝わってくる
 (そこで!? 本気なのか・・・ 僕の真ん前だぞ・・・)
前方には三人の気配、瞑った瞼に力が入る
 (寝ていない事がバレたら終わりだ・・・)
凛子さんは相手方に付いた
僕は今、敵陣の真ん中に取り残された気分だ

三人の息遣いが分かる程の距離で肌の擦れ合う音まで聞こえる事もあるが
先程までの陽気な雰囲気は伝わってこない
「んふっ・・・」
 (これは恵美さんの声・・・)
三人が布団に移ってきてから会話らしい会話は聞こえなかった
しかし、もう始まっていたようだ
「くっ うぅん」
 (何てことだ・・・ 近くで聞くと臨場感がハンパない・・・)
誰かの手と思われる物が僕の顔の前に投げ出された気配を感じ取った
「くぅっ ああぁッ」
恵美さんの喘ぎに合わせるように顔の前に投げ出された手と思われるものがシーツを掻いている
 (顔の前にあるのは恵美さんの手?誰か気付いてくれ、そのうち僕の顔に当たってしまうぞ・・・)
そんな僕の心配を三人は知る様子もなく行為は続く
息が乱れているのは恵美さんだけじゃない
他の二人も興奮しているのか、少々荒くなった吐息が時折耳に入ってきている
肌と肌が擦れ合うような音も聞こえてくる
僕の布団のシーツが引っ張られるような感覚があった、恵美さんが布団を掴んでいるのだろうか
 (あっ!恵美さん!?手が僕の鼻に当たってますよ!)
「ううぅん くうぅん」
 (恵美さん 恵美さんっ 手がっ 鼻を擦らないでください!)
「ふはぁぁ うああぁ 凄いっ ああッ ダメッ ダメぇーッ!」
 (ああっ!今、僕の足に何か当たりましたよ! 恵美さんっ 僕を蹴りましたね!)
恵美さんが一際大きな声を上げた後に騒々しさが消えた
「もうイッたの? 今日は早いわね」
「んはぁ・・・ はぁ 次は加奈の番よ・・・」
 (えぇ・・・ 何事も無かったかのように言われたら僕は・・・)
「そんなに良いの?」
「ふふっ 加奈さんも直ぐに分かるわ」
「はぁ・・・ 凛子さん ふぅ・・・ 上手ね・・・」
「男の身体より分かりやすいわよ」
「凛ちゃん、恵美ちゃん 早く」
「少し待って 恵美さんとキスさせて」
「凛子さん・・・ 好きって言って」
「好きよ」
「名前も・・・」
「ふふっ 恵美さん、好きよ」
「嬉しい  んっ・・・」
 (凛子さん・・・)
目を瞑っていても分かる、凛子さんと恵美さんは抱き合い濃厚なキスを交わしていて
荒くなった籠り気味の息の音は聞こえるし、絡み合う舌の音まで聞こえてきそうな気配を感じる


「あんッ あっ あっ あんッ!」
加奈さんの喘ぎ声が耳に入ってきている
耳に絡みつくような恵美さんの喘ぎ声とは違い、可愛く歯切れのいい喘ぎ声だ
僕が寝たフリを始めてからどれぐらいの時間が経ったのだろうか
布団に入ってからの殆どの時間は三者三様の喘ぎ声を聞いている様な気がする
「あっ ああッ それっ それッ ああんッ」
 (凛子さん、ガンバって)
そして、僕の思考は少々麻痺してきている
 (恵美さん、たぶん足だと思うんですけど僕のお腹に当たってますよ)
加奈さんのオッパイを愛撫しているのは恵美さんだと思われ
位置的に僕の体に当たっているのは恵美さんの足の先と思われる
加奈さんが大きな呻き声を上げた
「ぐうッ ううッ んんーッ!」
「あら、またイッたの? 加奈の身体はスケベね」
「はあぁ・・・ はあぁぁ・・・」
絶頂の余韻なのか、強い吐息の中に喘ぎのような声が混じっている
「うふふ これで二回目ね」
 (それはいいんですけど、貴女の足が僕の腰の上に・・・)
「加奈さんの身体って敏感で面白いわね」
「そうでしょ ついついエンドレスになっちゃうのよ」
「ふはぁぁ・・・ もう・・・ だめ・・・ 変になっちゃう・・・」
 (僕の頭も変になっちゃいそうです・・・)

僕が寝ている布団の上、僕の真ん前に誰かが座り込んだ
僕が良く知るその気配から凛子さんだと思われるが・・・
「次は私が抱かれる番ね」
 (当たりだ、凛子さんだ 大胆な事してる自覚あります?僕が寝ている布団の上ですよ・・・)
「でも、宗太さんは大丈夫?」
 (ん?僕がどうしたんだ?)
「そうね そろそろ寝たフリが辛くなってるかもしれないわね」
 (ん?)
「宗太さん、大丈夫ですか?」
 (え?なんで?何で恵美さんに話しかけられてるんだ・・・)
頬を撫でられた 僕を優しく撫でてくれたのは良く知る凛子さんの指先の感覚だ
「宗太くん、もういいのよ」
「はい・・・」
いつになく優しい凛子さんの声に思わず答えてしまった
しかし、この状況では目を開ける勇気が出ない せめて凛子さんと二人きりにしてもらわないと・・・
「宗太さんって可愛いわね あんなに鼻息荒くしてバレてないと思ってたのかしら」
 (ああ・・・ なるほど・・・)
「どうなの?私達が気付いてないと思ってたの?」
「うん・・・」
「あれじゃ気付かない方がおかしいわよ、寝たフリするなら寝息の演技もしなさい」
「はい・・・」
 (無理ですよ・・・)
「いいじゃない、宗太さんが寝ていない事に気付いて私は凄く興奮したわ」
 (そうなのか!? 恵美さんにそんな嗜好があったなんて・・・)
「恵美ちゃんって宗太さんの事好きだからね」
 (えっ?加奈さん、今なんて言いました?)
「でも、全然気付いてくれないし・・・」
「ふふっ 相手が悪かったわね、私なんて何年も気付いてもらえなかったのよ」
 (ごめんなさい・・・)
「それで凛ちゃんから宗太さんをご飯に誘ったんでしょ」
「ええ」
「凛子さんは凄いわね 私はそこまで積極的になれないわ」
「何言ってるの、ずっと宗太くんを触ってたでしょ 私の目の前で大胆すぎるわ」
 (凛子さんの目の前でというより・・・)
「あら、気付いてたの?」
「嫌でも気付くわよ」
「そう、少し大胆に触りすぎたようね」
 (大胆を越えた加減でしたよ・・・ いや、もういいか 何か疲れた このまま眠りたい・・・)
「もう凛ちゃんにガードされて宗太さんを触れなくなっちゃたわね」
 (僕の前に座ったのは、そういう事だったんですか!?)
「そうね、もっと触りたかったのに・・・ 宗太さんの鼻息を手に感じた時は愛撫されてるみたいで凄く興奮したわ 宗太さんは私の裸を見たくないんですか?」
 (なんという嬉しいお誘い、しかし)
「お二人の分まで後で凛子さんの裸を見せてもらいますので」
「あら、フラれちゃったみたいね」
 (あ、いや・・・ そういうつもりで言ったんじゃなくて、ここまできて目を開けるのが怖いだけなんです)
「そうじゃないわ、目を開けるのが怖いだけよ」
 (はい、そうです さすが凛子さん、僕の事をよく分かってますね)
「ありがとう、そう言ってもらえると救われるわ」
「宗太くんは勿体ない事したわね、恵美さんの色白で綺麗な裸を見ないなんて」
 (え・・・)
「凛ちゃん、私は?」
「ふふっ 加奈さんは胸の形が綺麗ね、それに乳首も」
 (なに!?「乳首も」って中途半端な説明ですよ 色とか大きさとか詳細を!)
「凛ちゃんから見てもそう思う?」
「ええ 目を瞑ったままなんて宗太くんは勿体ない事してるわ」
 (ですから詳細を・・・)
凛子さんは僕に詳細を伝える気は無いようだ
我慢も限界にきて目を開けてやろうかと思ったときだった
「もぉ、何してるのよ」
 (ん?なんだ?)
凛子さんの声が僕の集中力を耳へ戻した
「オナニーよ」
 (え!?)
恵美さんの声が僕の想像力を掻き立てる
「宗太さん、私オナニーしてるんですよ 見たいでしょ?」
 (え?えっ?してるんですか!?)
「もぉ、宗太くんをからかわないで」
「うふふっ 身体が冷えてきたわね」
「そうね もういいの?」
「ええ、満足したわ ありがとう」
 (そんな・・・ 恵美さん・・・)
三人が立ち上がる気配、そして僕の後方へと移動していく
 (待ってくれ・・・ 少しだけ待ってくれ・・・)
今更寝返りうって目を開ける訳にはいかない

 誰でもいい、僕に「目を開けて」と一言だけでいいから声を掛けてくれ

そんな都合の良い願いは叶うはずがなく、どうやら三人とも浴衣を纏ってしまったようだ
最後の最後に僕の気を強く惹いた恵美さんが凛子さんに言葉を掛けた
「私達がこの部屋から出たら宗太さんに抱いてもらってね」
「どうして?」
「今は気分が昂ってるから大丈夫かもしれないけど、冷静になったら気まずくなると思うの」
「ええ・・・ そうかもしれないわね」
「今日の事は二人の良い思い出にした方がいいわ」
「そうね でもセックスは宗太くんの気分に任せてるから・・・」
「宗太さんも聞いてるから大丈夫 凛子さんが断らなければいいだけよ」
「ええ・・・」
 (なんか凛子さんの返事が不安そうな声だな 冷静になっちゃったのかな?)
引戸が開けられ閉まる音が聞こえ部屋は静かになった
恵美さんと加奈さんは部屋から出て行ったようだ