ある日の美代子
11 Re: ある日の美代子
最後のティッシュ
2017/05/01 (月) 06:57
No.24587
マリアの目が薄く開いたが暗闇の中で何も見えない
まだ意識がはっきりしていないが何か不快な感じがする
胸の辺りの圧迫感、何故か手足を動かし難い
耳に入ってきたのは唸るような機械的な音
「はあぁ・・・ はあぁ・・・」
 (あ・・・ 私、感じている・・・ 熱い・・・)

ベッドに拘束されたマリアはアイマスクを着けられている
テツヤはマリアの豊満な胸に貪り付いていた
一本の手が開かれたマリアの股間に向かって伸びていて
その手はバイブのうねりを押さえている
ベッドの隅に転がっているのは媚薬の容器だが
中は空っぽで用済みになった容器だ
「うぅ・・・ うああぁ・・・」
マリアは手足を縮めようとするが縮まない
拘束台と比べれば自由だが不自由な事に変わりはない
視界を奪われているマリアの耳にテツヤの声が入ってくる
「おはよう マリア」
「うぐぅ・・・ なに・・・ 何してるの・・・」
「当ててごらん」
膣の中でバイブがうねり尋常ではない快感をマリアに与える
「だめっ だめっ これはっ ダメッ」
「そうだ、それだよ 正解だ」
バイブが膣から抜かれた
股間が熱い、クリトリスから肛門まで火の中にあるように熱い
視覚を奪われた身体は別の感覚を研ぎ澄ませていた
擦り込まれた薬が只の媚薬とは思えない程の猛威を振るっている事に恐怖を覚えるが
それは最初の絶頂を迎えるまでの間だけだ
次に膣内に入ってきた物、それは怒張したテツヤの性器だった
「だめっ 熱い 熱いッ いぐっ・・・」
ただ挿入されただけ、それだけだった
マリアは絶頂に向かっている事をテツヤに伝えた後に絶頂した

SMルームの赤いベッドの上、一度射精しているテツヤはマリアの身体を存分に抱き
視覚を戻され手足の拘束を解かれたマリアはテツヤに抱き付いて歓喜の声を上げた
最後はマリアから求めた膣内への射精にテツヤが応えると、ようやくベッドの上に静寂が訪れた
抱き合ったまま動かない二人、マリアの体内では男性器を咥え込んだ膣が痙攣している
まだ繋がっている男と女の性器、その下ではアナルプラグが肛門を塞いでいるがマリアはまだ気付いていない

眠りから覚めネオンに火が灯り始めた歓楽街
人通りが増えてきた街を駅に向かって歩く女がいる
女はまだマリアと美代子の狭間にいる
夫からの着信が残っていた
返信したのはホテルから出てからだった
息子は塾に行っていると思われるが夫は帰宅しているらしい
パートの面接を受けていたと話した
帰ったらパートに出る事にしたと夫に話さなければならない、嘘ではない
反対されても言い包める自信はある
問題は何所で働くか説明しなければならない事だ
 (もぉ、何でこんな面倒な事になったのよ サイアクだわ それにピルを処方してもらわないと・・・)

体の疲労に反して顔には微笑みが浮かんでいる
バッグに入っていたテツヤからの手紙はホテルを出た後夫に電話を掛ける前に読んだ
「愛しのマリア様へ」から始まるテツヤの美しい筆跡
手紙と一緒に入れられた錠剤がアフターピルである事と服用方法や副作用について丁寧に書かれていた
吐き戻してしまった時は直ぐに連絡をくれとも書いてある
テツヤは手紙の中で既婚ではなく独身である事を告白し謝罪している
美代子が何度も目を通したのは最後の三行

 おそらく今日は君の体を抱くだけになるだろう
 君がこの手紙に目を通している頃、僕は君の心を手の内に入れる決意を固めているに違いない
 願いが叶うその日まで 手前勝手ではありますがお付き合いください 

出掛ける前に干した洗濯物の事を思い出すのは帰宅してからになる、それより夕食の支度の方が心配だ
賑わいを見せ始めた歓楽街、ネオンの光に照らされながら歩く美代子
一年半の後には豪邸に居を移しテツヤこと正太郎との間に双子を授かる事になるとは、この時の美代子は夢にも思っていなかった