空白の日々に
96 Re: 空白の日々に
小田
2026/08/02 (日) 15:57
No.210964



先を歩く彼を一瞥してから、私の顔を覗き込みます。
大きく目を見開いて、

「ねぇ、違うでしょ?」
「ん?・・・目かい?」

直ぐに離れて、

「カラコンね?・・・グリーンって少ないでしょ?それに倣ってかな?希少価値の綾見って
売り込んだの」
「知ってるんだろ?」
「お客様は分かってるわよ。素顔以外は・・・撮影することもあるから変装は身バレには必要
でしょ?」
「越智が納得したね」
「困るでしょ?私の情報がネットに流れたら。バカでもそれはしないわよ」
「バカじゃないね・・・ん?いずみが?」
「そうなの・・・私にはとても大事な人なんだもの。いなくなったら・・・ごめんね?
気分が悪いでしょ?」
「まぁ、今か?」
「今ね?・・・今も今なの」
「続けろよ」
「うん・・・近くにホテルがあるでしょ?」
「そこに?」
「ツアーの内容までは分らないのよ。今夜は”覗きの体験ツアー”なの」
「ヤルパックじゃないね」
「言ったでしょ?何泊かも知らないし、注文されたお仕事をこなすだけなの。だからね・・・
覗きの案内だと思っていないでしょ?」
「いずみが居るだけで、性行為がないなんて誰が本気で信じるんだ、はははっ」
「もう!声が大きいでしょ?・・・聞こえなかったみたいだわ。携帯を掛けてるのが分かっていた
のね?」
「周囲に注意を払うのは、オスの本能だからね」

菊本さんに掛かってきたようです。
それに出るのが見えていたことも、タイミングが良かっただけかもしれません。

「囲われるオンナはホントに幸せね?」
「今のいずみ?」
「”はい”ってお返事したいのに、あなたなんだもの、窮するかな?」
「僕みたいと言わないのか?」
「困ったって言えないもの。あなただから・・・窮するなの・・・」

携帯を切った菊本さんが、私達が来るのを待っているようです。

「・・・聞こえたのかな?」

彼の傍まで行くと、

「待ってるぞ。まだ時間になっていないのにな」
「9時でしょ?」
「話したのか?」
「覗きの体験ツアーは・・・シチュエーションはこれからなの」
「そうか・・・観れば分かるから、そこまででいいだろ」
「うん・・・だけど、小田様の立場はまだ話していないの」
「まだ?何を話していたんだ?・・・俺が先に行ってるから、了解を貰えよ、いいな?」