空白の日々に
81 Re: 空白の日々に
小田
2026/07/25 (土) 15:50
No.210713



私が立ち上がらなくて、数歩歩み寄れば届く距離ですが、そうするつもりはないようです。
状況にもよるでしょうが、敢えて依頼したのは、観客を参加させるサービスの一環だと、
それを私に知らしめたい意図が感じられます。

「はははっ、直ぐそこじゃないか?手を伸ばせば取れるだろ?」
「そうよ、バッグじゃないの。聞えなかった?・・・チュッ!・・・」

私と話しながらも、彼の首に廻した腕を放そうともせず、キスを交わすのですから、興奮状態を
中断したくないのがその理由だと言っているようです。
ライブショーでの観客参加の可否は、収入面に大きく影響することは考えるまでもないでしょう。
昔のストリップのまな板ショーなどは、観客参加型の典型例だと言えると思います。

「ローター?それを?」
「聞えてるじゃないですか?お願いしてもいい?うふっ」

艶めかしい声色ですが、敢えてそうする意味を理解して欲しいと訴えているのです。

「この中に?」

左手をトートバッグの上に置きます。

「ジッパーを開けたら直ぐ上に花柄のポーチがあるでしょ?」
「開ける?僕が?」

少し困らせます。

「意地悪ね?そのポーチからローターとリモコンを出してくれない?」
「いいんだね?」
「醒めたらどうするの?お相手してくれるのね?」
「はははっ、分かったよ・・・」

ポーチからハンカチに包まれたローターとリモコンを取り出し、開いたハンカチに載せたまま
テーブルに置きます。

ローターにそっと手を触れて、

「・・・ん?温かくないから、醒めるんじゃないか?」
「小田様の熱意が伝わったら温かくなるでしょ?ねぇ、菊ちゃん?・・・」

急に振られて、困惑が顔に現れます。

「・・・そうでしょ?」
「そ、そうだな。どうする?」

何も考えがないようです。
彼女はそれも分って振ったのは明白です。

「小田様に挿れてもらったら、その行為で温かくなると思わない?」
「あぁ、そうだな。挿れてもらおうか、小田さんよ」

彼女のアイデアであってもそれに従うのは、想像力の欠如からくる迎合主義的な生き方を送って
きたからかもしれません。