空白の日々に
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Re: 空白の日々に
小田
2026/07/19 (日) 10:52
No.210563
私達が動かない事も気にならない様です。
かと言って、何かに集中している様にも見えません。
「何時?」
腕時計は4時を少し回っています。
「長く居たんだね。約2時間だものね」
「長かったのね、もう少し早く来ると思っていたのに」
「ん?・・・彼が?」
「帰るんでしょ?一階まで送るわ。今日は・・・らしくないわね」
階段の踊り場まで来た時に、急いで上がって来るいずみと鉢合わせです。
「待ってるわよ」
「少し遅れたわ・・・お話しは?」
「小田さん、どうだった?」
私の右腕に廻した両手はそのままです。
いずみの目線を感じたのですが、私が返答する前に、
「これから?」
「そうよ。ベッドなら突っ込んだお話しもできるでしょ?」
「うふふっ、突っ込まれたいんでしょ?」
私には目線を合わせません。
一週間前の様に透明人間になった気分です。
「いずみちゃんもでしょ?」
「分からないわ。彼次第かな?」
「用意は?」
「大丈夫よ。じゃ、行くわね?」
踊り場に上がった彼女がすれ違う時に、目を見開いたのを見逃しません。
”驚いた?”と言っている様に感じるのですが、それが何のサインなのかは分かりません。
「ごめんなさい、遅くなって・・・」
ひときは明るい彼女の声が、背中に突き刺さりそうです。
その店を出て西に向かいます。
特に当てがある訳でもないのですが、平野さんから聴取したマンションの辺りまで歩きます。
数棟のマンションの前を通過し、遠くに見えるそれも彼女の居住場所なのかと、複雑な気持ちを
抱えたまま、最近では3年前に行った料理旅館の前で折り返して、南に向かいます。
東行一方通行の道路を渡り階段を下りて、JR駅の西改札口に近付きます。
そこ迄約20分ほど歩いた事になります。
階段を下りると、コンクリートに囲まれたうす暗い空間が駅まで続くのですが、昔から変わらない
陰湿さは、あまり気持ちのいいものではありません。
階段を下りて直ぐに、少し離れたところで抱き合ってる男女が目に飛び込んできます。
キスしている様に見えるのですが、確証はありません。
改札口に通じるすぐ傍ですし、男性がこちらを見ているのですが、認識できるほど近くでもあり
ません。私に気付いたのか、そそくさと改札口の方に手を繋いで消えていきます。
服装からいずみなのは間違いありませんが、相手は先程の喫茶店に居た男性なのでしょう。