空白の日々に
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Re: 空白の日々に
小田
2026/06/21 (日) 10:45
No.210048
その日、土曜日の午後1時少し前に、その喫茶店に着きます。
この前とは打って変わって、何の変哲もない喫茶店に見えるのですから、不思議な気持に
なります。
ドアを開けると、待っていたという風に、平野さんが近付いて来ます。
「いらっしゃいませ・・・お二階にどうぞ!」
ウエイトレスになり切っています。
服装も露出は極力控え目ですが、それを彷彿させるだけの雰囲気は醸し出しています。
無言で、後に続きます。
一階もそうでしたが、二階にも客はいない様です。
三列設置されている中央のテーブルには、三か所に壁が設置されていますから、全てが見える訳
でもなく、特に奥の方は全く確認できないのですから、あくまでも推測の域を出ません。
案内されたテーブルも座った席も、先週の日曜日と同じです。
偶然なのか何か意味があるのか、考えても分らないのですが、階上の片隅というだけで、少なく
とも淫靡な空気が垂れ込めている様に感じます。
時を置かずに、ホットコーヒーが運ばれてきます。
一階の奥のカウンター内に居た男性なのですが、日曜日も彼は居ました。
雇われ店長かとも思ったのですが、閑散とした店内を見る限り、一人で切り盛りしているマスター
が正解のようです。
チラッと私の顔を見て、そそくさと一階に降りて行きます。
きっと、日曜日に来店した私だと確認したのかもしれませんが、それが何を意味するのかは全く
分りません。
お互いに一口飲んでから、平野さんが口を開きます。
「この間はアイスコーヒーだったでしょ?小田さんは口を付けなかったから、今回はホットに
したの」
「空気を読んだ選択だったと、後で感心したね」
「難しいわ。どういうこと?」
「あの男と僕とが冷たい視線を投げ合うと、だからアイスだったと。はははっ、読み過ぎかな?」
「うふふっ、じゃ、今は温かい空気なのかしら?」
「そうあって欲しいという希望的観測、平野さんもそれを望んでいる、だから・・・」
「ホットなのね?」
「違ったかな?」
「そうありたいわ・・・じゃ、いずみちゃんとの出会いからお話しするわね・・・」
その時、テーブルに置いている彼女の携帯が鳴ります。
以前もそうでしたから、直ぐに出れるように命令されているのでしょう。
「ごめんなさい・・・いい?」
立ち上がって階段の傍まで移動してから、携帯に出ます。
誰なのか、何を話しているのかも分かりません。
直ぐに戻って来ますが、焦りが顔に現れています。
「小田さん、少し待ってもらえますか?」
「急用かい?」
「えぇ・・・後で・・・ごめんなさい」