空白の日々に
20 Re: 空白の日々に
小田
2026/06/13 (土) 12:29
No.209939



あの男に命令されているのですから、話さない事は彼を裏切ることになります。
いずみと同じ立ち位置ならあり得ないのですから、折れることは分り切っています。

平野さんの好みでもあり、いずみも時々利用しているカフェだと聞かされます。
餃子専門店を出たところで話していたのですが、私が乗って来ない事が分かったことから、
急に軟化してきます。
いずみ達が向かったラブホは、先程のピンサロまがいの店の裏側に位置しているようです。

「いずみちゃんと同じラブホに行けると思ったのに、残念だわ・・・こっちね?」

私の左腕に右手を廻して、ラブホとは反対側、南方向に歩き出します。

「初めてでもこうするのかい?・・・ん?二度目だね?」
「気になるんでしょ?」
「ん?・・・」
「いずみちゃんと同じよ。誰もいなかったら・・・例えば車の中とかね、直ぐに裸になって
おしゃぶりよ。ほんとエロいんだから、目のやり場に困るかな?」
「困らないだろ?嘘はいけないよ、はははっ」
「気にならないのね?遠慮せずに話してもいいのね?」
「盛らないのなら。事実だけを聞かせてくれればいいよ」
「普通じゃないわね、小田さんもいずみちゃんも・・・事実なら、いずみちゃんね、小田さんの
ところには戻らないと思うの。ご主人様から聞いたんじゃないんだけど、そう感じるの。
理由って聞くでしょ?女の勘かな?・・・でもね、ひろ子ちゃんの事があるでしょ?
どう考えているのか分からないけど、今のいずみちゃんなら全てを捨てる覚悟があると思うの。
”支配される喜び”って、いずみちゃんから進んで本格的なSMも・・・聞きたくないのなら、
止めるけど」
「SM?」
「そうよ。避妊していないのよ、理由って分る?」
「SMと関係あるとか・・・」
「SMの愛好家に気に入られたのね。ご主人様も面白そうだからって・・・妊婦を責めるのが興奮
する性癖の人なの。一ヶ月前だったかな?その人が妊婦さんを、8ケ月とか言ってたけど、
それを観たのね。私もその場に居たんだけど、壮絶だったわ。いずみちゃんね、体が震えたって
その人に抱き付いてお願いしたのよ。泣きながら”私も、私もしたいの、お願い!”って、
純粋な気持だと分かったわ。
いずみちゃんね、性行為がない毎日は絶えられないって感じなの。エロとかそういうんじゃないの、
いずみちゃん自身が性器、オマンコそのものなの。ご主人様はそれを引き出したのね。
だから、いずみちゃんが離れるなんて、これっぽっちも考えていないと思うわ。
二人でいる時ね、いずみちゃんは裸なのよ。何かをする時は必ずご主人様の許可を取るの。
そうすることが快感に繋がるらしいの。”支配される喜び”ってそれなのね」

多少大袈裟に表現している様にも思えるのですが、犬が出てこないのは極限まで達していない
のかもしれません。
私に”孕まされる”と言った意味が分かってきますが、とても本気だとは思えないのです。
あの男に媚を売る何がしかの理由があると思わずにはいられません。
創作混じりのように思えるのは、具体的な表現に欠けると思えるからです。
そう指示されていることもないとは言えません。
それに、いずみが”孕まされる”と私に言った事実は、シナリオ通りだとしたら、あの店で偶然
会ったことも、ショルダーバッグに忍ばせたボイスレコーダーも、あの男の命令だったことになり
ます。
ところが、そこまで頭が回るとは到底思えないことから、全てはいずみの発案だった可能性が
あります。
そうであるのなら、あの紙切れを早く開いて、平野さんに向き合う姿勢を決めないといけません。


そのカフェまでは徒歩数分程ですが、軽い会話ではないことを加味すれば、その時間を優に超える
のは仕方ありません。