空白の日々に
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Re: 空白の日々に
小田
2026/08/09 (日) 23:20
No.211180
「いいなぁ、残念だな・・・そうだろ?」
顔見知りの客が、とても残念そうに、もう一人の客に話し掛けます。
「残念の残念、言葉にならない残念だよ」
それに彼女が反応します。
「嬉しいわ・・・残念の使い方がとても嬉しいわ・・・ねぇ・・・」
再度、菊本さんに話すのですが、またまた疑問符が飛び交っています。
話し終えて菊本さんが、
「そうだな・・・観れないお二人さんには動画を撮るのはどうですか?」
「おっ!おっっおっ!それはいいね。決まりだな」
「それ!それ!それしかないよ。綾見ちゃんは優しいな」
ゆっくり立ち上がった彼女が、
「それでいいのね?・・・じゃ、ねぇ、お洋服を取ってくれないの?」
居残り決定の二人が、無造作に脱ぎ捨てられていたチビTとスカートを拾い上げて、元に戻る前の
部位に目をやってから、そっと渡します。
「うふふっ・・・ありがとう・・・着せてくれる?」
サービス精神旺盛ですが、生で見れない二人への彼女なりの優しさなのでしょう。
着せてもらった二人にお礼を言って、
「恥ずかしいのよ、裸を見られるのって。それ以上かな?・・・」
生で観れる客が、嬉しそうに、
「オシッコ?」
「うふふっ・・・行きましょうか?」
当然ですが、菊本さんも含めて三人です。
振り返った菊本さんが、
「留守番を頼むよ」
返事は期待していないという風に、私を一瞥してから、彼女を促して歩き出します。
一瞬、私に目線を合わせた彼女ですが、客の右腕に手を廻して菊本さんの後に続きます。
彼女達が居なくなった空間には、季節に似合わない寒々しい風が何処からともなく吹いて来るよう
です。
そう感じるのは私だけかもしれないのですが、少なくとも取り残された二人も何がしかの悲哀を
感じていると思えるのです。
しわくちゃになったスポーツタオル、レジャーシート、防虫スプレーなどを手に取ると、それらの
下になっていた雑草が息を吹き返したかのように、起き上がってきます。
”夏草や兵どもが夢の跡”、芭蕉の俳句がスッと頭の中に浮かんできます。