仲良しのお母さんと
6 仲良しのお母さんと・・・5
もとき
2024/04/29 (月) 15:39
No.191509
 私は自分の車を公園の入り口近くに止めていたが、彼女は30mほど離れた場所に駐車してしていた。
 二人と入れ替わりに公園に向かう子供を連れた若いお母さんが何人か見受けられた。知り合いがいても不思議はない状況に、2人は手を放し、距離を置いた。
「今日は楽しかった。こんなドキドキしたの年々振りだろう」
彼女は、悪戯っぽく笑い、自分の車に向かいゆっくりと歩きだした。そして、数歩進んだところで振り返り、
「やっぱりあなたは憧れだけにしておく。ごめんなさい。子供は裏切れない・・・」
と言い残し、また車に歩き出した。
 私もその言葉に、子どもの顔や妻の顔が頭を過ぎり、重い気持ちとなり下を向いた。目をあげた時、近くでは気づかなかったやや肉付きの良いメリハリの彼女の腰から下に、風に吹かれたフレアースカートが巻き付き、身体の線を明らかにするとともにさらさらした髪が風になびき、白い首筋を露にした。
 彼女の車は、150センチちょっと小さな体には不釣り合いない大きめのRV車で、小柄な彼女は少し上るように運転席に身を入れた。
 その仕草があまりにも可愛く、愛おしくなり、私は少し速足で車の中の彼女を見つめ、歩き出した。ドアの中で彼女は、ハンドルの上部に両手を置き、そこに額を押し当て、身動きしなかった。
そして、彼女が気を取り直して、前を向きエンジンのスタートボタンに手をかけた時、私は後部座のドアを開けて、彼女の車に乗り込んだ。