絆のあとさき 4
97 Re: 絆のあとさき 4
小田
2024/04/27 (土) 12:50
No.191483



「僕の肩に当たったのが発端かい?」
「タクマさんはどう思ったのかは分らないのよ。あなたに当たっていなくても、同じだったかも
しれないわ」
「まぁ、それはいいとして、ヘアスタイルの激変を聞こうか?」
「あなたの言うように、ほんと激変なの。前はね、肩まであったのよ。それがあれでしょ?
驚愕としか表現できないと思わない?」
「はははっ、同意を求められてもね。まぁ、思うことがあってだろ?答えは分かっているのに、
しつこく聞くんだから、いずみも人が悪いね」
「木下さんから聞いていなければ、でしょ?」
「確信がないとはいないだろ?」
「うん・・・でも、本人の口から聞きたいでしょ?堅いというか、あれ?アレじゃないのよ、
お口だから。”分かってる”って、いずみの独り言でした」
「練習してるのか?はははっ」
「だって〜、本番・・・あれ?まただわ、本番違いだから。はい、そこから離れます、うふっ」
「何かあったのか?楽しくて仕方ないと聞こえるけどね」
「あなたね、私が安らげるのはあなただけなのよ。そこから見えてくるものがあるでしょ?」
「僕と一緒だから?」
「それしかないでしょ?あなたと話せる時間って多くはないもの。アレね、すれ違い夫婦って私達
の事を言うんじゃない?」
「元を正せば・・・続けるかい?」
「私でしょ?潤いと癒し・・・私が言うって真実味がないかもしれないけど、ほんと過酷な毎日
なの。だから、それが必要になるのね。でも、年末までだもの。来年からは私の思い通りに
進められるから、不要とまでは言えないかもしれないけど、必要とも言えないそんな環境になると
思うわ」
「はははっ、否定しないのがいいね。いずみの隠された欲望は理解しているつもりだからね。
セフレが必要なら話してくれていいからね。タクマさんなら進んでとは言えないが、認めない訳
にはいかないだろ?はははっ」
「うん・・・そうなるかもしれないし、他の人になるかも。でも、セフレはあなた次第、ダメなら
その時にハッキリ言ってね?あなたの指示に従うから」
「後で恨まれないか、それが心配だね、はははっ」
「うふふっ、その時はあなたが待たせてくれるんでしょ?私にはそれが最高の悦びだもの」
「話しただろ?その途中だと。石黒さんが試金石だろうね」
「話しておくわ、”しっかりさせてね”って、うふふっ」
「はははっ、情けない話になってきたから、戻そうか?」
「うん・・・だからね、お父さんの会社に入るって言えばいいのに、もったいぶってるでしょ?
あれかな、それを話すとなると、お父さんとの軋轢を話さないといけないって思ってるのかも?
でも、”何時か”って言ってたでしょ?それまでに話せる内容を整理しておくとか、でっち上げた
お話で取り繕うのか、その内容でタクマさんの私への気持ちが見えてくるかもしれないわね」
「見えない方がいいかもしれないよ。信じたい気持ちは分かるが、所詮セフレだと理解しておか
ないと、見たい景色じゃなかった時に、後悔が大きくなるからね。いいかい?」
「うん、線引きは大丈夫よ。どちらでも動揺はしない鋼鉄の心の持ち主なんだもの」
「はははっ、頼もしいね。ヘアスタイルの件は分かったとしようか?」
「タクマさんの返答待ちね?きっと希望のお仕事に就くのよ、それがお父さんの会社じゃなくても。
その理解で正しいかな?」
「待つのは得意だろ?その時まで忘れようか?」
「はい・・・じゃ、あなたに鑑賞を頼んだ経緯だけど・・・タクマさんね、さっきも話したけど、
あなたの事が気になるみたいで、チラチラ見ていたの。向き合ってるから目線って分かるでしょ?
”どうしたの?”って聞いたら、急によ、”彼に観てもらおうか?”って、切り出してきたの。
そんなお話しはしていなかったのよ。というか、カーディガンを着て直ぐだったから、何を言って
るのか分からなくて、”観てもらう?ナニを?”って言った後に性行為の事だって分ったの。
でね、”興奮したいから?”って聞いたらね、”いずみちゃんを見せたい、彼なら大丈夫だと思う”
なの。訳分かんないでしょ?でもね、私はいい機会だって思ったの。あなたの要望なんだもの、
否定なんてできないけど、そうだからって”喜んで”って言えないでしょ?
どうお返事したらいいのか、口籠ってしまったわ」