絆のあとさき 4
96 Re: 絆のあとさき 4
小田
2024/04/21 (日) 19:59
No.191386



「まぁ、その時だよ。任せると言っても僕が関与できる余地は欲しいかな?」
「うん、何でも言ってね?あなたのいずみだもの。指示とか注意事項があればそれに従うの、
それが私の誠意だもの。愛してるのはあなただけだもの」
「僕が言いたいのは、分かっていることは事前に知らせる、事後連絡なら可能な限り早く、
判断に困った時は即断しない、僕に相談してから決める、そういうことだよ。
今言ったことは一例だが、理解出来るだろ?」
「うん・・・あのね、性行為は?」
「タクマさんと楽しく過ごせるのなら、特に口出しはしないよ。セフレの範囲で最大限に
楽しめばいいからね?」
「うん・・・でも、独り言は聞いてくれるでしょ?あなたに話さないって自分を欺いている
みたいで、気持ち悪いんだもの」
「思い出せればだろ?そうだろ?」
「あれ?疑ってるの?・・・でもね、睦言って二人だけの世界でしょ?それを話すのって
勇気がいるかな?話したくないってことじゃなくて、ちょこっと恥ずかしいかなって。
分かるでしょ?」
「はははっ、お任せだよ・・・ん?恥ずかしいことを話してるのか?」
「だって・・・話すとバカにされるみたいな、あの時って愛を語るって感じなんだもの。
でも、将来とかそんなお話はしないわよ。二人で見る夢、見たい夢かな?」
「ピロートークは愛情を高めるとか言うだろ?」
「うん・・・高揚感の後で訪れる安らぎって、何にも代えがたいものなのね。それに浸かって、
あれ?ピロートークじゃないの。乗っかりトーク、ライディングトークかしら?」
「だから睦言か、なるほどね。ピローを使う時間もない程?はははっ・・・ん?乗っかりトークは
分かるけどね、ライディングトークはいずみ製かい?」
「だって、時間厳守だもの。これも絶対に譲れないでしょ?鋼鉄の心はここでも健在なんだから。
あのね、ライディングトークは思い付きなの。”get on top of him"かな?あれなの、馬に乗る
って感じなのね。だから、”riding a horse"でしょ?”どうして馬なの?”って聞かないの?」
「言わせたいのか?」
「あれ?失言?・・・気分は如何?うふっ」
「僕の比じゃないのは分かっているからね。そこから導き出せるのは?」
「わたし?・・・暴れ馬かな?そう思ったから。意味はいいでしょ?」
「遠慮しなくていいんだよ。現実を観たばかりだから、間違ってるとはとても言えないからね」
「うん・・・乗りこなせないのは分かるでしょ?一時の安息がライディングトークね、ほんの少し
なの。直ぐに暴れ出すのよ、時間厳守だから。お終いかな?」
「はははっ、短く纏めたね?・・・じゃ、鑑賞会へのアプローチを聞かせてくれないか?」

考えているのか、思い出そうとしているのか、少しのタイムラグの後、

「最初って何処からって分からないでしょ?話していてふと思い付くことってあるでしょ?」
「何かマズいことでも?」
「何も・・・何もないから、入りどころが難しいのね。そうだ!あなたの肩に当たったでしょ?
そこからだったかな?」
「何処からでもいいから進めろよ」
「うん・・・ワインでブラウスが汚れて着替えた後でね、私が驚いて当たった男性、あなたね、
その男性の事が気になるって。あっ?驚いたのはね、タクマさんと話していたの覚えてる?
何を話してるのか分からなかったでしょ?」
「説明があるだろうとは思っていたが、その理由は後日なんだろ?」
「ホントに驚いたのよ。だからあなたに・・・これはいいんだわ、ごめんね?タクマさんの
ヘアスタイルの変わりようなの。言葉を失うって言うでしょ?”えっ?”って言ったかも覚えて
いないのよ。その時にあなたの肩に当たったの」

いずみの中ではほとんど消化されていると思えるのですが、説明の難しさに直面しているようです。