絆のあとさき 4
94 Re: 絆のあとさき 4
小田
2024/04/14 (日) 19:17
No.191219



私の顔を覗き込んで、

「仲良く?今夜は無理って言えないもの。説明するには時間が必要でしょ?私達の時間が
割かれるもの。あれ?サワちゃんの時間を割いたのに、少し説明すれば良かったかな?」

その気もないのは、丸分りです。

「まぁ、驚いた時間だったが、時間が経つと何事もなかったように思えてくるよ」
「それって自然体ってこと?」
「タクマさんと?」
「違うの?」
「いずみかな?」
「わたし?・・・いつもと変わらない姿態を見せたかったのよ。でも、変更したから、いつもの
いつもじゃなかったの」
「そうか・・・後で聞こうか?」
「あっ?ごめんなさい。シャワーでしょ?」

私は何も話さず、立ち上がります。
私の様子が気になるのでしょう、直ぐにドレスシャツのボタンに手を掛けてきます。

「気付くのが遅くなって、ほんとにごめんなさい。怒ってないでしょ?」
「怒る?それはないよ。それ以前の問題かな?終わったことには拘らないとしても、何かの
サインは欲しかったね」
「あなたの様子は見えないし、合図もできない状況で話しだけが進んでしまって」
「後で聞こうか?納得させるのは得意だろ?はははっ」
「得意?そんなんじゃないの。いつものようにありのままに、いつもと変わらず・・・あれ?
うふふっ、空気を変えようかなって」
「はははっ、いずみ節に追加するか?」
「まぁ!久し振りだわ。懐かしい響きね、うふっ」


体を洗ってもらいながらも、心なしかいつもよりも丁寧に感じるのは、いずみが気を遣っていると
思ったからですが、本人は至って冷静に見えるのです。
そう感じるのは、私が気を廻し過ぎなのかもしれません。
それもいずみなのですから、ベッドでの弁明まで気付かない振りを通します。


「ねぇ、ベッドは?」

いずみは先程のナイトウエアを、私も同じようにナイトウエアを着ます。
考えようでは、いずみはピロートーク、私は差し詰めベッドトークかと、可笑しくなってきます。

「ん?聞く?」
「えっ?そうよね、聞くまでもないわ。ごめんね?」

先程、いずみがタクマさんと携帯で話したベッドではなく、バスルーム側のベッドに並んで座り
ます。

「あれ?脚の長さってあまり変わらないと思わない?」

本題に入る前の緊張緩和を狙ったようですが、タクマさんとの性行為を観られた後では、臆する
ものがあるのでしょう。

「ん?・・・狙いは分かるけどね、フェイントは必要ないだろ?」
「はい、指摘されるって分かるのよ。でも・・・とっかかりが難しくて・・・チュッ!うふふっ
・・・これでいいわ」
「はははっ、いずみらしく話してくれないか?」