初心者　中村夫婦と

　ＨＴ誌（夫婦交換専門誌）から回送の封筒が届いた。
夫婦交換未経験と言う中村夫婦からの、夫婦交換の申し込みの手紙
が入っていた。ご主人が書かれたのだろう金釘流のクセのある文字
で、次のように書かれていた。

”夫婦交際には２人ともとても興味があり、いつか体験したいと思
っていました。なにぶん初めてなのでビクビクしています。私たち
の好奇心に勇気を与えてください。この世界での経験はゼロですの
で、出来れば妻の裕子を優しく導いてくださる事を希望しています。
最初ですから不安だらけですが、妻が素敵な方にめぐり合える事を
願っています”

　などと未知の冒険に対する好奇心がみなぎっている内容の手紙に
私はいきり立った。すぐに返事の手紙を出した。
　内容は、私たち夫婦が初めて夫婦交換を申し込んだとき、頂いた
返事（畳の上の水練）を参考にして書いた。

”水泳の本を何冊読んでも泳げるようにはなりません。夫婦交換も
同じです。その種の本を何冊読んでも、興奮はするけれど実行は出
来ません。経験者に教わるのが一番の近道、その指導役を仰せつか
り光栄です”

　私はさらに文章を追加した。
”この楽しい世界の扉を開かれた、あなた方ご夫婦の勇気に拍手し
ます。明るく楽しく、そしてセックスのみにこだわらず、ゆっくり
としたペースでドキドキワクワクするような、刺激的な交際を楽し
みましょう。
　カラオケで歌いながらのＨ、映画館でのタッチプレー、または車
でドライブ（車内いたずらあり）に出かけて観光地での露出プレー
などいかがですか。
　大自然の中で男と女が、一心同体になる爽快感は１度味わったら
忘れられません。いろんなプレーが考えられますので、そちら様ご
夫婦の、ご希望をお聞かせくだされば幸いです。
　お電話いただけるとうれしのですが”

　結論はご主人の栄幸さんが、示されたプレーに興味を抱かれたが
奥様の裕子さんが、最初からそんな多彩なプレーにすぐ飛び込めな
いと反対されたため、何度か電話で打ち合わせをした結果、新宿歌
舞伎町のレストラン（アミュー）でお会いし、お互い気が合えば近
くのラブホテルを利用することで了解した。
　
　物事にはあまり執着しない私たちですが、夫婦交換初体験と言わ
れる中村夫婦に期待した。洋子などは（明日はどうか天気になりま
すように）と祈りながら眠りに付く始末。

　思いが通じたのか当日は抜けるような青空に恵まれた。

　お会いした中村ご夫婦は、極度に緊張なさっておられる。ご主人
は頭髪を七三に分け、メガネフレームの奥に優しい目をなさってい
られる。銀行マンだといわれるだけに丁重な物腰である。
　奥様の裕子さんは小柄であった。まつげが密生している大きな目、
濡れ濡れとした瞳で堀が深く、成熟している悩ましい美人顔で、私
の探究心を誘った。

　二人にアルコールが入ると緊張が取れたのか、ご主人が無遠慮に
洋子の前身に視線を這わせられる。だがその視線は初心者らしくい
やらしものではない。以外に気さくで冗談を交えて洋子をヨイショ
なさった。

”男は始めて肉体関係を結んだ、女性のことは克明に覚えています。
夫婦交換初体験の私には、奥様が初めての人妻になります。一生忘
れられない方になると思います。素敵な奥様にめぐり合えてとても
嬉しいです”

　奥様の裕子さんは
”男兄弟の中で育ったためか、がさつな性格なので結婚さえ出来な
いと思っていたのに、主人以外の殿方に抱いてもらえるようになる
なんて”

　茶目っ気たっぷりに話される言葉に、夫婦交換を楽しみたいと言
う気持ちが伝わってくる。話がトントン拍子に進み（アミュー）を
出て、妻を交換しラブホテル街に向かいました。
　
　ラブホテルの玄関を入るとパネルがあり、その下に部屋のキーが
差し込まれている。目で合図し、隣り合わせの部屋を選んで別室プ
レーに進みました。

　部屋に入るなり私は裕子さんを抱き寄せ、立ったまま唇を重ねま
した。素早い行動に裕子さんはチョット驚かれたようであったが、
私の腕の中で上体を反らされる。夫以外の男から受けるキッスに、
これから始まることの期待で、早くも喘いでいられる。

　私の背中に回していた裕子さんの手から、ハンドバックが落ち、
そのまま私の背中にしがみついて、長いキスになりました。
　
　ようやく身体を離して私は上衣を脱ぎ、浴室の蛇口をひねって湯
船に湯を溜めた。前面の鏡に移った自分の顔が、ニタリと好色その
ものに見え、あわてて目をそらした。
　
　部屋に戻ると裕子さんがソファーに座って目を伏せていられます。
そんな裕子さんに
”さあ〜、お風呂に入りましょう。裸になるところを見せてくださ
い”
”エッ、裸になるの”
”お風呂に入るのに洋服を着てはいる人はいないでしょう”