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　妻の恋人　旅館ー12

　妻は、まだ私が近くに居る事に、気が付いていないみたいです!
　フロントに人が居ないのを確認した私が、2人のほうに近づき、初めて声を掛けたのです。
　その声で、妻の身体がビクッと反応し、慌てて浴衣の胸元を直したのです！
　私はそれには気付かない振りをして、金山さんに昨日の礼を述べ、軽い冗談を言い合い、それから妻に声を掛けたのです。

私　　　おはよう。早かったねぇ！
妻　　　ぅうん…
私　　　どのくらい前に来たの？
妻　　　30分…位かな…？
私　　　金山さんも…？
妻　　　ぅぅん。少し、後かな？
私　　　金山さん、朝っぱらから、スイマセン！
金　　　いえいえ、良いんですよ！　奥様がお1人だったので…
妻　　　イロイロと、教わってたの…
私　　　あっ、そうなんだ…
妻　　　…うん。
金　　　大したことでは無いですが、ここではこんな事すると楽しいとか、ここから、ここは、こんな風にすると、とても良いんですよぉ、とかです。　ねぇ、奥さん？
妻　　　ええ、まぁ…
私　　　へえ、どんな事よ？
妻　　　……
金　　　そろそろ朝食にしましょうか？
私　　　ええ、ケイちゃん、教えてよ！
金　　　御主人、後でゆっくり聞いてください。
私　　　ハァ…、後で…！
金　　　奥様、どういう風にしたら、好くなるのかご主人に、説明してあげてください！
私　　　ウン。教えて教えて…？
妻　　　……ぅん。

　ここで、朝起こしに着てくれた仲居さんが通りかかり、私を見つけると、「あら、お仕事の方、大丈夫だったのですか？」と聞いてきたのです。
　私は、さっきの気持ち良さそうな妻の顔が、頭から離れず、仲居さんに「ぇぇ…まぁ…？」と、気の無い返事をしてしまったのです。
　この時です!　凄くよいことを思い付いたのです？　（…と思ったのですが、とんでも無く…最大、最悪の、愚作でした！！）

　3人で朝食をとり始めて直ぐに、妻が切り出しました。

妻　　　ねえ、さっきの仕事の事って、何なの?
私　　　う～ん、大した事じゃあ…無いと思うんだけど…？
妻　　　会社で、何かあったの…？
私　　　まだハッキリしないんだけど…
妻　　　面倒なの…？
私　　　判らないけど…最悪、…昼頃まで、動けなくなるかも…？
妻　　　えええ～！　本当なの？
私　　　最悪の場合だけどね！
妻　　　近くだけでも…歩いて見ようって…
私　　　ゴメンなぁ…でも決まった訳じゃあないから…

　ここで、今まで黙って聞いていた金山さんが、声を掛けてきたのです。