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[30768] 魔性【番外編32】 樹氷 投稿日:2008/04/26 (土) 03:11
「どんな案配なんや?」
威圧感溢れる黒塗りの高級車のリアシート。
そこには西島氏が悪戯っぽい笑顔で座っていた。
「に、西島ハン‥ これは一体‥どないなってるんでっか??

この車は?‥ この人達は? ‥

それに藤田ハンも‥ 」
西島氏は、私の狐につままれたような表情を見て
「まぁ話せば長くなる。車の中で追い追い話すワ‥ さぁ行くデ 。」と言って[パチン]とウインクをした。

助手席に座った藤田が、明美に行き先を聞き、厳つい風貌の運転手に目で合図を送るようにして促した。

音も立てずに滑り出すように発進する車。

明美は真ん中に私を挟んで座る西島氏の顔をマジマジと見て「アッ!!‥あぁ‥」っと、何かを‥とんでも無い事を思い出したような声を上げた。

そして全身の力が抜け落ちたように、顔を下に向け、両足をピタリと閉じ、ガタガタと小刻みに震え出す明美。

その異様なまでの震えが隣に座る私にまで伝わって来る。

私は呆気に取られながら、隣に座る明美に小声で
「どないしたんや‥
西島ハンにはオドレも【Z】で二回も会ってるやないかい?
忘れたんか?」

明美は小刻みに震える、ままならない自分の足に蓋でもするが如く、拳を握り締めた両手を膝に置き、

「ちゃう‥ちゃうんや‥【Z】で会うた事は勿論覚えてる。
ちゃうんや‥何度も‥何度もウチ見てるんや‥遠目に‥

何で気付かなかったんやろウチは‥何で思い出さなかったんやろ‥

なぁ‥アンタ‥何でなん?
何で、こないな方々と仲良しなん? 」

この明美の言葉に‥態度に‥そして先程この車に乗り込む時にチラリと見えた他の車に乗っている明らかに温度の違う面々の姿に、ピントのずれていた私の頭の中で、ようやく【点と線】が繋がり始めていた。

私のぎこちない作り笑顔に西島氏は[しゃあない‥]とばかりに

「まぁ‥そうゆうこっちゃ。
ワシは既に隠退した身やけど、藤田はな‥現役バリバリの、その筋では知らん奴の居らん有名な漢なんや。

竿師ちゅうんは、藤田のかりそめの姿や。
ワシは、アンタとの付き合いでは、そんな余計な事は教える必要も無いし、アンタも知る必要も無い思うて付き合うてきた。
共通の趣味を持つ者同士、エェ仲間やと思うてるからな。

だから藤田の事も竿師としての藤田だけでエェ思うから、コイツの生業まで教える事も無かったんや‥。

[Res: 30768] Re: 魔性【番外編32】 樹氷 投稿日:2008/04/26 (土) 03:12
西島氏の話に言葉を失う私。

確かに尋常では無い顔の広さ、イヤらしさの中にもウィットに富んだ語り口、あらゆる物に対する造詣の深さ‥
そして物言わぬ時でも、その全身から醸し出されるオーラ。

しかし‥ 脳天気な私は微塵も疑う気持ちが無かった。

そしてそれは、藤田にも。

キレのある遊び人。

己の名刀を武器に生きる伝説の漢。。。

そこからは漢としての強烈なフェロモンこそ感じるが、デンジャラスな世界で名を馳せる裏の姿など想像がつかなかった。
助手席の藤田がニッコリと微笑みながら振り返り
「あんまり考え過ぎたらアカン。

ワシらとアンタは今まで通りの遊び仲間でエェんや‥。

言うてエェ事と悪い事あるやん?

兄貴‥いや西島ハンもワシも余計な事を教えてアンタやアンタの嫁ハンに要らん悩みを抱えられてもな‥

分かってや。

今回はアンタの遊び仲間として‥友達として助けたい。

ホンマなんやで・・

「馬鹿と鋏は使いよう」って言うやろ?

嫁ハンの事が手遅れになってからじゃ洒落にならんやろ?

悪いようにせんから‥

任せとき!! 」

藤田の男気溢れる言葉。
西島氏も私を見て無言で頷いていた。

私は感じ入り‥そして少し安堵した。

だがしかし、一連の予想を超えた事の顛末と流れに【ただ事では済まない物】も如実に感じていた。
何故、妻は‥由香利は、たった一夜で心が揺れ、豹変してしまったのだろう?
あの元カレである、りょうが見えざる妻の禁断のスイッチを押してしまったのか?

私自身が妻に愛想を尽かされ‥そして三行半を下されてしまっているのだろうか?

昨夜、夫婦で【Z】に行くまでは、妻が【Z】で元カレのりょうに再会するまでは、今この状況など想像もつかなかったのだ‥。

漆黒の深夜を私達を乗せて走る車は、いつの間にか目的地に着こうとしていた。

胸が苦しい‥

何事も無ければ良いのだが。

[Res: 30768] Re: 魔性【番外編32】 カメ吉◆Y9dFJs 投稿日:2008/04/26 (土) 20:52
いよいよ、クライマックスですかね。
お忙しい中、投稿大変ですが、楽しまさせていただいております。

[Res: 30768] Re: 魔性【番外編32】 カス夫 投稿日:2008/04/27 (日) 01:11
樹氷様、お話を有難うございます。樹氷様が良き友達に囲まれているのが窺えます。この先、いよいよりょう氏と対決でしょうか。お話を宜しくお願いします。

[Res: 30768] Re: 魔性【番外編32】 チャーリー 投稿日:2008/04/28 (月) 08:43
樹氷さんへ
思いもよらない展開で、ドキドキします。

僕もずっと前に、そのスジの方と知り合いになり、僕が転勤のときに送別会をしてもらいました。
していただいたものと、ほぼ同じ物をお返しし、貸し借りなしということで、その後は関係ありません(多分、笑)。

そのような方々は、味方になってくれる時には心強いですが、深入りは禁物ですよね。いまさらそんなアドバイスは不要でしたね。すみません。

これからも応援します。

[Res: 30768] Re: 魔性【番外編32】 ベーム 投稿日:2008/05/23 (金) 22:30
どうも、続きまだですか?
まさか、途中で終わりじゃないですよね?
それじゃぁ、他の投稿者に失礼だ!
早く、書いてください。
面白い、つまらないわ、後なので。

[Res: 30768] Re: 魔性【番外編32】 ベーム 投稿日:2008/06/03 (火) 22:18
投稿は、終わりですか?
あっけない幕切れですね。
投稿者の気紛れで、読者に後味悪い終わりとは...。
まぁ、創作にしては臨場感もあり、頑張った方ですね。
一応、退屈せずに面白かったです。

[Res: 30768] Re: 魔性【番外編32】 おっぱっぴー 投稿日:2008/06/04 (水) 18:57
ベームさんの意見がどうか知らんけど、この前ここで別投稿とか書いた割りには、続きをどうするかも言わず、管理人さんがレス自体消したようだね。
弁論の自由だから、どんどん言いたい事、言って良いんじゃないの?
管理人さんが勝手に消すけど。
後、樹氷さんもここに意見書けば良いのに、君のファンしか読まないんだからさ。
僕も更新待ってる人なんでね。
早く更新頼んますわ。