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【コンッ…コンッ…】１秒が１時間にも思える長く続いた静寂を切り裂くように、部屋のドアをノックする音が聞こえた。すると、風間は何故か部屋の奥にある冷蔵庫の前に立ち、玄関に背を向けたまま大きな声を発した。『奥さん、悪いけど、ちょっと入って手伝ってくれない？』妻はドアを開けて玄関の中に２、３歩進むと、風間の背中に向けて言葉を発した。『風間さん、早くメモを貰える？』『うん、渡したいんだけど…ビールを取ろうとしたらこの裏に落としちゃってさぁ。僕が冷蔵庫をズラしてる間に取ってくれない？』妻は少し不機嫌そうにハイヒールを脱ぎ捨て部屋に上がった。両手にはボストンバックを抱え、メモを受け取ったらそのままチェックアウトする準備をしている。『奥さんっ！何してんの？早くこっちに来て手伝ってよ!?』妻はバックを置くと無言で歩き出し、風間の左横で立ち止まった。風間は横目で妻を確認すると、太い左腕で冷蔵庫を前方に傾けた。『ここに白い紙が落ちてないかな？』妻は畳に膝をつき袖を捲ると、四つん這いの体勢で覗き込む。『白い紙…？見えないけど…。』スカートに浮かび上がる熟れた尻のラインを淫猥な目つきで見下ろす風間の右手には、いつの間にか銀色の手錠が握られている。『そんなはずは無いさ…。もう一度、よく見てごらんよ…。』妻が更に体勢を低くして奥深く覗き込んだ途端、風間はいきなり冷蔵庫から手を放す。驚いた妻が振り向くと同時に、持っていた手錠を慣れた手つきで素早く両足にかけた。『キャッ！何してるのっ！ちょっと！止めてよ！』立ち上がろうとする妻はバランスを崩して畳の上に倒れ込んだ。