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過去ログ[23]

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[17980] 臨界点へ E ゲジゲシ 投稿日:2007/03/10 (土) 00:54
時計は11時を回ろうとしていた。 チャイムが鳴り、麻実が玄関へ向かう。すぐに連れ立ってリビングに戻って来た。 「…パパ…」 私を見つけた優が涙を浮かべながらドアの前で肩を震わせていた。 ソファーから立ち上がり、娘達の方へ向き直り、私はかける言葉を探した。 (一番の被害者は娘達なんだ…) 「……優……辛かったな…パパの為に…パパ達のせいで…おまえ達を傷つけてしまって……本当に…本当にすまなかった!!」 「パ、パパァー」 堪えていた物が決壊したのでしょう。優は私の胸に飛び込んで子供のように泣きじゃくりました。姉につられたのか、今まで気丈に振る舞っていた麻実も堰を切ったように私の胸に飛び込み泣き始めました。 親子3人で思う存分涙を流し合いました。 どれ位泣いていたでしょうか。落ち着きを取り戻した私達は、再びソファーに腰を下ろし話し始めました。 「麻実から電話があって、パパが話したいって聞いた時は…苦しかった…パパには…出来ればパパにだけは悲しい思いはして欲しくなかったから……」 「 優…すまなかったな…」 「 うううん、そうじゃないの。悪いのは、パパじゃないから…」 「 そうだよ…パパは何にも悪くないよ…」 「……………」 正直、娘達の言葉を素直に受け取る事が出来ませんでした。妻が浮気をしたのは少なからず私にも責任があるはずだからです。何の理由もなく、大切な家族を裏切れる人はいないはずです。だから責任の一端は当然私にもあると思っています。しかし…私には一つだけ 彼女を許せない…許す事が出来ない事があるんです。それは、優が目撃したと言う葬式の事です。あの日だけは…あの場面だけは、個人同士の衝動で動いてはいけなかったのです。 自分の娘の友達の死、自分の教え子の死、そんな日に自分達の感情、欲求だけを考え、故人のご家族の気持ち、その友人達の気持ち、そして、優の気持ちを踏みにじった事が許せないのです。 これだけは人として…いや子の親としてやってはいけない大罪なのです。 その後、2人は今までの事を全て話してくれました。隠れて逢い引きの電話をしているのを聞いた事。高校時代の友達が、『ホテル街で先生と優のお母さんに似た人が歩いているのを見た』 と言うのを聞いた事。 そして優自身も、街で2人が腕を組みながら買い物をしているのを見た事。ずっと続いていたという事。 「…そうか…」 一通り話を聞いて力が抜けてしまった。それと同時に自分に腹が立った。こうも騙されていた事に気が付かないなんて、なんて愚かな男だろう…和代も舌を出しながら「馬鹿な夫ね」とでも言っていただろう。 「 ねぇパパ…」 麻実が口を開いた。 「 ん?」 「 パパは…どうするつもりなの?」 (どうするつもりか…そうだな…………答はもう…でてるな…) 私は自分でも驚く程冷静だった。すでに妻への愛情は、欠片も残っていないのだ。残っているのは……激しい憎しみだけだった。

[Res: 17980] Re: 臨界点へ E 達也 投稿日:2007/03/10 (土) 01:34
臨界点のタイトル意味は、
怒り心頭でしたか

その気持ち、わかります

続きをお待ちしています

[Res: 17980] Re: 臨界点へ E なるほど◆.YLTZM 投稿日:2007/03/10 (土) 03:10
二人のお嬢さんは事実を知っているのですねぇ。

>すでに妻への愛情は、欠片も残っていないのだ。残っているのは……

何故でしょう?まだ、本人と話しもしていないのじゃないですか?
それとも過去に同じようなことがあったのでしょうか?

続きが凄く気になります。

[Res: 17980] 臨界点へ E 花梨党 投稿日:2007/03/10 (土) 05:06
うーん、確かにここまでされてはねー話を聞いただけの状況証拠だけじゃなく、公園で目撃しちゃー話聞くまでもナイッショ。 続きを楽しみにしてます。

[Res: 17980] Re: 臨界点へ E てつ◆3g.MhY 投稿日:2007/03/10 (土) 05:24
このままの流れで、ゲジゲジさんがおちんぽしごく場面はくるのだろうか‥‥‥
私のような凡人が想像するに、
裁判して慰謝料請求して離婚、先生クビ、
父子3人で支えあって前向きに‥‥‥というお話ですが、
その想像を遥かに超えたいやらしい展開になるとすれば、
これは凄い名作の予感がっ‥‥‥‥‥‥!!!!!

[Res: 17980] Re: 臨界点へ E ルイ 投稿日:2007/03/10 (土) 14:18
復讐劇の始まりですか
楽しみにしています

[Res: 17980] Re: 臨界点へ E 応援しています。 投稿日:2007/03/10 (土) 15:12
日本人だからなのか、それとも人間の性なのか このような状況になった時に自分を責める気持ち
を人は少なからず持ってしまうようですね。
殺人で愛しい肉親を殺された人の殆どが犯人だけじゃなくて自分を責めるそうです。
読んでいてそんな心理状態から少なくともこの人がこのような状況に置かれたのは作文ではなく
本当だと感じました。
 臨界点からの展開を期待して今後の投稿を楽しみにさせて頂きます。

[Res: 17980] Re: 臨界点へ E ぎゅう 投稿日:2007/03/12 (月) 00:15
自分にも責任がある・・?どこにあるんでしょう。
奥さんを労い愛情をもって沢山のことに目を瞑ってきてくれた
旦那さんにそんなものないですよ。
家族を道具にして笑ってきた妻にそんな配慮がいりますかね。

大人ならその責任を当人同士で話し合えばいい。
それをせずに、娘を犠牲にしてまで”優しい夫に寄生”して
甘い汁すってきたのがその真実の姿でしょう。
あなたが少しでも妻に配慮するようなことを思うこと自体が
苦しんできた娘さん達への裏切りになりますよ。
女は言い訳の中に責任転嫁がとにかく激しいですが、
男は保護欲からかそれとも事を荒立てないためか
なぜか無い責任までも背負い込もうとします。
真面目で誠実な方ほどその色が強いです。
あなたのように。

それだけ憎しみの炎が燃えていれば問題ないと
思いますが、あまり優しいと”今までと同様”に
そこに漬け込まれますからね。