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[9535] 奈落の底へ9 石川俊夫 投稿日:2006/03/11 (土) 12:49
妻は午前0時少し前に帰宅しました。
「ただいま〜」と出迎えた私に対して、疲れ切った様子で、「あ、うん。ただいま」と静かに応えました。やはりお酒によっている様子で、服装はあまり乱れた様子もなく、酒井さんたちもまさかそこまではしないよな。やはり友達と一緒だったのかな。と私は少し安心しました。
しかしその友達が近くに引越ししてきたらしく、その後も4,5日おきには食事に出かけていきました。出かけるたびに妻は念入りに身支度をして、メイクをしていきます。そして最近は何着も洋服を買い揃えメイク用品にもお金をかけている様子です。
あの日以来、坂井さんや佐々木さんから連絡があるわけでもなく、営業にいっても普通に対応してくれます。
妻の笑顔も少しずつではありますが戻りつつあります。それでも私は不安と興奮にが入り混じった日々が続きました。気になるのは、気のせいかもしれませんがどこかよそよそしく感じるようになったことと、妻が私とのセックスを拒むようになったことです。
それまでは、一度もそんなことはなかったのに、あの日以来一度もしていません。

あの日から2ヶ月近くたったある日、ついに妻のことを尾行する決心をしました。
妻は夕方6時ごろ、「それじゃあ、いつもごめんね。行ってきます」と言い残して出かけていきました。
私は、妻を疑う後ろめたさと、これから起こるかもしれない不安と興奮で、頭に全身の血が上ってしまたような感覚のまま後をつけていきました。

着いたところは普通の居酒屋でした。そこは私たちが会社の飲み会でも何度か行ったことのある市内ではなかなか美味しいと評判の居酒屋です。
私は店の中に入ろうか、入って妻に見つかったらどうしよう・・・と店から少し離れたところで迷いあぐねました。
意を決して中に入り、あたりを見渡しましたが妻の姿は見えず、店員に「ご予約の方ですか?」ときかれ、見つかってはマズイと思い「あ、いえ、すみません」といい、店を出ました。
それから待つこと2時間・・・・
なんと出てきたのは酒井さん、佐々木さん、酒井さんが所属する農協の若い担当者が2人、そして私の会社の長井くんでした。
私の心臓は壊れそうなほどバクバクいいだし、全身から血の気が失せ冷たくなっていくのがわかりました。「やっぱり妻は・・・」「偶然であってくれ・・・」
しかし皆さんのところに財布をしまいながら遅れて出てきたのは妻の恵美でした・・・

酔って大きな声で笑っている皆さんと一緒に、妻は酒井さんに腰を抱きかかえられながら、歩いていきました。途中コンビニによりました。私は必死に後をつけていたところ車にクラクションを鳴らされ、佐々木さんに気づかれそうになり、必死に隠れました。
そして、7人はあるマンションに入っていったのです。
私は興奮と落胆でしゃがみ込んでしまい、そこから一歩も動けない状態でした。
そして、20分くらいたったでしょうか・・・・「オイ!」と声をかけられビクッとして顔を上げると、そこには佐々木さんが立っていたのです・・・