お堅いパート妻の美里が・・
65 Re: お堅いパート妻の美里が・・
拓海
2022/02/19 (土) 17:38
No.185392
「お昼自分で何とかできる?」日曜日
誕生日が近い娘のプレゼントを買うと出かけた美里。
娘の事には一生懸命な、どこにでもいる母親なのです。

一人ランチの隠れ好物はあのチェーン店のカツカレーです。
最後の仕上げと納品準備を済ませ、パーカーを羽織って出かけました。

途中の街中華や新しくオープンしたラーメン店の誘惑に打ち勝って
例のローソンの前にあるカレー屋のカウンターに座りました。

独特の香りが漂う店の窓側のカウンターで大盛のカツカレーを平らげ
爪楊枝を咥えて外を眺めていた、その時でした。



ピンクのマスクをした・・・紛れもなく朝出かけて行ったままの姿の美里。

一緒にやってきたスラリと背の高い白マスクの男が
田代部長だというのはすぐわかりました。

少し離れて歩く美里がマンションの入り口に・・・
このマンション最上階の部長の部屋に・・・まさか・・・まさか・・

目を凝らせば物産展で買ったであろう
北海道のシルエットが印刷された大きな紙袋。
酒の入った重そうな袋は部長が持ち、
郵便ボックスを確認した後
二人はエレベーターに消えたのです。



部長の部屋に美里が?・・・・

部長の部屋に美里が・・・・

部長の部屋に二人で?・・・

二人っきりで・・・・・・

二人っきり・・・・

整理ができない言葉が頭の中でグルグル回って聞こえます。

「どういう事?・・・そういう事?・・・いつから?」


「お皿かたずけますね!・・・お水はいかがですか?」女性店員の声

二人は今入っていったばかり・・・荷物を置いて、買ったものを頂いたり、少し話して
降りてくるかもしれないという期待と
夜まで過ごしてくれても・・・そうなっても仕方がないという
複雑で入り混じった気持ちが交差しました。

トボトボと帰宅して美里が好きな洋楽のバラードをかけると
後悔や不安そして切なさが押し寄せましたが
もう、どうしようもありません。

娘も相変わらずお祖母ちゃんの家で過ごす予定でした。
一人きりで・・・・・

今頃・・・楽しく名産品でもつまみにして・・・酒でも飲んで・・・
ヤラレちゃうのか・・・・・・何事もなく楽しんで帰ってくるのか
BGMを聴きながら・・・少しだけ涙目になっていました。

ソファに寝転んで天井を眺め、溜息を何度もつきながら
長い長い時間、ほとんど働かない脳で考えていました。

この事は秘密にされるんだろうか・・・
見られた事を知らない美里に、何をしていたのか聞くべきだろうか。

どうしようもない不安な時間を一人で耐えていました。